JP6808405B2 - 回転機器の監視装置 - Google Patents

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Description

本発明は、工場や各種施設で使用される回転機器の異常や故障の予兆を遠隔で監視できる、回転機器の監視装置に関する。
多くの工場や各種施設においては、回転機器が使用されている。回転機器は、例えば、冷凍機、熱交換器、ポンプ、モーター、コンプレッサーなどの回転動作を用いて、空気の蓄積や、熱量の交換などを行う機器である。すなわち、回転機器とは、これらの例に挙げた機器を包含した概念である。
工場では、製造ラインにおいて圧縮空気を用いた作業工程を有することが多い。あるいは、動作の切り替えを行うスイッチに空気圧を用いることも多い。このため、工場においては、空気の蓄積や空気の交換などを行うための回転機器が、そのまま、あるいは他の機器への組み込みによって使用されることが多い。もちろん、空調のための熱交換器としての回転機器が用いられることも多い。これは、工場だけでなく、各種の施設でも同じである。
工場の規模の大小にかかわらず、このような回転機器は、様々な場所で多種多様に使用されている。加えて、工場の製造ラインや空調などのように、工場や各種施設の中でも、重要な機能を発揮する装置に使用されていることが多い。このため、回転機器が不具合を生じたり故障となってしまったりすると、工場での作業が中断や停止となってしまうなどのシビアな問題につながりかねない。
加えて、回転機器は、高価であることが多く、故障等による修理や交換のコストが高くなる問題がある。特に、回転機器は、他の機器や装置に組み込まれて使用されていることが多く、この場合には、その修理や交換に要するコストや手間が大きくなる問題がある。
このとき、回転機器の不具合が進行しすぎていると、修理の必要性やレベルが高くなり、上述のように修理のコストや手間が大きくなる。他の機器から取り外すことなども必要となりうるからである。もちろん、交換が必要となることもあり、この場合にも大きなコストが生じてしまう。
工場や各種施設においては、このような修理や交換による過大なコストや手間を負担することは好ましくない。また、回転機器の修理や交換に必要となる期間が長くなれば、工場の稼働を縮小するなどの必要が生じ、これも好ましくない。
このような回転機器の不具合によって、修理や交換などに関わる手間、コスト、時間による損害を防止するには、回転機器の異常や故障の予兆を早期に検出できることが好ましい。異常や故障の予兆を早期に検出できることで、シビアな故障に至る前に、対応することができるからである。この対応ができれば、修理や交換のコストが低減できるだけでなく、対応時間も短くて済み、工場の稼働減少などに関わる問題を軽減できるからである。
このような回転機器の異常や故障の予兆を検出するために、人力によるアナログな作業が行われている。いわゆる職人的技能を有するベテランの技能者が、回転機器の音を自身の耳で聞き、回転機器の音にいつもと違い異常音を把握することで、予兆を検出する。ベテランの技能者は、長年の経験の蓄積によって、回転機器の音を聞きながら、異常音を聞き出すことができる。
この異常音は、回転機器の異常や故障などの不具合の予兆であることが多く、技能者が異常音を聞き出すことで、回転機器の不具合を早期検出できる。早期検出できれば、早期の対応が可能となり、上述のように、低コスト、低負担、低期間での対応が可能となる。
一方で、技能者の技能に依存せず、機械的・電気的技術を用いた機器の異常検出を行う技術も提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
特開2000−259222号公報 特開2011−154020号公報
特許文献1は、機器にその状態変化を二次的に捉えることのできる多次元のセンサを配置し、センサ群からの情報を基に、機器の状態変化や保守管理を実現する管理機器を配置し、センサからの情報により、管理機器内に具備された機器の劣化診断と速度予測する計算手段にて、機器の状態の監視やその状態変化を予測し、さらにその結果を管理機器の表示手段にて開示し、管理機器にはこれらのデータを保存・蓄積するデータサーバ部を具備し、管理機器に具備した入力手段にて、この情報の編集・追加・登録をできるように構成する機器監視システムを開示する。
特許文献1は、様々な機器に多種多様な数多くのセンサを取り付けて機器の保守管理を行う技術を開示している。人力によるアナログな対応とは異なり、自動化されている。
しかしながら、特許文献1の技術は、多種多様なセンサを数多く使用するので、検出項目および判定項目が複雑になりすぎる問題がある。複雑になりすぎることで、導入コストおよびランニングコストが大きすぎる問題がある。また、検出項目や判定項目が多くて複雑であると、機器の異常を予兆することが却って難しくなる問題もある。複雑であれば、将来的な問題となりうる異常を見出すことも難しくなったり、監視者がシビアに考えなくなってしまったりといった、人的問題にもつながりかねない。
また、特許文献1は、マハラノビスの距離を利用した問題検出を行うが、この空間定義があいまいになりやすく、問題の予兆の検出精度にあいまいさが生じてしまう問題がある。検出精度が曖昧であれば、やはり異常を見逃してしまう問題にもつながりかねない。
特許文献2は、実効値演算部が、振動センサを用いて測定された軸受けの振動波形の実効値を算出する。エンベロープ処理部は、振動センサを用いて測定された振動波形にエンベロープ処理を行うことによって振動波形のエンベロープ波形を生成する。実効値演算部は、エンベロープ処理部によって生成されたエンベロープ波形の交流成分の実効値を算出する。診断部は、実効値演算部によって算出された振動波形の実効値および実効値演算部によって算出されたエンベロープ波形の交流成分の実効値に基づいて軸受けの異常を診断する、転がり軸受の異常診断装置を開示する。
特許文献2は、振動を用いた異常検出を開示する。
しかしながら、特許文献2は、軸受けを監視することしかできない問題がある。工場や各種施設に多く使用されている回転機器の異常検出には利用できない。また、軸受けにおける振動は、その部位によって振動数の現れ方が異なるので、振動センサの取付け位置や取付け数が少ない場合には、検出する振動数にばらつきが生じ、正確な異常検出ができない問題がある。
以上をまとめると、従来技術では次のような問題があった。
(問題1)複雑すぎることで、導入コスト、ランニングコストが大きくなる。
(問題2)複雑あるいは観測対象によって、正確な異常検出ができない。
