JP2006247571A - クラゲの処理方法及び処理装置 - Google Patents
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Abstract
【目的】 クラゲの微生物処理を、悪臭を発生させずに効率良く(生産性良好に)行うことができるクラゲの処理方法を提供すること。
【構成】 被処理物であるクラゲを含む塩素系電解質水溶液を、電解処理してクラゲ水化水を調製する。該クラゲ水化水を適切な塩分濃度となるように希釈して、好気性微生物(好塩性微生物を除く。)を用いた活性汚泥処理などにより好気性処理を行う。
【選択図】 図1
【構成】 被処理物であるクラゲを含む塩素系電解質水溶液を、電解処理してクラゲ水化水を調製する。該クラゲ水化水を適切な塩分濃度となるように希釈して、好気性微生物(好塩性微生物を除く。)を用いた活性汚泥処理などにより好気性処理を行う。
【選択図】 図1
Description
本発明はクラゲ(水母)を電気分解して生じたクラゲ水化水を水で希釈し、好気性処理を経て直接的に排水可能なクラゲの処理方法、及び、それに適したクラゲの処理装置に関する。
海岸に立地する発電所等のプラント施設では、大量の海水を取水して直接冷却水等として使用している。この海水の取水は、海中に設置された取水口から配管を通して取り込んで行う。
一方、春先から夏にかけて、海洋にはクラゲが大量発生する。クラゲは群れで行動し、多い時には1hに数百トンの量で一気に海岸へ押し寄せることがある。そのため、上記海水を利用する発電所等のプラント施設では、取水口付近に押し寄せるクラゲの大群の対応に苦慮している。取水口付近に押し寄せたクラゲにより、配管が閉塞して、取水量が減少又は極端な場合には取水不可となり、工場の運転に支障をきたすためである。
クラゲは、体の約95〜98%が水分で構成されている多水性の生物であるため、超音波等での検知が困難であり、また、発生する時期も不規則で予測しがたい。さらにクラゲは、潮の流れに沿って移動し、自ら危険を回避する習性はない。そのため、クラゲが海岸に押し寄せてから陸揚げする方法以外には対策が取れない。
そして、押し寄せたクラゲの大群は、海藻類、他の魚介類とともに配管への異物混入を防止するために取り付けられた回転式除塵機等により陸揚げ回収され、一時保管後、埋め立て等で処理されていた。
しかし、埋め立て場所の確保が困難であるとともに、特に夏場は悪臭が発生する。さらに、これまで、一般的であったミニ処分場での処理は、法改正により、平成17年
4月1日から、実質的に不可能となる。
4月1日から、実質的に不可能となる。
そして、埋立て以外の処理方法としては、下記のようなものが提案されている。
ア)クラゲを破砕処理して、クラゲに同伴した貝等の固形物を沈殿処理した後、加圧下で加熱して、その後、瞬時に脱圧・膨化処理して得たクラゲ水化水を電解又は薬品で酸化処理をする(特許文献1・2・3等参照)。
イ)クラゲを破砕してゲル状としたものを、好塩性好気性細菌で好気性処理をする(特許文献4)。
ウ)クラゲを水熱反応により液化したクラゲ水化水を、嫌気性処理をする(特許文献5)。
エ)クラゲを電気分解により得たクラゲ水化水を、嫌気性処理の濃度調整水として使用する(特許文献6)。
特開平10−174962号公報
特開平10−180233号公報
特開平11−244833号公報
特開2001−95564号公報
特開2002−153837号公報
特開2002−239519号公報
本発明は、クラゲを水化して好気性処理を行うに際して、悪臭を発生させずに効率よく(生産性良好に)クラゲ水化水の処理が可能な、上記先行技術文献に記載されていないクラゲの処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意開発・研究に努力する過程で、特許文献6に記載の電気分解処理により調製したクラゲ水化水は、汎用の好気性細菌で好気性処理を塩分濃度が低い場合は勿論、塩分濃度が従来好気性処理が困難視されていた範囲でも、実用的レベルの処理が可能であることを知見して、下記構成のクラゲの処理方法に想到した。
