JP2018159263A - アスファルト舗装材梱包体及びアスファルト舗装補修方法 - Google Patents
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Abstract
Description
さらにポットホールは、視界の悪い雨天時に発生することが多くあり、このような場合は直ちに補修を行わないと車両事故を招く危険がある。損傷原因又は損傷程度により、その補修方法は異なり、著しく損傷している箇所では、舗装表面を切削し、新たに加熱アスファルト舗装を舗設する。一方、損傷程度が小さく、緊急補修を要している場合は、雨天時にも関わらず、ポットホール補修用混合物を補修対象箇所に敷きならし、転圧する。
そこで、本発明は、水溶性の高い梱包体に袋詰した常温アスファルト舗装材を補修対象箇所に設置し、包装部材が溶解消失することで、常温アスファルト舗装材に含まれる溶剤が揮発し、常温アスファルト舗装材が硬化することにより、補修後にアスファルト舗装内に包装部材等の不純物が残存しないアスファルト舗装材梱包体及びアスファルト舗装補修方法を提供する。
[1]水溶性を有するポリビニルアルコール樹脂製の包装部材と、前記包装部材に内包された常温アスファルト舗装材とを備えるアスファルト舗装材梱包体。
[2]前記包装部材は、20℃の水100gに対して1g以上溶解する[1]に記載のアスファルト舗装材梱包体。
[3]前記包装部材は、水と接触することで完全に溶解する[1]又は[2]に記載のアスファルト舗装材梱包体。
[4]前記包装部材は10gを2℃の水100gに溶かした時、24時間以内に完全溶解する[1]〜[3]のいずれかに記載のアスファルト舗装材梱包体。
[5]前記包装部材の膜厚の平均厚さは、30μm以上1200μm以下である[1]〜[4]のいずれかに記載のアスファルト舗装材梱包体。
[6]前記包装部材の外周にフィラーがまぶされている[1]〜[5]のいずれかに記載のアスファルト舗装材梱包体。
[7]前記包装部材に対する前記常温アスファルト舗装材の充填率は、40%以上97%以下である[1]〜[6]のいずれかに記載のアスファルト舗装材梱包体。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載のアスファルト舗装材梱包体を、アスファルト舗装に存在する補修対象箇所に設置する工程と、前記アスファルト舗装材梱包体の包装部材が溶解消失することで、前記包装部材に内包される常温アスファルト舗装材に含まれる溶剤が揮発し、前記常温アスファルト舗装材が硬化する工程とを含むアスファルト舗装補修方法。
本発明の実施の形態に係るアスファルト舗装材梱包体1は、図1に示すように、水溶性を有するポリビニルアルコール樹脂製の包装部材10と、包装部材10に内包された常温アスファルト舗装材20とを備える。
アスファルト舗装材梱包体1は、図2に示すように、袋状の包装部材10の開口部11から常温アスファルト舗装材20を投入し、開口部11を封止することで作製される。
包装部材10として用いられるポリビニルアルコール樹脂は、温度20℃、相対湿度65%RH環境下で、引張強度が20〜40MPaであることが好ましく、23〜35MPaであることがより好ましく、26〜30MPaであることがさらに好ましい。また、包装部材10として用いられるポリビニルアルコール樹脂は、温度20℃、相対湿度65%RH環境下で、引張伸度が90〜240%であることが好ましく、120〜225%であることがより好ましく、150〜190%であることがさらに好ましい。包装部材10として用いられるポリビニルアルコール樹脂は、上記範囲であることによって、常温アスファルト舗装材20を梱包しても破れることがなく、密封することができる。
