JP2018154944A - ミシン糸 - Google Patents
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Abstract
【課題】ミシン縫製により導電パターンを自在に布帛上に形成でき、かつ可縫性および耐熱性に優れたミシン糸を提供する。
【解決手段】導電性長繊維と、限界酸素指数LOIが26以上の難燃性繊維とを含むミシン糸。導電性長繊維が、金属繊維、又は有機繊維に金属メッキした金属メッキ繊維であり、金属繊維が銅繊維、金属メッキ繊維が銅メッキ繊維であり、難燃性繊維がメタ型全芳香族ポリアミド繊維である、ミシン糸。導電性繊維と難燃繊維が合撚されてミシン糸に含まれ、引張強さが800cN以上であり、電気抵抗が10−2Ω/km以下であることが好ましい、ミシン糸。
【選択図】なし
【解決手段】導電性長繊維と、限界酸素指数LOIが26以上の難燃性繊維とを含むミシン糸。導電性長繊維が、金属繊維、又は有機繊維に金属メッキした金属メッキ繊維であり、金属繊維が銅繊維、金属メッキ繊維が銅メッキ繊維であり、難燃性繊維がメタ型全芳香族ポリアミド繊維である、ミシン糸。導電性繊維と難燃繊維が合撚されてミシン糸に含まれ、引張強さが800cN以上であり、電気抵抗が10−2Ω/km以下であることが好ましい、ミシン糸。
【選択図】なし
Description
本発明は、ミシン縫製により導電パターンを自在に布帛上に形成でき、かつ可縫性および耐熱性に優れたミシン糸に関する。
近年、さまざまなバイタルデータ(体温、湿度、心拍、脈拍等)を採取できるウエアラブルセンサーや、通電により発熱、通風、冷却、振動するデバイスを布帛または服地上に実装されたスマートウエアが提案されている。また、こういったウエアラブルデバイスを服地上に実装する際、デバイス間の通信および電力の供給に不可欠な導電回路を服地上に形成する必要がある。
自由自在に導電パターンを形成する方法としては織、編組織内に導電糸を織り込む、編み込むよりもミシン縫製で導電糸を必要な個所に導入するのが簡便である。しかしながら、信号伝送に使用できる金属レベルの導電糸をそのままミシン縫製すると、ミシン針と導電糸との摩擦により双方の損耗が大きいという問題があった。また、導電パターンに電気的に接続するために一般的に用いられるハンダ付を可能とするためには、ミシン糸自体耐熱性を高くする必要があった。
耐熱性を有するミシンとして、導電物質としてカーボンブラックなどを芳香族ポリアミド繊維に分散させた耐熱制電性ミシン糸が提案されているが、到達できる電気抵抗率は大きく、帯電防止には使用できるものの電気抵抗による電圧降下が高すぎ、信号伝送、電力伝送に向かないという問題があった(例えば、特許文献1〜3)。
生地の伸縮性、柔軟性、軽量性、人体の動きを妨げない、必要な位置に自在に導電パターンが形成できかつ低電気抵抗のミシン糸はこれまであまり提案されてない。
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、その目的は、ミシン縫製により導電パターンを自在に布帛上に形成でき、かつ可縫性および耐熱性に優れたミシン糸を提供することにある。
本発明者は上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、用いる繊維等を巧みに工夫することによりミシン縫製により導電パターンを自在に布帛上に形成でき、かつ可縫性および耐熱性に優れたミシン糸が得られることを見出し、さらに鋭意検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば「導電性長繊維と、限界酸素指数LOIが26以上の難燃性繊維とを含むことを特徴とするミシン糸。」が提供される。
その際、前記導電性長繊維が、金属繊維、または有機繊維に金属メッキした金属メッキ繊維であることが好ましい。その際、前記金属繊維が銅繊維であることが好ましい。また、前記金属メッキ繊維が銅メッキ繊維であることが好ましい。また、前記難燃性繊維がメタ型全芳香族ポリアミド繊維であることが好ましい。また、前記導電性長繊維と難燃繊維とが合撚されてミシン糸に含まれることが好ましい。その際、ミシン糸に下記の撚係数Kが7000〜9000の撚りが掛けられていることが好ましい。
