JP2018169514A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、発熱体の発熱分布のばらつきを抑制することができる画像形成装置を提供する。【解決手段】 発熱分布が異なる複数の発熱層60b,60cと、該複数の発熱層60b,60cにそれぞれ電力を印加する電源12と、該電源12から該複数の発熱層60b,60cに電力を印加する際に実測された抵抗値情報に基づいて該複数の発熱層60b,60cへの通電量を補正する制御部11(補正手段)と、を有することを特徴とする。【選択図】 図4

Description

本発明は、複写機、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
電子写真方式等の複写機、プリンタ等の画像形成装置には、加熱式の定着装置が設けられる。このような定着装置としては、熱効率や安全性が良好な接触加熱型で熱ローラ方式の定着装置が用いられる。或いは、クイックスタート性(オンデマンド性)を有し、スタンバイ時には、定着装置に極力電力を供給せず、消費電力を極力低く抑えた省エネルギータイプのフィルム加熱方式の定着装置が採用されている。
フィルム加熱方式の定着装置は、加熱体としてのセラミックヒータと、加圧部材としての加圧ローラとの間に耐熱性のフィルム(以下、「定着スリーブ」という)を介在させて定着ニップ部を形成する。この定着ニップ部において、定着スリーブと加圧ローラとの間に未定着トナー像を担持した記録材を搬送し、定着スリーブと加圧ローラとにより未定着トナー像を担持した記録材を挟持搬送する。
これにより定着ニップ部において、定着スリーブを介してセラミックヒータの熱を記録材上に担持した未定着トナー像に与え、更に、定着ニップ部の加圧力により未定着トナー像を熱溶融させて記録材に熱定着させる。このようなフィルム加熱方式の定着装置の場合、セラミックヒータ及び定着スリーブは熱容量が小さいためウォームアップタイムの短縮を図ることができる。
しかしながら、熱容量の小さいセラミックヒータ及び定着スリーブは、ウォームアップタイムの短縮に有利である一方で、定着ニップ部において、記録材が通過しない非通過領域の昇温対策と安定した温度制御が課題となる。定着ニップ部において、記録材が通過しない非通過領域の昇温とは、画像形成装置に使用される記録材の最大幅よりも小さい幅の記録材が定着ニップ部を通過する。そのとき、定着ニップ部において、記録材が通過しない領域(以下、「非通過領域」という)においては、記録材が熱を奪っていかないために熱が蓄積していく。これにより定着ニップ部において、記録材が通過しない非通過領域の温度が上昇する現象のことである。
特許文献1では、定着ニップ部において、記録材が通過しない非通過領域の昇温を低減させる技術が開示されている。特許文献1では、発熱分布の異なる複数の発熱体をセラミックヒータに形成し、記録材の幅に応じて、それぞれの発熱体への通電比率を変更する。これにより記録材の幅に応じて定着性を確保しつつ定着ニップ部において、記録材が通過しない非通過領域の昇温を抑制することができる。
特開平10−177319号公報
しかしながら、特許文献1の発熱体は、セラミック基板上に抵抗発熱体層を形成したものであるため抵抗発熱体層の材料や寸法のばらつき等の製造上のばらつきにより抵抗値にばらつきが生じる。発熱分布の異なる発熱体の抵抗値比がばらついた場合、通電比率が同じであっても抵抗値のばらつきによっては発熱体の長手方向に沿って所望の温度分布が得られないことがあった。
<比較例>
例えば、比較例として、長手方向において中央の発熱量が大きい発熱体Aと、長手方向において端部の発熱量が大きい発熱体Bとを設けたヒータを考慮する。発熱体A:発熱体Bの通電比率が100:100の場合に長手方向において均一な発熱分布となる。
長手方向において中央の発熱量が大きい発熱体Aの抵抗値が低い側にばらつき、長手方向において端部の発熱量が大きい発熱体Bの抵抗値が高い側にばらついた場合を考慮する。発熱体A:発熱体Bの通電比率が100:100で該発熱体A,Bに通電して加熱すると、長手方向において中央が高い発熱分布となり、長手方向において端部の定着性能が悪化していく傾向になる。
逆に、長手方向において中央の発熱量が大きい発熱体Aの抵抗値が高い側にばらつき、長手方向において端部の発熱量が大きい発熱体Bの抵抗値が低い側にばらついた場合を考慮する。発熱体A:発熱体Bの通電比率が100:100で該発熱体A,Bに通電して加熱すると、長手方向において端部が高い発熱分布となり、長手方向において記録材が通過しない非通過領域の昇温が高くなり易くなる。
長手方向において中央が高い発熱分布となった場合でも長手方向において端部の定着性を確保しようとすると、長手方向において端部の発熱量が大きい発熱体Bへの通電比率を高くする必要がある。その場合、長手方向において端部が高い発熱分布を有して構成したヒータでは、記録材が通過しない非通過領域の昇温の抑制が不十分となり、必要以上に生産性(単位時間あたりに印刷可能な枚数)を低下させる等の対応が必要となる。発熱体A,Bの抵抗値にばらつきがあると、発熱分布の異なる複数の発熱体A,Bの通電比率を制御することにより自在に発熱分布をコントロールするというメリットを十分に発揮できないという課題があった。
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、発熱体の発熱分布のばらつきを抑制することができる画像形成装置を提供するものである。
前記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、記録材に画像を形成する画像形成手段を有する画像形成装置であって、発熱分布が異なる複数の発熱体と、前記複数の発熱体にそれぞれ電力を印加する電源と、前記電源から前記複数の発熱体に電力を印加する際に実測された抵抗値情報に基づいて前記複数の発熱体への通電量を補正する補正手段と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、発熱体の発熱分布のばらつきを抑制することができる。