また、包装部材10として用いられるポリビニルアルコール樹脂は、20℃の水100gに対して1g以上溶解することが好ましく、3g以上溶解することがより好ましく、5g以上溶解することがさらに好ましい。包装部材10として用いられるポリビニルアルコール樹脂が上記下限値を満たすことによって、ポットホール等の補修に利用した後に、包装部材10は、雨等による水分によって完全に溶解消失する。補修に利用した後に包装部材10が溶解消失することで、アスファルト舗装内に不純物が残存することがなく、アスファルト舗装の耐久性を維持した補修を行うことができる。
以上のことから、包装部材10の膜厚の平均厚さは、30μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましい。ここで、「平均厚さ」とは、包装部材10の異なる10箇所の厚さを測定し、測定した10箇所の平均値をいう。包装部材10の厚さが上記規定の下限値以上であることによって、常温アスファルト舗装材20を内包し得る耐久性が得られる。
しかし、包装部材10の膜厚を厚くしすぎてしまうと、水に溶けるまでに時間を要してしまい、溶けきれずに包装部材10がアスファルト舗装内に残存してしまうことがある。そこで、包装部材10の膜厚の平均厚さの上限値は、1200μm以下であることが好ましく、900μm以下であることがより好ましく、600μm以下であることがさらに好ましい。包装部材10の厚さが上記規定の上限値以下であることによって、水と接触することで溶解し、アスファルト舗装内に残存物が残らない。
包装部材10の外周にまぶすフィラーの量は、アスファルト舗装材梱包体1の全質量に対して10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
なお、ここでの充填率とは、包装部材10の容積に対する包装部材10に内包する常温アスファルト舗装材20の体積をいう。
包装部材10の形状は、特に制限はなく、直方体、立方体及び楕円体等の種々の形状を採用することができる。
常温アスファルト舗装材20は、粗骨材(砕石)と細骨材(砂)とを混合した骨材、又は細骨材のみからなる骨材とアスファルトとカットバックオイルを混合したものである。カットバックオイルは、揮発性の高いオイルにより常温でもアスファルトに流動性を持たせるものである。したがって、常温でアスファルト舗装の施工が可能である。使用するアスファルトとしては、舗装用石油アスファルトであるストレートアスファルトを主成分とするもの、或いは、該ストレートアスファルトに、スチレン・ブタジエン・ブロック共重合体(SBS)、スチレン・イソプレン・ブロック共重合体(SIS)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)などの熱可塑性エラストマーを添加して改質した、改質アスファルトであってもよい。また、既設のアスファルト舗装に含まれる舗装用バインダ及び骨材から再生された再生アスファルトであってもよい。
常温アスファルト舗装材20として用いる各種混合物における最大粒径は、様々なポットホールの形状に追従し、既設路面との密着性を得ることができるという観点から、20mm以下であることが好ましく、13mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることがさらに好ましい。
例えば、高速道路等の車両速度が速く、緊急性が高い箇所の補修に使用する場合には、様々な形状のポットホールに瞬時に追従する柔軟性を有し、既設路面と接着した後に耐久性を有する、つまり柔軟性と耐久性を両立するアスファルト舗装材梱包体1が用いられることが好ましい。このように、緊急性が高い箇所の補修に使用するアスファルト舗装材梱包体1に採用する常温アスファルト舗装材20としては、柔軟性と耐久性を両立する観点から、硬化後の硬度を示す荷重(抵抗値)が30ポンド(LB)以上55ポンド(LB)以下であることが好ましく、35ポンド(LB)以上53ポンド(LB)以下であることがより好ましく、38ポンド(LB)以上50ポンド(LB)以下であることがさらに好ましい。
