JP2018164889A - 水処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、界面活性剤を高濃度で含有する有機性廃水を生物処理する水処理装置において、界面活性剤を分解して、メタン発酵等におけるエネルギー回収のための栄養源として利用することが可能な水処理装置を提供することである。【解決手段】上記課題を解決するために、界面活性剤を含有する有機性廃水を処理するための水処理装置であって、前記界面活性剤を嫌気的に分解する界面活性剤分解部と、前記界面活性剤分解部の後段に設けられ、前記有機性廃水を嫌気的に処理する嫌気処理部と、を備えたことを特徴とする、水処理装置を提供する。この水処理装置によれば、界面活性剤を分解して、メタン発酵等におけるエネルギー回収のための栄養源として利用することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、界面活性剤を高濃度で含有する有機性廃水を嫌気的に生物処理するための水処理装置に関するものである。更に詳しくは、本発明は、界面活性剤を高濃度で含有する有機性廃水を、嫌気的に生物処理する嫌気処理部を2段設け、前段の嫌気処理部において界面活性剤を分解する水処理装置に関するものである。
有機性廃水の微生物処理では、有機物を細胞内に蓄積した微生物が余剰汚泥として発生する。余剰汚泥の処理方法としては、界面活性剤により細胞を破壊し、細胞内の有機物が流出した菌体廃液として処理されることがある。このような菌体廃液には、界面活性剤が高濃度で含有しており、界面活性剤がメタン発酵を阻害するという問題がある。
近年、廃棄物からのエネルギーの回収や廃棄物量の軽減の観点から、このような界面活性剤を高濃度で含有する有機性廃水をメタン発酵する方法が開発されている。例えば、特許文献1には、メタン発酵工程を行う前に、菌体廃液にカルシウム塩を添加して界面活性剤を凝集させる凝集工程を備えた処理方法が開示されている。この方法では、界面活性剤を凝集させることで、メタン発酵工程を良好に進行させることができる。
特開2014−184388号公報
上述した従来の生物処理方法では、カルシウム塩を添加することにより界面活性剤を凝集させ、除去することにより生物処理を行う。しかし、この方法では、界面活性剤を残渣として回収するため、エネルギー回収の点で更なる改善が必要である。
そこで、本発明の課題は、界面活性剤を高濃度で含有する有機性廃水を生物処理する水処理装置において、界面活性剤を分解して、メタン発酵等におけるエネルギー回収のための栄養源として利用することが可能な水処理装置を提供することである。
本発明者は、上記の課題について鋭意検討した結果、界面活性剤を高濃度で含有する有機性廃水に対して嫌気処理を行うと、メタン生成菌によるメタン発酵は抑制される一方で、界面活性剤を分解する微生物が活性化されて界面活性剤の濃度が低下することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の水処理装置である。
上記課題を解決するための本発明の水処理装置は、界面活性剤を含有する有機性廃水を処理するための水処理装置であって、前記界面活性剤を嫌気的に分解する界面活性剤分解部と、前記界面活性剤分解部の後段に設けられ、前記有機性廃水を嫌気的に処理する嫌気処理部と、を備えたことを特徴とする。
この水処理装置によれば、嫌気的に生物処理する構成が2段設けられており、前段では、界面活性剤を分解する微生物が活性化された界面活性剤分解部が形成されている。この界面活性剤分解部で処理された分解処理液は、界面活性剤の濃度が低下しているため、後段の嫌気処理部において、メタン発酵を行うことが可能となる。これにより、界面活性剤を高濃度で含有する有機性廃水の水処理装置において、エネルギー回収に優れた水処理装置を提供することができる。
更に、本発明の水処理装置の一実施態様としては、界面活性剤分解部と嫌気処理部との間に設けられ、界面活性剤分解部で処理された分解処理液中の界面活性剤の濃度を測定する濃度測定部、を備えたことを特徴とする。
この水処理装置によれば、界面活性剤分解部と嫌気処理部との間に、界面活性剤の濃度を測定する濃度測定部を備えているため、界面活性剤分解部で処理された分解処理液を嫌気処理部に供給する前に、分解処理液中の界面活性剤の濃度を確認することができる。そのため、分解処理液に高濃度の界面活性剤が含まれる場合には、嫌気処理部への分解処理液の供給を停止し、嫌気処理部における微生物の生育環境を破壊しないように維持することができる。
