JP2018168422A - 銅ニッケル合金スパッタリングターゲットの製造方法、及び、銅ニッケル合金スパッタリングターゲット - Google Patents
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Abstract
【課題】結晶粒径が比較的微細でばらつきが少なく、かつ、密度が十分に高く、銅ニッケル合金の薄膜を安定して成膜することができる銅ニッケル合金スパッタリングターゲットの製造方法を提供する。【解決手段】Niを15mass%以上80mass%以下の範囲で含有し、残部がCuと不可避不純物からなる銅ニッケル合金スパッタリングターゲットの製造方法であって、ニッケル含有原料と銅原料とを含む焼結原料を、還元性雰囲気又は真空雰囲気において、前記銅原料の融点より高く、かつ、前記銅ニッケル合金スパッタリングターゲットを構成する銅ニッケル合金の固相線温度よりも低い焼結温度で保持する焼結工程S04を有し、この焼結工程S04において、前記焼結温度で保持した状態で、前記銅原料を溶融して銅液相を生じさせるとともに、この銅液相に前記ニッケル含有原料のNi原子を拡散させて前記銅液相を固化させる。【選択図】図2
Description
本発明は、ニッケルを含み、残部が銅と不可避不純物からなる銅ニッケル合金の薄膜を成膜する際に用いられる銅ニッケル合金スパッタリングターゲットの製造方法、及び、銅ニッケル合金スパッタリングターゲットに関するものである。
上述の銅ニッケル合金は、耐熱性、耐食性に優れているため、例えば特許文献1−3に記載されているように、銅配線の下地膜として使用されている。
また、40〜50mass%のNiを含む銅ニッケル合金においては、抵抗温度係数が小さいことから、例えば特許文献4に示すように、ひずみゲージ用薄膜抵抗体として使用されている。さらに、この銅ニッケル合金は、起電力が大きいことから、例えば特許文献5−7に示すように、薄膜熱電対及び補償導線として使用されている。
さらに、22mass%以下のNiを含む銅ニッケル合金においても、一般電気抵抗体や低温発熱体等として利用されている。
また、40〜50mass%のNiを含む銅ニッケル合金においては、抵抗温度係数が小さいことから、例えば特許文献4に示すように、ひずみゲージ用薄膜抵抗体として使用されている。さらに、この銅ニッケル合金は、起電力が大きいことから、例えば特許文献5−7に示すように、薄膜熱電対及び補償導線として使用されている。
さらに、22mass%以下のNiを含む銅ニッケル合金においても、一般電気抵抗体や低温発熱体等として利用されている。
上述のような銅ニッケル合金からなる薄膜は、例えばスパッタ法によって成膜される。スパッタ法に使用される銅ニッケル合金スパッタリングターゲットは、従来、例えば特許文献8,9に示すように、溶解鋳造法によって製造されている。
また、上述の銅ニッケル合金スパッタリングターゲットとしては、平板型スパッタリングターゲットや、円筒型スパッタリングターゲットが提案されている。
また、上述の銅ニッケル合金スパッタリングターゲットとしては、平板型スパッタリングターゲットや、円筒型スパッタリングターゲットが提案されている。
ここで、円筒型スパッタリングターゲットは、その外周面(円筒面)がスパッタ面とされており、ターゲットを回転しながらスパッタを実施することから、平板型スパッタリングターゲットを用いた場合に比べて連続成膜に適しており、かつ、ターゲットの使用効率に優れるといった利点を有している。このため、最近では、円筒型スパッタリングターゲットのニーズが増える傾向にある。
ところで、溶解鋳造法によって銅ニッケル合金からなるスパッタリングターゲットを製造した場合、結晶粒径が粗大化する傾向にある。スパッタリングターゲットの結晶粒径が粗大化した場合には、異常放電が発生しやすくなり、スパッタ成膜を安定して実施することができなくなるおそれがあった。
また、溶解鋳造法によって円柱型インゴットを製造し、この円柱型インゴットに対して切削加工して円筒型スパッタリングターゲットを製造する場合、材料歩留りが悪く、かつ、切削加工に時間を要し、円筒型スパッタリングターゲットを効率良く製造することができなかった。
さらに、溶解鋳造法で得られたインゴットに塑性加工してスパッタリングターゲットを製造する場合、塑性加工時に割れが発生するおそれがあった。
また、円筒形状の鋳型に鋳込んで円筒型インゴットを製造する場合には、鋳造欠陥が生じやすく、かつ、結晶粒径が部分的に粗大化してしまうといった問題があった。
さらに、溶解鋳造法で得られたインゴットに塑性加工してスパッタリングターゲットを製造する場合、塑性加工時に割れが発生するおそれがあった。
また、円筒形状の鋳型に鋳込んで円筒型インゴットを製造する場合には、鋳造欠陥が生じやすく、かつ、結晶粒径が部分的に粗大化してしまうといった問題があった。
さらに、上述のスパッタリングターゲットを焼結法によって製造した場合、焼結時に空隙が生じ、密度を向上させることが難しく、スパッタ時に異常放電が発生しやすくなるといった問題があった。
また、ホットプレス法を用いた場合には、圧力差によって密度のばらつきが生じ、やはり、スパッタ時に異常放電が発生しやすくなるといった問題があった。
さらに、熱間静水圧プレス法を用いた場合には、原料を容器内に充填することから、容器の準備が必要であり、さらに焼結後に焼結体を容器から取り外すため、容器を切削加工で除去する必要があり、コストアップとなる。また、容器が密閉されるため、焼結体の酸素含有量を低減することが困難であった。このため、スパッタリングターゲット内に酸化物が多く存在し、スパッタ成膜時に異常放電が発生しやすくなる。
また、ホットプレス法を用いた場合には、圧力差によって密度のばらつきが生じ、やはり、スパッタ時に異常放電が発生しやすくなるといった問題があった。