K=T×√D
ただし、T:撚数(回/m)、D:難燃性繊維の総繊度(dtex)
K=T×√D
ただし、T:撚数(回/m)、D:難燃性繊維の総繊度(dtex)
本発明のミシン糸において、前記導電性長繊維と難燃繊維との占有断面積比Rが0.2〜0.5の範囲内であることが好ましい。
R=Sc/Sn
ただし、Sc:導電性長繊維の占有断面積、Sn:難燃繊維の占有断面積
R=Sc/Sn
ただし、Sc:導電性長繊維の占有断面積、Sn:難燃繊維の占有断面積
また、ミシン糸の引張強さが800cN以上であることが好ましい。また、ミシン糸の抵抗値が10−2Ω/km以下であることが好ましい。
本発明によれば、ミシン縫製により導電パターンを自在に布帛上に形成でき、かつ可縫性および耐熱性に優れたミシン糸が得られる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。まず、本発明のミシン糸は、導電性長繊維と、限界酸素指数LOIが26以上の難燃性繊維とを含む。
ここで、前記導電性長繊維については、導電性維持の点から長繊維であることが必要である。短繊維からなる導電糸を混紡した形態では導電路が断続するため、導電性が低下し好ましくない。
かかる導電性長繊維において、金属並みの導電性能を必要とすることから電気抵抗率は1.0Ωm以下(より好ましくは1.0〜10−10〜1.0〜10−2Ωm)が好ましい。また、柔軟性の点で複数の細い長繊維(マルチフィラメント)であることが好ましい。その際、単繊維径としては0.08mm以下(より好ましくは0.0000001〜0.08mm)であることが好ましい。収束状態での断面の外接円の直径としては0.18mm以下(より好ましくは0.0000001mm〜0.18mm)であることが好ましい。単繊維径や収束状態での断面の外接円の直径が上記よりも大きいと、縫製時の屈曲で、導電性長繊維が破断するおそれがある。
また、前記導電性長繊維において、引張強さが800cN以上(より好ましくは800〜10000cN)であることが好ましい。引張強さが上記より小さいと、ミシン糸製造時の撚糸張力に導電性長繊維が耐えないおそれがある。
また、前記導電性長繊維において、JIS L1091−1999 E法により測定した限界酸素指数LOIが26以上(好ましくは26〜40)であることが好ましい。かかる限界酸素指数LOIが26より小さいと、ミシン針の擦過、摩耗に耐えることができず、また、導電パターンがはんだ付けできないおそれがある。また、前記導電性長繊維において、分解温度が400℃以上であり実質的に溶融しないことが好ましい。
前記導電性長繊維として好適な繊維としては、銅線を1本または複数本(好ましくは3〜20本)引き揃えたものや、パラ系芳香族ポリアミド長繊維に銅メッキを施したものなどが例示される。表面をさらにスズメッキすることで耐錆性を向上させてもよい。なかでも、コポリパラフェニレン−3、4’−オキシジフェニレン・テレフタルアミド繊維(例えば、帝人株式会社製、「テクノーラ」(登録商標))に銅メッキを施した銅メッキ繊維は耐熱性、強力、柔軟性が高く好ましい。なお、銅メッキについては、例えば特開2010−100934号公報の方法により製造することができる。また、導電性長繊維にエナメル被覆することで不必要な電気的接触を回避することが可能となる。
一方、難燃性繊維としては、JIS L1091−1999 E法により測定した限界酸素指数LOIが26以上(好ましくは26〜40)の難燃繊維であることが肝要である。かかる限界酸素指数LOIが26より小さいと、ミシン針の擦過、摩耗に耐えることができず、また、導電パターンがはんだ付けできないおそれがある。また、難燃性繊維において、分解温度が400℃以上であり実質的に溶融しないことが好ましい。
かかる難燃性繊維としては、メタ型全芳香族ポリアミド繊維が好ましい。ここで、メタ型全芳香族ポリアミド繊維とは、その繰返し単位の85モル%以上がm−フェニレンイソフタルアミドであるポリマーからなる繊維である。かかるメタ型全芳香族ポリアミドは、15モル%未満の範囲内で第3成分を含んだ共重合体であってもよい。
