JP2018170219A - 電池用正極、電池用正極の製造方法及び電池 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の一実施形態に係る電池用正極は、導電性の基材と、この基材に直接又は中間層を介して積層された正極合材層とを有する。
上記基材は、導電性を有する。基材の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル等の金属又はそれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ及びコストのバランスからアルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。また、正極基材の形成形態としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの面から箔が好ましい。つまり、正極基材としてはアルミニウム箔が好ましい。なお、アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS−H−4000(2014年)に規定されるA1085P、A3003P等が例示できる。
上記正極合材層は、正極活物質、導電剤、結着剤及び共重合体を含む。上記正極合材層は、さらにその他の成分(上記共重合体以外の他の機能性材料、フィラー等)を含んでいてもよい。この正極合材層は、後述するように、正極活物質、導電剤、結着剤、共重合体及び分散媒を含む電池用正極ペーストによって好適に製造することができる。
上記正極活物質は、リチウム等のイオンを吸蔵及び放出することのできる物質である。正極活物質としては、例えばLixMOy(Mは少なくとも一種の遷移金属を表す)で表される複合酸化物(層状のα―NaFeO2型結晶構造を有するLixCoO2,LixNiO2,LixMnO3,LixNiαCo(1−α)O2,LixNiαMnβCo(1−α−β)O2,Li1+wNiαMnβCo(1−α−β−w)O2等、スピネル型結晶構造を有するLixMn2O4,LixNiαMn(2−α)O4等)、LiwMex(AOy)z(Meは少なくとも一種の遷移金属を表し、Aは例えばP、Si、B、V等を表す)で表されるポリアニオン化合物(LiFePO4,LiMnPO4,LiNiPO4,LiCoPO4,Li3V2(PO4)3,Li2MnSiO4,Li2CoPO4F等)が挙げられる。これらの化合物中の元素又はポリアニオンは、他の元素又はアニオン種で一部が置換されていてもよい。正極活物質としては、これら化合物の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記導電剤は、電池性能に悪影響を与えない導電性材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、天然又は人造の黒鉛、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、金属、導電性セラミックス等が挙げられ、アセチレンブラックが好ましい。
上記結着剤(バインダ)は、正極活物質、導電剤等を固定させる成分である。結着剤としては、フッ化ビニリデン樹脂(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。
上記共重合体は、下記式(1)で表される構成単位(a)、下記式(2)で表される構成単位(b)及び下記式(3)で表される構成単位(c)を含有する。上記共重合体は、さらにその他の構成単位(d)を含有していてもよい。上記共重合体は、ペースト中の導電剤の分散性を高め、ペーストの粘度を低減させることができる。
上記共重合体は、疎水基であるR4を有する構成単位(a)を含有することにより、ペースト中の導電剤の粒子表面に良好に吸着することができる。
上記共重合体は、ポリオキシアルキレン基を有する構成単位(b)を含有することにより、この共重合体が吸着した粒子間に強い立体的斥力をもたらすことができる。これにより、ペースト中における粒子の凝集抑制効果が生じ、ペーストの粘度上昇を抑えることができる。
