JP2018158552A - インクジェット式記録ヘッド - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な吐出圧力でインク滴を良好に吐出させることができるインクジェット式記録ヘッドを提供する。【解決手段】インクジェット式記録ヘッドは、第1基板と、第1基板の第1面に積層されたノズルプレートと、第1基板の第2面に積層されたダイアフラムと、ダイアフラムの背面に積層された第2基板と、を有する。第1基板は、第1基板を貫通して第1の方向に延設された複数のインク圧力室を有する。ダイアフラムは、各インク圧力室の一端に連通した個別インク供給孔、および各インク圧力室の他端に連通した個別インク排出孔を有する。第2基板は、アクチュエータを覆う凹所を有し、ダイアフラムの各個別インク供給孔を介して各インク圧力室の一端に連通した複数の個別インク供給路、およびダイアフラムの各個別インク排出孔を介して各インク圧力室の他端に連通した複数の個別インク排出路を有する。【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、ノズルに連通したインク圧力室にインクを循環させるタイプのインクジェット式記録ヘッドに関する。
インクジェット式記録ヘッドは、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通するインク圧力室と、このインク圧力室内のインクを加圧するアクチュエータと、を備える。このヘッドは、アクチュエータを駆動することでインク圧力室内のインクを加圧してノズルからインク滴を吐出させる。
アクチュエータとして、例えば、圧電素子を用いてインク圧力室の壁面(振動板)を変形変位させることでインク滴を吐出させる圧電型のものが知られている。圧電型のアクチュエータは、圧電素子がインクに直接接触せず、圧電素子の発熱による熱の影響も無視できるため、使用するインクの種類に制約がないという利点がある。よって、半導体プロセス技術を上記圧電型に適用した、いわゆる圧電MEMS型のインクジェット式記録ヘッドが注目されている。
特開2016−187892号公報
インク圧力室内のインクを加圧してノズルからインク滴を吐出させる場合、十分な吐出圧力を得るために、インク圧力室内のインクの圧力を維持する必要がある。このため、通常、インク圧力室とインク供給路の間に狭隘部(オリフィス)や段差部を設けてインク圧力室内にインクを閉じ込めるようにしている。
一方、インク吐出動作中にインク圧力室内で気泡が発生すると、インク滴を吐出させるための圧力が気泡に吸収されて吐出不良を生じる。このため、インク圧力室にインクを循環させて気泡を除去するようにしたヘッドが知られている。
しかし、インクの供給経路にオリフィスや段差部を設けると、流路抵抗が大きくなってインクが流れ難くなり、気泡の除去が不十分となる。
よって、十分な吐出圧力でインク滴を良好に吐出させることができるインクジェット式記録ヘッドの開発が望まれている。
実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドは、第1面およびこの第1面と平行な第2面を有するとともに、第1面と平行な第1の方向にそれぞれ配列され且つ第1面と第2面を連絡した複数のインク圧力室を有する第1基板と、複数のインク圧力室の第1面側を塞ぐように第1基板の第1面に積層され、各インク圧力室に連通した複数のノズルを有するノズルプレートと、複数のインク圧力室の第2面側を塞ぐように第1基板の第2面に積層され、各インク圧力室の第1の方向の一端に連通した複数の個別インク供給孔を有し、且つ各インク圧力室の第1の方向の他端に連通した複数の個別インク排出孔を有するダイアフラムと、ダイアフラムの第1基板と反対の背面側に設けられ、各インク圧力室内のインクをそれぞれ加圧可能な複数のアクチュエータと、ダイアフラムの背面側に積層され、ダイアフラムに対向する対向面を有し、この対向面に複数のアクチュエータを非接触状態で覆う凹所を有し、ダイアフラムの各個別インク供給孔を介して各インク圧力室の一端に連通した複数の個別インク供給路を有し、且つダイアフラムの各個別インク排出孔を介して各インク圧力室の他端に連通した複数の個別インク排出路を有する第2基板と、を有する。
図1は、第1の実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドの要部を示す部分拡大図である。 図2は、図1のインクジェット式記録ヘッドの断面図である。 図3は、図1のインクジェット式記録ヘッドのダイアフラムを封止基板側から見た部分拡大背面図である。 図4は、図1のインクジェット式記録ヘッドの駆動基板をノズルプレート側から見た部分拡大平面図である。 図5は、図1のインクジェット式記録ヘッドを流路基板の背面側から見た平面図である。 図6は、インク圧力室の長さとインク滴の体積の関係をシミュレートするためのヘッドのモデルを示す概略断面図である。 図7は、図6のモデルを用いたシミュレーション結果を示すグラフである。 図8は、図1のインクジェット式記録ヘッドの製造方法を説明するための断面図である。 図9は、図1のインクジェット式記録ヘッドの製造方法を説明するための断面図である。 図10は、図1のインクジェット式記録ヘッドの製造方法を説明するための断面図である。 図11は、図1のインクジェット式記録ヘッドの製造方法を説明するための断面図である。 図12は、図1のインクジェット式記録ヘッドの製造方法を説明するための断面図である。 図13は、図1のインクジェット式記録ヘッドの製造方法を説明するための断面図である。 図14は、図1のインクジェット式記録ヘッドの変形例を示す部分拡大図である。 図15は、図14のインクジェット式記録ヘッドの変形例を示す部分拡大背面図である。
以下、図面を参照しながら実施形態について詳細に説明する。