このようなメタ型全芳香族ポリアミドは、従来から公知の界面重合法により製造することができ、そのポリマーの重合度としては、0.5g/100mlの濃度のN−メチル−2−ピロリドン溶液で測定した固有粘度(I.V.)が1.3〜1.9dl/gの範囲のものが好ましく用いられる。
上記メタ型全芳香族ポリアミドにはアルキルベンゼンスルホン酸オニウム塩が含有されていてもよい。アルキルベンゼンスルホン酸オニウム塩としては、ヘキシルベンゼンスルホン酸テトラブチルフォスフォニウム塩、ヘキシルベンゼンスルホン酸トリブチルベンジルフォスフォニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラフェニルフォスフォニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸トリブチルテトラデシルフォスフォニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルフォスフォニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸トリブチルベンジルアンモニウム塩等の化合物が好ましく例示される。なかでもドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルフォスフォニウム塩、又はドデシルベンゼンスルホン酸トリブチルベンジルアンモニウム塩は、入手しやすく、熱的安定性も良好なうえ、N−メチル−2−ピロリドンに対する溶解度も高いため特に好ましく例示される。
上記アルキルベンゼンスルホン酸オニウム塩の含有割合は、十分な染色性の改良効果を得るために、ポリ−m−フェニレンイソフタルアミドに対して2.5モル%以上、好ましくは3.0〜7.0モル%の範囲にあるものが好ましい。
また、ポリ−m−フェニレンイソフタルアミドとアルキルベンゼンスルホン酸オニウム塩を混合する方法としては、溶媒中にポリ−m−フェニレンイソフタルアミドを混合、溶解し、それにアルキルベンゼンスルホン酸オニウム塩を溶媒に溶解する方法などが用いられそのいずれを用いてもよい。このようにして得られたドープは、従来から公知の方法により繊維に形成される。
メタ型全芳香族ポリアミド繊維に用いるポリマーは、染着性や耐変褪色性を向上させる等目的で、下記の式(1)で示される反復構造単位を含む芳香族ポリアミド骨格中に、反復構造の主たる構成単位とは異なる芳香族ジアミン成分、または芳香族ジカルボン酸ハライド成分を、第3成分として芳香族ポリアミドの反復構造単位の全量に対し1〜10mol%となるように共重合させることも可能である。
−(NH−Ar1−NH−CO−Ar1−CO)− ・・・式(1)
ここで、Ar1はメタ配位または平行軸方向以外に結合基を有する2価の芳香族基である。
−(NH−Ar1−NH−CO−Ar1−CO)− ・・・式(1)
ここで、Ar1はメタ配位または平行軸方向以外に結合基を有する2価の芳香族基である。
また、第3成分として共重合させることも可能であり、式(2)、(3)に示した芳香族ジアミンの具体例としては、例えば、p−フェニレンジアミン、クロロフェニレンジアミン、メチルフェニレンジアミン、アセチルフェニレンジアミン、アミノアニシジン、ベンジジン、ビス(アミノフェニル)エーテル、ビス(アミノフェニル)スルホン、ジアミノベンズアニリド、ジアミノアゾベンゼン等が挙げられる。式(4)、(5)に示すような芳香族ジカルボン酸ジクロライドの具体例としては、例えば、テレフタル酸クロライド、1,4−ナフタレンジカルボン酸クロライド、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロライド、4,4’−ビフェニルジカルボン酸クロライド、5−クロルイソフタル酸クロライド、5−メトキシイソフタル酸クロライド、ビス(クロロカルボニルフェニル)エーテルなどが挙げられる。
