JP2018168720A - エンジンのオイルセパレータ構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】高いブローバイガスの処理性能を備えながら、ブローバイガス通路への乳化物の堆積を抑制することができるエンジンのオイルセパレータ構造を提供する。【解決手段】オイルセパレータ部5は、ブローバイガスの通路を有する。ブローバイガスの通路は、当該通路を囲む内壁面の一部から立設された絞り壁部44により、当該ブローバイガスの流れ方向の上流側室5aと下流側室5bとに仕切られている。絞り壁部44には、2室5a,5bを連通する連通孔44a及び絞り孔44bがあけられている。連通孔44a及び絞り孔44bは、上流側室5aの流路断面積に比べて流路が絞られている。仕切板4の本体部40のZ方向下側には、オイル通路6が設けられている。絞り壁部44は、オイル通路6に対して熱結合されている。なお、オイル通路6には、噴出孔6cがあけられている。流通してきたオイルは、噴出孔6cからカムシャフトに噴出される。【選択図】図6

Description

本発明は、エンジンのオイルセパレータ構造に関する。
自動車等の車両に搭載されるエンジンにおいては、燃焼室内での燃焼に伴い、クランクケース内にブローバイガスが漏れ出る。このようなブローバイガスは、含まれているオイルミストを除去して後、吸気系に戻して燃焼室に還流させる構成が従来から採用されている。
ここで、ブローバイガス中に含まれているオイルミストを分離するために、ブローバイガス通路中に、流路を絞った孔部と、当該孔部の出口において、孔部を通ったブローバイガスを衝突させるための壁部と、を設けた構造が採用されることもある(例えば、特許文献1)。
特許文献1では、上記構造を採用することにより、高効率なオイル分離が実現できる、とされている。
特開2000−45750号公報
ところで、外気温が低く、エンジンが駆動していないような状況においては、ブローバイガス中に含まれている水分とオイル分とが混合し乳化することがある。このように生成された乳化物は、低温状況下において、オイルセパレータにおけるブローバイガス通路を囲む壁に付着・堆積する。この結果、ブローバイガスの流通抵抗が増大し、エンジンを始動した際のオイル分離に係る処理性能の低下をもたらす。
特に、上記特許文献1に開示の技術のように、ブローバイガスの流路を絞るための孔部が設けられてなるオイルセパレータ構造の場合には、孔部に乳化物が堆積するとブローバイガスの流路が閉塞されるに至ることも考えられ、対策が望まれる。
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、高いブローバイガスの処理性能を備えながら、ブローバイガス通路への乳化物の堆積を抑制することができるエンジンのオイルセパレータ構造を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るエンジンのオイルセパレータ構造は、ブローバイガスが流通する通路を有し、当該通路を流通するブローバイガス中に含まれるオイルミストを液化してオイルを分離・回収する構造である。
本態様において、前記ブローバイガスの通路は、当該通路を囲む内壁面の一部から立設された壁部により、当該ブローバイガスの流れ方向の上流側と下流側とで2室に仕切られており、前記2室を仕切る前記壁部には、少なくとも前記上流側の部屋の流路断面積に比べて流路が絞られ、前記2室を連通する連通孔が設けられている。そして、前記ブローバイガスの通路に対し隣接する箇所に、前記エンジンに対して供給するためのオイルの通路であるオイル通路が設けられており、前記2室を仕切る前記壁部は、前記オイル通路に熱結合されている。
上記態様に係るエンジンのオイルセパレータ構造では、2室を仕切る壁部(以下、「絞り壁部」と記載する。)とオイル通路とが熱結合されている。このため、外気温が低い状態で、乳化物が連通孔に堆積された場合にあっても、エンジンの始動によりオイル通路を流通するオイルの熱が絞り壁部に伝達される。よって、仮に乳化物が連通孔に堆積した場合にあっても、オイルの熱により絞り壁部が加温され、連通孔に堆積された乳化物が液化・除去される。