実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドは、第1の方向に配列された複数のインク圧力室を有する第1基板と、第1基板の第1面に積層されたノズルプレートと、第1基板の第2面に積層されたダイアフラムと、各インク圧力室に対向してダイアフラムの背面に設けたアクチュエータと、アクチュエータを非接触状態で覆う凹所を有してダイアフラムの背面に積層された第2基板と、を有する。
第1基板は、第1基板を貫通して第1の方向に延設された複数のインク圧力室を有する。ノズルプレートは、各インク圧力室の第1の方向の中央付近、望ましくは中央に各インク圧力室に連通した複数のノズルを有する。ダイアフラムは、各インク圧力室の一端に連通した複数の個別インク供給孔、および各インク圧力室の他端に連通した複数の個別インク排出孔を有する。第2基板は、ダイアフラムの各個別インク供給孔を介して各インク圧力室の一端に連通した複数の個別インク供給路、およびダイアフラムの各個別インク排出孔を介して各インク圧力室の他端に連通した複数の個別インク排出路を有する。
実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、非常に簡単なプロセスにより製造することができ、非常に簡単な構造を有している。各インク圧力室の両端には、個別インク供給路および個別インク排出路を接続している。このため、インク圧力室を長くしなくても、個別インク供給路、インク圧力室、および個別インク排出路をつなげた個別インク流路を長くすることができ、インクの慣性抵抗を利用したインク圧力室内へのインクの閉じ込めが可能となる。つまり、本実施形態によると、ヘッドの構成をコンパクトにすることができ、各インク圧力室の両端にオリフィスなどを設けることなく、インク滴の吐出時における各インク圧力室内の十分な吐出圧力を確保することができる。
インクの慣性抵抗を利用して各インク圧力室内にインクを閉じ込めるためには、ノズルをインク圧力室の第1の方向の中央に設けた場合、当該ノズルからインク圧力室の端部までと個別インク供給路を足した流路の長さ、およびノズルからインク圧力室の反対側の端部までと個別インク排出路を足した流路の長さを、少なくとも250μm、望ましくは500μm以上にするとよい。
また、実施形態によると、個別インク供給路、インク圧力室、および個別インク排出路をつなげた個別インク流路にインクを循環させて、ノズル付近で不所望に発生した気泡をインク圧力室から排出させる。このとき、個別インク流路におけるインクの流路抵抗をできるだけ小さくすることが望ましく、個別インク供給路の流路断面積および個別インク排出路の流路断面積をインク圧力室の流路断面積と同等もしくはそれ以上にすることが望ましい。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るインクジェット式記録ヘッド100(以下、単に、ヘッド100と称する)の要部を示す部分拡大図であり、図2は、図1のヘッド100の断面を示す図である。図1では、構造を見易くするため、圧電素子40の配線構造および保護膜70の図示を省略してあり、図2では、圧電素子40の配線構造の図示を省略してある。また、図3は、図1のヘッド100のダイアフラム30を封止基板50側から見た部分的な背面図であり、図4は、図1のヘッド100の駆動基板10をノズルプレート20側から見た部分的な平面図である。図4では、各インク圧力室11に対するノズル21の位置を示すため、ここでは図示しないノズルプレート20のノズル21を破線で示してある。さらに、図5は、ヘッド100を流路基板60の背面60b側から見た平面図である。
本実施形態のヘッド100は、圧電MEMS型のインクジェット式記録ヘッドである。ヘッド100は、例えばSiにより形成した駆動基板10(第1基板)、例えばSiにより形成したノズルプレート20、例えばSi酸化膜により形成したダイアフラム30、ダイアフラム30の背面30aに設けた複数の圧電素子40(アクチュエータ)、例えばSiにより形成した封止基板50(第2基板)、および例えばポリイミドにより形成した流路基板60(第3基板)を有する。複数の圧電素子40を備えたダイアフラム30の駆動基板10から離間した側の背面30a上には保護膜70(図2)が設けられている。
駆動基板10は、その第1面10a(図2における図示下面)と第2面10b(図2における図示上面)を連絡して駆動基板10を貫通した複数の細長いインク圧力室11を有する。複数のインク圧力室11は、駆動基板10の第1面10aおよび第2面10bと平行な第1の方向(以下、長手方向とする場合もある)にそれぞれ延設された長孔であり、この第1の方向と直交し且つ第1面10aおよび第2面10bと平行な第2の方向(以下、並び方向とする場合もある)に一定のピッチで並べて設けられている。
インク圧力室11は、それぞれ、ダイアフラム30の背面30aに設けた圧電素子40に一対一で対向して設けられている。複数の圧電素子40は、図3および図5に示すように、第1の方向に延びた略長円形の外観を有し、複数列(図3では2列のみ図示)に並べて形成されている。各圧電素子40の配線のため、隣接する2列の圧電素子40は、並び方向に1/2ピッチずつ交互にずれてレイアウトされている。このため、駆動基板10に設けた複数のインク圧力室11も、図4に示すように、隣接する2列の間で並び方向に1/2ピッチずつ互いにずれて配置されている。
各列のインク圧力室11は、それぞれ長手方向の両端が並び方向に揃っている。各インク圧力室11の長手方向に沿った長さは、200μm〜600μm程度であり、各インク圧力室11の並び方向に沿った幅は50〜150μm程度であり、並び方向のピッチは、60〜200μm程度である。本実施形態では、インク圧力室11の断面形状を、圧電素子40より大きい略長円形にした。
駆動基板10は、例えば30〜500μmの厚みを有し、望ましくは50〜200μmの厚みを有する。駆動基板10の厚みは、並び方向に隣接するインク圧力室11間の隔壁に十分な剛性を持たせることができ、インク圧力室11の配列密度をできるだけ高くすることができる厚みであり、且つ各インク圧力室11の容積を適切な値にすることができる厚みに設計される。駆動基板10の厚みは、各インク圧力室11の深さに相当する。
