JP2018169448A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】下地となる中間転写体の反射率が変化した場合でも、その影響を低減して適正濃度の画像が形成できる画像形成装置を提供する。【解決手段】画像形成装置100は、用紙Pに画像を形成する画像形成ステーション10と、テストパターンが転写される中間転写ベルト31と、中間転写ベルト31上のテストパターンからの反射光を検出する濃度センサ60と、濃度センサ60に複数のテストパターンの反射光を検出させ、反射光の検出結果に対応する検出値を取得するCPU322と、濃度ターゲットを記憶する記憶部323と、検出値と濃度ターゲットに基づいて反射光の検出結果に対応する検出値の中から検出値を選択するCPUと、選択された検出値に基づいて画像形成手段の濃度補正テーブルを生成するCPUとを有する。【選択図】図11

Description

本発明は、画像濃度を制御する画像形成装置に関する。
電子写真方式を採用したフルカラーの画像形成装置では、感光体上に形成された静電潜像を各色成分のトナーを含む現像剤を用いて現像することによって各色成分のトナー像が形成される。各色成分のトナー像は、転写部で中間転写体に重ねて転写されることによって原稿に応じたフルカラーのトナー像となる。中間転写体に転写されたトナー像は、用紙などの記録材に再度転写された後、定着部で熱と圧力が加えられることによって記録材に定着される。トナー像が定着された記録材は、印刷物として画像形成装置から出力される。
このような画像形成装置では、出力画像の濃度を制御するために、感光体に静電潜像を形成する際の露光光量、露光時間、現像バイアス、帯電電位等の画像形成条件が制御される。しかし、画像形成条件が同一になるように制御しても、トナーの帯電量、感光体の感度、もしくは転写効率をはじめとする画像形成装置の状態量の経時的な変動、及び温度、湿度などの環境条件の変化に伴って画像濃度が変動することがある。
例えば、所定の現像コントラスト電位で潜像を現像する系を考えると、トナーの帯電量が基準値から変化した場合、現像コントラスト電位を充填するためのトナー量(個数)が変化する。すなわち、トナーの帯電量が増加した場合はトナー個数が減少し、トナーの帯電量が減少した場合はトナー個数が増加する。そして、現像に用いられるトナー量が減少すれば、トナー像の濃度も低下することになる。また、経時変化や環境変化によって、感光体の感度が変化すると、感光体上の電位も変化することがある。
このように、画像を形成する条件又は画像形成装置の状態の変化に伴って画像濃度が変動してしまう。
そこで、従来から、像担持体としての感光体又は中間転写ベルト上にテストパターンを形成し、当該テストパターンをセンサを用いて検出し、検出結果に基づいて露光光量、露光時間等の画像形成条件をフィードバックする制御が行われている。なお、テストパターンの検出には、例えば、光学センサが用いられる。
しかし、画像形成装置では、画像が大量に形成されることによって像担持体の表面の光沢度が経時的に変化することが知られている。像担持体の光沢度の経時変化に伴って像担持体の反射率が変化するので、像担持体上の同一トナー量のトナー像であっても、その反射光量は経時的に変化する。
そこで、テストパターンが形成される像担持体の表面からの反射光量に基づいて補正量を求め、当該補正量を用いてテストパターンからの反射光量を補正する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の画像形成装置は、下地の反射率の変化に対応する補正係数αを予測し、テストパターンの検出結果を補正係数αに基づいて補正する。
特開2002−236402号公報
しかしながら、センサの出力は、センサの検出領域においてテストパターンのトナーが像担持体を覆っていない面積の割合(下地面積率)の影響を受ける。そのため、画像形成装置は、下地面積率と像担持体の反射率(下地反射率)の変動を考慮してセンサの検出結果を補正する必要がある。特に、下地面積率が高い低濃度のテストパターンにおいては下地面積率と下地反射率の変動との両方を考慮しなければ出力画像の濃度を高精度に補正することはできない。
本発明の目的は、像坦持体の反射率が変化した場合であっても、出力画像の濃度を高精度に求めることにある。
