以下、図面を参照しながら本発明の施肥装置の一実施の形態にかかる施肥装置を搭載した乗用型田植機について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態の施肥装置を搭載した乗用型田植機1の側面図であり、図2は、その平面図である。
なお、本明細書においては、前後、左右の方向基準は、運転席からみて、車体の走行方向を基準として、前後、左右の基準を規定している。
この田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して植付装置4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置100の本体部分が設けられている。
該走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10及び左右一対の後輪11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に前輪10がそれぞれ取り付けられている。
また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギアケース18がローリング自在に支持され、その後輪ギアケース18から外向きに突出する左右後輪車軸に後輪11がそれぞれ取り付けられている。
エンジン20は、メインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及びHST(静油圧式無段階変速機)23を介してミッションケース12に伝達される。
ミッションケース12に伝達された回転動力は、ミッションケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13に伝達されて左右一対の前輪10、10を駆動すると共に、残りが後輪ギアケース18に伝達されて左右一対の後輪11、11を駆動する。
また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、それから植付伝動軸26によって植付装置4へ伝達される。
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に運転席31が設置されている。運転席31の前方には各種操作機構を内蔵するボンネット32があり、その上方に前輪10を操向操作する操縦ハンドル34が設けられている。
また、ボンネット32で覆われた内部には、走行車体2の走行や施肥装置100の動作等を制御するコントローラー200が収納されている。
エンジンカバー30及びボンネット32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35は一部格子状になっており(図2参照)、フロアステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下する構成となっている。
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41を備えている。上リンク40及び下リンク41は、それらの基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視で門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、それらの先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に、植付装置4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として植付装置4がローリング自在に連結されている。
メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部との間に昇降油圧シリンダ46が設けられており、昇降油圧シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、植付装置4がほぼ一定姿勢を保持したまま昇降する。
植付装置4は、8条植の構成で、フレームを兼ねる植付伝動ケース50、マット苗(図示省略)を載せて左右往復動し苗を一株分ずつ各条の苗取出口51a(図2参照)に供給するとともに、横一列分の苗を全て苗取出口51aに供給すると、苗送りベルト51bにより苗を下方に移送する苗載せ台51、及び、苗取出口51aに供給された苗を苗植付具52aによって圃場に植付ける苗植付部52等を備えている。
植付装置4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にサイドフロート56がそれぞれ設けられている。これらフロート55、56を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55、56が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付部52により苗が植付けられる。
各フロート55、56は、圃場表土面の凹凸に対応して前端側が上下動する如く回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動がフロートセンサー1141(図6参照)により検出され、その検出結果に対応して昇降油圧シリンダ46を制御する油圧バルブ(図示省略)を切り替えて植付装置4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
施肥装置100は、肥料ホッパに貯留されている粒状の肥料を、各苗植付条毎に設けられている繰出部61によって一定量ずつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62でセンターフロート55及びサイドフロート56の左右両側に取り付けた施肥ガイド63まで導き、施肥ガイド63の前側に設けた作溝体64によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に落とし込む構成となっている。
