JP2018168958A - 摩擦ダンパ - Google Patents

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拓未 林口
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翔 赤澤
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Abstract

【課題】容易に組み付けることができる摩擦ダンパを提供する。
【解決手段】摩擦ダンパ1は、シリンダ10、ロッド20、摩擦部材30及びロッドガイド(押圧部材)40を備えている。シリンダ10は筒状に形成されている。ロッド20は、軸方向に往復移動自在であり、一部がシリンダ10に収納されている。摩擦部材30は、筒状に形成されてシリンダ10の内周面とロッド20の外周面の間に配置されている。ロッドガイド40は、摩擦部材30の軸方向に摩擦部材30を押圧する。また、摩擦部材30は、ロッドガイド40により押圧される前の状態においてロッド20の外径よりも大きい内径を有する。そして、摩擦部材30は、ロッドガイド40に押圧されて径方向に変形し、ロッド20の外周面20Cに当接している。
【選択図】図1

Description

本発明は摩擦ダンパに関する。
特許文献1は従来の摩擦ダンパを開示している。この摩擦ダンパは、第1部材及び第2部材を備えている。第1部材は円筒状の摩擦材を有している。第2部材は、摩擦材の内周面と圧接した状態で摩擦材に対して相対移動自在な摺動部を有している。また、第2部材は、流体を充填して内圧を増減させる調圧室を有している。このような構成により、特許文献1の摩擦ダンパは、調圧室の内圧を調整して摺動部の摩擦材との圧接の強弱を調整することができる。
特開2015−31385号公報
しかし、特許文献1の摩擦ダンパの場合、摩擦材と摺動部とは常に圧接状態にあるため、組み付けが困難である。また、調圧室を利用して組み付け後に圧接状態となるように調節することも考えられる。しかし、特許文献1の摩擦ダンパでは、コンプレッサー等の加圧手段を別途必要とし、これを用いて調圧室の内圧の調整を行わなければならず煩雑である。
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、容易に組み付けることができる摩擦ダンパを提供することを解決すべき課題としている。
本発明の摩擦ダンパは、シリンダ、ロッド、摩擦部材及び押圧部材を備えている。シリンダは筒状に形成されている。ロッドは、軸方向に往復移動自在であり、一部がシリンダに収納されている。摩擦部材は、筒状に形成されてシリンダの内周面とロッドの外周面の間に配置されている。押圧部材は、摩擦部材の軸方向に摩擦部材を押圧する。また、摩擦部材は、押圧部材により押圧される前の状態においてロッドの外径よりも大きい内径又はシリンダの内径よりも小さい外径の少なくとも一方を有する。そして、摩擦部材は、押圧部材に押圧されて径方向に変形し、ロッドの外周面又はシリンダの内周面に当接している。
このような構成により、本発明の摩擦ダンパでは、押圧部材により押圧される前の状態の摩擦部材は、ロッドの外周面又はシリンダの内周面とのクリアランスが確保されている。このため、組み付け時の摩擦力の発生を回避することができる。また、押圧部材により摩擦部材を軸方向に押圧するという簡易な方法によって、摩擦面となる摩擦部材の内周面又は外周面を、ロッドの外周面又はシリンダの内周面に当接させることができる。
したがって、本発明の摩擦ダンパは、容易に組み付けることができる。
本発明の摩擦ダンパにおいて、シリンダ又はロッドは、一端側に設けられて摩擦部材に当接する当接部を有し得る。そして、押圧部材は、シリンダ又はロッドの他端側から当接部の方向に向かって摩擦部材を押圧しつつ、当接部を有するシリンダ又はロッドに取り付けられ得る。この場合、押圧部材による押圧力を、押圧部材と当接部との間に配された摩擦部材に好適に付与することができる。このため、摩擦部材を径方向に好適に変形させることができる。
本発明の摩擦ダンパにおいて、シリンダ又はロッドは、シリンダの内周面又はロッドの外周面に形成された第1ねじ部を有し得る。また、押圧部材は、その外周面又は内周面に形成されて第1ねじ部に螺合する第2ねじ部を有する筒状に形成され得る。そして、摩擦部材は、第1ねじ部に対する第2ねじ部の締め込み量に応じて当接部と押圧部材との間の距離が変化することで、変形量が調整され得る。この場合、摩擦部材の変形量を調整することで、摩擦部材とシリンダの内周面又はロッドの外周面との当接面積及び当接圧力を変化させることができる。その結果、摺動時に生じる減衰力を自在に調整することができる。
本発明の摩擦ダンパにおいて、第1ねじ部及び第2ねじ部は、摩擦部材の軸方向の両端部の間に配置され得る。この場合、摩擦部材は軸方向両端からバランス良く押圧されて安定的に変形することができる。このため、摺動時に生じる減衰力のバラツキを低減することができる。
本発明の摩擦ダンパは、摩擦部材がロッドの外周面に摺動自在に当接しているとともに、外径が押圧部材に当接する他端側から一端側に向かって縮径した第1テーパ面部を有し得る。そして、この第1テーパ面部に対向して当接する第2テーパ面部を有し得る。この場合、摩擦部材は、軸方向に押圧力が作用することによってテーパ面部に沿って径方向に変形する。このため、摩擦部材をより安定的に変形させることができ、摺動時に生じる減衰力のバラツキを低減することができる。また、軸方向に作用する押圧力をテーパ面部により径方向に好適に変換することができる。
本発明の摩擦ダンパにおいて、第2テーパ面部は当接部であり得る。この場合、部材を増加させることなく第2テーパ面部を形成して摩擦部材を安定的に変形させることができる。
本発明の摩擦ダンパにおいて、摩擦部材は、第1テーパ面部が形成された第1摩擦部材及び第2テーパ面部が形成された第2摩擦部材を有して構成され得る。この場合、摩擦部材をテーパ面で分割した構成としたことにより、2つの摩擦部材間で軸方向の押圧力を径方向への力に容易に変換することができる。また、第1テーパ面部及び第2テーパ面部は摩擦部材に形成されている。このため、テーパ面をロッドやシリンダに形成する場合と比較して、高い加工精度を必要とせず、容易に製造することができる。
