JP2018168404A - 圧粉磁心用鉄基粉末 - Google Patents

圧粉磁心用鉄基粉末 Download PDF

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Abstract

【課題】駆動周波数が1kHz未満となるような条件であっても、高い比透磁率および低い鉄損を示す圧粉磁心を得ることのできる圧粉磁心用鉄基粉末を提供する。
【解決手段】鉄基粉末表面が絶縁被膜で被覆されている圧粉磁心用鉄基粉末であって、前記鉄基粉末の平均粒径D50が150〜250μmであり、前記絶縁被膜は、下層がリン酸系化成被膜、当該リン酸系化成被膜のすぐ上層がシリコーン樹脂被膜である少なくとも二層構造であり、且つ前記リン酸系化成被膜を有する鉄基粉末のリン含有量は、リン酸系化成被膜で被覆される前の鉄基粉末のリン含有量よりも0.012〜0.030質量%高い。
【選択図】なし

Description

本発明は、鉄粉や鉄基合金粉末等の軟磁性の鉄基粉末を圧粉成形し、電磁気部品用の圧粉磁心を製造するときに用いられる圧粉磁心用鉄基粉末に関する。
交流で使用される電磁気部品の磁心には、従来から電磁鋼板や電気鉄板を積層したものが用いられてきたが、近年では、軟磁性の鉄基粉末を圧粉成形し、これを歪取焼鈍して製造される圧粉磁心が適用されるようになっている。
鉄基粉末を圧粉成形することによって、成形品形状の自由度が高くなり、三次元形状の磁心であっても容易に製造できる。また圧粉成形後に歪取焼鈍することによって、原料粉末の製造時や圧粉成形時に導入される歪みが解放され、渦電流損とヒステリシス損の和で表される磁気変換時のエネルギー損失(以下、「鉄損」と呼ぶ)、特にヒステリシス損を低減できる。
電磁気部品の磁心には、比透磁率が高いことと、鉄損が低いという電磁変換特性が要求される。しかしながら、鉄基粉末を圧粉成形して製造される圧粉磁心では、電磁気部品を駆動するときの周波数(以下、これを「駆動周波数」と呼ぶ)が1kHz以上となるような高周波領域では良好な電磁変換特性を示すが、一般的な電磁気部品が動作しているときの駆動条件、例えば駆動周波数が1kHz未満となるような条件では、電磁変換特性が低下するという問題がある。すなわち、駆動周波数が1kHz未満となるような周波数領域では、渦電流損よりもヒステリシス損が顕著になり、これが鉄損を低下させる原因となる。
これまでにも様々な圧粉磁心用鉄基粉末が提案されている。こうした技術として、例えば特許文献1には、「目開き425μmの篩を用いて篩い分けしたときに、該篩を通過しない鉄基粉末が10質量%以下で、目開き75μmの篩を用いて篩い分けしたときに、該篩を通過しない鉄基粉末が80質量%以上であり、少なくとも50個の鉄基粉末断面を観察し、各鉄基粉末について結晶粒径を測定して最結晶粒径を少なくとも含む結晶粒径分布を求めたときに、測定した結晶粒のうち結晶粒径が50μm以上である結晶粒が70%以上である圧粉磁心用の鉄基粉末」が提案されている。
この技術では、鉄基粉末の粒子径が大きい方が、粒子内に含まれる結晶粒サイズを大きくすることができるため、ヒステリシス損を低減できることが記載されているが、比透磁率に関しては言及されていない。
一方、特許文献2には、「鉄粒子が10〜200μmの重量平均粒径を有することを特徴とする軟磁性を有する製品の製造方法」が提案されている。この技術は、粒径の小さい鉄粉末の使用は、安定な透磁率を達成するための周波数範囲を広げ、透磁率が100となることが開示されている。
しかしながら、この技術における駆動周波数は、1kHz以上であることが想定されており、駆動周波数が1kHz未満においては、透磁率100では低すぎるため、こうした技術を、駆動周波数が1kHz未満で使用される圧粉磁心にそのまま適用することはできない。
特許第4630251号公報 特許第3851655号公報
本発明は、こうした状況の下でなされたものであって、その目的は、駆動周波数が1kHz未満となるような条件であっても、高い比透磁率および低い鉄損を示す圧粉磁心を得ることのできる圧粉磁心用鉄基粉末を提供することにある。
