JP2018154618A - 抗結核菌剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】多剤耐性結核菌や超多剤耐性結核菌に対しても抗菌活性を示す、新規抗結核菌剤の提供。
【解決手段】下記に示す特定の構造を有する環状ペプチド化合物又はその製薬学的に許容される塩。cyclo(N−置換Thr−D−Arg−Ser−Gly−D−N−MePhe−Leu−D−Arg−Glu−D−Gln−D−Trp−Ile−Thr)
【効果】本発明の抗結核菌剤は、多剤耐性結核菌や超多剤耐性結核菌にも効果がある。
【選択図】なし

Description

本発明は、抗結核菌剤に関するものである。
近年、結核菌感染による結核や結核性疾患が増加している。
更には、非結核性抗酸菌であるM. avium等を起因菌とするMAC症による感染症が世界的に増加している。また、抗生物質耐性菌の出現も問題となってきている(非特許文献1)。
さらに、近年、結核に罹患する患者も再度徐々に増えつつあり、多剤耐性結核菌(MDR−TB)、超多剤耐性結核菌(XDR−TB)が出現している。このため、それらに効く抗結核菌剤が望まれている。
更には、新規メカニズムを有する抗生物質の開発が望まれている。
Skolnik K et al., Curr Treat Options Infect Dis., 8(4):259-274
本発明の課題は、新規の抗結核菌剤を提供することにあり、更には、多剤耐性結核菌や超多剤耐性結核菌に対しても抗菌活性を示す、新規の抗結核菌剤を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の化合物が、結核菌に対して抗菌活性を示すことを見出して、本発明をするに至った。
すなわち、本発明は、下記式(1)で表される環状ペプチド化合物又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有し、結核菌用であることを特徴とする抗結核菌剤を提供するものである。
Figure 2018154618
[式(1)中、Rは置換基を有していてもよい炭素数が7、8又は9のアシル基を示し、Rはメチル基又は水素原子を示し、Rはエチル基又はメチル基を示す。]
とする。
また、本発明は、リゾバクター(Lysobacter)属に属する受託番号NITE BP−870由来の化合物を有効成分として含有し、結核菌用であることを特徴とする抗結核菌剤を提供するものである。
また、本発明は、受託番号NITE BP−870のリゾバクター(Lysobacter)属に属する微生物由来の化合物を有効成分として含有し、結核菌用であることを特徴とする抗結核菌剤を提供するものである。
本発明によれば、結核菌により引き起こされる疾患等に有効な新規の抗結核菌剤を提供することができる。また、多剤耐性結核菌(MDR−TB)や超多剤耐性結核菌(XDR−TB)に対しても抗菌活性を示す抗結核菌剤を提供することができる。
本発明の抗結核菌剤によって、多剤耐性結核菌又は超多剤耐性結核菌を含む結核菌によって引き起こされる「肺結核と肺外結核を含む結核」等の種々の疾患を治療することができる。
結核の治療と比べて、多剤耐性結核の治療、特に超多剤耐性結核の治療成功率が低いことが問題となっている。また、多剤耐性結核や超多剤耐性結核の治療は結核の治療に比べて治療期間が長く、治療費等の負担も問題となっており、多剤耐性結核や超多剤耐性結核の治療剤の早期開発が望まれる。
本実施例により、本発明の抗結核菌剤は結核菌に加え、多剤耐性結核菌(MDR−TB)や超多剤耐性結核菌(XDR−TB)に対しても良好な抗菌活性を示し、顕著な効果を有する。
ライソシンEのアミノ酸の立体構造を示す図である。
以下、本発明について説明するが、本発明は、以下の具体的態様に限定されるものではなく、技術的思想の範囲内で任意に変形することができる。
本発明の抗結核菌剤は、下記式(1)で表される環状ペプチド化合物又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有し、結核菌用であることを特徴とする。
Figure 2018154618
[式(1)中、Rは置換基を有していてもよい炭素数が7、8又は9のアシル基を示し、Rはメチル基又は水素原子を示し、Rはエチル基又はメチル基を示す。]
また、本発明の抗結核菌剤は、受託番号NITE BP−870のリゾバクター(Lysobacter)属に属する微生物由来の化合物を有効成分として含有し、結核菌用であることを特徴とする。
