JP2018163049A - レール装着物品の装着検査装置 - Google Patents

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【課題】はんだや金属ろうなどでレールに溶着(接着)されたレールボンドなどの装着状態を判定するレール装着物品の装着検査装置を提供する。【解決手段】レールに装着されたレール装着物品を打撃して得られる打音の時間周波数変換後の波形を記憶する記憶部2と、所定範囲での波形の振幅比率に基づく振幅アルゴリズムにより、レール装着物品の装着状態を判定する振幅判定部3と、所定範囲での波形の面積比率に基づく面積アルゴリズムにより、レール装着物品の装着状態を判定する面積判定部4と、振幅判定部および面積判定部のそれぞれの判定結果に基づいて、レール装着物品の最終的な装着状態を判定する最終判定部6と、を備え、最終判定部6は、振幅アルゴリズム判定部および面積アルゴリズム判定部のそれぞれの判定結果に基づいて、装着状態を「良好状態」もしくは「不良状態」として、判定する。【選択図】図8

Description

本発明は、レールボンドなどのレールに装着されたレール装着物品の装着劣化などを検査するレール装着物品の装着検査装置に関する。
線路上には、複数の分離したレールが、連続的に敷設されている。列車はこの連続的に敷設されたレール上を走行する。連続するレール同士は、走行可能な程度に連結しているものの、物理的には分離しており、当然ながら電気的に接続していない。
ここで、線路上に踏切が設けられている場合には、踏切が自動で反応して動作するように、列車の近接を、レールを通じて踏切が認知することが好ましい。このため一般的に、踏切から所定距離のレールに電流を流し或いは電圧をかけ、列車の車輪が到達しレール電流を遮断或いは通電することで、踏切が列車を検出する方法が採られている。ここで、一本のレールの長さは有限であり、列車検出区間内の前後何本かのレールで、列車の到達による電流の遮断或いは通電の検出が必要である。このため、踏切の前後において、複数のレール同士は、電気的に接続される必要がある。
また、電化区間にあっては、電車はトロリー線から受電し、レールを介して変電所に帰電している。すなわち、レールが電車電流の帰線電流回路を構成するため、レールには電車駆動に要する大きな電車電流が流れる。このため、給電区間内の複数のレール同士は、電気的に接続される必要がある。
レールボンドは、このような目的を実現するために、レール同士を電気的に接続するデバイスである。レールボンドは、素線の集合体である導電線と、導電線に接続する一対の端子と、を備える。一対の端子のそれぞれが、走行方向に隣接する2つのレールのそれぞれに溶着や接着される。一対の端子同士は、導電線によって接続されているので、レールボンドで接続された2つのレール同士は、電気的に接続される。これが、踏切の前後の所定数のレールにおいて実施されることで、踏切前後の一定の距離においては、列車が到達するとレール間を越えて電流を遮断或いは通電することにより列車を検知できるようになる。
この結果、レールボンドを介した通電によって列車が検出され、踏切での列車検出に基づく処理動作が行われる。
このように、レールボンドは、鉄道および鉄道事業において重要なキーデバイスである。レールボンドは、レールの腹部などの側面に装着されることが多い。この装着においては、はんだや金属ろうなどによる溶着や接着によりレールとの導電性を実現しつつレールに取り付けられる。
ここで、レールの上は、列車が走行するため、レールにおいては様々な振動や振動に基づく変形が生じうる。この振動や変形が生じることで、レールボンドの溶着面(接着面)に剥離部分が発生する。あるいは、レールボンド自身に加わる振動によっても、レールボンドのレールとの溶着面(接着面)に剥離部分が発生する。この剥離部分の進行によって、レールボンドが脱落してしまうことがありえる。これはレールやレールボンドに加わる振動や変形のみならず、外界に設置されていることによる気候劣化によっても生じうる。このようなレールボンドの溶着面の剥離発生や脱落については、レールへの装着という性質上、完全に防止することは困難である。
レールボンドが脱落してしまうと、当然にレール同士の通電ができず、列車の検出ができなくなってしまう安全問題につながる。脱落してからでは、対応に遅れが生じてしまうので、レールボンドの装着状態(すなわち、脱落の可能性のある剥離などの発生状態)を検査することが求められる。特に、ハンマーなどの器具を用いてレールボンドをたたいて得られる音色の違いや振幅に基づいて検査する打音検査の技術が提案されている(例えば、特許文献1、2、3、4参照)。
特開2011−257307号公報 特開2000−088817号公報 特開平10−2829号公報 特開2014−206383号公報
特許文献1は、ショックレスハンマー2によって検査対象物を打撃した時にショックレスハンマー2が跳ね返ることなく、検査対象物に密着した状態で、ショックレスハンマー2に取り付けられたマイク20によって検出された打撃音の測定結果を演算して検査対象物の状態を把握することにより、検査者の技量に関わらず検査対象物の状態を検査可能となる。例えば、検査対象物の積層材の剥離が無い部位と、積層材の剥離がある部位とでは、ショックレスハンマー2による打撃時にマイク20によって測定される打撃音の信号が異なる。この信号の違いによって、検査対象物の状態を容易に把握することができる打音検査システムを開示する。
特許文献1の打音検査システムでは、検査対象物内に剥離が存在すると、剥離箇所が新たな音の反射面となるため、マイクによって受音される応答音の信号が異なり、この信号の違いによって検査対象物の状態を判定している。
しかしながら、レールボンドはレールに溶着されるなどしており、この溶着面が音の反射面として作用するので、剥離のある部分と剥離の無い部分とを区別して反射音を認識することが困難である問題がある。また、特許文献1の打音検査システムでは、連続的に音を拾うことで検査するが、レールボンドにおいてはたたかれたレールボンド以外を起因とする振動も検出してしまい、レールボンドそのものの装着状態を把握することが困難である問題がある。
特許文献2は、ボルト1を打撃して、ハンマ2に発生するパルス状の振動を振動検出器11にて検出する。緩んでいないボルト1を打撃して発生する振動の最大ピーク値GSをピーク基準値設定器16に記憶し、トリガ検出器17が動作してから立ち下がり零検出器24が働くまでの間の時間TSをカウンタ25で計測して基準値設定器10に格納する。次に検査するボルト1を打撃して、比率演算器15にて今回の振動波形の最大ピーク値GTと先の最大ピーク値GSとの比率(GT/GS)を求める。トリガ検出器17が動作してから立ち下がり零検出器24が働くまでの間の時間TTを計測し、補正器8にて比率(GT/GS)で除して補正し、比較器9で基準値TSと比較し所定の範囲内か否かを判定する打撃判定装置を開示する。
特許文献2は、ハンマーでの打撃から得られる振動の、ある周波数帯域での振幅の最大値と、別の周波数帯域での振幅の最大値との比較に基づいて、気密状態やねじの緩みを検査する。
特許文献2の技術をレールボンドに適用する場合には、得られた打撃音の周波数変換後の波形において、ある周波数領域での振幅の最大値と他の周波数領域での振幅の最大値との比較に基づいて、レールボンドの装着状態(剥離などの装着劣化状態)を検査することになる。
しかしながら、後述するように、レールボンドの溶着面の剥離状態は様々であり、剥離を原因として生じる高周波帯域では、異なる振幅ピークが発生しうる。このような状況で、高周波帯域の振幅の最大値のみを基準とするのでは、様々な剥離状態を検出することができず、不良状態として判定されるべきであるのに、良好状態として判定されるなどの問題が生じることがある。すなわち、特許文献2の技術は、レールボンドのようなレール装着物品の装着状態の検査においては、不十分である問題がある。
特許文献3は、作業者により把持される把持部及び把持部に固定されて被診断部材に打撃されるヘッド部を有するハンマ部並びにこのハンマ部のヘッド部に設けられて被診断部材への打撃力を検出する打撃力検出手段からなる打撃装置と、この打撃装置のヘッド部が被診断部材に打撃されたときに打撃検出した打撃力データと打撃音検出部から検出された打撃音データを処理してその処理結果を検出するデータ処理手段と、このデータ処理手段により出力された処理結果と準備値とを比較する比較手段と、この比較手段の比較結果を表示する表示手段とを具備した打撃診断装置を開示する。
特許文献3をレールボンドの装着状態検査にて供する場合には、高周波帯域にピークが出れば、不良状態として判定されてしまう。しかしながら、溶着面の剥離状態は様々であり、高周波帯域にピークが発生しても、脱落の危険性がある剥離状態を示しているとは限らない。このため、良好状態のものを不良状態として判定してしまい、不要な交換コストが生じる問題がある。逆に、不良状態であるレールボンドを良好状態として判定してしまう逆の問題も生じうる。
特許文献4は、基体12にろう材を介して接合された物品13を打撃した際の打音の周波数解析を行って、物品13の剥離を判定するろう付け物品の打音検査方法であって、打音を、マイクロフォン16を用いて設定した期間に亘って集音して打音波形データを作成する工程と、打音波形データの周波数解析を行って周波数解析データを求める工程と、非剥離の物品を打撃した際の打音の周波数解析を行って最大振幅に対応する最大振幅周波数より高周波数側に閾周波数を設定し、周波数解析データの最大振幅Aa及び閾周波数以上の可聴周波数領域に存在する最大振幅Abを求め、最大振幅比Ab/Aaを算出して判別値とする工程と、判別値と設定した判別閾値とを比較し、判別値が判別閾値未満では非剥離、判別値が判別閾値以上では剥離と判定する工程とを有する打音検査方法を開示する。
