JP2018156763A - プラズマ発生用のアンテナ及びそれを備えるプラズマ処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】アンテナにコンデンサを組み込んでアンテナのインピーダンスを低減させるとともに、第1の電極となる導体要素と誘電体との間に生じる隙間を無くす。【解決手段】高周波電流が流されて、プラズマPを発生させるためのアンテナ3であって、少なくとも2つの導体要素31と、互いに隣り合う導体要素31の間に設けられて、それら導体要素31を絶縁する絶縁要素32と、互いに隣り合う導体要素31と電気的に直列接続された容量素子33とを備え、容量素子33は、互いに隣り合う導体要素31の一方の一部からなる第1の電極33Aと、第1の電極33Aの外面から絶縁要素32の外面に亘って設けられた誘電体33Cと、互いに隣り合う導体要素31の他方と電気的に接続されるとともに、誘電体33Cを介して第1の電極33Aに対向して配置された第2の電極33Bとを有し、誘電体33Cは、第1の電極33Aの外面に形成された誘電体材料からなるコーティング膜CFである。【選択図】図2
Description
本発明は、高周波電流が流されて誘導結合型のプラズマを発生させるためのアンテナ、及び、当該アンテナを備えたプラズマ処理装置に関するものである。
アンテナに高周波電流を流し、それによって生じる誘導電界によって誘導結合型のプラズマ(略称ICP)を発生させ、この誘導結合型のプラズマを用いて基板に処理を施すプラズマ処理装置が従来から提案されている。
この種のプラズマ処理装置においては、大型の基板に対応する等のためにアンテナを長くすると、当該アンテナのインピーダンスが大きくなり、それによってアンテナの両端間に大きな電位差が発生する。その結果、この大きな電位差の影響を受けてプラズマの密度分布、電位分布、電子温度分布等のプラズマの均一性が悪くなり、ひいては基板処理の均一性が悪くなるという問題がある。また、アンテナのインピーダンスが大きくなると、アンテナに高周波電流を流しにくくなるという問題もある。
このような問題を解決する等のために、特許文献1に示すように、複数の金属パイプを、隣り合う金属パイプ間に中空絶縁体を介在させて接続するとともに、中空絶縁体の外周部にコンデンサを配置したものが考えられている。このコンデンサは、中空絶縁体の両側の金属パイプに電気的に直列接続されており、中空絶縁体の一方側の金属パイプの一部からなる第1の電極と、第1の電極の外面から絶縁パイプの外面に亘って設けられた誘電体シートと、中空絶縁体の他方側の金属パイプに電気的に接続されるとともに、誘電体を介して第1の電極に対向して配置された第2の電極とを有している。
しかしながら、上記のコンデンサは、第1の電極となる金属パイプの外面に誘電体シートを巻き付ける構造であるため、第1の電極及び誘電体の間に隙間が生じる可能性がある。そうすると、この隙間においてアーク放電が発生し、誘電体の損傷又はコンデンサの劣化に繋がる可能性が考えられるため、コンデンサの構造に改善の余地がある。
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、アンテナに容量素子を組み込んでアンテナのインピーダンスを低減させるとともに、第1の電極となる導体要素と誘電体との間に生じる隙間を無くすことをその主たる課題とするものである。
すなわち本発明に係るプラズマ発生用のアンテナは、高周波電流が流されて、プラズマを発生させるためのアンテナであって、少なくとも2つの導体要素と、互いに隣り合う前記導体要素の間に設けられて、それら導体要素を絶縁する絶縁要素と、互いに隣り合う前記導体要素と電気的に直列接続された容量素子とを備え、前記容量素子は、互いに隣り合う前記導体要素の一方の一部からなる第1の電極と、前記第1の電極の外面から前記絶縁要素の外面に亘って設けられた誘電体と、互いに隣り合う前記導体要素の他方と電気的に接続されるとともに、前記誘電体を介して前記第1の電極に対向して配置された第2の電極とを有し、前記誘電体は、前記第1の電極の外面に形成された誘電体材料からなるコーティング膜であることを特徴とする。