また、例えば、交通量及び車両速度が比較的穏やかであって、緊急性が低い箇所の補修に使用する場合には、ポットホールをしっかり埋めることができ、骨材飛散もなく、既設路面と確実に接着する耐久性を重視したアスファルト舗装材梱包体1が用いられることが好ましい。このように、緊急性が低い箇所の補修に使用するアスファルト舗装材梱包体1に採用する常温アスファルト舗装材20としては、耐久性を重視する観点から、硬化後の硬度を示す荷重(抵抗値)が56ポンド(LB)以上であることが好ましく、60ポンド(LB)以上であることがより好ましく、65ポンド(LB)以上であることがさらに好ましい。
常温アスファルト舗装材20の硬化後の硬度は、アスファルト混合物を製造する温度の調整、バインダ等の添加量の調整などにより制御することができる。
なお、荷重(抵抗値)は、「屋外体育施設の建設指針 各種スポーツ施設の設計・施工」(公益社団法人、日本体育施設協会、屋外体育施設部会発行、平成29年改訂版)に記載のプロクターニードル試験(貫入抵抗試験)に基づいて測定することで得られる。
添加剤としてのカットバックオイルが揮発することでアスファルトは次第に硬化していく。したがって、常温アスファルト舗装材20を使用前に保管する際は、カットバックオイルが揮発しないよう、密封するのが好ましい。
本発明の実施の形態に係るアスファルト舗装補修方法は、上述したアスファルト舗装材梱包体1を、アスファルト舗装に存在する補修対象箇所に設置する工程と、アスファルト舗装材梱包体1の包装部材10が溶解消失することで、包装部材10に内包される常温アスファルト舗装材20に含まれる溶剤が揮発し、常温アスファルト舗装材20が硬化する工程とを含む。
以下に、アスファルト舗装補修方法を、図3を参照しながら説明する。
舗装表面に補修対象箇所40が生じた場合、まず、図3(b)に示すように、アスファルト舗装材梱包体1を、アスファルト混合物31に存在する補修対象箇所40に設置する。アスファルト舗装材梱包体1は、小分けされているため、補修対象箇所40のさまざまな形状に対応できる。
そして、図3(c)に示すように、補修対象箇所40に設置されたアスファルト舗装材梱包体1の包装部材10は、雨水等により溶解消失する。包装部材10が溶解消失したことにより、アスファルト舗装材梱包体1に内包される常温アスファルト舗装材20に含まれるカットバックオイルが揮発し、常温アスファルト舗装材20の硬化が促進される。
さらに、アスファルト舗装材梱包体の包装部材が雨等の水分によって完全に溶解消失するので、アスファルト舗装内に不純物が残存することがない。そのため、アスファルト舗装の耐久性を維持した補修を行うことができ、補修後にアスファルト舗装内に残存した不純物を取り除く手間が省ける。
各実施例及び比較例において、以下の方法により各評価を行なった。水溶性評価、溶解速度評価及び水と接触した後の状態の評価では、包装部材を縦5cm×横5cmに切り出したものをサンプルとした。
包装部材10は補修箇所において雨水などの水と接触することによって溶解し、内包された常温アスファルト舗装材20が露出することが好ましい。そこで、20℃の水100mlが入ったビーカーにサンプルを投入し、水100mlに溶けたサンプルの量を以下の基準で評価した。評価結果を表1に示す。
○:1g以上
×:1g未満
包装部材10は雨水などの水と接触することによって早急かつ完全に溶解消失することが好ましい。さらに冬の高速道路は夜になると、気温が著しく低下するため、雨水や水が非常に低温であることが想定される。そこで、2℃の水100ml入ったビーカーにサンプルを10g投入し、マグネットスターラーにて撹拌を行った後のサンプルの状態を以下の基準で評価した。評価結果を表1に示す。
○:1時間以内の撹拌で完全に溶解した場合
△:溶解するが1〜24時間の撹拌を要した場合