本発明の摩擦ダンパにおいて、当接部はシリンダに設けられており、押圧部材は、シリンダの一方の端部を内側にかしめて形成したかしめ部であり得る。この場合、部品点数を増加させることなく摩擦部材を好適に押圧することができる。
実施形態1の摩擦ダンパを模式的に示す側面断面図である。 実施形態1の摩擦ダンパの作用を説明するための図であり、(A)は摩擦部材が押圧される前の状態、(B)は摩擦部材が押圧された後の状態を夫々示す。 実施形態2の摩擦ダンパを模式的に示す側面断面図である。 実施形態2の摩擦ダンパの作用を説明するための図であり、(A)は摩擦部材が押圧される前の状態、(B)は摩擦部材が押圧された後の状態を夫々示す。 実施形態3の摩擦ダンパを模式的に示す側面断面図である。 実施形態3の摩擦ダンパの作用を説明するための図であり、(A)は摩擦部材が押圧される前の状態、(B)は摩擦部材が押圧された後の状態を夫々示す。 実施形態4の摩擦ダンパを模式的に示す側面断面図である。 実施形態4の摩擦ダンパの作用を説明するための図であり、(A)は摩擦部材が押圧される前の状態、(B)は摩擦部材が押圧された後の状態を夫々示す。 実施形態5の摩擦ダンパを模式的に示す側面断面図である。 実施形態5の摩擦ダンパの作用を説明するための図であり、(A)は摩擦部材が押圧される前の状態、(B)は摩擦部材が押圧された後の状態を夫々示す。 実施形態6の摩擦ダンパを模式的に示す側面断面図である。 実施形態6の摩擦ダンパの作用を説明するための図であり、(A)は摩擦部材が押圧される前の状態、(B)は摩擦部材が押圧された後の状態を夫々示す。 実施形態7の摩擦ダンパを模式的に示す側面断面図であり、(A)は伸長状態、(B)は収縮状態を夫々示す。 実施形態7の摩擦ダンパの作用を説明するための図であり、(A)は摩擦部材が押圧される前の状態、(B)は摩擦部材が押圧された後の状態を夫々示す。
本発明の摩擦ダンパを具体化した実施形態1〜7について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態では、車いすやベビーカー、運搬台車等のキャスタに用いられる摩擦ダンパを例示する。摩擦ダンパは、例えば、キャスタの取付ブラケットと車輪との間に設けたリンク機構等の機構部に組み込まれることで、点字ブロック等の凹凸や段差のある路面を走行する際の振動の減衰や衝撃を緩和することができる。
<実施形態1>
実施形態1の摩擦ダンパ1は、図1に示すように、シリンダ10、ロッド20、摩擦部材30、及びロッドガイド(本発明に係る押圧部材として例示する)40を備えている。また、摩擦ダンパ1は、アウターチューブ50及び弾性部材60を備えている。
シリンダ10は円筒形状に形成されている。シリンダ10の一方の端部10Aの内周面には第1ねじ部11が形成されている。第1ねじ部11には後述するロッドガイド40が螺合により嵌め込まれており、これによりシリンダ10の端部10A側の開口部が封鎖されている。また、シリンダ10の内部には収納部12が設けられている。収納部12は第1ねじ部11に隣接して配されている。収納部12には後述する摩擦部材30が収納されている。シリンダ10の端部10B寄りの内部には縮径部13が形成されている。縮径部13は収納部12に隣接して設けられている。また、シリンダ10は当接部14を有している。当接部14はシリンダ10の端部10B側に設けられている。詳細には、当接部14は、縮径部13の端部10A側の側面に設けられている。当接部14には後述する摩擦部材30が当接している。
シリンダ10の端部10Bにはシリンダ側ジョイント部15が設けられている。シリンダ側ジョイント部15は、後述するロッド側ジョイント部53とともに、機構部に組み込まれたときの他部材との連結部位となる。シリンダ側ジョイント部15にはピン等を挿通可能な貫通孔15Aが形成されている。また、シリンダ10の端部10B側の外周面10Cは端部10A側の外周面10Dよりも拡径して形成されている。このように端部10B側の外周面10Cを拡径して形成したことにより、シリンダ10の外周面には段差状の段差部10Eが形成されている。段差部10Eには後述する弾性部材60の端部を受けるワッシャ61が配されている。
ロッド20は軸方向に往復移動自在である。ロッド20は、その一部がシリンダ10に収納されている。ロッド20は円柱状に形成されており、一方の端部20Aがシリンダ10の端部10Aから突出した状態で配されている。また、ロッド20は、一方の端部20A側がロッドガイド40の挿通孔41に挿通されて支持され、他方の端部20B側がシリンダ10の縮径部13に挿通されて支持されている。
ロッド20は、一方の端部20Aに後述するアウターチューブ50が取り付けられている。また、ロッド20は、他方の端部20Bにボルト21が取り付けられている。ボルト21は、ロッド20の端部20Bにシリンダ10の縮径部13の内径よりも大きい外径を有するワッシャ22を取着している。ワッシャ22は、縮径部13の外側端面に当接することで、ロッド20がロッドガイド40側から抜け出てしまうことを防止する抜け止めとして機能するとともに、シリンダ10の内部への異物の侵入を防ぐ金属シールとして機能する。
摩擦部材30は、円筒形状に形成され、シリンダ10の内周面とロッド20の外周面の間に配置されている。詳細には、摩擦部材30は、シリンダ10の収納部12に収納されているとともに、ロッド20を挿通している。摩擦部材30は、その外周面をシリンダ10の収納部12の内周面に当接させるとともに内周面をロッド20の外周面に当接させた状態で、シリンダ10内に収納されている。また、摩擦部材30は、一方の端面30Aがシリンダ10の当接部14に当接している。摩擦部材30の他方の端面30Bは、後述するロッドガイド40の凸状部43に押圧されつつ当接している。本実施形態において、摩擦部材30は硬度70°のウレタンゴムからなる。