さらに、熱間静水圧プレス法を用いた場合には、原料を容器内に充填することから、容器の準備が必要であり、さらに焼結後に焼結体を容器から取り外すため、容器を切削加工で除去する必要があり、コストアップとなる。また、容器が密閉されるため、焼結体の酸素含有量を低減することが困難であった。このため、スパッタリングターゲット内に酸化物が多く存在し、スパッタ成膜時に異常放電が発生しやすくなる。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、結晶粒径が比較的微細でばらつきが少なく、かつ、密度が十分に高く、銅ニッケル合金の薄膜を安定して成膜することができる銅ニッケル合金スパッタリングターゲットを製造可能な銅ニッケル合金スパッタリングターゲットの製造方法、及び、銅ニッケル合金スパッタリングターゲットを提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明の銅ニッケル合金スパッタリングターゲットの製造方法は、Niを15mass%以上80mass%以下の範囲で含有し、残部がCuと不可避不純物からなる銅ニッケル合金スパッタリングターゲットの製造方法であって、ニッケル含有原料と銅原料とを含む焼結原料を、還元性雰囲気又は真空雰囲気において、前記銅原料の融点より高く、かつ、前記銅ニッケル合金スパッタリングターゲットを構成する銅ニッケル合金の固相線温度よりも低い焼結温度で保持する焼結工程を有し、この焼結工程において、前記焼結温度で保持した状態で、前記銅原料を溶融して銅液相を生じさせるとともに、この銅液相に前記ニッケル含有原料のNi原子を拡散させて前記銅液相を固化させることを特徴としている。
この構成の銅ニッケル合金スパッタリングターゲットの製造方法によれば、焼結法によって製造しているので、結晶粒が局所的に粗大化することを抑制でき、結晶粒径を比較的微細に、かつ、ばらつきを少なくすることができる。
また、焼結工程においては、ニッケルを含むニッケル含有原料と銅原料とからなる焼結原料を、前記銅原料の融点より高く、かつ、銅ニッケル合金スパッタリングターゲットを構成する銅ニッケル合金の固相線温度よりも低い焼結温度で保持することにより、前記銅原料を溶融して銅液相を生じさせて前記ニッケル含有原料の間に銅液相を充填させることができる。そして、焼結温度でさらに保持すると、銅液相中に前記ニッケル含有原料のNi原子が拡散することによって銅液相の固相線温度が上昇し、銅液相が固化することになる。このようにして、焼結原料が焼結される。
以上のように、焼結温度で保持した状態で、銅液相を生じさせるとともにこの銅液相を固化させているので、焼結時における空隙の発生を抑制でき、相対密度を大幅に向上させることができる。
さらに、焼結工程を、還元性雰囲気又は真空雰囲気において実施しているので、焼結時における酸素含有量の増加を抑制することができる。
また、焼結工程においては、ニッケルを含むニッケル含有原料と銅原料とからなる焼結原料を、前記銅原料の融点より高く、かつ、銅ニッケル合金スパッタリングターゲットを構成する銅ニッケル合金の固相線温度よりも低い焼結温度で保持することにより、前記銅原料を溶融して銅液相を生じさせて前記ニッケル含有原料の間に銅液相を充填させることができる。そして、焼結温度でさらに保持すると、銅液相中に前記ニッケル含有原料のNi原子が拡散することによって銅液相の固相線温度が上昇し、銅液相が固化することになる。このようにして、焼結原料が焼結される。
以上のように、焼結温度で保持した状態で、銅液相を生じさせるとともにこの銅液相を固化させているので、焼結時における空隙の発生を抑制でき、相対密度を大幅に向上させることができる。
さらに、焼結工程を、還元性雰囲気又は真空雰囲気において実施しているので、焼結時における酸素含有量の増加を抑制することができる。
ここで、本発明の銅ニッケル合金スパッタリングターゲットの製造方法においては、前記焼結工程の前に、前記焼結原料を、還元性雰囲気において600℃以上900℃以下の温度範囲で保持することにより、前記焼結原料の表面に形成された酸化膜を除去する酸化膜除去工程を有していてもよい。
この場合、焼結工程の前に、前記焼結原料の表面に形成された酸化膜を除去する酸化膜除去工程を有しているので、焼結原料の焼結性が向上し、さらに相対密度を向上させることが可能となる。また、酸化膜除去工程により、銅ニッケル合金スパッタリングターゲットにおける酸素含有量を減少することができる。
この場合、焼結工程の前に、前記焼結原料の表面に形成された酸化膜を除去する酸化膜除去工程を有しているので、焼結原料の焼結性が向上し、さらに相対密度を向上させることが可能となる。また、酸化膜除去工程により、銅ニッケル合金スパッタリングターゲットにおける酸素含有量を減少することができる。
また、本発明の銅ニッケル合金スパッタリングターゲットの製造方法においては、前記焼結原料の50%粒子径D50が25μm以上65μm以下の範囲内とされていることが好ましい。
この場合、前記焼結原料の50%粒子径D50が65μm以下とされているので、銅ニッケル合金スパッタリングターゲットの平均結晶粒径を例えば200μm以下と比較的微細とすることができる。また、前記焼結原料の50%粒子径D50が25μm以上とされているので、焼結原料中に含まれる酸化膜量が少なくなり、焼結性が向上し、相対密度をさらに向上させることができる。
この場合、前記焼結原料の50%粒子径D50が65μm以下とされているので、銅ニッケル合金スパッタリングターゲットの平均結晶粒径を例えば200μm以下と比較的微細とすることができる。また、前記焼結原料の50%粒子径D50が25μm以上とされているので、焼結原料中に含まれる酸化膜量が少なくなり、焼結性が向上し、相対密度をさらに向上させることができる。
また、本発明の銅ニッケル合金スパッタリングターゲットの製造方法においては、前記焼結原料における銅の純度及びニッケルの純度がそれぞれ99.9mass%以上とされていることが好ましい。
この場合、前記焼結原料における銅の純度及びニッケルの純度がそれぞれ99.9mass%以上とされているので、不純物量を低減することができ、例えばCの含有量を120massppm以下、Oの含有量を140massppm以下に低減することができる。
この場合、前記焼結原料における銅の純度及びニッケルの純度がそれぞれ99.9mass%以上とされているので、不純物量を低減することができ、例えばCの含有量を120massppm以下、Oの含有量を140massppm以下に低減することができる。