上記課題を解決するために、請求項1記載の画像形成装置は、記録材に画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により形成された検出用画像が転写される中間転写体と、前記中間転写体上の前記検出用画像からの反射光を検出する検出手段と、前記画像形成手段に検出用画像データに基づいて複数の検出用画像を形成させ、前記検出手段に前記複数の検出用画像の反射光を検出させ、前記複数の検出用画像の各々からの反射光の検出結果に対応する検出値を取得する制御手段と、前記複数の検出用画像の各々に対応する目標検出値を記憶する記憶手段と、前記検出手段による前記中間転写体からの反射光に対応する検出値と、前記記憶手段に記憶された前記複数の検出用画像の各々に対応する目標検出値とに基づいて、前記複数の検出用画像の各々からの反射光の検出結果に対応する検出値の中から検出値を選択する選択手段と、前記選択手段により選択された前記検出値に基づいて前記画像形成手段の画像形成条件を生成する生成手段と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、像坦持体の反射率が変化した場合であっても、出力画像の濃度を高精度に求めることができる。
画像形成装置の概略構成を示す断面図である。 図1の画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。 図1の画像形成装置で実行される濃度補正テーブル作成処理の手順を示すフローチャートである。 濃度制御用のテストパターンの一例を示す図である。 濃度センサの原理を説明するための図である。 センサ出力・濃度変換テーブルの一例を示す図である。 濃度センサの出力に対する下地の反射率変化の影響を説明するための図である。 濃度センサの出力値に基づいて求めたトナー量(画像濃度)と下地面積率との関係を示す図である。 エンジン部の階調特性を示す図である。 エンジン部の階調特性及び濃度ターゲットと、下地濃度値との関係を示す図である。 第1の実施の形態における下地補正処理を説明するための図である。 濃度補正テーブルの作成方法を説明するための図である。 印刷枚数と中間転写ベルトの表面光沢度との関係を示す図である。 第2の実施の形態における下地補正処理を説明するための図である。
以下、実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、画像形成装置の概略構成を示す断面図である。この画像形成装置は、複数の画像形成ステーションが略水平方向に沿って並列されたタンデム型の電子写真方式のカラー画像形成装置である。画像形成装置100は画像読取部100Rから転送された画像データに基づいて画像を形成する。また、画像形成装置100は外部のホストコンピュータ312(図2)から転送された画像データに基づいて画像を形成する。
図1において、画像形成装置100は、画像読取部100Rと、画像出力部100Pとを備える。画像読取部100Rは、原稿画像を光学的に読み取り、読取信号を画像データに変換して画像出力部100Pに送信する。
画像出力部100Pは、画像形成部10と、給紙ユニット20と、転写ユニット30としての中間転写ベルト31、搬送ユニット40、及び定着装置50を備えている。
画像形成部10は、4つの画像形成ステーション10a〜10dを備えている。各画像形成ステーション10a〜10dは、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローのトナー像を形成する。各画像形成ステーション10a〜10dは、それぞれ像担持体としての感光ドラム11a〜11dを備えている。感光ドラム11a〜11dは、図1中、矢印方向に回転可能に軸支されている。感光ドラム11a〜11dの周囲には、帯電装置12a〜12d、露光装置13a〜13d、現像装置14a〜14d、ドラムクリーナ15a〜15dが配置されている。
帯電装置12a〜12dは、各々、感光ドラム11a〜11dの各表面に均一な帯電量の電荷を与える。露光装置13a〜13dは、画像読取部100Rからの信号(記録画像信号)に基づいて感光ドラム11a〜11dを露光するためのレーザビームa〜dを発する。レーザビームa〜dは折り返しミラー16a〜16dを介して感光ドラム11a〜11dを走査する。これによって、感光ドラム11a〜11d上に静電潜像が形成される。現像装置14a〜14dは、感光ドラム11a〜11dに現像剤を供給してそれぞれ静電潜像を現像する。
感光ドラム11a〜11dとそれぞれ対向するよう一次転写部35a〜35dが配置されている。一次転写部35a〜35dによって中間転写ベルト31が感光ドラム11a〜11dに接触している部分が一次転写ニップ部Ta〜Tdとなる。中間転写ベルト31は、複数の張架ローラ32〜34によって図1中、矢印B方向に回転可能に張架されている。
張架ローラ32の上方には、中間転写ベルト31に対向するように濃度検出器としての濃度センサ60が配置されている。濃度センサ60は、中間転写ベルト31上に形成された測定用の画像パターン(以降、「テストパターン」という。)を検出する。濃度センサ60の詳細については、後述する。