(問題3)回転機器に最適な異常検出ができない。
(問題4)複雑であることで、運用の難しさがあり、最終的な運用と判断を行う人的エラーが生じうる。
本発明は、これらの課題に鑑み、簡単な構成でありながら高い精度で回転機器の不具合の予兆を検出できる、回転機器の監視装置を提供することを目的とする。
上記課題に鑑み、本発明の回転機器の監視装置は、回転機器の音を収集する収集部と、
音に基づいて、特定指標値に生成する生成部と、
特定指標値に基づいて、閾値を算出する閾値算出部と、
特定指標値と閾値に基づいて、回転機器の不具合の予兆を検出する検出部と、を備え、
生成部は、音を、周波数軸とゲイン軸との関係に変換することで、特定指標値を生成し、
特定指標値は、離散した複数の特定周波数におけるゲインを基礎とする第1変換値を含み、
第1変換値は、1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルの定義で生成され、
特定指標値は、音を周波数スペクトルレベルに変換して得られる第2 変換値を含み、
生成部は、特定指標値を生成する前に、収集部で収集された音の感度補正を行い、
収集部は、回転機器の音に加えて、回転機器からの振動数を合わせて収集し、
振動数を、周波数軸とゲイン軸との関係に変換することで、特定指標値とは別の第2特定指標値を生成し、特定指標値と第2特定指標値のそれぞれについて、検出部が閾値および閾値とは別の第2閾値のそれぞれとの比較によって、検出部が回転機器の不具合を検出する。
本発明の回転機器の監視装置は、シンプルな構成でありながら、高い精度で回転機器の不具合の予兆を検出できる。特に、回転機器の音を使用することで、従来の技能者が行っていた監視と同様であり、設置されて稼働している回転機器の現場状況に合わせた予兆の検出ができる。結果として、これまでの経験値を含んだ検出ができ、実際に即した予兆検出ができる。
また、音を用いることで、回転機器全体のいずれかの部位のみの問題であっても、確実に検出できる。
音を基準としつつ、判断基準の指標を回転機器に合わせて生成できるので、検出精度が高い。また、遠隔での監視もできるので、人的作業の負担を軽減できる。
本発明の実施の形態1における回転機器と回転機器の監視装置の全体概要図である。 本発明の実施の形態1における監視装置のブロック図である。 本発明の実施の形態1における時間軸とゲイン軸との関係で示される音データのグラフである。 本発明の実施の形態1における周波数軸とゲイン軸との関係で示される音データのグラフである。 本発明の実施の形態1における特定指標値を示すグラフである。 1/3オクターブバンドフィルタの概念図である。 1/3オクターブバンドフィルタの中心周波数と通過帯域を示す。 本発明の実施の形態1における1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルの一例を示すグラフである。 本発明の実施の形態1における閾値算出部での閾値の算出を示す模式図である。 本発明の実施の形態1における検出部での検出を示す模式図である。 本発明の実施の形態1における実際の処理結果を示すグラフである。 本発明の実施の形態1における周波数スペクトルレベルのグラフである。 本発明の実施の形態2における監視装置のブロック図である。
本発明の第1の発明に係る回転機器の監視装置は、回転機器の音を収集する収集部と、
音に基づいて、特定指標値に生成する生成部と、
特定指標値に基づいて、閾値を算出する閾値算出部と、
特定指標値と閾値に基づいて、回転機器の不具合の予兆を検出する検出部と、を備え、
生成部は、音を、周波数軸とゲイン軸との関係に変換することで、特定指標値を生成する。
この構成により、回転機器の不具合の予兆を、音を基点として高い精度で検出できる。
本発明の第2の発明に係る回転機器の監視装置では、第1の発明に加えて、特定指標値は、離散した複数の特定周波数におけるゲインを基礎とする第1変換値を含む。
この構成により、音の変化を定量的に解析して、回転機器の不具合を検出できる。この検出は、人的な作業のアルゴリズムに近く、精度が高い。
本発明の第3の発明に係る回転機器の監視装置では、第2の発明に加えて、第1変換値は、1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルの定義で生成される。
この構成により、音の変化を定量的に解析して、回転機器の不具合を検出できる。特に、騒音を把握するモデルを利用することで、回転機器の不具合を高い精度で検出できる。
本発明の第4の発明に係る回転機器の監視装置では、第3の発明に加えて、1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルは、音のゲインに、1/3オクターブバンドフィルタ特性を乗算する乗算処理、乗算部の結果の二乗平均を算出する算出処理と、二乗平均の単位系を変換する変換処理と、の演算により生成される。
この構成により、収集した音から1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルを算出できる。
本発明の第5の発明に係る回転機器の監視装置では、第3または第4の発明に加えて、特定周波数は、1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルで使用される中心周波数と同等であって、回転機器の不具合の予兆を把握することに適した周波数と同等である。
この構成により、収集した音から1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルを算出できる。
本発明の第6の発明に係る回転機器の監視装置では、第2の発明に加えて、変換値は、1/1オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルもしくは1/12オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルの定義で生成される。
この構成により、高いバリエーションで、特定指標値を算出できる。
本発明の第7の発明に係る回転機器の監視装置では、第1の発明に加えて、特定指標値は、音を周波数スペクトルレベルに変換して得られる第2変換値を含む。
この構成により、周波数スペクトルの特性に応じて、回転機器の不具合の予兆を検出できる。
本発明の第8の発明に係る回転機器の監視装置では、第1から第7のいずれかの発明に加えて、生成部は、特定指標値を生成する前に、収集部で収集された音の感度補正を行う。