このようなプラズマ発生用のアンテナであれば、絶縁要素を介して互いに隣り合う導体要素に容量素子を電気的に直列接続しているので、アンテナの合成リアクタンスは、簡単に言えば、誘導性リアクタンスから容量性リアクタンスを引いた形になるので、アンテナのインピーダンスを低減させることができる。その結果、アンテナを長くする場合でもそのインピーダンスの増大を抑えることができ、アンテナに高周波電流が流れやすくなり、プラズマを効率良く発生させることができる。
特に本発明によれば、誘電体が第1の電極の外面に形成された誘電体材料からなるコーティング膜であるので、第1の電極及び誘電体の間に生じる隙間を無くすことができる。その結果、第1の電極及び誘電体の間の隙間に発生しうるアーク放電を無くし、そのアーク放電に起因する容量素子の破損を無くすことができる。また、従来のように誘電体シートを導体要素に取り付ける構成では、組み立て時に取り付け位置の管理が必要であったが、誘電体をコーティング膜にすることにより、組み立て時における位置管理が不要となり、製造上の品質を安定化させることができる。
特に本発明によれば、誘電体が第1の電極の外面に形成された誘電体材料からなるコーティング膜であるので、第1の電極及び誘電体の間に生じる隙間を無くすことができる。その結果、第1の電極及び誘電体の間の隙間に発生しうるアーク放電を無くし、そのアーク放電に起因する容量素子の破損を無くすことができる。また、従来のように誘電体シートを導体要素に取り付ける構成では、組み立て時に取り付け位置の管理が必要であったが、誘電体をコーティング膜にすることにより、組み立て時における位置管理が不要となり、製造上の品質を安定化させることができる。
前記第2の電極は、前記導体要素の他方及び前記誘電体の外面に形成された導電性材料からなるコーティング膜から形成されていることが望ましい。
この構成であれば、第1の電極及び誘電体の間に生じる隙間だけでなく、誘電体及び第2の電極の間に生じる隙間を無くすことができる。その結果、誘電体及び第2の電極の間の隙間に発生しうるアーク放電を無くし、そのアーク放電に起因する容量素子の破損を無くすことができる。また、容量素子を構成する電極及び誘電体の間に生じる隙間を無くすことができるので、隙間を考慮することなく、第1の電極及び第2の電極の距離、対向面積及び誘電体の比誘電率からキャパシタンス値を精度良く設定することができる。さらに、隙間を埋めるための電極及び誘電体を押圧する構造も不要にすることができ、当該押圧構造によるアンテナ周辺の構造の複雑化及びそれにより生じるプラズマの均一性の悪化を防ぐことができる。
この構成であれば、第1の電極及び誘電体の間に生じる隙間だけでなく、誘電体及び第2の電極の間に生じる隙間を無くすことができる。その結果、誘電体及び第2の電極の間の隙間に発生しうるアーク放電を無くし、そのアーク放電に起因する容量素子の破損を無くすことができる。また、容量素子を構成する電極及び誘電体の間に生じる隙間を無くすことができるので、隙間を考慮することなく、第1の電極及び第2の電極の距離、対向面積及び誘電体の比誘電率からキャパシタンス値を精度良く設定することができる。さらに、隙間を埋めるための電極及び誘電体を押圧する構造も不要にすることができ、当該押圧構造によるアンテナ周辺の構造の複雑化及びそれにより生じるプラズマの均一性の悪化を防ぐことができる。
導体要素の表面は、保管環境や使用環境等による表面酸化等によって表面抵抗(表皮電流深さ)が変化してしまう。この表面抵抗の変化によってプラズマの均一性が悪化してしまう恐れがある。
この問題を好適に解決するためには、前記誘電体材料からなるコーティング膜は、前記導体要素の外面において前記電極が接続される部分を除いた全体に形成されていることが望ましい。
この構成であれば、導体要素の外面において外気に触れる部分に誘電体材料からなるコーティング膜を形成しているので、表面酸化等を抑えて表面抵抗の変化を抑制することができる。その結果、導体要素に安定して電流を流すことができ、プラズマの均一性の悪化を防ぐことができる。
この問題を好適に解決するためには、前記誘電体材料からなるコーティング膜は、前記導体要素の外面において前記電極が接続される部分を除いた全体に形成されていることが望ましい。
この構成であれば、導体要素の外面において外気に触れる部分に誘電体材料からなるコーティング膜を形成しているので、表面酸化等を抑えて表面抵抗の変化を抑制することができる。その結果、導体要素に安定して電流を流すことができ、プラズマの均一性の悪化を防ぐことができる。