上記共重合体は、アミド基を有する構成単位(c)を有することにより、当該電池用正極における上記共重合体の電解液への溶出抑制効果を発揮することができる。
その他の構成単位(d)を与えるモノマーとしては、上記構成単位(a)、構成単位(b)及び構成単位(c)を与えるモノマーと共重合可能なものであれば特に限定されるものではない。
上記共重合体において、構成単位(a)と構成単位(b)との質量比(構成単位(a)/構成単位(b))の下限としては、0.5が好ましく、0.75がより好ましく、1がさらに好ましい。一方、この質量比の上限としては、5が好ましく、4がより好ましく、3がさらに好ましい。構成単位(a)と構成単位(b)との質量比を上記範囲とすることで、ペーストの粘度低減効果等をより高めることができる。
上記共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量の下限としては、5,000が好ましく、7,500がより好ましく、10,000がさらに好ましく、15,000がよりさらに好ましく、18,000が特に好ましい。重量平均分子量を上記下限以上とすることで、電解液への溶解性をより低減することができ、また、ペーストにおける粘度低減効果をより十分に発揮することができる。一方、この重量平均分子量の上限としては、500,000が好ましく、250,000がより好ましく、100,000がさらに好ましく、70,000が特に好ましい。重量平均分子量を上記上限以下とすることで、ペーストの粘度低減効果をより高めることができ、合成も容易となる。
上記共重合体の合成方法は特に限定されず、通常の(メタ)アクリル酸エステル類の重合に使用される方法が用いられる。上記共重合体は、例えばフリーラジカル重合法、リビングラジカル重合法、アニオン重合法、リビングアニオン重合法等により合成することができる。例えば、フリーラジカル重合法を用いる場合は、構成単位(a)、構成単位(b)、構成単位(c)及び必要に応じて構成単位(d)を与える各モノマーを溶液重合法で重合させることにより行うことができる。なお、合成の容易性、及び溶媒への溶解性の観点から、溶液重合で合成することが好ましい。
当該電池用正極は、上記正極活物質、上記導電剤、上記結着剤、上記共重合体及び分散媒を含む電池用正極ペーストを用いることにより、好適に製造することができる。すなわち、本発明の一実施形態に係る電池用正極の製造方法は、正極活物質、導電剤、結着剤、共重合体及び分散媒を含む電池用正極ペーストを用いることを備える。具体的には、上記電池用正極ペーストを基材に塗工し、これを乾燥することにより作製することができる。上記正極活物質、導電剤、結着剤及び共重合体の詳細は上述したとおりである。
本発明の一実施形態に係る電池は、正極、負極及び非水電解質(電解液)を有する非水電解質二次電池である。上記正極及び負極は、通常、セパレータを介して積層又は巻回された電極体を形成する。この電極体はケースに収納され、このケース内に上記非水電解質が充填される。上記非水電解質は、正極と負極との間に介在する。また、上記ケースとしては、二次電池のケースとして通常用いられる公知の金属製のケース、樹脂ケース等を用いることができる。
上記正極は、上述した本発明の一実施形態に係る電池用正極が用いられる。
上記負極は、負極基材、及びこの負極基材に直接又は中間層を介して配される負極合材層を有する。
上記セパレータは、正極と負極とを隔離し、かつ非水電解質を保持する役割を担う。セパレータの材質としては、例えば織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が用いられる。これらの中でも多孔質樹脂フィルムが好ましい。多孔質樹脂フィルムの主成分としては、強度の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましい。また、これらの樹脂とアラミドやポリイミド等の樹脂とを複合した多孔質樹脂フィルムを用いてもよい。
上記非水電解質は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解する電解質塩とを含む非水電解液が、通常用いられる。上記非水電解質には、その他の添加剤が含有されていてもよい。