摩擦部材30は、シリンダ10とロッド20の間の相対移動により摩擦力を生じて減衰力を発生する。本実施形態の場合、摩擦部材30は、ロッド20がシリンダ10に対して軸方向に相対移動することによりシリンダ10とともにロッド20に対して相対移動し、その内周面30Cと、ロッド20の外周面20Cとの間に摩擦力を生じさせる。すなわち、実施形態1の摩擦ダンパ1において、摩擦面とは、摩擦部材30の内周面30C及びロッド20の外周面20Cである。そして、これら摩擦面同士の摺動により生じる摩擦力は、ロッド20の軸方向の移動を抑制する減衰力として作用する。
ロッドガイド40は摩擦部材30の軸方向に摩擦部材30を押圧する。本実施形態においては、ロッドガイド40は、シリンダ10の端部10A側から当接部14の方向に向かって摩擦部材30を押圧しつつシリンダ10に取り付けられている。ロッドガイド40は挿通孔41を有する円筒形状に形成されている。また、ロッドガイド40は第2ねじ部42と凸状部43とを有している。第2ねじ部42は、ロッドガイド40の外周面に形成されてシリンダ10の第1ねじ部11に螺合している。ロッドガイド40は、第2ねじ部42が第1ねじ部11に螺合していることによりシリンダ10に取り付けられ、シリンダ10の端部10Aに嵌め込まれて開口部を封鎖している。
凸状部43は、円筒形状をなすロッドガイド40の一方の端部に形成されている。凸状部43は、第2ねじ部42の一端から軸方向に突出して形成されている。また、凸状部43は、シリンダ10の収納部12の内径と略同等の外径に形成されている。ロッドガイド40は、凸状部43をシリンダ10の内側に向けて嵌め込まれている。凸状部43は、収納部12内に進入して摩擦部材30を押圧しつつ摩擦部材30の端面30Bに当接している。
なお、ロッドガイド40の凸状部43の反対側の端部には図示しない係合部が形成されている。この係合部は、第2ねじ部42の螺合の際に工具を係合させてロッドガイド40の中心軸周りに回転させるのに用いられる。
アウターチューブ50は一端が開口する有底筒状に形成されている。アウターチューブ50は底部51及び筒部52を有している。アウターチューブ50の底部51の外側にはロッド側ジョイント部53が設けられている。ロッド側ジョイント部53はシリンダ側ジョイント部15とともに他部材との連結部位とされる。ロッド側ジョイント部53にはピン等を挿通可能な貫通孔53Aが形成されている。ロッド側ジョイント部53は、アウターチューブ50の底部51を挿通する図示しない係合部がロッド20の端部20Aに係合してロッド20に取着されている。アウターチューブ50は、筒部52によりシリンダ10の端部10A側を覆う形態で、ロッド20の端部20Aに取着されている。換言すると、アウターチューブ50にはシリンダ10の一方の端部10Aが挿入されている。
弾性部材60は、シリンダ10の外周に配されている。具体的には、弾性部材60は圧縮コイルばねを採用しており、その内周にシリンダ10を端部10A側から挿入する形態でシリンダ10の外周に配されている。弾性部材60の一方の端部には、シリンダ10の外周に設けられた段差部10Eに当接するワッシャ61が設けられている。弾性部材60の他方の端部は、アウターチューブ50の筒部52の端面に当接している。これにより、弾性部材60は、ロッド20の端部20A側のシリンダ10からの突出長さが長くなる方向(図1の左右方向)へ弾性力を付与する。換言すると、弾性部材60は、摩擦ダンパ1を伸長させる方向に弾性力を付与する。
図2(A)に示すように、摩擦部材30は、押圧部材としてのロッドガイド40に押圧される前の状態では、ロッド20の外径よりも大きい内径を有している。このため、摩擦ダンパ1の組み立て時には、摩擦部材30の内周面30Cとロッド20の外周面20Cとが当接しない状態、又は、周方向の一部のみが片当たりする状態で、摩擦部材30にロッド20を挿通することができる。すなわち、ロッド20と摩擦部材30の組み付けは、摩擦面である摩擦部材30の内周面30C及びロッド20の外周面20C同士の摩擦力が殆ど生じない状態で行うことができる。
そして、図2(B)に示すように、ロッドガイド40をシリンダ10に取り付けたときには、摩擦部材30は、ロッドガイド40に押圧されて径方向に変形する。詳細には、ロッドガイド40の第2ねじ部42をシリンダ10の第1ねじ部11に螺合させてロッドガイド40をシリンダ10に取り付けたときには、摩擦部材30は、ロッドガイド40に押圧されて径方向に変形し、内周面30Cがロッド20の外周面20Cに摺動自在に当接する。
この時、凸状部43はシリンダ10の収納部12内に進入して摩擦部材30を押圧する。摩擦部材30は、凸状部43により端面30B側から軸方向に押圧されて径方向に変形する。そして、摩擦部材30は、その内周面30Cがロッド20の外周面20Cを径方向に押圧した状態で、ロッド20の外周面20Cに摺動自在に当接している。このため、シリンダ10とロッド20の間の相対移動によって摩擦部材30の内周面30Cとロッド20の外周面20Cとの間で適切な摩擦力を生じさせることができる。
また、ロッドガイド40は、第1ねじ部11に螺合する第2ねじ部42の締め込み量に応じて、凸状部43による摩擦部材30への押圧力を変化させることができる。そして、摩擦部材30は、第1ねじ部11に対する第2ねじ部42の締め込み量に応じて当接部14とロッドガイド40との間の距離が変化することで、変形量が調整される。このように、摩擦ダンパ1は、第1ねじ部11に螺合する第2ねじ部42の締め込み量を調整することで、摩擦部材30の内周面30Cとロッド20の外周面20Cの当接面積や当接圧力を変化させて摩擦力を調整することができる。
なお、本実施形態では、摩擦部材30の外径は、押圧部材としてのロッドガイド40に押圧される前の状態において、シリンダ10の内径と略同等である。しかし、摩擦部材30の内周面側にクリアランスが確保されている、すなわち、径方向内側に変形代があるので、摩擦部材30をシリンダ10に収納する際の組み付けも容易である。