×:24時間以上撹拌しても溶解しなかった場合
水溶性評価を行ったサンプルに対して、水と接触した後の状態を目視にて確認した。評価結果を表1に示す。
ポリビニルアルコール樹脂「ハイセロン C型−200(商品名)」(日本合成化学工業株式会社製)で包装部材を作製した。当該包装部材を縦5cm×横5cm×膜厚30μmで切り出したものを実施例1におけるサンプルとした。当該サンプルに対して上述の評価を行った。評価結果を表1に示す。
ポリビニルアルコール樹脂「ハイセロン C型−200(商品名)」(日本合成化学工業株式会社製)で包装部材を作製した。当該包装部材を縦5cm×横5cm×膜厚40μmで切り出したものを実施例2におけるサンプルとした。当該サンプルに対して上述の評価を行った。評価結果を表1に示す。
ポリビニルアルコール樹脂「ハイセロン C型−200(商品名)」(日本合成化学工業株式会社製)で包装部材を作製した。当該包装部材を縦5cm×横5cm×膜厚600μmで切り出したものを実施例3におけるサンプルとした。当該サンプルに対して上述の評価を行った。評価結果を表1に示す。
ポリビニルアルコール樹脂「ハイセロン C型−200(商品名)」(日本合成化学工業株式会社製)で包装部材を作製した。当該包装部材を縦5cm×横5cm×膜厚900μmで切り出したものを実施例4におけるサンプルとした。当該サンプルに対して上述の評価を行った。評価結果を表1に示す。
ポリビニルアルコール樹脂「ハイセロン C型−200(商品名)」(日本合成化学工業株式会社製)で包装部材を作製した。当該包装部材を縦5cm×横5cm×膜厚1200μmで切り出したものを実施例5におけるサンプルとした。当該サンプルに対して上述の評価を行った。評価結果を表1に示す。
オブラート「国光オブラート」(国光オブラート株式会社製)で包装部材を作製した。当該包装部材を縦5cm×横5cm×膜厚40μmで切り出したものを比較例1におけるサンプルとした。当該サンプルに対して上述の評価を行った。評価結果を表1に示す。
ポリエチレン「クレラップ」(株式会社クレハ製)で包装部材を作製した。当該包装部材を縦5cm×横5cm×膜厚40μmで切り出したものを比較例2におけるサンプルとした。当該サンプルに対して上述の評価を行った。評価結果を表1に示す。
紙製の袋(市販の紙袋)を包装部材とした。当該包装部材を縦5cm×横5cm×膜厚50μmで切り出したものを比較例3におけるサンプルとした。当該サンプルに対して上述の評価を行った。評価結果を表1に示す。
不織布の袋を包装部材とした。当該包装部材を縦5cm×横5cm×膜厚50μmで切り出したものを比較例4におけるサンプルとした。当該サンプルに対して上述の評価を行った。評価結果を表1に示す。
各実施例及び比較例において、以下の方法により各評価を行なった。
包装部材10は、骨材及びアスファルトから成る常温アスファルト舗装材を密封し、運搬されるため、常温アスファルト舗装材20を充填しても破損しない程度の耐久性を有することが好ましい。さらに包装部材10は、雨が入り込まない程度の倉庫等で保管されることが想定される。したがって、一年を通して気温及び湿度に関係なく安定的に保管可能であることが好ましい。包装部材10を25cm×20cmの袋状にし、常温アスファルト舗装材20を2kg充填してアスファルト舗装材梱包体1を作製した。温度60℃、相対湿度90%RHの条件下にさらし、24時間養生した後、10回揉むごとに包装部材10の破損状況を観察した。評価結果を表2に示す。
○:100回以上揉んでも破損が見られない
△:10〜100回の間に破損が見られた
×:10回未満で破損が見られた