本発明の銅ニッケル合金スパッタリングターゲットは、Niを15mass%以上80mass%以下の範囲で含有し、残部がCuと不可避不純物からなり、前記不可避不純物のうちCの含有量が120massppm以下、Oの含有量が140massppm以下とされ、平均結晶粒径が200μm以下であり、相対密度が95%以上とされた焼結体からなることを特徴としている。
この構成の銅ニッケル合金スパッタリングターゲットにおいては、Niを15mass%以上80mass%以下含有し、残部がCuと不可避不純物からなる組成とされ、前記不可避不純物のうちCの含有量が120massppm以下、Oの含有量が140massppm以下とされているので、焼結体からなる銅ニッケル合金スパッタリングターゲットの密度を向上させることができ、相対密度を95%以上とすることができる。
そして、相対密度が95%以上とされるとともに、平均結晶粒径が200μm以下とされているので、スパッタ成膜時における異常放電の発生を抑制することができる。
よって、本発明の銅ニッケル合金スパッタリングターゲットによれば、銅ニッケル合金薄膜を安定して成膜することができる。
そして、相対密度が95%以上とされるとともに、平均結晶粒径が200μm以下とされているので、スパッタ成膜時における異常放電の発生を抑制することができる。
よって、本発明の銅ニッケル合金スパッタリングターゲットによれば、銅ニッケル合金薄膜を安定して成膜することができる。
ここで、本発明の銅ニッケル合金スパッタリングターゲットにおいては、スパッタ面が円筒面状をなす円筒型スパッタリングターゲットであることが好ましい。
この場合、ターゲットを回転しながらスパッタを実施することができ、連続成膜に適しており、かつ、ターゲットの使用効率に優れる。
この場合、ターゲットを回転しながらスパッタを実施することができ、連続成膜に適しており、かつ、ターゲットの使用効率に優れる。
本発明によれば、結晶粒径が比較的微細でばらつきが少なく、かつ、密度が十分に高く、銅ニッケル合金の薄膜を安定して成膜することができる銅ニッケル合金スパッタリングターゲットを製造可能な銅ニッケル合金スパッタリングターゲットの製造方法、及び、銅ニッケル合金スパッタリングターゲットを提供することができる。
以下に、本発明の一実施形態に係る銅ニッケル合金スパッタリングターゲットの製造方法、及び、銅ニッケル合金スパッタリングターゲットについて説明する。
本実施形態である銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10は、銅配線の下地膜、ひずみゲージ用薄膜抵抗体、薄膜熱電対及び補償導線、一般電気抵抗体や低温発熱体等として使用される銅ニッケル合金薄膜を成膜する際に用いられるものである。
本実施形態である銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10は、銅配線の下地膜、ひずみゲージ用薄膜抵抗体、薄膜熱電対及び補償導線、一般電気抵抗体や低温発熱体等として使用される銅ニッケル合金薄膜を成膜する際に用いられるものである。
本実施形態である銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10は、Niを15mass%以上80mass%以下の範囲で含有し、残部がCuと不可避不純物からなる組成とされている。
また、本実施形態では、前記不可避不純物のうちCの含有量が120massppm以下、Oの含有量が140massppm以下とされている。
さらに、本実施形態である銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10においては、焼結体からなり、平均結晶粒径が200μm以下とされるとともに、相対密度が95%以上とされている。
また、本実施形態では、前記不可避不純物のうちCの含有量が120massppm以下、Oの含有量が140massppm以下とされている。
さらに、本実施形態である銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10においては、焼結体からなり、平均結晶粒径が200μm以下とされるとともに、相対密度が95%以上とされている。
そして、本実施形態である銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10においては、図1に示すように、円筒面(外周面)がスパッタ面とされた円筒型スパッタリングターゲットとされている。
図1に示す銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10においては、軸線Oに沿って延在する円筒形状をなしており、例えば外径Dが150mm≦D≦175mmの範囲内、内径dが130mm≦d≦140mmの範囲内、軸線O方向長さLが200mm≦L≦300mmの範囲内とされている。
図1に示す銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10においては、軸線Oに沿って延在する円筒形状をなしており、例えば外径Dが150mm≦D≦175mmの範囲内、内径dが130mm≦d≦140mmの範囲内、軸線O方向長さLが200mm≦L≦300mmの範囲内とされている。
次に、本実施形態である銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10の製造方法について、図2及び図3を参照して説明する。
(焼結原料準備工程S01)
まず、焼結原料として、銅粉と、ニッケルを含有するニッケル含有粉と、を準備する。ニッケル含有粉としては、ニッケル粉及び銅ニッケル合金粉を用いることができる。なお、銅粉は、焼結原料全体の10mass%以上40mass%以下の範囲内で含むことが好ましい。