また、上記態様に係るエンジンのオイルセパレータ構造では、絞り壁部にあけられた連通孔により、当該連通孔を通過する際のブローバイガスの流速が増速され、オイルミストの分離が高効率になされる。
従って、上記態様に係るエンジンのオイルセパレータ構造では、高いブローバイガスの処理性能を備えながら、ブローバイガス通路(特に、絞り壁部の連通孔)への乳化物の堆積を抑制することができる。
本発明の別態様に係るエンジンのオイルセパレータ構造は、上記構成において、前記ブローバイガスの通路は、椀状のヘッドカバーと、当該ヘッドカバーの開口部の一部を塞ぐ仕切板と、で構成されており、前記壁部は、前記仕切板から立設されており、前記オイル通路は、前記仕切板に沿って配設されている。
上記態様に係るエンジンのオイルセパレータ構造では、オイル通路が仕切板に沿って配設されているので、オイル通路を流通するオイルの熱が、仕切板にも伝達される。よって、仕切板の温度上昇により、ブローバイガスの通路内における上記連通孔以外に堆積された乳化物も液化され、ブローバイガスの処理性能をさらに高めることができる。
本発明の別態様に係るエンジンのオイルセパレータ構造は、上記構成において、前記オイル通路は、前記仕切板と、断面U字状又は断面コの字状を有する通路構成部材とが、液密に接合されることにより構成されている。
上記態様に係るエンジンのオイルセパレータ構造では、仕切板に通路構成部材が接合されることにより、オイル通路が構成されている。即ち、仕切板もオイル通路の構成部の一部となっており、流通するオイルの熱がブローバイガスの通路に伝達され易い。よって、上記態様に係るエンジンのオイルセパレータ構造では、さらに乳化物の液化を促進することができ、より高いブローバイガスの処理が可能である。
本発明の別態様に係るエンジンのオイルセパレータ構造は、上記構成において、前記オイル通路は、前記仕切板に対して、前記ヘッドカバーの側とは反対側に設けられており、前記仕切板の板厚方向から平面視する場合において、前記壁部と前記オイル通路とは、互いの一部同士が重なり合う位置関係を以って配置されている。
上記態様に係るエンジンのオイルセパレータ構造では、平面視において、絞り壁部とオイル通路とが互いの一部同士が重なり合うようになっているので、オイル通路中を流通するオイルの熱が、仕切板の板厚分だけの距離を以って絞り壁部に伝達される。よって、オイルの熱が高効率に絞り壁部に伝達され、連通孔に堆積した乳化物が確実に液化される。
本発明の別態様に係るエンジンのオイルセパレータ構造であって、上記構成において、前記オイル通路を挟み、前記仕切板とは反対側には、カムシャフトが配設されており、前記オイル通路には、前記カムシャフトに対して通路内のオイルを噴出するための噴出孔があけられている。
上記態様に係るエンジンのオイルセパレータ構造では、オイル通路に噴出孔が設けられ、流通してきたオイルは、カムシャフトに噴出される。即ち、上記態様に係るエンジンのオイルセパレータ構造では、カムシャフトを潤滑するためのオイルの熱を用い、オイルセパレータ内に堆積した乳化物を液化・除去することとしている。よって、別途、堆積した乳化物を液化・除去するためのオイル通路や電熱ヒータ等を設ける場合に比べて、構成を簡略化することができるので、スペース効率を効率化することができ、また、製造コストの上昇を抑えることができる。
なお、カムシャフトの潤滑を行うために供給されるオイルは、エンジン始動後に早期に温度が上昇するので、乳化物を液化するのに好適である。
本発明の別態様に係るエンジンのオイルセパレータ構造は、上記構成において、前記2室のうちの前記下流側の部屋には、前記連通孔の出口に対して間隙をあけて対向する捕集部材が設けられている。
上記態様に係るエンジンのオイルセパレータ構造では、連通孔の出口に対して間隙をあけて対向する捕集部材が設けられているので、分離されたオイルが再びブローバイガスに混入してしまうことが抑制でき、高いブローバイガスの処理性能を実現するのに優位である。
本発明の別態様に係るエンジンのオイルセパレータ構造は、上記構成において、前記ブローバイガスの通路における上流端には、当該通路に前記ブローバイガスを導入するためのブローバイガス導入部が設けられており、前記オイル通路は、前記ブローバイガスの通路に対して隣接する箇所の上流端に、オイル導入部を有し、前記ブローバイガス導入部は、前記オイル通路における前記オイル導入部に熱結合されている。