また、共重合体の組成や分子量、正極合材層中の含有量を操作することで、より一層の粘度の上昇が抑制された良好な塗布性を有するペーストを用いて形成することができる。このようなペーストは、当該電池の正極の生産性を高めることができるため好ましい。具体的には、ペースト固形分濃度を高くすることが可能となることから、ペースト中の分散剤の含有量を減らすことで、ペーストの乾燥時間を短縮することが可能となり、塗工工程におけるライン速度を高めることができる。また、ペースト送液時間の短縮や撹拌などの機械的負荷軽減などによるコストが期待できる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。上記実施の形態においては、電池が非水電解質二次電池である形態を中心に説明したが、その他の電池であってもよい。その他の電池としては、例えば一次電池や、水を溶媒として含有する電解液を用いた電池等が挙げられる。また、当該電池用正極における正極合材は、明確な層を形成していなくてもよい。例えば、メッシュ状の基材に正極合材が担持された正極などであってよい。
・SMA:メタクリル酸ステアリル(新中村化学工業社製、品番:NK−エステルS)
・PEG(2)MA:メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(新中村化学工業社製、品番:NKエステルM−20G、エチレンオキサイドの平均付加モル数p=2)
・PEG(9)MA:メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(新中村化学工業社製、品番:NK−エステルM−90G、エチレンオキサイドの平均付加モル数p=9)
・MAAm:メタクリルアミド(和光純薬工業社製)
・MAA:メタクリル酸(和光純薬工業社製)
・DMAAm:ジメチルアクリルアミド(和光純薬工業社製)
・NMP:N−メチル−2−ピロリドン(和光純薬工業社製)
・V−65B:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業社製)
初期仕込み用モノマー溶液として、4.8gのSMA、2.8gのPEG(2)MA、22.4gのMAAm及び86.7gのNMPからなる溶液、並びに初期仕込み開始剤溶液として0.8gのV−65B及び3.3gのNMPからなる混合溶液を作製した。次に、滴下用モノマー溶液1として、106.1gのSMA、61.9gのPEG(2)MA、及び24.7gのNMPからなる混合溶液、滴下用モノマー溶液2として、67.6gのMAAm、及び135.3gのNMPからなる混合溶液、滴下用モノマー溶液3として、21.7gのSMA、12.7gのPEG(2)MA、及び20.0gのNMPからなる混合溶液、滴下用開始剤溶液1として6.7gのV−65B及び26.7gのNMPからなる混合溶液、並びに滴下用開始剤溶液2として0.8gのV−65B及び3.3gのNMPからなる混合溶液を作製した。
還流管、攪拌機、温度計、窒素導入管、及び滴下漏斗を取り付けたセパラブルフラスコに初期仕込み用モノマーを投入し、撹拌及び65℃に加熱にしながら反応槽内を1時間以上窒素置換した。槽内温度が65℃に到達したことを確認し、撹拌しながら初期仕込み開始剤溶液を添加した。10分撹拌後、滴下用モノマー溶液1、滴下用モノマー溶液2、及び滴下用開始剤溶液1を160分かけて槽内に滴下した。その後、滴下用モノマー溶液3及び滴下用開始剤溶液2を20分かけて槽内に滴下した。滴下終了後、更に65℃で1時間撹拌した。撹拌を続けながら80℃まで昇温し、槽内温度が80℃に到達したことを確認し、更に2時間撹拌した。次いで、600gのNMPを追加し、均一溶液になるまで撹拌した。希釈後、40℃以下まで空冷し、共重合体Hを得た。