しかしながら、特許文献4では、低周波帯域の振幅の最大値と高周波帯域の振幅の最大値との比較に基づいてレールボンド装着の不良状態を判定する。このとき、高周波帯域の振幅の最大値が小さい場合には、良好状態として判定されるが、溶着面の剥離状態によっては、振幅の最大値は小さいが、複数のピークが多数発生することがある。あるいは、同程度のピークが複数発生することもある。これらは、溶着面の剥離状態のバリエーションによってさまざまである。
このような場合に、振幅の最大値のみで判定してしまうと、不良状態を良好状態として判定したり、良好状態を不良状態として判定したりなど、判定が不十分となる問題がある。すなわち、振幅の最大値比較のみでは、溶着などでレールに装着されるレール装着物品(レールボンドなど)の装着状態の検査は、不十分である問題があった。
ここで、レールボンドは、はんだなどの溶着剤によってレールの溶着されている。溶着剤によって溶着されるとの性質上、レールボンドとレールとの溶着面には、ある程度の剥離が生じることが避けられない。すなわち、剥離の割合やその状態によって、脱落の可能性がある不良状態であるのか、脱落の可能性がすぐには低い良好状態であるのかを、判定する必要がある。
ねじやボルトで装着されるものであれば、ねじやボルトに緩みがあるか無いかのデジタル的な単純検出で、レールボンドの脱落を検査すればよい。上述の通り、溶着剤によって装着されているレールボンドでは、剥離の有無だけで、装着状態の良好状態もしくは不良状態を判定できるものではない。剥離の割合や状態をより正確に検出することと、実際の剥離割合と脱落率との相関性とによって、装着状態を判定できる。
例えば、振幅の最大値のみでの判定や、低周波帯域の最大振幅と高周波帯域の最大振幅の比率のみでの判定では、実際の剥離割合や剥離状態を十分に反映していないことがある。実際の剥離割合や剥離状態を十分に反映できていなければ、本来は不良状態であるレールボンドを良好状態として判定したり、本来は良好状態であるレールボンドを不良状態として判定したりする問題が生じうる。
すなわち、振幅の最大値や、異なる帯域での振幅の比率などの、単一アルゴリズムのみでレールボンドの装着状態を判定することは、不十分であるとの問題がある。
本発明は、はんだや金属ろうなどでレールに溶着(接着)されたレールボンドなどの装着状態を判定するレール装着物品の装着検査装置を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明のレール装着物品の装着検査装置は、レールに装着されたレール装着物品を打撃して得られる打音の時間周波数変換後の波形を記憶する記憶部と、
所定範囲での波形の振幅比率に基づく振幅アルゴリズムにより、レール装着物品の装着状態を判定する振幅判定部と、
所定範囲での波形の面積比率に基づく面積アルゴリズムにより、レール装着物品の装着状態を判定する面積判定部と、
振幅判定部および面積判定部での判定動作の組み合わせを制御する制御部と、
振幅判定部および面積判定部のそれぞれの判定結果に基づいて、レール装着物品の最終的な装着状態を判定する最終判定部と、を備え、
振幅判定部は、
所定範囲での波形の低周波帯域の振幅の最大値Kaと波形の高周波帯域の振幅の最大値Kbを検出する振幅検出部と、
振幅比率であるKb/Kaを算出する振幅比率算出部と、
振幅比率「Kb/Ka」と振幅比率閾値とを比較してレール装着物品の装着状態を判定する振幅アルゴリズム判定部と、を有し、
面積判定部は、
所定範囲での波形の波形面積を算出する面積算出部と、
波形面積において、所定面積比率となる波形の区切りの周波数値である特定周波数値を算出する周波数値算出部と、
特定周波数値を面積比率閾値と比較して、レール装着物品の装着状態を判定する面積アルゴリズム判定部と、を有し、
波形は、周波数軸に基づく形状であり、
最終判定部は、振幅アルゴリズム判定部および面積アルゴリズム判定部のそれぞれの判定結果に基づいて、装着状態を「良好状態」もしくは「不良状態」として、判定する。
本発明のレール装着物品の装着検査装置は、複数の異なるアルゴリズムでの判定結果を組み合わせて装着状態を判定する。この組み合わせにより、単一アルゴリズムでは誤った判定をしていた状態を解消でき、正確な装着状態を判定できる。
特に、振幅の比率と面積比率での2つのアルゴリズムを組み合わせることで、それぞれのメリットを生かしながら、より正確な装着状態を判定できる。剥離状態のバリエーションによって相違する装着状態に対しても、異なるアルゴリズムの組み合わせによって、正確に良好状態や不良状態を判定できる。
加えて、あるアルゴリズムで一回の判定時には不良状態と判定されたが、実際には良好状態であるレール装着物品の装着状態を、正しく良好状態として判定できる。結果として、交換などに必要となるコストを節減できる。
レールにレールボンドが装着された写真である。 レールに装着されたレールボンドを側面から示す側面図である。 剥離部分の生じたレールボンドの溶着面を示す正面図である。 剥離部分の生じたレールボンドの溶着面を示す正面図である。 剥離部分の生じたレールボンドの溶着面を示す正面図である。 打撃で得られた打音の周波数特性図である。 打撃で得られた打音の周波数特性図である。 本発明の実施の形態1におけるレール装着物品の装着検査装置のブロック図である。 振幅判定部の内部ブロック図である。 波形の模式図である。 所定範囲の波形における振幅Kaと振幅Kbとを検出する状態を示す模式図である。 本発明の実施の形態1における面積判定部の内部ブロック図である。 本発明の実施の形態1における波形の面積算出を示す模式図である。 本発明の実施の形態2における判定部での判定を説明する説明図である。 本発明の実施の形態2におけるノイズを含む波形の模式図である。 本発明の実施の形態2における判定部での判定の状態を説明する説明図である。 本発明の実施の形態4における装着検査装置のブロック図である。
本発明の第1の発明に係るレール装着物品の装着検査装置は、レールに装着されたレール装着物品を打撃して得られる打音の時間周波数変換後の波形を記憶する記憶部と、所定範囲での波形の振幅比率に基づく振幅アルゴリズムにより、レール装着物品の装着状態を判定する振幅判定部と、所定範囲での波形の面積比率に基づく面積アルゴリズムにより、レール装着物品の装着状態を判定する面積判定部と、振幅判定部および面積判定部での判定動作の組み合わせを制御する制御部と、振幅判定部および面積判定部のそれぞれの判定結果に基づいて、レール装着物品の最終的な装着状態を判定する最終判定部と、を備え、振幅判定部は、所定範囲での波形の低周波帯域の振幅の最大値Kaと波形の高周波帯域の振幅の最大値Kbを検出する振幅検出部と、振幅比率であるKb/Kaを算出する振幅比率算出部と、振幅比率「Kb/Ka」と振幅比率閾値とを比較してレール装着物品の装着状態を判定する振幅アルゴリズム判定部と、を有し、面積判定部は、所定範囲での波形の波形面積を算出する面積算出部と、波形面積において、所定面積比率となる波形の区切りの周波数値である特定周波数値を算出する周波数値算出部と、特定周波数値を面積比率閾値と比較して、レール装着物品の装着状態を判定する面積アルゴリズム判定部と、を有し、波形は、周波数軸に基づく形状であり、最終判定部は、振幅アルゴリズム判定部および面積アルゴリズム判定部のそれぞれの判定結果に基づいて、装着状態を「良好状態」もしくは「不良状態」として、判定する。
この構成により、レールボンドのように溶着によって装着されており、溶着面の様々な剥離状態に対応する脱落の可能性などを、より正確に検査することができる。
本発明の第2の発明に係るレール装着物品の装着検査装置では、第1の発明に加えて、振幅判定部は、振幅比率「Kb/Ka」が振幅比率閾値以下であれば「良好状態」、振幅比率「Kb/Ka」が振幅比率閾値より大きければ「不良状態」として判定し、
面積判定部は、特定周波数値が面積比率閾値以下であれば「良好状態」として、特定周波数値が閾値より大きければ「不良状態」として判定し、
最終判定部は、振幅判定部での判定結果および面積判定部での判定結果のそれぞれが不良状態である場合に、レール装着物品の装着状態を、「不良状態」として最終判定する。
この構成により、異なる特性を有する判定アルゴリズムの組み合わせにより、より不良状態を検出することを実現できる。
本発明の第3の発明に係るレール装着物品の装着検査装置では、第1の発明に加えて、振幅判定部は、振幅比率「Kb/Ka」が振幅比率閾値以下であれば「良好状態」、振幅比率「Kb/Ka」が振幅比率閾値より大きければ「不良状態」として判定し、
面積判定部は、特定周波数値が閾値以下であれば「良好状態」として、特定周波数値が閾値より大きければ「不良状態」として判定し、
最終判定部は、振幅判定部および面積判定部の内、
1回目の判定を行った判定結果と、2回目に判定を行った判定結果が同じである場合には、1回目の判定結果にて最終判定し、
1回目の判定を行った判定結果と、2回目に判定を行った判定結果が異なる場合には、3回目以降の判定を加味して最終判定する。
この構成により、異なる特性を有する判定アルゴリズムの判定結果が相違する場合には、更なる判定アルゴリズムでの判定を行って、最終判定を得ることができる。この結果、本来の状況と相違する判定結果を生じさせることを減少させる。
本発明の第4の発明に係るレール装着物品の装着検査装置では、第1の発明に加えて、振幅判定部は、振幅比率「Kb/Ka」が振幅比率閾値以下であれば「良好状態」、振幅比率「Kb/Ka」が振幅比率閾値より大きければ「不良状態」として判定し、
面積判定部は、特定周波数値が閾値以下であれば「良好状態」として、特定周波数値が閾値より大きければ「不良状態」として判定し、
最終判定部は、振幅判定部および面積判定部の判定結果において、「不良状態」の判定結果の数が過半数である場合には、レール装着物品の装着状態を、「不良状態」として最終判定する。
この構成により、異なる特性を有する判定アルゴリズムの結果が相違する場合に、過半数を超える結果を優先することで、相対的に高い検査結果を得ることができる。
本発明の第5の発明に係るレール装着物品の装着検査装置では、第1の発明に加えて、振幅判定部は、振幅比率「Kb/Ka」が振幅比率閾値以下であれば「良好状態」、振幅比率「Kb/Ka」が振幅比率閾値より大きければ「不良状態」として判定し、