上記態様に係るエンジンのオイルセパレータ構造では、ブローバイガス導入部に対してもオイル通路が熱結合されているので、オイルセパレータに導入されるブローバイガスを加温することができ、ブローバイガスの流通路全体に亘り乳化物の液化を図ることが可能となる。よって、上記態様に係るエンジンのオイルセパレータ構造では、より高いブローバイガスの処理性能を実現することが可能となる。
本発明の別態様に係るエンジンのオイルセパレータ構造は、上記構成において、前記オイル通路は、その延伸方向である第1方向に対して直交する第2方向の通路幅が、前記第1方向及び前記第2方向の双方向に直交する第3方向の通路深さに対して広い。
上記態様に係るエンジンのオイルセパレータ構造では、断面において扁平形状のオイル通路を採用することにより、流通するオイルの熱を効果的にブローバイガスの通路へと伝達させることができる。よって、上記態様に係るエンジンのオイルセパレータ構造では、より高いブローバイガスの処理性能を実現することが可能となる。
なお、本明細書において「熱結合」とは、第1の部位と第2の部位との間において、熱伝達可能な状態であることを意味し、第1の部位と第2の部位とが直に当接状態にあるか否かは問わない。
上記の各態様に係るエンジンのオイルセパレータ構造では、高いブローバイガスの処理性能を備えながら、ブローバイガス通路への乳化物の堆積を抑制することができる。
実施形態に係るエンジン1におけるシリンダヘッド2内の構造を示す模式断面図である。 オイル通路6,9を、図1の矢印Aの側から平面視して示す模式平面図である。 オイル通路6,9を、図1の矢印Bの側から平面視して示す模式平面図である。 図1のIV−IV断面を示す図であって、シリンダヘッド2内の構造を示す模式断面図である。 仕切板4の構成を示す模式斜視図である。 オイルセパレータ部5の一部構成を示す模式断面図である。 仕切板4における絞り壁部44とオイル通路6との配置関係を示す模式断面図である。 変形例1に係る仕切板12における絞り壁部120とオイル通路13,14との配置関係を示す模式断面図である。 変形例2に係る仕切板15における絞り壁部44とオイル通路部150aとの配置関係を示す模式断面図である。
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一態様であって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
[実施形態]
1.エンジン1におけるシリンダヘッド2の構成
実施形態に係るエンジン1におけるシリンダヘッド2の構成について、図1から図4を用い説明する。なお、本実施形態に係るエンジン1は、一例として4気筒のガソリンエンジンである。
図1に示すように、本実施形態に係るエンジン1のシリンダヘッド2には、オイルセパレータ部(オイルセパレータ構造)5が設けられている。オイルセパレータ部5は、椀状のヘッドカバー3と、当該ヘッドカバー3におけるZ方向下側の開口部を塞ぐ仕切板4と、で構成されている。
オイルセパレータ部5では、X方向左端のブローバイガス導入部42から導入されたブローバイガスが、X方向右側の排出路7に向けて流通する。排出路7には、詳しい図示を省略しているが、PCV(Positive Crankcase Breather)バルブ8が内装されている。
オイルセパレータ部5では、流通するブローバイガス中に含まれるオイルミストが分離・液化される。分離・液化されたオイルは、オイルセパレータ部5におけるX方向中程の部分に設けられたオイル溜容器41に貯留され、クランクケースへと戻される。
なお、仕切板4における本体部40には、Z方向下側部分にオイル通路6が設けられている。
図2及び図3に示すように、オイル通路6は、エンジン1の気筒列方向(X方向)に沿って延設されている。オイル通路6には、オイル導入部6bから導入されたオイルが、導入基部6aを通りX方向右側の奥部分に向けて流通する。そして、図2に示すように、オイル通路6には、複数の噴出孔6cがあけられており、図3に示すように、オイル通路6の下方に配されたカムシャフト10に向けて、噴出孔6cからオイルが噴出されるようになっている。