H2N−Ar2−NH2 ・・・式(2)
H2N−Ar2−Y−Ar2−NH2 ・・・式(3)
XOC−Ar3−COX ・・・式(4)
XOC−Ar3−Y−Ar3−COX ・・・式(5)
ここで、Ar2はAr1とは異なる2価の芳香族基、Ar3はAr1とは異なる2価の芳香族基、Yは酸素原子、硫黄原子、アルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の原子または官能基であり、Xはハロゲン原子を表す。
H2N−Ar2−Y−Ar2−NH2 ・・・式(3)
XOC−Ar3−COX ・・・式(4)
XOC−Ar3−Y−Ar3−COX ・・・式(5)
ここで、Ar2はAr1とは異なる2価の芳香族基、Ar3はAr1とは異なる2価の芳香族基、Yは酸素原子、硫黄原子、アルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の原子または官能基であり、Xはハロゲン原子を表す。
また、メタ型全芳香族ポリアミド繊維の結晶化度は、染料の吸尽性がよく、より少ない染料でまたは染色条件が弱くても狙いの色に調整し易いという点で、5〜35%であることが好ましい。さらには、染料の表面偏在が起こり難く耐変褪色性も高い点および実用上必要な寸法安定性も確保できる点で15〜25%であることがより好ましい。
また、メタ型全芳香族ポリアミド繊維の残存溶媒量は、メタ型全芳香族ポリアミド繊維の優れた難燃性能を損なわない点で、0.1重量%以下(好ましくは0.001〜0.1重量%)であることが好ましい。
かかるメタ型全芳香族ポリアミド繊維として、優れた耐光堅牢度を得る上で国際公開公報第2013/061901号パンフレットに記載されているような原着メタ型全芳香族ポリアミド繊維でもよい。
すなわち、用いられる顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、ペリノン系、ペリレン系、アンスラキノン系等の有機顔料、あるいは、カーボンブラック、群青、ベンガラ、酸化チタン、酸化鉄等の無機顔料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、メタ型全芳香族ポリアミドと顔料との混合方法は、アミド系溶媒中に顔料を均一分散したアミド系溶媒スラリーを作成し、当該アミド系溶媒スラリーをメタ型全芳香族ポリアミドがアミド系溶媒に溶解した溶液に添加する方法、あるいは顔料粉末を直接、メタ型全芳香族ポリアミドがアミド系溶媒に溶解した溶液に添加する方法等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
顔料配合量としては、メタ型全芳香族ポリアミドに対して10.0重量%以下(より好ましくは5.0重量%以下)であることが好ましい。10.0重量%より多く添加した場合には、得られる繊維の物性が低下するおそれがある。
前記のようなメタ型全芳香族ポリアミド繊維は以下の方法により製造することができ、特に後述する方法により、結晶化度や残存溶媒量を上記範囲とすることができる。
メタ型全芳香族ポリアミドポリマーの重合方法としては、特に限定する必要はなく、例えば特公昭35−14399号公報、米国特許第3360595号公報、特公昭47−10863号公報などに記載された溶液重合法、界面重合法を用いてもよい。
紡糸溶液としては、とくに限定する必要はないが、上記溶液重合や界面重合などで得られた、芳香族コポリアミドポリマーを含むアミド系溶媒溶液を用いても良いし、上記重合溶液から該ポリマーを単離し、これをアミド系溶媒に溶解したものを用いてもよい。
ここで用いられるアミド系溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどを例示することができるが、とくにN,N−ジメチルアセトアミドが好ましい。