この構成により、特定指標値の生成の精度を上げることができる。
本発明の第9の発明に係る回転機器の監視装置では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、収集部は、回転機器の音に加えて、回転機器からの振動数を合わせて収集する。
この構成により、より幅広い特定指標値を基にして、回転機器の不具合の予兆を検出できる。
本発明の第10の発明に係る回転機器の監視装置では、第1から第9のいずれかの発明に加えて、閾値算出部は、所定期間における特定指標値の積算値もしくは平均値を、閾値として算出する。
この構成により、実際に測定されて得られる特定指標値の積み重ねを閾値とできる。この閾値により、実際の回転機器を基準とした不具合の判定を行える。
本発明の第11の発明に係る回転機器の監視装置では、第10の発明に加えて、所定期間は、検出部が検出するのに用いる特定指標値の基礎となる音が収集されるタイミングから一定時間前の期間である。
本発明の第12の発明に係る回転機器の監視装置では、第10の発明に加えて、所定期間は、予め定められたタイミングに基づく期間である。
これらの構成により、実際の回転機器の状態を基礎とした閾値を算出できる。特に、正常な動作をしていると考えられる期間に閾値が算出されるので、不具合の予兆を検出するのにふさわしい閾値が算出できる。
本発明の第13の発明に係る回転機器の監視装置では、第1から第12のいずれかの発明に加えて、検出部は、特定指標値と閾値の比較に基づいて、複数の段階で、不具合の予兆を検出する。
この構成により、複数の段階での判断により、より使い勝手の良い判定結果を受けることができる。
本発明の第14の発明に係る回転機器の監視装置では、第13の発明に加えて、複数の段階は、注意、警告の段階を含む。
この構成により、検出の結果を、有用に使うことができる。
本発明の第15の発明に係る回転機器の監視装置では、第1から第14のいずれかの発明に加えて、検出部が検出した結果を通知する通知部を更に備える。
この構成により、検出結果を、即座に把握できる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(実施の形態1)
(全体概要)
図1は、本発明の実施の形態1における回転機器と回転機器の監視装置の全体概要図である。図1には、回転機器100と、これを監視する回転機器の監視装置1とが表されている。
回転機器100は、従来技術で説明したように、様々な装置、設備において使用されていたり、組み込まれていたりする回転によって所定の機能を実行する機器である。様々な態様で実現されており、例えば、冷凍機、熱交換器、ポンプ、モーター、コンプレッサーの少なくとも一つとして使用されている。もちろん、これら以外であっても、回転によって所定の機能を実行できるものであればよい。
回転機器100は、動作において音を発生する。回転機器の監視装置1(以下、必要に応じて「監視装置1」と略す)は、この音を収集して、所定の処理を行って、回転機器100を監視できる。監視装置1は、収集部3とサーバー4を備える。
収集部(集音装置)3は、回転機器100の音を収集できる。収集部3は、収集した回転機器100の音のデータをサーバー4に出力する。サーバー4は、電子計算機などの演算処理を実行できる機器であり、音のデータに基づいて、回転機器100の状態を判断できる。
ここで、サーバー4は、複数の収集部3(複数の回転機器100)をまとめて管理する態様でもよい。あるいは、一つの収集部3に対応する態様でもよい。また、離隔している、離隔していない、のいずれの態様でもよい。
このような態様であるので、収集部3で収集された音データは、サーバー4に出力されてサーバー4で記憶されてもよいし、収集部3の備える記憶装置で記憶されてもよい。音データの大きさ、回転機器100の形態や数、収集部3の記憶容量、監視装置1での監視処理の都合などによって、収集部3で収集された音データは、サーバー4で記憶されても、収集部3で記憶されてもよく、適宜実行されればよい。
このとき、収集部3は、回転機器100より一定の距離を有して設置されてもよい。また、収集部3とサーバー4とは、離隔して設置されてもよい。このような構成により、監視装置1は、回転機器100と遠隔の場所であっても、その状態を監視できる。
実施の形態1における監視装置1は、回転機器100と、図1のような位置関係と構成を有している。この構成によって、回転機器100の監視を行える。回転機器100は、上述の通り、様々な設備に組み込まれており、監視装置1によってこれらが監視できる。
図2は、本発明の実施の形態1における監視装置のブロック図である。
監視装置1は、収集部3、生成部5、閾値算出部6、検出部7と、を備える。収集部3は、回転機器100の音を収集する。生成部5は、収集部3で収集された音に基づいて、特定指標値を生成する。閾値算出部6は、特定指標値に基づいて、閾値を算出する。検出部7は、特定指標値と閾値に基づいて、回転機器100の不具合の予兆を検出する。
ここで、生成部5は、収集部3で収集された音を、周波数軸とゲイン軸との関係に変換することで、特定指標値を生成できる。回転機器100が生じさせる音は、時間軸とゲイン軸との関係で表される。この音(音データ)を、生成部5は、周波数軸とゲイン軸(大きさ)の関係に変換する。この周波数軸とゲイン軸の関係に変換された音データを、特定指標値として取り扱う。
例えば、時間軸と周波数軸との違いを、図3、図4を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態1における時間軸とゲイン軸との関係で示される音データのグラフである。図4は、本発明の実施の形態1における周波数軸とゲイン軸との関係で示される音データのグラフである。
収集部3は、回転機器100が生じさせる音を収集する。この収集によって音データを得る。収集部3での収集は、回転機器100の発生させる音をそのまま収集するので、時間経過に合わせて音を収集する状態である。このため、収集部3で収集された音データは、図3のように、時間軸とゲイン軸との関係で示される態様である(ゲイン軸は、音データの振幅と考えてもよい)。
生成部5は、図3に示される音データを、周波数軸とゲイン軸との関係に変換する。変換した後の状態が、図4のような態様である。周波数軸とゲイン軸との関係で音データが表されることで、回転機器100の発生させる音データを、周波数のそれぞれの領域で把握することができるようになる。