なお、オイル通路6における導入基部6aは、ブローバイガス導入部42に隣接しており、熱結合された状態となっている。
図4に示すように、オイル通路6は、仕切板4の本体部40のZ方向下面に対して、断面U字状又は断面コの字状の通路構成部材60を液密に接合することにより構成されている(矢印Cで指し示す部分を参照)。このような構成により、オイル通路6は、仕切板4の本体部40に対して、熱結合された状態となっている。
また、図2及び図3に示すように、本実施形態に係るエンジン1のシリンダヘッド2においては、オイル通路6に対して、Y方向に間隔をあけてオイル通路9も設けられている。オイル通路9についても、オイル導入部6bから導入されたオイルが、導入基部6aを通りX方向右側の奥部分に向けて流通する。そして、オイル通路9にも、複数の噴出孔9cがあけられており、図3に示すように、オイル通路6の下方に配されたカムシャフト11に向けて、噴出孔9cからオイルが噴出されるようになっている。
なお、図4に示すように、オイル通路9は、ヘッドカバー3のZ方向下面に対して、断面U字状又は断面コの字状の通路構成部材90を液密に接合することにより構成されている。
2.仕切板4の構成
仕切板4の構成について、図5及び図6を用い説明する。なお、図5及び図6では、図示の都合上、オイル溜容器41については図示を省略している。
図5に示すように、仕切板4は、板体である本体部40と、上述のオイル溜容器41と、ブローバイガスの導入部であるブローバイガス導入部42と、分離壁部43と、絞り壁部44と、捕集部材45と、オイル通路6の端部を支持する支持部47と、を有する。
本体部40は、カムシャフト6の延伸方向に沿ってX方向に細長い形状を有している。また、X方向の一端部分からは、支持部47が延伸している。
分離壁部43は、本体部40のZ方向上側の主面からZ方向上向きに立設されている。分離壁部43は、Y−Z面方向に設けられた2枚の板部と、当該2枚の板部間を繋ぐ連結板部と、が一体に形成されてなる。分離壁部43は、ヘッドカバー3に設けられた垂下板部との組み合わせにより、ラビリンス構造を構成し、これによりブローバイガス中に含まれるオイルミストをその自重で液化・捕集する。
絞り壁部44は、本体部40のZ方向上側の主面であって、X方向の中程の部分において、Z方向上向きに立設されている。オイルセパレータ部5は、絞り壁部44よりもブローバイガス導入部42側の部分が上流側の部屋であり、絞り壁部44に対してブローバイガス導入部42とは反対側の部分が下流側の部屋である。そして、図6に示すように、絞り壁部44の外周部には、ヘッドカバー3の接合板部31が気密状態で接合される。このため、ブローバイガスの通路(オイルセパレータ部5)は、絞り壁部44を境に、上流側の部屋と下流側の部屋との2室に仕切られている。
図5及び図6に示すように、絞り壁部44には、3つの連通孔44aが開けられており、各連通孔44aには、絞り孔44bが連続している。これにより、オイルセパレータ部5における上流側の部屋と下流側の部屋とは、3つの連通孔44a及び絞り孔44bを通してだけ連通しており、他の部分は塞がれている。
図6に示すように、捕集部材45の捕集部と絞り壁部44との間には、間隙SPがあくようになっている。
なお、本実施形態においては、一例として不織布を用い捕集部材45の捕集部を形成している。
ここで、図6に示すように、エンジン1の駆動中においては、絞り壁部44よりも下流側の部屋5bは、上流側の部屋5aよりも負圧になる。
3.オイルミストの分離・回収
本実施形態に係るオイルセパレータ部5では、上流側の部屋(上流側室)5aにおいて分離壁部43を含むラビリンス構造にてオイルミストが分離されるのと、絞り壁部44と捕集部材45との組み合わせによっても、オイルミストが分離・捕集される。
図6に示すように、絞り壁部44には、連通孔44aとこれに連続する絞り孔44bとがあけられている。上流室5aからのブローバイガスは、連通孔44a及び絞り孔44bを通ることで増速される。そして、増速されたブローバイガスは、間隙SPをあけて配された捕集部材45の捕集部に衝突する。これにより、ブローバイガス中のオイルミストが分離され、捕集部材45の捕集部を介して液化される。