ノズルプレート20は、接着剤15を介して駆動基板10の第1面10aに接触し、各インク圧力室11の第1面10a側の開口部を塞ぐように、駆動基板10の第1面10aに接着固定される。ノズルプレート20は、各インク圧力室11に連通した複数のノズル21を有する。ノズル21は、各インク圧力室11の長手方向に沿った中央付近、より望ましくは中央に設けられる。
各インク圧力室11に対応して設けた複数のノズル21は、ノズルプレート20を貫通して延びている。このため、ノズル21の長さは、ノズルプレート20の厚みに相当する。各インク圧力室11は、ノズル21を介してヘッド100の外部に連絡している。各ノズル21から対応するインク圧力室11の長手方向の両端までの距離は、それぞれ100μm〜300μm程度に設計されている。
ノズルプレート20は、例えば、厚さ10〜100μm程度のSiにより形成される。
ダイアフラム30は、駆動基板10の第2面10bに接触して、各インク圧力室11の第2面10b側の開口部を塞ぐように設けられている。ダイアフラム30は、各インク圧力室11の長手方向の一端に対向した複数の個別インク供給孔32、および各インク圧力室11の長手方向の他端に対向した複数の個別インク排出孔34を有する。複数の個別インク供給孔32および複数の個別インク排出孔34は、ダイアフラム30を貫通して設けられている。
ダイアフラム30は、例えば、熱酸化ないしはCVD法により作成した、厚さ1〜5μm程度のSi酸化膜(SiO)で形成される。Si酸化膜は、均等な変形が実現できるという観点から、非晶質であることが望ましい。また、安定した組成および特性を備える膜の製造が容易という観点からも、ダイアフラム30をSi酸化膜により形成することが望ましい。さらに、従来の半導体プロセスとの整合性が良いという点からも、ダイアフラム30をSi酸化膜により形成することが望ましい。
複数の圧電素子40は、駆動基板10の複数のインク圧力室11にそれぞれ対向するように、ダイアフラム30の背面30aに積層されて形成されている。各圧電素子40は、図2に示すように、ダイアフラム30の背面30aに重ねた下部電極42、下部電極42に重ねた圧電膜44、および圧電膜44に重ねた上部電極46を有する。各圧電素子40の第1の方向に沿った長さは、上述したインク圧力室11の第1の方向に沿った長さより短く、ダイアフラム30の個別インク供給孔32および個別インク排出孔34に重ならない長さに設定されている。各圧電素子40の並び方向に沿った幅は、上述したインク圧力室11の並び方向に沿った幅より狭い。
各圧電素子40の下部電極42の一部は、ダイアフラム30の背面30aに沿って第1の方向に延伸され、個別駆動配線43(図3)として機能する。圧電素子40の表面を含むダイアフラム30の背面30a上には、保護膜70が設けられている。上部電極46と接する保護膜70の一部には図示しないビアホールが形成され、ビアホールを介して上部電極46から引出し配線47が引き出されている。各圧電素子40の個別駆動配線43および引出し配線47は、図3に示すように、ダイアフラム30の個別インク供給孔32および個別インク排出孔34を避けてレイアウトされている。
各圧電素子40の圧電膜44には、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr、Ti)O、PZT)などの電歪定数の大きな圧電材料が適している。圧電膜44にPZTを使用した場合、下部電極42や上部電極46には、Pt、Au、Irなどの貴金属や、SrRuOなどの導電性の酸化物が適している。また、圧電膜44として、AlNやZrOなどのシリコンプロセスに適した圧電材料を使用することも可能である。この場合は、下部電極42や上部電極46として、Al、Cuなどの一般の電極材料や配線材料を使用することができる。
封止基板50は、複数の圧電素子40に対して非接触状態で、ダイアフラム30の背面30a側に積層されている。封止基板50は、接着剤45を介して、ダイアフラム30の背面30aに接着固定されている。封止基板50は、図5に示すように、各圧電素子40から引き出された個別駆動配線43の端部につながる接続端子パッド48を覆わない幅を有する。
封止基板50は、ダイアフラム30の背面30aに対向する対向面50aを有し、この対向面50a側に複数の圧電素子40を非接触状態で密閉する凹所51を有する。凹所51は、例えば、各圧電素子40に対応して複数設けてもよく、各列の複数の圧電素子40をまとめて覆う凹所51としてもよい。
封止基板50は、その対向面50aと対向面50aから離間した反対側の背面50bとを連絡して封止基板50を貫通した複数の個別インク供給路52および複数の個別インク排出路54を有する。複数の個別インク供給路52および複数の個別インク排出路54は、それぞれ、駆動基板10の複数のインク圧力室11の両端に一対一で設けられており、既知の方法によって予め封止基板50に形成されている。
各個別インク供給路52の対向面50a側の開口部は、ダイアフラム30の個別インク供給孔32に重なって連通している。また、各個別インク排出路54の対向面50a側の開口部は、ダイアフラム30の個別インク排出孔34に重なって連通している。そして、個別インク供給路52および個別インク排出路54は、インク圧力室11の長手方向と略直交する方向、すなわち封止基板50の厚み方向に延設されている。つまり、個別インク供給路52および個別インク排出路54の長さは、それぞれ、封止基板50の厚みに相当する。
流路基板60は、封止基板50の背面50bに接着剤55を介して貼り合わされている。流路基板60は、その封止基板50側の対向面60aに複数(図5の例では2つ)の共通インク供給室62および複数(図5の例では3つ)の共通インク排出室64を有する。複数の共通インク供給室62および複数の共通インク排出室64は、複数のインク圧力室11の並び方向に延設され、各インク圧力室11の長手方向に沿って交互に並べて設けられている。
