JP2018170452A - ハイブリッド磁石 - Google Patents

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周一郎 入江
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世菜 吉野
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Abstract

【課題】保磁力が高く、かつ、高抵抗のハイブリッド磁石を提供する。【解決手段】ハイブリッド磁石は、第1の磁性粒子10、第2の磁性粒子20、樹脂バインダー30、および、電気絶縁性固体40を含む。第1の磁性粒子10は、Sm2Fe17Nx系合金、Nd2Fe14B系合金、SmCo5系合金、Sm2Co17系合金、Sm5Fe17系合金、及び、SmFe12系合金からなる群から選ばれる少なくとも1種の合金粒子である。第2の磁性粒子20は、MnBi系合金粒子である。電気絶縁性固体40は、第1の磁性粒子10間、第2の磁性粒子20間、及び、第1の磁性粒子10及び第2の磁性粒子20間のうちの少なくとも1つに存在する。【選択図】図1

Description

本発明はハイブリッド磁石に関する。
近年、資源調達リスクの高い希土類金属元素の中でもNdやDyなどの高価な希土類を含まない磁石としてMnBi系磁石が注目されている。
例えば、非特許文献1、特許文献1及び2には、MnBi系合金粉末と、SmFe17系合金粉末との混合粉末を含むハイブリッド磁石が記載されている。
また、非特許文献2には、MnBi系合金とSmFe17系合金とをナノレベルまで均一に混合したナノコンポジット粉末を含むハイブリッド磁石が記載されている。
特許4968519号公報 特開2016―115923号公報
D. T. Zhang et al., J. Appl. Phys. 115, 17A746 (2014). Y. B. Yang et al., J. Appl. Phys. 115, 17A721 (2014).
このようなハイブリッド磁石では、磁気特性の優れた第1の磁性粒子と、塑性変形しやすいMnBi系合金粉末とを含むことによって、成形時に第1の磁性粒子の粒子間にMnBi系合金粉末が入り込み、第1の磁性粒子のみの場合に比べて成形後の空隙は減少しやすくなるため、残留磁束密度が改善する効果が得られることが期待される。
しかしながら、特許文献1、2のハイブリッド磁石では、第1の磁性粒子と第2の磁性粒子が共に合金であり比抵抗が小さいことに加え、金属バインダーも同様に比抵抗が小さいため、これらの組合せだけではハイブリッド磁石の比抵抗が小さくなる。この場合、モーターや発電機などへの実装において、磁界変化によって発生する渦電流がより大きくなり、エネルギー効率を下げるばかりか、ジュール熱による磁石温度上昇によって残留磁束密度が低下しやすくなるという問題点が生じる。
また、非特許文献1や非特許文献2のようなハイブリッド磁石の場合、第1の磁性粒子と第2の磁性粒子の組合せにさらに樹脂バインダーを添加しているため、磁石の比抵抗はやや増大するものの、MnBi系合金粉末は成形時に塑性変形しながら第1の磁性粒子の粉末の粒子間に入り込みやすいため、樹脂バインダーが粒子間に介在するだけでは十分な比抵抗の改善がなされない。
さらに、ハイブリッド磁石であっても、保磁力はなるべく高いことが求められる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、保磁力が高く、かつ、高抵抗のハイブリッド磁石を提供することを目的とする。
本発明に掛かるハイブリッド磁石は、第1の磁性粒子、第2の磁性粒子、樹脂バインダー、および、電気絶縁性固体を含む。第1の磁性粒子は、SmFe17系合金、NdFe14B系合金、SmCo系合金、SmCo17系合金、SmFe17系合金、及び、SmFe12系合金からなる群から選ばれる少なくとも1種の合金粒子である。第2の磁性粒子は、MnBi系合金粒子である。前記電気絶縁性固体は、前記第1の磁性粒子間、前記第2の磁性粒子間、及び、前記第1の磁性粒子及び前記第2の磁性粒子間のうちの少なくとも1つに存在する。
本発明によれば、前記第1の磁性粒子間、前記第2の磁性粒子間、及び、前記第1の磁性粒子及び前記第2の磁性粒子間の内の少なくとも1つに、樹脂バインダーに加えて電気絶縁性固体が存在する。したがって、磁性粒子間が十分電気的に絶縁されるので、磁石の比抵抗を増大することができる。また、保磁力の低い第2の磁性粒子は、保磁力の高い第1の磁性粒子の影響を受けて、磁石の見かけの保磁力が向上する。
ここで、前記電気絶縁性固体は粒子であることができる。前記粒子の粒径は0.01〜2μmであることができる。
また、前記電気絶縁性固体は、前記第1の磁性粒子及び/又は第2の磁性粒子を被覆する膜であることもできる。前記膜の厚みは0.01〜2μmであることができる。
また、前記電気絶縁性固体は、少なくとも第2の磁性粒子間に存在することが好適である。第2の磁性粒子は、塑性変形しやすく、第2の磁性粒子間を離間させにくいが、この間に電気絶縁性固体が介在することで、より一層発明の効果が高い。