4.乳化物の液化
本実施形態に係るエンジン1のオイルセパレータ部5での乳化物の発生メカニズムと、その液化メカニズムについて、図7を用い説明する。
外気温が低く、エンジン1が駆動していないような状況においては、ブローバイガス中に含まれている水分とオイル分とが混合し乳化することがある。このような乳化物は、低温状況下で固化し、オイルセパレータ部5におけるブローバイガス通路を囲む壁に付着・堆積する。このような乳化物が絞り壁部44の連通孔44aや絞り孔44bの孔内に堆積してしまうと、エンジン1を始動させた場合におけるブローバイガスの流通路の一部又は全部が塞がれてしまうことになる。
オイルセパレータ部5において、ブローバイガスの流通路の一部が塞がれてしまうと、処理性能の低下をもたらしてしまう。
図7に示すように、本実施形態に係るエンジン1では、仕切板4において、本体部40における絞り壁部44が設けられた部分の下部には、オイル通路6が設けられている。オイル通路6は、図6に示すように、下方に配されたカムシャフト10(図3を参照。)に対して噴出する潤滑用のオイルが流通する通路である。
本実施形態に係るエンジン1のオイルセパレータ部5では、乳化物が固化し、絞り壁部44などに堆積した場合にあっても、エンジン1を始動することでオイル通路6を流通するオイルからの熱が絞り壁部44に伝達される。そして、伝達された熱は、図7の矢印で示すように、絞り壁部44の上部に向けて伝導され、連通孔44a及び絞り孔44bの周辺にも及ぶ。よって、連通孔44a及び絞り孔44bに堆積された乳化物が加熱により液化され除去され、これにより堆積物の累積的な増大が抑制される。
図7では、絞り壁部44とオイル通路6との関係だけを示したが、オイルセパレータ部5における他の部分に堆積した乳化物についても、仕切板4の本体部40を介して伝達されるオイルからの熱により液化され除去される。
5.効果
本実施形態に係るエンジン1のオイルセパレータ部5では、図7を用い説明したように、絞り壁部44とオイル通路6とが熱結合されている。このため、オイルセパレータ部5において、外気温が低い状態で、乳化物が連通孔に堆積された場合にあっても、エンジン1の始動によりオイル通路6を流通するオイルの熱が絞り壁部44に伝達される。よって、絞り壁部44の連通孔44aなどの乳化物が堆積した場合にあっても、オイルの熱により絞り壁部44が加温され、乳化物が液化され除去される。
また、本実施形態に係るエンジン1のオイルセパレータ部5では、絞り壁部44にあけられた連通孔44a及び絞り孔44bにより、当該連通孔44a及び絞り孔44bを通過する際のブローバイガスの流速が増速され、オイルミストの分離が高効率になされる。
従って、本実施形態に係るエンジン1のオイルセパレータ部5では、高いブローバイガスの処理性能を備えながら、ブローバイガス通路への乳化物の堆積を抑制することができる。
また、本実施形態に係るエンジン1のオイルセパレータ部5では、図2及び図3に示したように、オイル通路6が仕切板4に沿って配設されているので、オイル通路6を流通するオイルの熱が、仕切板4に伝達される。よって、仕切板4の温度上昇により、ブローバイガスの通路内における他の部分(絞り壁部44以外の部分)での乳化物も液化され、ブローバイガスの処理性能をさらに高めることができる。
また、本実施形態に係るエンジン1のオイルセパレータ部5では、仕切板4の下面(Z方向下側の主面)に通路構成部材60が接合されることにより、オイル通路6が構成されている。これより、仕切板4の本体部40もオイル通路6の構成部の一部となっており、流通するオイルの熱がブローバイガスの通路に伝達され易い。よって、本実施形態に係るエンジン1のオイルセパレータ部5では、さらに乳化物の液化を促進することができ、より高いブローバイガスの処理が可能である。
本実施形態に係るエンジン1のオイルセパレータ部5では、図7などに示すように、Z方向からの平面視において、絞り壁部44とオイル通路6とが互いの一部同士が重なり合うようになっているので、オイル通路6中を流通するオイルの熱が、仕切板4の本体部40の板厚分だけの距離を以って絞り壁部44に伝達される。よって、オイルの熱が高効率に絞り壁部44に伝達され、連通孔44a及び絞り孔44bに堆積した乳化物が確実に液化され除去される。