面積判定部は、特定周波数値が閾値以下であれば「良好状態」として、特定周波数値が閾値より大きければ「不良状態」として判定し、
最終判定部は、振幅判定部の判定結果および面積判定部の判定結果のそれぞれに重みづけを行い、重みづけした判定結果の総量が、所定値以上である場合には、レール装着物品の装着状態を、「不良状態」として最終判定する。
この構成により、異なる特性の判定アルゴリズムの結果のそれぞれで、重みづけされていることで、経験則などを想定した結果を得ることができる。
本発明の第6の発明に係るレール装着物品の装着検査装置では、第1の発明に加えて、振幅比率算出部で算出された振幅比率「Kb/Ka」に重みづけして修正振幅比率を算出する振幅比率修正部と、
周波数値算出部で算出された特定周波数値に重みづけして修正特定周波数値を算出する、特定周波数値修正部と、を更に備え、
最終判定部は、修正振幅比率および修正特定周波数値の総量が、所定値以上である場合には、レール装着物品の装着状態を、「不良状態」として最終判定する。
この構成により、異なる判定アルゴリズムのそれぞれの算出数値を基にして、最終的な判定を得ることができる。この結果、より数学的な確からしさで検査を行うことができる。
本発明の第7の発明に係るレール装着物品の装着検査装置では、第1の発明に加えて、所定範囲は、第1周波数から第2周波数までであり、
第1周波数 > 第2周波数であり、
第2周波数は、余分成分除去周波数以上であり、
余分成分除去周波数は、打音においてレールそのものの打音を除去できる周波数値である。
この構成により、判定に用いる波形において、レールと装着物品との溶着面以外からの音を含めにくい。
本発明の第8の発明に係るレール装着物品の装着検査装置では、第1から第7のいずれかの発明に加えて、振幅比率閾値および面積比率閾値のそれぞれは、レール装着物品の装着状態が良好状態として判定される実測値に基づいて定められる。
この構成により、実測値から閾値を設けることで、最終的な判定結果が実際に即したものとなる。
本発明の第9の発明に係るレール装着物品の装着検査装置では、第8の発明に加えて、振幅比率閾値および面積比率閾値のそれぞれは、可変である、もしくは複数の値を選択的に有する。
この構成により、作業の履歴の積み重ねや現場の特性などに柔軟に対応して判定できる。
本発明の第10の発明に係るレール装着物品の装着検査装置では、第1から第9のいずれかの発明に加えて、低周波帯域は、波形における最大振幅を含み、
低周波帯域と高周波帯域とは、最大振幅に対応する周波数値より高い周波数値において分けられる。
この構成により、装着状態の問題を検出できる振幅比率を確実に算出できる。
本発明の第11の発明に係るレール装着物品の装着検査装置では、第7から第10のいずれかの発明に加えて、面積算出部は、第1周波数から第2周波数に向けて、波形の積分値を算出することで、波形面積を算出する。
この構成により、面積の算出が容易である。
本発明の第12の発明に係るレール装着物品の装着検査装置では、第7から第11のいずれかの発明に加えて、第1周波数から第2周波数までの波形の面積をSaとし、第1周波数から特定周波数値までの波形における面積をSbとして、
周波数値算出部は、Sb/Saが所定面積比率となる特定周波数値を算出する。
この構成により、面積比率と特定周波数値の関係を確実に確定させることができる。
本発明の第13の発明に係るレール装着物品の装着検査装置では、第1から第12のいずれかの発明に加えて、制御部は、最初に振幅判定部、最後に面積判定部の順序で判定を行わせる。
この構成により、異なる特性の判定アルゴリズムを、最適に組み合わせることができる。
本発明の第14の発明に係るレール装着物品の装着検査装置では、第1から第12のいずれかの発明に加えて、制御部は、単数回若しくは複数回の振幅判定部での判定と単数回もしくは複数回の面積判定部での判定を組み合わせて行わせる。
この構成により、異なる特性の判定アルゴリズムによって、より正確に装着状態を判定できる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(発明者による解析)
発明者は、背景技術で説明した従来技術(特許文献1〜4を含む)のみで、レール装着物品の装着状態の判定を行うことの不十分さを解析した。下記の解析結果で説明するように、従来技術にあるような振幅の最大値や振幅比率のみでは、剥離の有無というデジタル的な判定は可能であるが、剥離割合や剥離状態と、これによる脱落の可能性(不良状態)を正確に判定することが難しい。
はんだなどの溶着剤で溶着されているレール装着物品は、剥離の有無のみで装着状態が判定できるものではなく、剥離割合や剥離状態によって装着状態が判定できる。すなわち、剥離割合や剥離状態が、脱落の可能性などの装着状態と相関関係を有している。このため、従来技術の振幅の最大値や振幅比率のみで判定すると、装着状態を正確に判定できない可能性がある。
図1は、レールにレールボンドが装着された写真である。線路には、レール200が備わっており、同一線上に隣接するレール200が繋がっている。レール200の長さは有限であり、この有限の長さのレール200が繋がっていくことで、距離のある線路を構成できるからである。隣接するレール200同士は、電気的に接続しておらず、レールボンド100は、隣接するレール200にまたがってそれぞれに装着される。このまたがった装着によって、レールボンド100は、隣接するレール200同士を電気的に接続できる。
図2は、レールに装着されたレールボンドを側面から示す側面図である。レールボンド100は、レール100の側面に装着される。レールボンド100は、電気的な接続を実現する素線103と、レール200に溶着される端子101と、端子101とレール200との接触する面である溶着面102を備えている。
このとき、金属ろうやはんだなどの溶着素材によって、レールボンド100は、レール200に溶着される(溶着としているが、溶着素材によって取り付けられることを意味しており、溶着、接着などの広く取付けを意味することを、溶着として説明している)。溶着面102に溶着素材110が塗布等されて、この溶着素材110が、レール200への溶着を実現する。溶着素材110によって、溶着面102がレール200に溶着されて、レールボンド100が、レール200に取り付けられる。
ここで、レール200上においては列車が走行する。列車の走行によって、レール200およびレールボンド100には振動が加わる。また、列車の走行によってレール200が変形し、このレール200の変形がレール200とレールボンド100との溶着面102に応力を加えることがある。このような振動や変形によって、あるいは外界における気候的要因や自然劣化によって、溶着面102の溶着素材110に、剥離部分が生じていくことがある。
図3は、剥離部分の生じたレールボンドの溶着面を示す正面図である。図3のレールボンド100では、溶着面102の右端に剥離部分130が生じており、溶着部分120は、剥離部分130の残部となっている。
図3のような剥離状態のレールボンド100は、右端に剥離部分130が生じていることで、脱落の危険性がある。すなわち、装着状態は不良状態である。
図4は、剥離部分の生じたレールボンドの溶着面を示す正面図である。図3とは異なり、両端に剥離部分130が生じている。両端のそれぞれの剥離部分130の面積は図3の場合に比べて小さいが、両端に剥離部分130が生じているので、図4のレールボンド100は、脱落の可能性がある。すなわち、装着状態は不良状態として考えることができる。
図5は、剥離部分の生じたレールボンドの溶着面を示す正面図である。図5は、図4、図5と異なり、余り大きくない剥離部分130が、複数個所に生じている。剥離部分130の総面積としては一定の大きさがあるが、周縁部の溶着部分120は残っており、脱落の危険性は低い。すなわち、装着状態は良好状態であると言える。
レールボンド100は、溶着素材110によって溶着面102がレール200に溶着される。このような特性によって、剥離の発生も、剥離部分130の面積、場所、数、形態など様々であり、剥離をすべて一つの概念でとらえることはできない。レールボンド100の装着状態を打音で検査する場合には、このような剥離状態のバリエーションの広さを考慮する必要がある。
図6は、打撃で得られた打音の周波数特性図である。打音を時間周波数変換して得られた波形を、図6は示している。この波形において、低周波帯域の振幅の最大値Aと、高周波帯域の振幅の最大値Bにおいて、B/Aの値が所定値以上であれば、レールボンド100の装着状態を不良状態であると判定しているのが、従来技術である。
ここで、図3のような剥離状態であれば、図6のような波形となって、判定される不良状態は、実際の装着状態での不良状態と一致しやすいので、判定の問題が少ない。
しかしながら、図4のような剥離状態の場合には、図7のような波形となることが考えられる。図7は、打撃で得られた打音の周波数特性図である。図7の場合には、高周波帯域における振幅の最大値Bは、図6の場合に比べて余り大きくない。このため、B/Aの値は小さくなり、従来技術であれば、装着状態が良好状態であるとして判定されてしまう。
しかしながら、上述の通り、図4の剥離状態であれば、脱落の危険性があり、このような判定は好ましくない。すなわち、実際には不良状態であるのに、良好状態であると判定する問題が生じうる。
一方、図5のような剥離状態の場合には、分散している剥離部分130の総面積が大きいので、図6のような波形となりうる。この場合には、図5のレールボンド100の装着状態が不良状態として判定されてしまう。しかしながら、上述のように図5の場合には、脱落の可能性が低く、良好状態であるのが実際である。このように、実際には良好状態であるのに、不良状態として判定されることも生じうる。