また、前記電気絶縁性固体は、金属または半金属の、酸化物、水酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、ホウ酸塩、ケイ酸塩およびリン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことができる。
また、前記樹脂バインダーは、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはエラストマーのいずれかであることができる。
また、前記樹脂バインダーはエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステル系熱可塑性エラストマーからなる群から選択される少なくとも1つであることができる。
また、前記ハイブリッド磁石は、前記ハイブリッド磁石の体積のうち、空隙を除く体積に対して、前記第1の磁性粒子の体積比が20vol%〜91vol%であり、前記第2の磁性粒子の体積比が4vol%〜72vol%であり、前記樹脂バインダー及び前記電気絶縁性固体の合計の体積比が0vol%より大きく50vol%以下であり、前記電気絶縁性固体の体積比が0vol%より大きく8vol%以下であることができる。
本発明によれば、保磁力が高く、かつ、高抵抗のハイブリッド磁石が提供される。
本発明の1実施形態にかかる磁石の断面模式図である。 本発明の他の実施形態にかかる磁石の断面模式図である。
本発明に掛かるハイブリッド磁石は、第1の磁性粒子、第2の磁性粒子、樹脂バインダー、および、電気絶縁性固体を含む。
(第1の磁性粒子)
第1の磁性粒子は、SmFe17系合金、NdFe14B系合金、SmCo系合金、SmCo17系合金、SmFe17系合金、及び、SmFe12系合金からなる群から選ばれる少なくとも1種の合金粒子である。
SmFe17系合金(xは1〜4)の成分組成は、RFe100−(v+y+z)で表され、RはSmを必須元素とした希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素であり、MはTi、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Mo、Nb、Ta、Ga、Al、B、C、Caから選ばれる少なくとも1種であり、v、y、zは原子パーセントで3%≦v≦15%、y≦3.0%、5%≦z≦15%であることを満たす。
SmFe17系合金は、SmFe17相を含むことが好適である。vが3%より少なすぎても15%多すぎてもSmFe17相が得られないので、8%≦v≦10%となることが好ましい。yは0%でも良いが、Mを少量添加することで結晶組織が微細になり、保磁力が高くなる効果がある。yが3%より多くなるとSmFe17相が相対的に少なくなるため、y≦3%が好ましい。zが5%より少ないと保磁力が低くなり、15%より多いN原子はSmFe17相中に固溶するのが困難になる。13%≦z≦15%となることが好ましい。
また、成分組成中Mについて、特にMがMo、Nb、Taの場合、粒子内に偏析物があっても良く、Mo、Nb、Taの粒状の偏析があっても構わない。
SmFe17系合金のキュリー点は460〜650℃であり、主としてThZn17型の菱面体晶系かTbCu型の六方晶系の結晶構造を有する。
第1の磁性粒子の粒径の上限は200μmであることができ、50μmであることができ、10μmであることができる。下限は、0.5μmであることができ、1μmであることができ、2μmであることができる。磁石における粒子の平均粒径は、断面SEM写真による面積円相当径により取得できる。
(第2の磁性粒子)
第2の磁性粒子は、MnBi系合金粒子である。MnBi系合金の成分組成は、Mn100−wBiで表され、wは原子パーセントで40%≦w≦60%であることを満たす。MnBi系合金は、主としてNiAs型の六方晶系の結晶構造(MnBi低温相(LTP))を有し、この構造はw=50%の化学量論比を持つため、好ましくは、45%≦w≦55%である。
wが40%未満であるとMn相が増加し、MnBi低温相(LTP)が減少するので残留磁束密度が低下し、wが60%を超えるとBi相が増加しMnBi低温相が減少するので残留磁束密度が低下する。第2の磁性粒子は、MnBi低温相(LTP)とBi相のコンポジットであってもよい。第2の磁性粒子は、Mn相を含有してもよい。
MnBi低温相を形成するためには、MnBi系合金には200〜350℃の熱処理を施されたものであることができる。Mn相とBi相とを反応させ、MnBi低温相(LTP)を多くするには、3時間以上の熱処理を施すことが望ましい。
第2の磁性粒子の粒径の上限は200μmであることができ、50μmであることができ、10μmであることができる。下限は、0.5μmであることができ、1μmであることができ、2μmであることができる。
第2の磁性粒子のキュリー点は240〜355℃であることができる。
(樹脂バインダー)
樹脂バインダーは、第1の磁性粒子間及び第2の磁性粒子間、及び、第1の磁性粒子及び第2の磁性粒子間に存在し、これらの粒子同士を結合させる。