ここで、ニッケル含有粉として銅ニッケル合金粉を使用する場合、焼結原料として銅粉を含有しているので、銅ニッケル合金粉におけるNi含有量は、銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10におけるNi含有量よりも多くなり、銅ニッケル合金粉を構成する銅ニッケル合金の固相線温度は、図3に示すように、銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10を構成する銅ニッケル合金の固相線温度よりも高くなる。
まず、焼結原料として、銅粉と、ニッケルを含有するニッケル含有粉と、を準備する。ニッケル含有粉としては、ニッケル粉及び銅ニッケル合金粉を用いることができる。なお、銅粉は、焼結原料全体の10mass%以上40mass%以下の範囲内で含むことが好ましい。
ここで、ニッケル含有粉として銅ニッケル合金粉を使用する場合、焼結原料として銅粉を含有しているので、銅ニッケル合金粉におけるNi含有量は、銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10におけるNi含有量よりも多くなり、銅ニッケル合金粉を構成する銅ニッケル合金の固相線温度は、図3に示すように、銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10を構成する銅ニッケル合金の固相線温度よりも高くなる。
また、本実施形態においては、上述の焼結原料(銅粉及びニッケル含有粉)の50%粒子径D50が25μm以上65μm以下の範囲内とされている。ここで、銅粉の50%粒子径D50は、ニッケル含有粉の50%粒子径D50よりも小さいことが好ましい。
さらに、本実施形態においては、焼結原料における銅の純度及びニッケルの純度がそれぞれ99.9mass%以上とされていることが好ましい。
さらに、本実施形態においては、焼結原料における銅の純度及びニッケルの純度がそれぞれ99.9mass%以上とされていることが好ましい。
(成形工程S02)
次に、上述の焼結原料を成形型(本実施形態では、中子を有する円筒形状の成形型)に充填して加圧することにより、円筒形状の成形体を得る。
次に、上述の焼結原料を成形型(本実施形態では、中子を有する円筒形状の成形型)に充填して加圧することにより、円筒形状の成形体を得る。
(酸化膜除去工程S03)
次に、上述の成形体を、還元性雰囲気で、600℃以上900℃以下の保持温度で保持し、焼結原料(銅粉及びニッケル含有粉)の表面に形成された酸化膜を除去する。なお、保持温度での保持時間は、焼結原料における酸化膜の除去状態によって適宜設定することが好ましい。本実施形態では120分以上600分以下の範囲内に設定している。
なお、還元性雰囲気としては、例えば、水素ガス雰囲気、COガス雰囲気、NH3分解ガス雰囲気、これらの混合ガス雰囲気等を適用することができる。
次に、上述の成形体を、還元性雰囲気で、600℃以上900℃以下の保持温度で保持し、焼結原料(銅粉及びニッケル含有粉)の表面に形成された酸化膜を除去する。なお、保持温度での保持時間は、焼結原料における酸化膜の除去状態によって適宜設定することが好ましい。本実施形態では120分以上600分以下の範囲内に設定している。
なお、還元性雰囲気としては、例えば、水素ガス雰囲気、COガス雰囲気、NH3分解ガス雰囲気、これらの混合ガス雰囲気等を適用することができる。
(焼結工程S04)
次に、上述の成形体を、還元性雰囲気又は真空雰囲気で、銅粉の融点よりも高く、且つ、銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10を構成する銅ニッケル合金の固相線温度よりも低い焼結温度で保持する。
なお、還元性雰囲気としては、例えば、水素ガス雰囲気、COガス雰囲気、NH3分解ガス雰囲気、これらの混合ガス雰囲気等を適用することができる。また、真空雰囲気としては、1×10−2Pa以下とすることが好ましい。
次に、上述の成形体を、還元性雰囲気又は真空雰囲気で、銅粉の融点よりも高く、且つ、銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10を構成する銅ニッケル合金の固相線温度よりも低い焼結温度で保持する。
なお、還元性雰囲気としては、例えば、水素ガス雰囲気、COガス雰囲気、NH3分解ガス雰囲気、これらの混合ガス雰囲気等を適用することができる。また、真空雰囲気としては、1×10−2Pa以下とすることが好ましい。
この焼結工程S04においては、銅粉の融点よりも高い焼結温度で保持することから、銅粉が溶融して銅液相が生じることになる。また、銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10を構成する銅ニッケル合金の固相線温度よりも低い焼結温度で保持しているので、ニッケル含有粉は溶融せずに残存する。よって、ニッケル含有粉同士の隙間に銅液相が充填されることになる。
そして、この焼結温度で保持すると、銅液相中にニッケル含有粉のNi原子が拡散し、銅液相におけるNi含有量が上昇し、図3の状態図に示すように、銅液相の固相線温度が上昇していき、焼結温度で保持した状態で銅液相が固化することになる。これにより、焼結原料が焼結されることになる。
なお、焼結温度での保持時間は、焼結原料における銅液相の生成状況に応じて適宜設定することが好ましい。本実施形態では90分以上240分以下の範囲内に設定している。
そして、この焼結温度で保持すると、銅液相中にニッケル含有粉のNi原子が拡散し、銅液相におけるNi含有量が上昇し、図3の状態図に示すように、銅液相の固相線温度が上昇していき、焼結温度で保持した状態で銅液相が固化することになる。これにより、焼結原料が焼結されることになる。
なお、焼結温度での保持時間は、焼結原料における銅液相の生成状況に応じて適宜設定することが好ましい。本実施形態では90分以上240分以下の範囲内に設定している。
(機械加工工程S05)
上述のようにして得られた焼結体に対して機械加工を行い、図1に示す円筒形状のスパッタリングターゲットを得る。
上述のようにして得られた焼結体に対して機械加工を行い、図1に示す円筒形状のスパッタリングターゲットを得る。