本発明に係る画像形成装置の構成を示す断面説明図である。 第1実施形態の定着装置の構成を示す断面説明図である。 第1実施形態の定着装置の定着ニップ部近傍の構成を示す断面説明図である。 第1実施形態のヒータの構成を示す平面説明図である。 第1実施形態のヒータの第1の抵抗値条件の発熱分布を示す図である。 第1実施形態のヒータの第2の抵抗値条件の発熱分布を示す図である。 第1実施形態のヒータの第3の抵抗値条件の発熱分布を示す図である。 図5〜図7に示す第1〜第3の抵抗値条件下で記録材の幅に応じた通電比率の一例を示す図である。 第1実施形態と第1、第2比較例との第1〜第3の抵抗値条件下で定着性、ホットオフセット、定着ニップ部において記録材が通過しない非通過領域の昇温とを比較した様子を示す図である。 第1実施形態の定着装置の定着ニップ部をA4サイズの記録材が横送りで通過するときの定着スリーブの長手方向における温度分布を示す図である。 第1比較例の定着装置の定着ニップ部をA4サイズの記録材が横送りで通過するときの定着スリーブの長手方向における温度分布を示す図である。 第2比較例の定着装置の定着ニップ部をA4サイズの記録材が横送りで通過するときの定着スリーブの長手方向における温度分布を示す図である。 第1実施形態において記録材を横送りで500枚の連続印刷を行った際の500枚目が定着ニップ部を通過するときにサーミスタにより検知される定着スリーブの内周面の長手方向における温度分布を示す図である。 第1比較例において記録材を横送りで500枚の連続印刷を行った際の500枚目が定着ニップ部を通過するときにサーミスタにより検知される定着スリーブの内周面の長手方向における温度分布を示す図である。 第2比較例において記録材を横送りで500枚の連続印刷を行った際の500枚目が定着ニップ部を通過するときにサーミスタにより検知される定着スリーブの内周面の長手方向における温度分布を示す図である。 第1実施形態のヒータの変形例の構成を示す平面説明図である。 第2実施形態のヒータの実側された抵抗値情報を算出する算出手段の構成を示す図である。
図により本発明に係る画像形成装置の一実施形態を具体的に説明する。ただし、以下の各実施形態に記載されている構成部品の材質、形状、その相対的配置等は、特に記載のない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
〔第1実施形態〕
図1〜図16を用いて本発明に係る画像形成装置の第1実施形態の構成について説明する。
<画像形成装置>
先ず、図1を用いて本発明に係る画像形成装置9の構成について説明する。図1は、本発明に係る画像形成装置9の構成を示す断面説明図である。図1に示す本実施形態の画像形成装置9は、転写式の電子写真画像形成プロセスを用いたカラーレーザプリンタの一例である。画像形成装置9の最高プロセス速度は135mm/secである。プロセス速度が135mm/secにおいて、A4サイズの記録材Pを横送り(短手方向と搬送方向とが平行)する。そのとき、毎分30ppm(page per minute)のスループット(Throughput;単位時間あたりの印刷枚数)を実現したカラーレーザプリンタである。
本実施形態の画像形成装置9で使用可能な記録材Pの最大幅(搬送方向と直交する方向の最大長さ)は、297mmである。297mmは、A4サイズの記録材Pを横送りするか、或いは、A3サイズの記録材Pを縦送り(長手方向と搬送方向とが平行)したときの幅(搬送方向と直交する方向の長さ)である。また、本実施形態の画像形成装置9で使用可能な記録材Pの最小幅(搬送方向と直交する方向の最小長さ)は、76mmである。
画像形成装置9は、画像形成装置9本体に対して着脱自在なイエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックBkの各色のトナー(現像剤)を収容したプロセスカートリッジ1a〜1dを備えている。尚、説明の都合上、各プロセスカートリッジ1a〜1dを代表して単にプロセスカートリッジ1を用いて説明する場合もある。他の画像形成プロセス手段についても同様である。各プロセスカートリッジ1は、同一構造であるが、マゼンタM、シアンC、ブラックBkの異なる色のトナーによる画像を形成する点で相違している。
記録材Pに画像を形成する画像形成手段を構成する各プロセスカートリッジ1は、現像手段となる現像ユニット7と、像担持体となる感光ドラム2を有する感光体ユニット8とを有して構成されている。現像ユニット7は、現像剤担持体となる現像ローラ4を有している。感光体ユニット8は、像担持体である感光ドラム2と、帯電手段となる帯電ローラ3と、クリーニング手段となるクリーニングブレード5と、感光体ユニット8の枠体からなる廃トナー容器とを有している。
図1に示すように、各プロセスカートリッジ1の下方には、像露光手段となるスキャナユニット6が設けられている。スキャナユニット6は、画像信号に基づいて帯電ローラ3により一様に帯電された感光ドラム2の表面に対して露光を行う。これにより感光ドラム2の表面上に画像情報に応じた静電潜像が形成される。
図1に示す各感光ドラム2は、図1の時計回り方向に回転駆動される。各感光ドラム2の表面は、帯電ローラ3により所定の負極性の電位に帯電された後、スキャナユニット6により画像情報に応じたレーザ光10が照射されて静電潜像が形成される。
各感光ドラム2の表面に形成された静電潜像に対して各現像ユニット7に設けられた現像ローラ4の表面上に担持された負極性のトナーが反転現像により付着される。これにより各感光ドラム2の表面上にイエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックBkの各色のトナー像(現像剤像)が形成される。
各感光ドラム2の上部には中間転写ユニット30が設けられている。中間転写ユニット30は、中間転写ベルト31が駆動ローラ32、二次転写対向ローラ36、テンションローラ33により図1の矢印a方向に回転可能に張架されている。テンションローラ33は、図示しない付勢手段により図1の矢印b方向に付勢されている。これにより中間転写ベルト31は図1の矢印b方向に張力がかけられている。