この周波数軸とゲイン軸との関係となった音データを基にして、生成部5は、特定指標値を生成できる。図4は、特定指標値の前提となる音データを示していると言える。
なお、説明の容易性のために、図3をヒストグラムで示している。実際には、曲線グラフとして表されることが多いが、音データの関係を把握するために、ヒストグラムとして表している。
特定指標値は、検出部7において、回転機器100の不具合の予兆を検出するために用いられる。特定指標値は、大きさを有した値であるので、この値を判定して、予兆を検出することができる。このとき、図4のように周波数軸とゲイン軸との関係に変換された音データを基にすることで、周波数の領域の違いにおける音の大きさによって、検出を行える。回転機器100の不具合の予兆は、その音の変化によって分かることが多く、音の変化は、周波数ごとでの音の大きさの変化や違いに依るからである。
従来技術で説明したように、回転機器の不具合を検出するために、職人的技能を有する技術者が回転機器の音を聴覚で確認していた。この回転機器の音の確認においては、音の違いや変化(音の高低の違い)を把握していた。この把握によって、不具合の予兆を検出していた。
実施の形態1の監視装置1も、生成部5で周波数軸とゲイン軸との関係に音データを変換してから特定指標値を生成しているので、この技能者による作業を近似していると言える。この点でも、実施の形態1における監視装置1は、正確に回転機器100の不具合を検出できる。
生成部5で生成された特定指標値に基づいて、閾値算出部6は、閾値を算出する。閾値は、特定指標値が、あるべき状態から外れている場合を不具合として検出するための基準である。このため、閾値は、特定指標値から生成されることが適当である。特定指標値が積算等されることで、回転機器100の標準的な状態を把握できるからである。この標準的な状態を、閾値として表すことができる。
閾値算出部6は、特定指標値から、閾値を算出し、検出部7に出力する。
検出部7は、閾値算出部6から出力された閾値と、生成部5から出力された特定指標値とを比較して、回転機器100の不具合の予兆(以下、必要に応じて「不具合」という)を、検出する。例えば、ある特定指標値が閾値よりも大きい場合には、回転機器100に不具合があると判断する。
このとき、検出部7は、回転機器100の不具合の予兆を、注意レベル、警告レベルなどの段階に応じて判断してもよい。
監視装置1は、回転機器100の音を収集した上で、このようにして不具合を検出する。不具合が検出されれば、それに応じた対応を行うことができ、監視が実現できる。また、収集部3以外については、回転機器100から離隔した場所でも処理が可能であるので、遠隔での監視も実現できる。
(離散した特定周波数での特定指標値による検出)
生成部5が生成する特定指標値は、図4のように周波数軸とゲイン軸との関係で音データを変換して得られる。このとき、特定指標値は、離散した複数の特定周波数におけるゲインを基礎とする第1変換値であることも好適である。
図5は、本発明の実施の形態1における特定指標値を示すグラフである。図5においては、100Hzずつに離散した複数の特定周波数(図5では、100Hz、200Hz、300Hz・・・)におけるゲインの大きさを、特定指標値51としている。すなわち、それぞれの特定周波数での、音データの大きさを、特定指標値51の大きさとして表している。
閾値算出部6が算出した閾値と、この特定指標値51との大きさの比較に基づいて、検出部7は、不具合を検出する。例えば、閾値があるレベルである場合に、このレベルよりも高いゲインを有する特定指標値51が存在していれば、回転機器100には不具合があると検出される。
図5のグラフでは、閾値が示されている。この閾値を基準とすると、300Hzと600Hzにおいて、音データの大きさ(ゲイン)が、閾値を超えている。検出部7は、この比較結果に基づいて、回転機器100に不具合の予兆があると判断することができる。
このとき、検出部7は、(1)特定周波数のいずれかの周波数での音データの大きさが、閾値を超えているか、(2)特定周波数のすべてお周波数での音データの大きさが閾値を超えているか、(3)特定周波数のいずれかもしくはすべての周波数での音データの大きさが、一定値以上閾値を超えているか、(4)閾値を超えている大きさの積算が、一定以上であるか、などの基準で、回転機器100の不具合を判断してもよい。
(1/3オクターブバンド中心周波数での等価騒音レベル)
第1変換値は、1/3オクターブバンド中心周波数での等価騒音レベルの定義で生成されることも好適である。
オクターブバンドとは、ある周波数を中心として、上限周波数と下限周波数との比が1オクターブとなる周波数帯域のことである。この中心となる周波数を、オクターブバンド中心周波数という。オクターブバンドを1/3にしたものを1/3オクターブバンド、1/12にしたものを1/12オクターブバンドという。
すなわち、1/3オクターブバンドの中心となる周波数が、1/3オクターブバンド中心周波数である。これらに合わせたフィルタが、1/3オクターブバンドフィルタである。
ここで、中心周波数をfm、下限周波数をf1、上限周波数をf2とすると、1/3オクターブバンドフィルタは、図6のように表される。図6は、1/3オクターブバンドフィルタの概念図である。1/3オクターブバンドフィルタは、図6に示される周波数特性を有している。
生成部5は、収集部3で収集された音データに、図6の特性を有するフィルタを乗算することで、1/3オクターブバンドフィルタで得られる周波数軸とゲイン軸との関係の音データを得る準備ができる。この1/3オクターブバンドフィルタによって得られる音データは、騒音を把握する指標として利用される。
生成部5は、この1/3オクターブバンドフィルタを用いて、1/3オクターブバンド中心周波数での等価騒音レベルで定義される特定指標値を生成する。閾値算出部6は、この1/3オクターブバンド中心周波数での等価騒音レベルでの特定指標値に基づいて、閾値を算出する。検出部7は、この特定指標値と閾値との比較により、回転機器100の不具合を検出する。
図7は、1/3オクターブバンドフィルタの中心周波数と通過帯域を示す。この1/3オクターブバンドフィルタ中心周波数毎の等価騒音レベルによって、監視装置1は、回転機器100の不具合を検出する。以下に、1/3オクターブバンドフィルタ中心周波数毎の等価騒音レベルでの処理を説明する。
(ステップ1:音の収集)
収集部3は、所定時刻(予め定められた時間間隔に応じてもよいし、指定されたランダムな時刻でもよい)に、回転機器100の音(音圧)を測定する。音圧は、P(t)として測定される(単位は、V)。
(ステップ2:感度補正)