以上のようにして、本実施形態である銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10が製造される。
以下に、本実施形態である銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10の組成、平均結晶粒径、相対密度を上述のように規定した理由について説明する。
(Ni:15mass%以上80mass%以下)
Niの含有量が15mass%未満の場合、焼結工程S04において銅液相が過剰に生成してしまい、焼結体が変形してしまうおそれがある。一方、Niの含有量が80mass%を超える場合、焼結工程S04において銅液相が不足し、焼結が不十分となって相対密度を向上させることができなくなるおそれがある。
以上のことから、本実施形態においては、Niの含有量を15mass%以上80mass%以下の範囲内に設定している。
なお、Niの含有量の下限は25mass%以上とすることが好ましく、35mass%以上とすることがさらに好ましい。また、Niの含有量の上限は70mass%以下とすることが好ましく、60mass%以下とすることがさらに好ましい。
Niの含有量が15mass%未満の場合、焼結工程S04において銅液相が過剰に生成してしまい、焼結体が変形してしまうおそれがある。一方、Niの含有量が80mass%を超える場合、焼結工程S04において銅液相が不足し、焼結が不十分となって相対密度を向上させることができなくなるおそれがある。
以上のことから、本実施形態においては、Niの含有量を15mass%以上80mass%以下の範囲内に設定している。
なお、Niの含有量の下限は25mass%以上とすることが好ましく、35mass%以上とすることがさらに好ましい。また、Niの含有量の上限は70mass%以下とすることが好ましく、60mass%以下とすることがさらに好ましい。
(C:120massppm以下)
不純物であるCの含有量を120massppm以下に制限することにより、Cによって焼結が阻害されず、焼結体の相対密度をさらに向上させることが可能となる。
このため、本実施形態においては、不純物であるCの含有量を120massppm以下に制限している。なお、Cの含有量の下限は特に規定しないが、20massppm未満とすることは工業的に実現が困難である。
不純物であるCの含有量を120massppm以下に制限することにより、Cによって焼結が阻害されず、焼結体の相対密度をさらに向上させることが可能となる。
このため、本実施形態においては、不純物であるCの含有量を120massppm以下に制限している。なお、Cの含有量の下限は特に規定しないが、20massppm未満とすることは工業的に実現が困難である。
(O:140massppm以下)
不純物であるOの含有量を140massppm以下に制限することで、酸化物量を低減することができ、焼結体の相対密度をさらに向上させることが可能となる。
このため、本実施形態においては、不純物であるOの含有量を140massppm以下に制限している。なお、Oの含有量の下限は特に規定しないが、50massppm未満とすることは工業的に実現が困難である。
不純物であるOの含有量を140massppm以下に制限することで、酸化物量を低減することができ、焼結体の相対密度をさらに向上させることが可能となる。
このため、本実施形態においては、不純物であるOの含有量を140massppm以下に制限している。なお、Oの含有量の下限は特に規定しないが、50massppm未満とすることは工業的に実現が困難である。
(平均結晶粒径:200μm以下)
スパッタレートは、結晶方位によって異なることから、スパッタが進行するとスパッタ面に、上述のスパッタレートの違いに起因して結晶粒に応じた凹凸が生じることになる。
ここで、平均結晶粒径が200μmを超えると、スパッタ面に生じる凹凸が大きくなり、凸部に電荷が集中して異常放電が発生しやすくなる。
このような理由から、本実施形態の銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10においては、平均結晶粒径を200μm以下に規定している。なお、銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10の平均結晶粒径の下限は特に規定しないが、50μm未満とすることは工業的に実現が困難である。
また、スパッタが進行した際のスパッタ面の凹凸を抑えて異常放電を確実に抑制するためには、平均結晶粒径を180μm以下とすることが好ましく、140μm以下とすることがさらに好ましい。
なお、本実施形態では、図1に示すように、軸線O方向に半分の地点から外周方向に90°間隔の(1)、(2)、(3)、(4)の4点で結晶粒径を測定し、平均結晶粒径を算出している。
スパッタレートは、結晶方位によって異なることから、スパッタが進行するとスパッタ面に、上述のスパッタレートの違いに起因して結晶粒に応じた凹凸が生じることになる。
ここで、平均結晶粒径が200μmを超えると、スパッタ面に生じる凹凸が大きくなり、凸部に電荷が集中して異常放電が発生しやすくなる。
このような理由から、本実施形態の銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10においては、平均結晶粒径を200μm以下に規定している。なお、銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10の平均結晶粒径の下限は特に規定しないが、50μm未満とすることは工業的に実現が困難である。
また、スパッタが進行した際のスパッタ面の凹凸を抑えて異常放電を確実に抑制するためには、平均結晶粒径を180μm以下とすることが好ましく、140μm以下とすることがさらに好ましい。
なお、本実施形態では、図1に示すように、軸線O方向に半分の地点から外周方向に90°間隔の(1)、(2)、(3)、(4)の4点で結晶粒径を測定し、平均結晶粒径を算出している。
(相対密度:95%以上)