共通インク供給室62および共通インク排出室64は、既知の方法によって予め流路基板60の対向面60aに有底の溝として形成されている。共通インク供給室62および共通インク排出室64の長手方向の両端は閉じており、互いに独立した空間を形成している。各共通インク供給室62の底には、流路基板60の背面60bに連絡した複数のインク供給口66が設けられている。各共通インク排出室64の底には、流路基板60の背面60bに連絡した複数のインク排出口68が設けられている。
図5に例示したヘッド100は、4列の圧電素子40(すなわち4列のインク圧力室11)を有する。例えば、図示下端の列に並んだ複数のインク圧力室11の一端(図示上端)には封止基板50に設けた個別インク供給路52がそれぞれ接続されており、流路基板60の図示下方の共通インク供給室62に連通している。一方、この列の複数のインク圧力室11の他端(図示下端)には封止基板50に設けた個別インク排出路54がそれぞれ接続されており、流路基板60の図示最下端にある共通インク供給室62に連通している。
また、図示下から2列目の複数のインク圧力室11の一端(図示上端)には封止基板50に設けた個別インク供給路52がそれぞれ接続されており、流路基板60のもう一つの上方の共通インク供給室62に連通している。一方、この列の複数のインク圧力室11の他端(図示下端)には封止基板50に設けた個別インク排出路54がそれぞれ接続されており、1列目の複数のインク圧力室11にインクを供給するのと同じ下方の共通インク供給室62に連通している。
上記のように、隣接する列の各インク圧力室11を流れるインクの向きを交互に反転させることで、両者の間の共通インク供給室62(或いは共通インク排出室64)を共用にしている。
以下、上述したヘッド100の動作について説明する。
まず、図示しない外部のインク供給ポンプからヘッド100にインクが供給される。インクは、流路基板60の背面60bに設けた複数のインク供給口66を介して2つの共通インク供給室62へそれぞれ流入する。各共通インク供給室62へ流入したインクは、封止基板50の複数の個別インク供給路52およびダイアフラム30の複数の個別インク供給孔32を介して各列の複数のインク圧力室11へ流れ込む。
各インク圧力室11へ流れ込んだインクは、流路基板60の背面60bに設けた複数のインク排出口68に接続した図示しない外部のインク排出ポンプにより排出される。このとき、複数のインク圧力室11内のインクは、その他端に設けたダイアフラム30の複数の個別インク排出孔34および封止基板50の複数の個別インク排出路54を介して流路基板6の共通インク排出室64へ流出され、複数のインク排出口68を介してヘッド100の外へ排出される。
以上のように、複数のインク圧力室11内をインクが循環する。このとき、各インク圧力室11内に発生した気泡等も速やかにインク圧力室11外に排出される。本実施形態では、インク圧力室11、個別インク供給路52、および個別インク排出路54を1本につなげた個別インク流路がその全長にわたって比較的大きな断面積を有する。つまり、本実施形態では、個別インク流路の途中にオリフィスを設けていない。
このため、本実施形態のヘッド100は、個別インク流路52、11、54を流れるインクの流路抵抗が小さく、インクの粘性抵抗が小さく、インク圧力室11を流れるインクの抵抗を少なくすることができ、インクをスムーズに循環させることができる。具体的には、本実施形態の個別インク流路52、11、54は、その全長にわたって5000μm〜30000μm程度の断面積を有する。
上述したように各インク圧力室11内にインクを循環させた状態で、図示しない外部の駆動回路からの記録信号に従い、各圧電素子40の下部電極42と上部電極46の間に駆動電圧を選択的に印加する。これにより、駆動電圧を印加した圧電素子40の圧電膜44が収縮して圧電素子40が凹状に屈曲変形し、対応するインク圧力室11の体積が増大し、インク圧力室11に個別インク供給路52を介してインクが流入する。次に、駆動電圧を除去すると、当該圧電素子40の屈曲変形が元に戻り、インク圧力室11の体積が減少し、インク圧力室11内の圧力が上がり、ノズル21を介してインク滴が吐出する。
インク滴を十分な吐出圧力で良好に吐出させるためには、インク滴吐出時にインク圧力室11内のインクの圧力を保持する必要がある。このため、本実施形態では、各インク圧力室11を個別に流れるインクの流路(個別インク供給路52、インク圧力室11、個別インク排出路54)を十分に長くして、ノズル21から共通インク供給室62までの距離、およびノズル21から共通インク排出室64までの距離を十分に長くした。これにより、各インク圧力室11を満たすインクの慣性質量による慣性抵抗を生じせしめて、インク圧力室11から共通インク供給室62や共通インク排出室64へ圧力が逃げることを抑制するようにした。
言い換えると、本実施形態のヘッド100は、各圧電素子40を屈曲変形させてインク滴を吐出させるのに十分な吐出圧力を得ることができる程度にインク圧力室11、個別インク供給路52、および個別インク排出路54の長さを確保している。具体的には、インク滴吐出時におけるインクの圧力変化に基づく振動の波(以下、圧力波と称する)が共通インク供給室62および共通インク排出室64の手前で十分に減衰し、共通インク供給室62や共通インク排出室64にほとんど振動が伝わらない程度に、インク圧力室11、個別インク供給路52、および個別インク排出路54の長さを設定している。
これにより、インク滴を十分な吐出圧力で吐出させることができるとともに、共通インク供給室62や共通インク排出室64を介して並び方向に隣接した他のインク圧力室11へ圧力波が伝わる不具合も防止することができ、隣接するインク圧力室11におけるインク滴の吐出動作に悪影響を及ぼすこともない。
インク滴の吐出によって発生する上述した圧力波を十分に減衰させることのできる最適な個別インク流路52、11、54の長さを調べるため、図6に示すタイプのヘッド(個別インク供給路52および個別インク排出路54を持たないヘッド)を用いて、インク圧力室11の長さを種々変更した場合における、ノズル21から吐出されるインク滴の体積変化をコンピュータ上で再現した。そのシミュレーション結果を図7に示す。