収集部3は、マイクなどの機器を用いて音を測定する。このとき、マイクには、機器特有の感度があり、この感度を補正することが好ましい場合がある。ステップ2では、ステップ1で測定された音を、感度補正する。
感度補正によってステップ1で測定された音P(t)[V]は、P´(t)[Pa]として変換される。感度補正は次の数1によって実行されればよい。このステップ2により、音データP´(t)[Pa]が得られる。
(ステップ3:1/3オクターブバンドフィルタの乗算)
ステップ2で得られた音データP´(t)[Pa]に、図6で説明した1/3オクターブバンドフィルタが乗算される。この乗算によりPfm(t)が得られる。ここで、fmは、1/3オクターブバンドフィルタの中心周波数である。
(ステップ4:二乗平均)
ステップ4では、ステップ3で得られた1/3オクターブバンド中心周波数毎で得られた結果の二乗平均を算出する。算出して得られる二乗平均値は、Pfmeq,tである。次の数2によって、二乗平均は算出される。
Pfmeq,t : 1/3オクターブバンド中心周波数fm毎の音の二乗平均値(パワー平均値)
Pfm(t) : 1/3オクターブバンド中心周波数fmでの音(音のゲイン)
fs : サンプリング周波数
t : 測定時間
T1 : 測定開始時間
T2 : 測定終了時間
N:サンプル数 N=t/Δt
Δt : 時間の分解能
(ステップ5:等価騒音レベルの算出)
ステップ5では、ステップ4で得られた二乗平均値から、1/3オクターブバンドフィルタ中心周波数毎の等価騒音レベルを算出する。この算出においては、次の数3によって実行される。
このステップ5での等価騒音レベルの算出は、ステップ4で得られた二乗平均の単位系の変換処理といえる。すなわち、ステップ4では単位系はPa(パスカル)として算出されるが、単位系がPaでは、閾値算出部6や検出部7で取り扱いにくい。
このため、ステップ5において単位系をdB(デシベル)に変換する。数3によって、単位系の変換が実行でき、dBを単位系とする1/3オクターブバンドフィルタ中心周波数毎の等価騒音レベルが算出できる。
これらのステップ1〜ステップ5によって、生成部5は、測定した回転機器100の音(音データ)から、1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルを算出できる。この算出された結果は、周波数軸とゲイン軸との関係による特定指標値の一つである。周波数軸において、1/3オクターブバンド中心周波数毎に、音の大きさ(ゲイン)が並んだ状態のものが得られる。
これらのステップ1〜5の処理によって得られる1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルの一例を、図8に示す。図8は、本発明の実施の形態1における1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルの一例を示すグラフである。
図8のグラフのように、1/3オクターブバンド中心周波数のそれぞれでの音のゲインが示されており、1/3オクターブバンド中心周波数毎での音の状態を把握することができる。
図6において説明したように、1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルは、騒音を把握するのに適したモデルである。このモデルを回転機器100の不具合の予兆検出に適用することで、回転機器100の不具合を検出することができるようになる。
「離散した特定周波数での特定指標値による検出」で説明した特定周波数は、この1/3オクターブバンド中心周波数と同じであってもよい。すなわち、生成部5は、1/3オクターブバンド中心周波数を用いることで、収集部3で収集された音を周波数軸とゲイン軸との関係である特定指標値を生成できる。
また、1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルだけでなく、1/1オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルや、1/12オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルを利用して、特定指標値を生成してもよい。
図8に並んでいるヒストグラムのそれぞれが、特定指標値として扱われる。
(ステップ6:閾値算出)
図8に示されるヒストグラムは、ある時刻に算出した音に基づいて生成された特定指標値(1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベル)である。収集部3および生成部5は、異なる時刻でこのような特定指標値を生成し、これを閾値算出部6に出力する。
すなわち、ある期間において、複数の異なる時刻でステップ1〜ステップ5が繰り返されて、図8のような1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルが算出される。この異なる時刻でのそれぞれの1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルが、閾値算出部6に出力される。
閾値算出部6は、複数の1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルの積算値もしくは平均値を、閾値として算出する。もちろん、生成部5が生成する特定指標値が、別の態様のものであれば、その特定指標値の積算値もしくは平均値を、閾値として算出する。
図9は、本発明の実施の形態1における閾値算出部での閾値の算出を示す模式図である。ある期間における異なる時刻に算出された複数の1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルの結果を、閾値算出部6は受ける。図9では、イメージとして、複数の異なる時刻での1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルの結果を受けている。
閾値算出部6は、この複数の1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルの結果を積算、もしくは平均して閾値を決定する。閾値も、dBを単位として算出されるので、検出部7においては、dBを単位とする特定指標値である1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルと比較が行われる。