焼結体からなる銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10において、相対密度が95%未満では、空隙が比較的多く存在し、スパッタ時に異常放電が発生しやすくなるおそれがある。
このような理由から、本実施形態の銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10においては、相対密度を95%以上に規定している。
焼結体からなる銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10において、相対密度が95%未満では、空隙が比較的多く存在し、スパッタ時に異常放電が発生しやすくなるおそれがある。
このような理由から、本実施形態の銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10においては、相対密度を95%以上に規定している。
以上のような構成とされた本実施形態である銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10の製造方法によれば、焼結工程S04において、銅粉とニッケル含有粉からなる焼結原料を、銅粉の融点より高く、かつ、銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10を構成する銅ニッケル合金の固相線温度よりも低い焼結温度で保持しているので、銅粉が溶融して銅液相が生じ、この銅液相がニッケル含有粉同士の隙間に充填されることになる。 そして、この焼結温度で保持すると、銅液相中にニッケル含有粉のNi原子が拡散し、銅液相のNi含有量が増加し、銅液相の固相線温度が上昇していき、銅液相が固化することになる。これにより、焼結原料が焼結される。
このように、焼結温度で保持した状態で、銅液相を生じさせるとともにこの銅液相を固化させているので、焼結時における空隙の発生を抑制でき、相対密度を大幅に向上させることができる。
さらに、焼結工程S04を、還元性雰囲気又は真空雰囲気において実施しているので、焼結時における酸素含有量の増加を抑制することができる。
このように、焼結温度で保持した状態で、銅液相を生じさせるとともにこの銅液相を固化させているので、焼結時における空隙の発生を抑制でき、相対密度を大幅に向上させることができる。
さらに、焼結工程S04を、還元性雰囲気又は真空雰囲気において実施しているので、焼結時における酸素含有量の増加を抑制することができる。
また、本実施形態においては、焼結工程S04の前に、焼結原料を還元性雰囲気で600℃以上900℃以下の温度範囲で保持して、焼結原料の表面に形成された酸化膜を除去する酸化膜除去工程S03を有しているので、焼結原料の焼結性が向上し、さらに相対密度を向上させることが可能となる。さらに、銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10における酸素含有量を減少することができる。
また、本実施形態においては、焼結原料の50%粒子径D50が65μm以下とされているので、銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10の平均結晶粒径を例えば200μm以下と比較的微細とすることができる。一方、焼結原料の50%粒子径D50が25μm以上とされているので、焼結原料中に含まれる酸化膜量が少なくなり、焼結性が向上し、相対密度をさらに向上させることができる。
さらに、本実施形態においては、銅粉の50%粒子径D50が、ニッケル含有粉の50%粒子径D50よりも小さくされているので、銅粉の溶融を促進することができ、ニッケル含有粉同士の隙間に銅液相を十分に充填することができる。
また、本実施形態においては、銅粉を、焼結原料全体の10mass%以上含んでいるので、焼結工程S04において確実に銅液相を生じさせることができる。さらに、銅粉を、焼結原料全体の40mass%以下含んでいるので、焼結工程S04において銅液相が過剰に生じることを抑制できる。
さらに、本実施形態においては、銅粉の50%粒子径D50が、ニッケル含有粉の50%粒子径D50よりも小さくされているので、銅粉の溶融を促進することができ、ニッケル含有粉同士の隙間に銅液相を十分に充填することができる。
また、本実施形態においては、銅粉を、焼結原料全体の10mass%以上含んでいるので、焼結工程S04において確実に銅液相を生じさせることができる。さらに、銅粉を、焼結原料全体の40mass%以下含んでいるので、焼結工程S04において銅液相が過剰に生じることを抑制できる。
また、本実施形態においては、焼結原料における銅の純度及びニッケルの純度がそれぞれ99.9mass%以上とされているので、不純物量を低減することができる。例えば、焼結原料中のCやOは、酸化膜除去工程S03及び焼結工程S04で減少し、銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10におけるCの含有量は120massppm以下、Oの含有量は140massppm以下に減少する。また、不純物起因の異常放電の発生を抑制することができ、安定してスパッタ成膜を行うことが可能となる。
本実施形態である銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10によれば、Niを15mass%以上80mass%以下の範囲で含有し、残部がCuと不可避不純物からなる組成とされ、前記不可避不純物のうちCの含有量が120massppm以下、Oの含有量が140massppm以下とされているので、焼結体からなる銅ニッケル合金スパッタリングターゲット10の密度を向上させることができる。
そして、相対密度が95%以上とされるとともに、平均結晶粒径が200μm以下とされているので、スパッタ成膜時における異常放電の発生を抑制することができる。
そして、相対密度が95%以上とされるとともに、平均結晶粒径が200μm以下とされているので、スパッタ成膜時における異常放電の発生を抑制することができる。