張架ローラ33と中間転写ベルト31を介して対向するようにベルトクリーナ37が配置されている。ベルトクリーナ37は、中間転写ベルト31の外表面を清掃する。また、張架ローラ34と中間転写ベルト31を挟んで対向するように2次転写ローラ36が配置されている。2次転写ローラ36と中間転写ベルト31との当接部は、二次転写ニップ部Teとなる。
画像出力部100Pの下部に設けられた給紙ユニット20は、給紙カセット21を備えている。給紙カセット21は、記録材としての用紙Pを収容する。給紙ユニット20と転写ユニット30との間の搬送ユニット40は、搬送パス24を備えている。搬送パス24は、給紙カセット21に設けられたピックアップローラ22と、複数の搬送ローラ23、及び、レジストレーションローラ25を備えている。搬送パス24は、給紙カセット21に収容された用紙Pを二次転写ニップ部Teまで搬送する。二次転写ニップ部Teの下流側には、定着装置50が配置されている。定着装置50は、加熱ローラ41a、及び加圧ローラ41bを備えている。定着装置50の下流側の搬送パスには内排紙ローラ44、及び外排紙ローラ46が配置されている。
次いで、図1の画像形成装置の制御構成について説明する。
図2は、図1の画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。図2において、画像形成装置100は、プリンタ制御部300を備えている。プリンタ制御部300は、画像処理部310とエンジン制御部320で構成されている。画像処理部310は、濃度補正テーブル(γLUT)記憶部311を有する。また、画像処理部310は、外部のホストコンピュータ312と通信可能に接続されている。エンジン制御部320は、濃度補正用のパッチ(テストパターン)発生部321、CPU322及びROM323を有する。エンジン制御部320は、画像形成装置100のエンジン部110に接続されている。エンジン部110は、帯電装置12、露光装置13、現像装置14、転写装置(一次転写部)35、定着装置50、及び濃度センサ60を備えている。
画像処理部310内の濃度補正テーブル記憶部311は、画像形成装置100の階調特性が理想的な階調特性となるように、画像データの入力信号値を変換する。CPU322は、画像形成装置100にかかわる各パラメータを決定し、画像形成装置100を構成する各装置に各パラメータを転送し、画像形成動作を実行させる。
エンジン制御部320は、画像濃度制御時に、濃度補正用のテストパターン情報をエンジン部110へ送り、該エンジン部110にテストパターンを形成させる。濃度センサ60は、テストパターンの濃度情報を検出する。検出された濃度情報はCPU322へ送られる。CPU322は、濃度情報に基づいて画像形成条件としての濃度補正テーブルを作成し、画像処理部310の濃度補正テーブル記憶部311に送って記憶させる。
次に、このような構成の画像形成装置100における画像形成形動作について説明する。
先ず、帯電装置12a〜12dが、感光ドラム11a〜11dの表面を一様に帯電する。次いで、露光装置13a〜13dが、画像読取部100Rから出力される画像信号に基づき感光ドラム11a〜11d上に露光する。これによって、感光ドラム11a〜11dの表面に静電潜像が形成される。
感光ドラム11a〜11d上に形成された静電潜像は、現像装置14a〜14dから供給されるトナーによって顕像化され、各色に対応したトナー像となる。各トナー像は、感光ドラム11a〜11dの回転により一次転写ニップ部Ta〜Tdへと移動し、一次転写部35a〜35dからの転写電圧により中間転写ベルト31上に順次重ねて転写される。これによって、中間転写ベルト31上にフルカラーのトナー像が形成される。一次転写ニップ部Ta〜Tdにおいて中間転写ベルト31へ転写されずに感光ドラム11a〜11dに残留したトナーは、ドラムクリーナ15a〜15dによって除去される。
中間転写ベルト31上のトナー像は、中間転写ベルト31の回転によって二次転写ニップ部Teへと搬送される。このとき、給紙カセット21内の用紙Pは、ピックアップローラ22と搬送ローラ23によって搬送される。搬送された用紙Pは、レジストレーションローラ25で用紙Pの位置と送り出しのタイミングを調整された後、二次転写ニップ部Teへ搬入される。
中間転写ベルト31上のトナー像とレジストレーションローラ25から送り出された用紙Pが二次転写ニップ部Teに搬入されると、図示省略した電圧電源により、2次転写ローラ36と張架ローラ34との間に転写電界が形成される。この転写電界によって中間転写ベルト31上のトナー像は、用紙Pに転写される。用紙Pに転写されずに中間転写ベルト31上に残留したトナーはベルトクリーナ37によって除去される。