中間転写ベルト31の内周面側には、各感光ドラム2に対向して一次転写手段となる一次転写ローラ34が設けられている。各一次転写ローラ34には、図示しない一次転写バイアス電源により一次転写バイアスが印加される。これにより各感光ドラム2の表面に形成された各色のトナー像が中間転写ベルト31の外周面上に順次一次転写されて重畳される。
感光ドラム2の表面上に形成されたトナー像は、各感光ドラム2が図1の時計回り方向に回転し、中間転写ベルト31が図1の矢印a方向に回転する。更に、各一次転写ローラ34に正極性の一次転写バイアスを印加することにより各感光ドラム2a〜2dの表面上の各色のトナー像が順次、中間転写ベルト31の外周面上に一次転写されて重畳される。
イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックBkの四色のトナー像は、中間転写ベルト31の外周面上に重畳された状態で該中間転写ベルト31の外周面と二次転写手段となる二次転写ローラ35とにより形成される二次転写ニップ部37まで搬送される。一次転写後に各感光ドラム2の表面上に残留した残トナーは、各クリーニングブレード5により掻き取られて、感光体ユニット8の枠体からなる廃トナー容器内に収容される。
一方、記録材Pを搬送する搬送手段となる搬送路20には、給送カセット21内に収容された記録材Pを給送する給送ローラ22が設けられている。更に、該給送ローラ22により給送され、図示しない分離手段により一枚ずつに分離給送された記録材Pを挟持搬送する搬送ローラ24が設けられている。搬送ローラ24により挟持搬送された記録材Pは、一旦停止したレジストローラ23のニップ部に先端部が付き当てられて斜行が補正される。
その後、各感光ドラム2a〜2dの表面から中間転写ベルト31の外周面上に一次転写して重畳されたトナー像が二次転写ニップ部37に到達する。そのタイミングに同期して記録材Pが二次転写ニップ部37に到達するように所定のタイミングでレジストローラ23が回転駆動される。レジストローラ23により挟持搬送された記録材Pは、搬送路20を図1の略垂直上方に二次転写ニップ部37に向けて搬送される。
図示しない二次転写バイアス電源から二次転写ローラ35に正極性の二次転写バイアスを印加する。これにより二次転写ニップ部37において、中間転写ベルト31の外周面上に一次転写された四色のトナー像が記録材Pに二次転写される。二次転写後に中間転写ベルト31の外周面上に残留した残トナーは、クリーニング手段となるクリーニング装置50に設けられたクリーニングブレード51により掻き取られて除去される。除去された残トナーは、廃トナー搬送路52を搬送されて図示しない廃トナー回収容器内に回収される。
二次転写ニップ部37において、トナー像が二次転写された記録材Pは、定着手段となる定着装置40に搬送される。そして、定着スリーブ41と加圧ローラ42とにより挟持搬送される過程において加熱及び加圧されてトナー像が熱溶融して記録材Pの表面に熱定着される。トナー像が熱定着された記録材Pは、排出ローラ43により挟持搬送されて排出トレー44上に排出される。
<定着装置>
次に図2及び図3を用いて本実施形態の定着装置40の構成について説明する。図2は、本実施形態の定着装置40の構成を示す断面説明図である。図3は、本実施形態の定着装置40の定着ニップ部N近傍の構成を示す断面説明図である。図2に示す定着装置40は、筒状で可撓性部材からなる定着スリーブ41と、加圧部材としての加圧ローラ42と、加熱体としてのヒータ60とを有して構成される。図示しない付勢手段により加圧ローラ42を定着スリーブ41を介在してヒータ60に加圧することにより定着スリーブ41の外周面と加圧ローラ42とにより定着ニップ部Nを形成している。
加圧ローラ42は、制御部11により駆動制御されるモータ15により図2の時計回り方向に回転駆動される。定着スリーブ41は、加圧ローラ42の回転に従動してガイド部材61の外周を回転する。ステイ62は、図示しない付勢手段によりガイド部材61を加圧ローラ42に向かう方向に付勢する。64は、ヒータ60の温度を検知する温度検知手段となるサーミスタである。42aは芯金、42bは弾性層、42cは被覆層である。
<定着スリーブ>
定着スリーブ41は、図3に示すように、エンドレス状に形成した基層41aの外周面上に弾性層41bを形成し、該弾性層41bの外周面上に離型層41cを形成したものである。定着スリーブ41は、円筒形状の状態において外径が24mmに設定されている。
基層41aには、ポリイミド等の樹脂系材料、或いは、ステンレス(SUS)等の金属系材料が用いられる。本実施形態では、可撓性と強度との兼ね合いから厚さ30μmでエンドレス状に形成したステンレス(SUS)製のスリーブ状の基層41aを用いた。
弾性層41bは、クイックスタートの観点から熱伝導率の高い材質を用いることが望ましい。本実施形態の弾性層41bは、熱伝導率が約1.0×10−3cal/(sec・cm・K)のシリコーンゴムで、厚みが約250μmのものを用いた。
離型層41cは、定着スリーブ41の表面にトナーが一旦付着し、再度、記録材Pに移動することで発生するオフセット現象を防止するために設けられている。離型層41cの材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;Polytetrafluoroethylene)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルエーテル共重合体)等のフッ素樹脂、シリコーン樹脂等が用いられる。本実施形態では、離型層41cを厚さ約30μmのPFAチューブとし、そのPFAチューブを弾性層41bであるシリコーンゴムの外周面に被覆している。
<ヒータ>