さらに、本実施形態においては、図1に示すように、スパッタ面が円筒面状をなす円筒型スパッタリングターゲットとされているので、ターゲットを回転しながらスパッタを実施することができ、連続成膜に適しており、かつ、ターゲットの使用効率に優れる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、図1に示すように円筒形状のスパッタリングターゲットとして説明したが、これに限定されることはなく、図4に示すように、円板状のスパッタリングターゲットとしてもよいし、図5に示すように、矩形平板状のスパッタリングターゲットとしてもよい。
例えば、本実施形態では、図1に示すように円筒形状のスパッタリングターゲットとして説明したが、これに限定されることはなく、図4に示すように、円板状のスパッタリングターゲットとしてもよいし、図5に示すように、矩形平板状のスパッタリングターゲットとしてもよい。
ここで、円板状のスパッタリングターゲットにおいては、図4に示すように、円の中心(1)、及び、円の中心を通過するとともに互いに直交する2本の直線上の外周部分(2)、(3)、(4)、(5)の5点で結晶粒径を測定し、スパッタ面における平均結晶粒径を算出することが好ましい。
一方、矩形平板状のスパッタリングターゲットにおいては、図5に示すように、対角線が交差する交点(1)と、各対角線上の角部(2)、(3)、(4)、(5)の5点で結晶粒径を測定し、スパッタ面における平均結晶粒径を算出することが好ましい。
一方、矩形平板状のスパッタリングターゲットにおいては、図5に示すように、対角線が交差する交点(1)と、各対角線上の角部(2)、(3)、(4)、(5)の5点で結晶粒径を測定し、スパッタ面における平均結晶粒径を算出することが好ましい。
以下に、前述した本発明の銅ニッケル合金スパッタリングターゲットの製造方法及び銅ニッケル合金スパッタリングターゲットについて評価した評価試験の結果について説明する。
焼結原料として、球状銅粉(平均粒径40μm、純度99.9mass%以上)と、ニッケルアトマイズ粉(平均粒径50μm、純度99.9mass%以上、C含有量200massppm以下)を準備した。これらの焼結原料を表1に示す組成となるように秤量して混合した。
上述の焼結原料を、円筒形状の収容空間を有する成形型に充填して加圧することにより、円筒形状(外径175mm、内径140mm、軸線方向長さ310mm)の成形体を得た。
次に、焼結原料の表面の酸化膜除去を目的として、上述の成形体に対して、表1の酸化膜除去工程の欄に記載した条件で加熱処理した。
そして、表1の焼結工程の欄に記載した条件で焼結を実施した。
次に、焼結原料の表面の酸化膜除去を目的として、上述の成形体に対して、表1の酸化膜除去工程の欄に記載した条件で加熱処理した。
そして、表1の焼結工程の欄に記載した条件で焼結を実施した。
得られた焼結体を機械加工し、外径165mm、内径135mm、軸線方向長さ300mmの円筒形状の銅ニッケル合金スパッタリングターゲットを製造した。
そして、この銅ニッケル合金スパッタリングターゲットを、Inはんだを用いてバッキングチューブにはんだ付けした。
そして、この銅ニッケル合金スパッタリングターゲットを、Inはんだを用いてバッキングチューブにはんだ付けした。
(C,Oの含有量)
C(炭素)の分析は、燃焼−赤外線吸収法によって実施した。具体的には、LECO社製CSLS600を用いてJIS Z 2615に準じて分析を実施した。
O(酸素)の分析は、不活性ガス融解−赤外線吸収法(JIS H 1067)によって実施した。具体的には、LECO社製TCEN600を用いて、JIS Z 2613に準じて分析を実施した。
上述の分析結果を表1に示す。
C(炭素)の分析は、燃焼−赤外線吸収法によって実施した。具体的には、LECO社製CSLS600を用いてJIS Z 2615に準じて分析を実施した。
O(酸素)の分析は、不活性ガス融解−赤外線吸収法(JIS H 1067)によって実施した。具体的には、LECO社製TCEN600を用いて、JIS Z 2613に準じて分析を実施した。
上述の分析結果を表1に示す。
(相対密度)
機械加工して得られた銅ニッケル合金スパッタリングターゲットの重量を測定し、形状より求めた体積で重量を除することで密度を算出した。そして、理論密度との比を算出して相対密度を求めた。評価結果を表2に示す。
機械加工して得られた銅ニッケル合金スパッタリングターゲットの重量を測定し、形状より求めた体積で重量を除することで密度を算出した。そして、理論密度との比を算出して相対密度を求めた。評価結果を表2に示す。
(平均結晶粒径)
図1に示す測定箇所から測定試料を採取し、スパッタ面を研磨して光学顕微鏡にてミクロ組織観察を行い、JIS H 0501:1986(切断法)によって結晶粒径を測定し、平均結晶粒径を算出した。評価結果を表2に示す。
図1に示す測定箇所から測定試料を採取し、スパッタ面を研磨して光学顕微鏡にてミクロ組織観察を行い、JIS H 0501:1986(切断法)によって結晶粒径を測定し、平均結晶粒径を算出した。評価結果を表2に示す。
(焼結時の変形の有無)
焼結後に得られた円筒形状の焼結体について、円筒の上部と下部の外径をそれぞれ4箇所ずつ測定し、それぞれの平均値を求め、上部と下部との差異が20mm以上であった場合を「変形あり」とし、20mm未満を「変形なし」とした。評価結果を表2に示す。
焼結後に得られた円筒形状の焼結体について、円筒の上部と下部の外径をそれぞれ4箇所ずつ測定し、それぞれの平均値を求め、上部と下部との差異が20mm以上であった場合を「変形あり」とし、20mm未満を「変形なし」とした。評価結果を表2に示す。
(異常放電)
スパッタ方式は,DCマグネトロンスパッタ法とした。スパッタするターゲットをチャンバー内のカソードに取り付け、到達真空:5×10−4Pa以下になるように真空に引いた。まず、ターゲット加工面の汚れや加工疵を除去するために、アルゴンガスを導入し、スパッタ圧を0.4Paとし、徐々にスパッタパワーを上げてプリスパッタを行い、スパッタパワーを1000Wまで上げた。