そして、ブロア用電動モータ66で駆動するブロア67で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ68を経由して施肥ホース62に吹き込まれ、施肥ホース62内の肥料を風圧で強制的に搬送する構成となっている。さらに、図10で示すとおり、前記ブロア67には搬送風になる空気を吸入する吸気ダクト69の端部を接続している。該吸気ダクト69は、前記繰出部61を挟んでエアチャンバ68とは反対側(機体後側)に左右方向に向けて配置すると共に、吸気ダクト69の基部を機体左右方向中央部で、エンジン20の後方に配置している。
上記により、ラジエータ(図示省略)が後方に排熱するエンジン20から発生した熱を吸気ダクト69が吸引することにより、肥料の搬送風を高温化することができるので、搬送中の肥料から水分が除去され、肥料同士が塊になったり、エアチャンバ68や施肥ホース62等の搬送経路に張り付いたりして、圃場に供給される量が不足することが防止される。
また、繰出部61や肥料ホッパに貯留されている肥料を暖めることにより、貯留中の肥料に含まれる水分も除去することができるので、いっそう肥料が塊になることや張り付くことを防止でき、肥料を設定量ずつ供給可能になり、施肥精度が向上する。
また、肥料ホッパは、左側肥料ホッパ60Lと、右側肥料ホッパ60Rとに一定の隙間を空けて分離されて配置されており、該右側の肥料ホッパ60Rの左右方向の中央部付近の下方には、繰出調節機構400が配置されている。また、該繰出調節機構400は、運転席31を載置すると共にエンジン20の周囲を覆うエンジンカバー30の右側後方に、間隔を空けて配置する。
該繰出調節機構400は、図3及び図5で示すとおり、施肥伝動機構300を介して伝達される駆動力を利用して肥料を設定量ずつ繰り出すための繰出部61から繰り出される施肥量を調節するための機構である。施肥伝動機構300、繰出調節機構400については、更に後述する。
該繰出調節機構400を、右側肥料ホッパ60Rの左右方向中央部付近の下方に配置したことにより、繰出調節機構400が左右の肥料ホッパ60L,60Rへの肥料の補給等の作業に干渉しない配置となるので、作業能率が向上する。また、左右の肥料ホッパ60L,60Rの前後方向の回動を規制しないので、肥料の排出時等に左右の肥料ホッパ60L,60Rを後方傾斜させて、残留している肥料を速やかに排出させることが妨げられない。
なお、左側肥料ホッパ60Lと右側肥料ホッパ60Rとを含む構成が、本発明の貯留ホッパの一例にあたる。また、繰出調節機構400が、本発明の施肥量調節装置の一例にあたる。
植付装置4には整地ロータ27(第1整地ロータ27aと第2整地ロータ27bの組み合わせを単に整地ロータ27と言うことがある)が取り付けられている。
また、苗載せ台51は、植付装置4の全体を支持する左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65の上端部においてスライド可能に支持された支持ローラー65aにより左右方向にスライドする構成である。
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく左右一対の予備苗枠38が設けられている。
以下、施肥装置100の各部の構成について更に説明する。
図3は、本実施の形態の施肥装置100を田植機1の前方から視た時の概略正面図である。また、図4は、本実施の形態の施肥装置100の繰出部61の左側面断面図である。
右側肥料ホッパ60Rは右側の4条分が共用で、上部に開閉可能な蓋60aが取り付けられている。右側肥料ホッパ60Rの下部は施肥条数分(4条分)に分岐して漏斗状の流下部60bを形成しており、該流下部60bの下部が各繰出部61の上端に接続されている。左側肥料ホッパ60Lについても上記構成と同じである。
図4に示す通り、繰出部61は、右側肥料ホッパ60R内(又は、左側肥料ホッパ60L内)の肥料を下方に繰り出す2個の第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bを内蔵している。該第1及び第2繰出ロール73A,73Bは、外周部に溝状の凹部74が形成された回転体で、左右方向に設けた共通の繰出軸75の角軸部75a(図示例は四角軸)にそれぞれ一体回転する構成で嵌合している。なお、繰出軸75の駆動源については、図3を用いて後述する。
また、上記左右の肥料ホッパ60L及び60Rの下部の流下部60bの下方と繰出部61の間には、枠形状のシャッタケース80を各条に設け、該シャッタケース80の前後に形成された左右方向に長く上下方向に短いシャッタ穴80aに、板形状の施肥シャッタ81を摺動自在に設ける。
図5及び図11(a)(b)に示すとおり、該施肥シャッタ81は前後方向に長い、平面視で長方形の板状の部材で構成し、前端側を曲げて摺動操作用の取っ手81aを形成すると共に、該取っ手81aの直後に、前記流下部60bと略同じ形状の肥料落下孔81bを形成する。そして、該肥料落下孔81bよりも後側は、肥料の落下を防止する落下規制部81cとする。
なお、該落下規制部81cは、上面に溝や突起等を形成して平坦でない形状としておくと、肥料が載ったときに圧力を分散でき、肥料が自重によって固まり、流下部60bから肥料が落下しなくなることを防止できる。
上記の施肥シャッタ81を設けたことにより、施肥シャッタ81を摺動させて流下部60bに落下規制部81cを臨ませておくと、作業圃場への移動時に繰出部61に肥料が溜まることを防止できるので、肥料が繰出部61内で塊になり、第1繰出しロール73Aや第2繰出しロール73Bに設定量の肥料が供給されず、肥料不足による作物の生育不良の発生が防止される。
従来は、肥料ホッパに投入された肥料は幅の狭い流下部60bを経由して、同様に幅の狭い繰出部61に落下しており、肥料の自重によって塊になり、落下しないことがあった。特に、流下部60bや繰出部61の内部の壁面に集中的に付着してブリッジ化が生じると、ブリッジ化した箇所に落下した肥料はそのまま積もってしまい、設定量の肥料が供給されなくなる問題があった。