樹脂バインダーは、磁性粒子同士を結合できる樹脂であれば特に限定は無い。樹脂バインダーは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂およびエラストマーから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。樹脂バインダーが熱可塑性樹脂である場合、射出成型に適する。また、樹脂バインダーが熱硬化性樹脂である場合には、圧縮成型に適する。また、樹脂バインダーがエラストマーである場合、射出成型や押出成型に好適である。
熱硬化性樹脂の例は、エポキシ樹脂(EP)、フェノール樹脂(PF)、メラミン樹脂(MF)、尿素樹脂(UF)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、アルキド樹脂、ポリウレタン(PUR)、熱硬化性ポリイミド(PI)である。熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂であることが好ましく、さらに好ましくは1液性熱硬化型エポキシ樹脂が望ましい。
熱可塑性樹脂の例は、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等のポリエチレン(PE);ポリプロピレン(PP);ポリ塩化ビニル(PVC);ポリ塩化ビニリデン:ポリスチレン(PS);ポリ酢酸ビニル(PVAc);ポリウレタン(PUR);ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS);アクリル樹脂(PMMA);ナイロンを含むポリアミド樹脂(PA);ポリアセタール(POM);ポリカーボネート(PC);変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE、変性PPE、PPO);ポリエチレンテレフタレート(PET);ポリブチレンテレフタレート(PBT);環状ポリオレフィン(COP);ポリフェニレンサルファイド(PPS);ポリスルホン(PSF);ポリエーテルスルホン(PES);非晶ポリアリレート(PAR);液晶ポリマー(LCP);ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);熱可塑性ポリイミド(PI);ポリアミドイミド(PAI)である。
熱可塑性樹脂は、ポリアミド樹脂またはポリフェニレンサルファイドを含むことが好ましく、ポリアミド樹脂の例は、ナイロン66、ナイロン6、ナイロン12を含む。
エラストマーの例は、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)等の熱可塑性エラストマー(TPE);各種ゴムである。
樹脂は、適宜、可塑剤、潤滑剤、成形助剤、安定剤等の添加剤を含んでいてもよい。
(電気絶縁性固体)
電気絶縁性固体は、電気絶縁性を有する材料から形成されている。樹脂バインダーよりも高い融点を有している。
電気絶縁性固体の例は、金属又は半金属の、酸化物、水酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、ホウ酸塩、ケイ酸塩およびリン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である。種々の顔料や鉱物を利用できる。比抵抗は、80μΩm以上であることが好適である。
金属の例は、Na、K、Mg、Al、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、La、Nd、Sm、Bi、W,Y、及び、Zrである。
半金属の例は、Si、B、である。
酸化物の例は、シリカ(SiO)、タルク(MgSi10(OH))、ルチル(TiO)、ジルコニア(ZrO)、アルミナ(Al)である。
水酸化物の例は、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マンガン、水酸化鉄、水酸化サマリウム、水酸化ネオジム、水酸化ビスマスである。
炭化物の例は、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化アルミニウム、炭化ジルコニウム、炭化マンガン、炭化鉄、炭化サマリウム、炭化ネオジム、炭化ビスマスである。
窒化物の例は、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミ、窒化チタン、窒化マンガン、窒化鉄、窒化サマリウム、窒化ネオジム、窒化ビスマスである。
ホウ化物の例は、ホウ化ジルコニウム、ホウ化チタン、ホウ化タングステン、ホウ化サマリウム、ホウ化鉄、である。
ホウ酸塩の例は、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム(NaBO)、四ホウ酸ナトリウム(Na)など)、ホウ酸鉄、ホウ酸マンガン、ホウ酸サマリウム、ホウ酸ビスマスである。
ケイ酸塩の例は、ケイ酸ナトリウム(NaSiO,NaSi,NaSiなど)、ケイ酸鉄、ケイ酸マンガン、ケイ酸サマリウム、ケイ酸ビスマスである。