トナー像が転写された用紙Pは排紙ガイド43に沿って定着装置50へと搬入される。定着装置50に搬入された用紙Pのトナー像は、加熱ローラ41a、及び加圧ローラ41bによって加熱及び加圧される。これによって用紙P上のトナー像は用紙Pに定着する。トナー像が定着された用紙Pは、内排紙ローラ44、外排紙ローラ46によって排紙トレイ47上に排出される。
次に、画像形成時に、図1の画像形成装置100で実行される濃度補正テーブル作成処理について説明する。
図3は、図1の画像形成装置100で実行される濃度補正テーブル作成処理の手順を示すフローチャートである。この濃度補正テーブル作成処理は、画像形成装置100のエンジン制御部320内のCPU322が、ROM323に格納された濃度補正テーブル作成プログラムに従って実行する。濃度補正テーブル作成処理は、画像濃度安定化のために、例えば、画像形成装置100の主電源がONされた直後、及び累積印刷枚数200枚を越える毎に行われる。
図3において、濃度補正テーブル作成処理が開始されると、CPU322は、濃度補正用パッチ発生部321を制御してテストパターン情報(検出用画像データ)をエンジン部110へ送る。そして、CPU322は、エンジン部110を制御してテストパターン情報に基づいて濃度制御用のテストパターン(検出用画像)を形成させる(ステップS101)。感光ドラム11上に形成されたテストパターンは、中間転写体上、すなわち、中間転写ベルト31上に転写される。
図4は、濃度制御用のテストパターンの一例を示す図である。
図4において、テストパターンTは、例えば、レーザビームが感光ドラムを走査する方向(主走査方向)の長さが15mm、主走査方向に直交する方向(副走査方向)の長さが25mmとする。テストパターンTは、例えば、入力画像信号が100%、90%、80%、60%、40%、30%、20%、10%、0%の9階調からなる。9階調のうちの1階調は、下地補正に用いられるものであり、下地としての中間転写ベルト31からの反射光を検出するために、入力画像信号が0%に設定されている。すなわち、テストパターンTは、入力画像信号が30%以下の階調パターンを含み、入力画像信号が0%の階調パターンを含む。テストパターンTは、入力画像信号が30%以下の階調パターンを含む。CPU322は、低濃度域のセンサ出力(検出結果)に対応する濃度検出値(出力特性)を選択し、検出値に基づいて階調特性及び濃度補正テーブルを生成するので、低濃度域における画像濃度を良好に制御することができる。
図3に戻り、テストパターンTを形成させた後、CPU322は、濃度センサ60を制御して中間転写ベルト31上に形成されたテストパターンTを検出する(ステップS102)。
図5は、濃度センサ60の原理を説明するための図である。濃度センサ60は、例えば、検知対象に照射した光の拡散反射成分を検出する拡散反射型光学センサであり、中間転写ベルト31の像担持面に対向するように配置されている。
図5において、濃度センサ60は、光源としてのLED、及び拡散反射光を受光する受光部とから主として構成されている。LED波長は、例えば、840nmとする。LEDから下地としての中間転写ベルト31及びテストパターンTに照射された光は、中間転写ベルト31及びテストパターンTから拡散反射光として反射する。濃度センサ60は、拡散反射光を検出して反射光強度に応じた出力値を出力する。なお、出力値は、例えば、電圧値として求められる。
図3に戻り、濃度センサ60によってテストパターンTを検出させた後(ステップS102)、CPU322は、センサ出力・濃度変換テーブルを使って濃度センサ60の検出値(センサ出力)を濃度値に変換する(ステップS103)。
図6は、センサ出力・濃度変換テーブルの一例を示す図である。図6において、濃度センサ60の出力値であるセンサ出力SigVに対する濃度値が示されている。
テストパターンTを検出する際、濃度センサ60は、例えば、2msec毎に、合計25点の情報を電圧値(センサ出力)として出力する。センサ出力は、A/D変換器により、例えば、10bit信号に変換される。出力値SigVは、25点の情報のうち最大センサ出力と最小センサ出力を除いた23点の情報が平均化処理された値である。出力値SigVは、図6のセンサ出力・濃度変換テーブルを使って濃度情報(濃度値)へ変換される。
図3戻り、濃度センサ60のセンサ出力SigVを濃度情報に変換した後(ステップS103)、CPU322は、変換した濃度情報に対して下地補正処理を実行する(ステップS104)。
以下、下地補正処理について説明する。
拡散反射光には、テストパターンを構成するトナーからの反射光と、トナーが担持された中間転写ベルト31からの反射光が含まれる。従って、テストパターンTの濃度情報を正確に検知するためには、センサ出力からトナーが担持された中間転写ベルト31からの反射光に相当するオフセット量を補正する必要がある。以下では、センサ出力からオフセット量を補正する処理を下地補正処理と呼ぶ。