上記式(1)で表される環状ペプチド化合物(以下、「ライソシン」と記載する場合がある)は、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の特許微生物寄託センター(NPMD)における受託番号がNITE BP−870のリゾバクター(Lysobacter)属に属する微生物(以下、本微生物を「RH2180−5」と表記する場合がある)、又は微生物と同様の化合物を産生する能力を有する変異株を培養し、その培養物から得られるものであることが好ましい。
したがって、本発明の抗結核菌剤は、受託番号NITE BP−870のリゾバクター(Lysobacter)属に属する微生物由来の化合物を有効成分として含有することを特徴とする。
ライソシンについては、例えば、国際公開第2011/148959号に詳細に記載されている。
上記「RH2180−5」は、千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室、独立行政法人製品評価技術基盤機構(National Institute of Technology and Evaluation;以下、「NITE」と略記する)の特許微生物寄託センター(NPMD)に国内寄託され、受託番号:NITE P−870(寄託日:2010年1月25日)として受託された微生物である。
「RH2180−5」は、その後、千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の特許微生物寄託センター(NPMD)に、原寄託申請書を提出して、国内寄託(原寄託日:2010年1月25日)から、ブタペスト条約に基づく寄託への移管申請を行い(移管日(国際寄託日):2011年5月20日)、生存が証明され、ブタペスト条約に基づく寄託(国際寄託)への移管申請が受領された結果、受託番号「NITE BP−870」を受けているものである。
上記式(1)中のRは、置換基を有していてもよい炭素数が7、8又は9のアシル基を示す。上記アシル基の炭素数には「C=O」の炭素数(1個)も含まれる。置換基を除いた「炭素数が7、8又は9のアシル基」は、「R’−C(=O)−」で表わされ、ここで、R’は、炭素数が6、7又は8のアルキル基を示す。また、R’は直鎖であっても分岐を有していてもよいが、分岐を有していることが好ましい。また、分岐された部分はメチル基であることが好ましく、特に限定はないが、R’の「C=O」とは反対側の末端は、「CH(CH)CH−」となっていることが特に好ましい。また、R’すなわちRが分岐を有する場合には、上記Rの炭素数(7、8又は9)には、分岐された部分の炭素数も含まれる。また、上記式(1)中のRの置換基は、水酸基であることが好ましい。
具体的には、上記式(1)中のRは、3−ヒドロキシ−5−メチル−ヘキサノイル基、3−ヒドロキシ−6−メチル−ヘプタノイル基又は3−ヒドロキシ−7−メチル−オクタノイル基であることが好ましい。
また、上記式(1)で示される「環状ペプチド化合物又はその製薬学的に許容される塩」は、Rが3−ヒドロキシ−5−メチル−ヘキサノイル基であり、Rがメチル基であり、Rがエチル基であるものが好ましく、Rが3−ヒドロキシ−7−メチル−オクタノイル基であり、Rがメチル基であり、Rがエチル基であるものが特に好ましい。
本発明において、上記式(1)で示される「環状ペプチド化合物又はその製薬学的に許容される塩」であって、Rが3−ヒドロキシ−5−メチル−ヘキサノイル基であり、Rがメチル基であり、Rがエチル基であるものを「ライソシンE」と記載する。
図1はライソシンEのアミノ酸の立体構造を示す。
本発明の抗結核菌剤は、多剤耐性結核菌に対しても抗菌活性を示し、更に超多剤耐性結核菌に対しても抗菌活性を示す。
すなわち、本発明の抗結核菌剤は、抗多剤耐性結核菌剤でもあり、抗超多剤耐性結核菌剤でもある。
多剤耐性結核菌とは、少なくとも結核治療における第一選択薬であるイソニアジド及びリファンピシンの両方に耐性を示す結核菌を言う。
超多剤耐性結核菌とは、イソニアジド及びリファンピシンに加え、少なくとも1種類のフルオロキノロン及び少なくとも1種類の結核治療における第二選択薬(カナマイシン、ストレプトマイシン、アミカシン又はカプレオマイシン)に耐性を示す結核菌を言う。
本発明の抗結核菌剤によって、多剤耐性結核菌、超多剤耐性結核菌を含む結核菌が原因の種々の疾患を治療することができる。
本発明の抗結核菌剤によって、「多剤耐性結核菌、超多剤耐性結核菌を含む結核菌」によって引き起こされる「肺結核と肺外結核とからなる結核」を含む種々の疾患を治療することができる。本発明は、前記の抗結核菌剤を含有することを特徴とする結核又は結核性疾患の治療剤でもある。
上記疾患の例として、肺結核;腸結核、骨関節結核、皮膚結核、咽頭結核、脊椎カリエス等の肺外結核;結核性腫瘍、結核性胸膜炎、結核性髄膜炎、結核性心膜炎、結核性関節炎、結核性気管支炎、結核性気管支肺炎、結核性腱鞘炎、結核性骨髄炎、結核性腎炎、結核性腸炎、結核性脊椎炎、結核性リンパ節炎、結核性リウマチ、結核性膀胱炎、結核性腹膜炎、結核性肺炎、結核性膿胸、結核性膿瘍、結核性皮膚腺病等の結核性疾患;等が挙げられる。