上記目的を達成することのできた本発明の圧粉磁心用鉄基粉末は、鉄基粉末表面が絶縁被膜で被覆されている圧粉磁心用鉄基粉末であって、前記鉄基粉末の平均粒径D50が150〜250μmであり、前記絶縁被膜は、下層がリン酸系化成被膜、当該リン酸系化成被膜のすぐ上層がシリコーン樹脂被膜である少なくとも二層構造であり、且つ前記リン酸系化成被膜を有する鉄基粉末のリン含有量は、リン酸系化成被膜で被覆される前の鉄基粉末のリン含有量よりも0.012〜0.030質量%高いことを特徴とする。
本発明の圧粉磁心用鉄基粉末においては、前記シリコーン樹脂被膜の膜厚は、50〜200nmであることが好ましい。
本発明では、高い比透磁率および低い鉄損を示す圧粉磁心を得ることのできる圧粉磁心用鉄基粉末が実現できる。
本発明者らは、高い比透磁率および低い鉄損を示す圧粉磁心を得ることのできる圧粉磁心用鉄基粉末を実現すべく、様々な角度から鋭意検討を重ねた。
その結果、まず鉄基軟磁性粉末の平均粒径D50を適切な範囲とすることによって、その表面に被覆される絶縁被膜との関係で高い比透磁率が得られることを見出した。また鉄基粉末の表面の絶縁被膜として、下層がリン酸系化成被膜、当該リン酸系化成被のすぐ上層がシリコーン樹脂被膜である少なくとも二層構造とするとともに、リン酸系化成被膜を有する鉄基軟磁性粉末のリン含有量を、リン酸系化成被膜で被覆される前の鉄基粉末のリン含有量よりも0.012〜0.030質量%高いものとすることによって、絶縁被膜の膜厚を比較的薄くしても、圧粉磁心の鉄損を大きくすることなく、高い比透磁率を確保できることを見出し、本発明を完成した。
まず本発明で規定する各要件について説明する。
[鉄基粉末の平均粒径D50:150〜250μm]
本発明者らが検討したところ、鉄基粉末の平均粒径D50を適切な範囲とすることによって、その表面に被覆される絶縁被膜との関係で高い比透磁率の圧粉磁心が得られることが分かった。本発明で規定する鉄基粉末の平均粒径D50は、これまで提案されている鉄基粉末の平均粒径よりも比較的大きなものとなる。この平均粒径D50を150μm以上とすることによって、比透磁率を高く維持できる。この平均粒径D50は、好ましくは170μm以上であり、より好ましくは180μm以上である。
しかしながら、鉄基粉末の平均粒径D50があまり大きくなり過ぎると、鉄基粉末の表面に被覆される絶縁被膜の膜厚との関係からして、絶縁被膜の均一性が確保されず、絶縁被膜による絶縁性を確保するためには絶縁被膜の厚みが必然的に厚くなり、圧粉磁心の比透磁率を高くすることができない。こうした観点から、鉄基粉末の平均粒径D50は、250μm以下とする必要がある。この平均粒径D50の上限は、好ましくは240μm以下であり、より好ましくは230μm以下である。
なお、前記「平均粒径D50」とは、目開きの異なる篩を用いて、その目開きで通過する鉄基粉末の積算値(積算値)が50質量%となるときの平均粒径を意味し、日本粉末冶金工業会で規定される「金属粉のふるい分析試験方法」(JPMA−P02−1992)に準拠して測定できる。
[リン酸系化成被膜]
上記鉄基粉末の表面(すなわち、絶縁被膜の下層側)には、リン酸系化成被膜が被覆される。リン酸系化成被膜は、オルトリン酸(H3PO4)等を含む処理液による化成処理によって生成するガラス状の被膜であり、鉄基粉末の絶縁性を確保する。鉄基粉末の絶縁性を確保するという観点からすれば、リン酸系化成被膜の膜厚は、少なくとも20nm以上であることが好ましい。より好ましくは30nm以上である。
しかしながら、リン酸系化成被膜の膜厚が厚くなると、必然的に、リン酸系化成被膜を被覆した鉄基粉末のリン含有量が増加することになり、圧粉磁心の比透磁率を高くすることができなくなる。こうした観点から、リン酸系化成被膜の膜厚は、250nm以下であることが好ましく、より好ましくは200nm以下である。
リン酸系化成被膜を鉄基粉末の表面に被覆するに際しては、水性溶液にオルトリン酸等を溶解させて得た処理液を、鉄基粉末と混合し、乾燥すればよい。
[シリコーン樹脂被膜]
リン酸系化成被膜の表面(すなわち、絶縁被膜の上層側)には、シリコーン樹脂被膜が形成される。このシリコーン樹脂被膜は、絶縁被膜の熱的安定性を高め、歪取焼鈍時における上記リン酸系化成被膜の特性劣化を防止して、絶縁被膜を薄くしても、圧粉磁心の高い比透磁率を確保できる。