これによると、ノズル21を中心としたインク圧力室11(両端は開放)の長さが1mmを超えた場合に、インク滴の体積が理想の体積(インク圧力室11の両端を塞いで圧力を完全に閉じ込めた状態でのインク滴の体積)の約8割に達することがわかった。この場合、インク圧力室11の幅や深さ、すなわちインク圧力室11の断面積は、インク滴の体積にほとんど影響を及ぼさないこともわかっている。つまり、この場合、インク圧力室11の長さをノズル21の両側でそれぞれ500μm以上にすることで、インク圧力室11の両端で圧力波を十分に減衰させることができ、十分なサイズのインク滴を安定して吐出させることができることがわかる。
また、図7のシミュレーション結果から、インク圧力室11の長さが0.5mmを超えた場合に、インク滴の体積が理想の体積の約5割に達していることがわかる。本実施形態のヘッド100は、各インク圧力室11の両端に、十分な流路断面積を有する個別インク供給路52および個別インク排出路54を接続しているため、インク圧力室11の長さをノズル21の両側で少なくとも250μm以上にすれば、インク滴の体積を所望する程度に十分に大きくすることが可能である。
反面、インク圧力室11だけを長くすると、ヘッド100の第1の方向に沿ったサイズアップにつながるため、インク圧力室11はできるだけ短い方が望ましい。この点から考察すると、図7のシミュレーション結果では、インク圧力室11の長さが2500μmに近付くとインク滴のサイズが飽和し、理想の体積の95%を超えるため、インク圧力室11の長さは、2500μm以下とすることが望ましい。
しかし、インク圧力室11を図6に示すように単に真っ直ぐ延ばすと、ヘッド100の面方向のサイズが大きくなり、ノズル21を高密度に配置できなくなり、設計の自由度が低くなるとともに、駆動効率も低下する。このため、本実施形態では、各インク圧力室11の長さを短くした上で、インク圧力室11の両端に連通し且つインク圧力室11の長手方向と交差する方向に延びた個別インク供給路52および個別インク排出路54を設け、個別インク流路52、11、54の長さをかせぐようにした。
具体的には、本実施形態では、ノズル21からインク圧力室11および個別インク供給路52を介して共通インク供給室62に至る流路長、およびノズル21からインク圧力室11および個別インク排出路54を介して共通インク排出室64に至る流路長を500μm〜1250μm程度に設定した。或いは、本実施形態では、インク圧力室11を設けた駆動基板10の厚さと個別インク供給路52および個別インク排出路54を設けた封止基板50の厚さを足した厚さを500μm以上に設定した。
以上のように、本実施形態のヘッド100によると、ヘッド100の表面に沿って複数の圧電素子40を高い密度で配置することができ、ノズル21をより高密度に配置することができ、装置構成を小型化することができる。
また、本実施形態によると、ヘッド100の面方向のサイズを大きくすることなく、ノズル21につながる個別インク流路52、11、54を十分に長くすることができ、インク滴の吐出時にノズル21で発生する圧力波を十分に減衰させることができ、十分なサイズのインク滴を十分な吐出圧力で安定して吐出させることができる。
さらに、本実施形態によると、各インク圧力室11の両端に、同等の流路断面積を有する個別インク供給路52および個別インク排出路54を接続したため、個別インク流路52、11、54の途中にオリフィスを設けることがなく、流路抵抗を低くすることができる。このため、各インク圧力室11を介してインクを良好に循環させることができ、インク滴の吐出によりノズル21の近くで不所望に発生した気泡をインク圧力室11から確実に排出させることができ、気泡の存在に起因したインク滴の吐出不良を防止することができる。
次に、図8乃至図13を参照して、上述したヘッド100の製造方法を説明する。
まず、図8に示すように、熱酸化により駆動基板10の両面を酸化して、駆動基板10の第2面10bに積層したSi酸化膜からなるダイアフラム30を形成するとともに、駆動基板10の反対側の面にSi酸化膜の層30’を形成する。本実施形態では、Si基板の熱酸化によりダイアフラム30を形成したが、熱酸化法以外のプラズマCVD法やTEOSを原材料とするCVD法なども使用することができる。
この後、ダイアフラム30の背面30a上に、スパッタリングによりTi/Ptからなる下部電極42の層を形成し、その上にPZTからなる圧電膜44の層を形成し、さらにその上にAuからなる上部電極46の層を形成する。次に、フォトリソグラフィーおよびウェットないしはドライエッチングにより上部電極46、圧電膜44、および下部電極42を順にエッチングしてパターニングし、複数の圧電素子40および複数の個別駆動配線43(ここでは図示せず)を形成する。
次に、図9に示すように、複数の圧電素子40およびダイアフラム30の背面30a全体を覆うように保護膜70を形成し、フォトリソグラフィーおよび反応性イオンエッチングにより保護膜70をパターニングして、各圧電素子40の上部電極46の上部に複数のビアホール(図示せず)を形成する。その後、スパッタリング成膜、フォトリソグラフィーおよび反応性イオンエッチングによりパターニングして、各ビアホールを介して上部電極46に接続して複数の引出し配線47を形成する。
さらに、フォトリソグラフィーおよび反応性イオンエッチングにより保護膜70およびダイアフラム30をパターニングして、複数のインク圧力室11の両端に連通させる複数の個別インク供給孔32および複数の個別インク排出孔34を形成する。
次に、図10に示すように、各インク圧力室11の長手方向の両端に連通させる複数の個別インク供給路52および複数の個別インク排出路54を予め形成し且つ対向面50aに複数の凹所51を予め形成した封止基板50を用意する。そして、複数の圧電素子40を非接触状態で封止基板50の凹所51によって囲んで、封止基板50の対向面50aをダイアフラム30の背面30aに対向させ、封止基板50をダイアフラム30の背面30aに積層する。このとき、接着剤45を介して封止基板50をダイアフラム30の背面30aに接着固定する。