以上説明したように、実施形態1の摩擦ダンパ1は、シリンダ10、ロッド20、摩擦部材30及び押圧部材としてのロッドガイド40を備えている。シリンダ10は筒状に形成されている。ロッド20は、軸方向に往復移動自在であり、一部がシリンダ10に収納されている。摩擦部材30は、筒状に形成されてシリンダ10の内周面とロッド20の外周面の間に配置されている。ロッドガイド40は、摩擦部材30の軸方向に摩擦部材30を押圧する。また、摩擦部材30は、ロッドガイド40の凸状部43により押圧される前の状態においてロッド20の外径よりも大きい内径を有している。そして、摩擦部材30は、ロッドガイド40に押圧されて径方向に変形し、ロッド20の外周面20Cに当接している。
このような構成により、実施形態1の摩擦ダンパ1では、ロッドガイド40により押圧される前の状態の摩擦部材30は、ロッド20の外周面20Cとの間のクリアランスが確保されている。このため、組み付け時の摩擦力の発生を回避することができる。また、ロッドガイド40により摩擦部材30を軸方向に押圧するという簡易な方法によって、摩擦面となる摩擦部材30の内周面30Cをロッド20の外周面20Cに当接させることができる。
したがって、摩擦ダンパ1は容易に組み付けることができる。
また、シリンダ10は、端部10B側に設けられて摩擦部材30に当接する当接部14を有している。そして、ロッドガイド40は、この当接部14の方向に向かってシリンダ10の端部10A側から摩擦部材30を押圧しつつ、当接部14を有するシリンダ10に取り付けられている。このため、ロッドガイド40による押圧力を、ロッドガイド40と当接部14との間に配された摩擦部材30に好適に付与することができる。その結果、摩擦部材30を径方向に好適に変形させることができる。
また、シリンダ10は、シリンダ10の内周面に形成された第1ねじ部11を有している。また、ロッドガイド40は、その外周面に形成されて第1ねじ部11に螺合する第2ねじ部42を有する筒状に形成されている。そして、摩擦部材30は、第1ねじ部11に対する第2ねじ部42の締め込み量に応じて当接部14とロッドガイド40との間の距離が変化することで、変形量が調整される。このため、摩擦部材30の変形量を調整することで、摩擦部材30とロッド20の外周面20Cとの当接面積や当接圧力を変化させることができる。その結果、摺動時に生じる減衰力を自在に調整することができる。
<実施形態2>
次に、図3、図4等を参照し、実施形態2について説明する。
図3及び図4に示す実施形態2の摩擦ダンパ201は、押圧部材であるロッドガイド240の形態及びこのロッドガイド240による摩擦部材230の押圧形態の点において、実施形態1の摩擦ダンパ1と異なる。その他の部分において、実施形態1と略同一の構成、機能を有する部分については実施形態1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図3に示すように、実施形態2の摩擦ダンパ201において、ロッドガイド240は実施形態1のような凸状部を有しておらず、軸方向の全長に渡って第2ねじ部242が形成されている。ロッドガイド240は、第2ねじ部242の端面242Aにて摩擦部材230を押圧する。
摩擦部材230は、図4(A)に示すように、押圧部材としてのロッドガイド240に押圧される前の状態において、実施形態1と同様にロッド20の外径よりも大きい内径を有しており、ロッド20の外周面20Cとの間のクリアランスが確保されている。このため、組み付け時の摩擦力の発生を回避することができる。また、摩擦部材230の軸方向の長さはシリンダ10の収納部12の軸方向の長さよりも長く形成されている。このため、摩擦部材230は、ロッドガイド240に押圧される前であって一方の端面30Aが当接部14に当接した状態において、端面30B側の端部が第1ねじ部11側に突出している。
そして、図4(B)に示すように、ロッドガイド240をシリンダ10に取り付ける、すなわち、第1ねじ部11に第2ねじ部242を螺合して締め込むと、摩擦部材230の端面30Bが第2ねじ部242の端面242Aによって押圧される。これにより摩擦部材230は径方向に変形し、その内周面230Cがロッド20の外周面20Cに摺動自在に当接する。また、摩擦部材230は、ロッドガイド240によって軸方向に押圧されることにより軸方向の長さが収縮し、収納部12内に収納される。さらに、摩擦部材230は、実施形態1と同様に、第1ねじ部11に対する第2ねじ部242の締め込み量に応じて当接部14とロッドガイド40との間の距離が変化することで、変形量が調整される。
この場合も、実施形態1の摩擦ダンパ1と同様の作用効果を奏し、容易に組み付けることができる。また、押圧部材であるロッドガイド240は、実施形態1のように凸状部を有するものではないので、簡易な構成とすることができ、製造も容易である。
<実施形態3>
次に、図5、図6等を参照し、実施形態3について説明する。
図5及び図6に示す実施形態3の摩擦ダンパ301は、押圧部材による摩擦部材の押圧形態の点において、実施形態1の摩擦ダンパ1と異なる。その他の部分において、実施形態1と略同一の構成、機能を有する部分については実施形態1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図5に示すように、実施形態3の摩擦ダンパ301は、押圧部材としてのかしめ部340を備えている。かしめ部340は、円筒状をなすシリンダ310の一方の端部310Aを内側にかしめて形成されている。摩擦部材30は、一方の端面30Aを当接部14に当接しており、このかしめ部340により他方の端面30Bから押圧されている。
摩擦部材30は、図6(A)に示すように、押圧部材としてのかしめ部340に押圧される前の状態において、実施形態1と同様にロッド20の外径よりも大きい内径を有しており、ロッド20の外周面20Cとの間のクリアランスが確保されている。このため、組み付け時の摩擦力の発生を回避することができる。そして、図6(B)に示すように、かしめ部340に押圧されて径方向に変形し、その内周面30Cがロッド20の外周面20Cに摺動自在に当接する。
この場合も、実施形態1の摩擦ダンパ1と同様の作用効果を奏し、容易に組み付けることができる。また、押圧部材であるかしめ部340は、シリンダ310の一方の端部310Aを内側にかしめることによって形成されているので、別途押圧部材を設ける必要がない。また、押圧部材を別途設ける場合と比較して、部品点数の削減を図ることができる。