上記ライソシンを得る方法に限定はなく、如何なる方法で得られたものでもよい。例えば、化学合成によって得られたものであってもよく、微生物を用いて発現させたものであってもよく、生物体から分離したものであってもよく、それらを組み合わせて得られたものでもよい。
また、本発明の抗結核菌剤は、有効成分であるライソシンに加えて、「その他の成分」を含有することができる。
前記抗結核菌剤における、上記「その他の成分」としては、特に制限はなく、本発明の効果を損なわない範囲内で、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、薬学的に許容され得る担体や賦形剤等が挙げられる。
かかる担体としては、特に制限はなく、例えば、後述する剤形等に応じて適宜選択することができる。また、前記抗結核菌剤中の前記「その他の成分」の含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の抗結核菌剤の剤形としては、特に制限はなく、例えば、後述するような所望の投与方法に応じて適宜選択することができる。
具体的には、例えば、経口固形剤(錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等)、経口液剤(内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等)、注射剤(溶剤、懸濁剤等)、軟膏剤、貼付剤、ゲル剤、クリーム剤、外用散剤、スプレー剤、吸入散布剤等が挙げられる。
前記経口固形剤としては、例えば、前記有効成分に、賦形剤、更には必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味・矯臭剤等の添加剤を加え、常法により製造することができる。
前記賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸等が挙げられる。
前記結合剤としては、例えば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
前記崩壊剤としては、例えば、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等が挙げられる。
前記滑沢剤としては、例えば、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
前記着色剤としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄等が挙げられる。
前記矯味・矯臭剤としては、例えば、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。
前記経口液剤としては、例えば、前記有効成分に、矯味・矯臭剤、緩衝剤、安定化剤等の添加剤を加え、常法により製造することができる。
前記矯味・矯臭剤としては、例えば、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。前記緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。前記安定化剤としては、例えば、トラガント、アラビアゴム、ゼラチン等が挙げられる。
前記注射剤としては、例えば、前記有効成分に、pH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法により皮下用、筋肉内用、静脈内用等の注射剤を製造することができる。
前記pH調節剤及び前記緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げられる。前記安定化剤としては、例えば、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸等が挙げられる。前記等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、ブドウ糖等が挙げられる。前記局所麻酔剤としては、例えば、塩酸プロカイン、塩酸リドカイン等が挙げられる。
前記軟膏剤としては、例えば、前記有効成分に、公知の基剤、安定剤、湿潤剤、保存剤等を配合し、常法により混合し、製造することができる。
前記基剤としては、例えば、流動パラフィン、白色ワセリン、サラシミツロウ、オクチルドデシルアルコール、パラフィン等が挙げられる。前記保存剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル等が挙げられる。