次に、図11に示すように、駆動基板10を第2面10b側から研削およびCMPにより加工し薄板化する。そして、駆動基板10の第2面10b側から裏面フォトリソグラフィーおよび深掘りエッチング(D−RIE)により複数のインク圧力室11を形成する。
次に、図12に示すように、予め、複数の共通インク供給室62および複数の共通インク排出室64を対向面60a側に形成し、且つ共通インク供給室62に連通した複数のインク供給口66(ここでは図示せず)および共通インク排出室64に連通した複数のインク排出口68(ここでは図示せず)を形成した流路基板60を用意する。
そして、この流路基板60の対向面60aを封止基板50の背面50bに対向させ、封止基板50の背面50bに接着剤55を介して流路基板60を接着固定する。このとき、流路基板60の共通インク供給室62が封止基板50の複数の個別インク供給路52に重なり、流路基板60の共通インク排出室64が封止基板50の複数の個別インク排出路54に重なるように流路基板60を位置合わせする。
さらに、図13に示すように、接着剤15を介して駆動基板10の第1面10aにノズルプレート20を接着固定する。そして、レーザ加工によりノズルプレート20に複数のノズル21を形成する。なお、ノズル21は、フォトリソグラフィーおよびエッチングにより予めノズルプレート20に形成しておいても良い。
なお、以上説明した一連の膜形成及びエッチングは、一枚のウェハ上に多数のチップを同時に形成し、プロセス終了後、一つ一つのチップに分割する。
以上のように、本実施形態のヘッド100の製造方法によれば、簡単な半導体製造プロセスを利用してヘッド100を製造することが可能であり、インク循環性能に優れた圧電MEMS型のインクジェット式記録ヘッド100を提供することが可能となる。
(第1の変形例)
図14は、上述した第1の実施形態のヘッド100の第1の変形例であるインクジェット式記録ヘッド200(以下、単にヘッド200と称する)の要部を示す部分拡大図である。第1の変形例に係るヘッド200は、封止基板50に設けた複数の個別インク供給路202および複数の個別インク排出路204の構造が異なる以外、上述した第1の実施形態のヘッド100と略同じ構造を有する。よって、ここでは、第1の実施形態と異なる構成について説明し、第1の実施形態と同様に機能する構成については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
封止基板50の複数の個別インク供給路202および複数の個別インク排出路204は、第1の実施形態の個別インク供給路52および個別インク排出路54と比較して、その流路断面積が全体的に大きくされている。一方、複数の圧電素子40やその配線(個別駆動配線43および引出し配線47)を密集した状態でダイアフラム30の背面30aに設けるため、ダイアフラム30を貫通して設けた複数の個別インク供給孔32および複数の個別インク排出孔34は、レイアウト上の制約があり、サイズ(断面積)を大きくすることが難しい。
よって、本変形例では、各個別インク供給路202の図示下端側(ダイアフラム30の個別インク供給孔32に対向する側)を対応する個別インク供給孔32の周縁に向けて収束させ、各個別インク供給路202が個別インク供給孔32に接続する部位だけ流路断面積を小さくしている。例えば、この収束部位は、封止基板50の凹所51の深さをわずかに超えた長さを有し、個別インク供給孔32の周縁になだらかにつながっている。
以上のように、第1の変形例のヘッド200は、第1の実施形態のヘッド100と比較して、流路断面積を大きくした複数の個別インク供給路202および複数の個別インク排出路204を有するため、各インク圧力室11に循環させるインクの流路抵抗をより小さくすることができ、単位時間内により多くのインクを流通させることができる。よって、各インク圧力室11内で不所望に生じた気泡をより確実に除去することができ、インクの吐出性能をより向上させることができる。
(第2の変形例)
図15は、第2の変形例に係るインクジェット式記録ヘッド300(以下、単にヘッド300と称する)のダイアフラム30を封止基板50側から見た部分拡大背面図である。ヘッド300は、第1の変形例のヘッド200の、複数のインク圧力室11、複数の圧電素子40、配線43、47、複数の個別インク供給路202(個別インク供給孔302)、および複数の個別インク排出路204(個別インク排出孔304)のレイアウトを変更したものであり、それ以外の構成は、上述した第1の変形例のヘッド200と略同じ構造を有する。
第2の変形例のレイアウトは、ヘッド100、200と比較して、ノズル21のより高密度な配置を可能にする。第2の変形例では、各列の複数の圧電素子40(およびインク圧力室11)を第1の方向に沿って図示左右方向に交互にずらし、各インク圧力室11の両端に連通した複数の個別インク供給孔302および複数の個別インク排出孔304を第2の方向に並べないようにした。これにより、各列の複数の圧電素子40(およびインク圧力室11)を第2の方向に沿って密集して並べても配線43、47のための十分なスペースを確保することができる。
また、第2の変形例では、複数の個別インク供給孔302および複数の個別インク排出孔304の断面形状を第1の方向に延びた長円形としている。これにより、各個別インク供給孔302および各個別インク排出孔304の断面積を大きくしている。このように、複数の個別インク供給孔302および複数の個別インク排出孔304の断面形状を長円形にすることで、上述した第1の変形例における収束部分を無くすことができ、流路抵抗をより小さくすることができる。各個別インク供給孔302および各個別インク排出孔304は、対応するインク圧力室11の両端から中央に向けて延びている。