<実施形態4>
次に、図7、図8等を参照し、実施形態4について説明する。
図7及び図8に示す実施形態4の摩擦ダンパ401は、押圧部材による摩擦部材の押圧形態の点において、実施形態1の摩擦ダンパ1と異なる。その他の部分において、実施形態1と略同一の構成、機能を有する部分については実施形態1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図7に示すように、実施形態4の摩擦ダンパ401は、第1シリンダ部材(本発明に係るシリンダとして例示する)410及び第2シリンダ部材(本発明に係る押圧部材として例示する)440を備えている。第1シリンダ部材410は第1ねじ部411を有しており、第2シリンダ部材440は第1ねじ部411に螺合する第2ねじ部441を有している。これら第1ねじ部411及び第2ねじ部441は、摩擦部材30の軸方向の両端部の間に配置されている。
第1シリンダ部材410は円筒形状に形成されている。第1ねじ部411は、第1シリンダ部材410の一方の端部410Aの内周面に形成されている。また、第1シリンダ部材410の内部には摩擦部材30を収納する収納部412が設けられているが、その軸方向の長さは、実施形態1の収納部12の軸方向の長さ(図1等参照)に比して短く形成されている。すなわち、本実施形態の収納部412は、摩擦部材30の端面30A側の一部を収納している。
図7に示すように、第2シリンダ部材440は円筒形状に形成されている。第2シリンダ部材440は、上述の第2ねじ部441、第2収納部442、第2縮径部443、及び第2当接部444を有している。第2ねじ部441は、第2シリンダ部材440の一方の端部440Aの外周面に形成されている。第2収納部442は第2ねじ部441に隣接して配されている。第2収納部442は摩擦部材30の端面30B側の一部を収納する。第2縮径部443は第2収納部442に隣接して設けられており、ロッド20の端部20A側を挿通して支持する。第2当接部444は第2縮径部443の第2収納部442側の側面に設けられている。第2当接部444には摩擦部材30の端面30Bが当接している。
摩擦部材30は、第2シリンダ部材440の第2当接部444が端面30Bに当接しており、第1ねじ部11及び第2ねじ部441を螺合することによって、第1シリンダ部材410の当接部14との間で軸方向の押圧力を受けて径方向に変形する。
摩擦部材30は、図8(A)に示すように、押圧部材としての第2シリンダ部材440に押圧される前の状態において、実施形態1と同様にロッド20の外径よりも大きい内径を有しており、ロッド20の外周面20Cとの間のクリアランスが確保されている。このため、組み付け時の摩擦力の発生を回避することができる。そして、図8(B)に示すように、第1ねじ部411及び第2ねじ部441を螺合することによって、第1シリンダ部材410の当接部14との間で軸方向に押圧されて径方向に変形し、その内周面30Cがロッド20の外周面20Cに摺動自在に当接している。
この場合も、実施形態1の摩擦ダンパ1と同様の作用効果を奏し、容易に組み付けることができる。また、第1ねじ部411及び第2ねじ部441は、摩擦部材30の軸方向の両端部の間に配置されている。このため、摩擦部材30は、第1ねじ部411及び第2ねじ部441を螺合することにより、両端面30A,30Bに当接する当接部14及び第2当接部444から軸方向にバランス良く押圧され、径方向に安定的に変形することができる。その結果、摺動時に生じる減衰力のバラツキを低減することができる。
<実施形態5>
次に、図9、図10等を参照し、実施形態5について説明する。
図9及び図10に示す実施形態5の摩擦ダンパ501は、摩擦部材の形態の点において、実施形態1の摩擦ダンパ1と異なる。その他の部分において、実施形態1と略同一の構成、機能を有する部分については実施形態1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図9に示すように、実施形態5の摩擦ダンパ501は摩擦部材530を備えている。摩擦部材530はロッド20の外周面に摺動自在に当接している。また、摩擦部材530は、その外周面に第1テーパ面部530Aを有する筒状に形成されている。第1テーパ面部530Aは、その外径が、摩擦部材530の端面30B側から軸方向他端に向かって縮径して形成されている。また、摩擦ダンパ501はシリンダ510を備えている。シリンダ510は、その内周面に第2テーパ面部514を有する筒状に形成されている。第2テーパ面部514は、その内径が、シリンダ510の端部10A側から軸方向他端に向かって縮径して形成されている。第2テーパ面部514は第1テーパ面部530Aに対向して当接している。摩擦部材530は、端面30B側から第2テーパ面部514の方向に向かってロッドガイド40に押圧されている。すなわち、本実施形態において、第2テーパ面部514は本発明に係る当接部として機能する。
摩擦部材530は、図10(A)に示すように、押圧部材であるロッドガイド40に押圧される前の状態において、実施形態1と同様にロッド20の外径よりも大きい内径を有しており、ロッド20の外周面20Cとの間のクリアランスが確保されている。このため、組み付け時の摩擦力の発生を回避することができる。そして、図10(B)に示すように、ロッドガイド40に押圧されて径方向に変形し、その内周面30Cがロッド20の外周面20Cに摺動自在に当接する。
この場合も、実施形態1の摩擦ダンパ1と同様の作用効果を奏し、容易に組み付けることができる。また、摩擦部材530は、ロッドガイド40に押圧されていることによって、第1テーパ面部530Aを第2テーパ面部514に押圧しつつ当接しているので、ロッドガイド40による軸方向の押圧力が摩擦部材530を径方向に変形させる力に好適に変換される。
<実施形態6>
次に、図11、図12等を参照し、実施形態6について説明する。