スパッタパワー1000W、スパッタ圧0.4Paで1分間の放電と停止を繰り返し、スパッタ電力が5kWhに達するまで実施した。そして、放電中に発生した異常放電回数を、ランドマークテクノロジー社製マイクロアークモニター(MAM Genesis)で計測した。評価結果を表2に示す。
スパッタ方式は,DCマグネトロンスパッタ法とした。スパッタするターゲットをチャンバー内のカソードに取り付け、到達真空:5×10−4Pa以下になるように真空に引いた。まず、ターゲット加工面の汚れや加工疵を除去するために、アルゴンガスを導入し、スパッタ圧を0.4Paとし、徐々にスパッタパワーを上げてプリスパッタを行い、スパッタパワーを1000Wまで上げた。
スパッタパワー1000W、スパッタ圧0.4Paで1分間の放電と停止を繰り返し、スパッタ電力が5kWhに達するまで実施した。そして、放電中に発生した異常放電回数を、ランドマークテクノロジー社製マイクロアークモニター(MAM Genesis)で計測した。評価結果を表2に示す。
Niの含有量が本発明の範囲よりも少ない比較例1においては、焼結工程において銅液相が過剰に生成し、焼結体に変形が生じ、スパッタリングターゲットを製造することができなかった。
Niの含有量が本発明の範囲よりも多い比較例2においては、焼結工程において銅液相が不足し、相対密度が93%と低くなった。これにより、異常放電回数が254回と多くなった。
Niの含有量が本発明の範囲よりも多い比較例2においては、焼結工程において銅液相が不足し、相対密度が93%と低くなった。これにより、異常放電回数が254回と多くなった。
酸化膜除去工程を実施しなかったために、酸素の含有量が150massppmと本発明の範囲よりも多くなった比較例3においては、相対密度が90%と低くなった。これにより、異常放電回数が340回と多くなった。
焼結工程での保持時間が長かったために、平均結晶粒径が220μmと本発明の範囲よりも大きくなった比較例4においては、異常放電回数が405回と多くなった。
焼結工程での保持時間が長かったために、平均結晶粒径が220μmと本発明の範囲よりも大きくなった比較例4においては、異常放電回数が405回と多くなった。
焼結工程の焼結温度が1260℃とされ、当該銅ニッケル合金の固相線温度(1150℃)よりも高くなった比較例5においては、焼結時に液相が多量に生成し、焼結体に変形が生じ、スパッタリングターゲットを製造することができなかった。
焼結工程の焼結温度が1050℃とされ、銅の融点よりも低くなった比較例6においては、焼結時における液相が不足し、相対密度が93%と低くなった。これにより、異常放電回数が380回と多くなった。
焼結工程の焼結温度が1050℃とされ、銅の融点よりも低くなった比較例6においては、焼結時における液相が不足し、相対密度が93%と低くなった。これにより、異常放電回数が380回と多くなった。
これに対して、本発明例によれば、いずれも相対密度が95%以上とされ、異常放電回数も少なくなった。また、焼結時における変形もなく、スパッタリングターゲットを良好に製造することができた。
以上のことから、本発明例によれば、結晶粒径が比較的微細でばらつきが少なく、かつ、密度が十分に高く、銅ニッケル合金の薄膜を安定して成膜できる銅ニッケル合金スパッタリングターゲットを製造可能な銅ニッケル合金スパッタリングターゲットの製造方法、及び、銅ニッケル合金スパッタリングターゲットを提供可能であることが確認された。
以上のことから、本発明例によれば、結晶粒径が比較的微細でばらつきが少なく、かつ、密度が十分に高く、銅ニッケル合金の薄膜を安定して成膜できる銅ニッケル合金スパッタリングターゲットを製造可能な銅ニッケル合金スパッタリングターゲットの製造方法、及び、銅ニッケル合金スパッタリングターゲットを提供可能であることが確認された。
10 銅ニッケル合金スパッタリングターゲット
S03 酸化膜除去工程
S04 焼結工程
S03 酸化膜除去工程
S04 焼結工程
Claims (6)
- Niを15mass%以上80mass%以下の範囲で含有し、残部がCuと不可避不純物からなる銅ニッケル合金スパッタリングターゲットの製造方法であって、
ニッケル含有原料と銅原料とを含む焼結原料を、還元性雰囲気又は真空雰囲気において、前記銅原料の融点より高く、かつ、前記銅ニッケル合金スパッタリングターゲットを構成する銅ニッケル合金の固相線温度よりも低い焼結温度で保持する焼結工程を有し、
この焼結工程において、前記焼結温度で保持した状態で、前記銅原料を溶融して銅液相を生じさせるとともに、この銅液相に前記ニッケル含有原料のNi原子を拡散させて前記銅液相を固化させることを特徴とする銅ニッケル合金スパッタリングターゲットの製造方法。 - 前記焼結工程の前に、前記焼結原料を、還元性雰囲気において600℃以上900℃以下の温度範囲で保持することにより、前記焼結原料の表面に形成された酸化膜を除去する酸化膜除去工程を有することを特徴とする請求項1に記載の銅ニッケル合金スパッタリングターゲットの製造方法。
- 前記焼結原料の50%粒子径D50が25μm以上65μm以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の銅ニッケル合金スパッタリングターゲットの製造方法。
- 前記焼結原料における銅の純度及びニッケルの純度がそれぞれ99.9mass%以上とされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の銅ニッケル合金スパッタリングターゲットの製造方法。
- Niを15mass%以上80mass%以下の範囲で含有し、残部がCuと不可避不純物からなり、前記不可避不純物のうちCの含有量が120massppm以下、Oの含有量が140massppm以下とされ、
平均結晶粒径が200μm以下であり、相対密度が95%以上とされた焼結体からなることを特徴とする銅ニッケル合金スパッタリングターゲット。 - スパッタ面が円筒面状をなす円筒型スパッタリングターゲットであることを特徴とする請求項5に記載の銅ニッケル合金スパッタリングターゲット。
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