リン酸塩の例は、リン酸ナトリウム(リン酸一ナトリウム(NaHPO)、リン酸二ナトリウム(NaHPO)、リン酸三ナトリウム(NaPO)など)、リン酸鉄、リン酸マンガン、リン酸サマリウム、リン酸ビスマス、リン酸亜鉛、リン酸カルシウムである。
上記の各種塩は、複数の金属の複合塩でもよい。
電気絶縁性固体は、第1の磁性粒子間、第2の磁性粒子間、及び、第1の磁性粒子及び前記第2の磁性粒子間のうちの少なくとも1つに存在し、これらの粒子間にギャップを与える。
電気絶縁性固体は粒子であることができる。図1は、電気絶縁性固体が粒子である場合の1例を示す磁石100の概略断面図である。図1において、磁石100は、第1の磁性粒子10、第2の磁性粒子20、樹脂バインダー30、及び、電気絶縁性固体粒子40を有する。本実施形態では、第1の磁性粒子10間、第2の磁性粒子20間、及び、第1の磁性粒子10及び第2の磁性粒子間にそれぞれ樹脂バインダー30が存在する。
電気絶縁性固体粒子40は、第1の磁性粒子10間、第2の磁性粒子20間、及び、第1の磁性粒子10及び第2の磁性粒子20間のうちの少なくとも1つに存在していればよい。これにより、電気絶縁性固体粒子40は、第1の磁性粒子10間、第2の磁性粒子20間、及び、第1の磁性粒子10及び第2の磁性粒子20間のうちの少なくとも1つにギャップを与える。
電気絶縁性固体粒子40は、少なくとも第2の磁性粒子20間に存在することが好適である。この理由は、MnBi系粒子は柔らかくて成形後に互いに密着しやすく、比抵抗が下がりやすいため、これらの間にあると効率よく比抵抗を上げられるからである。
電気絶縁性固体粒子40は、第2の磁性粒子20と第1の磁性粒子10間に存在することも好適である。この理由は、MnBi系粒子は柔らかくて成形後に第1の磁性粒子と互いに密着しやすく、比抵抗が下がりやすく、これらの間にあると効率よく比抵抗を上げられるからである。
電気絶縁性固体粒子40は、第1の磁性粒子10間、第2の磁性粒子20間、及び、第1の磁性粒子10及び第2の磁性粒子20間のすべてに介在することが好適である。
電気絶縁性固体粒子40の粒径の上限は、2μmとすることができ、0.1μmとすることができ、0.05μmとすることができる。下限は、0.01μmとすることができ、0.02μmとすることができ、0.03μmとすることもできる。
また、電気絶縁性固体は、第1の磁性粒子及び/又は第2の磁性粒子を被覆する膜であることもできる。図2は、電気絶縁性固体が膜である場合の1例を示す磁石100の概略断面図である。磁石100は、第1の磁性粒子10、第2の磁性粒子20、樹脂バインダー30、第1の磁性粒子10の表面を覆う電気絶縁性固体膜41、第2の磁性粒子20の表面を覆う電気絶縁性固体膜42を有する。本実施形態でも、各粒子間に樹脂バインダー30が存在する。
本実施形態では、電気絶縁性固体膜41、42により、第1の磁性粒子10間、第2の磁性粒子20間、及び、第1の磁性粒子10及び第2の磁性粒子20間が離間されている。
磁石は、電気絶縁性固体膜41、42の両方を有することが好ましいがいずれか一方のみを有してもよい。磁石は、少なくとも、電気絶縁性固体膜42を有することが好適である。この理由は、MnBi系粒子は柔らかくて成形後に他の粒子と密着しやすく、比抵抗が下がりやすいためである。
電気絶縁性固体膜41、42の厚みの上限は、2μmとすることができ、1μmとすることができ、0.5μmとすることもできる。また、厚みの下限は、0.01μmとすることができ、0.02μmとすることができ、0.05μmとすることもできる。
磁石が、電気絶縁性固体膜41及び/又は電気絶縁性固体膜42を有する場合、磁石は、さらに、電気絶縁性固体粒子40を有することもできる。
第1及び第2の磁性粒子の表面に電気絶縁性固体膜41、42を形成する方法の例を以下に示す。
磁性粒子の表面に、メタホウ酸ナトリウム(NaBO)、四ホウ酸ナトリウム(Na)などのホウ酸塩水溶液を接触させると、表面に、磁性粒子を構成する金属元素又は半金属元素の、ホウ酸塩の膜を形成させることができる。
磁性粒子の表面に、リン酸ナトリウム(リン酸一ナトリウム(NaHPO)、リン酸二ナトリウム(NaHPO)、リン酸三ナトリウム(NaPO)など)のリン酸塩水溶液を接触させると、表面に、磁性粒子を構成する金属元素又は半金属元素の、リン酸塩の膜を形成させることができる。
磁性粒子の表面に、ケイ酸ナトリウム(NaSiO,NaSi,NaSiなど)、のケイ酸塩水溶液、シランカップリング剤等を接触させると、表面に、磁性粒子を構成する金属元素又は半金属元素のケイ酸塩の膜を形成させることができる。
具体的には、このような処理により得られる電気絶縁性固体膜41は、第1の磁性粒子が例えばSmFe17系合金である場合には、サマリウム及び鉄の、ホウ酸塩、リン酸塩、又は、ケイ酸塩であることができる。
また、このような処理により得られる電気絶縁性固体膜42は、第2の磁性粒子はMnBi系合金であるので、Mn及びBiの、ホウ酸塩、リン酸塩、又は、ケイ酸塩であることができる。