更に、本発明の水処理装置の一実施態様としては、分解処理液中に含まれる界面活性剤の濃度を調整する濃度調整手段を備えたことを特徴とする。
この特徴によれば、濃度調整手段により分解処理液中に含まれる界面活性剤の濃度を調整することができるため、分解処理液中の界面活性剤の濃度が高い場合でも、嫌気処理部における微生物の生育環境に適した濃度に調整することができる。
更に、本発明の水処理装置の一実施態様としては、濃度調整手段は、分解処理液を希釈する希釈手段であることを特徴とする。
この特徴によれば、簡易的な手段により、分解処理液中の界面活性剤の濃度を、嫌気処理部における微生物の生育環境に適した濃度に調整することができる。
更に、本発明の水処理装置の一実施態様としては、界面活性剤分解部の前段に、pH調整又は温度調整を行う酸生成部を備えたことを特徴とする。
この特徴によれば、酸生成菌により、糖、蛋白質又は油分などの固体や高分子有機物から低級脂肪酸を生成する他、pHおよび温度を界面活性剤分解部の至適条件に調整することができ、界面活性剤の分解を促進することができる。
本発明によれば、界面活性剤を高濃度で含有する有機性廃水を生物処理する水処理装置において、界面活性剤を分解して、メタン発酵等におけるエネルギー回収のための栄養源として利用することが可能な水処理装置を提供することができる。
本発明の第一の実施態様の水処理装置の構成を示す概略説明図である。 ラウリル硫酸ナトリウム濃度とメタン生成菌の活性度の関係を表すグラフである。 ラウリル硫酸ナトリウム濃度と化学的酸素要求量(CODCr)の除去率の関係を表すグラフである。 本発明の第二の実施態様の水処理装置の構成を示す概略説明図である。
以下に、本発明の水処理装置について説明する。なお、本発明の水処理装置についての説明は、これに対応する水処理方法も開示するものとする。
本発明の水処理装置は、被処理水として、界面活性剤を高濃度で含有する有機性廃水に使用されるものである。有機性廃水の界面活性剤の濃度は、特に制限されないが、好ましくは200mg/Lを超える有機性廃水であり、より好ましくは300mg/Lを超える有機性廃水であり、特に好ましくは400mg/Lを超える有機性廃水である。
被処理水としては、界面活性剤を高濃度で含有している有機性廃水であれば、どのようなものを使用してもよく、例えば、余剰汚泥を界面活性剤で処理した菌体廃液や、製紙工場、繊維工場、化学工場、食品工場等の工場排水や、洗剤等を含有する生活排水などが挙げられる。
有機性廃水に含まれる界面活性剤の種類は、嫌気処理部における微生物の生育を阻害するものであり、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤のいずれでもよい。
陰イオン界面活性剤としては、具体的には、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ミリスチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、オレイル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩、POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、POE(3)ミリスチルエーテル硫酸ナトリウム等のアルキルエーテル硫酸エステル塩、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンカリウム、ラウロイルメチルタウリンナトリウム等のN−アシルメチルタウリン塩、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸等のN−アシルグルタミン酸塩、ラウロイルメチルアラニンナトリウム等のN−アシルメチルアラニン塩、ラウロイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシン塩、ステアロイル乳酸ナトリウム等のアシル乳酸塩、ヤシ油脂肪酸カリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸トリエタノールアミン等の脂肪酸塩等が挙げられる。なお、POEは、ポリオキシエチレンの略であり、カッコ内の数字は付加モル数を示す。