上記の通り得られた共重合芳香族ポリアミドポリマー溶液は、さらにアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を含むことにより安定化され、より高濃度、低温での使用が可能となり好ましい。好ましくはアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩がポリマー溶液の全重量に対して1重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下である。その際、前記のような難燃剤を含ませることが好ましい。
紡糸・凝固工程においては、上記で得られた紡糸液(メタ型全芳香族ポリアミド重合体溶液または原着メタ型全芳香族ポリアミド重合体溶液)を凝固液中に紡出して凝固させる。
紡糸装置としては特に限定されるものではなく、従来公知の湿式紡糸装置を使用することができる。また、安定して湿式紡糸できるものであれば、紡糸口金の紡糸孔数、配列状態、孔形状等は特に制限する必要はなく、例えば、孔数が1000〜30000個、紡糸孔径が0.05〜0.2mmのスフ用の多ホール紡糸口金等を用いてもよい。
また、紡糸口金から紡出する際の紡糸液(メタ型全芳香族ポリアミド重合体溶液)の温度は、20〜90℃の範囲が適当である。
繊維を得るために用いる凝固浴としては、実質的に無機塩を含まない、アミド系溶媒、好ましくはNMPの濃度が45〜60質量%の水溶液を、浴液の温度10〜50℃の範囲で用いる。アミド系溶媒(好ましくはNMP)の濃度が45質量%未満ではスキンが厚い構造となってしまい、洗浄工程における洗浄効率が低下し、繊維の残存溶媒量を低減させることが困難となる。一方、アミド系溶媒(好ましくはNMP)の濃度が60質量%を超える場合には、繊維内部に至るまで均一な凝固を行うことができず、このためやはり、繊維の残存溶媒量を低減させることが困難となる。なお、凝固浴中への繊維の浸漬時間は、0.1〜30秒の範囲が適当である。
引続き、アミド系溶媒、好ましくはNMPの濃度が45〜60質量%の水溶液であり、浴液の温度を10〜50℃の範囲とした可塑延伸浴中にて、3〜4倍の延伸倍率で延伸を行う。延伸後、10〜30℃のNMPの濃度が20〜40質量%の水溶液、続いて50〜70℃の温水浴を通して十分に洗浄を行う。
洗浄後の繊維は、温度270〜290℃にて乾熱処理を施し、上記の結晶化度および残存溶媒量の範囲を満たすメタ型全芳香族アラミド繊維を得ることができる。
前記難燃性繊維において、単繊維繊度としては1〜5dtexの範囲が好ましい。総繊度としては、ミシン糸としての総繊度限定から総繊度としては170〜300dtexの範囲内であることが好ましい。
前記難燃性繊維において、繊維は、長繊維(マルチフィラメント)でもよいが、ミシン針の擦過や摩擦の軽減、放熱という観点から紡績糸(短繊維)であることが好ましい。
その際、かかる紡績糸において、撚係数Kmが8500〜10000の範囲内であることが好ましい。撚係数Kmが該範囲よりも小さいと、断面方向の繊維間拘束力が低下するおそれがある。逆に、下記の撚係数Kmが該範囲よりも大きいと、解撚トルクによりミシン糸の製造が困難となるおそれがある。
Km=Tm×√Dm
ただし、Tmは撚数(回/m)、Dmは紡績糸繊度(dtex)である。
Km=Tm×√Dm
ただし、Tmは撚数(回/m)、Dmは紡績糸繊度(dtex)である。
前記紡績糸において、原綿強度としては、3.5cN/dtex以上(より好ましくは3.5〜10.0cN/dtex)であることが好ましい。また、紡績糸の引張強さとしては580cN以上(より好ましくは580〜1500cN)であることが好ましい。
本発明のミシン糸において、前記導電性長繊維と難燃繊維とが合撚されてミシン糸に含まれることが好ましい。その際、難燃繊維は紡績糸としてミシン糸に含まれることが好ましい。
本発明のミシン糸において、総繊度としては500〜900dtex(より好ましくは500〜600dtex)の範囲内であることが好ましい。
また、ミシン糸は、ミシン糸の構成糸を合撚することにより製造されることが好ましく、構成糸には下撚(たとえばS方向)が施されていてもよく、さらに構成糸が複数本引き揃えられ上撚(たとえばZ方向)が施されてもよい。この際、下撚および上撚は、例えばリング撚糸機などを用いて行うことができる。