ここで、閾値算出部6では、所定期間における特定指標値(1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベル)の積算値もしくは平均値を閾値とする。この所定期間は、監視装置1の運用および回転機器100の運用などに基づいて、適宜定められれば良い。
一例として、監視対象である回転機器100の不具合を検出するための時刻より前の期間であることもよい。すなわち、回転機器100の不具合検出を実施するために特定指標値を算出するタイミングより以前の期間を所定期間とする。この結果、不具合検出を行うタイミングの前に、閾値が算出されている状態となり、処理が容易となる。
別の例として、予め定められたタイミングに基づいて所定期間とされてもよい。回転機器100の特性に合わせてある時間範囲を所定期間とすることで、回転機器100の不具合を検出するための閾値を、適正に算出できる。
このように算出された閾値を、閾値算出部6は、検出部7に出力する。
(ステップ7:不具合の検出(判定))
検出部7は、閾値と特定指標値を受ける。ここでは、特定指標値として1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルの結果を受ける。この結果と閾値とを比較して、回転機器100の不具合を検出する。
図10は、本発明の実施の形態1における検出部での検出を示す模式図である。
図10では、生成部5で生成されたある時刻での1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルの結果である。1/3オクターブバンド中心周波数に従って、それぞれの中心周波数での音のレベルが、ヒストグラムで表されている。
閾値は、グラフ中に示されている。この閾値と中心周波数毎でのレベルとを比較する。この比較によって、検出部7は、不具合を判定する。
このとき、判定方法は、様々であってもよい。いくつかの例を説明する。
(例1:閾値とレベルとの単純比較)
例1としては、閾値とレベルとを単純に比較することがある。図10では、1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルのグラフに閾値を記している。検出部7は、グラフ中の複数の中心周波数のいずれかの音のレベルが閾値を超えている場合には、回転機器100に不具合の予兆があるものと判定する。
図10では、いくつかの中心周波数での音のレベルが、閾値を超えている。このような状態では、検出部7は、回転機器100に不具合があると判定する。
(例2:一定数以上の中心周波数が閾値を超えている)
例2としては、レベルと閾値を比較するが、閾値を超えているレベルを有する中心周波数が一定数以上である場合に、検出部7は、回転機器100に不具合があると判定する。
図10では、閾値を超えるレベルを有する中心周波数は、6個である。このとき、一定数を10個とすると、図10の状態では、検出部7は、不具合が無いと判定する。一方で、一定数を5個とすると、図10の状態を、検出部7は、不具合があると判定する。
あるいは、すべての中心周波数でのレベルが閾値を超えている場合のみ不具合があると判定してもよい。
(例3:ある中心周波数が閾値を超えている)
例3としては、異なる複数の中心周波数の内、特定の中心周波数での音のレベルが閾値を超えている場合に、検出部7は不具合があると判定する。図10に示されるように、1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルは、それぞれの中心周波数において音のレベルを有している(図10のヒストグラムの通りである)。
このうち、決められたある中心周波数の音のレベルが閾値を超えている場合に、検出部7は、回転機器100に不具合があると判定する。例1、例2と異なり、定められた特定の中心周波数のレベルが閾値を超えていれば、不具合があると検出する。特定の周波数の音に大きな変化があれば、回転機器100に不具合があり得るとしての判定であるので、回転機器100の問題把握に適している。
(例4:閾値の割合での比較)
例1〜例3では、閾値と音のレベルを直接比較したが、例えば閾値80%と音のレベルを比較することで、不具合を検出することでもよい。いずれかの中心周波数での音のレベルが閾値の80%を超えている場合に、検出部7は、不具合を検出する。
この場合、検出部7は、閾値の80%以上である場合には、「注意」として判定し、100%以上である場合には、「警告」として判定するなど、複数段階での判定を行うことも好適である。
例4は、例1〜例3のいずれかのように、一つの中心周波数での音のレベルとの比較でも、一定数以上の中心周波数の音のレベルとの比較でも、特定の中心周波数の音のレベルとの比較でも、いずれも適用できる。閾値のある割合での比較、段階的な判定を、例1〜例3と組み合わせることでもよい。
このように、検出部7は、段階的な判定を行うことも好適である。ここでは、注意、警告の2段階を説明したが、これ以外にも、修理必要などの段階での判定を入れてもよい。
以上のように、1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルを用いた監視装置1による不具合の監視により、実際に適した回転機器100の不具合検出が可能となる。
図11に、発明者が行った実際の例を示す。図11は、本発明の実施の形態1における実際の処理結果を示すグラフである。図11では、上に、ある回転機器での検出時の1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルでの検出結果を示すグラフが示されている。図11の下側は、上側の回転機器について、修理等の対応を行った後の1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルでの検出結果のグラフが示されている。
検出時には、閾値を超える音のレベルが複数の中心周波数で見られた。この結果、対象となる回転機器に不具合があるものと推定された。この回転機器を修理等の対応を施した後では、下側のグラフの通り、閾値を超える音のレベルが軽減された。すなわち、修理等の対応がなされた場合には、閾値を超える音のレベルが少ないと言える。
このように、1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルを用いることで、回転機器100の不具合を確実に検出できることが確かめられた。