また、繰出部61に肥料の詰まり等が生じ、メンテナンス作業の必要が生じたときに、施肥シャッタ81によって肥料の落下を規制することができるので、左右の肥料ホッパ60L,60Rに肥料を残したまま後方回動させることができ、メンテナンス作業が能率よく行える。
従来は、メンテナンス作業時には肥料ホッパ内の肥料を一旦取り除く必要があり、メンテナンス作業に要する時間を余分に要していたが、上記構成により、作業時間の短縮が図られる。
また、前記第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bが図4の矢印方向に回転することにより、左側肥料ホッパ60L(又は、右側肥料ホッパ60R)から落下供給される肥料が凹部74に収容されて下方に繰り出される。第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bにより繰り出された肥料は、下端の吐出口61aから吐出される。
繰出部61の吐出口61aには、前端部がエアチャンバ68(図1、図2参照)の背面部に前後方向に挿入連結されて、後端部が繰出部61の吐出口61aに連通する接続管(図示省略)が接続されている。
一方、エアチャンバ68の左端部はエア切替管(図示省略)を介してブロア67(図1、図2参照)に接続されており、該ブロア67からのエアがエアチャンバ68を経由し接続管から繰出部61の吐出口61aを通過する際に、肥料を巻き込みながら施肥ホース62側に吹き込まれる構成となっている。
また、図示例の第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bの凹部74の数は6個であり、両者の凹部74の位置が隣り合わない様にするために、その位相は異ならせて配置されている。これにより、第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bの各凹部74が交互に肥料を繰り出すこととなり、吐出口61aから吐出される肥料の量が時間的に均等化されている。
第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bの何れかを繰出軸75から外して位相を適当に変更して付け直すことにより、第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bの凹部74の位相を等しくすることも出来る。これで、圃場に点状に肥料を散布するときに適用可能となる。
また、繰出部61の内部には、凹部74が下方に移動する側(前側)の第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bの外周面に摺接するブラシ76が着脱自在に設けられている。このブラシ76によって第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bの凹部74に肥料が摺り切り状態で収容され、第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bによる肥料繰出量が一定に保たれる。
前記繰出軸75を駆動回転させる駆動力の供給経路について説明する。図3及び図5に示すとおり、機体右側の後輪ギアケース18の内部で、且つ機体内側に設けられる施肥伝動クラッチ460にクランク形状の施肥伝動出力軸461を設け、該施肥伝動出力軸461に上下方向に往復移動する施肥伝動駆動ロッド462を設ける。
そして、該施肥伝動駆動ロッド462から駆動力の伝達方向を機体前後方向に変更する中継ロッド463を左右方向に配置し、前記施肥伝動駆動ロッド462と中継ロッド463の間に、前記施肥伝動駆動ロッド462の上下動に連動して揺動連結支点ピン464aを支点として前後両端部が上下方向に揺動連結プレート464を配置すると共に、中継ロッド463の他端部に駆動力を後述する繰出回動アーム467に伝達するサブ駆動ロッド465を配置することにより、施肥伝動機構300が構成される。
該サブ駆動ロッド465は、右側の肥料ホッパ60Rの機体後部側の下方に配置されており、該サブ駆動ロッド465の上端部に、前記繰出軸75を施肥量に合わせて駆動回転させる繰出回動アーム467の後端部を連結する。そして、該繰出回動アーム467の前端部と前記繰出軸75を、施肥駆動アーム468で連結する。
図12(a)(b)に示すとおり、前記繰出回動アーム467は細長い略直方体形状の筐体であり、該の左右側面には、左右の側壁部を貫通させて長孔467aを形成している。該長孔467aは前後方向に亘って形成されており、この長孔467a内に繰出回動ピン469を貫通させて配置する。該繰出回動ピン469は、長孔467aの上下端部に接触可能な径とし、該繰出回動ピン469の前後位置を変更することにより、前記繰出回動アーム467の回動支点位置が変更されて前記施肥駆動アーム468の前端部側の回動量の大小、言い換えると往復回動に要する時間を変化させ、所定時間当たりに前記第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bに複数個所形成された凹部74から肥料が落下される回数を増減され、これにより施肥量が変更される。
例えば、図12(b)に示すとおり、前記繰出回動ピン469を機体前側に移動させるほど、前記繰出回動アーム467の前端部側の回動量は小さく、即ち往復回動に要する時間が短くなり、施肥駆動アーム468の回動量が連動して小さくなるので、繰出軸75が回転する頻度が増加する。これにより、所定時間における第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bの回転角度が大きくなり、落下位置に到達する凹部74の数を増加させることができるので、圃場に落下する肥料が増加する。