このような膜の形成によって、磁性粒子が大気中の酸素や水分と隔絶され腐食されにくくなるばかりか、磁性粒子が電気的および磁気的に隔絶され、磁石の比抵抗と保磁力を向上させることができる。
第1の磁性粒子がSmFe17系合金(xは1〜4)である場合、第1の磁性粒子と電気絶縁性固体膜41とを有する複合粒子(被覆粒子)の全体の成分組成は、RFe100−(v+y+z+u)で表され、RはSmを必須元素とした希土類元素から選ばれる少なくとも1種の元素であり、MはTi、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、Zn、Mo、Nb、Ta、Ga、Al、B、C、Caから選ばれる少なくとも1種であり、LはB、SiまたはPから選ばれる少なくとも1種であり、v、y、z、uは原子パーセントで3%≦v≦15%、y≦3.0%、5%≦z≦15%、u≦1.5%であることができる。uが0.3%未満であると酸化されやすく、分解生成物のFeを主成分とする副相が生成し保磁力を低下させ、uが1.5%を超えると酸化されにくくなるが、非磁性相の被膜が増加することで残留磁束密度が低下するため、より好ましくは0.3%≦u≦1.5%である。
(組成)
ハイブリッド磁石の体積のうち、空隙を除く体積に対して、第1の磁性粒子の体積比が20vol%〜91vol%であり、第2の磁性粒子の体積比が4vol%〜72vol%であり、樹脂バインダー及び電気絶縁性固体の合計の体積比が0vol%より大きく50vol%以下であり、電気絶縁性固体の体積比が0vol%より大きく8vol%以下であることが好適である。
第1の磁性粒子の体積比は、25vol%以上、30vol%以上、50vol%以上、55vol%以上、60vol%以上、65vol%以上でもよい。第1の磁性粒子の体積比は、90vol%以下、85vol%以下、80vol%以下、75vol%以下でもよい。
第2の磁性粒子の体積比は、5vol%以上、10vol%以上、15vol%以上、20vol%以上でもよい。第2の磁性粒子の体積比は、70vol%以下、55vol%以下、40vol%以下、35vol%以下、30vol%以下でもよい。第2の磁性粒子の体積比は、第1の磁性粒子の体積比より低くてもよい。
樹脂バインダー及び電気絶縁性固体の合計の体積比は0.2vol%以上、1vol%以上、3vol%以上、5vol%以上、7vol%以上、10vol%以上、20vol%以上、30vol%以上、40%以上であることができ、40vol%以下、30vol%以下、25vol%以下、20vol%以下、15vol%以下であることもできる。
電気絶縁性固体の体積比は、0.1vol%以上、0.5vol%以上、1.0vol%以上でもよく、5vol%以下、3vol%以下でもよい。樹脂バインダーの体積比は、0.1vol%以上、1vol%以上、3vol%以上であることができ、20vol%以下、15vol%以下であることができる。
なお、射出成型や押出成型により形成されるハイブリッド磁石は、樹脂バインダーと電気絶縁性固体の合計の体積比は20vol%以上であることができ、好ましくは40〜50vol%である。圧縮成型により形成されるハイブリッド磁石は、樹脂バインダーと電気絶縁性固体の合計の体積比は20vol%以下が好ましい。
各成分をこのような体積比の範囲にすることにより、樹脂バインダーおよび電気絶縁性固体が第1の磁性粒子及び第2の磁性粒子間に適切な介在量で存在し、比抵抗と保磁力を好適に高めることができる。すなわち、樹脂バインダーと電気絶縁性固体の合計の体積比が0.2vol%より多く、または電気絶縁性固体の体積比が0.1%より多いと粒子間の磁気分離および電気的絶縁が充分となり比抵抗と保磁力は改善しやすい傾向が有る。樹脂バインダーと電気絶縁性固体の合計の体積比が15vol%より多いか、または電気絶縁性固体の体積比が5vol%より多いと磁石体積に対する磁石材料の体積比が少なくなり、残留磁束密度が低下する傾向がある。
続いて、上記実施形態にかかるハイブリッド磁石の製造方法の1例を説明する。
第1の磁性粒子及び第2の磁性粒子のそれぞれの所望の磁石合金の成分組成に従って所定の金属を秤量し、アーク溶解およびまたは高周波溶解など溶解法によって磁石材料の融点以上(およそ800〜1400℃)にすることで溶湯とし、鋳造法、ストリップキャスト法、溶湯急冷法、アトマイズ法などの凝固法によって合金薄帯を作製する。より好ましくは異方性の合金薄帯が得られるストリップキャスト法である。また、第1の磁性粒子においては、共沈法、Ca還元法、アンモニア窒化法などを経て作製しても良い。合金薄帯に対して、好適な磁石特性を得るために、必要に応じて熱処理をすることができる。
得られた2種類の磁石薄帯を、ブラウンミル、ピンミル、振動ミル、ボールミルおよびまたはジェットミルなどの粉砕方法により磁性粒子にする。粒子の平均粒径は例えば500μm以下、より好ましくは100μm以下である。
各磁石薄帯を粉砕後に2種の磁性粒子同士を混合しても良いし、2種の磁石薄帯同士を混合してから粉砕してもよい。磁性粒子同士の混合には、Vミキサー、ダブルコーンミキサー、ナウタミキサー、ロッキングミキサーなどの混合器を使用でき、室温から350℃までの間に温度調節しながら混合することができる。