以上のように、第2の変形例によると、ノズル21をより高密度に配置することができ、ヘッド300の第2の方向に沿ったサイズを小さくすることができる。また、第2の変形例によると、ダイアフラム30の複数の個別インク供給孔302および複数の個別インク排出孔304の断面形状を長円形にすることで、流路断面積を大きくすることができ、流路抵抗を小さくすることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
封止基板50に設けた個別インク供給路52(202)および個別インク排出路54(204)の流路断面積は、上述したように、理想的には、インク圧力室11の流路断面積と同等、もしくはそれ以上にすることが望ましい。しかし、インク圧力室11内の気泡を良好に除去可能な程度のインクの循環量を得るためには、必ずしも個別インク供給路52(202)および個別インク排出路54(204)の流路断面積をインク圧力室11の流路断面積と同等にする必要はない。
個別インク流路52、11、54の流路抵抗は、流路断面積の2乗に反比例する。よって、例えば、個別インク供給路52(202)および個別インク排出路54(204)の流路断面積がインク圧力室11の流路断面積の半分(50%)になると、個別インク供給路52(202)および個別インク排出路54(204)における流路抵抗は、インク圧力室11の流路抵抗の4倍になる。しかし、この4倍の流路抵抗は、上述した「気泡を良好に除去可能な程度のインクの循環量」を満足するものであるため、個別インク供給路52(202)および個別インク排出路54(204)の流路断面積の許容値は、インク圧力室11の流路断面積の50%以上とすることができる。
10…駆動基板(第1基板)、10a…第1面、10b…第2面、11…インク圧力室、20…ノズルプレート、21…ノズル、30…ダイアフラム、30a…背面、32…個別インク供給孔、34…個別インク排出孔、40…圧電素子、50…封止基板(第2基板)、52…個別インク供給路、54…個別インク排出路、60…流路基板(第3基板)、62…共通インク供給室、64…共通インク排出室、66…インク供給口、68…インク排出口、100、200、300…インクジェット式記録ヘッド。
実施形態に係るインクジェット式記録ヘッドは、第1面およびこの第1面と平行な第2面を有するとともに、第1面と第2面を連絡した複数のインク圧力室を有し、複数のインク圧力室が、第1面と平行な第1の方向にそれぞれ延設され、且つ第1面と平行で第1の方向と直交する第2の方向に並べられた第1基板と、複数のインク圧力室の第1面側を塞ぐように第1基板の第1面に積層され、各インク圧力室にそれぞれ連通した複数のノズルを有するノズルプレートと、複数のインク圧力室の第2面側を塞ぐように第1基板の第2面に積層され、各インク圧力室の第1の方向の一端に連通した複数の個別インク供給孔を有し、且つ各インク圧力室の第1の方向の他端に連通した複数の個別インク排出孔を有するダイアフラムと、複数のインク圧力室にそれぞれ対応してダイアフラムの第1基板と反対の背面側に設けられ、各インク圧力室内のインクをそれぞれ加圧可能な複数のアクチュエータと、ダイアフラムの背面側に積層され、ダイアフラムに対向する対向面を有し、この対向面に複数のアクチュエータをそれぞれ非接触状態で覆う複数の凹所を有し、ダイアフラムの各個別インク供給孔を介して各インク圧力室の一端に連通した所定長さの複数の個別インク供給路を有し、且つダイアフラムの各個別インク排出孔を介して各インク圧力室の他端に連通した所定長さの複数の個別インク排出路を有する第2基板と、第2の方向に並んだ複数のインク圧力室の一端にそれぞれ連通した複数の個別インク供給路の各インク圧力室と反対側の端部に連通した共通インク供給室と、第2の方向に並んだ複数のインク圧力室の他端にそれぞれ連通した複数の個別インク排出路の各インク圧力室と反対側の端部に連通した共通インク排出室と、を有し、各インク圧力室の一端に連通した個別インク供給路の端部は、当該インク圧力室に対して第1の方向に隣接したインク圧力室の一端に連通した個別インク供給路の端部に連通し、且つ当該インク圧力室に対して第2の方向に隣接したインク圧力室の一端に連通した個別インク供給路の端部に連通した同一の共通インク供給室に連通し、各インク圧力室の他端に連通した個別インク排出路の端部は、当該インク圧力室に対して第1の方向に隣接したインク圧力室の他端に連通した個別インク排出路の端部に連通し、且つ当該インク圧力室に対して第2の方向に隣接したインク圧力室の他端に連通した個別インク排出路の端部に連通した同一の共通インク排出室に連する。
個別インク流路52、11、54の流路抵抗は、流路断面積の2乗に反比例する。よって、例えば、個別インク供給路52(202)および個別インク排出路54(204)の流路断面積がインク圧力室11の流路断面積の半分(50%)になると、個別インク供給路52(202)および個別インク排出路54(204)における流路抵抗は、インク圧力室11の流路抵抗の4倍になる。しかし、この4倍の流路抵抗は、上述した「気泡を良好に除去可能な程度のインクの循環量」を満足するものであるため、個別インク供給路52(202)および個別インク排出路54(204)の流路断面積の許容値は、インク圧力室11の流路断面積の50%以上とすることができる。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
第1面およびこの第1面と平行な第2面を有するとともに、前記第1面と平行な第1の方向にそれぞれ配列され且つ前記第1面と前記第2面を連絡した複数のインク圧力室を有する第1基板と、
前記複数のインク圧力室の前記第1面側を塞ぐように前記第1基板の前記第1面に積層され、前記各インク圧力室に連通した複数のノズルを有するノズルプレートと、
前記複数のインク圧力室の前記第2面側を塞ぐように前記第1基板の前記第2面に積層され、前記各インク圧力室の前記第1の方向の一端に連通した複数の個別インク供給孔を有し、且つ前記各インク圧力室の前記第1の方向の他端に連通した複数の個別インク排出孔を有するダイアフラムと、
前記ダイアフラムの前記第1基板と反対の背面側に設けられ、前記各インク圧力室内のインクをそれぞれ加圧可能な複数のアクチュエータと、