上記の効果を発揮させるためには、シリコーン樹脂被膜の膜厚は、粉末の透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Miscope:TEM)観察により5点測定した平均が50nm以上であることが好ましい。
しかしながら、シリコーン樹脂被膜の膜厚が厚くなりすぎると、圧粉磁心の高い比透磁率を確保できなくなるので、上記平均で200nm以下であることが好ましい。より好ましくは150nm以下である。
シリコーン樹脂被膜を、リン酸系化成被膜の表面に形成するに際しては、アルコール類や、トルエン、キシレン等の有機溶剤等にシリコーン樹脂を溶解させ、この溶液とリン酸系化成被膜を形成した鉄基粉末とを混合した後、有機溶媒を揮発させるようにすればよい。
本発明の圧粉磁心用鉄基粉末は、表面に形成される樹脂被膜は、リン酸系化成被膜とシリコーン樹脂被膜の少なくとも二層構造であるが、耐熱性の向上を目的とした酸化物等の層や、圧縮成形時の被膜破壊抑制を目的とした潤滑性を有する層、強度改善を目的とした接着性を有する層など、目的に応じて多層構造を形成してもよい。したがって、リン酸系化成被膜がシリコーン樹脂被膜で被覆されているという要件を満足していれば、リン酸系化成被膜の下層や、シリコーン樹脂被膜の上層に他の層を含んでいてもよい。
[リン含有量]
本発明の圧粉磁心用鉄基粉末では、リン酸系化成被膜を有する鉄基粉末のリン含有量が、リン酸系化成被膜で被覆される前の鉄基粉末のリン含有量よりも0.012〜0.030質量%高いことが必要である。こうした要件を満足させることによって、圧粉磁心の比透磁率を高くすることができるとともに、鉄損が大きくなることを防止できる。
このような効果が発揮できる理由については、その全てを解明し得たわけではないが、おそらく次のように考えることができる。すなわち、リン含有量によって被膜の耐熱性が変化するため、歪取焼鈍温度を最適化することで、高い透磁率と低い鉄損の両立が可能になると推察される。
上記の効果を発揮させるためには、リン酸系化成被膜を有する鉄基粉末のリン含有量と、リン酸系化成被膜で被覆する前の鉄基粉末のリン含有量との差(以下、「差ΔP」と略称することがある)が、0.012質量%以上であることが必要である。なお、「リン酸系化成被膜を有する鉄基粉末のリン含有量とは、「鉄基粉末に元々含まれるリン量」と、「リン酸系化成被膜中のリン量」の和を意味し、化成被膜後の鉄基粉末を誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)等で分析したときのリン量として測定できる。
一方、差ΔPが大きくなり過ぎると、リン酸系化成被膜の膜厚が厚くなって、比透磁率が小さくなる。こうした観点から、差ΔPは0.030質量%以下であることが必要である。好ましくは、0.026質量%以下である。
上記差ΔPを調整するには、処理液の種類や目標とする被膜厚みにもよるが、例えば処理液を水やアルコール等による希釈率や添加量を調整することによって、リン酸系化成被膜中のリン含有量を調整して、上記差ΔPを調整できる。
添加量を一定とした場合、処理液を希釈するときの希釈率が小さくなれば、被覆されるリン酸系化成被膜中のリン含有量が増大することになるが、リン酸系化成被膜の膜厚が厚くなると考えられる。逆に、処理液を希釈するときの希釈率が大きくなれば、被覆されるリン酸系化成被膜中のリン含有量が減少することになるが、リン酸系化成被膜の膜厚が薄くなると考えられる。
なお、前記特許文献1においても、鉄基粉末の表面にリン酸系化成被膜を被覆し得ることが記載されているが、この特許文献1の技術では実施例に記載された条件から換算すると、上記差ΔPの値が大きくなってしまい、少なくとも比透磁率が小さくなることが予想される(後記実施例参照)。
[鉄基粉末]
本発明で原料として用いる鉄基粉末(絶縁被膜を形成する前の鉄基粉末:以下「原料鉄基粉末」と呼ぶことがある)は、純鉄粉の他、Fe−Al合金粉末、Fe−Si合金粉末等のいずれの鉄基粉末であってもよい。要するに、軟磁性を示す粉末であれば、いずれも採用することができる。このような原料鉄基粉末は、例えばアトマイズ法によって得られた粒子を、還元性雰囲気で還元した後、破砕することによって製造できる。