一方、図12(a)に示すとおり、前記繰出回動ピン469を機体前側または後側に移動させるほど、前記繰出回動アーム467の前端部側の回動量は大きく、即ち往復回動に要する時間が長くなり、施肥駆動アーム468の回動量が連動して大きくなるので、繰出軸75が回転する頻度が減少する。これにより、所定時間における第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bの回転角度が小さくなり、落下位置に到達する凹部74の数が減少するので、圃場に落下する肥料が減少する。
上記のとおり、繰出回動ピン469の前後位置を変更することにより、施肥装置100の施肥量を調節することができる。
この施肥量の調節作業を容易にするために、図5及び図10に示すとおり、正逆自在に高速回転する施肥量調節モータ410を、前記繰出回動アーム467よりも機体前側に配置する。そして、該施肥量調節モータ410にボールネジ420を回転可能に設け、該ボールネジ420の表面に形成された螺旋形状の溝に螺合して高速で機体前後方向に移動するボールナット430を設けると共に、該ボールナット430に前記繰出回動ピン469を設ける。これにより、繰出調節機構400が構成される。
前記施肥量調節モータ410は、モータケース410aに周囲を覆われており、該モータケース410aの上端面を前記施肥シャッタ81よりも機体下側に位置させて、前記右側の肥料ホッパ60Rの左右方向の中央部付近に配置している。
これに加えて、前記施肥量調節モータ410は、肥料を前記施肥ホース62に移動させる搬送風が通過する前記エアチャンバ68の上方で、且つ前記エンジンカバー30の機体右側後端部よりも機体右側で、且つ後方に配置するものとする。これに加えて、前記モータケース410aの前端部は、エアチャンバ68の機体前端部よりも機体前側に突出するものとする。
さらに、前記繰出回動ピン469は、前記ボールナット430の上下方向中央部よりも機体上側寄りに配置し、側面視で前記ボールネジ420とオフセットすると共に、該ボールネジ420よりも上方に位置する構成とする。
上記により、施肥量調節モータ410が施肥シャッタ81の開閉操作を妨げないので、施肥シャッタ81を作業状態に合わせて操作する際に部品の着脱等の作業を必要としないので、作業能率が向上する。
また、繰出回動ピン469よりもボールネジ420が機体下方に位置することにより、重量物である繰出調節機構400を機体下側寄りに配置することができるので、機体の低重心化が図られて走行姿勢が安定し、苗の植付精度や施肥精度が向上する。
そして、施肥量調節モータ410がエアチャンバ68の上方で、且つエンジンカバー30の後方で且つ機体右側に設けられることにより、施肥量調節モータ410やボールネジ420のメンテナンス作業を行う作業位置の周辺に空間部を形成することができるので、メンテナンス作業の能率が向上する。
さらに、施肥量調節モータ410のモータカバー410aがエアチャンバ68の前端部よりも機体前側に突出していることにより、作業者がエアチャンバ68に近付き過ぎることを防止できるので、作業者の足がエアチャンバ68に接触して踏み潰してしまい、肥料の搬送風が能率よく供給されなくなることが防止され、圃場に調節された施肥量に対応する肥料が供給される。
上記により、圃場に供給される肥料が不足し、苗が生育不良を起こすことが防止される。
また、施肥量調節モータ410を固定して設けていることにより、ボールネジ420上をボールナット430がスライドしても振動の発生が防止でき、振動による微細な施肥量の変動の発生が防止され施肥量の適量化が図られる。
さらに、ボールネジ420を右側の肥料ホッパ60Rの前後幅内に納めることにより、施肥量調節モータ410の作動によりボールネジ420が回転しても、作業者はこのボールネジ420に触れにくいので、安全性が向上すると共に、接触によりボールネジ420や施肥量調節モータ410が破損することが防止され、作業性の向上が図られる。
上記の施肥装置100には、作業前、及び貯留した肥料の減少時に肥料を補充する作業が必要であり、作業者は左右の肥料ホッパ60L,60Rの蓋60a,60aを各々開いて肥料を投入する。このとき、左右の肥料ホッパ60L,60Rに投入される肥料が一部に偏っていると、一部の条の肥料が他の条の肥料よりも先に不足し、頻繁に補充作業を行わねばならなくなり、作業能率が低下する問題がある。また、一部の条の肥料が不足したことが作業者に通知されないと、肥料が供給されない箇所が発生し、苗の生育が部分的に遅くなり、収穫物の品質や収量が低下する問題がある。
上記の問題を解消するには、左右の肥料ホッパ60L,60Rに肥料を投入する際に、投入した肥料を動かしたり、肥料の投入箇所を逐次移動させたりする必要があり、肥料の補充作業の能率が上がらない問題がある。また、肥料袋は重量物であるので、作業者が費やす労力が増大する問題がある。
そこで、作業者に余分な労力を費やさせず、且つ補充作業の能率を向上させるべく、図14(a)〜(c)に示すとおり、前記左右の肥料ホッパ60L,60Rの内部に、該左右の肥料ホッパ60L,60Rと略同じ左右長さの底板201,201を各々設ける。該左右の底板201,201には、前記流下部60bに向かう肥料が通過する開口部201a…を左右の肥料ホッパ60L,60Rが有する流下部60bと同数形成する。
そして、該左右の底板201,201の機体内側を正(背)面視で逆U字形状のヒンジアーム202に回動自在に連結する。該ヒンジアーム202は上下方向に長く、上側の頂点部分が折り返し部となっている。
また、前記運転席31を上下位置調節すべく、該運転席31とエンジンカバー30の上下間に上下スライド機構203を設ける。該上下動スライド機構203は電気や油圧、あるいはエアシリンダで構成する。さらに、前記運転席31の後部に上下方向の長孔31aを形成し、該長孔31aの内部に前記ヒンジアーム202の折り返し部を引っ掛けるスライドピン204を上下動自在に配置すると共に、該スライドピン204を上方に付勢する吊上げスプリング205を設ける。
そして、前記左右の肥料ホッパ60L,60Rの機体外側の下側端部に、機体外側に向かって下方傾斜する姿勢の肥料排出口60cを各々形成し、該左右の肥料排出口60c,60cに肥料の出入を切り替える排出蓋60dを各々設ける。