陽イオン界面活性剤としては、具体的には、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム等のアルキル4級アンモニウム塩、ジメチルステアリルアミン、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド等のアミン塩等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、具体的には、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、ラルリルアミノプロピオン酸ナトリウム等のアミノ酸型両性界面活性剤、ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等のベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
非イオン界面活性剤としては、具体的には、POEラウリルエーテル、POEセチルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、モノステアリン酸グリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル、モノラウリン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
嫌気性微生物の阻害活性が高いという観点から、好ましくは陰イオン界面活性剤であり、より好ましくはアルキル硫酸エステル塩であり、特に好ましくはラウリル硫酸ナトリウムである。
本発明の水処理装置は、界面活性剤を含有する有機性廃水を処理するための水処理装置であって、界面活性剤を嫌気的に分解する界面活性剤分解部と、界面活性剤分解部の後段に設けられ、有機性廃水を嫌気的に処理する嫌気処理部と、を備えたことを特徴とするものである。
以下では、この発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施形態は、本発明を限定するものではない。
[第一の実施態様]
図1は、本発明の第一の実施態様の水処理装置1Aの構造を示す概略説明図である。水処理装置1Aは、嫌気性微生物により被処理水W0を嫌気処理するための嫌気性処理装置であり、酸生成部2、界面活性剤分解部3及び嫌気処理部4を備えている。被処理水W0は、界面活性剤を高濃度で含有する有機性廃水を用いる。
酸生成部2は、酸生成菌により、糖、蛋白質又は油分などの固体や高分子有機物から低級脂肪酸を生成するための構成である。
界面活性剤分解部3は、有機性廃水に含まれる界面活性剤を分解するための構成であり、より具体的には、界面活性剤を分解する微生物が生育可能な環境下で行う嫌気性微生物処理である。
嫌気処理部4は、酸生成部2、界面活性剤分解部3により分解された有機物を利用してメタン発酵を行うための構成である。なお、酸生成槽2、界面活性剤分解部3及び嫌気処理部4のいずれも嫌気状態である。
(酸生成部)
酸生成部2には、被処理水W0を供給するための配管が設けられ、被処理水W0として界面活性剤を高濃度で含有する有機性廃水が供給される。酸生成部2では、酸生成菌により、糖、蛋白質又は油分などの固体や高分子有機物から低級脂肪酸を生成するだけでなく、被処理水W0を後段の界面活性剤分解部3における生物処理に適した環境に整えることができる。
酸生成部2では、pHを6〜9、好ましくは6〜8、より好ましくは6.5〜7.5に調整する。pHの調整は、酸やアルカリ等のpH調整剤を添加することにより調整することができる。また、温度は、25〜40℃、好ましくは30〜40℃、より好ましくは35〜38℃に調整する。これにより、後段の界面活性剤分解部3における嫌気性微生物処理の生育が安定化し、界面活性剤の分解が促進される。
(界面活性剤分解部)
界面活性剤分解部3には、酸生成部2によりpH及び温度が調整された有機性廃水が供給され、嫌気性微生物の働きにより界面活性剤を分解する。界面活性剤を分解する微生物(以下、「界面活性剤分解菌」という。)は、活性汚泥を嫌気的に処理する際に、界面活性剤を高濃度で含有する被処理水W0を供給し続けることにより自然と増殖する。このようにして得られた界面活性剤分解菌を生育することにより、被処理水W0中の界面活性剤の濃度を低下することができる。なお、界面活性剤分解部3により発生した排ガスは、嫌気処理部4におけるバイオガスGと共に利用される。