初期仕込み用モノマー溶液として、4.8gのSMA、2.8gのPEG(2)MA、22.4gのMAAm及び89.3gのNMPからなる溶液、並びに初期仕込み開始剤溶液として0.2gのV−65B及び0.7gのNMPからなる混合溶液を作製した。次に、滴下用モノマー溶液1として、106.1gのSMA、及び61.9gのPEG(2)MA、8.2gのNMPからなる混合溶液、滴下用モノマー溶液2として、67.6gのMAAm、及び135.3gのNMPからなる混合溶液、滴下用モノマー溶液3として、21.7gのSMA、12.7gのPEG(2)MA、及び17.9gのNMPからなる混合溶液、滴下用開始剤溶液1として1.4gのV−65B及び43.2gのNMPからなる混合溶液、並びに滴下用開始剤溶液2として0.2gのV−65B及び5.4gのNMPからなる混合溶液を作製した。
還流管、攪拌機、温度計、窒素導入管、及び滴下漏斗を取り付けたセパラブルフラスコに初期仕込み用モノマーを投入し、撹拌及び65℃に加熱にしながら反応槽内を1時間以上窒素置換した。槽内温度が65℃に到達したことを確認し、撹拌しながら初期仕込み開始剤溶液を添加した。10分撹拌後、滴下用モノマー溶液1、滴下用モノマー溶液2、及び滴下用開始剤溶液1を160分かけて槽内に滴下した。その後、滴下用モノマー溶液3及び滴下用開始剤溶液2を20分かけて槽内に滴下した。滴下終了後、更に65℃で1時間撹拌した。その後、撹拌を続けながらNMPを150g加え、80℃まで昇温した。槽内温度が80℃に到達したことを確認し、更に2時間撹拌した。次いで、450gのNMPを追加し、均一溶液になるまで撹拌した。希釈後、40℃以下まで空冷し、共重合体Iを得た。
初期仕込み用溶液として、90gのNMPからなる溶液を作製した。次に、滴下用モノマー溶液1として、132.6gのSMA、77.4gのPEG(2)MA、90gのMAAm、及び300gのNMPからなる混合溶液、滴下用開始剤溶液1として3gのV−65B及び60gのNMPからなる混合溶液を作製した。
還流管、攪拌機、温度計、窒素導入管、及び滴下漏斗を取り付けたセパラブルフラスコに初期仕込み用モノマーを投入し、撹拌及び65℃に加熱にしながら反応槽内を1時間以上窒素置換した。槽内温度が65℃に到達したことを確認し、滴下用モノマー溶液1及び滴下用開始剤溶液1を180分かけて槽内に滴下した。滴下終了後、更に65℃で1時間撹拌した。その後、80℃まで昇温し、槽内温度が80℃に到達したことを確認し、更に2時間撹拌した。40℃以下まで空冷し、共重合体Oを得た。
共重合体C〜Gは、初期モノマー溶液、初期開始剤溶液、滴下モノマー溶液1、滴下モノマー溶液2、滴下モノマー溶液3、滴下開始剤溶液1及び滴下開始剤溶液2を表1に記載の通りの組成としたこと、並びに希釈用溶媒量及び重合温度以外は、上記合成例1と同様の方法によりそれぞれ合成した。
共重合体A、B、J、K及びLは、初期モノマー溶液、初期開始剤溶液、滴下モノマー溶液1、滴下モノマー溶液2、滴下モノマー溶液3、滴下開始剤溶液1及び滴下開始剤溶液2を表1に記載の通りの組成としたこと、並びに希釈用溶媒量及び重合温度以外は、上記合成例2同様の方法によりそれぞれ合成した。
共重合体M及びNは、初期モノマー溶液、初期開始剤溶液、滴下モノマー溶液1、滴下モノマー溶液2、及び滴下開始剤溶液1を表1に記載の通りの組成としたこと、並びに重合温度以外は、上記比較合成例1同様の方法により合成した。
得られた各共重合体の重量平均分子量をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定より算出した。詳細な条件は以下に示すとおりである。重量平均分子量はすべてポリスチレン換算分子量である。サンプルは0.3質量%N,N−ジメチルホルムアミド溶液を調製し、0.2μmPTFEフィルターを通したものを用いた。測定結果を表1に示す。
測定装置:HLC−8320GPC(東ソー社製)
カラム :α−M+α−M(東ソー社製)
検出器 :示差屈折率検出器(RI)
溶離液 :60mmol/L H3PO4、50mmol/L LiBrのDMF溶液
流速 :1mL/min
カラム温度:40℃
試料溶液注入量:10μL
導電剤としてアセチレンブラック(AB)(デンカ社製デンカブラック粉状品)、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(クレハ社製#1100の12質量%NMP溶液)、及び非水系溶媒としてのNMPを用いてABペーストを作製した。導電剤及び結着剤の質量比率は50:50(固形分換算)とした。ABペーストはNMP量を調整することで固形分を15質量%とし、マルチブレンダーミルを用いた混練工程を経て作製した。