包装部材10を25cm×20cmの袋状にし、常温アスファルト舗装材20として「コールドパーミックス」(東亜道路工業株式会社製)を2kg充填してアスファルト舗装材梱包体1をそれぞれ10個ずつ作製した。包装部材10の外周にフィラーとしての石粉を、まぶさないもの(0%)、アスファルト舗装材梱包体1の質量に対して5%又は15%まぶして、10段平積みにし、温度60℃、相対湿度90%RHの条件下で、24時間保管した。その後、包装部材が湿度により溶解し、包装部材同士が接着しているものがあるかどうか確認した。さらに、水に濡れた軍手を装着し、片手でアスファルト舗装材梱包体1を1つずつ持ち上げて、10m離れた場所に積みなおし、運搬作業性を観察した。アスファルト舗装材梱包体1同士の耐接着性および運搬作業性の評価結果を表2に示す。
《耐接着性》
○:アスファルト舗装材梱包体1を持ち上げた際に1つずつ持ち上げられた
△:アスファルト舗装材梱包体1を持ち上げた際にベタつきがあった
×:アスファルト舗装材梱包体1を持ち上げた際に他方のアスファルト包装材梱包材1に引っ張られて包装部材10が破れてしまった、あるいは包装部材10が溶解して破れてしまった
《運搬作業性》
○:水に濡れた軍手を装着し、片手で10m離れた場所で積みなおすことができた
△:水に濡れた軍手を装着し、片手で10m離れた場所で積みなおすことができたが、アスファルト舗装材梱包体1の表面に手形が残った
×:水に濡れた軍手を装着し、片手で持ち上げる際又は運搬中に、包装部材10が溶解して破れてしまった
包装部材10として膜厚30μmのポリビニルアルコール樹脂「ハイセロン C型−200(商品名)」(日本合成化学工業株式会社製)を採用し、アスファルト舗装材梱包体1を作製した。当該アスファルト舗装材梱包体1に対して上述の評価を行った。評価結果を表2に示す。
包装部材10として膜厚40μmのポリビニルアルコール樹脂「ハイセロン C型−200(商品名)」(日本合成化学工業株式会社製)を採用し、アスファルト舗装材梱包体1を作製した。当該アスファルト舗装材梱包体1に対して上述の評価を行った。評価結果を表2に示す。
包装部材10として膜厚600μmのポリビニルアルコール樹脂「ハイセロン C型−200(商品名)」(日本合成化学工業株式会社製)を採用し、アスファルト舗装材梱包体1を作製した。当該アスファルト舗装材梱包体1に対して上述の評価を行った。評価結果を表2に示す。
包装部材10として膜厚900μmのポリビニルアルコール樹脂「ハイセロン C型−200(商品名)」(日本合成化学工業株式会社製)を採用し、アスファルト舗装材梱包体1を作製した。当該アスファルト舗装材梱包体1に対して上述の評価を行った。評価結果を表2に示す。
包装部材10として膜厚1200μmのポリビニルアルコール樹脂「ハイセロン C型−200(商品名)」(日本合成化学工業株式会社製)を採用し、アスファルト舗装材梱包体1を作製した。当該アスファルト舗装材梱包体1に対して上述の評価を行った。評価結果を表2に示す。
包装部材10として膜厚40μmのオブラート「国光オブラート」(国光オブラート株式会社製)を採用し、アスファルト舗装材梱包体1を作製した。当該アスファルト舗装材梱包体1に対して上述の評価を行った。評価結果を表2に示す。
包装部材10として膜厚40μmのポリエチレン「クレラップ」(株式会社クレハ製)を採用し、アスファルト舗装材梱包体1を作製した。当該アスファルト舗装材梱包体1に対して上述の評価を行った。評価結果を表2に示す。
包装部材10として膜厚50μmの紙製の袋(市販の紙袋)を採用し、アスファルト舗装材梱包体1を作製した。当該アスファルト舗装材梱包体1に対して上述の評価を行った。評価結果を表2に示す。
包装部材10として膜厚50μmの不織布の袋を採用し、アスファルト舗装材梱包体1を作製した。当該アスファルト舗装材梱包体1に対して上述の評価を行った。評価結果を表2に示す。
実施例6〜10及び比較例5〜8のそれぞれの包装部材に、常温アスファルト舗装材として「コールドパーミックス」(東亜道路工業株式会社製)2kgを投入し、アスファルト舗装材梱包体1を作製した。