磁性粒子の表面に電気絶縁性固体の膜を形成する場合には、磁性粒子を樹脂バインダーと混合する前に、磁性粒子に上述の表面処理をすることができる。
得られた磁石粉末に樹脂バインダーを添加して、流動槽、回転羽根式撹拌器および上記粉末混合に記載の混合器などによって混合することができる。
電気絶縁性固体の粒子を用いる場合には、樹脂バインダーに対して、さらに、電気絶縁性固体の粒子を添加して混合すれば良い。
樹脂バインダーが熱可塑性をもつ場合、混合時には加温してもよく、樹脂バインダーを溶解することが好ましい。また、樹脂バインダーが熱硬化性をもつ場合、混合時には加温しない。加温するとポットライフが短くなるため、粘性を下げる目的で加温する以外は、極力低温で混合することが好ましい。なお、熱硬化性樹脂が2液型のエポキシ樹脂の場合、主剤と硬化剤とを混合して用いる際には、予め2液とを混合したものを粉末混合物へ添加しても良いし、粉末混合と同時に主剤と硬化剤を別々に添加しても良い。また、ポットライフが短すぎて混合工程時間を下回る場合は、硬化遅延剤を主剤に混合しておいても良い。粉末と樹脂バインダーの混合物は樹脂バインダーの添加量によって顆粒状からペースト状へ変化する。このようにして得られた混合物を通常、コンパウンドと呼ぶ。
得られたコンパウンドを成型された磁石にするには、コンパウンドを成形型に充填し、1T以上の磁場中にて磁場印加後、所定の成形温度に加熱し、所定の成形圧力で加圧することで作製することができる。成形温度は50〜300℃が好ましく、成形圧力は100MPa〜1200MPaが好ましい。
(作用)
本発明の実施形態によるハイブリッド磁石によれば、磁気特性の優れた第1の磁性粒子と、塑性変形しやすいMnBi系合金粒子である第2の磁性粒子を含むことによって、成形時に第1の磁性粒子の粒子間に第2の磁性粒子が入り込み、第1の磁性粒子のみの場合に比べて成形後の空隙が減少しやすくなるため、残留磁束密度が改善する。
さらに、磁性粒子間に樹脂バインダーだけで無く、電気絶縁性固体が介在することにより、磁性粒子間が電気的に絶縁されやすくなって、磁石の比抵抗が増大する。これにより、使用時の渦電流の発生が抑制され、モーターや発電機等の磁石を使用する機器のエネルギー効率が向上し、また、ジュール熱による磁石温度上昇も抑えられるので、磁石の残留磁束密度が低下しにくくなる。
さらに、電気絶縁性固体が第1の磁性粒子及び/又は第2の磁性粒子間に介在することにより、磁性粒子間で効率よく磁気分離されることで、保磁力が高くなり得る。すなわち、第1の磁石粒子と第2の磁性粒子とのランダムな混合状態を磁気回路として見た場合、2種類の多数の磁性粒子による直列回路と並列回路の混合回路とみなせるため、保磁力の低い成分(第1の磁性粒子に対応)は、それより高い保磁力の成分(第2の磁性粒子に対応)の影響を受け、ハイブリッド磁石の保磁力が、従来の樹脂バインダーのみで絶縁した磁石と比べて見かけ上改善する。
(比較例1)
合金組成がSmFe17になるように、原料のSm金属、Fe金属を秤量混合し、石英管内で高周波溶解法にて溶解し、Cu製の金属ロールを用いたストリップキャスト法にて合金フレークを得た。この合金フレークをロータリーキルンにてNガス中350℃で窒化処理することで粗粉砕し、得られた粗粉をNガスを用いたジェットミルで微粉砕し、第1の磁性粒子として平均粒径3μmのSmFe17系合金粉末を得た。xはおよそ3であった。
合金組成がMn50Bi50になる様に原料のMn金属、Bi金属を秤量混合し、アーク溶解法にて合金インゴットを得た。この合金インゴットをArガス雰囲気中ロール急冷により合金薄帯を得た後、さらにNガス雰囲気中300℃で3時間の熱処理を施した。この合金薄帯をスタンプミルで粗粉砕し、n−オクタンを分散媒に用いたボールミルで32時間粉砕し、第2の磁性粒子として、平均粒径10μm以下のMnBi系合金粉末を得た。
第1の磁性粒子(MnBiの比重=8.9)と第2の磁性粒子(SmFe17の比重=7.6)とエポキシ樹脂(主剤と硬化剤との混合物)を体積比で63:27:10となるように秤量し、Vミキサーで4h混合した後、得られた混合物を金型に充填し、23kOeの磁場中で60℃に加熱し、1GPaの圧力で圧縮成形し、60℃、1hで硬化させ、7×7×7mmの立方体形状のハイブリッド磁石を作製した。
得られた磁石について、BHトレーサー(東英工業製)による磁気ヒステリシス測定を行った。磁気ヒステリシス測定から保磁力HcJ(kOe)および残留磁束密度Br(kG)を読取した。磁石の比抵抗については、4点端子法により抵抗測定を行い、端子間距離と磁石断面積を用いて、比抵抗を算出した。
(比較例2〜6)
表1に示す通り、第1の磁性粒子として、SmFe17に代えて、NdFe14B合金、SmCo合金、SmCo17合金、SmFe17合金およびSmFe12合金を採用した。具体的には、それぞれの成分組成になるように、原料のNd金属、Sm金属、Fe金属、フェロボロン、Co金属を秤量混合し、適宜Cu金属、Zr金属、Ti金属、V金属、Ga金属などを少量添加し、アーク溶解法にて溶解し合金インゴットを得た。得られた合金インゴットを石英管内で高周波溶解法にて溶解し、Cu製の金属ロールを用いたロール急冷法にて合金薄帯を得た。得られた合金薄帯をブラウンミルで粗粉砕した後、Nガスを用いたジェットミルで微粉砕し、平均粒径3μmの微粉末を得ること以外はすべて、それぞれ比較例1と同様に比較例2〜6の磁石を作製した。