以下に、中間転写ベルト31の反射率の変化がセンサ出力へ与える影響について、図7を用いて説明する。図7は、濃度センサ60の出力に対する中間転写ベルト31の反射率変化の影響を説明するための図である。
図7(a)に示したように、中間転写ベルト31の表面が鏡面状態であれば中間転写ベルト31からの拡散光は無視できる。これは、LEDから発せられた光のほとんどが中間転写ベルト31により鏡面反射するからである。中間転写ベルト31の表面が鏡面状態であれば、中間転写ベルト31からの拡散反射光は極めて小さい値である。テストパターンTのトナー量と濃度センサ60のセンサ出力との関係は、図7(c)に示したように正比例する。
しかしながら、実際の拡散反射光には下地からの拡散光が含まれるので、トナー量とセンサ出力の関係は一定にはならない。すなわち、図7(b)に示したように、中間転写ベルト31の表面が粗れて反射率が変化すると、トナー量とセンサ出力との関係は、図7(d)に示したように正比例とならない。図7(d)に示すトナー量とセンサ出力との関係において、特に、テストパターンTの低濃度側で線形性が崩れる。
センサ出力に対する中間転写ベルト31からの拡散光の影響は、中間転写ベルト31からの反射光の量、すなわちトナーに覆われていない中間転写ベルト31の面積に比例する。濃度センサ60の検出領域においてテストパターンTのトナーが中間転写ベルト31を覆っていない面積の割合を、以下、下地面積率という。
図8は、濃度センサ60の出力値に基づいて求めたトナー量(濃度値)と下地面積率との関係を示す図である。図8において、トナー量が少なく、濃度値が小さいほど下地面積率が大きくなっていることが分かる。
ここで、濃度センサ60を用いてトナー像を検出したときのセンサ出力をSigVとし、トナー像からの拡散光をSigT、中間転写ベルト31からの拡散光をSigB、トナー量をMt、トナーの拡散反射率をRtとする。また、下地面積率をSb、中間転写ベルト31の拡散反射率をRbとする。この場合、センサ出力SigVは、次の式(1)で示される。
SigV=SigT + SigB
=Rt×Mt + Rb×Sb ・・・・・・・・・・・式(1)
式(1)から、中間転写ベルト31からの拡散光は、トナー量が少ない低濃度域で大きくなることが分かる。
従って、本実施の形態では、濃度センサ60を用いてテストパターンTを検出した際の低濃度側の検出値に対して下地補正処理を施し、補正後の値(濃度値)を用いて画像形成装置100の階調特性を求める。
図9は、エンジン部の階調特性を示す図である。画像形成装置100の階調特性を求めるには、濃度センサ60がテストパターンTを検知した際の出力値を、図6のセンサ出力・濃度変換テーブルを用いて濃度値へ変換し、各入力画像信号に対応する濃度値を線形補間すればよい。
以下、濃度センサ60を用いてテストパターンTを検知した際の各階調に対応する濃度値を検出濃度値とし、入力画像信号が0%に対応する検出濃度値を、特に、下地濃度値(下地の見かけ濃度値)という。
なお、図9において、入力画像信号0%のテストパターンに対する検出濃度値としては、入力画像信号0%に対応する下地濃度値でなく、濃度値0(点(0,0))が用いられる。
以下に、具体的な下地補正処理について説明する。
図10は、エンジン部の階調特性及び濃度ターゲットと、下地濃度値との関係を示す図である。濃度ターゲットとは、入力画像信号に対応する目標検出値である。ここで、理想的な階調特性は、例えば、入力画像信号と濃度値とが正比例となる特性とする。
低濃度域のテストパターンに対応するセンサ出力は検出精度が低いので、当該センサ出力に対応する検出濃度値を下地補正処理の対象として用いると下地補正処理の効果が十分に得られない。このため、本実施の形態では、下地補正処理の対象として検出濃度値ではなく、各入力信号に対する濃度ターゲットを用いる。
図10において、下地濃度値が、0%以外の各入力画像信号に対応する濃度ターゲット未満であれば、CPU322は、0%に対応する下地濃度値を除く各検出濃度値と0点(0,0)を結んで階調特性を求める。
一方、下地濃度値が、いずれかの入力画像信号に対応する濃度ターゲット以上であれば、CPU322は、濃度ターゲット値が下地濃度値以下となる入力画像信号に対応する検出濃度値は無効とし、階調特性を求めるための計算に使用しない。すなわち、濃度ターゲットが下地検出値を下回る入力画像信号に対応するセンサ出力は、正確でない可能性が高いので、そのセンサ出力に対応する検出濃度値は、階調特性の作成に用いない。
図11は、第1の実施の形態における下地補正処理を説明するための図であり、具体的には、下地濃度値が一部の濃度ターゲットを上回った場合の階調特性の作成方法を示す図である。