本発明の圧粉磁心用鉄基粉末は、圧粉成形した後、歪取焼鈍を行うことによって、圧粉磁心とされる。このときの圧粉条件や歪取焼鈍条件については、特に限定するものではなく、通常の条件で行えばよい。圧粉成形時の好ましい圧力条件は、面圧で490〜1960MPa程度である。また、歪取焼鈍条件については、その雰囲気は窒素等の不活性雰囲気であるが、焼鈍温度は450〜600℃程度となる。
以下、実施例に基づいて、本発明の作用効果をより具体的に示すが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前記および後記の趣旨に徴して設計変更することは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
(実施例1)
不可避不純物として、質量%で、C:0.001%、Si:0.01%、Mn:0.19%、P:0.013%、S:0.007%を含み、残部が鉄からなる水アトマイズ鉄粉末を準備した。この組成の鉄粉は、市販で入手できる組成である。この鉄粉を、日本粉末冶金工業会で規定される「金属粉のふるい分析試験方法」(JPMA−P02−1992)に準拠して目開き106μmの篩を用いて篩い分けし、篩上に残った粉末を回収し、これを水素ガス雰囲気中で、1170℃で1時間焼鈍した。
上記焼鈍後に解砕した粉末を、目開き106μmの篩を通した。篩上に残った粉末は95質量%以上であった。また、この篩上物の平均粒径D50は224μmであった。
解砕した粉末の表面に、リン酸系化成被膜を形成した後、シリコーン樹脂被膜を形成して絶縁処理した。このときのリン酸系化成被膜は、水:50質量部、KH2PO4:35質量部、H3PO4:10質量部、(NH2OH)2・H2PO4:10質量部を混合したベース薬剤100mL(これを、以下「処理液A」と呼ぶ)を原液とし、これを蒸留水で10、15、20、25、30、40(倍)に希釈した処理液50質量部を、上記粉末1000質量部に添加して混合した後、大気中で200℃、30分間乾燥し、目開き600μmの篩を通した。
このとき、リン酸系化成被膜が形成された粉末のリン含有量と、原料鉄基粉末のリン含有量の差ΔPは、0.009〜0.040質量%であった。
リン酸系化成被膜の上に形成されるシリコーン樹脂被膜は、東レ・ダウコーニング製の「SR2400」(商品名)をトルエンに溶解させて、リン酸系化成被膜を形成した鉄基粉末に対して、樹脂固形分が0.03、0.05、0.07、0.10、0.15(質量%)となるように添加混合し、加熱乾燥(75℃、30分間)した。形成したシリコーン樹脂被膜の膜厚は、50〜200nmの範囲内にあった。各粉末の被膜条件を、下記表1の試験No.1〜14に示す。
このとき参考例として、特許文献1の実施例1(表1のNo.12〜16)に従って作製した粉末を、表1の試験No.15〜19として示した。
次に、絶縁被膜処理後の粉末を、成形体に圧粉成形した。このときの圧粉成形は、ステアリン酸亜鉛をアルコールに分散させたものを金型表面に塗布した後、上記絶縁処理をして130℃に温めた粉末を入れ、面圧を1176MPaで、外径:45mm、内径:33mm、厚み:約5mmのリング状に圧粉成形した。圧粉成形した成形体の密度は、7.67〜7.72g/cm3であった。
圧粉成形後、窒素雰囲気下で、475〜550℃で30分間の歪取焼鈍を行った。このときの昇温速度は10℃/分とし、歪取焼鈍後は炉冷した。
得られた成形体の比透磁率を、メトロン技研製の自動磁化測定装置を用いて最大励磁場を10kA/mとして測定した。このとき、1次巻き線を400ターン、2次巻き線を25ターンとした。また、同装置を用いて励磁磁束密度1.0T、周波数400Hzとして鉄損を測定した。なお、渦電流損およびヒステリシス損は測定した鉄損を元に計算により分離した。測定結果を下記表1に併せて示す。なお、特性の合格基準は、比透磁率:750以上、渦電流損:8.0W/kg以下である。
Figure 2018168404