界面活性剤分解菌の状態は、どのような状態でもよく、例えば、有機性廃水中に汚泥として分散してもよいし、固定床や流動床のような担体表面に界面活性剤分解菌を保持した微生物固定化担体としてもよい。
界面活性剤分解部3で分解する界面活性剤の量は特定されないが、界面活性剤の濃度が、好ましくは400mg/L以下、より好ましくは300mg/L以下、更に好ましくは200mg/L以下、更により好ましくは100mg/L以下、特に好ましくは50mg/Lとなるまで分解する。これにより、後段の嫌気処理部におけるメタン生成菌の活性度が急激に高まり、処理水中の化学的酸素要求量(CODCr)が低下するという効果を奏する。
界面活性剤分解部3で処理された有機性廃水又は処理中の有機性廃水の一部は、酸生成部2に循環してもよい。これにより、酸生成部2に供給された被処理水W0のpH等が大きく変動した場合でも、被処理水W0が循環水W2により希釈されるため、酸生成部2における酸生成菌の生育が安定化するという効果がある。
(嫌気処理部)
嫌気処理部4は、界面活性剤分解部3で界面活性剤の濃度が低下した有機性廃水を嫌気的に処理するための構成であり、具体的には、メタン生成菌によるメタン発酵が行われ、バイオガスGとしてメタンを発生する。メタン発酵が行われた処理水W1は、系外へ放出される。
嫌気処理部4におけるメタン生成菌の状態は、どのような状態でもよく、例えば、有機性廃水中に汚泥として分散してもよいし、固定床や流動床のような担体表面にメタン生成菌を保持した微生物固定化担体としてもよいし、グラニュール汚泥状のものでもよい。メタンの生成能に優れるという点で、固定床、担体、グラニュール汚泥を利用することが好ましく、グラニュール汚泥を利用することが特に好ましい。
次に、有機性廃水中の界面活性剤の濃度と、メタン生成菌の活性度及び化学的酸素要求量(CODCr)の除去率の関係を求めたデータを図2、図3に示す。
図2は、ラウリル硫酸ナトリウム濃度とメタン生成菌の活性度との関係を示すグラフであり、図3は、ラウリル硫酸ナトリウム濃度と化学的酸素要求量(CODCr)の除去率との関係を示すグラフである。
なお、この試験では、被処理水として有機性廃水にラウリル硫酸ナトリウムを所定量添加したものを用いた。また、メタン生成菌の活性度は、グラニュールを用いた酢酸資化試験(バッチ試験)を行い、ラウリル硫酸ナトリウムを添加しない場合を100%として算出した。
図2に示すとおり、メタン生成菌の活性度は、ラウリル硫酸ナトリウムの濃度が400mg/L以下において急激に向上し、50mg/L以下において100%となった。
また、図3に示すとおり、化学的酸素要求量(CODCr)の除去率は、ラウリル硫酸ナトリウムの濃度が400mg/L以下において急激に向上し、200mg/L以下においてほぼ一定となった。
すなわち、メタン生成菌の活性度を向上するという観点では、界面活性剤の濃度は50mg/L以下であることが特に好ましく、化学的酸素要求量(CODCr)の除去率を向上するという観点では、界面活性剤の濃度は200mg/L以下であることが特に好ましいといえる。
また、第一の実施態様の水処理装置1Aでは、界面活性剤分解部3と嫌気処理部4を連結する配管に、界面活性剤の濃度を測定する濃度測定部Dを備えている。上記データに示すように、界面活性剤の濃度が400mg/Lを超えると、メタン生成菌の活性度が著しく低下するため、嫌気処理部4の界面活性剤の濃度を厳格に管理する必要がある。濃度測定部Dを設けることにより、嫌気処理部4に高濃度の界面活性剤を含有する有機性廃水が流入することを未然に防ぐことができる。
また、濃度測定部Dの設置位置は、嫌気処理部4の前段であれば、どの位置でもよいが、嫌気処理部4の直前の界面活性剤分解部3や、界面活性剤分解部3と嫌気処理部4を連結する配管に設置することが好ましい。
濃度測定部Dでは、計測器等を用いて界面活性剤の濃度を測定してもよいし、有機性廃水を測定サンプルとして一部抜き取り、当該測定サンプルについて界面活性剤の濃度を測定してもよい。