また、レールボンド100を叩く打撃は、作業者が手作業で行う。このため、得られる打音にはばらつきがあり、図6、図7のような波形にもばらつきが出るという、レールボンド100の装着状態の検査特有の問題がある。このような波形のばらつきによっても、振幅の最大値では、正確な装着状態の判定ができない問題もある。打撃を自動化することも考えられるが、多くのレールボンドを検査するには、作業者が次々と打撃を行っていく必要があるので、作業者が手作業で打撃を行う必要性が残っている。
まとめると、
(1)剥離部分のバリエーションによって、打音波形の振幅の最大値だけでは、剥離による脱落の危険性を正確に判定できない、との溶着されるレールボンドの特性がある。
(2)打音を得る打撃は、作業者の手作業で行われる。このため、得られる打音の波形にばらつきが出やすいとの、レールボンド特有の特性がある。
といった問題があり、振幅の最大値や振幅比率のみでは、レール装着物品の剥離割合や剥離状態を正確に見出すことが難しい。結果として、レールボンドなどのレール装着物品の装着状態の判定において、不十分であることを発明者は解析した。
この解析に基づいて、複数のアルゴリズムを組み合わせて判定するとの、本発明に至ったものである。
(実施の形態1)
(全体概要)
本明細書では、レールボンドをレール装着物品として説明する。
図8は、本発明の実施の形態1におけるレール装着物品の装着検査装置(以下、必要に応じて「装着検査装置」と略す)のブロック図である。なお、装着検査装置は、装着検査方法として把握されてもよい。このため、装着検査装置としての要素の一部は、機器やハードウェアであって、一部がソフトウェアである(全部がハードウェアであっても全部がソフトウェアであってもよい)場合など、種々の形態がある。
図8において、装着検査装置の基本的な構成が示されている。装着検査装置1は、記憶部2、振幅判定部3、面積判定部4、制御部5、最終判定部6、とを備える。
記憶部2は、レール装着物品を打撃して得られる打音の時間周波数変換後の波形を記憶する。レールに装着されているレールボンドなどのレール装着物品を打撃すると、打音が得られる。例えば、ハンマーなどでレールに装着されているレールボンドを打撃する。打撃によって打音が生じ、マイクなどでこれを集音する。
集音された状態の打音は、時間軸にそった打音波形を有している。この時間軸に沿った打音波形を時間周波数変換すると、周波数軸に沿った波形が得られる。例えば、高速フーリエ変換(FFT)などの処理がなされればよい。例えば、図6に示されるような周波数軸に沿った波形が得られる。記憶部2は、この周波数軸に沿った打音の波形を記憶する。すなわち、記憶部2が記憶する波形は、周波数軸に沿った形状である。この結果、記憶部2は、図6のように、周波数軸に沿った波形を記憶しており、この周波数軸に沿った波形を、振幅判定部3および面積判定部4に出力することができる。
振幅判定部3は、記憶部2に記憶されている周波数軸に沿った波形を読み出す。このとき、レールボンドのそれぞれにおいて打撃をされて得られた打音のそれぞれについて、一つずつの波形が記憶されており、その記憶されている一つの波形を読み出して、後述する判定を行う。また、次の打音についての判定が必要となれば、次の打音に対応する波形を読み出して判定を行う。これは、面積判定部4でも同様である。
図9は、振幅判定部の内部ブロック図である。振幅判定部3は、所定範囲での波形の振幅比率に基づく振幅アルゴリズムにより、レール装着物品の装着状態を判定する。図10は、波形の模式図である。記憶部2に記憶されている周波数軸に沿った波形は、図10のような形態を有している。振幅判定部3は、この波形において、図10に示されるように、所定範囲における波形を用いる。
すなわち、振幅判定部3は、この所定範囲における波形の振幅比率を用いて、装着状態を判定する。
振幅判定部3は、この装着状態の判定のために、振幅検出部31、振幅比率算出部32、振幅アルゴリズム判定部33を備える。
振幅検出部31は、所定範囲での波形の低周波帯域の振幅の最大値Kaと、初手範囲での波形の高周波帯域での振幅の最大値Kbとを検出する。図11は、この所定範囲の波形における振幅Kaと振幅Kbとを検出する状態を示す模式図である。波形においては、所定範囲が設定されている。この所定範囲の設定の一例として、第1周波数から第2周波数までが、所定範囲である。
この所定範囲を、低周波帯域と高周波帯域に分けて、低周波帯域の波形の振幅の最大値Kaと、高周波帯域の波形の振幅の最大値Kbとを、振幅検出部31は、検出する。
振幅比率算出部32は、振幅比率である、Kb/Kaを算出する。ここで、高周波帯域の振幅の最大値Kbは、打音における好ましくない音の大きさを反映している。すなわち、レールボンドの溶着面で発生している剥離によって生じる音を反映している。一方で、低周波帯域での振幅Kaは、剥離状態によって左右されにくい。
振幅アルゴリズム判定部33は、振幅比率Kb/Kaと振幅比率閾値(任意に設定される)とを比較して、レール装着物品の装着状態を判定する。振幅アルゴリズム判定部33は、振幅比率Kb/Kaが振幅比率閾値よりも大きい場合には、レール装着物品(レールボンド)の装着状態を不良状態として判定し、振幅比率閾値以下であれば良好状態として判定する。
上述の通り、高周波帯域での振幅Kbの大きさは、レールボンドの溶着面の剥離状態が大きいことを反映しており、振幅比率Kb/Kaが振幅比率閾値よりも大きいということは、相対的に装着状態が不良状態であることを示していると考えられるからである。
このように、振幅判定部3は、振幅比率Kb/Kaにもとづいて、レールボンドの装着状態を判定し、その判定結果を、最終判定部6に出力する。
振幅判定部3は、高速かつ明快に装着状態を判定できる。
面積判定部4は、所定範囲での波形の面積比率に基づく面積アルゴリズムにより、レール装着物品の装着状態を判定する。所定範囲の波形は、図10で説明したものと同じであり、第1周波数から第2周波数までの範囲での波形である。
図12は、本発明の実施の形態1における面積判定部の内部ブロック図である。
面積算出部41は、所定範囲での波形の面積を算出する。すなわち、第1周波数から第2周波数までの範囲の波形の面積を算出する。図10に示されるように、波形において、第1周波数と第2周波数とが任意に設定される。ここで、第1周波数 > 第2周波数 の関係である。
面積算出部41は、この第1周波数から第2周波数の間の波形の領域の面積を算出する。面積の算出は、図13に示される。図13は、本発明の実施の形態1における波形の面積算出を示す模式図である。図13における波形の第1周波数から第2周波数までの斜線を付与した部分が、面積算出部41によって算出される波形面積である。
この波形面積において、所定面積比率となる波形の区切りの周波数値を、周波数値算出部422が算出する。この算出された区切りの周波数値が、特定周波数値である。図13においては、波形面積が所定比率となる区切りが見出されている。この区切りは、周波数軸で定義されるので、周波数値でこの区切りを表すことができる。これが特定周波数値であり、周波数値算出部422は、この特定周波数値を算出する。
例えば、波形面積において、波形面積を9:1に分割する特定周波数値を算出する。所定の面積比率の測定方法の一例としては、第1周波数から第2周波数までの全体の波形面積と、第1周波数から特定周波数値までの範囲での波形の面積との比率を見ることでもよい。すなわち、全体の波形面積の中で、ある範囲(第1周波数から特定周波数値までの面積、あるいは、第2周波数から特定周波数値までの面積)の面積との比率を、周波数値算出部42は、測定してもよい。
あるいは、全体の波形面積を、特定周波数値で分離して、第1周波数から特定周波数値までの範囲での波形の面積と、第2周波数から特定周波数値までの範囲での波形の面積と、の比率を測定することでもよい。
図13では、第1周波数から第2周波数までの全体の波形面積をSaとして、第1周波数から特定周波数値までの波形の面積をSbとして、SaとSbの比率を算出している。一例として、Sa:Sb=9:1などの比率となる周波数値を算出する(探りながら算出する)。ここで、面積比率を説明するために、面積比率の基準に特定周波数値を用いて説明したが、実際には、面積比率が所定の比率となるところを探ることで、最終的に特定周波数値が決定される。すなわち、図13でのSa、Sbなどの説明において特定周波数値を用いているのは、特定周波数値が先に決まってから面積比率を出すことを意味しているのではなく、面積比率が決まった後で、特定周波数値が決定されることを意味している。面積比率としてどの範囲とどの範囲の面積比率が最終的に判断される面積比率であるかを説明する便宜上、Sa、Sbの切り分け基準を、特定周波数値として説明している。
この探りながら面積比率を算出していき、所定の面積比率となる周波数値を、周波数値算出部42は、見出す。この見出された周波数値が、特定周波数値である。
すなわち、周波数値算出部422は、図13において、Sb/Saが所定の面積比率となる区切りの周波数値を、特定周波数値として算出してもよい。あるいは、図13において、Sb/Scが所定の面積比率となる区切りの周波数値を、特定周波数値として算出してもよい。あるいは、図13において、Sc/Saが所定の面積比率となる区切りの周波数値を、特定周波数値として算出してもよい。
周波数値算出部422は、波形面積を一つの基準として、ある周波数値を基準とした側の範囲での波形の面積の比率を算出する。この比率が所定の比率となる、ある周波数値を、特定周波数値として算出する。
面積アルゴリズム判定部43は、特定周波数値と面積比率閾値との比較によって、レールボンドの装着状態を判定する。面積比率閾値以下であるということは、特定周波数値が低周波側により近い状態である。このとき、高周波帯域の面積が相対的に小さいことを示しており、レールボンドの溶着面の剥離状態が小さいなどの状態を示している。すなわち、脱落の可能性が近付いているとは言えない良好状態であるといえる。
特に、波形面積の面積比率を基準とする場合には、剥離の様々な態様による変動が少ない。波形面積は、剥離面積や位置などに係らず、剥離態様により近い状態を示していると考えられるからである。打音は、剥離態様によって、その波形をさまざまに生成する。この様々な形状の波形は、剥離態様によって定まり、剥離態様によって定まる波形は、剥離態様をより正確に反映していると考えられる。