ここで、下記に示す上撚の撚係数Kが7000〜9000の撚りが掛けられていることが好ましい。上撚の撚係数Kが該範囲より小さいと、ミシン糸通過時に導電性長繊維の摩擦が著しく、損耗するおそれがある。逆に上撚の撚係数Kが該範囲より大きいと解撚トルクにより縫製が困難となるおそれがある。
また、前記導電性長繊維と難燃繊維との占有断面積比Rが0.2〜0.5の範囲内であることが好ましい。占有断面積比Rが0.2より小さいと導電性(抵抗値)を維持することができないおそれがある。逆に占有断面積比Rが0.5より大きいと導電性長繊維がミシン糸側面に露出し損耗するおそれがある。
R=Sc/Sn
ただし、Sc:導電性長繊維の占有断面積、Sn:難燃繊維の占有断面積
R=Sc/Sn
ただし、Sc:導電性長繊維の占有断面積、Sn:難燃繊維の占有断面積
本発明のミシン糸において、縫製する商品に応じて必要な色に着色してもよい。着色の手段としては顔料原着、キャリアと称する溶剤とともに染色する方法などがあり適宜使用される。また撚糸による解撚トルク抑制の目的で温度80〜100℃、時間20〜40分程度のスチーム処理は好ましく用いられる。
かくして得られたミシン糸は、ミシン縫製により導電パターンを自在に布帛上に形成でき、かつ可縫性および耐熱性に優れる。
ここで、ミシン糸の抵抗値としては10−2Ω/km以下(より好ましくは1.0×10−12〜10−2Ω/km)であることが好ましい。
また、ミシン糸の引張強さとしては800cN以上(より好ましくは800〜10000cN)であることが好ましい。該引張強さが800cNより小さいと、縫製時の張力に耐えることができないおそれがある。
また、ミシン糸の可縫性としては、1本針本縫いミシン、ミシン針DP×17#20を用い、4000rpm、針糸張力300gr、ボビン糸張力90gr、縫い目数10個/3cmの条件にて縫製し、糸切れまでの糸長さを測定して2m以上であることが好ましい。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各物性は下記の方法により測定したものである。
(1)抵抗値
抵抗値測定器(日置株式会社製 ミリオームハイテスタ3540−02A)にて、長さ1km間の電気抵抗値を測定した。
(2)抵抗率
導電性長繊維の断面積と抵抗値より算出した。
(3)繊度
JIS L1096により測定した。
(4)紡績糸の引張強さ
JIS L1095により測定した。
(5)難燃性長繊維およびミシン糸の引張強さ
JIS L1013により測定した。
(6)導電性長繊維と難燃繊維との占有断面積比R
断面を拡大撮影し、それぞれ占有面積を測定し、下記式により算出した。
R=Sc/Sn
ただし、Sc:導電性長繊維の占有断面積、Sn:難燃繊維の占有断面積
(7)糸径
断面を拡大撮影し、直径を実測した。
(8)可縫性
1本針本縫いミシン、ミシン針DP×17#20を用い、4000rpm、針糸張力300gr、ボビン糸張力90gr、縫い目数10個/3cmの条件にて縫製し、糸切れまでの糸長さを測定した。
(9)限界酸素指数LOI
JIS L1091−1999 E法により測定した。
(10)紡績糸の撚係数Km
下記式により算出した。
Km=Tm×√Dm
ただし、Tmは撚数(回/m)、Dmは紡績糸繊度(dtex)である。
(11)ミシン糸の撚係数K
下記式により算出した。
K=T×√D
ただし、T:撚数(回/m)、D:難燃性繊維の総繊度(dtex)
[用いた繊維原綿]
「メタ型全芳香族ポリアミド繊維短繊維」(メタアラミド)、帝人株式会社社製、「コーネックス」(登録商標)、平均単繊維繊度1.7dtex、繊維長51mm
「パラ型全芳香族ポリアミド長繊維」(パラアラミド)、帝人株式会社製、「テクノーラ」(登録商標)、平均単繊維繊度1.7dtex
(1)抵抗値
抵抗値測定器(日置株式会社製 ミリオームハイテスタ3540−02A)にて、長さ1km間の電気抵抗値を測定した。
(2)抵抗率
導電性長繊維の断面積と抵抗値より算出した。
(3)繊度
JIS L1096により測定した。
(4)紡績糸の引張強さ
JIS L1095により測定した。