上記のとおり構成した施肥装置100に肥料を投入するときは、左右の蓋60a,60aを開き、左右の肥料ホッパ60L,60Rの中央部上方に肥料の散らばりを防止すると共に左右に均等に放出する、上下方向の中央部付近が最も狭まる鼓型の収束ガイド206を設置する。該収束ガイド206は、着脱自在とする。
肥料が投入されていないとき、スライドピン204は吊上げスプリング205の付勢力によって長孔31aの上端部に位置し、ヒンジアーム202を持ち上げた状態となっているので、左右の底板201,201は機体の外側に向かうほど下方に向かう傾斜姿勢となっている。このとき、運転席31は通常の位置にあるので、前記左右の底板201,201は、左右方向全域に亘って左右の肥料ホッパ60L,60Rの上下幅内に収まっている。
この状態で、前記収束ガイド206を左右の底板201,201、及び左右の肥料ホッパ60L,60Rの各機体内側端部の上方に設置し、該収束ガイド206から肥料を投入すると、肥料は上側の投入口206aと下側の放出口206cの上下方向の途中に位置する最狭隘部206bに向かう際に収束され、該最狭隘部206bを通過後に収束ガイド206の径が大きくなることにより、肥料の収束状態が解放され、左右の底板201,201に向かって拡散する。
こうして肥料が前記左右の肥料ホッパ60L,60R内に溜まっていくと、前記ヒンジアーム202を吊り上げるスライドピン204が吊上げスプリング205の付勢力に抗して下方に移動し、この動作に伴い前記左右の底板201,201が回動する。前記スライドピン204が下方に移動するほど左右の底板201,201は左右の肥料ホッパ60L,60Rの底部に近付き、該スライドピン204が下降しきると、左右の底板201,201は左右の肥料ホッパ60L,60Rの底部に接触する。
このとき、肥料は左右の肥料ホッパ60L,60Rの機体外側から積み重なり、左右の底板201,201の下方回動に伴い、肥料は機体内側に向かって積み重なり、作業容量一杯に肥料を投入するときには、積み重なった肥料の上面は凹凸のあまりない平坦面となる。この状態で蓋60a,60aを各々閉めると、施肥作業が可能な状態になる。
施肥作業の終了後、使用されずに肥料が余っているときは、蓋60a,60aを各々開けると共に、前記左右の肥料排出口60c,60cの排出蓋60dを各々開ける。そして、前記上下スライド機構203によって運転席31を上方に移動させ、スライドピン204によってヒンジアーム202を上方に引き上げる。なお、このときスライドピン204は、吊上げスプリング205の付勢力に抗する肥料の重量にかかわらず、長孔31aの下端部に接触し、ヒンジアーム202を最大限吊上げ可能な状態となっている。
このとき、前記ヒンジアーム202が左右の底板201,201を上方に引き上げ、肥料投入前と同じく機体外側に向かう下方傾斜姿勢とするが、該左右の底板201,201の機体内側端部は、左右の肥料ホッパ60L,60Rの上端部よりも上方に露出する構成とする。
これにより、前記左右の底板201,201の傾斜角度が大きく、且つ左右の肥料排出口60c,60cに向かう姿勢となるので、残った肥料を左右の肥料ホッパ60L,60Rの外側に容易に、且つ高速で排出することが可能となる。
上記構成により、左右の肥料ホッパ60L,60Rの機体内側位置から、左右の肥料ホッパ60L,60Rの左右幅方向に亘って肥料を投入することができるので、作業者が肥料袋を左右の肥料ホッパ60L,60Rの左右幅方向に移動させる必要がなくなり、作業能率の向上や作業者の労力の軽減が図られる。
また、肥料の投入量が増えるにつれて、左右の底板201,201が下方回動して左右の肥料ホッパ60L,60Rの底部に接近していくことにより、投入された肥料の上面に凹凸が生じにくくなるので、作業者が肥料を手作業で均す必要がなく、作業能率が向上する。
そして、上下スライド機構203を作動させて運転席31を上方に移動させると、ヒンジアーム202によって左右の底板201,201が各々機体外側に向かって下方傾斜姿勢となることにより、左右の肥料ホッパ60L,60R内の肥料を左右の肥料排出口60c,60cに案内することができるので、左右の肥料ホッパ60L,60R内から肥料をスコップなどで掻き出す必要がなく、作業者の労力が軽減される。
また、肥料を排出する際に、肥料が入って重量が増加している左右の肥料ホッパ60L,60Rを左右側方や前後方向に回動させる必要がなく、作業者の費やす労力が軽減される。
そして、収束ガイド206の上下間に最狭隘部206bを形成したことにより、上側の投入口206aから投入された肥料を一旦収束させ、下側の放出口206cから肥料を放出する際に左右方向に拡散させることができるので、肥料が左右の肥料ホッパ60L,60Rに均等に案内され、肥料の補充作業の能率が向上する。
さらに、肥料をブロア67で発生させた搬送風で排出するエアチャンバ等を設け、このエアチャンバに肥料を移動させる排出経路を構成する必要がなく、構成の簡潔化が図られると共に、排出作業に要する時間の軽減が図られる。
上記の構成では、作業者が余分に力を費やすことなく左右の肥料ホッパ60L,60Rに肥料を投入することや、残った肥料の排出作業を行うことができる。
しかしながら、肥料の投入時、及び排出作業時には蓋60aを開放する必要があり、雨が降っている状況では、肥料が雨に晒され、肥料の粒同士がくっついてしまい、施肥作業に適さない状態、即ち第1繰出ロール73A及び第2繰出ロール73Bの凹部74に入りにくい状態になることや、左右の肥料排出口60c,60cから肥料が出にくい状態になることがある。
これを防止する構成として、次に説明する。
図15(a)(b)及び図16で示すとおり、雨に肥料を晒すことなく投入し得る、内部が中空の左右の防水ホッパ207,207を、機体内側下部に前後方向の回動軸207aを設けて各々回動自在に連結する。該左右の防水ホッパ207,207の内側上部には、後述する運転席31のヘッドレスト31hを所定角度回動させた状態で支持する、正背面視で「へ」の字形状の支持アーム208,208の基部を各々設け、該左右の支持アーム208,208の端部側を防水ホッパ207,207の機体内側部から上方に向かわせ、前記操縦席31のヘッドレスト31hの後部側と連結する。