図11及び図12に示す実施形態6の摩擦ダンパ601は、摩擦部材の形態の点において、実施形態1の摩擦ダンパ1と異なる。その他の部分において、実施形態1と略同一の構成、機能を有する部分については実施形態1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図11に示すように、実施形態6の摩擦ダンパ601は摩擦部材630を備えている。摩擦部材630は、第1摩擦部材631及び第2摩擦部材632を有して構成されている。第1摩擦部材631には、押圧部材であるロッドガイド40が当接する端面630Bが形成されている。第2摩擦部材632には、シリンダ10の当接部14が当接する端面630Aが形成されている。
摩擦部材630は、その内周面630Cがロッド20の外周面に摺動自在に当接している。また、第1摩擦部材631には第1テーパ面部631Aが形成されている。第1テーパ面部631Aは、その外径が端面630B側から他端に向かって縮径して形成されている。すなわち、第1摩擦部材631は、その外周に第1テーパ面部631Aを有する筒状に形成されている。また、第2摩擦部材632には、第1テーパ面部631Aに対向して当接する第2テーパ面部632Aが形成されている。第2テーパ面部632Aは、その内径が端面630B側から他端に向かって縮径して形成されている。すなわち、第2摩擦部材632は、その内周に第2テーパ面部632Aを有する筒状に形成されている。第1摩擦部材631及び第2摩擦部材632は、第1テーパ面部631Aと第2テーパ面部632Aとを互いに対向して当接させて摩擦部材630を構成している。
摩擦部材630は、図12(A)に示すように、押圧部材であるロッドガイド40に押圧される前の状態において、実施形態1と同様にロッド20の外径よりも大きい内径を有しており、ロッド20の外周面20Cとの間のクリアランスが確保されている。このため、組み付け時の摩擦力の発生を回避することができる。そして、図12(B)に示すように、ロッドガイド40に押圧されて径方向に変形し、その内周面630Cがロッド20の外周面20Cに摺動自在に当接する。
この場合も、実施形態1の摩擦ダンパ1と同様の作用効果を奏し、容易に組み付けることができる。また、摩擦部材630は、ロッドガイド40に押圧されていることによって、第1テーパ面部631Aと第2テーパ面部632Aとが互いに押圧しつつ当接している。これにより、第1摩擦部材631及び第2摩擦部材632は、ロッドガイド40による軸方向の押圧力を径方向に変形させる力に好適に変換し、ロッド20の外周面及びシリンダ10の内周面に好適な押圧力を付与している。すなわち、摩擦部材630をテーパ面で2つに分割した構成としたことにより、2つの摩擦部材631,632間で軸方向の押圧力を径方向への力に容易に変換することができる。その結果、摩擦部材630とロッド20との間で好適な摩擦力を生じさせることができる。また、第1テーパ面部631A及び第2テーパ面部632Aを、共に摩擦部材630に形成したので、テーパ面部をシリンダに形成する場合と比較して、高い加工精度を必要とせず、容易に製造することができる。
<実施形態7>
次に、図13、図14等を参照し、実施形態7について説明する。上述の実施形態1〜6では、摩擦部材がロッドの外周面との間で生じる摩擦力により減衰力を発生する形態を例示したが、本実施形態では、シリンダの内周面との間で摩擦力が生じる形態を例示する。その他の部分において、実施形態1と略同一の構成、機能を有する部分については実施形態1と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
実施形態7の摩擦ダンパ701は、図13(A)及び(B)に示すように、シリンダ710、ロッド720、摩擦部材730、及びガイド部材(本発明に係る押圧部材として例示する)740を備えている。また、摩擦ダンパ701は、実施形態1と同様のアウターチューブ50及び弾性部材60を備えている。
シリンダ710は円筒形状に形成されている。シリンダ710の内部には収納部712が設けられている。収納部712には後述する摩擦部材730が摺動自在に収納されている。シリンダ710の端部10B寄りの内部には縮径部13が形成されている。縮径部13は収納部712に隣接して設けられている。
ロッド720は、軸方向に往復移動自在であり、その一部がシリンダ710に収納されている。ロッド720は円柱状に形成されており、一方の端部20Aがシリンダ710の端部10Aから突出した状態で配されている。ロッド720の一方の端部20Aの外周面には第1ねじ部721が形成されている。第1ねじ部721には後述するガイド部材740が螺合により取り付けられている。また、ロッド720は、一方の端部20A側がガイド部材740を介してシリンダ710の内周面に支持され、他方の端部20B側がシリンダ710の縮径部13に挿通されて支持されている。また、ロッド720は当接部722を有している。当接部722はロッド720の端部20B寄りに設けられている。当接部722は、ロッド720の外周面20Cから径方向外側に拡径したフランジ状に形成されている。当接部722には後述する摩擦部材730が当接している。
摩擦部材730は、シリンダ710の内周面とロッド720の外周面の間に配置されている。詳細には、摩擦部材730は円筒状に形成されており、その内周面730Cをロッド720の外周面20Cに当接させてロッド720を挿通するとともに、その外周面730Dをシリンダ710の収納部712の内周面に摺動自在に当接させてシリンダ710内に収納されている。また、摩擦部材730は、一方の端面30Aがロッド720の当接部722に当接している。摩擦部材730の他方の端面30Bは、後述するガイド部材740の押圧部743に押圧されつつ当接している。
摩擦部材730は、シリンダ710とロッド720の間の相対移動により摩擦力を生じて減衰力を発生する。本実施形態の場合、摩擦部材730は、ロッド720がシリンダ710に対して軸方向に相対移動することにより、その外周面730Dと、シリンダ710の収納部712の内周面との間に摩擦力を生じさせる。すなわち、実施形態7の摩擦ダンパ701において、摩擦面とは、摩擦部材730の外周面730D及びシリンダ710の収納部712の内周面である。そして、これら摩擦面同士の摺動により生じる摩擦力は、ロッド720の軸方向の移動を抑制する減衰力として作用する。