より正確に剥離態様を反映している波形の面積は、剥離態様をより正確に反映している数値情報となる。このため、剥離態様をより反映している面積比率とこれを判断基準に変換した特定周波数値は、剥離態様をより正確に反映していると考えられる。
面積判定部4は、より実際に即した判定を行える。
最終判定部6は、それぞれの特性を有した、振幅判定部3からの判定結果と面積判定部4からの判定結果とを受ける。最終判定部6は、それぞれの判定結果に基づいて、レール装着物品の装着状態を、最終的に、「良好状態」もしくは「不良状態」のいずれかで判定する。それぞれの異なる特性での判定結果を合わせて最終判定することで、より正確な判定ができる。
すなわち、脱落の危険性がある不良状態であるレールボンドを良好状態であると判定してしまう懸念や良好状態であるレールボンドを不良状態であるとして判定してしまう懸念が低下する。結果として、レール装着物品の安全確保や経済性確保を実現できる。また、後述するように、最終判定部6での判定のやり方によって、安全確保の優先度を上げるのか、経済性確保の優先度を上げるのかなどを、フレキシブルに制御することができる。
なお、不良状態とは、レールボンドが脱落する危険性が高い状態を示しており、良好状態とはその逆である。
このように、実施の形態1における装着検査装置1は、より正確で精度の高いレール装着物品の装着状態の判定を実現しつつ、実情に応じた安全確保の優先度や経済性確保の優先度などのフレキシブルな制御を行うことができる。
次に、それぞれの判定と、これに基づく最終判定のバリエーションについて説明する。
(その1:それぞれの判定結果の一致に基づく)
振幅判定部3は、振幅比率Kb/Kaが振幅比率閾値以下であれば、レールボンドの装着状態を良好状態、振幅比率閾値より大きければ不良状態として判定する。これは、振幅判定部3のみでの判定である。
一方、面積判定部4は、特定周波数値が面積比率閾値以下であれば、レールボンドの装着状態を良好状態として、面積比率閾値より大きければ不良状態として判定する。これは、面積判定部4のみでの判定である。いずれも、上述で説明した内容の通りである。
振幅判定部3での判定結果および面積判定部4での判定結果のそれぞれは、最終判定部6に出力される。ここで、制御部5は、振幅判定部3での判定回数、面積判定部4での判定回数、振幅判定部3と面積判定部4での判定順序などを、制御する。
最終判定部6は、振幅判定部3での判定結果および面積判定部4での判定結果のそれぞれが、不良状態である場合に、レール装着物品の装着状態を、「不良状態」として、最終判定する。逆に、最終判定部6は、振幅判定部3での判定結果および面積判定部4での判定結果のそれぞれが、良好状態である場合に、レール装着物品の装着状態を、「良好状態」として最終判定する。
特性の異なる振幅判定部3での判定結果および面積判定部4での判定結果のそれぞれが一致する場合に、一致した結果を、最終判定部6が採用する。この一致した結果を採用することで、より高い精度で、装着状態を判定できる。
(その2:順次判定)
振幅判定部3と面積判定部4のそれぞれは、上述したような処理によって、レール装着物品の装着状態を判定する。それぞれの判定結果は、それぞれのアルゴリズムでの判定結果である。
最終判定部6は、振幅判定部3および面積判定部4のそれぞれにおいて、
1回目の判定を行った判定結果と2回目に判定を行った判定結果が同じである場合には、1回目の判定結果(言い換えれば2回目の判定結果)によって、最終判定をし、
1回目の判定を行った判定結果と2回目に判定を行った判定結果が異なる場合には、3回目以降の判定結果を加味して最終判定する。
例えば、
1回目 振幅判定部:良好状態 面積判定部:良好状態
2回目 振幅判定部:良好状態 面積判定部:良好状態
であれば、最終判定部は、1回目と2回目のそれぞれで判定された良好状態を最終判定結果とする。
あるいは、
1回目 振幅判定部:良好状態 面積判定部:良好状態
2回目 振幅判定部:不良状態 面積判定部:不良状態
であれば、制御部5が、振幅判定部3および面積判定部4のそれぞれに3回目の判定を行わせる。
3回目 振幅判定部:不良状態 面積判定部:不良状態
3回目がこのような結果であれば、最終判定部6は、当該レール装着物品の装着状態を不良状態として判定する。
あるいは、この1回目や2回目は、振幅判定部3と面積判定部4のセットでの判定を一つの組として上述のように考えるのではなく、振幅判定部3もしくは面積判定部4のそれぞれの判定を、1回目、2回目、3回目として考えることでもよい。
この場合には、次のように判定される。
1回目 振幅判定部:良好状態
2回目 面積判定部:良好状態
のように、1回目が振幅判定部3での判定であり、2回目が面積判定部4での判定である場合には、このような判定結果が得られることがある。この場合には、異なる判定アルゴリズムでの判定結果が、1回目と2回目とで同一であり、最終判定部6は、当該レール装着物品の装着状態を良好状態として最終判定する。
あるいは、
1回目 振幅判定部:良好状態
2回目 面積判定部:不良状態
となる場合には、制御部5は、3回目の判定を処理させる。この場合には、1回目が振幅判定部3であるので、制御部5は、3回目において振幅判定部3を動作させればよい。
3回目 振幅判定部:不良状態
となれば、2回目、3回目の結果(異なる判定アルゴリズムである)を考慮して、最終判定部6は、不良状態を最終判定とする。
あるいは、
3回目 振幅判定部:良好状態
となれば、多数結果である良好状態を、最終判定部6が、最終判定として結論してもよい。あるいは、制御部5は、面積判定部4に4回目の判定処理を行わせる。
4回目 面積判定部:良好状態
となれば、4回の中で、3回が良好状態であり、異なる判定アルゴリズムのそれぞれで良好状態の結果が出ているので、最終判定部6は、良好状態を最終判定として判定する。
制御部5が、最終判定部6と連動して、振幅判定部3と面積判定部4のそれぞれでの判定の順序を決めつつ、個々の判定結果の順番、個数、割合、ばらつきなどを考慮して、最終判定部6は、最終的な装着状態を判定する。ここで説明した最終判定の処理手順は一例であり、順番、個数、割合、ばらつき、最初の結果、最後の結果、途中の結果などのいずれを採用するか、組み合わせて採用するかなどは、適宜定められればよい。
(その3:過半数の結果を優先)
振幅判定部3と面積判定部4のそれぞれは、上述したような処理によって、レール装着物品の装着状態を判定する。それぞれの判定結果は、それぞれのアルゴリズムでの判定結果である。
ここで、振幅判定部3での判定結果、面積判定部4での判定結果のそれぞれにおいて(振幅判定部3での判定が単数もしくは複数回であることもあり、面積判定部4での判定が、単数もしくは複数回であることもある)、良好状態もしくは不良状態の判定結果の数が多い方で、最終判定を行う。
例えば、
1回目 振幅判定部:不良状態
2回目 面積判定部:良好状態
3回目 振幅判定部:不良状態
であれば、不良状態の判定回数が多いことで、不良状態として最終判定する。
あるいは、
1回目 振幅判定部:良好状態
2回目 面積判定部:良好状態
3回目 振幅判定部:不良状態
の場合には、最終判定部6は、良好状態として最終判定する。
もちろん、4回以上の判定結果を用いて、最終判定することでもよい。
(その4:重みづけでの判定)
振幅判定部3と面積判定部4のそれぞれは、上述したような処理によって、レール装着物品の装着状態を判定する。それぞれの判定結果は、それぞれのアルゴリズムでの判定結果である。
ここで、最終判定部6は、振幅判定部3の判定結果および面積判定部4の判定結果のそれぞれに重みづけを行ってから、判定結果の総量で最終判定を行うことも好適である。
例えば、
1回目 振幅判定部:良好状態
2回目 面積判定部:不良状態
の場合に、振幅判定部3の判定結果には、重みづけ係数として0.7が乗算され、面積判定部4の判定結果には、重みづけ係数として0.5が乗算されるとする。
この場合には、0.7×良好状態と0.5×不良状態であるので、良好状態の総量が大きくなる。結果として、最終判定部6は、良好状態として判定する。
あるいは、
1回目 振幅判定部:不良状態
2回目 面積判定部:良好状態
3回目 振幅判定部:不良状態
4回目 面積判定部:良好状態
となる場合には、
0.7×不良状態、0.5×良好状態、0.7×不良状態、0.5×良好状態
となるので、総量としては不良状態が大きくなり、最終判定部6は、不良状態として判定する。
以上のように、制御部5による判定処理手順と合わせて、最終判定部6は、種々の処理手順に従って、最終的な判定を行う。
(制御部による順番の制御)
その1〜その3で説明したように、最終判定部6での最終判定を行うに際して、制御部5は、振幅判定部3と面積判定部4とでの判定順序を制御する。例えば、制御部5は、最初に振幅判定部3での判定を行わせて、最後に面積判定部4での判定を行わせる。一例としては、次のような順序である。
1回目 振幅判定部
2回目 振幅判定部
3回目 面積判定部
もちろん、この例以外の順序での判定を行わせてもよい。
また、制御部5は、単数回もしくは複数回での振幅判定部3での判定と、単数回もしくは複数回での面積判定部4での判定を組み合わせて行わせることもよい。一例としては、次のような順序である。
1回目 振幅判定部
2回目 面積判定部
3回目 面積判定部
4回目 振幅判定部
もちろん、この例以外の順序での判定を行わせてもよい。
制御部5の順序に応じて得られた振幅判定部3の判定結果と面積判定部4の判定結果とに基づいて、最終判定部6が最終的な装着状態の判定を行う。この最終判定部6での判定のアルゴリズムは、その1〜その3などで説明した通りである。
下記に、その他の要素の詳細について説明する。
(記憶部)
記憶部2は、上述した通り、打音の時間周波数変換後の波形を記憶する。作業者は、レールに装着されたレールボンドをハンマーなどの打撃器具で打撃する。マイクなどの集音装置を設定することで、打撃によって生じる打音を集音できる。集音された打音は、時間周波数軸変換されて周波数に基づく波形に変換される。この変換は、記憶部2の外部要素において実行される。