上記ABペースト20gに、ABに対して4質量%の各共重合体を添加し、自転・公転ミキサー(あわとり練太郎 AR−100)を用いて脱泡撹拌した(撹拌:2000rpm×4min、脱泡:2200rpm×1min)。粘度測定にはレオメータを使用した。測定は以下に示した条件にて実施した。得られたABペースト粘度を表1に示す。なお、共重合体を添加していないABペーストの粘度は42000mPa・sであった。
測定装置:Modular Compact Rheometer MCR 302(Anton Paar社製)
治具:25mmパラレルプレート
ギャップ幅:0.5mm
温度:20℃
せん断速度範囲:0.1−400s−1
測定点間隔:1s
共重合体の電解液への溶解性を確認する目的で、電解液に使用される溶媒への溶解率を測定した。得られた共重合体溶液をシャーレに入れ、140℃、窒素気流下にて12時間以上減圧乾燥した。得られた共重合体1gにエチレンカーボネートとジエチレンカーボネートとの混合溶媒(体積比50/50)9gを添加し、10%懸濁液を調製した。得られた懸濁液を40℃、1時間静置した。その後、0.5μmのPTFEフィルターでろ過し、溶解していない共重合体を除去した。ろ過した溶液を140℃、減圧、窒素気流下で乾燥することで混合溶媒に溶解した共重合体の質量を測定した。以下の式より、混合溶媒への溶解率を求めた。得られた溶解率を表1に示す。
27.5質量%の共重合体A/NMP溶液27.3g、及びNMP22.7gをサンプル瓶に加え、共重合体Aの15質量%NMP溶液を50g調製した。調製した溶液を60℃で1時間静置し、その後、外観を目視で評価した。共重合体B〜Oも同様の方法で評価した。評価結果を表1に示す。透明であるものは、共重合体が十分にNMPに溶解していることを示し、白濁が認められるものは、共重合体の少なくとも一部がNMPに溶解していないことを示す。
共重合体を含有する正極ペーストを用いた正極合材層の密着性を確認するために、以下の密着性試験を行った。密着性試験1は極板の加工性能(スリット工程等)、密着性試験2は極板の巻回性能を模擬したものである。
上記合成例で合成した表2に示す共重合体、並びに正極活物質、導電剤、結着剤及び非水系分散媒を用いて各ペーストを作製した。正極活物質はLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2、導電剤はアセチレンブラック(BET比表面積:68m2/g)、結着剤はPVDF(クレハ社の「#1100」の12%NMP溶液)、非水系分散媒はNMPを用いた。また、正極活物質(活物質)、結着剤、導電剤及び共重合体の質量比率(固形分中の含有量)は表2に示す通りとした。正極ペーストは、上記非水系溶媒の量を調整することにより、固形分を調整し、マルチブレンダーミルを用いた混練工程を経て作製した。この実施例及び比較例において、正極ペーストの固形分とは、正極ペーストが含有する、正極活物質、結着剤、導電剤及び共重合体からなる材料、すなわち非水系分散媒以外の材料をいう。
得られた上記各正極ペーストを、ドクターブレードを用いて、基材としての厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗工し、十分に乾燥することで正極ペーストからなる合材層(正極合材層)を有した実施例1〜7及び比較例1の各正極板(正極)を作製した。乾燥後の正極板の塗工質量は17mg/cm2であった。
上記乾燥後の正極板の合材層塗工部分を、裁断機を使用して30mm×60mmの長さに切断し、切断部の合材層を観察した。切断部において、合材層の幅1mm以上の脱落・剥離が生じたものを密着性不良、そうでない正極板は問題なしと判断した。密着性の結果を、密着性不良となった正極板は「B」、問題なしの正極板は「A」として、表2に示す。