例えば、収集部3で収集された音そのものであったり、作業者が自身の耳で感じた音のみであったりで、このような回転機器の不具合を感じ取ることが考えられる。しかしながら、人の耳の感度は、音の周波数帯域によって異なる。周波数帯域によっては、高い感度で聞き取れるが、周波数帯域によっては、低い感度で音を聞き取ることになる。このため、すべての帯域において、正確かつ精度よく音を聞き取れない。これは、収集部3で収集した生の音データでも同様である。
これに対して、1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルは、感度の相違に依存せず、収集部3で収集された音データのゲインを、周波数毎に正確に表すことができる。よって、音データを基点として、正確に回転機器100の不具合を検出できる。
なお、収集部3における音データの収集においては、耳の感度の特性に応じた、適当な感度補正を行うことも好適である。
(周波数スペクトルレベルへの変換)
1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベル以外にも、周波数スペクトルレベルへの変換を特定指標値であるとして利用することも好適である。以下に、その処理を説明する。
(ステップ2−3:FFT時間窓の算出)
1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルでのステップ1、ステップ2の後で、得られた音データにFFT(高速フーリエ変換)を施す際の、FFT時間窓の長さを算出する。
t : FFT窓の長さ[S]
N : サンプリング点数
Fs : サンプリング周波数[Hz]
Δt : サンプリング時間[s]
数4に従って、FFT時間窓の長さが算出される。
(ステップ2−4:Pn(t)の算出)
次いで、ステップ2で得られた感度補正後の音データを、FFT時間窓の長さで分割し、Pn(t)を算出する。オーバーラップ値を50%(可変可能)とする。
(ステップ2−5:FFT処理の実行)
ステップ2−4で得られたPn(t)に窓関数を乗算してFFT処理を実行し、Xn(f)を算出する。このとき、下記の数5を利用して算出を行う。
Xn(f) : 周波数スペクトル[Pa]
f : 周波数
(ステップ2−6:二乗平均の算出)
ステップ2−5で得られたXn(f)の複素数の絶対値を算出し、二乗平均値を算出する。
(ステップ2−7:周波数スペクトルレベルの算出)
ステップ2−7において、周波数スペクトルレベルX(f)[dB]を算出する。このとき、下記の数6を用いて算出を行う。
X(f): 周波数スペクトルレベル[dB]
X(f)^2 : 周波数スペクトルの二乗平均値
Pa : 基準音レベル 2.0 × 10−5[Pa]
このステップ2−7によって、収集された音の周波数スペクトルレベルが算出される。この算出された周波数スペクトルレベルは、図12に示されるように表される。図12は、本発明の実施の形態1における周波数スペクトルレベルのグラフである。
ある時刻において収集された回転機器100の音が、図12のような態様に変換される。生成部5は、このような周波数スペクトルレベルで示される特定指標値を生成する。
生成部5が生成した特定指標値としての周波数スペクトルレベルは、閾値算出部6および検出部7に出力される。閾値算出部6は、複数の時刻で算出された周波数スペクトルレベルの特定指標値を積算もしくは平均する。この結果で、閾値を算出する。
検出部7は、閾値と周波数スペクトルレベルで表される特定指標値を比較して、回転機器100の不具合を判定して検出する。検出は、1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルでの検出で説明したものと同様である。閾値算出も同様である。
このように、周波数スペクトルレベルを特定指標値とすることでも、回転機器100の不具合を高い精度で検出できる。
ここで、周波数スペクトルレベルは、収集部3で収集された生の音データに近い。このため、ある時点での周波数スペクトルレベルは、その時点における音の大きさを十分に表している。ある時点での音の大きさを確認できる。等価騒音レベルは、特定周波数の変化で異常をとらえるのに対し、周波数スペクトルは音の大きさの経年変化をとらえることができる。
この結果、周波数スペクトルレベルを用いることで、回転機器100の完全破壊までの時間である経年劣化を、より分かり易く把握できる。経年劣化を見ることで、交換や修理までの時間余裕度を把握でき、計画保全が可能となり、コスト削減にもつながる。
以上、実施の形態1における監視装置1は、周波数軸とゲイン軸との関係で収集した音をあらわすことで、回転機器100の不具合の予兆を、高い精度で検出できる。特に、従来技術で説明したように、回転機器100の音の変化を聴覚で確認するアルゴリズムを踏まえたものであるので、極めて精度が高い。従来の人的作業と同じ概念での処理であることで、回転機器100を備える工場やこれをメンテナンスする事業者にとっても受け入れやすいメリットがある。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。
実施の形態2では、種々の要素の工夫や別バージョンについて説明する。
(収集部)
収集部3は、実施の形態1で説明されたように、回転機器100の音を収集する。音とは音のレベルであって、音圧として把握されてもよい。
ここで、収集部3は、この音に加えて、回転機器100の振動数を合わせて収集してもよい。振動数は、回転機器100の状態によって変化しうるからである。実施の形態1で説明したように、音については、1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルのような周波数軸とゲイン軸との関係に変換して、回転機器100の不具合を検出できる。
収集部3が収集した振動数は、この音に基づく特定指標値の生成において加味して使用されてもよい。あるいは、振動数についても、周波数軸とゲイン軸との関係の特定指標値に変換して別の特定指標値が生成されてもよい。
後者の場合には、音に基づく特定指標値と振動数に基づく特定指標値のそれぞれについて、検出部7は閾値と比較する。それぞれの比較によって、検出部7は、回転機器100の不具合を検出する。
振動数も加味することで、より高い精度での検出が可能となる。
振動数は、ある部位をピンポイントで異常であるとの検出が可能である。すなわち、回転機器100の不具合箇所をピンポイントで把握できるメリットがある。周波数を用いた上述の不具合検出に合わせて、振動数での検出を行うことで、不具合の存在、不具合箇所の特定、との判断が可能となる。
(検出部での複数段階検出)