(実施例1〜6)
第1の磁性粒子、第2の磁性粒子、樹脂バインダーに加えて、電気絶縁性固体として、粒径0.01μmのシリカ粒子(フュームドシリカ「AEROSIL」、日本アエロジル製)を体積比で63:27:9:1となるように秤量する以外は、すべて比較例1〜6と同様に実施例1〜6の磁石を作製した。
実施例1〜6は、比較例1〜6に対して、残留磁束密度がわずかに低下したものの、保磁力および比抵抗が向上した。電気絶縁性固体粒子を添加しても残留磁束密度が低下しにくい理由としては、添加していない場合の空隙に、代わりに電気絶縁性固体粒子が入った状態になっていると考えられる。結果を表1に示す。
Figure 2018170452
(実施例7〜12)
表2に示す通り、電気絶縁性固体粒子の材料を、シリカから、タルク(ナノタルク「NANOACE」、日本タルク製)、ルチル(超微粒子酸化チタン「TTO−55」、石原産業製)、ジルコニア、アルミナ、炭化ケイ素、窒化ホウ素に替える以外は、実施例1と同様に実施例7〜12の磁石を作製した。電気絶縁性固体粒子の粒径は、0.02μm程度とした。
実施例7〜12においても、比較例1に対して、残留磁束密度が殆ど変化せず、比抵抗と保磁力が高くなった。電気絶縁性固体の材料によって比抵抗が異なるのは、材料固有の比抵抗や粒子形状などが関係しているものと考えられる。
Figure 2018170452
(比較例7および実施例13〜16)
表3に示す通り、第1の磁性粒子と第2の磁性粒子と樹脂バインダーとしてのエポキシ樹脂の体積比を70:30:1として比較例7の磁石を製造した。また、第1の磁性粒子と第2の磁性粒子の相対体積比を70:30に保ったまま、エポキシ樹脂の体積比を0.9、4.5、13.5、18vol%とし、シリカの体積比を0.1、0.5、1.5、2.0vol%とすること以外はすべて実施例1と同様に実施例13〜16の磁石を作製した。
実施例13〜16において、樹脂バインダーのみ1vol%の比較例7に比べて、樹脂バインダーと電気絶縁性固体の合計の体積比が1vol%でも添加されれば、比抵抗は著しく増大し、5vol%では十分な増加を示している。しかしながら、15vol%までは保磁力も微増しながら、比抵抗は増大するものの、20vol%では残留磁束密度がやや大きく低下した。これは詳細は定かではないが、空隙に浸入できない樹脂バインダーが増えた結果であると考えられる。
Figure 2018170452
(実施例17〜22)
表4に示す通り、樹脂バインダーと電気絶縁性固体の合計の体積比は5vol%に保ったまま、第1の磁性粒子と第2の磁性粒子との相対体積比が、95:5、90:10、85:15、65:35、45:55、25:75となるようにすること以外は、すべて実施例14と同様に実施例17〜22の磁石を作製した。
実施例17〜22において、第1の磁性粒子と第2の磁性粒子の相対体積比を変化させると、第2の磁性粒子が多くなりすぎると保磁力が減少し、少なすぎても多すぎても残留磁束密度が減少する傾向が得られた。これは、第2の磁性粒子であるMnBi系材料はビッカース硬さが100〜200であり、第1の磁性粒子であるSmFe17系材料に比べて塑性変形しやすいことに起因しているものと考えられる。すなわちMnBi系材料が少なすぎると空隙が減らず残留磁束密度が低下し、MnBi系材料が多すぎるとMnBi系材料の残留磁化が5〜6kG程度であるためかえって全体の残留磁束密度を低下させていると考えられる。
Figure 2018170452
(実施例23〜27)
表5に示す通り、第1の磁性粒子と第2の磁石材料の相対体積比が70:30、かつ樹脂バインダーと電気絶縁性固体の合計の体積比を20vol%とし、電気絶縁性固体としてのシリカの体積比を2vol%とし、さらに、樹脂バインダーの種類をナイロン66、ナイロン6、ナイロン12、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)にすること以外はすべて実施例16と同様にして、実施例23〜27の磁石を作製した。
実施例23〜27において、樹脂バインダーを熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂から、融点を持つ熱可塑性樹脂のナイロン66(265℃)、ナイロン6(224℃)、ナイロン12(176℃)、PPS(278℃)、熱可塑性を示すエラストマーのTPEE(軟化温度:>170℃)へ変更する場合、成形温度を融点以上になるよう変更したため、第1の磁性粒子のSmFe17系材料が劣化し、保磁力が若干低下した。しかしながら、樹脂バインダーが熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマーになっても、渦電流がほとんど影響しないレベル(>1×10)の比抵抗を維持した。