密着性試験1と同じ様に、上記乾燥後の正極板の合材層塗工部分を、裁断機を使用して30mm×60mmの長さに切断した。切断した正極板を長辺方向の中間地点を中心に2回折り曲げた。1回目は未塗工面同士が接触するように180°折り曲げた後、折り曲げる前の状態に戻した。2回目は塗工面同士が接触するように180°折り曲げた後、折り曲げる前の状態に戻した。1回目の折り曲げ終了時(折り曲げる前に戻した状態)と、2回目の折り曲げ終了時(折り曲げる前に戻した状態)に、合材層の脱落状態を確認した。折り曲げた部分(長辺方向の中間地点)における正極板の短辺方向において、合材層が脱落・剥離した幅を計測した。そして、以下の式により合材層脱落率を算出した。
合材層脱落率(%)={合材層が脱落した幅(mm)/30(mm)}×100
この合材層脱落率を表2に示す。
密着性試験1の結果から、正極ペーストに共重合体とは別に結着剤を使用しない比較例1の場合は、密着性不良が生じることが判った。この様に、共重合体を含有し、結着剤を用いない正極ペースト、及び共重合体を含有し、結着剤を用いない正極合材層を備える正極は、リチウム電池等の電池には適していないと言える。
(正極ペーストの調製)
表3に示す共重合体及び正極活物質、並びに導電剤としてのアセチレンブラック(BET比表面積:68m2/g)、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)及び非水系分散媒としてのNMPを用いて、正極ペーストを調製した。なお、正極活物質、導電剤及び結着剤の質量比率は、94:3:3(固形分換算)とした。共重合体の添加量は、表3に示す導電剤100質量部に対する質量部とした。
得られた上記正極ペーストを、厚み15μmのアルミニウム箔(正極基材)の両面に、非塗布部(正極合材層非形成領域)を残して塗布し、乾燥することにより正極合材層を作製した。その後、ロールプレスを行い、正極を作製した。
負極活物質である黒鉛及び難黒鉛化性炭素、結着剤であるスチレン−ブタジエンゴム(SBR)、増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)、並びに分散媒である水を混合して負極合材ペースト(負極合材層形成用材料)を調製した。黒鉛と難黒鉛化性炭素の質量比率は80:20、黒鉛及び難黒鉛化性炭素の合計質量とSBRとCMCの質量比率は96:2:2とした。負極合材ペーストは、水の量の調整により固形分を調整し、マルチブレンダーミルを用いた混練工程を経て作製した。この負極ペーストを銅箔の両面に、非塗布部(負極合材層非形成領域)を残して塗布し、乾燥することにより負極合材層を作製した。その後、ロールプレスを行い、負極を作製した。
得られた各電池を、45℃の環境下、1時間率(1CmA)の充電電流で4.2Vまで定電流充電した後、引き続き4.2Vで合計3時間となるように定電圧充電した。その後、1CmAの放電電流で2.75Vまで放電した。この充放電を500サイクル行った。500サイクルの充放電の前後とで交流電池抵抗値(ACR)を測定し、その増加率を求めた。結果を表3に示す。
2 電極体
3 電池容器
4 正極端子
4’ 正極リード
5 負極端子
5’ 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置
Claims (6)
- 上記共重合体の構成単位(a)と構成単位(b)との質量比(構成単位(a)/構成単位(b))が、0.5以上5以下である請求項1の電池用正極。
- 上記共重合体の重量平均分子量が、15,000以上100,000以下である請求項1又は請求項2の電池用正極。
- 上記共重合体の含有量が、上記導電剤100質量部に対して、0.5質量部以上30質量部以下である請求項1、請求項2又は請求項3の電池用正極。
- 正極活物質、導電剤、結着剤、共重合体及び分散媒を含む電池用正極ペーストを用いることを備え、
上記共重合体が、下記式(1)で表される構成単位(a)、下記式(2)で表される構成単位(b)及び下記式(3)で表される構成単位(c)を含有し、
上記共重合体中の上記構成単位(c)の含有量が、15質量%以上45質量%以下である電池用正極の製造方法。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項の電池用正極を備える電池。
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