検出部7は、複数の段階で不具合を検出してもよい。実施の形態1でも説明した通り、検出部7は、特定指標値と閾値との比較により、複数の段階で不具合の予兆を検出する際に、比較結果に応じて、「注意」、「警告」、「修理必要」などの段階で、検出することも好適である。
例えば、閾値と特定指標値との差分の大きさで、注意や警告の段階を分けてもよい。あるいは、閾値を超えている特定指標値の大きさや数によって、注意や警告の段階を分けてもよい。
あるいは、複数の閾値を設けることで、注意や警告といった段階での検出としてもよい。複数の閾値との比較結果のそれぞれに応じて、回転機器100を、注意として判定したり、警告として判定したりできる。
(通知部)
図13は、本発明の実施の形態2における監視装置のブロック図である。図13では、通知部8が追加されている。
検出部7で検出された結果を、通知部8は通知する。例えば、監視装置1を運用する運用者や回転機器100の管理者に、通知部8は、検出結果を通知する。上述の通り、回転機器100の不具合の予兆は、回転機器100のメンテナンスや修理の計画に必要となる。これらの計画や実施を行う運用者や管理者にとっては、この検出結果が重要である。
通知部8は、種々の手段で、検出結果を通知する。例えば、音声、データ、電子メール、インターネット経由の通知、など、様々な手段で検出結果を通知する。これらの通知によって、運用者や管理者は、検出結果を即座に把握でき、対応を早期に検討することができる。
(検出における状況判定)
検出部7は、実施の形態1で説明したように、回転機器100の不具合の予兆を検出する。1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルのような特定指標値と閾値の比較により、この検出を行う。
ここで、検出部7は、周波数軸とゲイン軸との関係で示される特定指標値と閾値の比較において、閾値を超えている周波数によって、回転機器100の不具合の内容を判定することも好適である。
例えば、高周波帯域でのレベルが閾値を超えている場合には、回転機器100のある部分に不具合があると判定し、低周波帯域でのレベルが閾値を超えている場合には、回転機器100の別の部分に不具合があると判定する。
これらの判定によって、監視装置1は、回転機器100に不具合があることだけでなく、どのような不具合があるかも含めて検出して通知できる。この通知を受けた運用者や管理者は、回転機器100の状況をより詳細に把握できる。
以上のように、実施の形態2における監視装置1は、よりプラスメリットを生じさせることができる。
なお、実施の形態1〜2で説明された回転機器の監視装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
1 監視装置
3 収集部
4 サーバー
5 生成部
6 閾値算出部
7 検出部
8 通知部

Claims (11)

  1. 回転機器の音を収集する収集部と、
    前記音に基づいて、特定指標値に生成する生成部と、
    前記特定指標値に基づいて、閾値を算出する閾値算出部と、
    前記特定指標値と前記閾値に基づいて、前記回転機器の不具合の予兆を検出する検出部と、を備え、
    前記生成部は、前記音を、周波数軸とゲイン軸との関係に変換することで、前記特定指標値を生成し、
    前記特定指標値は、離散した複数の特定周波数におけるゲインを基礎とする第1変換値を含み、
    前記第1変換値は、1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルの定義で生成され、
    前記特定指標値は、前記音を周波数スペクトルレベルに変換して得られる第2 変換値を含み、
    前記生成部は、前記特定指標値を生成する前に、前記収集部で収集された音の感度補正を行い、
    前記収集部は、前記回転機器の前記音に加えて、前記回転機器からの振動数を合わせて収集し、
    前記振動数を、周波数軸とゲイン軸との関係に変換することで、前記特定指標値とは別の第2特定指標値を生成し、前記特定指標値と前記第2特定指標値のそれぞれについて、前記検出部が前記閾値および前記閾値とは別の第2閾値のそれぞれとの比較によって、前記検出部が前記回転機器の不具合を検出する、回転機器の監視装置。
  2. 前記1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルは、
    前記音のゲインに、1/3オクターブバンドフィルタ特性を乗算する乗算処理、乗算部の結果の二乗平均を算出する算出処理と、
    前記二乗平均の単位系を変換する変換処理と、の演算により生成される、請求項記載の回転機器の監視装置。
  3. 前記特定周波数は、前記1/3オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルで使用される中心周波数と同等であって、前記回転機器の不具合の予兆を把握することに適した周波数と同等である、請求項または記載の回転機器の監視装置。
  4. 前記変換値は、1/1オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルもしくは1/12オクターブバンド中心周波数における等価騒音レベルの定義で生成される、請求項記載の回転機器の監視装置。
  5. 前記閾値算出部は、所定期間における前記特定指標値の積算値もしくは平均値を、前記閾値として算出する、請求項1からのいずれか記載の回転機器の監視装置。
  6. 前記所定期間は、前記検出部が検出するのに用いる前記特定指標値の基礎となる前記音が収集されるタイミングから一定時間前の期間である、請求項記載の回転機器の監視装置。
  7. 前記所定期間は、予め定められたタイミングに基づく期間である、請求項記載の回転機器の監視装置。
  8. 前記検出部は、前記特定指標値と前記閾値の比較に基づいて、複数の段階で、前記不具合の予兆を検出する、請求項1からのいずれか記載の回転機器の監視装置。
  9. 前記複数の段階は、注意、警告の段階を含む、請求項記載の回転機器の監視装置。
  10. 前記検出部が検出した結果を通知する通知部を更に備える、請求項1からのいずれか記載の回転機器の監視装置。
  11. 前記回転機器は、冷凍機、熱交換器、ポンプ、モーター、コンプレッサーの少なくとも一つであり、独立して動作する場合もしくは他の機器に組み込まれて動作する場合とを有する、請求項1から10のいずれか記載の回転機器の監視装置。
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