なお、施肥作業時に防水ホッパ207,207の機体内側端部同士を接近さたとき、該左右の支持アーム208,208同士が接し合う構成とする。
さらに、前記左右の防水ホッパ207,207の機体内側端部には、防水ホッパ207,207の回動操作により機体上部側が機体下部側よりも左右幅方向に長く伸縮する蛇腹ガード209を設け、該蛇腹ガード209の上部に肥料を投入する投入開口部210を形成する。
これに加えて、運転席31の上部には、作業者が首または後頭部を添わせるヘッドレスト31hを前後方向に回動自在に設け、該ヘッドレスト31hの中央部には、肥料袋及び鼓型の収束ガイド206を入り込ませる投入空間部211を形成する。前記運転席31を上下スライド機構203で上方に移動させると共に、該ヘッドレスト31hが左右の支持アーム208,208によって後方にそれ以上回動できない状態とすると、投入空間部211と投入開口部210が機体後斜め下方に向かう一直線上に並ぶ構成となる。
そして、前記左右の防水ホッパ207,207の機体外側の下側端部に、機体外側に向かって下方傾斜する姿勢の肥料排出口60c,60cを各々形成すると共に、左右の防水ホッパ207,207の下部に、流下口60bを1または複数形成する。
上記の構成の防水ホッパ207,207に肥料を投入するときは、運転席31を上方に移動させて左右の支持アーム208,208によって左右の防水ホッパ207,207の機体内側端部を各々上方に移動させ、左右の防水ホッパ207,207を機体外側に向かう下方傾斜姿勢とする。また、蛇腹ガード209が左右方向に伸長すると、投入開口部210が開放される。
この状態でヘッドレスト31hを機体後方に回動させると、投入空間部211と投入開口部210が機体後斜め下方に向かう一直線上に並ぶので、投入空間部211と投入開口部210に収束ガイド206と肥料袋を差し込み、肥料を投入する。
なお、肥料の投入量が増えると、前記上下スライド機構203が重量によって下降し、左右の防水ホッパ207,207の機体内側部が下方に回動し、容量一杯に肥料を投入すると、左右の防水ホッパ207,207が施肥作業位置となる水平姿勢となるまで回動する。
これにより、肥料が傾斜姿勢の左右の防水ホッパ207,207の傾斜面に沿って左右両外側端部に肥料が溜まっていくので、肥料袋を左右幅方向に移動させる必要がなくなり、作業者の労力が軽減される。
また、肥料袋の開口部を投入空間部211と投入開口部210内に差し込んで肥料を投入するので、雨が肥料に触れる機会が減少し、肥料が塊になって施肥作業や肥料の排出に適さない大きさとなることが防止される。
加えて、左右の防水ホッパ207,207には蓋が無いので、肥料が雨に晒されることが防止されると共に、部品点数の軽減が図られる。
さらに、左右の防水ホッパ207,207に投入した肥料の重量により、左右の防水ホッパ207,207の機体内側が下方回動するので、肥料を投入するにつれて傾斜角度が小さくなり、内部の肥料が自然に均等になり、左右幅方向で肥料の上面に凹凸ができることが防止され、条毎で肥料の量が大幅に異なり、肥料切れが予定よりも早いタイミングで検知されることが防止され、作業能率が向上する。
上記の左右の防水ホッパ207,207は、雨等の浸入を防止すべく、密閉構造になっているので、肥料の投入量や残量を確認しにくいという問題が生じ得る。この問題を解消すべく、防水ホッパ207,207の一部を透明な樹脂製とし、内部が見やすい構造とするとよい。
それでも、上記の左右の防水ホッパ207,207に投入する肥料は、肥料袋の口の開け方や、作業者の設置の仕方で左側または右側に偏って投入されることがあり、一方の防水ホッパ207に入る肥料が偏ると、作業者が他方に集中的に肥料が投入されるように工夫する必要があり、肥料の投入作業の能率が低下する問題がある。
これを防止すべく、前記蛇腹ガード209の内部に前後方向の支持軸212を設け、該回転軸212に三又形状の分岐羽根213を設ける。該分岐羽根213は、三又突起部213aの一つが蛇腹ガード209側に向かって上方に突出し、他の二つの三又突起部213b,213cが左右の防水ホッパ207,207の内部に向かって斜め下方向に突出する姿勢を取る。
また、左右の防水ホッパ207,207の下部に施肥支持フレーム215を設け、左右の防水ホッパ207,207の機体左右両外側端部の回動軸216,216を介して該施肥支持フレーム215に装着し、左右の防水ホッパ207,207を回動可能に構成する。
さらに、機体内側端部で左右の防水ホッパ207,207を連結する前記回動軸207aの下方に、該左右の防水ホッパ207,207を上方に付勢する持ち上げスプリング214を設け、左右の防水ホッパ207,207の重量が付勢力に抗し得る重量になると、該持ち上げスプリング214を押し縮めながら左右の防水ホッパ207,207が下方に回動する。肥料が容量一杯に投入されると、該左右の防水ホッパ207,207が水平姿勢になる。
なお、前記左右の防水ホッパ207,207が水平姿勢になると収縮し切った状態になる持ち上げスプリング214は、前記施肥支持フレーム215に設けるロック爪216でロック可能に構成し、肥料が減少した際に持ち上げスプリング214が伸張することを防止する。
上記構成により、分岐羽根213が投入される肥料を左右に掻き分けると共に、左右の防水ホッパ207,207に肥料を案内するので、肥料が左右の防水ホッパ207,207に均等に入りやすく、投入量の調節が不要となり、作業者の労力が軽減される。
また、持ち上げスプリング214が最も収縮した状態でロックするロック爪216aを設けたことにより、作業中に肥料が消費されて左右の防水ホッパ207,207の重量が軽くなっても、左右の防水ホッパ207,207の機体内側が上方に回動することを防止できるので、肥料が供給されない箇所が発生することが防止され、施肥精度が向上する。