作製したアスファルト舗装材梱包体を、温度60℃、湿度90%RH環境下で24時間貯蔵した後、アスファルト舗装に存在する補修対象箇所(最大径10cm、最大深さ5cm)に設置した。その後、1L散水し、補修したアスファルト舗装を評価した。
比較例5の包装部材は高湿度環境下に貯蔵したことで硬化し、骨材と接触して破損してしまった。また、実施例6の包装部材についても膜厚が薄いため、骨材と接触して破損してしまった。ポットホール設置前に包装部材が破損することにより、内包の常温アスファルト舗装材の骨材が飛散してしまい、補修対象箇所は平坦に補修されなかった
実施例7〜10の包装部材は骨材による破損は見られず、アスファルト舗装材梱包体を用いた補修箇所は、不純物の残存がなく、また、包装部材によって骨材が拘束されていたため、骨材飛散が見られず、補修対象箇所はアスファルト舗装材が硬化して平坦に補修されていた。
実施例9及び実施例10の包装部材は散水により水溶するものの、溶解しきれずに不純物として残存した。このアスファルト舗装材梱包体はアスファルト舗装との接着不良により、剥がれてしまった。
比較例6〜8のアスファルト舗装材梱包体を用いた補修箇所は平坦であったが、内包された常温アスファルト舗装補修材が露出することなく、補修箇所に包装部材が残存し、アスファルト舗装との接着不良により、剥がれてしまった。
実施例6及び7はフィラーをまぶさないと、水に濡れた軍手によって包装部材10が溶解してしまい破れてしまったが、フィラーをまぶすことによって、1つずつ持ち上げることができた。実施例8はフィラーをまぶさないと、水に濡れた軍手によって積み上げられたアスファルト舗装材梱包体1の層の間に水が浸入し、アスファルト舗装材梱包体1界面が接着して、上部を持ち上げた際に下部の重さで上部の包装部材10が破れてしまったが、フィラーをまぶすことによって、1つずつ持ち上げることができた。実施例9及び10は、フィラーをまぶさないと、水に濡れた軍手によって積み上げられたアスファルト舗装材梱包体1の層の間に水が浸入したが、膜厚が厚いため、べたつきはしたが、1つずつ持ち上げることができ、フィラーをまぶすと、べたつきもなく1つずつ持ち上げることができた。
実施例6及び7はフィラーをまぶさないと、水に濡れた軍手で持ち上げた際に包装部材10が溶解してしまい破れてしまった。実施例6及び7の包装部材10の表面にフィラーをまぶすことによって、所定の場所まで運搬することができた。実施例8はフィラーをまぶさないと、水に濡れた軍手で持ち挙げた際に積み上げられたアスファルト舗装材梱包体1の層の間に水が浸入し、アスファルト舗装材梱包体1界面が接着して、上部を持ち上げた際に下部の重さで上部の包装部材10が破れてしまった。実施例8の包装部材10の表面にフィラーをまぶすことによって、所定の場所まで運搬することができた。実施例9はフィラーをまぶさないと、水に濡れた軍手によって包装部材10が徐々に溶解していき、持ち上げることはできたが、運搬中に包装部材10が破れてしまった。実施例9の包装部材10の表面にフィラーをまぶすことによって、所定の場所まで運搬することができた。実施例10はフィラーをまぶさない状態でも、所定の場所まで運搬することが出来たが、包装部材10の表面が水に濡れた軍手によって一部溶解してしまい、手形がついてしまった。しかし、実施例10の包装部材10の表面にフィラーをまぶすことで、手形もなく所定の場所まで運搬することができた。
各実施例において、以下の方法により各評価を行なった。
常温アスファルト舗装材20の硬化後の硬度を評価するために、「屋外体育施設の建設指針 各種スポーツ施設の設計・施工」(公益社団法人、日本体育施設協会、屋外体育施設部会発行、平成29年改訂版)に記載のプロクターニードル試験(貫入抵抗試験)を行った。