作業者は、複数のレールボンドについて、次々と打音を収集し、記憶部2には、次々と波形が記憶される。
記憶部2は、装着検査装置1に含まれる要素であってもよいし、別体の要素であってもよい。例えば、装着検査装置1とは別体の記憶装置が、記憶部2であってもよいし、装着検査装置1に含まれる記憶デバイスが記憶部2であってもよい。例えば、装着検査装置1は、汎用コンピューターである場合には、汎用コンピューターとは別体の記憶装置が記憶部2でもよいし、汎用コンピューターに含まれるメモリが記憶部2であってもよい。
あるいは、記憶部2は、クラウド上の記憶装置であって、装着検査装置1がネットワークに接続されることで、このクラウド上の記憶装置から波形を読み出す仕組みであってもよい。
記憶部2が、装着検査装置1と別体であることで、レールボンドの装着状態の検査において、作業者による打音収集作業と、打音に基づく装着状態の判定処理とを、時間や場所を分けて実施することができるようになる。結果として、作業効率が高まる。
記憶部2は、異なるレールボンドに対応する複数の波形を記憶しておいてもよく、面積算出部41が、これら複数の波形を次々と読み出して、次の処理を行えばよい。
以上、実施の形態1における装着状態検査装置1は、それぞれ異なる特性を有する振幅判定アルゴリズムと面積判定アルゴリズムとの組み合わせによって、より正確で実際の現場に適した装着状態を検査できる。また、対象となるレール装着物品の特性(種類、位置、大きさ、設置後の年数など)に応じて、制御部5や最終判定部6は、判定順序や最終判定の処理方法を変化させることも好適である。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、面積判定部4における追加的な工夫について説明する。面積判定部4は、図12で示したような要素を有している。各部の詳細を次に説明する。
(面積算出部)
面積算出部41は、上述の通り、第1周波数から第2周波数の範囲の波形の波形面積を算出する。ここで、面積算出部41は、第1周波数から第2周波数までの範囲の面積であるSaを算出する。あるいは、面積算出部41は、第1周波数から特定周波数値までの区切られた範囲の波形の面積であるSbを算出する。あるいは、第2周波数から特定周波数値までの区切られた範囲の波形の面積Scを算出する。あるいは、これらの複数を算出する。
いずれにしても、面積算出部41は、第1周波数から第2周波数までの全体の波形面積において、面積比率を算出できる面積を算出すればよい。例えば、面積比率を見出すのが、全体の面積であるSaと第1周波数から特定周波数値までの面積Sbであれば、これら2つを算出する。あるいは、面積Sbと面積Scを用いて面積比率を見出すのであれば、SbとScの面積のそれぞれを算出する。
ここで、Scは、図13からも明らかな通り、SaとSbとの差分(SaからSbを除いた残りの部分)の面積である。
このように、面積比率を見出すために必要となる範囲の面積を、算出する。
ここで、面積算出部41は、第1周波数から第2周波数に向けて、波形の積分値を徐々に算出していくことで、波形面積を算出してもよい。徐々に算出していくことで、算出途中の段階的なそれぞれの面積と、第2周波数までの最終まで積分した全体の波形面積のそれぞれを記録することができる。
この段階的な面積と最終の面積のそれぞれを記録しながら、面積算出部41が波形面積を算出することにより、所定の面積比率となる部分を、面積算出に合わせて見出すことができる。
面積算出部41は、このように、特定周波数値を算出するための面積比率を見出すことのできる、波形全体もしくは部分的な範囲の面積を算出する。なお、算出においては、積分や種々のアルゴリズムによって計算を行えばよい。
(周波数値算出部)
周波数値算出部42は、面積算出部41で算出される波形面積において、2つの面積が所定の面積比率となる周波数値を、特定周波数値として算出する。第1周波数から第2周波数までの全体における波形面積と、その中の一部の波形の面積との面積比率を計算する。あるいは、第1周波数から第2周波数までのある一部の波形の面積と残りの波形の面積の面積比率を計算する。
図13においては、例えば、全体波形の面積であるSaと第1周波数側の一部の波形の面積であるSbとの面積比率を計算する。あるいは、全体波形の第1周波数側の一部の波形の面積であるSbと、第2周波数側の一部の波形の面積であるScとの面積比率を計算する。いずれにおいても、第1周波数から第2周波数までの全体の波形面積の中で、面積比率を計算する。
周波数値算出部42は、予め設定されている所定面積比率となる面積比率となる周波数値を、特定周波数値として算出する。例えば、面積Saと面積Sbとが、所定面積比率「9:1」となる周波数値を、特定周波数値として算出する。Sb/Saが、所定面積比率となる周波数値を、特定周波数値として算出する。もちろん、所定面積比率「9:1」は、一例であり、他の値であってもよい。
あるいは、Sb/Scが、所定面積比率となる周波数値を、特定周波数値として算出してもよい。
図13では、ある周波数値が特定周波数値として算出されている。周波数値算出部42は、この算出された特定周波数値を、面積アルゴリズム判定部43に出力する。
ここで、面積比率は、任意に定められる。例えば、装着状態が良好状態であると判断される実際のレールボンドと装着状態が不良状態であると判断される実際のレールボンドでの、特定周波数値を見出すに適切な面積比率を実測した上で、面積比率を決定してもよい。すなわち、実測や履歴に基づいて、面積比率が決定されればよい。
あるいは、理論的に不良状態として判断される基準から、面積比率が決定されてもよい。
面積比率は、可変であることも好適である。周波数値算出部42で用いられる面積比率は、可変であって、設定や状況に応じて変更されることも好適である。あるいは、可変であって、周波数値算出部42が、適宜、必要な面積比率を採用して、特定周波数値を算出することでもよい。
以上のようにして、周波数値算出部42は、所定面積比率となる周波数値を、特定周波数値として算出する。上述したように、レールボンドの溶着面の様々な剥離態様を反映した波形面積に基づくものが、特定周波数値であるので、特定周波数値は、様々な剥離態様をより正確に反映したものである。
周波数値算出部42は、この特定周波数値を判定部に出力することで、面積アルゴリズム判定部43は、レールボンドの装着状態を、より正確に判定できる。
(面積アルゴリズム判定部)
面積アルゴリズム判定部43は、特定周波数値と所定の閾値とを比較することで、レール装着物品の装着状態を判定する。上述のように、特定周波数値は、レールボンドの溶着面の様々な剥離態様(剥離面積、剥離位置、剥離場所の数、広がり方、形状など)を、示していると考えられる。
図14は、本発明の実施の形態2における判定部での判定を説明する説明図である。周波数値算出部42において、特定周波数値が算出される。この特定周波数値は、波形によってさまざまである。図14では、ある値の特定周波数値Aと、他の値の特定周波数値Bとが、示されている。それぞれ異なる波形に基づいて算出されたものである。
面積アルゴリズム判定部43は、予め所定の閾値を記憶している。図14では、ある周波数での閾値が設定されている。面積アルゴリズム判定部43は、特定周波数値Aと閾値とを比較する。特定周波数値Aは、閾値より大きいので、この特定周波数値Aの基礎となったレールボンドを、「不良状態」として判定する。同様に面積アルゴリズム判定部43は、特定周波数値Bと閾値とを比較する。特定周波数値Bは、閾値以下なので、この特定周波数値Bの基礎となったレールボンドを、「良好状態」として判定する。
面積アルゴリズム判定部43は、予め設定されている面積比率閾値と特定周波数値との比較によって、レールボンドの装着状態を判定する。
面積比率閾値は、実際のレールボンドの装着状態が良好状態として判定される(あるいは、不良状態として判定される)実測値に基づいて定められればよい。例えば、良好状態として判定されたレールボンドの特定周波数値と不良状態として判定されたレールボンドの特定周波数値の境界の値を、面積比率閾値として定めればよい。また、実測値は、複数の実測結果の蓄積によって算出されればよい。すなわち、複数のレールボンドの実際の装着状態での特定周波数値の蓄積から、面積比率閾値を算出してもよい。
この面積比率閾値の決定においては、予めの実測から決定しておいてもよいし、実際の装着検査を行う中で、アップデートしていくことで決定してもよい。後者の場合には、学習的に蓄積していった特定周波数値から、最適な面積比率閾値を算出しなおしつつアップデートする。
また、面積比率閾値は、面積アルゴリズム判定部43での判定結果に基づいて変更可能であることも好適である。例えば、判定結果において、不良状態が余りにも多く検出されるにも関わらず、実際のレールボンドでの脱落等も余り生じていない場合には、面積比率閾値が厳しすぎる可能性がある。この場合には、面積比率閾値を高くするなど、面積比率閾値を緩和する。
あるいは、良好状態が余りに多く検出されているにも関わらず、実際のレールボンドでの脱落等が頻発している場合には、面積比率閾値が緩すぎる可能性がある。この場合には、面積比率閾値を低くするなど、面積比率閾値を厳しくして、より実際に合わせた判定を実現できるようにする。
面積アルゴリズム判定部43は、これらの結果を、最終判定部6に出力する。
また、所定範囲である第1周波数と第2周波数において、第1周波数 > 第2周波数であり、第2周波数は、余分成分除去周波数以上である。ここで、余分成分除去周波数は、打音においてレールそのものの打音(レール装着物品の打音を含まない)を除去できる周波数値である。
レールそのものの打音を面積算出の波形に含んでしまうと、レール装着物品とレールとの間の問題(溶着面の剥離)に基づかない波形を面積算出に入れてしまい、剥離態様を反映した特定周波数値の算出に悪影響が出る可能性がある。このため、レールそのものの打音の範囲である周波数(低周波の一部である)を、余分成分除去周波数として、第2周波数を、この余分成分除去周波数以上とすることで、この悪影響を軽減できる。