この結果から、次のように考察できる。まず試験No.1〜3は、差ΔPが大きくなっているために、絶縁被膜が厚くなっており、比透磁率は従来並みしか得られていない。また、試験No.13、14は、差ΔPが小さくなっており、絶縁被膜が薄くなっており、絶縁性が保たれず、また渦電流損が高くなっている。渦電流損が8.0W/kgよりも高くなると、被膜が歪取焼鈍により劣化し、こうした点からも絶縁性が担保できなくなる。なお、試験No.13、14では、比透磁率については測定していない。
試験No.15〜19では、原料鉄基粉末の平均粒径D50が特許文献1に記載の範囲であっても、差ΔPが大きくなっており、比透磁率が小さくなっている。
これに対し、試験No.4〜12(発明例)では、歪取焼鈍後も絶縁性が確保できる膜厚であり、且つ被膜自体も薄くなっているため、鉄損を従来並みに維持しつつ、比透磁率を大きくできることが分かる。
(実施例2)
神戸製鋼所のアトマイズ粉末「アトメル300M」および「アトメル300NH」を用い、日本粉末冶金工業会で規定される「金属粉のふるい分析試験方法」(JPMA P02−1992)に準拠して原料鉄基粉末の平均粒径D50を調整した。
このときアトメル300Mについては、目開き425μmおよび106μmの篩を用いて篩い分けし、篩上に残った粉末を回収し、これを水素ガス雰囲気中で、1170℃で1時間焼鈍した。焼鈍後、解砕したものを、目開き425μmおよび106μmの篩を通した。
一方、アトメル300NHについては、目開き106μmの篩を用いて篩分けし、篩を通過した粉末を回収し、これを水素ガス雰囲気中で、1070℃で1時間焼鈍した。焼鈍後、解砕したものを目開き106μmの篩を通した。
解砕後の各粉末を、平均粒径D50が82μm、162μm、214μm、236μm、262μmとなるように混合した。
混合した鉄基粉末の表面に、リン酸系化成被膜を形成した後、シリコーン樹脂被膜を形成して絶縁処理した。リン酸系化成被膜は、前述の処理液Aを原液とし、これを20倍に希釈した処理液20質量部を、平均粒径D50を調整した各鉄基礎粉末1000質量部に添加して混合した後、大気中で200℃、30分間乾燥し、目開き600μmの篩を通した。このとき、前記差ΔPは、0.019〜0.020質量%であった。
シリコーン樹脂被膜は、東レ・ダウコーニング製の「SR2400」(商品名)をトルエンに溶解させて、鉄基粉末に対して樹脂固形分が0.07%質量となるように添加混合し、加熱乾燥(75℃、30分間)した。
絶縁処理後の膜厚は、リン酸系化成被膜で30〜200nm、シリコーン樹脂被膜で50〜150nmであった。
次に、絶縁処理後の粉末を成形体に圧粉成形した。圧粉成形は、ステアリン酸亜鉛をアルコールに分散させたものを金型表面に塗布した後、上記絶縁処理して130℃に温めた粉末を入れ、面圧を1176MPaで、外径:45mm、内径:33mm、厚み:約5mmのリング状に加圧成型した。成形体の密度は7.69〜7.73g/cm3であった。
圧粉成形後、窒素雰囲気下で、400〜525℃で30分間の歪取焼鈍を行った。昇温速度は10℃/分とし、歪取焼鈍後は炉冷した。
得られた成形体の比透磁率を、メトロン技研製の自動磁化測定装置を用いて最大励磁場を10kA/mとして測定した。このとき、1次巻き線を400ターン、2次巻き線を25ターンとした。また、同装置を用いて励磁磁束密度1.0T、周波数400Hzとして鉄損を測定した。測定結果を表2に併せて示す。
Figure 2018168404
この結果から、本発明の圧粉磁心の製造に使用する鉄基粉末の平均粒径D50を、150〜250μmの範囲内に設定することによって、比透磁率を750以上に大きくできることが分かる。

Claims (2)

  1. 鉄基粉末表面が絶縁被膜で被覆されている圧粉磁心用鉄基粉末であって、前記鉄基粉末の平均粒径D50が150〜250μmであり、前記絶縁被膜は、下層がリン酸系化成被膜、当該リン酸系化成被膜のすぐ上層がシリコーン樹脂被膜である少なくとも二層構造であり、且つ前記リン酸系化成被膜を有する鉄基粉末のリン含有量は、リン酸系化成被膜で被覆される前の鉄基粉末のリン含有量よりも0.012〜0.030質量%高いことを特徴とする圧粉磁心用鉄基粉末。
  2. 前記シリコーン樹脂被膜の膜厚が50〜200nmである請求項1に記載の圧粉磁心用鉄基粉末。
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