被処理物であるクラゲを入れた塩素系電解質含有水を、電気分解処理(以下「電解処理」と略す。)してクラゲ水化水を調製し、該クラゲ水化水を好気性処理(好塩性微生物によるものを除く。)を行うことを特徴とする。
本発明の上記方法の場合、従来の如く、特殊な好塩性微生物を使用する必要がない。
また、本発明の電解処理を経て調製したクラゲ水化水は、塩素系電解質の電解により塩素が発生して、塩素濃度が高く腐敗が発生し難く、長期間保存が可能であり、また、BOD(Biochemical Oxygen Demand:生物化学的酸素要求量)やCOD(Chemical Oxygen demand:化学的酸素要求量)が、自然放置により液化させた場合に比して低い。従って、好気性処理の効率(処理時間、有機物分解率)も良好である。
BODやCODが低いということは、クラゲ水化水中の有機物含有率が低いことを意味し、間接的な電解処理であっても、クラゲの分解が、自然放置による分解より、高度に進んでいることが考えられる。
ここで、被処理物であるクラゲとは、クラゲがゲル状態(固形分)及び液状態のいずれか、又は、それらの双方を含む概念である。
上記方法において、別位置とされたクラゲ貯留ステーション(クラゲを投入し貯留する水槽)と電解処理ステーション(電解槽)とを塩素系電解質含有水の循環路で連通させて、前記クラゲ貯留ステーションにクラゲを貯留した状態で、電解処理ステーションで電解処理を連続的又は間欠的に行いながら、塩素系電解質含有水を両ステーション間に循環させて、クラゲ水化水の調製を行う、いわゆる間接電解処理することが望ましい。
上記方法によれば、クラゲ貯留ステーションにおける自然放置によるクラゲの水化(分解)(以下「自然水化」という。)と、該自然水化物の、別位置の電解処理ステーションでの電解処理による自然水化水のさらなる水化(分解)とを併用することにより、悪臭を発生させることなく、しかも、電解処理装置を小型・簡素化できる。
さらには、直接電解処理をする場合に比して、合計使用電力量の節約も期待できる。したがって、前記間接電解処理によりクラゲ水化水を調製するクラゲの処理方法は、直接電解処理によりクラゲ水化水を調製する場合に比して、経済性・運転性に優れている。
ここで、「直接電解処理」とは、電解用電極を、クラゲを投入し貯留する水槽内に設置し、被処理物であるクラゲを含む塩素系電解質含有水を電解処理することをいい、「間接電解処理」とは、クラゲを投入し貯留する水槽とは別位置に電極を設置した電解槽を設け、被処理物であるクラゲを含む塩素系電解質含有水を電解処理することをいう。
上記好気性処理は、塩分濃度、1.5w/v%以下に希釈したクラゲ水化水に対して行うことが望ましい。塩分濃度が高過ぎると好気性処理速度が低下する。
上記各方法における好気性処理としては、通常、活性汚泥処理とする。他の好気性処理(例えば、砂濾床、散水濾床法)に比して、省スペース、浄化能力が高い、悪臭の飛散がない等の長所を有するためである。
そして、好気性処理後の処理済液に対して、さらに、物理的又は化学的な汚濁成分除去処理を行うことが望ましい。規制値によっては、直接排水レベルまでの処理も可能である。例えば、環境省令で定める排水基準(単位:mg/L)は、BOD:120、COD:120、SS:150、N:60であり、後述の如く、実施例A・B・Cは、いずれも十分にクリアーしている。しかし、昨今、環境基準が厳格化の傾向にあり、上乗せ規制(例えば、県条例)に対処するため、上記汚濁成分除去処理が必要となる場合がある。
そして、上記各処理方法に使用するクラゲの処理装置は、それぞれ下記のような構成となる。
被処理物であるクラゲを含有する塩素系電解質含有水を貯留する水槽と、電解用電極を設置し塩素系電解質含有水を電解処理してクラゲ水化水とする電解処理装置と、電解処理により調製したクラゲ水化水を好気性処理(好塩性微生物によるものを除く。)を行う好気性処理装置とを備えていることを特徴とする。