図11において、(a)は、下地濃度値が入力画像信号10%に対応する濃度ターゲット以上の場合であり、この場合、テストパターンTにおける入力画像信号10%に対応する検出濃度値を無効として階調特性が形成される。すなわち、取得した検出値のうち無効とした検出結果以外(検出濃度値以外)の検出濃度値であって最小の検出濃度値(入力画像信号20%に対応する検出濃度値)と、濃度値0の点(0,0)の間を線形補間して下地補正後の濃度値が求められる。そして、入力画像信号20%に対応する濃度値と入力画像信号20%以上の検出濃度値を結んでエンジン部の階調特性が形成される。
また、図11(b)は、下地濃度値が入力画像信号10%と20%に対応する濃度ターゲット以上の場合であり、この場合、テストパターンTにおける入力画像信号10%及び20%に対応する検出濃度値を無効として階調特性が形成される。すなわち、無効とした検出結果(検出濃度値)以外の検出濃度値であって最小の検出濃度値(入力画像信号30%に対応する検出濃度値)と、濃度値0の点(0,0)の間を線形補間して下地補正後の濃度値がを求められる。そして、入力画像信号30%に対応する下地補正後の濃度値と入力画像信号30%以上の検出濃度値を結んでエンジン部の階調特性が形成される。
このように、下地濃度値が一部の濃度ターゲット以上である場合、当該下地濃度値が濃度ターゲット以上である入力画像信号に対応する検出濃度値について下地補正処理を施し、下地補正処理後の濃度値を用いて階調特性が構成される。
図3に戻り、下地補正処理を実行した後(ステップS104)、CPU322は、濃度補正テーブルを生成する(ステップS105)。すなわち、CPU322は、下地補正処理後の階調特性と濃度ターゲットを用いて、濃度補正テーブル(LUT)を生成する(生成手段)。
図12は、濃度補正テーブルの生成方法を説明するための図である。
図12において、画像形成装置の濃度ターゲット(直線)と、エンジン部の階調(出力)特性(粗い破線からなる曲線)が示されている。図12の直線状の濃度ターゲットに対し、粗い破線からなる曲線で示された階調特性(出力特性)を逆変換することによって、濃度補正テーブル(細かい破線からなる曲線)が生成される。これによって、実測値に基づいた現実的な濃度補正テーブルを生成することができる。
図3に戻り、濃度補正テーブルを生成した後(ステップS105)、CPU322は、生成した濃度補正テーブルを画像処理部310に記憶させ(ステップS106)、その後、本濃度補正テーブル作成処理を終了する。
上述の下地補正処理を伴う濃度補正テーブル作成処理を実行すると、下地補正処理後の階調特性及び濃度補正テーブルに従って画像濃度が理想的な濃度となるように画像データを変換するための変換条件が生成される。この変換条件は画像処理部310に記憶される。そして、画像処理部310は印刷処理を実行する場合に記憶された変換条件に基づいて画像データを変換し、CPU322は、エンジン部110を制御して変換された画像データに基づいて画像を形成させる。
図3の処理によれば、下地濃度値が、一部の入力画像信号に対応する濃度ターゲット以上である場合、当該一部の入力画像信号に対応する検出濃度値を用いないで階調特性が選択(下地補正処理)される。そして、階調特性に基づいて濃度補正テーブルを生成し、当該濃度補正テーブルを用いて濃度信号を補正した画像が形成される。これによって、濃度補正テーブルの信頼性が向上し、中間転写ベルト31の表面が経時的に変化して光沢度が低下してもその影響を低減して適正濃度の画像を形成することができる。また、階調特性における低濃度域における濃度値として下地補正処理後の濃度値が使用されるので、入力画像信号が小さい低濃度側の画像濃度を適正に制御することができる。すなわち、下地となる中間転写体の反射率が変化した場合でも、その影響を低減して適正濃度の画像が形成できる画像形成装置を提供することができる。
以下、本実施の形態における効果を具体的に説明する。
画像濃度を制御しつつ10万枚の画像形成(印刷)動作を行い、中間転写ベルト31のグロス(光沢度)と、C(シアン)/M(マゼンタ)/Y(イエロー)の各入力画像信号が10%の低濃度域のグレー画像の色度推移を調べたところ、以下の結果が得られた。すなわち、図13に示すように、印刷枚数に応じて中間転写ベルト31の表面のグロス(光沢度)が80から40へと低下した。図13から、中間転写ベルト31の表面が経時変化して次第に粗くなっていくことによる影響は、印刷枚数の増加に伴って大きくなることが分かる。