試験手順としては、まず、常温アスファルト舗装材500gを直径101.16mm、高さ88.9mmのモールドに入れ、両面を各25回突き固めた。次いで、直ちにモールドから常温アスファルト舗装材を脱型した。その後、養生せずに直径6.5mmの一定の太さの金属棒(プロクターニードル)を毎秒1/2インチの速度で、1インチまで押し込み、常温アスファルト舗装材がくずれるかを目視にて確認し、以下のように分類した。評価結果を表3に示す。
《耐久性・柔軟性評価》
A:崩れなかった(耐久性が高い)
B:一部崩れた(耐久性と柔軟性の両立)
C:全部崩れた(柔軟性が高い)
《抵抗値》
各実施例における常温アスファルト舗装材の荷重(抵抗値)を測定した。荷重はポンド(LB)で示した。評価結果を表3に示す。
包装部材10として膜厚40μmのポリビニルアルコール樹脂「ハイセロン C型−200タイプ(商品名)」(日本合成化学工業株式会社製)を採用し、常温アスファルト舗装材20として「コールドパーミックス」(東亜道路工業株式会社製)採用し、実施例11のアスファルト舗装材梱包体1を作製した。当該アスファルト舗装材梱包体1に対して上述の評価を行った。評価結果を表3に示す。
常温アスファルト舗装材20として「コールドパーミックス」(東亜道路工業株式会社製)に、コールドパーミックスに用いているバインダを増量させ、粘度を調整したものに変更した以外は、実施例11と同様にして、実施例12のアスファルト舗装材梱包体1を作製した。当該アスファルト舗装材梱包体1に対して上述の評価を行った。評価結果を表3に示す。
常温アスファルト舗装材20として「ハイメンテ」(東亜道路工業株式会社製)に変更した以外は、実施例11と同様にして、実施例12のアスファルト舗装材梱包体1を作製した。当該アスファルト舗装材梱包体1に対して上述の評価を行った。評価結果を表3に示す。
緊急性が高い箇所に用いる場合では、瞬時にポットホールの形状に追従する常温アスファルト舗装材が求められるため、実施例12のように耐久性と柔軟性を両立したものが望ましいと考えられる。また、緊急性が低い箇所に用いる場合では、耐久性を有する常温アスファルト舗装材が求められるため、実施例11のように崩れにくいものが望ましいと考えられる。
各実施例及び比較例において、以下の方法により各評価を行なった。
包装部材10中に封入された常温アスファルト舗装材20は、塊を形成すること無く、分散した状態であることが好ましい。そこで、アスファルト舗装材梱包体1の中に充填されている常温アスファルト舗装材20の分散状態を評価する試験を行った。
試験手順としては、まず、常温アスファルト舗装材20を13cm×20cmの袋状の包装部材10に入れて密封した。そして、包装部材10の中に充填されている常温アスファルト舗装材20の充填率を算出した。次いで、アスファルト舗装材梱包体1を全体的に10回揉みほぐした後に、常温アスファルト舗装材20の塊があるか、また、包装部材10の中で均一に分散しているかを以下の基準で評価した。評価結果を表4に示す。
○:常温アスファルト舗装材の塊がなく、包装部材中に均一に分散している
△:常温アスファルト舗装材の塊はないが、包装部材中に偏りがある
×:常温アスファルト舗装材の硬い塊が発生している
包装部材10として、13cm×20cmの袋状のポリビニルアルコール樹脂「ハイセロン C型−200タイプ(商品名)」(日本合成化学工業株式会社製)を用意した。また、常温アスファルト舗装材20として「コールドパーミックス」(東亜道路工業株式会社製)に、コールドパーミックスに用いているバインダを増量させ、粘度を調整したものを用意した。
次に、包装部材10に常温アスファルト舗装材20を100g入れて密封し、実施例14のアスファルト舗装材梱包体1を作製した。実施例14のアスファルト舗装材梱包体1では、包装部材10に対する常温アスファルト舗装材20の充填率は、30%であった。
作製したアスファルト舗装材梱包体1に対して上述の評価を行った。評価結果を表4に示す。