上記の構成を用いて、さらに左右の防水ホッパ207,207に均等に肥料が投入される構成とするには、図17(a)(b)に示すとおり、前記分岐羽根213をタンブラー構造の付勢部材を介して回転軸212に回転自在に装着し、上方に突出する三又突起部213aが蛇腹ガード209の上下方向の内壁の左右どちらか一方に接触すると共に、左右方向に突出する三又突起部213b,213cの左右どちらか一方が、蛇腹ガード209の傾斜姿勢の内壁の左右どちらか一方に接触し、上方に突出する三又突起部213aと左右方向に突出する三又突起部213b,213cの左右どちらか一方とが、肥料の供給を妨げる姿勢で配置する。
これにより、分岐羽根213が供給される肥料を受け止める構造となる。図18(a)(b)で示すとおり、分岐バネ213が肥料を受ける姿勢は、タンブラー構造の付勢部材の付勢力で保持するが、受け止められる肥料の重量がこの付勢力よりも大きくなると、分岐羽根213は回転軸212を中心に回転し、肥料を一方の防水ホッパ207に放出する。このとき、分岐羽根213はタンブラー構造の付勢部材によって、肥料の放出前とは反対向きで肥料を受け止める姿勢となる。
なお、肥料が容量一杯に投入されると、左右方向に突出する三又突起部213b,213cが防水ホッパ207,207の底部に接触し、上方に突出する三又突起部213aが蛇腹ガード209の左右中央部に位置する状態となる。
さらに、上方に突出する三又突起部213aの基部には、受け止めた肥料が一定重量以上になると放出する側とは反対側に肥料を移動させる移動孔217を形成する。
上記構成により、左右の防水ホッパ207,207に交互に所定量ずつ肥料を供給することができるので、肥料の供給量を調節する作業が不要となり、作業能率が向上する。
また、図18及び図19で示すとおり、上方に突出する三又突起部213aの基部に移動孔217を形成したことにより、肥料の一部を他方の防水ホッパ207に少量ずつ移動させることができるので、受け止めている肥料が自重で塊になり、分岐羽根213から離れなくなることが防止され、肥料の供給作業の能率が向上する。
上記とは異なり、肥料ホッパ60L,60Rの蓋を用いた、肥料の均等な投入方法について説明する。
図20(a)(b)で示すとおり、肥料ホッパ60L,60Rの上部に前後のスライドレール218,218を左右方向に亘って設け、該スライドレール218,218に、複数、本例では2組のスライド蓋219を、前後に回転自在に設けるスライドローラ220…を介して装着する。
該スライド蓋219は、回動ヒンジ221を介して2枚の蓋板222,222を連結し、2枚の蓋板222,222を接近し合う方向に移動させると正背面視で逆V字形状となる投入補助姿勢に回動する。このとき、左右方向の中央部寄りの蓋板222,222が傾斜姿勢となり、肥料袋を受け止め可能な状態となる。
この状態から2枚の蓋板222,222を離間する方向に移動させると、肥料ホッパ60L,60Rの上部のうち、左右方向の半分を覆う施肥作業姿勢となる。
前記左右のスライド蓋219,219は、肥料ホッパ60L,60Rの左右方向の中央部寄りの蓋板222,222同士を前後の連結アーム223,223で連結し、投入補助姿勢を維持する構成とする。
前記左右のスライド蓋219,219を投入補助姿勢とすると、前記前後のスライドレール218,218の左右長さよりも短い左右長さとなるので、スライドレール218,218に沿って左右方向に移動可能となる。このとき、肥料袋を載せて左右のスライド蓋219,219を左右方向にスライド移動させることにより、肥料ホッパ60L,60Rの左右方向に亘って均等に肥料を投入することができる。
なお、左右方向の中央部寄りの蓋板222,222に、肥料の放出範囲を制限する肥料ガイド224を設け、肥料を所定の範囲内に放出する構成とすると、肥料が偏って排出される箇所が生じにくく、より均等に肥料の投入が可能となる。
該肥料ガイド224は塩化ビニル等の軟質素材で構成すると、スライド蓋219,219の作業姿勢の変化に柔軟に対応できる。さらに、下部側に左右方向の渡し棒225を設けることにより、肥料ガイド224が撓みなく伸びることが可能になる。
上記構成により、投入補助姿勢としたスライド蓋219,219を左右にスライドさせることにより、肥料ホッパ60L,60Rに肥料を均等に供給することができるので、肥料の偏りを手作業で直す必要がなく、作業能率の向上や労力の軽減が図られる。
また、スライド蓋219,219をスライド移動させることにより、肥料ホッパ60L,60Rの左右幅方向に肥料袋を持ち上げた状態で移動する必要がなくなり、作業者の労力の軽減が図られる。
そして、スライド蓋219,219を肥料袋の移動機構とすることにより、別途肥料袋の移動機構を設ける必要がなく、部品点数の削減が図られる。
上記においては、補充用の肥料袋を走行車体2に積載しておく必要があるが、重量物である肥料袋を圃場外から走行車体2まで移動させるには、相応の労力が必要になる。
この労力を軽減すべく、前記予備苗枠38を苗枠リンクアーム38dによって予備苗載せ台38a,38b,38cが上下方向に重なり合う積層形態と、前後方向に直線状に並ぶ展開形態に切替可能に構成し、積層形態で最下部に位置する予備苗載せ台38cよりも下側に、肥料を貯留する肥料搬送台226を設ける。
該肥料搬送台226は、次のとおり構成する。
図21から図24で示すとおり、前記苗枠リンクアーム38dに設ける左右の保持フレーム227,227の後部の左右間に設ける前後回動軸228を設け、該前後回同軸228の左右方向中央部に、上下方向に左右回動軸229を前後方向に回動自在に装着する。そして、該左右回動軸229に肥料を貯留する肥料貯留タンク230の後部を連結すると共に、該貯留タンク230の機体内側端部に取付ステー231を設ける。また、該取付ステー231と、前記左右の保持フレーム227,227のうち、機体内側の保持フレーム227にはボルト等の固定部材232を貫通させる連結孔227a,231aを各々形成し、該連結孔227,231aに固定部材232を通して連結すると共に、貯留タンク230の回動を規制する。
さらに、前記貯留タンク230の前部には、肥料供給口230aを形成し、該肥料投入口230aの外周に螺子溝を形成すると共に、この螺子溝に対応する螺子溝を形成した肥料供給キャップ233を捩じ込み着脱自在に設ける。該肥料供給キャップ233の取付部233aは、肥料投入口230aへの着脱に対応した径とし、肥料を外部に放出する放出部233bは、取付部233aよりも小径とする。これにより、肥料搬送台226が構成される。