また、印刷開始前と印刷終了後におけるグレー画像の色度変化について、印刷前後の2つの色の座標間の距離で知覚色差を比べて求めた。その結果、上述の下地補正処理を実施しない場合は、色差ΔE=5であり、下地補正処理を実施した場合は、色差ΔE=3であった。この結果から、本実施の形態における下地補正処理を定期的に実施することによって、中間転写ベルト31の表面の経時変化の影響を低減して良好な画像を形成できることが分かった。
なお、上記グロスは、JISZ8741に規定された方法により測定を行った。すなわち、中間転写ベルト31の表面に入射角60°で規定の開き角の光束を入射し、鏡面反射方向に反射する規定の開き角の光束を受光器で測定した。また、色差ΔEは、以下の方法で算出した。CIE L*a*b*色空間において、
ΔE =(ΔL*^2+Δa*^2+Δb*^2)^0.5
以上より、本実施の形態によれば、中間転写ベルト31のグロスが経時的に変化し、下地からの拡散反射光量が変動した場合でも、濃度調整を行いつつ良好な濃度の画像を形成することができる。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態に係る画像形成装置のハード構成は、第1の実施の形態に係る画像形成装置のハード構成と同様である。第1の実施の形態では、下地補正処理における下地の影響レベルの判断を下地濃度値と濃度センサ60の濃度ターゲットとの比較で行った。第2の実施の形態では、下地補正処理における下地の影響レベルの判断を下地濃度値とテストパターンの各階調に対応する検出濃度値との比較で行う。以下、第1の実施の形態と異なる点を中心に第2の実施の形態について説明する。
上述した第1の実施の形態では、下地濃度値と濃度ターゲットとを比較したので、テストパターンTの各階調に対応する検出濃度値が濃度ターゲットから大きくずれている場合には、下地の経時変化の影響を適正に補正できない場合がある。そこで、第2の実施の形態では、一定の条件の下、テストパターンTの各階調に対応する実際の検出濃度値を用いて下地の経時変化の影響を判断する。
すなわち、第2の実施の形態においては、濃度ターゲットが中間転写ベルト31の見かけ濃度値以下であっても、見かけ濃度値以下の濃度ターゲットに対応する検出結果(検出濃度値)が下地濃度値の所定倍数以上であれば、有効として用いることとした。濃度ターゲットが下地濃度値以下であっても、下地濃度値の所定倍数以上の検出濃度値が得られれば、当該検出濃度値と濃度ターゲットが下地濃度値を超える部分の検出濃度値を用いて階調特性が作成される。所定倍数としては、例えば1.2(120%)が適用されるが、これに限定されるものではない。
図14は、第2の実施の形態における下地補正処理を説明するための図である。
図14において、(a)は、画像濃度値が大きく上がった場合の例である。この場合、下地濃度値は10%のテストパターンTの濃度ターゲット以上であるが、10%のテストパターンの検出濃度値が下地濃度値の120%を超えているので、検出濃度値を無効とせず、採用する。すなわち、入力画像信号が10%〜100%の各階調のテストパターンTに対応する検出濃度値と、入力画像信号0%のテストパターンTに対応する濃度0の点(0,0)を用いて階調特性Aが求められる。この場合、入力画像信号が10%のテストパターンに対応するトナー量は多いために下地面積率が低下し、これによって、下地の経時変化の影響が小さくなっている。従って、10%のテストパターンに対応する検出濃度値は、十分な検出精度を満足すると判断される。
このような下地補正処理を伴って得られた階調特性Aと濃度ターゲットを用いて濃度補正テーブルが作成され、作成した補正テーブルを適用して濃度補正を行いつつ画像形成動作が行われる。
一方、図14の(b)は、画像の濃度値が大きく下がった場合の例である。この場合、下地濃度値は10%のテストパターンの濃度ターゲットを下回っているが、10%のテストパターンの検出濃度値が下地濃度値の120%を下回っているので、検出濃度値を無効とし、採用しない。すなわち、入力画像信号が20%〜100%の各階調のテストパターンTに対応する検出濃度値と、入力画像信号0%のテストパターンTに対応する濃度0の点(0,0)を用いて階調特性Bが求められる。このとき、入力画像信号が20%のテストパターンTに対応する検出濃度値と濃度0の点(0,0)の間の濃度値は、線形補間によって求められる。
そして、得られた階調特性Bと濃度ターゲットを用いて濃度補正テーブルを作成し、作成した補正テーブルを適用して濃度補正を行いつつ画像形成動作が行われる。この場合、入力画像信号が10%のテストパターンに対応するトナー量は少ないために下地面積率が増加し、これによって、下地の経時変化の影響が大きくなっている。従って、10%のテストパターンに対応する検出濃度値は、十分な検出精度を備えたものとは言えない。