上記構成のクラゲの処理装置は、1)水槽内に電解処理装置を備えている構成、又は、2)水槽と電解処理装置とを別体的に形成し、水槽と電解処理装置との間には液循環手段を備えている構成とする。
また、上記構成のクラゲの処理装置は、好気性処理に先立って、電解処理により調製したクラゲ水化水を希釈して塩分濃度を調整する塩分濃度調整手段をさらに備えていることが望ましい。
上記各構成におけるクラゲの処理装置が活性汚泥処理装置であることが望ましい。
さらに、好気性処理後の処理済液に対して、汚濁成分の物理的又は化学的な除去を行う汚濁成分除去手段をさらに備えていることが望ましい。
以下、本発明を、本発明の実施形態に基づいて、さらに詳細に説明する。
本実施形態は、被処理物であるクラゲを、塩素系電解質の存在下で、直接的又は間接的な電解処理を経てクラゲ水化水を調製し、該クラゲ水化水に対して好気性処理をすることを基本的特徴とする。
ここで、クラゲとは、ヒドロ虫類、ハチ虫類及びクシクラゲ類の浮遊世代の固体を意味する。(「世界大百科辞典 8」(1972-4-25) 平凡社、p.430)。
また、「好気性処理」とは、生物学的処理技術の一つで、主として好気性微生物群(細菌、藻類、菌類、原生動物等)を用いて主として有機物を酸化分解により処理する技術で、「嫌気性処理」に対する用語である。なお、好気性微生物群には、酸素の存在下でも生育する通性嫌気性微生物群も含まれる。
以下、間接電解処理を経るクラゲの処理方法について、説明流れ図(フローシート)である図1を参照しながら、本発明について、具体的に説明をする。
基本的には、別位置とされたクラゲ貯留ステーション14と電解処理ステーション16とを塩素系電解質含有水循環路で連通して行うものである。
まず、海水取水口の簗場(ヤナバ:スクリーン設置場所)12において、図示しない回転式除塵機等で水揚げされたクラゲを、搬送路を通して水槽14まで搬送する。このとき、水槽14への搬送は、人手で行ってもよいが、通常、機械的に行う。例えば、図示しないが、別途搬送ポンプ及び投入シュート等を設置して、取水口簗場12から機械的な搬送により行う。取水口簗場12では、当然、粗大ゴミを除去する装置を備えている。しかし、本発明においては、クラゲのみを電解処理することを目的とするため、クラゲとともに水揚げされるクラゲ以外の魚介類を分離除去する装置(分離除去手段)が、通常、必要となる。
そして、水槽(クラゲ貯留ステーション)14は電解処理装置(電解処理ステーション)16と、すなわち電解処理槽17と、循環ポンプ18を備えた往路と電解処理して生成したクラゲ水化水を戻す復路とからなる循環路19で接続されている。
電解処理装置16は、電解槽17内に、複数対の正・負電極20、22が交互に設置されており(なお、正・負電極は一対でもよい。)、両端の正・負電極20、22には、直流電源24が接続されている。なお、図示しないが、各正極相互、負極相互は電気的に接続されている。
通常、まず水槽14および電解処理装置16の電解槽17には、塩素系電解質含有水として、海水を貯留させておく。すなわち、クラゲ貯留ステーション14と電解処理ステーション16とは、循環路を介して海水を循環できるようにしておく。
なお、海水の代わりに、水道水(工水)に塩素系電解質を、例えば、NaCl,KCl,MgCl2 ,CaCl2 等を添加して、塩素系電解質含有水を調製してもよい(特許文献6段落0024から引用)。塩素系電解質の濃度は、海水濃度に限られず、電気分解により水槽14内の貯留液(クラゲ水化水含有水)における塩素濃度を、クラゲ(被処理物)の腐敗が進行しない以上の濃度に維持できれば特に限定されない。
そして、陸揚げしたクラゲを投入して貯留すると同時に、電解処理装置16及び循環ポンプ18の運転を開始する。すると、電解処理槽16内で塩素系電解質の電気分解により塩素が発生する。該塩素(次亜塩素酸として)濃度が高くなった海水は水槽14に循環流入する。