アンテナを冷却してプラズマを安定して発生させるためには、前記導体要素及び前記絶縁要素は、管状をなすものであり、前記導体要素及び前記絶縁要素の内部に冷却液が流れるように構成されていることが望ましい。
この構成であれば、第1の電極となる導体要素の外面に誘電体が密着しているので、導体要素に冷却液を流すことによる誘電体の冷却効率を向上させることができ、これによっても、容量素子の熱劣化を防ぐことができる。
この構成であれば、第1の電極となる導体要素の外面に誘電体が密着しているので、導体要素に冷却液を流すことによる誘電体の冷却効率を向上させることができ、これによっても、容量素子の熱劣化を防ぐことができる。
また本発明に係るプラズマ処理装置は、真空排気されかつガスが導入される真空容器と、前記真空容器内に配置されたアンテナと、前記アンテナに高周波電流を流す高周波電源とを備え、前記アンテナによって発生させたプラズマを用いて基板に処理を施すように構成されており、前記アンテナが上述した構成であることを特徴とする。
このプラズマ処理装置によれば、上述したアンテナにより均一性の良いプラズマを効率良く発生させることができるので、基板処理の均一性及び効率を高めることができる。
このプラズマ処理装置によれば、上述したアンテナにより均一性の良いプラズマを効率良く発生させることができるので、基板処理の均一性及び効率を高めることができる。
このように構成した本発明によれば、アンテナに容量素子を組み込むことによってアンテナのインピーダンスを低減させるとともに、第1の電極となる導体要素と誘電体との間に生じる隙間を無くすことができるので、その隙間に生じ得るアーク放電を無くし、そのアーク放電に起因する容量素子の破損を無くすことができる。
以下に、本発明に係るプラズマ処理装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
<装置構成>
本実施形態のプラズマ処理装置100は、誘導結合型のプラズマPを用いて基板Wに処理を施すものである。ここで、基板Wは、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(FPD)用の基板、フレキシブルディスプレイ用のフレキシブル基板等である。また、基板Wに施す処理は、例えば、プラズマCVD法による膜形成、エッチング、アッシング、スパッタリング等である。
本実施形態のプラズマ処理装置100は、誘導結合型のプラズマPを用いて基板Wに処理を施すものである。ここで、基板Wは、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(FPD)用の基板、フレキシブルディスプレイ用のフレキシブル基板等である。また、基板Wに施す処理は、例えば、プラズマCVD法による膜形成、エッチング、アッシング、スパッタリング等である。
なお、このプラズマ処理装置100は、プラズマCVD法によって膜形成を行う場合はプラズマCVD装置、エッチングを行う場合はプラズマエッチング装置、アッシングを行う場合はプラズマアッシング装置、スパッタリングを行う場合はプラズマスパッタリング装置とも呼ばれる。
具体的にプラズマ処理装置100は、図1に示すように、真空排気され且つガス7が導入される真空容器2と、真空容器2内に配置された直線状のアンテナ3と、真空容器2内に誘導結合型のプラズマPを生成するための高周波をアンテナ3に印加する高周波電源4とを備えている。なお、アンテナ3に高周波電源4から高周波を印加することによりアンテナ3には高周波電流IRが流れて、真空容器2内に誘導電界が発生して誘導結合型のプラズマPが生成される。
真空容器2は、例えば金属製の容器であり、その内部は真空排気装置6によって真空排気される。真空容器2はこの例では電気的に接地されている。
真空容器2内に、例えば流量調整器(図示省略)及びアンテナ3に沿う方向に配置された複数のガス導入口21を経由して、ガス7が導入される。ガス7は、基板Wに施す処理内容に応じたものにすれば良い。例えば、プラズマCVD法によって基板Wに膜形成を行う場合には、ガス7は、原料ガス又はそれを希釈ガス(例えばH2)で希釈したガスである。より具体例を挙げると、原料ガスがSiH4の場合はSi膜を、SiH4+NH3の場合はSiN膜を、SiH4+N2OもしくはSiH4+O2の場合はSiO2膜を、SiF4+N2の場合はSiN:F膜(フッ素化シリコン窒化膜)を、それぞれ基板W上に形成することができる。