(面積算出におけるノイズ除去)
図15は、本発明の実施の形態2におけるノイズを含む波形の模式図である。ある打音の時間周波数変換後の波形が、図15のような波形となることがある。このとき、図15のように、ノイズ100が波形に含まれることがある。周波数軸におけるゲインの変化ではなく、極めて特異波形としてのノイズが波形に生じることがある。
このようなノイズの原因は様々であるが、例えば、ハンマーなどで打撃をする際に、ハンマーとレール装着物品との間に砂などの不純物があったり、打撃が不適切であったり、マイクなどでの集音時に他の音が混入したりなどが考えられる。このような不適切な原因でのノイズを、波形面積の算出に含めてしまうと、レール装着物品の本来の波形面積とは異なる波形面積となってしまう。結果として、あるべき特定周波数値が算出できなくなり、装着状態を正しく判定できなくなる可能性もある。
このようなノイズ100として判断される部分については、面積算出部41は、波形面積の算出対象から除去して、波形面積を算出することも好適である。ノイズ100部分を除いて波形面積を算出することで、本来のあるべき特定周波数値を算出できる。結果として、より正確な装着状態の判定ができる。
なお、ノイズ100をノイズと見るかノイズではないとみるかについては、前後のゲインとの差分と帯域幅との関係などから判断すればよい。あるいは、フィルタリングなどの手法から判断すればよい。
(複数の閾値との比較)
図16は、本発明の実施の形態2における判定部での判定の状態を説明する説明図である。面積アルゴリズム判定部43は、特定周波数値と閾値とを比較して、装着状態を判定する。このとき、面積アルゴリズム判定部43は、複数の閾値を有していることも好適である。図16では、面積アルゴリズム判定部43は、閾値A、閾値B、閾値Cの3つを有している。面積アルゴリズム判定部43は、複数の閾値と特定周波数値を段階的に比較して判定してもよい。例えば、図16では、特定周波数値は、閾値A以上閾値B以下である。この場合には、不良状態と良好状態との中間状態などのように判定してもよい。
あるいは、複数の閾値A〜閾値Cのいずれかを選択的に選んで比較して判定してもよい。例えば、面積アルゴリズム判定部43が、閾値Aを選択する場合には、特定周波数値は閾値Aより大きいので、当該レールボンドは不良状態であると判定される。一方、面積アルゴリズム判定部43が閾値Bもしくは閾値Cを選択する場合には、特定周波数値は閾値B(閾値C)以下であるので、当該レールボンドは良好状態であると判定される。
対象となるレールボンドの取り付け位置、レールの状況、取付け時期などの様々な要因に合わせて、柔軟に閾値を変化させることで、より実際に即したレールボンドの装着状態を判定することができる。
以上のように、実施の形態2におけるレール装着物品の装着検査装置1は、面積判定部4の種々の工夫によって、面積判定部4での判定精度を向上させたり、バリエーションを広げたりすることができる。結果として、より実際に近づく。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態3では、振幅判定部3での追加的な工夫について説明する。なお、実施の形態2で説明したように、面積判定部4での追加的な工夫において、振幅判定部3でも共通に用いられる工夫についても説明する。
(振幅比率閾値)
振幅アルゴリズム判定部33は、振幅比率Kb/Kaと、振幅比率閾値とを比較して、レール装着物品の装着状態を判定する。この振幅比率閾値は、面積比率閾値と同じく、レール装着物品の装着状態が良好状態として判定される実測値に基づいて定められれば良い。
例えば、良好状態として判定されたレールボンドの特定周波数値と不良状態として判定されたレールボンドの振幅比率Kb/Kaの境界の値を、振幅比率閾値として定めればよい。また、実測値は、複数の実測結果の蓄積によって算出されればよい。すなわち、複数のレールボンドの実際の装着状態での振幅比率Kb/Kaの蓄積から、振幅比率閾値を算出してもよい。
この振幅比率閾値の決定においては、予めの実測から決定しておいてもよいし、実際の装着検査を行う中で、アップデートしていくことで決定してもよい。後者の場合には、学習的に蓄積していった振幅比率Kb/Kaから、最適な振幅比率閾値を算出しなおしつつアップデートする。
また、振幅比率閾値は、振幅アルゴリズム判定部33での判定結果に基づいて変更可能であることも好適である。例えば、判定結果において、不良状態が余りにも多く検出されるにも関わらず、実際のレールボンドでの脱落等も余り生じていない場合には、振幅比率閾値が厳しすぎる可能性がある。この場合には、振幅比率閾値を高くするなどの緩和をする。
あるいは、良好状態が余りに多く検出されているにも関わらず、実際のレールボンドでの脱落等が頻発している場合には、振幅比率閾値が緩すぎる可能性がある。この場合には、振幅比率閾値を低くするなど、振幅比率閾値を厳しくして、より実際に合わせた判定を実現できるようにする。
また、振幅アルゴリズム判定部33は、複数の振幅比率閾値を有しており、これを選択的に選択してもよい。この場合には、図16を用いて説明したように、振幅アルゴリズム判定部33は、選択的に、振幅比率閾値との比較を進めればよい。
(高周波帯域と低周波帯域)
低周波帯域は、波形における最大振幅を含む帯域であり、低周波帯域と高周波帯域とは、最大振幅に対応する周波数値より高い周波数値において分けられる。このように、最大振幅を含まない帯域を高周波帯域とすることで、振幅比率Kb/Kaを正確に見出すことができる。
以上のように、実施の形態3における装着検査装置1は、振幅判定部3での精度やバリエーションが広がり、最終的なレール装着物品の検査精度や検査対象の拡大を行うことができる。
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。実施の形態4では、振幅判定部3および面積判定部4において、算出される振幅比率と特定周波数値を直接重みづけして最終判定を行うバリエーションを説明する。図17は、本発明の実施の形態4における装着検査装置のブロック図である。
振幅判定部3では、振幅比率算出部32において振幅比率Kb/Kaを算出する。面積判定部4では、周波数値算出部42において特定周波数値を算出する。
振幅判定部3は、この振幅比率Kb/Kaに重みづけして修正振幅比率を算出する振幅比率修正部35を更に備える。同様に、面積判定部4は、特定周波数値に重みづけして修正特定周波数値を算出する特定周波数値修正部45を更に備える。
例えば、振幅比率に重み係数として0.7が乗算され、特定周波数値に重み係数として0.5が乗算されるなどが行われる。
修正振幅比率および修正特定周波数値は、最終判定部6に出力される。最終判定部6は、重みづけによって修正されたこれらの値に基づいて、レール装着物品の装着状態を判定する。例えば、最終判定部6は、修正振幅比率と振幅比率閾値(実施の形態1〜3で説明されたものと同じでも異なるものでもよい)とを比較する。同様に、最終判定部6は、修正特定周波数値と面積比率閾値(実施の形態1〜3で説明されたものと同じでも異なるものでもよい)とを比較する。
これらのそれぞれの比較において、双方が閾値以下であれば、良好状態として判定する。あるいは双方が閾値より大きければ不良状態として判定する。それぞれの閾値との比較が相違すれば、新たに別の比較結果を得て最終判定する。これらは実施の形態1のその1〜その3などで説明されたものと同じようなパターンで判定されればよい。
(方法およびソフトウェアとしての実現)
実施の形態1〜4で説明した装着検査装置1は、既述したように、その要素の一部もしくは全部が、ハードウェアで実現されてもよいし、ソフトウェアで実現されてもよいし、ハードウェアとソフトウェアとの混在で実現されてもよい。
装着検査装置1の最終的な実現態様がコンピュータや携帯端末である場合において、振幅判定部3などの各要素は、内部に含まれる専用回路であるハードウェアであってもよいし、プロセッサで動作するソフトウェアであってもよい。
ソフトウェアとして把握される場合には、プロセッサとこれがアクセスするメモリとの構成によって実現される。メモリの内部に、プロセッサが動作可能なコンピュータープログラムとして、各要素が記憶されている。
また、装着検査装置1が、コンピュータや携帯端末に実現される前のソフトウェアとしての状態も、本発明は含むものである。また、実施の形態1〜4で説明された装着検査装置1の各手順が実行される方法の発明として把握されてもよい。
この場合には、次のようなステップによって処理がなされる。
レールに装着されたレール装着物品を打撃して得られる打音の時間周波数変換後の波形を記憶する記憶ステップと、
所定範囲での波形の振幅比率に基づく振幅アルゴリズムにより、レール装着物品の装着状態を判定する振幅判定ステップと、
所定範囲での波形の面積比率に基づく面積アルゴリズムにより、レール装着物品の装着状態を判定する面積判定ステップと、
振幅判定ステップおよび面積判定ステップでの判定動作の組み合わせを制御する制御ステップと、
振幅判定ステップおよび面積判定ステップのそれぞれの判定結果に基づいて、レール装着物品の最終的な装着状態を判定する最終判定ステップと、を備え、
振幅判定ステップは、
所定範囲での波形の低周波帯域の振幅の最大値Kaと波形の高周波帯域の振幅の最大値Kbを検出する振幅検出ステップと、
振幅比率であるKb/Kaを算出する振幅比率算出ステップと、
振幅比率「Kb/Ka」と振幅比率閾値とを比較してレール装着物品の装着状態を判定する振幅アルゴリズム判定ステップと、を有し、
面積判定ステップは、
所定範囲での波形の波形面積を算出する面積算出ステップと、
波形面積において、所定面積比率となる波形の区切りの周波数値である特定周波数値を算出する周波数値算出ステップと、
特定周波数値を面積比率閾値と比較して、レール装着物品の装着状態を判定する面積アルゴリズム判定ステップと、を有し、