(5)難燃性長繊維およびミシン糸の引張強さ
JIS L1013により測定した。
(6)導電性長繊維と難燃繊維との占有断面積比R
断面を拡大撮影し、それぞれ占有面積を測定し、下記式により算出した。
R=Sc/Sn
ただし、Sc:導電性長繊維の占有断面積、Sn:難燃繊維の占有断面積
(7)糸径
断面を拡大撮影し、直径を実測した。
(8)可縫性
1本針本縫いミシン、ミシン針DP×17#20を用い、4000rpm、針糸張力300gr、ボビン糸張力90gr、縫い目数10個/3cmの条件にて縫製し、糸切れまでの糸長さを測定した。
(9)限界酸素指数LOI
JIS L1091−1999 E法により測定した。
(10)紡績糸の撚係数Km
下記式により算出した。
Km=Tm×√Dm
ただし、Tmは撚数(回/m)、Dmは紡績糸繊度(dtex)である。
(11)ミシン糸の撚係数K
下記式により算出した。
K=T×√D
ただし、T:撚数(回/m)、D:難燃性繊維の総繊度(dtex)
[用いた繊維原綿]
「メタ型全芳香族ポリアミド繊維短繊維」(メタアラミド)、帝人株式会社社製、「コーネックス」(登録商標)、平均単繊維繊度1.7dtex、繊維長51mm
「パラ型全芳香族ポリアミド長繊維」(パラアラミド)、帝人株式会社製、「テクノーラ」(登録商標)、平均単繊維繊度1.7dtex
[実施例1〜5]
表1に示すように導電性長繊維を得た。また、表2に示すように難燃性繊維(紡績糸)を得た。次いで、表3に示すようにミシン糸を得た後、評価した。
表1に示すように導電性長繊維を得た。また、表2に示すように難燃性繊維(紡績糸)を得た。次いで、表3に示すようにミシン糸を得た後、評価した。
本発明によれば、ミシン縫製により導電パターンを自在に布帛上に形成でき、かつ可縫性および耐熱性に優れたミシン糸が提供され、その工業的価値は極めて大である。
Claims (10)
- 導電性長繊維と、限界酸素指数LOIが26以上の難燃性繊維とを含むことを特徴とするミシン糸。
- 前記導電性長繊維が、金属繊維、または有機繊維に金属メッキした金属メッキ繊維である、請求項1に記載のミシン糸。
- 前記金属繊維が銅繊維である、請求項2に記載のミシン糸。
- 前記金属メッキ繊維が銅メッキ繊維である、請求項2に記載のミシン糸。
- 前記難燃性繊維がメタ型全芳香族ポリアミド繊維である、請求項1〜4のいずれかに記載のミシン糸。
- 前記導電性長繊維と難燃繊維とが合撚されてミシン糸に含まれる、請求項1〜5のいずれかに記載のミシン糸。
- ミシン糸に撚係数Kが7000〜9000の撚りが掛けられている、請求項6に記載のミシン糸。
K=T×√D
ただし、T:撚数(回/m)、D:難燃性繊維の総繊度(dtex) - 前記導電性長繊維と難燃繊維との占有断面積比Rが0.2〜0.5の範囲内である、請求項1〜7のいずれかに記載のミシン糸。
R=Sc/Sn
ただし、Sc:導電性長繊維の占有断面積、Sn:難燃繊維の占有断面積 - ミシン糸の引張強さが800cN以上である、請求項1〜8のいずれかに記載のミシン糸。
- ミシン糸の抵抗値が10−2Ω/km以下である、請求項1〜9のいずれかに記載のミシン糸。
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JP2017052893A JP2018154944A (ja) | 2017-03-17 | 2017-03-17 | ミシン糸 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2021215190A1 (ja) | 2020-04-23 | 2021-10-28 | セーレン株式会社 | 導電糸および導電糸からなる配線を有する物品 |
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- 2017-03-17 JP JP2017052893A patent/JP2018154944A/ja active Pending
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