また、真空容器2内には、基板Wを保持する基板ホルダ8が設けられている。この例のように、基板ホルダ8にバイアス電源9からバイアス電圧を印加するようにしても良い。バイアス電圧は、例えば負の直流電圧、負のバイアス電圧等であるが、これに限られるものではない。このようなバイアス電圧によって、例えば、プラズマP中の正イオンが基板Wに入射する時のエネルギーを制御して、基板Wの表面に形成される膜の結晶化度の制御等を行うことができる。基板ホルダ8内に、基板Wを加熱するヒータ81を設けておいても良い。
アンテナ3は、真空容器2内における基板Wの上方に、基板Wの表面に沿うように(例えば、基板Wの表面と実質的に平行に)配置されている。真空容器2内に配置するアンテナ3は、1つでも良いし、複数でも良い。
アンテナ3の両端部付近は、真空容器2の相対向する側壁2a、2bをそれぞれ貫通している。アンテナ3の両端部を真空容器2外へ貫通させる部分には、絶縁部材11がそれぞれ設けられている。この各絶縁部材11を、アンテナ3の両端部が貫通しており、その貫通部は例えばパッキン12によって真空シールされている。各絶縁部材11と真空容器2との間も、例えばパッキン13によって真空シールされている。なお、絶縁部材11の材質は、例えば、アルミナ等のセラミックス、石英、又はポリフェニンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のエンジニアリングプラスチック等である。
さらに、アンテナ3において、真空容器2内に位置する部分は、直管状の絶縁カバー10により覆われている。この絶縁カバー10の両端部は絶縁部材11によって支持されている。なお、絶縁カバー10の両端部と絶縁部材11間はシールしなくても良い。絶縁カバー10内の空間にガス7が入っても、当該空間は小さくて電子の移動距離が短いので、通常は空間にプラズマPは発生しないからである。なお、絶縁カバー10の材質は、例えば、石英、アルミナ、フッ素樹脂、窒化シリコン、炭化シリコン、シリコン等である。
絶縁カバー10を設けることによって、プラズマP中の荷電粒子がアンテナ3を構成する金属パイプ31に入射するのを抑制することができるので、金属パイプ31に荷電粒子(主として電子)が入射することによるプラズマ電位の上昇を抑制することができると共に、金属パイプ31が荷電粒子(主としてイオン)によってスパッタされてプラズマPおよび基板Wに対して金属汚染(メタルコンタミネーション)が生じるのを抑制することができる。
アンテナ3の一端部である給電端部3aには、整合回路41を介して高周波電源4が接続されており、他端部である終端部3bは直接接地されている。なお、終端部3bは、コンデンサ又はコイル等を介して接地しても良い。
上記構成によって、高周波電源4から、整合回路41を介して、アンテナ3に高周波電流IRを流すことができる。高周波の周波数は、例えば、一般的な13.56MHzであるが、これに限られるものではない。
アンテナ3は、内部に冷却液CLが流通する流路を有する中空構造のものである。具体的にアンテナ3は、図2に示すように、少なくとも2つの管状をなす金属製の導体要素31(以下、「金属パイプ31」という。)と、互いに隣り合う金属パイプ31の間に設けられて、それら金属パイプ31を絶縁する管状の絶縁要素32(以下、「絶縁パイプ32」という。)と、互いに隣り合う金属パイプ31と電気的に直列接続された容量素子であるコンデンサ33とを備えている。
本実施形態では金属パイプ31の数は2つであり、絶縁パイプ32及びコンデンサ33の数は各1つである。以下の説明において、一方の金属パイプ31を「第1の金属パイプ31A」、他方の金属パイプを「第2の金属パイプ31B」ともいう。なお、アンテナ3は、3つ以上の金属パイプ31を有する構成であってもしても良く、この場合、絶縁パイプ32及びコンデンサ33の数はいずれも金属パイプ31の数よりも1つ少ないものになる。