次に図3及び図4を用いて本実施形態のヒータ60の構成について説明する。図4は、本実施形態のヒータ60の構成を示す平面説明図である。図3及び図4に示すように、ヒータ60は、長手方向に細長い電気的絶縁性を有する基板60aを有する。基板60aは、アルミナ(酸化アルミニウム)や窒化アルミニウム等のセラミックから成る良熱伝導性の絶縁性基板である。本実施形態の基板60aは、熱容量と強度との兼ね合いから厚み(図3の上下方向の長さ)が1mm、幅(図4の上下方向の長さ)が8mm、長手方向(図4の左右方向)の長さが375mmの長方形に形成したアルミナ(酸化アルミニウム)を用いている。
基板60aの裏面には、該基板60aの長手方向に沿って発熱体としての発熱層60b,60cが形成されている。発熱層60b,60c及び基板60aは、ガラス等の絶縁層60dにより表面全体が覆われている。基板60aの定着スリーブ41側の面には、熱伝導性と摺動性に優れた摺動部材60eが設けられている。
発熱層60b,60cは、AgPd(銀・パラジウム)合金や、NiSn(ニッケル・スズ)合金、RuO(酸化ルテニウム)合金等を主成分とするものである。発熱層60b,60cは、厚さが約10μm、長さが310mmに成型されている。発熱層60bの幅(図4の上下方向の長さ)は、長手方向(図4の左右方向)の両端部から中央に向かって連続的に小さくなるように形成されている。これにより発熱層60bは、長手方向(図4の左右方向)の中央部の抵抗値が高くなっている。
一方、発熱層60cの幅(図4の上下方向の長さ)は、長手方向(図4の左右方向)の両端部から中央に向かって連続的に大きくなるように形成されている。これにより発熱層60cは、長手方向(図4の左右方向)の中央部の抵抗値が低くなっている。このように、複数の発熱体となる発熱層60b,60cは、発熱分布が異なる。
このように、本実施形態では、複数の発熱体のうちの少なくとも一つである発熱層60bは、長手方向中央に比べて長手方向端部の方が発熱量が小さい発熱体で構成される。他の少なくとも一つである発熱層60cは、長手方向中央に比べて長手方向端部の方が発熱量が大きい発熱体で構成される。また、複数の発熱体のうちの少なくとも二つである発熱層60b,60cは、長手方向中央を中心としてそれぞれ左右対称に形成された発熱体で構成される。
本実施形態の発熱層60bの電気抵抗値は、20Ωに設定している。実際には、発熱層60bの材料や寸法のばらつき等により電気抵抗値は、±7%程度のばらつきが生じる可能性がある。本実施形態の発熱層60cの電気抵抗値は、30Ωに設定している。実際には、発熱層60cの材料や寸法のばらつき等により電気抵抗値は、±7%程度のばらつきが生じる可能性がある。
図4に示すように、発熱層60b,60cのそれぞれの長手方向両端部には、給電部60b1,60b2,60c1,60c2が設けられている。発熱層60bの給電部60b1と、発熱層60cの給電部60c1とは、連結部60gにより電気的に接続されている。制御手段となる制御部11により制御される電源12から電気ケーブル13a〜13c及び連結部60gを介して給電部60b1,60b2,60c1,60c2に電流が印加されることにより各発熱層60b,60cに通電されてジュール熱により発熱する。電源12は、発熱層60b,60c(複数の発熱体)にそれぞれ電力を印加する。
発熱層60b,60cへの通電は、制御部11により制御される電源12により、それぞれ独立して制御可能となっている。発熱層60b,60cへの通電量は、電源12から各発熱層60b,60cに印加される電圧の波数やデューティ(Duty)比を制御しながら行っている。尚、デューティ(Duty)比とは、周期的なパルス波を出したときのパルス幅の全幅を100%としたときのパルス幅の割合(%)をいう。
また、電源12から各発熱層60b,60cへの通電制御は、図2に示すように、定着スリーブ41の内周面に摺動可能に設けられた温度検知素子となるサーミスタ63の検知結果に基づいて発熱層60b,60cへのトータルの通電量を制御する。また、発熱層60bへの通電量を100としたときの発熱層60cへの通電量(以下、「通電比率」という)を制御している。
<記憶部>
発熱層60b,60cは、材料のばらつきや寸法のばらつき等により電気抵抗値に±7%程度のばらつきが生じる。本実施形態では、発熱層60b,60cの電気抵抗値のばらつきを通電比率制御の補正に使用する。このため発熱層60b,60cの電気抵抗値を実測し、その実測された抵抗値情報を記憶手段となる記憶部14に記憶する。
制御部11には、記憶部14が接続されている。記憶部14には、発熱層60b,60cの電気抵抗値情報が記憶されている。発熱層60b,60cの電気抵抗値情報は、発熱層60b,60cをヒータ60に組み込んで、更に、該ヒータ60を定着装置40に組み立てた後のチェック工程で測定したものでも良い。また、発熱層60b,60cの電気抵抗値情報は、発熱層60b,60cをヒータ60に組み込んだヒータ60の製造時の検査工程で測定されたものでも良い。本実施形態の記憶部14は、定着装置40に設けられた一例であるが、記憶部14は、画像形成装置9に設けられても良い。
<抵抗値を用いた通電比率制御>
次に、図5〜図8を用いて発熱層60b,60cを実測した電気抵抗値情報を用いた通電比率の制御方法について説明する。図5は、本実施形態のヒータ60の第1の抵抗値条件の発熱分布を示す図である。図6は、本実施形態のヒータ60の第2の抵抗値条件の発熱分布を示す図である。図7は、本実施形態のヒータ60の第3の抵抗値条件の発熱分布を示す図である。図8は、各種条件下で記録材Pの幅の長さDに応じた通電比率を示す図である。先ず、発熱層60b,60cの規格抵抗値を用いて以下の数1式により規格抵抗値比Raを算出する。
[数1]
Ra=(発熱層60cの規格抵抗値)/(発熱層60bの規格抵抗値)
また、発熱層60b,60cの実測抵抗値を用いて以下の数2式により実測抵抗値比Rbを算出する。
[数2]
Rb=(発熱層60cの実測抵抗値)/(発熱層60bの実測抵抗値)
次に、発熱層60bへの通電量を100としたときの発熱層60cへの通電比率に前記数1,2式で求めた規格抵抗値比Raと実測抵抗値比Rbとの比からなる以下の数3式で示す通電比係数kを掛ける。その値を補正後の通電比率に設定して発熱層60b,60cにそれぞれ通電する。