本実施形態に係るエンジン1のオイルセパレータ部5では、オイル通路6に噴出孔6cが設けられ、流通してきたオイルは、カムシャフト10に噴出される。即ち、本実施形態に係るエンジン1のオイルセパレータ部5では、カムシャフト10を潤滑するためのオイルを用い、オイルセパレータ部5内の乳化物を液化することとしている。よって、別途、乳化物を液化するためのオイル通路や電熱ヒータ等を設ける場合に比べて、構成を簡略化することができ、スペース効率を効率化することができ、また、製造コストの上昇を抑えることができる。
なお、カムシャフト10の潤滑を行うために供給されるオイルは、エンジン1の始動後に早期に温度が上昇するので、乳化物を液化するのに好適である。
本実施形態に係るエンジン1のオイルセパレータ部5では、絞り孔44bの出口に対して間隙SPをあけて対向する捕集部材45が設けられているので、分離されたオイルが再びブローバイガスに混入してしまうことが抑制でき、高いブローバイガスの処理性能を実現するのに優位である。
本実施形態に係るエンジン1のオイルセパレータ部5では、図2を用い説明したように、ブローバイガス導入部42に対してもオイル通路6が熱結合されているので、オイルセパレータ部5に導入されるブローバイガスを加温することができ、ブローバイガスの流通路(オイルセパレータ部5)全体に亘り乳化物の液化を図ることが可能となる。よって、本実施形態に係るエンジン1のオイルセパレータ部5では、より高いブローバイガスの処理性能を実現することが可能となる。
本実施形態に係るエンジン1のオイルセパレータ部5では、図7に示すような、扁平断面形状のオイル通路6を採用することにより、流通するオイルの熱を効果的にブローバイガスの通路(オイルセパレータ部5)へと伝達させることができる。よって、本実施形態に係るエンジン1のオイルセパレータ部5では、より高いブローバイガスの処理性能を実現することが可能となる。
[変形例1]
変形例1に係るエンジンのオイルセパレータ部の構成について、図8を用い説明する。なお、図8では、本変形例1と上記実施形態との差異部分であるオイル通路13,14とその周辺部分を抜き出して図示している。なお、図示及び説明を省略する構成については、上記実施形態と同様の構成を採用することができる。
図8に示すように、仕切板12の本体部120には、2本のオイル通路13,14が設けられている。2本のオイル通路13,14は、本体部120の板厚方向からの平面視において、絞り壁部44と一部が重なり合う位置に配されている。
本変形例1に係るエンジンのオイルセパレータ部においても、オイル通路13,14を流通するオイルの熱が、本体部120を介して絞り壁部44に伝達される。よって、仮に連通孔44aなどに乳化物が堆積したような場合にあっても、オイル通路13,14を流通するオイルから伝達された熱により乳化物が液化される。
従って、本変形例1においても、高いブローバイガスの処理性能を備えながら、ブローバイガス通路への乳化物の堆積を抑制することができる。
なお、本変形例1では、仕切板12に対して2本のオイル通路13,14を設けることとしたが、3本以上のオイル通路を設けることとしてもよい。また、複数のオイル通路を設ける場合において、オイル通路同士を平行に配する必要は必ずしもない。
[変形例2]
変形例2に係るエンジンのオイルセパレータ部の構成について、図9を用い説明する。なお、図9では、本変形例2と上記実施形態との差異部分である仕切板15の本体部150とその周辺部分を抜き出して図示している。なお、図示及び説明を省略する構成については、上記実施形態と同様の構成を採用することができる。
図9に示すように、本変形例2に係るエンジンのオイルセパレータ部においては、仕切板15における本体部150に対して、オイル通路部150aが一体形成されている。オイル通路部150aは、絞り壁部44の立設方向(上下方向)からの平面視において、絞り壁部44と一部が重なり合う位置に設けられている。