なお、冷却液CLは、真空容器2の外部に設けられた循環流路14によりアンテナ3を流通するものであり、前記循環流路14には、冷却液CLを一定温度に調整するための熱交換器などの温調機構141と、循環流路14において冷却液CLを循環させるためのポンプなどの循環機構142とが設けられている。冷却液CLとしては、電気絶縁の観点から、高抵抗の水が好ましく、例えば純水またはそれに近い水が好ましい。その他、例えばフッ素系不活性液体などの水以外の液冷媒を用いても良い。
金属パイプ31は、内部に冷却液CLが流れる直線状の流路31xが形成された直管状をなすものである。そして、金属パイプ31の少なくとも長手方向一端部の外周部には、雄ねじ部31aが形成されている。本実施形態の金属パイプ31は、雄ねじ部31aが形成された端部とそれ以外の部材とを別部品により形成してそれらを接合しているが、単一の部材から形成しても良い。なお、複数の金属パイプ31を接続する構成との部品の共通化を図るべく、金属パイプ31の長手方向両端部に雄ねじ部31aを形成して互換性を持たせておくことが望ましい。金属パイプ31の材質は、例えば、銅、アルミニウム、これらの合金、ステンレス等である。
絶縁パイプ32は、内部に冷却液CLが流れる直線状の流路32xが形成された直管状をなすものである。そして、絶縁パイプ32の軸方向両端部の側周壁には、金属パイプ31の雄ねじ部31aと螺合して接続される雌ねじ部32aが形成されている。本実施形態の絶縁パイプ32は、単一の部材から形成しているが、これに限られない。なお、絶縁パイプ32の材質は、例えば、アルミナ、フッ素樹脂、ポリエチレン(PE)、エンジニアリングプラスチック(例えばポリフェニンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)など)等である。
ここで、金属パイプ31と絶縁パイプ32とは、金属パイプ31に設けられた凸部31zと絶縁パイプ32に設けられた凹部32zとが係合することにより液密に接続される。具体的には、この凸部31zの外周部に雄ねじ部31aが形成されており、凹部32zの内周部に雄ねじ部31aに螺合する雌ねじ部32aが形成されている。凸部31zにおいて雄ねじ部31aよりも基端側に凹部32zの内周との間に液密にシールするための例えばOリング等のシール構造15が設けられている。
コンデンサ33は、互いに隣り合う金属パイプ31の一方(第1の金属パイプ31A)の一部を構成要素とする層状のものである。具体的にコンデンサ33は、第1の金属パイプ31Aの一部からなる第1の電極33Aと、第1の電極33Aの外面から絶縁パイプ32の外面に亘って設けられた誘電体33Cと、互いに隣り合う金属パイプ31の他方(第2の金属パイプ31B)と電気的に接続されるとともに、誘電体33Cを介して第1の電極33Aに対向して配置された第2の電極33Bとを有している。つまり、第1の電極33Aとなる第1の金属パイプ31Aの一部の外面に誘電体33C及び第2の電極33Bが積層された構造となる。
第1の電極33Aは、第1の金属パイプ31Aにおける絶縁パイプ32側の端部に、具体的には、絶縁パイプ32側の一端から軸方向に沿って所定範囲に亘って設定されている。なお、第1の電極33Aは、第1の金属パイプ31Aにおいて後述する誘電体33Cが設けられて誘電体33Cにより被覆された部分でもある。
誘電体33Cは、第1の金属パイプ31Aの絶縁パイプ32側の端部の外面に設けられている。また、誘電体33Cは、第1の金属パイプ31Aの前記端部の外面において全周に亘って設けられている。この誘電体33Cの材質は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、アルミナ等のセラミックス等である。
そして、誘電体33Cは、第1の電極33Aの外面に形成された誘電体材料からなるコーティング膜CFにより構成されている。本実施形態では、第1の金属パイプ31Aにおいて第1の電極33Aとなる部分の外面だけでなく、その他に、第1の金属パイプ31Aの外面において第2の電極33Bが接続される部分31kを除いた部分にも誘電体材料からなるコーティング膜CFが形成されている。このコーティング膜CFの形成方法としては、ディップコーティング法や溶射法等を用いることができる。