Figure 2018170452
(実施例28〜34)
表6に示す通り、第1の磁性粒子と第2に磁石材料の相対体積比が85:15、かつ樹脂バインダーと電気絶縁性固体の合計の体積比を5vol%とし、電気絶縁性固体の体積比を0.5vol%とし、さらに、第1の磁性粒子及び/又は第2の磁性粒子の表面にリン酸処理を施して表面に磁性粒子の構成元素のリン酸塩膜を形成したか否か、さらに樹脂バインダーにリン酸塩粒子(具体的には、リン酸マンガン粒子)又はシリカ粒子を添加したかの組合せについて、それ以外はすべて実施例19と同様に実施例28〜34の磁石を作製した。
リン酸塩膜の厚みは1μm程度であった。電気絶縁性固体粒子の粒径は、0.05μm程度とした。
実施例28〜34において、リン酸処理を施した磁性粒子を使用すると残留磁束密度は若干低下する傾向を示したが、比抵抗が増加し、特に第1の磁性粒子ではリン酸処理を施した場合は保磁力と比抵抗が改善した。これはリン酸処理により形成されたリン酸塩が粒子表面に被膜するため、残留磁束密度が低下しつつも、電気的および磁気的に粒子を隔絶しているものと考えられる。また、リン酸処理により第1の磁性粒子の酸化や熱分解による劣化を防ぐものと考えられる。
Figure 2018170452
(実施例35〜37)
表7に示す通り、第1の磁性粒子と第2に磁石材料の相対体積比が85:15、かつ樹脂バインダーと電気絶縁性固体の合計の体積比を5vol%としたのと同時に、電気絶縁性固体として、リン酸塩粒子に代えて、第1の磁性粒子および第2の磁性粒子にホウ酸処理またはケイ酸処理またはリン酸塩処理により、その表面に、磁石の構成元素のホウ酸塩又はケイ酸塩又はリン酸塩の膜を形成した以外は、すべて実施例28と同様に、実施例35〜37の磁石を作製した。膜の厚みは1μm程度であった。
実施例35および36において、リン酸処理の代わりにホウ酸処理およびケイ酸処理を施すと、保磁力が向上し、残留磁束密度は低下した。これは詳細なメカニズムは不明だが、粒子表面に形成された皮膜の厚さや性質に関わる現象であると推測される。
Figure 2018170452
10…第1の磁性粒子、20…第2の磁性粒子、30…樹脂バインダー、40…電気絶縁性固体粒子、41…電気絶縁性固体膜、42…電気絶縁性固体膜、100…磁石。

Claims (10)

  1. 第1の磁性粒子、第2の磁性粒子、樹脂バインダー、および、電気絶縁性固体を含み、
    第1の磁性粒子は、SmFe17系合金、NdFe14B系合金、SmCo系合金、SmCo17系合金、SmFe17系合金、及び、SmFe12系合金からなる群から選ばれる少なくとも1種の合金粒子であり、
    第2の磁性粒子は、MnBi系合金粒子であり、
    前記電気絶縁性固体は、前記第1の磁性粒子間、前記第2の磁性粒子間、及び、前記第1の磁性粒子及び前記第2の磁性粒子間のうちの少なくとも1つに存在する、ハイブリッド磁石。
  2. 前記電気絶縁性固体は粒子である、請求項1記載のハイブリッド磁石。
  3. 前記粒子の粒径は0.01〜2μmである請求項2記載のハイブリッド磁石。
  4. 前記電気絶縁性固体は前記第1の磁性粒子及び/又は第2の磁性粒子を被覆する膜である、請求項1〜3のいずれか1項記載のハイブリッド磁石。
  5. 前記膜の厚みは0.01〜2μmである請求項4記載のハイブリッド磁石。
  6. 前記電気絶縁性固体は、少なくとも第2の磁性粒子間に存在する、請求項1〜5のいずれか1項記載のハイブリッド磁石。
  7. 前記電気絶縁性固体は、金属または半金属の、酸化物、水酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、ホウ酸塩、ケイ酸塩およびリン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜6のいずれか1項記載のハイブリッド磁石。
  8. 前記樹脂バインダーは、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、またはエラストマーのいずれかであるい請求項1〜7のいずれか1項記載のハイブリッド磁石。
  9. 前記樹脂バインダーはエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステル系熱可塑性エラストマーからなる群から選択される少なくとも1つを含む請求項1〜8のいずれか1項記載のハイブリッド磁石。
  10. 前記ハイブリッド磁石の体積のうち、空隙を除く体積に対して、前記第1の磁性粒子の体積比が20vol%〜91vol%であり、前記第2の磁性粒子の体積比が4vol%〜72vol%であり、前記樹脂バインダー及び前記電気絶縁性固体の合計の体積比が0vol%より大きく50vol%以下であり、前記電気絶縁性固体の体積比が0vol%より大きく8vol%以下である請求項1〜9のいずれか1項に記載のハイブリッド磁石。
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