界面活性剤の濃度の測定方法としては、特に制限されないが、陰イオン界面活性剤であれば、「メチレンブルー吸光光度法による陰イオン界面活性剤の定量」(JIS K 0102 30.1.1)、非イオン界面活性剤であれば、「テトラチオシアナトコバルト(II)酸吸光光度法による非イオン界面活性剤の定量」(JIS K 0102 30.2.1)により測定する。また、陽イオン界面活性剤及び両性界面活性剤であれば、「陽イオン−両性2元界面活性剤の分析 オレンジII法」(工業化学雑誌、第66巻、第10号、1963年、1449−1451頁)により測定する。
さらに、界面活性剤の濃度を調整するための濃度調整手段を設けることが好ましい。濃度調整手段としては、例えば、上水や他の設備の処理水や有機性廃水等を供給して分解処理液を希釈する希釈手段や、界面活性剤を凝集させる凝集剤を添加し、沈殿分離により界面活性剤を除去する手段や、界面活性剤を吸着する吸着材により分離する手段等が挙げられる。界面活性剤の濃度変化に対して迅速に対応できることや、作業が容易であること等の理由により、希釈手段を設けることが特に好ましい。
濃度調整手段を設けることにより、界面活性剤分解部3で処理された分解処理液中の界面活性剤の濃度が高い場合でも、嫌気処理部4への供給を停止することなく、嫌気処理部4のメタン生成菌の活性度を高く維持することできる。
濃度調整手段により調整される界面活性剤の濃度は、上記界面活性剤分解部3と同様、好ましくは400mg/L以下、より好ましくは300mg/L以下、更に好ましくは200mg/L以下、更により好ましくは100mg/L以下、特に好ましくは50mg/Lである。これにより、後段の嫌気処理部におけるメタン生成菌の活性度、及び、処理水中の化学的酸素要求量(CODCr)の除去率を高く維持することができる。
濃度調整手段による界面活性剤の濃度調整は、濃度測定部Dからの信号の入力により制御された制御装置により実行してもよい。例えば、希釈手段による濃度調整の場合、濃度測定部Dからの測定結果に応じて希釈水の流量を調整するように制御することができる。また、濃度測定部Dの測定値から希釈水の供給量を算出し、人為的に希釈水の流量を調整してもよい。
[第二の実施態様]
図4には、本発明の第二の実施態様の水処理装置1Bの構造を示した。第二の実施態様では、濃度測定部Dを界面活性剤分解部3に設け、また、濃度調整手段として、界面活性剤分解部3とメタン発酵槽4を連結する配管に上水又は工業用水W3を供給する希釈手段を備えた構成である。この水処理装置1Bによれば、界面活性剤分解部3で処理された分解処理水中の界面活性剤の濃度が高い場合でも、希釈手段により希釈されるため、嫌気処理部4におけるメタン生成菌の生育を維持することができる。
本発明の水処理装置は、被処理水として、界面活性剤を高濃度で含有する有機性廃水に使用されるものである。
被処理水としては、界面活性剤を高濃度で含有している有機性廃水であれば、どのようなものを使用してもよく、例えば、余剰汚泥を界面活性剤で処理した菌体廃液や、製紙工場、繊維工場、化学工場、食品工場等の工場排水や、洗剤等を含有する生活排水などの処理において好適に使用することができる。
1A,1B…水処理装置、2…酸生成部、3…界面活性剤分解部、4…嫌気処理部、5A,5B,5C,5D…希釈手段、W0…被処理水、W1…処理水、W2…循環水、W3…上水又は工業用水、G…バイオガス

Claims (5)

  1. 界面活性剤を含有する有機性廃水を処理するための水処理装置であって、
    前記界面活性剤を嫌気的に分解する界面活性剤分解部と、
    前記界面活性剤分解部の後段に設けられ、前記有機性廃水を嫌気的に処理する嫌気処理部と、
    を備えたことを特徴とする、水処理装置。
  2. 前記界面活性剤分解部と前記嫌気処理部との間に設けられ、前記界面活性剤分解部で処理された分解処理液中の界面活性剤の濃度を測定する濃度測定部、を備えたことを特徴とする、請求項1に記載の水処理装置。
  3. 前記分解処理液中に含まれる界面活性剤の濃度を調整する濃度調整手段を備えたことを特徴とする、請求項2に記載の水処理装置。
  4. 前記濃度調整手段は、前記分解処理液を希釈する希釈手段であることを特徴とする、請求項3に記載の水処理装置。
  5. 前記界面活性剤分解部の前段に、pH調整又は温度調整を行う酸生成部を備えたことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水処理装置。


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