また、上述した金属パイプ31の雄ねじ部31aと絶縁パイプ32の雌ねじ部32aとが螺合して液密に接続されることにより、金属パイプ31における凸部31zの外側にある軸方向端面と、絶縁パイプ32における凹部32zの外側にある軸方向端面とが対向することになる。この構造において、金属パイプ31における凸部31zの外側にある軸方向端面にも、前記コーティング膜CFが形成されている。この構成により、金属パイプ31と絶縁パイプ32とが接続された状態において、金属パイプ31の軸方向端面と絶縁パイプ32の軸方向端面との間には、絶縁体が介在することになる。その結果、金属パイプ31における凸部31zの外側にある軸方向端面部分31rと、第2の電極33Bとの放電を防止することができる。
第2の電極33Bは、誘電体33Cの絶縁パイプ32側の端部の外面から、絶縁パイプ32を介して、第2の金属パイプ31Bの絶縁パイプ32側の端部の外面に亘って連続的に設けられている。また、第2の電極33Bは、誘電体33Cの前記端部の外面において全周に亘って設けられており、絶縁パイプ32の外面において全周に亘って設けられており、前記第2の金属パイプ31Bの前記端部の外面において全周に亘って設けられている。この第2の電極33Bは、例えば金属の膜、箔、フィルム、シート等である。第2の電極33Bの材質は、例えば、アルミニウム、銅、これらの合金等である。
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態のプラズマ処理装置100によれば、絶縁パイプ32を介して互いに隣り合う金属パイプ31にコンデンサ33を電気的に直列接続しているので、アンテナ3の合成リアクタンスは、簡単に言えば、誘導性リアクタンスから容量性リアクタンスを引いた形になるので、アンテナ3のインピーダンスを低減させることができる。その結果、アンテナ3を長くする場合でもそのインピーダンスの増大を抑えることができ、アンテナ3に高周波電流が流れやすくなり、誘導結合型のプラズマPを効率良く発生させることができる。
このように構成した本実施形態のプラズマ処理装置100によれば、絶縁パイプ32を介して互いに隣り合う金属パイプ31にコンデンサ33を電気的に直列接続しているので、アンテナ3の合成リアクタンスは、簡単に言えば、誘導性リアクタンスから容量性リアクタンスを引いた形になるので、アンテナ3のインピーダンスを低減させることができる。その結果、アンテナ3を長くする場合でもそのインピーダンスの増大を抑えることができ、アンテナ3に高周波電流が流れやすくなり、誘導結合型のプラズマPを効率良く発生させることができる。
特に本実施形態によれば、誘電体33Cが第1の電極33Aの外面に形成された誘電体材料からなるコーティング膜CFであるので、第1の電極33A及び誘電体33Cの間に生じる隙間を無くすことができる。その結果、第1の電極33A及び誘電体33Cの間の隙間に発生しうるアーク放電を無くし、そのアーク放電に起因するコンデンサ33の破損を無くすことができる。また、従来のように誘電体シートを金属パイプ31に取り付ける構成では、組み立て時に取り付け位置の管理が必要であったが、誘電体33Cをコーティング膜CFから形成することにより、組み立て時における位置管理が不要となり、製造上の品質を安定化させることができる。
さらに、金属パイプ31及び絶縁パイプ32の内部に冷却液が流れるように構成されているので、アンテナ3を冷却してプラズマPを安定して発生させることができる。この構成において、第1の電極33Aとなる金属パイプ31の外面に誘電体33Cが密着しているので、金属パイプ31に冷却液を流すことによる誘電体33Cの冷却効率を向上させることができ、これによっても、コンデンサ33の熱劣化を防ぐことができる。
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、前記実施形態の第2の電極を、第2の金属パイプ31B及び誘電体33Cの外面に形成された導電性材料からなるコーティング膜から構成しても良い。この構成であれば、第1の電極33A及び誘電体33Cの間に生じる隙間だけでなく、誘電体33C及び第2の電極33Bの間に生じる隙間を無くすことができる。その結果、誘電体33C及び第2の電極33Bの間の隙間に発生しうるアーク放電を無くし、そのアーク放電に起因するコンデンサ33の破損を無くすことができる。また、コンデンサ33を構成する電極33A、33B及び誘電体33Cの間に生じる隙間を無くすことができるので、隙間を考慮することなく、第1の電極33A及び第2の電極33Bの距離、対向面積及び誘電体の比誘電率からキャパシタンス値を精度良く設定することができる。さらに、隙間を埋めるための電極33A、33B及び誘電体33Cを押圧する構造も不要にすることができ、当該押圧構造によるアンテナ3周辺の構造の複雑化及びそれにより生じるプラズマPの均一性の悪化を防ぐことができる。