包装部材10に入れる常温アスファルト舗装材20を300gに変更した以外は、実施例14と同様として、実施例15のアスファルト舗装材梱包体1を作製した。実施例15のアスファルト舗装材梱包体1では、包装部材10に対する常温アスファルト舗装材20の充填率は、50%であった。
作製したアスファルト舗装材梱包体1に対して上述の評価を行った。評価結果を表4に示す。
包装部材10に入れる常温アスファルト舗装材20を500gに変更した以外は、実施例14と同様として、実施例16のアスファルト舗装材梱包体1を作製した。実施例16のアスファルト舗装材梱包体1では、包装部材10に対する常温アスファルト舗装材20の充填率は、80%であった。
作製したアスファルト舗装材梱包体1に対して上述の評価を行った。評価結果を表4に示す。
包装部材10に入れる常温アスファルト舗装材20を600gに変更した以外は、実施例14と同様として、実施例17のアスファルト舗装材梱包体1を作製した。実施例17のアスファルト舗装材梱包体1では、包装部材10に対する常温アスファルト舗装材20の充填率は、90%であった。
作製したアスファルト舗装材梱包体1に対して上述の評価を行った。評価結果を表4に示す。
包装部材10に入れる常温アスファルト舗装材20を700gに変更した以外は、実施例14と同様として、比較例7のアスファルト舗装材梱包体1を作製した。比較例7のアスファルト舗装材梱包体1では、包装部材10に対する常温アスファルト舗装材20の充填率は、100%であった。
作製したアスファルト舗装材梱包体1に対して上述の評価を行った。評価結果を表4に示す。
一方、参考例1のアスファルト舗装材梱包体1は、充填率が高すぎるため、常温アスファルト舗装材20が包装部材10の中で圧密され、大きく硬い塊が生じていた。比較例7のアスファルト舗装材梱包体1をポットホールの補修に利用したところ、塊がポットホールの形状に追従せず、平坦性を確保できず、補修路面に凹凸が発生した。凹凸が発生すると、走行車両のタイヤの巻上げ等により、補修路面が破損してしまう可能性がある。
10:包装部材
11:開口部
20:常温アスファルト舗装材
30:アスファルト混合物あるいは路盤
31:アスファルト混合物
40:補修対象箇所
Claims (8)
- 水溶性を有するポリビニルアルコール樹脂製の包装部材と、
前記包装部材に内包された常温アスファルト舗装材とを備えるアスファルト舗装材梱包体。 - 前記包装部材は、20℃の水100gに対して1g以上溶解する請求項1に記載のアスファルト舗装材梱包体。
- 前記包装部材は、水と接触することで完全に溶解する請求項1又は2に記載のアスファルト舗装材梱包体。
- 前記包装部材は10gを2℃の水100gに溶かした時、24時間以内に完全溶解する請求項1〜3のいずれか1項に記載のアスファルト舗装材梱包体。
- 前記包装部材の膜厚の平均厚さは、30μm以上1200μm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のアスファルト舗装材梱包体。
- 前記包装部材の外周にフィラーがまぶされている請求項1〜5のいずれか1項に記載のアスファルト舗装材梱包体。
- 前記包装部材に対する前記常温アスファルト舗装材の充填率は、40%以上97%以下である請求項1〜6のいずれか1項に記載のアスファルト舗装材梱包体。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のアスファルト舗装材梱包体を、アスファルト舗装に存在する補修対象箇所に設置する工程と、前記アスファルト舗装材梱包体の包装部材が溶解消失することで、前記包装部材に内包される常温アスファルト舗装材に含まれる溶剤が揮発し、前記常温アスファルト舗装材が硬化する工程とを含むアスファルト舗装補修方法。
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