また、図9に示すように、本変形例2に係るオイル通路部150aは、上記実施形態に係るオイル通路6等よりも幅広に形成されている。これにより、より円滑にオイルからの熱が絞り壁部44に伝達される。
本変形例2に係るエンジンのオイルセパレータ部においても、オイル通路部150aを流通するオイルの熱が、直に絞り壁部44に伝達される。よって、仮に連通孔44aなどに乳化物が堆積したような場合にあっても、オイル通路部150aを流通するオイルから伝達された熱により乳化物が液化される。
従って、本変形例2においても、高いブローバイガスの処理性能を備えながら、ブローバイガス通路への乳化物の堆積を抑制することができる。
なお、本変形例2においても、上記変形例1のように、仕切板15に対して複数のオイル通路部を設けることとしてもよい。また、その場合には、オイル通路部同士を平行に配する必要は必ずしもない。
[その他の変形例]
上記実施形態及び変形例1,2では、シリンダヘッド2において、吸気側と排気側とのそれぞれにカムシャフト10,11が設けられてなるエンジン1を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、1本のカムシャフトを有する、所謂、シングルカムタイプのエンジンに上記構成を採用することも可能である。
上記実施形態及び変形例1,2では、オイルセパレータ部5において、分離壁部43を含むラビリンス構造でのオイル捕集部と、不織布などを有し構成された捕集部材45を含む慣性衝突構造でのオイル捕集部と、を設けることとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、上流側室及び下流側室の両方に慣性衝突構造でのオイル捕集部を設けることとしてもよい。この場合には、上流側室及び下流側室のそれぞれに設けられるオイル捕集部に対して、オイル通路を熱結合させることとすれば、上記同様の効果を得ることができる。
上記実施形態及び変形例1,2では、エンジン1として多気筒エンジンを採用することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。単気筒エンジンを採用することもできる。この場合においても、上記同様のオイルセパレータ構造を採用することにより、同様の効果を得ることができる。
上記実施形態及び変形例1,2では、カムシャフト10,11の詳細構造については言及しなかったが、中空構造のカムシャフトを採用することもできるし、中実構造のカムシャフトを採用することもできる。
上記実施形態及び変形例1では、仕切板4,12の各本体部40,120に通路構成部材60を接合することで、オイル通路6,13,14を構成することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、円環状パイプや各断面パイプなどを仕切板の本体部に接合することとしてもよい。これによっても、オイル通路内を流通するオイルからの熱がオイルセパレータ部に伝達されることになり、乳化物の液化により累積的な堆積を抑制することができる。
また、オイル通路と絞り壁部との間を、伝熱特性に優れる部材(例えば、アルミニウム合金やシリコーン系樹脂など)で接続することとしてもよい。これにより、オイル通路内を流通するオイルからの熱をより良好に絞り壁部に伝達させることができる。
上記実施形態及び変形例1では、略コの字状の断面形状を有する通路構成部材60を用いオイル通路6,12を構成することとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、略U字状の断面形状を有する通路構成部材を用いオイル通路を構成することなどもできる。
上記実施形態及び変形例1,2では、仕切壁4,12,15における絞り壁部44に3つの連通孔44a及び絞り孔44bを設けることとしたが、本発明は、これに限定を受けるものではない。設ける孔部の数については、1つ又は2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
上記実施形態及び変形例1,2では、仕切板4,12,15の構成材料については特に言及しなかったが、種々の材料を採用することができる。例えば、樹脂材料や金属材料などを採用することができる。特に、金属材料を採用する場合にあっては、熱伝導性に優れるアルミニウム合金などを採用することが好適である。あるいは、加工の容易性を考慮して樹脂材料を用いることも好適である。