なお、海水(電解質:NaCl)の電解反応、及び塩素と水とによる次亜塩素酸の生成反応を次に示す。
2NaCl+2H2O→Cl2 +H2 +2NaOH
Cl2 +H2O→HCl+HClO
このため、水槽14貯留液の塩素(次亜塩素酸濃度)濃度が高くなり、貯留されているクラゲの腐食が抑制され、悪臭が発生しない。そして、水槽14内でh経過とともに、徐々に自然水化(自然分解)する。水槽14内の貯留液の塩分濃度が海水より低下もしくは該貯留液の温度が海水より高くなる等により、クラゲ体液が細胞膜外へ浸出する圧力(浸透圧)が高まるためである。
Cl2 +H2O→HCl+HClO
このため、水槽14貯留液の塩素(次亜塩素酸濃度)濃度が高くなり、貯留されているクラゲの腐食が抑制され、悪臭が発生しない。そして、水槽14内でh経過とともに、徐々に自然水化(自然分解)する。水槽14内の貯留液の塩分濃度が海水より低下もしくは該貯留液の温度が海水より高くなる等により、クラゲ体液が細胞膜外へ浸出する圧力(浸透圧)が高まるためである。
このクラゲ自然水化水(以下、単に「自然水化水」という。)は、電解処理槽16内に流入し、電気分解の作用を受けて、さらに分解(電解水化)される。その結果、電気分解後の水化水は、自然水化水に比して、有機物の分解に必要な酸素要求量であるBOD、CODが低くなる。
さらに、電気分解により、自然水化水混合海水(自然水化水及び海水ともに塩素系電解質を含有する。)は、塩素を生成する。該生成塩素は、一部が水と反応して強い酸化力を有する次亜塩素酸に化学変化しながら、水槽14へ循環流入する。
そして、水槽14内においては、該次亜塩素酸が、クラゲ固形分及びクラゲ水化水の酸化分解を促進させる。その結果、貯留槽内においても、有機物の分解に必要な酸素要求量であるBOD、CODが低くなる。
ある程度、クラゲの自然水化、さらには、電解処理による水化が進んだ時点(通常、1〜2h)で、電解処理装置16を、電流密度を低くして連続運転又はそのまま間欠運転しながら、水槽14内の貯留液が所定値以上の塩素濃度(例えば、1mg/L以上)を保ちつつ、1〜2d(日)間経過させる。すると、クラゲは、水槽内で自然水化(自然分解)及び次亜塩素による酸化水化(酸化分解)、及び自然水化物の電解水化(電解分解)により、クラゲの水化(分解)が進行する。
上記では、クラゲ水化水を間接的に電解処理により調製する場合を例に採ったが、図2に示すような直接電解処理により調製したクラゲ水化水を使用することも勿論できる。基本的には、特許文献6に記載されている電解水化の方法である。図1と同一部分については、同一図符号を付して、それらの説明を省略する。
すなわち、図2においては、水槽14A内に、電解処理装置16Aが配置され、クラゲ貯留ステーション14Aと電解処理ステーション16Aとが同一位置にある。
直接電解処理により、クラゲの細胞膜が破壊され、細胞内容物が流出してほとんどが水化する。
クラゲの電気分解の作用を、詳しく説明すると下記の如くである(特許文献6段落0033から引用)。
「電極部付近にはたんぱく質などの有用な有機分および苛性ソーダ(NaOH)が気泡となって生成するとともに、クラゲ水化水(水化液)が得られる。電気分解処理後に得られたクラゲ水化水の組成は、海水と略類似しており、構成成分として残留塩素(殺菌作用のある次亜塩素酸ソーダ:NaClOを生成)、ふっ化物イオン(F- )、塩化物イオン(Cl- )、硝酸イオン(NO3 - )、りん酸イオン(PO4 3- )、硫酸イオン(SO4 2- )、ナトリウムイオン(Na+ )、アンモニウムイオン(NH4 +)、カリウムイオン(K+ )、BOD、COD、その他、無機成分、有機成分等を含んでいる。」