前記貼付剤としては、例えば、公知の支持体に前記軟膏剤としてのクリーム剤、ゲル剤、ペースト剤等を、常法により塗布し、製造することができる。前記支持体としては、例えば、綿、スフ、化学繊維からなる織布、不織布、軟質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン等のフィルム、発泡体シート等が挙げられる。
本発明の抗結核菌剤中の有効成分である、ライソシンの、抗結核菌剤全体に対する含有量は、特に制限がなく、目的に応じて適宜選択することができるが、抗結核菌剤全体を100質量部としたときに、ライソシンの合計量として、0.001〜100質量部の含量で配合することが好ましく、より好ましくは0.01〜99質量部、特に好ましくは0.1〜95質量部、更に好ましくは1〜90質量部の含量で配合することができる。
本発明の抗結核菌剤の投与対象動物としては、特に制限はないが、例えば、ヒト;マウス;ラット;サル;ウマ;ウシ、ブタ、ヤギ、ニワトリ等の家畜;ネコ、イヌ等のペット;等が挙げられる。
また、前記抗結核菌剤の投与方法としては、特に制限はなく、例えば、前記抗結核菌剤の剤形等に応じ、適宜選択することができ、経口投与、腹腔内投与、呼吸器への吸入、血液中への注射、腸内への注入等が挙げられる。
また、前記抗結核菌剤の投与量としては、特に制限はなく、投与対象である個体の年齢、体重、所望の効果の程度等に応じて適宜選択することができるが、例えば、成人への1日の投与量は、有効成分の量として、1mg〜30gが好ましく、10mg〜10gがより好ましく、100mg〜3gが特に好ましい。
また、前記抗結核菌剤の投与時期としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、予防的に投与されてもよいし、治療的に投与されてもよい。
本発明の抗結核菌剤は、他の公知の抗結核菌剤と併用してもよい。
以下、実施例、試験例及び検討例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例等の具体的範囲に限定されるものではない。
<寄託>
上述のとおり、実施例において使用する「RH2180−5」は、千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室、独立行政法人製品評価技術基盤機構(National Institute of Technology and Evaluation;以下、「NITE」と略記する)の特許微生物寄託センター(NPMD)に国内寄託され、受託番号:NITE P−870(寄託日:2010年1月25日)として受託された微生物である。
「RH2180−5」は、その後、千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)の特許微生物寄託センター(NPMD)に、原寄託申請書を提出して、国内寄託(原寄託日:2010年1月25日)から、ブタペスト条約に基づく寄託への移管申請を行い(移管日(国際寄託日):2011年5月20日)、生存が証明され、ブタペスト条約に基づく寄託(国際寄託)への移管申請が受領された結果、受託番号「NITE BP−870」を受けているものである。
実施例1
<ライソシンEの調製>
ライソシンEは、RH2180−5株を培養し、培養液を精製し得られたものを使用した。培養及び精製手順は、日本国の特開2012−006917号公報、国際公開第2011/148959号に掲載されている手順に従った。
検討例1
<ライソシンEの結核菌に対する抗菌活性>
これまでに発明者らによって、ライソシンEの抗酸菌Mycobacterium smegmatisに対する抗菌スペクトルの検討が行われている(国際公開第2011/148959号)。
CLSI(旧NCCLS米国臨床検査標準委員会)に基づく微量検体希釈法によって測定したところ、Mycobacterium smegmatisに対するMIC値はMSSAやMRSA、枯草菌等より高かった。よって、ライソシンEはMycobacterium属の菌に対して抗菌活性が弱いと思われていた。
一方、多剤耐性結核菌(MDR−TB)や超多剤耐性結核菌(XDR−TB)の出現により、従来の抗菌剤とは異なる新規メカニズムを有する抗菌剤の開発が望まれている。ライソシンEは新規メカニズムを有している可能性があり(Hamamoto H et al., Nat Chem Biol. 2015 Feb;11(2):127-33)、多剤耐性結核菌(MDR−TB)や超多剤耐性結核菌(XDR−TB)に対して抗菌活性があるか検討した。