波形は、周波数軸に基づく形状であり、
最終判定ステップは、振幅アルゴリズム判定ステップおよび面積アルゴリズム判定ステップのそれぞれの判定結果に基づいて、装着状態を「良好状態」もしくは「不良状態」として、判定する。
このように、方法やソフトウェアとして本発明が把握されてもよい。
なお、実施の形態1〜4で説明されたレール装着物品の装着検査装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
1 レール装着物品の装着検査装置
2 記憶部
3 振幅判定部
31 振幅検出部
32 振幅比率算出部
33 振幅アルゴリズム
35 振幅比率修正部
4 面積判定部
41 面積算出部
42 周波数値算出部
43 面積アルゴリズム判定部
45 周波数値修正部
5 制御部
6 最終判定部

Claims (15)

  1. レールに装着されたレール装着物品を打撃して得られる打音の時間周波数変換後の波形を記憶する記憶部と、
    所定範囲での前記波形の振幅比率に基づく振幅アルゴリズムにより、前記レール装着物品の装着状態を判定する振幅判定部と、
    所定範囲での前記波形の面積比率に基づく面積アルゴリズムにより、前記レール装着物品の装着状態を判定する面積判定部と、
    前記振幅判定部および前記面積判定部での判定動作の組み合わせを制御する制御部と、
    前記振幅判定部および前記面積判定部のそれぞれの判定結果に基づいて、前記レール装着物品の最終的な装着状態を判定する最終判定部と、を備え、
    前記振幅判定部は、
    前記所定範囲での前記波形の低周波帯域の振幅の最大値Kaと前記波形の高周波帯域の振幅の最大値Kbを検出する振幅検出部と、
    振幅比率であるKb/Kaを算出する振幅比率算出部と、
    前記振幅比率「Kb/Ka」と振幅比率閾値とを比較して前記レール装着物品の装着状態を判定する振幅アルゴリズム判定部と、を有し、
    前記面積判定部は、
    前記所定範囲での前記波形の波形面積を算出する面積算出部と、
    前記波形面積において、所定面積比率となる波形の区切りの周波数値である特定周波数値を算出する周波数値算出部と、
    前記特定周波数値を面積比率閾値と比較して、前記レール装着物品の装着状態を判定する面積アルゴリズム判定部と、を有し、
    前記波形は、周波数軸に基づく形状であり、
    前記最終判定部は、前記振幅アルゴリズム判定部および前記面積アルゴリズム判定部のそれぞれの判定結果に基づいて、前記装着状態を「良好状態」もしくは「不良状態」として、判定する、レール装着物品の装着検査装置。
  2. 前記振幅判定部は、前記振幅比率「Kb/Ka」が前記振幅比率閾値以下であれば「良好状態」、前記振幅比率「Kb/Ka」が前記振幅比率閾値より大きければ「不良状態」として判定し、
    前記面積判定部は、前記特定周波数値が前記面積比率閾値以下であれば「良好状態」として、前記特定周波数値が前記閾値より大きければ「不良状態」として判定し、
    前記最終判定部は、前記振幅判定部での判定結果および前記面積判定部での判定結果のそれぞれが前記不良状態である場合に、前記レール装着物品の装着状態を、「不良状態」として最終判定する、請求項1記載のレール装着物品の装着検査装置。
  3. 前記振幅判定部は、前記振幅比率「Kb/Ka」が前記振幅比率閾値以下であれば「良好状態」、前記振幅比率「Kb/Ka」が前記振幅比率閾値より大きければ「不良状態」として判定し、
    前記面積判定部は、前記特定周波数値が前記閾値以下であれば「良好状態」として、前記特定周波数値が前記閾値より大きければ「不良状態」として判定し、
    前記最終判定部は、前記振幅判定部および前記面積判定部の内、
    1回目の判定を行った判定結果と、2回目に判定を行った判定結果が同じである場合には、1回目の判定結果にて最終判定し、
    1回目の判定を行った判定結果と、2回目に判定を行った判定結果が異なる場合には、3回目以降の判定を加味して最終判定する、請求項1記載のレール装着物品の装着検査装置。
  4. 前記振幅判定部は、前記振幅比率「Kb/Ka」が前記振幅比率閾値以下であれば「良好状態」、前記振幅比率「Kb/Ka」が前記振幅比率閾値より大きければ「不良状態」として判定し、
    前記面積判定部は、前記特定周波数値が前記閾値以下であれば「良好状態」として、前記特定周波数値が前記閾値より大きければ「不良状態」として判定し、
    前記最終判定部は、前記振幅判定部および前記面積判定部の判定結果において、「不良状態」の判定結果の数が過半数である場合には、前記レール装着物品の装着状態を、「不良状態」として最終判定する、請求項1記載のレール装着物品の装着検査装置。
  5. 前記振幅判定部は、前記振幅比率「Kb/Ka」が前記振幅比率閾値以下であれば「良好状態」、前記振幅比率「Kb/Ka」が前記振幅比率閾値より大きければ「不良状態」として判定し、
    前記面積判定部は、前記特定周波数値が前記閾値以下であれば「良好状態」として、前記特定周波数値が前記閾値より大きければ「不良状態」として判定し、
    前記最終判定部は、前記振幅判定部の判定結果および前記面積判定部の判定結果のそれぞれに重みづけを行い、重みづけした判定結果の総量が、所定値以上である場合には、前記レール装着物品の装着状態を、「不良状態」として最終判定する、請求項1記載のレール装着物品の装着検査装置。
  6. 前記振幅比率算出部で算出された前記振幅比率「Kb/Ka」に重みづけして修正振幅比率を算出する振幅比率修正部と、
    前記周波数値算出部で算出された前記特定周波数値に重みづけして修正特定周波数値を算出する、特定周波数値修正部と、を更に備え、
    前記最終判定部は、前記修正振幅比率および前記修正特定周波数値の総量が、所定値以上である場合には、前記レール装着物品の装着状態を、「不良状態」として最終判定する、請求項1記載のレール装着物品の装着検査装置。
  7. 前記所定範囲は、第1周波数から第2周波数までであり、
    前記第1周波数 > 第2周波数であり、
    前記第2周波数は、余分成分除去周波数以上であり、
    前記余分成分除去周波数は、前記打音においてレールそのものの打音を除去できる周波数値である、請求項1から6のいずれか記載のレール装着物品の装着検査装置。
  8. 前記振幅比率閾値および前記面積比率閾値のそれぞれは、前記レール装着物品の装着状態が良好状態として判定される実測値に基づいて定められる、請求項1から7のいずれか記載のレール装着物品の装着検査装置。
  9. 前記振幅比率閾値および前記面積比率閾値のそれぞれは、可変である、もしくは複数の値を選択的に有する、請求項8記載のレール装着物品の装着検査装置。
  10. 前記低周波帯域は、前記波形における最大振幅を含み、
    前記低周波帯域と前記高周波帯域とは、前記最大振幅に対応する周波数値より高い周波数値において分けられる、請求項1から9のいずれか記載のレール装着物品の装着検査装置。
  11. 前記面積算出部は、前記第1周波数から前記第2周波数に向けて、前記波形の積分値を算出することで、前記波形面積を算出する、請求項7から10のいずれか記載のレール装着物品の装着検査装置。
  12. 前記第1周波数から前記第2周波数までの波形の面積をSaとし、前記第1周波数から前記特定周波数値までの波形における面積をSbとして、
    前記周波数値算出部は、Sb/Saが前記所定面積比率となる前記特定周波数値を算出する、請求項7から11のいずれか記載のレール装着物品の装着検査装置。
  13. 前記制御部は、最初に前記振幅判定部、最後に前記面積判定部の順序で判定を行わせる、請求項1から12のいずれか記載のレール装着物品の装着検査装置。
  14. 前記制御部は、単数回若しくは複数回の前記振幅判定部での判定と単数回もしくは複数回の前記面積判定部での判定を組み合わせて行わせる、請求項1から112のいずれか記載のレール装着物品の装着検査装置。
  15. レールに装着されたレール装着物品を打撃して得られる打音の時間周波数変換後の波形を記憶する記憶ステップと、
    所定範囲での前記波形の振幅比率に基づく振幅アルゴリズムにより、前記レール装着物品の装着状態を判定する振幅判定ステップと、
    所定範囲での前記波形の面積比率に基づく面積アルゴリズムにより、前記レール装着物品の装着状態を判定する面積判定ステップと、
    前記振幅判定ステップおよび前記面積判定ステップでの判定動作の組み合わせを制御する制御ステップと、
    前記振幅判定ステップおよび前記面積判定ステップのそれぞれの判定結果に基づいて、前記レール装着物品の最終的な装着状態を判定する最終判定ステップと、を備え、
    前記振幅判定ステップは、
    前記所定範囲での前記波形の低周波帯域の振幅の最大値Kaと前記波形の高周波帯域の振幅の最大値Kbを検出する振幅検出ステップと、
    振幅比率であるKb/Kaを算出する振幅比率算出ステップと、
    前記振幅比率「Kb/Ka」と振幅比率閾値とを比較して前記レール装着物品の装着状態を判定する振幅アルゴリズム判定ステップと、を有し、
    前記面積判定ステップは、
    前記所定範囲での前記波形の波形面積を算出する面積算出ステップと、
    前記波形面積において、所定面積比率となる波形の区切りの周波数値である特定周波数値を算出する周波数値算出ステップと、
    前記特定周波数値を面積比率閾値と比較して、前記レール装着物品の装着状態を判定する面積アルゴリズム判定ステップと、を有し、
    前記波形は、周波数軸に基づく形状であり、
    前記最終判定ステップは、前記振幅アルゴリズム判定ステップおよび前記面積アルゴリズム判定ステップのそれぞれの判定結果に基づいて、前記装着状態を「良好状態」もしくは「不良状態」として、判定する、レール装着物品の装着検査方法。
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