なお、クラゲを放置して得られるクラゲ自然水化水と、電解処理(直接・間接を問わない)を経て得られる水化水とは、同じクラゲから得られる水化水であっても、組成度(クラゲの分解度:有機物含有率、及び、塩素濃度が成)が異なる。すなわち、電気分解によりクラゲ水化水は、有機物含有率の指標である、BOD(生物化学的要求量:biochemical oxygen demand)、COD(化学的酸素要求量:chemical oxygen demand)の数値が低くなり、また、塩素濃度が高くて保存性(BOD、CODの増大が抑制される。)がきわめて良好な状態となる。
なお、クラゲを放置して得られるクラゲ自然水化水と、電解処理(直接・間接を問わない)を経て得られる水化水とは、同じクラゲから得られる水化水であっても、組成度(クラゲの分解度:有機物含有率、及び、塩素濃度が成)が異なる。すなわち、電気分解によりクラゲ水化水は、有機物含有率の指標である、BOD(生物化学的要求量:biochemical oxygen demand)、COD(化学的酸素要求量:chemical oxygen demand)の数値が低くなり、また、塩素濃度が高くて保存性(BOD、CODの増大が抑制される。)がきわめて良好な状態となる。
上記成分について詳しく見ると、クラゲをそのまま放置して得られるクラゲ水化水(未処理水)と比較して残留塩素が多く含まれている(通常、0.5〜数mg/L)。残留塩素はたんぱく質や魚介類などの腐敗の進行を抑制し、アンモニアなどの悪臭発生を防止できる。残留塩素は、水道水の殺菌用等としても使用されており、その酸化力(次亜塩素酸に化学変化して)により殺菌効果を有するものである。そのため、クラゲ水化水自身の腐敗が進行せず、クラゲ水化水の長期保存が可能となる。また、腐敗が進まないため、クラゲが含有する有機物成分の増加を抑えることができる。
よって、放置して得られるクラゲ水化水(自然水化水)に比して臭い成分である、アンモニウムイオン、アミン(N成分)等の含有率が減少して、悪臭がほとんど発生しないとともに、電気分解により、BOD、CODの含有量が大きく低下しており、かつ、有機物成分の増加も抑えられる(特許文献6段落0035、0036参照)。このため、特別な設備を要しなくとも一定期間クラゲ水化水を保存することができ、更には、好気性処理(活性汚泥処理)を行う際の負荷が小さくなる。
なお、特許文献5に記載の従来例である水熱反応等により調製したクラゲ水化水の如く、ゲル化物を実質的に含まず、均一系の溶液が得やすい。さらに、表面の細胞膜が破壊されるため、後述の好気性処理(活性汚泥処理:曝気処理)において、処理時間が短くて済み、かつ、処理率(消化率:各成分除去率)が増大するという利点を有する。
上記のように電解処理を経て調製したクラゲ水化水(クラゲ電解処理液)は、通常、約3%の塩分濃度(海水と略同じ。)であり、そのままでは、好気性処理は困難である。
なお、活性汚泥処理プロセス等の生物酸化処理に対する塩化ナトリウム(毒物)の限界濃度は、8〜9g/L(0.8〜0.9%)とされている(井出哲夫編「水処理工学−理論と応用−」技法堂出版株式会社、昭和51年6月30日、p231)。
このため、中間槽26へ移送して、淡水(工水)を加えて、好気性処理が可能な濃度に希釈する。本発明では、塩分濃度は上記数値(0.8〜0.9%)を超えても実用的な好気性処理が可能であると予測できる。後述の実施例の如く、塩分濃度:約1.2%までしか確認していないが、同1.5%レベルまで可能と推定されるが、処理時間及び処理効率の見地からは、約1.0%以下、0.7%以上が望ましい。塩分濃度を余り低くすることは、結果的に排水処理量を増大させるため望ましくない。
電解処理によるクラゲ水化水は、略完全に液化(水化)が行われて、ゲル状物質を含まず、希釈水は乳白色の均一溶液となる。