[数3]
k=Rb/Ra
<通電比率の補正>
次に、図5〜図7に示す第1〜第3の抵抗値条件下における発熱層60bと発熱層60cとの通電比率の補正の一例について説明する。
<第1の抵抗値条件>
図5は、発熱層60b,60cのそれぞれの実測抵抗値が規格抵抗値のばらつきの中心である場合の発熱割合の長手方向の分布を示す。ここで、発熱層60bの規格抵抗値は20Ωである。また、発熱層60cの規格抵抗値は30Ωである。図5の左縦軸は、発熱層60b,60cの発熱割合を示す。図5の右縦軸は、発熱層60b,60cの合計の発熱割合を示す。
発熱層60bは、図4に示すように、長手方向中央部の抵抗値が高い。このため図5のグラフdで示すように、発熱層60bは、長手方向中央部の発熱量が大きい発熱割合となる(以下、「中央高」という)。一方、発熱層60cは、図4に示すように、長手方向両端部の抵抗値が高い。このため図5のグラフeで示すように、発熱層60cは、長手方向両端部の発熱量が大きい発熱割合となる(以下、「端部高」という)。
また、発熱層60bと発熱層60cとを100:100の通電比率で通電したときの発熱層60b,60cの合計の発熱割合は、図5のグラフfで示すように、長手方向で均一な発熱割合となる。本抵抗値条件では、前記数3式で示す通電比係数kは1(=Rb/Ra)である。このため補正後の通電比率も100:100となり長手方向で均一な発熱割合となる。
<第2の抵抗値条件>
図6は、発熱層60bの実測抵抗値が規格抵抗値(20Ω)のばらつき(±7%)の下限(18.6Ω=20Ω×0.93)である。更に、発熱層60cの実測抵抗値が規格抵抗値(30Ω)のばらつき(±7%)の上限(32.1Ω=30Ω×1.07)である。その場合の発熱割合の長手方向の分布を示す。図6の左縦軸は、発熱層60b,60cの発熱割合を示す。図6の右縦軸は、発熱層60b,60cの合計の発熱割合を示す。
発熱層60bの発熱割合は、図6のグラフgで示すように、長手方向において顕著な中央高の発熱割合となる。一方、発熱層60cの発熱割合は、図6のグラフhで示すように、長手方向において緩やかな端部高の発熱割合となる。そのため発熱層60b,60cを100:100の通電比率で通電したときの発熱量の合計は、図6のグラフiで示すように、長手方向において中央高の発熱割合となる。
そこで、記憶部14に記録された発熱層60b,60cの抵抗値情報に基づいて該発熱層60b,60cの通電比率に補正を加える。記憶部14に記録された発熱層60b,60cの抵抗値情報から発熱層60bの規格抵抗値は20Ωである。また、発熱層60cの規格抵抗値は30Ωである。これらの抵抗値情報を用いて前記数1式により発熱層60bと発熱層60cとの規格抵抗値比Raは、1.5(=30Ω/20Ω)となる。
また、記憶部14に記録された発熱層60b,60cの抵抗値情報から発熱層60bの実測抵抗値は18.6Ωである。また、発熱層60cの実測抵抗値は32.1Ωである。これらの抵抗値情報を用いて前記数2式により発熱層60bと発熱層60cとの実測抵抗値比Rbは1.73(=32.1Ω/18.6Ω)となる。
前記数3式を用いて通電比係数kは、1.15(=1.73/1.5)となる。この通電比係数k(=1.15)を相対的に発熱量の少ない方の発熱層60cの通電比率(=100)に掛ける。その値(=115=100×1.15)を補正後の発熱層60b,60cの通電比率(100:115)に設定して発熱層60b,60cにそれぞれ通電する。
ここで、相対的な発熱量は、規格抵抗値(発熱層60bの規格抵抗値は20Ω、発熱層60cの規格抵抗値は30Ω)の発熱量に対する各条件の発熱量である。第2の抵抗値条件で、発熱層60bの実測抵抗値が18.6Ω、発熱層60cの実測抵抗値が32.1Ωの場合は、発熱層60cの実測抵抗値(32.1Ω)が規格抵抗値(30Ω)よりも高い。発熱量は、抵抗値に反比例するため第2の抵抗値条件では、発熱層60cは、相対的に発熱量が少ない。
図6のグラフjは、補正後の発熱層60b,60cの合計の発熱割合を示す。図6のグラフjで示すように、発熱層60b,60cに補正後の通電比率(100:115)で通電することにより長手方向で均一な発熱割合を得ることができる。これにより図4に示すように、それぞれ左右対称に形成された発熱層60b,60c(発熱体)への通電量は、それぞれの発熱層60b,60c(発熱体)の発熱量が同等となるように補正される。
<第3の抵抗値条件>
図7は、発熱層60bの実測抵抗値が規格抵抗値(20Ω)のばらつき(±7%)の上限(21.4Ω=20Ω×1.07)である。更に、発熱層60cの実測抵抗値が規格抵抗値(30Ω)のばらつき(±7%)の下限(27.9Ω=30Ω×0.93)である。その場合の発熱割合の長手方向の分布を示す。図7の左縦軸は、発熱層60b,60cの発熱割合を示す。図7の右縦軸は、発熱層60b,60cの合計の発熱割合を示す。
発熱層60bの発熱割合は、図7のグラフmで示すように、長手方向において緩やかな中央高の発熱割合となる。一方、発熱層60cの発熱割合は、図7のグラフnで示すように、長手方向において顕著な端部高の発熱割合となる。そのため発熱層60b,60cを100:100の通電比率で通電したときの発熱量の合計は、図7のグラフoで示すように、長手方向において端部高の発熱割合となる。
そこで、記憶部14に記録された発熱層60b,60cの抵抗値情報に基づいて該発熱層60b,60cの通電比率に補正を加える。記憶部14に記録された発熱層60b,60cの抵抗値情報から発熱層60bの規格抵抗値は20Ωである。また、発熱層60cの規格抵抗値は30Ωである。これらの抵抗値情報を用いて前記数1式により発熱層60bと発熱層60cとの規格抵抗値比Raは、1.5(=30Ω/20Ω)となる。
また、記憶部14に記録された発熱層60b,60cの抵抗値情報から発熱層60bの実測抵抗値は21.4Ωである。また、発熱層60cの実測抵抗値は27.9Ωである。これらの抵抗値情報を用いて前記数2式により発熱層60bと発熱層60cとの実測抵抗値比Rbは1.30(=27.9Ω/21.4Ω)となる。