本実施の形態によれば、濃度ターゲットが像担持体の見かけ濃度値以下であっても、当該部分の入力画像信号に対応する検出濃度値が、下地濃度値の120%を超えている場合は、有効と判断して階調特性の作成に用いる。これによって、画像形成装置における印刷画像の濃度変化が大きい場合でも現実に即した階調特性、及び濃度補正テーブルが求められる。従って、特に、画像濃度制御の頻度を低く設定して画像形成動作を実行する場合に有効である。
本実施の形態において、検出濃度値と比較する下地濃度値の所定倍数を120%(1.2倍)としたが、下地濃度値の所定倍数は1.2に限定されるものではなく、画像形成装置の特性に応じて適宜変更することが好ましい。
11 感光ドラム
12 帯電装置
13 露光装置
14 現像装置
31 中間転写ベルト
35 一次転写部(転写装置)
60 濃度センサ
100 画像形成装置
100R 画像読取部
100P 画像出力部
110 エンジン部
310 画像処理部
320 エンジン制御部
322 CPU

Claims (10)

  1. 記録材に画像を形成する画像形成手段と、
    前記画像形成手段により形成された検出用画像が転写される中間転写体と、
    前記中間転写体上の前記検出用画像からの反射光を検出する検出手段と、
    前記画像形成手段に検出用画像データに基づいて複数の検出用画像を形成させ、前記検出手段に前記複数の検出用画像の反射光を検出させ、前記複数の検出用画像の各々からの反射光の検出結果に対応する検出値を取得する制御手段と、
    前記複数の検出用画像の各々に対応する目標検出値を記憶する記憶手段と、
    前記検出手段による前記中間転写体からの反射光に対応する検出値と、前記記憶手段に記憶された前記複数の検出用画像の各々に対応する目標検出値とに基づいて、前記複数の検出用画像の各々からの反射光の検出結果に対応する検出値の中から検出値を選択する選択手段と、
    前記選択手段により選択された前記検出値に基づいて前記画像形成手段の画像形成条件を生成する生成手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記選択手段は、前記検出結果のうち前記検出手段の目標検出値が前記中間転写体の見かけ濃度値以下の部分に対応する検出結果を無効として前記検出結果に対応する検出値の中から検出値を選択することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 前記選択手段は、無効とした検出結果以外の検出結果であって最小の検出結果と濃度値が0の点との間を線形補間することによって求めた濃度値を使用して前記無効とした検出結果に対応する部分の検出値を選択することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
  4. 前記選択手段は、前記目標検出値が前記中間転写体の見かけ濃度値以下となる検出用画像であっても、前記見かけ濃度値以下の目標検出値となる検出用画像に対応する検出結果が前記見かけ濃度値の所定倍数以上であれば、前記見かけ濃度値の所定倍数以上の検出結果及び前記無効とした検出結果以外の検出結果を用いて前記検出値を選択することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
  5. 前記生成手段は、前記検出値と前記目標検出値を用いて画像形成条件を生成し、生成された画像形成条件を使用して画像の濃度が制御されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  6. 前記画像形成条件は、前記検出値を前記目標検出値に対して逆変換して得られたものであることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
  7. 前記目標検出値は、前記検出手段の出力値と正比例の関係を有する濃度値であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  8. 前記検出用画像は、複数の階調からなる画像パターンであって、入力画像信号が30%以下の階調パターンを含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  9. 前記検出用画像は、入力画像信号が0%の階調パターンを含むことを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
  10. 前記検出手段は、前記検出用画像又は前記中間転写体からの拡散光を検出する光学センサであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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