前記ダイアフラムの前記背面側に積層され、前記ダイアフラムに対向する対向面を有し、この対向面に前記複数のアクチュエータを非接触状態で覆う凹所を有し、前記ダイアフラムの前記各個別インク供給孔を介して前記各インク圧力室の前記一端に連通した複数の個別インク供給路を有し、且つ前記ダイアフラムの前記各個別インク排出孔を介して前記各インク圧力室の前記他端に連通した複数の個別インク排出路を有する第2基板と、
を有するインクジェット式記録ヘッド。
[2]
前記複数の個別インク供給路および前記複数の個別インク排出路は、前記第2基板の前記対向面とこの対向面と反対の背面とを連絡して前記第2基板を貫通して設けられている、
[1]のインクジェット式記録ヘッド。
[3]
前記第2基板の前記背面側に積層され、前記複数の個別インク供給路の前記各インク圧力室と反対側の端部に連通した共通インク供給室、および、前記複数の個別インク排出路の前記各インク圧力室と反対側の端部に連通した共通インク排出室を有する第3基板をさらに有する、
[2]のインクジェット式記録ヘッド。
[4]
前記ノズルから前記インク圧力室および前記個別インク供給路を介して前記共通インク供給室に至る流路長、および前記ノズルから前記インク圧力室および前記個別インク排出路を介して前記共通インク排出室に至る流路長は250μm以上である、
[3]のインクジェット式記録ヘッド。
[5]
前記ノズルは前記各インク圧力室の前記第1の方向の中央に設けられる[1]または[4]記載のインクジェット式記録ヘッド。
[6]
前記ノズルから前記インク圧力室および前記個別インク供給路を介して前記共通インク供給室に至る流路長、および前記ノズルから前記インク圧力室および前記個別インク排出路を介して前記共通インク排出室に至る流路長は500μm以上1250μm以下である、
[5]のインクジェット式記録ヘッド。
[7]
前記第1基板の厚さと前記第2基板の厚さを足した厚さは、500μm以上である、
[2]のインクジェット式記録ヘッド。
[8]
前記各個別インク供給路の流路断面積は、前記各インク圧力室の流路断面積の50%より大きく、前記各個別インク排出路の流路断面積は、前記各インク圧力室の前記流路断面積の50%より大きい、
[1]のインクジェット式記録ヘッド。
[9]
前記各個別インク供給路の流路断面積は、前記各インク圧力室の流路断面積以上であり、前記各個別インク排出路の流路断面積は、前記各インク圧力室の前記流路断面積以上である、
[1]のインクジェット式記録ヘッド。

Claims (9)

  1. 第1面およびこの第1面と平行な第2面を有するとともに、前記第1面と平行な第1の方向にそれぞれ配列され且つ前記第1面と前記第2面を連絡した複数のインク圧力室を有する第1基板と、
    前記複数のインク圧力室の前記第1面側を塞ぐように前記第1基板の前記第1面に積層され、前記各インク圧力室に連通した複数のノズルを有するノズルプレートと、
    前記複数のインク圧力室の前記第2面側を塞ぐように前記第1基板の前記第2面に積層され、前記各インク圧力室の前記第1の方向の一端に連通した複数の個別インク供給孔を有し、且つ前記各インク圧力室の前記第1の方向の他端に連通した複数の個別インク排出孔を有するダイアフラムと、
    前記ダイアフラムの前記第1基板と反対の背面側に設けられ、前記各インク圧力室内のインクをそれぞれ加圧可能な複数のアクチュエータと、
    前記ダイアフラムの前記背面側に積層され、前記ダイアフラムに対向する対向面を有し、この対向面に前記複数のアクチュエータを非接触状態で覆う凹所を有し、前記ダイアフラムの前記各個別インク供給孔を介して前記各インク圧力室の前記一端に連通した複数の個別インク供給路を有し、且つ前記ダイアフラムの前記各個別インク排出孔を介して前記各インク圧力室の前記他端に連通した複数の個別インク排出路を有する第2基板と、
    を有するインクジェット式記録ヘッド。
  2. 前記複数の個別インク供給路および前記複数の個別インク排出路は、前記第2基板の前記対向面とこの対向面と反対の背面とを連絡して前記第2基板を貫通して設けられている、
    請求項1のインクジェット式記録ヘッド。
  3. 前記第2基板の前記背面側に積層され、前記複数の個別インク供給路の前記各インク圧力室と反対側の端部に連通した共通インク供給室、および、前記複数の個別インク排出路の前記各インク圧力室と反対側の端部に連通した共通インク排出室を有する第3基板をさらに有する、
    請求項2のインクジェット式記録ヘッド。
  4. 前記ノズルから前記インク圧力室および前記個別インク供給路を介して前記共通インク供給室に至る流路長、および前記ノズルから前記インク圧力室および前記個別インク排出路を介して前記共通インク排出室に至る流路長は250μm以上である、
    請求項3のインクジェット式記録ヘッド。
  5. 前記ノズルは前記各インク圧力室の前記第1の方向の中央に設けられる請求項1または4記載のインクジェット式記録ヘッド。
  6. 前記ノズルから前記インク圧力室および前記個別インク供給路を介して前記共通インク供給室に至る流路長、および前記ノズルから前記インク圧力室および前記個別インク排出路を介して前記共通インク排出室に至る流路長は500μm以上1250μm以下である、
    請求項5のインクジェット式記録ヘッド。
  7. 前記第1基板の厚さと前記第2基板の厚さを足した厚さは、500μm以上である、
    請求項2のインクジェット式記録ヘッド。
  8. 前記各個別インク供給路の流路断面積は、前記各インク圧力室の流路断面積の50%より大きく、前記各個別インク排出路の流路断面積は、前記各インク圧力室の前記流路断面積の50%より大きい、
    請求項1のインクジェット式記録ヘッド。
  9. 前記各個別インク供給路の流路断面積は、前記各インク圧力室の流路断面積以上であり、前記各個別インク排出路の流路断面積は、前記各インク圧力室の前記流路断面積以上である、
    請求項1のインクジェット式記録ヘッド。
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