前記数3式を用いて通電比係数kは、0.87(=1.30/1.5)となる。この通電比係数k(=0.87)を相対的に発熱量の大きい方の発熱層60cの通電比率(=100)に掛ける。その値(=87=100×0.87)を補正後の発熱層60b,60cの通電比率(100:87)に設定して発熱層60b,60cにそれぞれ通電する。
第3の抵抗値条件で、発熱層60bの実測抵抗値が21.4Ω、発熱層60cの実測抵抗値が27.9Ωの場合は、発熱層60cの実測抵抗値(21.4Ω)が規格抵抗値(30Ω)よりも低い。発熱量は、抵抗値に反比例するため第3の抵抗値条件では、発熱層60cは、相対的に発熱量が大きい。
図7のグラフqは、補正後の発熱層60b,60cの合計の発熱割合を示す。図7のグラフqで示すように、発熱層60b,60cに補正後の通電比率(100:87)で通電することにより長手方向で均一な発熱割合を得ることができる。
即ち、補正手段を兼ねる制御部11は、電源12から発熱層60b,60c(複数の発熱体)に電力を印加する際に実側された抵抗値情報に基づいて該発熱層60b,60cへの通電量を補正する。制御部11(補正手段)は、発熱層60b,60c(複数の発熱体)の規格抵抗値比Raと、該発熱層60b,60cの実測抵抗値比Rbとの比である通電比係数k(=Rb/Ra)を補正値として該発熱層60b,60cへの通電量を補正する。
本実施形態では、更に、発熱層60b,60cの通電比率を画像形成装置9に使用する記録材Pの幅D(記録材Pの搬送方向と直交する方向の長さ)に応じて変更している。図8は、図5〜図7に示して前述した発熱層60b,60cの第1〜第3の抵抗値条件下で記録材Pの幅Dに応じた通電比率の一例を示す図である。
図8では、記録材Pの幅Dが290mm以上の場合には、図5に示して前述した第1の抵抗値条件下では発熱層60b,60cの通電比率を100:100とした。更に、図6に示して前述した第2の抵抗値条件下では発熱層60b,60cの通電比率を100:115とした。更に、図7に示して前述した第3の抵抗値条件下では発熱層60b,60cの通電比率を100:87とした。
また、記録材Pの幅Dが250mm以上290mm未満の場合には、図5に示して前述した第1の抵抗値条件下では発熱層60b,60cの通電比率を100:50とした。更に、図6に示して前述した第2の抵抗値条件下では発熱層60b,60cの通電比率を100:58とした。更に、図7に示して前述した第3の抵抗値条件下では発熱層60b,60cの通電比率を100:44とした。
また、記録材Pの幅Dが250mm未満の場合には、図5に示して前述した第1の抵抗値条件下では発熱層60b,60cの通電比率を100:20とした。更に、図6に示して前述した第2の抵抗値条件下では発熱層60b,60cの通電比率を100:23とした。更に、図7に示して前述した第3の抵抗値条件下では発熱層60b,60cの通電比率を100:17とした。
図8に示すように、記録材Pの幅Dに応じて発熱層60b,60cの通電比率を補正する場合も前述したと同様に発熱層60b,60cの抵抗値のばらつきを補正して所望の発熱割合を得ることができる。
<比較実験>
図5〜図7に示して前述した発熱層60b,60cの第1〜第3の抵抗値条件のように発熱層60b,60cの抵抗値がばらついた場合の定着性と、定着ニップ部Nの記録材Pが通過しない非通過領域の昇温確認を行った。第1比較例としては、前述した発熱層60b,60cの通電比率の補正を行わない構成とした。
第2比較例としては、前述した発熱層60b,60cの通電比率の補正を行わず、定着性を確保するために定着装置40の目標温度を高く設定した。本実施形態と、第1、第2比較例とにおいて定着性と、定着ニップ部Nの記録材Pが通過しない非通過領域の昇温確認を行った。図9は、本実施形態と第1、第2比較例との図5〜図7に示して前述した発熱層60b,60cの第1〜第3の抵抗値条件下で定着性、ホットオフセット、定着ニップ部Nの記録材Pが通過しない非通過領域の昇温結果とを比較した様子を示す図である。
<定着性の確認>
定着性を確認するために記録材Pの全面に2次色(secondary color)のトナーを載せた画像を連続して100枚印刷した。尚、2次色とは、三原色のイエローY、マゼンタM、シアンCのうちの二つの色を刷り重ねてつくられた色をいう。例えば、イエローYとマゼンタMを重ねると赤色となる。イエローYとシアンCを重ねると緑色となる。シアンCとマゼンタMを重ねると紫色となる。
使用する記録材Pとしては、坪量が80g/mのA4サイズの紙からなる記録材Pを横送り(幅が297mm、長さが210mm)とした。また、本実施形態と第1比較例とは、図2に示すサーミスタ63により検知される定着スリーブ41の内周面の温度が170℃を維持するように制御を行う。一方、第2比較例では、サーミスタ63により検知される定着スリーブ41の内周面の温度が175℃を維持するように制御を行った。
図10〜図12は、本実施形態と第1、第2比較例の各画像形成装置9を用いて図5〜図7に示して前述した発熱層60b,60cの第1〜第3の抵抗値条件下でそれぞれ記録材Pに連続印刷を行ったときの定着スリーブ41の内周面の温度分布を示す。図10は、本実施形態の定着装置40の定着ニップ部NをA4サイズの記録材Pが横送りで通過するときの定着スリーブ41の内周面の長手方向における温度分布を示す図である。
図11は、第1比較例の定着装置40の定着ニップ部NをA4サイズの記録材Pが横送りで通過するときの定着スリーブ41の内周面の長手方向における温度分布を示す図である。図12は、第2比較例の定着装置40の定着ニップ部NをA4サイズの記録材Pが横送りで通過するときの定着スリーブ41の内周面の長手方向における温度分布を示す図である。