ガイド部材740は摩擦部材730の軸方向に摩擦部材730を押圧する。本実施形態においては、ガイド部材740は、ロッド720の端部20A側から当接部722の方向に向かって摩擦部材730を押圧しつつ、当接部722を有するロッド720に取り付けられている。ガイド部材740は、その外径がシリンダ710の収納部712の内径と略同等の円筒形状に形成されている。ガイド部材740の外周面741は、シリンダ710の収納部712の内周面に摺動自在に当接している。また、ガイド部材740は第2ねじ部742と押圧部743とを有している。第2ねじ部742はガイド部材740の内周面に形成されている。ガイド部材740は、第2ねじ部742がロッド720の第1ねじ部721に螺合していることによってロッド720に取り付けられている。
押圧部743は、円筒形状をなすガイド部材740の一方の端部に形成されている。押圧部743は、第2ねじ部742の一端から軸方向に突出して形成されている。ガイド部材740は、端部20A側からロッド720を挿通するとともに、押圧部743をロッド720の端部20Bの方向に向けてロッド720を挿通している。押圧部743は摩擦部材730の端面30Bから当接部722の方向に向かって摩擦部材730を押圧しつつ、当接部722を有するロッド720に取り付けられている。このように、本実施形態では、摩擦部材730及びガイド部材740はロッド720に取り付けられている。したがって、摩擦部材730は、図13(A)及び(B)に示すように、摩擦ダンパ701の伸縮時には、上述の実施形態1〜6とは異なり、ロッド720とともにシリンダ710に対して相対移動する。
なお、ガイド部材740の押圧部743の反対側の端部には、実施形態1と同様に、第2ねじ部742の螺合の際に工具を係合させる図示しない係合部が形成されている。
図14(A)に示すように、摩擦部材730は、押圧部材としてのガイド部材740に押圧される前の状態では、シリンダ710の内径よりも小さい外径を有しており、シリンダ710の内周面との間のクリアランスが確保されている。このように、摩擦ダンパ701の組み立て時には、摩擦部材730の外周面730Dとシリンダ710の収納部712の内周面とが当接しない状態、又は、周方向の一部のみが片当たりする状態で、摩擦部材730を収納部712に収納することができる。すなわち、シリンダ710と摩擦部材730の組み付けは、摩擦面である摩擦部材730の外周面730D及びシリンダ710の内周面同士の摩擦力が殆ど生じない状態で行うことができる。
そして、図14(B)に示すように、ガイド部材740をロッド720に取り付けたときには、摩擦部材730は、ガイド部材740に押圧されて径方向に変形する。詳細には、ガイド部材740の第2ねじ部742をロッド720の第1ねじ部721に螺合させてガイド部材740をロッド720に取り付けたときには、摩擦部材730は、ガイド部材740の押圧部743により軸方向に押圧されて径方向に変形し、外周面730Dがシリンダ710の内周面に摺動自在に当接する。このため、シリンダ710とロッド720の間の相対移動によって摩擦部材730の外周面730Dとシリンダ710の内周面との間で適切な摩擦力を生じさせることができる。
また、ガイド部材740は、実施形態1のロッドガイド40と同様に、第1ねじ部721に螺合する第2ねじ部742の締め込み量に応じて、押圧部743による摩擦部材730への押圧力を変化させることができる。そして、摩擦部材730は、第1ねじ部721に対する第2ねじ部742の締め込み量に応じて当接部722とガイド部材740との間の距離が変化することで、変形量が調整される。このように、摩擦ダンパ701もまた、第1ねじ部721に螺合する第2ねじ部742の締め込み量を調整することで、摩擦部材730の外周面730Dとシリンダ710の内周面との当接面積や当接圧力を変化させて摩擦力を調整することができる。
なお、本実施形態では、摩擦部材730の内径は、押圧部材としてのガイド部材740に押圧される前の状態において、ロッド720の外径と略同等である。しかし、摩擦部材730の外周面側にクリアランスが確保されている、すなわち径方向外側に変形代があるので、摩擦部材730とロッド720との組み付けも容易である。
このように、実施形態7の摩擦ダンパ701もまた、実施形態1の摩擦ダンパ1と同様の作用効果を奏し、容易に組み付けることができる。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態1〜7に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施形態1〜7では、摩擦部材として硬度70°のウレタンゴムからなる摩擦部材を例示したが、これら硬度、材質や形成形態等は必須ではない。例えば、金属等の他の材質の表面にウレタンゴム等の樹脂をコーティングする等、複数種類の材質からなる摩擦部材を採用してもよい。また、異なる硬度のウレタンゴムを採用してもよい。また、ニトリルゴム等のウレタンゴム以外の材質からなる摩擦部材を採用してもよい。
(2)実施形態1〜7では、弾性部材としての圧縮コイルばねにより摩擦ダンパを伸長させる方向に弾性力を付与する形態を例示したが、これは必須ではない。また、弾性部材を備える場合には、その形状、大きさ、材質、配置形態等は特に限定されない。
(3)実施形態1〜7では、摩擦ダンパが、底部及び筒部を有するとともに底部にロッドの一端部が連続するアウターチューブと、ロッドの外周に配された弾性部材とを備え、このアウターチューブの底部を介して、ロッドの一端部のシリンダからの突出長さが長くなる方向へ弾性部材の弾性力が付与される形態を例示したが、この場合、アウターチューブの筒部は必須ではない。すなわち、アウターチューブを備える形態に替えて、例えば、ロッドの一端部が連続して弾性部材の弾性力を受ける円板状の部材等の他の部材を備える形態や、ロッドの一端部を拡径して弾性部材を直接受ける形態としてもよい。