また、第2の電極33Bの外面にも、金属パイプ31と同様に、誘電体材料からなるコーティング膜を施しても良い。この構成であれば、第2の電極33Bの外面において外気に触れる部分に誘電体材料からなるコーティング膜を形成しているので、表面酸化等を抑えて表面抵抗の変化を抑制することができる。その結果、プラズマPの均一性の悪化を防ぐことができる。
その上、前記実施形態では、アンテナは直線状をなすものであったが、湾曲又は屈曲した形状であっても良い。この場合、金属パイプが湾曲又は屈曲した形状であっても良いし、絶縁パイプが湾曲又は屈曲した形状であっても良い。
加えて、導体要素及び絶縁要素は、1つの内部流路を有する管状をなすものであったが、2以上の内部流路を有するもの、或いは、分岐した内部流路を有するものであっても良い。また、導体要素及び/又は絶縁要素が中実のものであっても良い。
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
100・・・プラズマ処理装置
W ・・・基板
P ・・・プラズマ
2 ・・・真空容器
3 ・・・アンテナ
31 ・・・金属パイプ(導体要素)
32 ・・・絶縁パイプ(絶縁要素)
33 ・・・コンデンサ
33A・・・第1の電極
33B・・・第2の電極
33C・・・誘電体
CF ・・・コーティング膜
CL ・・・冷却液
4 ・・・高周波電源
W ・・・基板
P ・・・プラズマ
2 ・・・真空容器
3 ・・・アンテナ
31 ・・・金属パイプ(導体要素)
32 ・・・絶縁パイプ(絶縁要素)
33 ・・・コンデンサ
33A・・・第1の電極
33B・・・第2の電極
33C・・・誘電体
CF ・・・コーティング膜
CL ・・・冷却液
4 ・・・高周波電源
Claims (5)
- 高周波電流が流されて、プラズマを発生させるためのアンテナであって、
少なくとも2つの導体要素と、互いに隣り合う前記導体要素の間に設けられて、それら導体要素を絶縁する絶縁要素と、互いに隣り合う前記導体要素と電気的に直列接続された容量素子とを備え、
前記容量素子は、互いに隣り合う前記導体要素の一方の一部からなる第1の電極と、前記第1の電極の外面から前記絶縁要素の外面に亘って設けられた誘電体と、互いに隣り合う前記導体要素の他方と電気的に接続されるとともに、前記誘電体を介して前記第1の電極に対向して配置された第2の電極とを有し、
前記誘電体は、前記第1の電極の外面に形成された誘電体材料からなるコーティング膜であるアンテナ。 - 前記第2の電極は、前記導体要素の他方及び前記誘電体の外面に形成された導電性材料からなるコーティング膜から形成されている、請求項1記載のアンテナ。
- 前記誘電体材料からなるコーティング膜は、前記導体要素の外面において前記電極が接続される部分を除いた全体に形成されている、請求項1又は2記載のアンテナ。
- 前記導体要素及び前記絶縁要素は、管状をなすものであり、
前記導体要素及び前記絶縁要素の内部に冷却液が流れるように構成されている、請求項1乃至3の何れか一項に記載のアンテナ。 - 真空排気されかつガスが導入される真空容器と、
前記真空容器内に配置された請求項1乃至4の何れか一項に記載のアンテナと、
前記アンテナに高周波電流を流す高周波電源とを備え、
前記アンテナによって発生させたプラズマを用いて基板に処理を施すように構成されているプラズマ処理装置。
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JP2017051061A JP2018156763A (ja) | 2017-03-16 | 2017-03-16 | プラズマ発生用のアンテナ及びそれを備えるプラズマ処理装置 |
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