なお、放出部233bは蛇腹形状とし、力をかけるとある程度自在に屈曲可能に構成してもよい。
上記の肥料搬送台226は、予備苗枠38を積層形態とし、肥料供給キャップ233を外し、最下部の予備苗載せ台38cの下方に位置する肥料投入口230aを開放して、ここから肥料を投入する。そして、肥料を投入すると、肥料供給キャップ233を装着し、予備苗枠38を展開形態に切り替えて、肥料搬送台226を機体後側の肥料ホッパ60L,60Rの側方に移動させる。
このとき、肥料ホッパ60L,60Rの蓋60aを開けると共に、固定部材232を外して保持フレーム227と貯留タンク230の連結を解除し、貯留タンク230を前後回動軸228によって機体後側に回動させる。これにより、肥料投入口230a及び肥料供給キャップ233が機体後側で、且つ下方を向いた姿勢となり、肥料の放出が可能になる。そして、左右回動軸229によって貯留タンク230を機体左右方向、具体的には肥料ホッパ60L,60R側に回動させ、肥料ホッパ60L,60Rに肥料を投入可能な状態とする。
上記構成により、重い肥料袋を圃場外から走行車体2まで作業者が運ぶ必要がなくなり、作業者の労力が大幅に軽減される。
また、泥水の中を移動する機会が減少するので、圃場外や走行車体2上に泥土が溜まりにくく、作業後の掃除に要する時間と労力が軽減される。
そして、肥料搬送台226の貯留タンク230を、前後回動軸228及び左右回動軸229によって前後及び左右方向に回動可能に構成したことにより、簡単な操作で貯留タンク230を肥料ホッパ60L,60Rへの肥料の投入位置に移動させることができるので、操作性や作業能率が向上する。
前記予備苗枠38は、苗枠リンクアーム38dにより形態を変更できる、可変式の予備苗枠であるが、苗枠支柱236の上部に1または複数の予備苗載せ台237を回動可能に装着する、固定式の予備苗枠235も存在する。
図25で示すとおり、該固定式の予備苗枠235は、予備苗載せ台237の機体前部を苗枠支柱236に回動可能に装着し、植付作業中は予備苗載せ台237が走行車体2の左右外側方に突出し、苗や肥料の補充作業時には走行車体2の前方に突出する構成とする。
しかしながら、該予備苗載せ台237が自由に回動する構成では、機体の振動等によって常時予備苗載せ台237が回動し、植付作業中に作業者の視界を遮り視認性を低下させたり、苗や肥料の積み込み中に回動し、苗や肥料が落下したりすることが懸念される。
これを防止すべく、苗枠支柱236に予備苗載せ台237の回動を規制する回動規制ピン238を、上下方向に移動自在に装着し、該回動規制ピン238を、連結ワイヤ240を介して走行車体2の走行を停止させるブレーキペダル239と連結する。
該ブレーキペダル239を踏み込み操作すると、連結ワイヤ240が回動規制ピン238を下方に引っ張り、回動規制を解除する構成となる。
上記構成により、予備苗載せ台237が不必要に回動することを防止できるので、予備苗載せ台237が視認性を低下させることが防止され、圃場の状態に合わせた作業が行いやすく、作業能率が向上する。
また、苗や肥料を積み込み作業中に落としにくくなるので、苗や肥料が余分に消費されることが防止される。
上記の予備苗載せ台237に積載する苗は、手作業で植付装置4まで移動させるが、作業時に雨が降っていると、雨水を苗の培土が吸収することで重量が増加し、運びにくくなることがある。
これを防止すべく、図26で示すとおり、前記予備苗載せ台237の上部に、該予備苗載せ台237の前後及び左右幅よりも幅広な、苗枠雨除けバイザ241を設ける。
また、植付装置4に積載した苗も、雨水を吸収すると重量が増加し、上側の苗が下側の苗を圧縮し、設定している量よりも一度に植え付けられる苗の本数が増加する問題があるので、前記植付装置4の上方に植付雨除けバイザ242を設ける。
該植付雨除けバイザ242は、植付装置4の前端部よりも機体前側に突出すると共に、苗取出口51aの近傍まで、植付装置4の上方を覆う前後長さとする。
上記構成により、雨が降っていても苗の重量が増加することを防止できるので、苗の補充作業が容易になると共に、植え付ける苗の本数が設定どおりになるので、苗の消費量の増大が防止される。
前記植付装置4の下部に設けるセンターフロート55と左右のサイドフロート56,56は、圃場面を整地すると共に、植付装置4の作業高さを決める役割を果たしているが、圃場の水量が多いときや、土質が柔らかいときには、水や泥土を押し分けて水流を発生させ、植え付けられた苗を押し流すことがある。これにより、苗がない、所謂欠株が発生し、作物の収量が減少する問題が生じる。
図27(a)〜(c)で示すとおり、前記センターフロート55の機体左右方向の中央部で、且つセンターフロート55の下端部よりも上方に、前後方向の水抜孔55aを形成し、該水抜孔55aの内部に、回転させると水を吸い込む方向に角度が付けられたスクリュー羽根55bを回転可能に設ける。そして、該スクリュー羽根55bを回転させる水中モータ55cを設ける。
また、前記水抜孔55aの前端部には、左右方向の回動軸を支点として回動させることで開閉可能なフロート蓋55dを設ける。
上記構成により、スクリュー羽根55bを回転させると、センターフロート55の前端部が受ける水が水抜孔55aに吸い込まれるので、センターフロート55の左右両側に水流が生じにくくなる、あるいは水流が生じても勢いが弱まるので、植え付けた苗が押し流されることが防止される。
また、水抜孔55aの前端部にフロート蓋55dを設けたことにより、二期作や二毛作により圃場に分解されていない藁屑が多く残っており、水抜穴55a内に藁屑が入りやすいときは、フロート蓋55dを閉位置に回動させることにより、水抜孔55a内に詰まった藁屑を除去する作業が不要となり、除去作業に要する時間と労力が軽減される。
なお、一例としてセンターフロート55で説明したが、サイドフロート56,56を同様の構成としてもよい。