そして、中間槽26で希釈したクラゲ水化水は、好気性処理を行うために、クラゲ水化水搬送ポンプ27等を使用して活性汚泥処理(好気性処理)装置30に移送する。ここで、好気性処理(装置)としては、特に限定されず、砂濾床、散水濾床でも可能であるが、省スペース、浄化能力が高い、悪臭の飛散がないなどの長所を備えた活性汚泥処理装置が望ましい。とくに、膜分離活性汚泥処理装置が望ましい。この活性汚泥処理装置は、膜濾過機能により、通常、必要となる沈殿槽が不要となるとともに活性汚泥濃度も高くでき、さらなる省スペース、高レベルの浄化能力が期待できる。なお、膜分離活性汚泥装置には、平膜タイプと中空糸膜タイプのいずれのタイプでもよい。
上記電気分解処理において、調製された電解後のクラゲ水化水を、クラゲ水化水搬送ポンプ27を使用して連続的に水槽14から取り出すとともに、クラゲを連続的に水槽14に投入して、該水槽14から被処理物であるクラゲを含む塩素系電解質含有水を電解槽17に循環ポンプ18を介して送入するようにすれば、電解処理装置の連続運転が可能となる。
他方、上記電解処理で得られたクラゲ水化水は、保存性が良好であるため、一定期間保存しておいて、必要な際に好気性処理に利用するバッチ処理としてもよい。
上記活性汚泥処理装置28は、通常、曝気槽30、貯留槽31の二槽構成となっており、曝気槽30で処理した処理水は、一旦、貯留槽31に貯留した後排水する。そして、曝気槽30には、図例では、底部側に曝気配管32を、中間にろ過膜34を、該ろ過膜34の直上にろ過水排水管36が配設されている。ここでは、曝気は空気吹き込み式としたが、機械攪拌式でもよい。
この好気性処理は、ゲル状物(固形物)を含有しない液体を処理するため、ゲル状物より処理効率が良好で、2h程度で好気性処理を終了できる。その際の、BOD、COD、窒素(N)含量の各除去率も良好である。
ちなみに、塩分濃度1%で処理したとき、後述の実施例で示す如く、いずれの項目も、除去率は90%以上と良好である。特に、塩分濃度が1.2%近くあっても、塩分濃度がそれ以下の場合に比して若干劣るものの、良好な除去効率を示している。(表1参照)
したがって、後工程の汚濁成分除去手段38における負荷も、非常に小さくなる。
したがって、後工程の汚濁成分除去手段38における負荷も、非常に小さくなる。
最終的に、好気性処理後の処理水は、適宜、物理的又は化学的な汚濁成分除去手段38へ移送して、汚濁成分除去を行って排水を行う。
ここで、上記汚濁成分除去の方法としては、活性炭塔で濾過処理することによりCODを低減させる物理的処理方法や、アンモニア態窒素にアルカリを添加して、アンモニアガスに変え、空気を吹き込みアンモニアガスを空気中に放散させて除去したり、アンモニア態窒素に塩素を加えて、塩素と反応させて水素を剥がして、窒素ガスにして空気中に放散したり、さらには、PAC(ポリ塩化アルミニウム)を添加してP成分をP含有沈殿物として除去したりする化学的処理方法を適宜使用可能である。
次に、本発明の効果を確認するために行った実施例について説明する(図1参照)。
1)クラゲ電解液(クラゲ水化水の調製):
表1に示す年月日に、水揚げされたクラゲ(A:1.5m3,B:0.6m3,C:0.7m3)を水槽に投入し、水槽内の貯留液(海水)を、電解処理装置16を運転(条件:DC6.5V、240A)しながら、水槽14と電解槽17との間に、3h循環(流量:6m3/h)させた。その後は、水槽内の残留塩素濃度が1mg/L以下とならないように、間欠的に電解処理装置16を間欠運転した。
表1に示す年月日に、水揚げされたクラゲ(A:1.5m3,B:0.6m3,C:0.7m3)を水槽に投入し、水槽内の貯留液(海水)を、電解処理装置16を運転(条件:DC6.5V、240A)しながら、水槽14と電解槽17との間に、3h循環(流量:6m3/h)させた。その後は、水槽内の残留塩素濃度が1mg/L以下とならないように、間欠的に電解処理装置16を間欠運転した。
そして、残留塩素を滴定分析法により測定したところ、表1に示すごとく、数mg/Lであり、腐敗の進行を抑制する(塩素は殺菌作用を有する。)のに十分な濃度を有することが分かった。
2)好気性処理(活性汚泥処理):