(4)実施形態1〜7では、押圧部材としてのロッドガイド又はガイド部材を螺合によりシリンダ又はロッドに係合して摩擦部材を押圧する形態や、かしめによって押圧する形態を例示したが、これらに替えて、圧入等の他の係合形態により摩擦部材を押圧する形態としてもよい。
(5)実施形態1〜6では、摩擦部材がその内周面をロッドの外周面に摺動自在に当接して摩擦力を発生する形態であるとともに、押圧部材に押圧される前の状態において、ロッドの外径よりも大きい内径を有する形態を例示したが、これに加えて、摩擦部材がシリンダの内径よりも小さい外径を有する形態としてもよい。この場合、摩擦部材とシリンダとの組み付けも容易に行うことができる。またこの場合、摩擦部材の外径は、シリンダの内径よりも僅かに小さい程度であることが好ましい。摩擦部材が押圧部材により軸方向に押圧された際に、摩擦面でない外周面側の変形を最小限に留めることができるからである。同様に、実施形態7のように摩擦部材がその外周面をシリンダの内周面に摺動自在に当接して摩擦力を発生する形態の場合には、押圧部材に押圧される前の状態において、摩擦部材がシリンダの内径よりも小さい外径を有することに加えて、ロッドの外径よりも大きい内径を有する形態としてもよい。
(6)実施形態7では、摩擦部材が円筒状に形成された形態を例示したが、内周面に第1テーパ面部を有する筒状に形成された形態としてもよい。すなわち、摩擦部材が、シリンダの内周面に摺動自在に当接しているとともに、内径が押圧部材に当接する他端側から一端側に向かって拡径する第1テーパ面部を有する形態としてもよい。この場合、第1テーパ面部に対向して当接する第2テーパ面部は、当接部としてロッドに形成されていたり、他の摩擦部材に形成されていたりすることができる。
1,201,301,401,501,601,701…摩擦ダンパ、10,310,510,710…シリンダ、10A,10B,310A…シリンダの端部、10C,10D…シリンダの外周面、10E…段差部、11,411,721…第1ねじ部、12,412,712…収納部、13…縮径部、14,722…当接部、15…シリンダ側ジョイント部、15A…貫通孔、20,720…ロッド、20A,20B…ロッドの端部、20C…ロッドの外周面、21…ボルト、22…ワッシャ、30,230,530,630,730…摩擦部材、30A,30B,630A,630B…摩擦部材の端面、30C,230C,630C,730C…摩擦部材の内周面、40,240…ロッドガイド(押圧部材)、41…挿通孔、42,242,441,742…第2ねじ部、43…凸状部、50…アウターチューブ、51…アウターチューブの底部、52…アウターチューブの筒部、53…ロッド側ジョイント部、53A…貫通孔、60…弾性部材、61…ワッシャ、242A…第2ねじ部の端面、340…かしめ部、410…第1シリンダ部材、410A…第1シリンダ部材の端部、440…第2シリンダ部材、440A…第2シリンダ部材の端部、441…第2ねじ部、442…第2収納部、443…第2縮径部、444…第2当接部、514,632A…第2テーパ面部、530A,631A…第1テーパ面部、631…第1摩擦部材、632…第2摩擦部材、730D…摩擦部材の外周面、740…ガイド部材(押圧部材)、741…ガイド部材の外周面、743…押圧部

Claims (8)

  1. 筒状のシリンダと、
    軸方向に往復移動自在であり、一部が前記シリンダに収納されたロッドと、
    前記シリンダの内周面と前記ロッドの外周面との間に配置された筒状の摩擦部材と、
    前記摩擦部材の軸方向に前記摩擦部材を押圧する押圧部材と、
    を備えており、
    前記摩擦部材は、前記押圧部材により押圧される前の状態において前記ロッドの外径よりも大きい内径又は前記シリンダの内径よりも小さい外径の少なくとも一方を有しており、前記押圧部材に押圧されて径方向に変形し、前記ロッドの外周面又は前記シリンダの内周面に摺動自在に当接していることを特徴とする摩擦ダンパ。
  2. 前記シリンダ又は前記ロッドは、一端側に設けられて前記摩擦部材に当接する当接部を有しており、
    前記押圧部材は、前記シリンダ又はロッドの他端側から前記当接部の方向に向かって前記摩擦部材を押圧しつつ、前記当接部を有する前記シリンダ又は前記ロッドに取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の摩擦ダンパ。
  3. 前記シリンダ又は前記ロッドは、前記シリンダの内周面又は前記ロッドの外周面に形成された第1ねじ部を有し、
    前記押圧部材は、外周面又は内周面に形成されて前記第1ねじ部に螺合する第2ねじ部を有する筒状に形成されており、
    前記摩擦部材は、前記第1ねじ部に対する前記第2ねじ部の締め込み量に応じて前記当接部と前記押圧部材との間の距離が変化することで、変形量が調整されることを特徴とする請求項2記載の摩擦ダンパ。
  4. 前記第1ねじ部及び前記第2ねじ部は、前記摩擦部材の軸方向の両端部の間に配置されていることを特徴とする請求項3記載の摩擦ダンパ。
  5. 前記摩擦部材は、前記ロッドの外周面に摺動自在に当接しているとともに、外径が前記押圧部材に当接する前記他端側から前記一端側に向かって縮径する第1テーパ面部を有しており、
    前記第1テーパ面部に対向して当接する第2テーパ面部を有していることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の摩擦ダンパ。
  6. 前記第2テーパ面部は前記当接部であることを特徴とする請求項5記載の摩擦ダンパ。
  7. 前記摩擦部材は、前記第1テーパ面部が形成された第1摩擦部材及び前記第2テーパ面部が形成された第2摩擦部材を有して構成されていることを特徴とする請求項5記載の摩擦ダンパ。
  8. 前記当接部は前記シリンダに設けられており、
    前記押圧部材は、前記シリンダの一方の端部を内側にかしめて形成したかしめ部であることを特徴とする請求項2に記載の摩擦ダンパ。
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