また、仕切板を金属材料と樹脂材料とを組み合わせて形成することも可能である。この場合には、例えば、インサート成形などを採用することができる。
1 エンジン
2 シリンダヘッド
3 ヘッドカバー
4,12,15 仕切板
5 オイルセパレータ部
6,9,13,14 オイル通路
10,11 カムシャフト
40,120,150 本体部
44 絞り壁部
44a 連通孔
44b 絞り孔
60,90 通路構成部材
150a オイル通路部

Claims (8)

  1. ブローバイガスが流通する通路を有し、当該通路を流通するブローバイガス中に含まれるオイルミストを液化してオイルを分離・回収するエンジンのオイルセパレータ構造において、
    前記ブローバイガスの通路は、当該通路を囲む内壁面の一部から立設された壁部により、当該ブローバイガスの流れ方向の上流側と下流側とで2室に仕切られており、
    前記2室を仕切る前記壁部には、少なくとも前記上流側の部屋の流路断面積に比べて流路が絞られ、前記2室を連通する連通孔が設けられており、
    前記ブローバイガスの通路に対し隣接する箇所に、前記エンジンに対して供給するオイルの通路であるオイル通路が設けられており、
    前記2室を仕切る前記壁部は、前記オイル通路に熱結合されている、
    エンジンのオイルセパレータ構造。
  2. 請求項1記載のエンジンのオイルセパレータ構造であって、
    前記ブローバイガスの通路は、椀状のヘッドカバーと、当該ヘッドカバーの開口部の一部を塞ぐ仕切板と、で構成されており、
    前記壁部は、前記仕切板から立設されており、
    前記オイル通路は、前記仕切板に沿って配設されている、
    エンジンのオイルセパレータ構造。
  3. 請求項2記載のエンジンのオイルセパレータ構造であって、
    前記オイル通路は、前記仕切板と、断面U字状又は断面コの字状を有する通路構成部材とが、液密に接合されることにより構成されている、
    エンジンのオイルセパレータ構造。
  4. 請求項2又は請求項3記載のエンジンのオイルセパレータ構造であって、
    前記オイル通路は、前記仕切板に対して、前記ヘッドカバーの側とは反対側に設けられており、
    前記仕切板の板厚方向から平面視する場合において、前記壁部と前記オイル通路とは、互いの一部同士が重なり合う位置関係を以って配置されている、
    エンジンのオイルセパレータ構造。
  5. 請求項4記載のエンジンのオイルセパレータ構造であって、
    前記オイル通路を挟み、前記仕切板とは反対側には、カムシャフトが配設されており、
    前記オイル通路には、前記カムシャフトに対して通路内のオイルを噴出するための噴出孔があけられている、
    エンジンのオイルセパレータ構造。
  6. 請求項1から請求項5の何れか記載のエンジンのオイルセパレータ構造であって、
    前記2室のうちの前記下流側の部屋には、前記連通孔の出口に対して間隙をあけて対向する捕集部材が設けられている、
    エンジンのオイルセパレータ構造。
  7. 請求項1から請求項6の何れか記載のエンジンのオイルセパレータ構造であって、
    前記ブローバイガスの通路における上流端には、当該通路に前記ブローバイガスを導入するためのブローバイガス導入部が設けられており、
    前記オイル通路は、前記ブローバイガスの通路に対して隣接する箇所の上流端に、オイル導入部を有し、
    前記ブローバイガス導入部は、前記オイル通路における前記オイル導入部に熱結合されている、
    エンジンのオイルセパレータ構造。
  8. 請求項1から請求項7の何れか記載のエンジンのオイルセパレータ構造であって、
    前記オイル通路は、その延伸方向である第1方向に対して直交する第2方向の通路幅が、前記第1方向及び前記第2方向の双方向に直交する第3方向の通路深さに対して広い、
    エンジンのオイルセパレータ構造。
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