上記各クラゲ電解液(水化水)実施例A・B・Cについて、表1に示す塩分濃度になるように希釈したものについて、下記曝気槽(活性汚泥容量:7.5m3、曝気風量:1.9m3/min、ろ過膜:490mm×1000mm、150枚)を用いて、活性汚泥処理(好気性処理)を室温で約2h行った。
上記各クラゲ電解液(水化水)実施例A・B・Cについて、表1に示す塩分濃度になるように希釈したものについて、下記曝気槽(活性汚泥容量:7.5m3、曝気風量:1.9m3/min、ろ過膜:490mm×1000mm、150枚)を用いて、活性汚泥処理(好気性処理)を室温で約2h行った。
そして、活性汚泥処理の前後の試料について行った表2に示す各項目の測定試験を行った。その結果を示す表1から、電解処理液を本発明の方法で好気性処理を行った場合、塩分濃度が、1%を超えていても、N成分以外の除去率は、いずれも約90%以上を示し、効率的な好気性処理(微生物処理)が行われていることが分かる。
12…海水取水口簗場
14…水槽(クラゲ貯留ステーション)
16…電解処理装置(電解処理ステーション)
26…中間槽
28…活性汚泥処理装置
30…曝気槽
36…ろ過水排水管
38…汚濁成分除去手段
14…水槽(クラゲ貯留ステーション)
16…電解処理装置(電解処理ステーション)
26…中間槽
28…活性汚泥処理装置
30…曝気槽
36…ろ過水排水管
38…汚濁成分除去手段
Claims (11)
- 被処理物であるクラゲを含む塩素系電解質含有水を、電気分解処理(以下「電解処理」と略す。)してクラゲ水化水を調製し、該クラゲ水化水に対して好気性処理(好塩性微生物によるものを除く。)を行うことを特徴とするクラゲの処理方法。
- 別位置とされたクラゲ貯留ステーションと電解処理ステーションとを塩素系電解質含有水の循環路で連通させて、前記クラゲ貯留ステーションにクラゲを貯留した状態で、前記電解処理ステーションで電解処理を連続的又は間欠的に行いながら、前記塩素系電解質含有水を前記両ステーション間に循環させて、前記クラゲ水化水の調製を行うことを特徴とする請求項1記載のクラゲの処理方法。
- 前記好気性処理を、塩分(NaCl)濃度1.5w/v%以下に希釈したクラゲ水化水に対して行うことを特徴とする請求項1又は2記載のクラゲの処理方法。
- 前記好気性処理が活性汚泥処理であることを特徴とする請求項1、2又は3記載のクラゲの処理方法。
- 前記好気性処理後の処理済液に対して、さらに、物理的又は化学的な汚濁成分除去処理を行うことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のクラゲの処理方法。
- 被処理物であるクラゲを含む塩素系電解質含有水を貯留する水槽と、電解用電極を設置し前記塩素系電解質含有水を電解処理してクラゲ水化水とする電解処理装置と、前記電解処理により生じたクラゲ水化水を好気性処理(好塩性微生物によるものを除く。)を行う好気性処理装置とを備えていることを特徴とするクラゲの処理装置。
- 前記水槽内に前記電解処理装置が備えられていることを特徴とする請求項6記載のクラゲの処理装置。
- 前記水槽と前記電解処理装置とが別体的に形成され、前記水槽と電解処理装置との間には液循環手段を備えていることを特徴とする請求項6記載のクラゲの処理装置。
- 前記好気性処理装置が活性汚泥処理装置であることを特徴とする請求項6、7又は8記載のクラゲの処理装置。
- 前記水槽と前記好気性処理装置との間に、クラゲ水化水を希釈して塩分(NaCl)濃度調整をする塩分濃度調整手段を備えていることを特徴とする請求項6、7、8又は9記載のクラゲの処理装置。
- 前記好気性処理後の処理済液に対して、汚濁成分の物理的又は化学的な除去を行う汚濁成分除去手段をさらに備えていることを特徴とする請求項6、7、8、9又は10記載のクラゲの処理装置。
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-
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