本実施形態の画像形成装置9では、発熱層60b,60cの通電比率の補正を行うことで、発熱層60b,60cの抵抗値条件によらず所望の発熱割合が得られる。このため図5〜図7に示して前述した発熱層60b,60cの第1〜第3の抵抗値条件下で定着スリーブ41の内周面の長手方向における温度分布は、図10の各グラフr,s,tに示すように、略同様の温度分布となる。また、その際の定着性についても問題無かった(図9の「○」参照)。
<第1比較例>
第1比較例では、図5に示して前述した発熱層60b,60cの第1の抵抗値条件下では、定着スリーブ41の内周面の長手方向における温度分布は、図11のグラフrに示す通りである。図10に示すグラフrでは、本実施形態と同様に所望の発熱分布が得られるため定着性に問題は無かった(図9の「○」参照)。しかし、図6に示して前述した発熱層60b,60cの第2の抵抗値条件下では、定着スリーブ41の内周面の長手方向における温度分布は、図11のグラフtに示すように、長手方向両端部の温度が低下している。そのため長手方向両端部に若干の定着不良が見られた(図9の「△」参照)。
<第2比較例>
第2比較例では、図6に示して前述した発熱層60b,60cの第2の抵抗値条件下では、定着スリーブ41の内周面の長手方向における温度分布は、図12のグラフtに示す通りである。図12のグラフtに示すように、長手方向両端部の温度が低下しているものの図10及び図11に示す温度分布と比較して全体的に定着温度が高いため定着性は問題無かった(図9の「○」参照)。
しかし、図7に示して前述した発熱層60b,60cの第3の抵抗値条件下では、定着スリーブ41の内周面の長手方向における温度分布は、図12のグラフsに示す通りである。図12のグラフsに示すように、長手方向両端部の温度が高くなってしまい、トナーの過加熱状態であるホットオフセットが発生した(図9の「△」参照)。
<定着ニップ部Nの記録材Pが通過しない非通過領域の昇温>
本実施形態と第1、第2比較例の各画像形成装置9を用いて坪量が90g/mのレター(Letter)サイズの紙の記録材Pを横送り(幅279mm、長さ216mm)で500枚の連続印刷を行った。図10に示す本実施形態と、図11に示す第1比較例とでは、サーミスタ63により検知される定着スリーブ41の内周面の温度が170℃を維持するように制御を行った。図12に示す第2比較例では、サーミスタ63により検知される定着スリーブ41の内周面の温度が175℃を維持するように制御を行った。
図13は、本実施形態の定着装置40の定着ニップ部Nを記録材Pが横送り(幅279mm、長さ216mm)で500枚の連続印刷を行う。その際の500枚目が通過するときにサーミスタ63により検知される定着スリーブ41の内周面の長手方向における温度分布を示す図である。記録材Pは、坪量が90g/mのレターサイズの紙を使用した。
図14は、第1比較例の定着装置40の定着ニップ部Nを記録材Pが横送り(幅279mm、長さ216mm)で500枚の連続印刷を行う。その際の500枚目が通過するときにサーミスタ63により検知される定着スリーブ41の内周面の長手方向における温度分布を示す図である。記録材Pは、坪量が90g/mのレターサイズの紙を使用した。
図15は、第2比較例の定着装置40の定着ニップ部Nを記録材Pが横送り(幅279mm、長さ216mm)で500枚の連続印刷を行う。その際の500枚目が通過するときにサーミスタ63により検知される定着スリーブ41の内周面の長手方向における温度分布を示す図である。記録材Pは、坪量が90g/mのレターサイズの紙を使用した。
本実施形態では、発熱層60b,60cの抵抗値条件によらず所望の発熱割合が得られる。そのため図13に示すように、定着ニップ部Nの記録材Pが通過しない非通過領域は昇温するものの予め決められた閾値温度(本実施形態では205℃)を超えることはなかった(図9の「○」参照)。
第1比較例では、図14のグラフsで示すように、図7に示して前述した発熱層60b,60cの第3の抵抗値条件の場合に定着ニップ部Nの記録材Pが通過しない非通過領域が昇温して閾値温度(205℃)を越えてしまう可能性がある(図9の「△」参照)。このような場合は、閾値温度(205℃)を超えないように記録材Pを搬送するタイミングを遅らせる。或いは、印刷動作を一旦停止する等の対応により昇温を抑制する。このため生産性(単位時間に印刷可能な枚数)を落とす必要がある。
第2比較例では、図15のグラフsで示すように、図7に示して前述した発熱層60b,60cの第3の抵抗値条件の場合に定着ニップ部Nの記録材Pが通過しない非通過領域が昇温して閾値温度(205℃)を大きく越えてしまう(図9の「×」参照)。このため第1比較例以上に生産性を落とす等の対策が必要である。また、図15のグラフrで示すように、図5に示して前述した発熱層60b,60cの第1の抵抗値条件の場合にも定着ニップ部Nの記録材Pが通過しない非通過領域が昇温して閾値温度(205℃)を超えしまう可能性がある(図9の「△」参照)。このため生産性を落とす等の対策が必要である。
<変形例>
次に図16を用いて第1実施形態のヒータ60の変形例の構成について説明する。図16は、第1実施形態のヒータ60の変形例の構成を示す平面説明図である。図4に示して前述した実施形態では、記録材Pの搬送方向(図4の上下方向)に沿って複数(2つ)の発熱層60b,60cが配置されたヒータ60を有して構成される。
図16に示す変形例は、発熱層60b,60cの長手方向の中央部に該発熱層60b,60c同士を通電させる電極部60fを設けたものである。これにより発熱層60bは、長手方向中央部で発熱層60b3,60b4に分割され、発熱層60cは、長手方向中央部で発熱層60c3,60c4に分割される。各給電部60b1,60b2,60c1,60c2及び電極部60fには、電源12から電力が供給される。このような構成のヒータ60についても発熱層60b3,60b4,60c3,60c4の抵抗値のばらつきを補正することが可能である。
本変形例でも複数の発熱体のうちの少なくとも一つである発熱層60bは、長手方向中央に比べて長手方向端部の方が発熱量が小さい発熱体で構成される。他の少なくとも一つである発熱層60cは、長手方向中央に比べて長手方向端部の方が発熱量が大きい発熱体で構成される。また、複数の発熱体のうちの少なくとも二つである発熱層60b,60cは、長手方向中央を中心としてそれぞれ左右対称に形成された発熱体で構成される。
本実施形態によれば、記憶部14に予め記録された各発熱層60b3,60b4,60c3,60c4の実測抵抗値情報に基づいて各発熱層60b3,60b4,60c3,60c4への通電比率に前述したと同様に補正を加える。これにより各発熱層60b3,60b4,60c3,60c4の抵抗値にばらつきがあった場合でも所望の発熱割合を得ることができる。これによりヒータ60の長手方向(図16の左右方向)における発熱分布のばらつきを抑制することができる。
〔第2実施形態〕
次に、図17を用いて本発明に係る画像形成装置の第2実施形態の構成について説明する。図17は、本実施形態のヒータ60の発熱層60b,60cの実側された抵抗値情報を算出する算出手段の構成を示す図である。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。前記第1実施形態において、前記数1式及び数2式に示す規格抵抗値比Raと、実測抵抗値比Rbとを用いた発熱層60b,60cの通電比率の補正制御に関しても同様であるため重複する説明は省略する。
本実施形態の記憶部14には、発熱層60b,60cの実測抵抗値が記憶されていない。その代わりに、図17に示すように、発熱層60b,60cの長手方向の一端部にそれぞれ設けられた給電部60b1,60c1を通電させる連結部60gと電源12との間に電流検知手段となる電流計70が接続されている。
電流計70(電流検知手段)は、発熱層60b,60c(複数の発熱体)に流れる電流を検知する。制御部11は、電流計70(電流検知手段)により測定された発熱層60b,60c(複数の発熱体)のそれぞれに流れる電流値(検知結果)に基づいて各発熱層60b,60cの実側された抵抗値情報となる実測抵抗値を算出する算出手段を兼ねる。そして、前記数2式を用いて各発熱層60b,60cの実測抵抗値の比から実測抵抗値比Rbを算出する。
電流計70は、ヒータ60の発熱層60b,60cにそれぞれ流れる合計の電流量を検知する。制御部11は、電源12を制御して発熱層60bのみに固定デューティ電圧Vを投入する。そのとき、電流計70に流れる電流値αを測定する。このとき発熱層60cには電力を供給しない。
次に、制御部11は、電源12を制御して発熱層60cのみに固定デューティ電圧Vを投入する。そのとき、電流計70における電流値βを測定する。このとき発熱層60bには電力を供給しない。ここで、電流値α,βは、以下の数4式で表わされる。
[数4]
α=V/(発熱層60bの実測抵抗値)
β=V/(発熱層60cの実測抵抗値)
前記数4式を用いてα/βを求めると、以下の数5式で表わされる。
[数5]
α/β=(発熱層60cの実測抵抗値)/(発熱層60bの実測抵抗値)
前記数2式と数5式とを用いて以下の数6式により実測抵抗値比Rbを算出することができる。
[数6]
Rb=(発熱層60cの実測抵抗値)/(発熱層60bの実測抵抗値)=α/β
このように、記憶部14に発熱層60b,60cの実測抵抗値が記憶されていない場合であっても図17に示す電流計70により測定された電流値α,βの比(α/β)を用いてヒータ60の発熱層60b,60cの実測抵抗値比Rbを算出することができる。
他は、前記第1実施形態と同様に発熱層60b,60cの通電比率に補正を加えることが出来る。これにより発熱層60b,60cに抵抗値のばらつきがあった場合でも所望の発熱割合を得ることができる。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
11…制御部(補正手段;算出手段)
12…電源
60b,60c…発熱層(複数の発熱体)

Claims (7)

  1. 記録材に画像を形成する画像形成手段を有する画像形成装置であって、
    発熱分布が異なる複数の発熱体と、
    前記複数の発熱体にそれぞれ電力を印加する電源と、
    前記電源から前記複数の発熱体に電力を印加する際に実測された抵抗値情報に基づいて前記複数の発熱体への通電量を補正する補正手段と、
    を有することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記実測された抵抗値情報を記憶する記手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記複数の発熱体に流れる電流を検知する電流検知手段と、
    前記電流検知手段の検知結果に基づいて前記実測された抵抗値情報を算出する算出手段と、
    を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  4. 前記複数の発熱体のうちの少なくとも一つは、長手方向中央に比べて長手方向端部の方が発熱量が小さい発熱体で構成され、他の少なくとも一つは、長手方向中央に比べて長手方向端部の方が発熱量が大きい発熱体で構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  5. 前記補正手段は、前記複数の発熱体の規格抵抗値比Raと、前記複数の発熱体の実測抵抗値比Rbとの比{Rb/Ra}を補正値として前記複数の発熱体への通電量を補正することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記複数の発熱体のうちの少なくとも二つは、長手方向中央を中心として左右対称に形成された発熱体で構成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  7. 前記左右対称に形成された発熱体への通電量は、それぞれの発熱体の発熱量が同等となるように補正されることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
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