結核菌の標準株に対する抗菌活性を検討した。10%ADC及び10μg/mLカナマイシン(kanamycin)を含むMiddlebrook 7H9培地に、結核菌であるMycobacterium tuberculosis H37Rv-Luc、多剤耐性結核菌であるMycobacterium tuberculosis MDR066(イソニアジド及びリファンピシン耐性)、超多剤耐性結核菌であるMycobacterium tuberculosis MDR005及びMRD044(共に、イソニアジド、リファンピシン、ストレプトマイシン、エタンブトール、カナマイシン、レボフロキサシン、スパルフロキサシン及びシプロフロキサシン耐性)を、OD600=0.0005になるようにそれぞれ加えた。
更に、ライソシンEを加え、5%CO下で37℃にて9日間培養し、目視で菌の増殖を確認した。
その結果、0.25μg/mLのライソシンEを加えたときに、結核菌であるMycobacterium tuberculosis H37Rv-Lucの増殖は確認できなかった。よって、ライソシンEは結核菌に対して良好な抗菌活性を示すことがわかった。また、これまでMycobacterium属の菌に対してライソシンEの抗菌活性が弱いと思われていたが、意外にも結核菌であるMycobacterium tuberculosisには抗菌活性を示すことがわかった。
また、多剤耐性結核菌であるMycobacterium tuberculosis MDR066に対しては1μg/mL、超多剤耐性結核菌であるMycobacterium tuberculosis MDR005及びMRD044に対しては<0.13μg/mL及び0.5μg/mLのライソシンEを加えたときに、それぞれの菌の増殖は確認できなかった。したがって、ライソシンEは多剤耐性結核菌(MDR−TB)及び超多剤耐性結核菌(XDR−TB)に対しても良好な抗菌活性を示すことがわかった。
検討例2
<様々な菌に対するライソシンEの抗菌活性>
0.5%Tween 80、10%ADC enrichmentを含有するMiddlebrook 7H9培地100μLに、表1に記載の菌をそれぞれ1.0x10加えた。更に、ライソシンEを加え、37℃で30時間培養後にMTTアッセイにより対照の90%の増殖を阻害する最小濃度をMICとした。結果を表1に示す。
Figure 2018154618
表1の結果、ライソシンEは、いくつかの菌に対しては抗菌活性を示さないことがわかった。
<検討例1〜2のまとめ>
ライソシンEは、結核菌に対して抗菌活性を示すことが明らかになった。また、ライソシンEはこれまでの抗結核薬とはメカニズムが全く異なることから、多剤耐性の結核菌及び超多剤耐性の結核菌に対して抗菌活性を示すことが明らかになった。
また、ライソシンEは、上記検討例1において、添加後数分以内に菌を殺菌するという極めて迅速で強力な殺菌性を有することを示したことと、肺の抽出物によって抗菌活性の活性阻害を受けないこと等から、良好な治療効果を示すと考えられる。
実施例2
<抗結核菌剤の製剤化>
<<錠剤>>
ライソシンE20.0mg、ラクトース40mg、デンプン20mg、及び、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース5mgを均一に混合した後、ヒドロキシプロピルメチルセルロース8質量%水溶液を結合剤として湿式造粒法で打錠用顆粒を製造した。これに滑沢性を与えるのに必要なステアリン酸マグネシウムを0.5mgから1mg加えてから打錠機を用いて打錠し、錠剤とした。
ライソシンE10.0mgを、2質量%2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン水溶液10mLに溶解し、注射用液剤とした。
本発明の抗結核菌剤は、製薬産業、その関連産業等において広く利用することができる。
NITE BP−870

Claims (7)

  1. 下記式(1)で表される環状ペプチド化合物又はその製薬学的に許容される塩を有効成分として含有し、結核菌用であることを特徴とする抗結核菌剤。
    Figure 2018154618
    [式(1)中、Rは置換基を有していてもよい炭素数が7、8又は9のアシル基を示し、Rはメチル基又は水素原子を示し、Rはエチル基又はメチル基を示す。]
  2. 上記結核菌が多剤耐性結核菌である、請求項1に記載の抗結核菌剤。
  3. 上記結核菌が超多剤耐性結核菌である、請求項1に記載の抗結核菌剤。
  4. 受託番号NITE BP−870のリゾバクター(Lysobacter)属に属する微生物由来の化合物を有効成分として含有し、結核菌用であることを特徴とする抗結核菌剤。
  5. 上記結核菌が多剤耐性結核菌である、請求項4に記載の抗結核菌剤。
  6. 上記結核菌が超多剤耐性結核菌である、請求項4に記載の抗結核菌剤。
  7. 請求項1ないし請求項6の何れかの請求項に記載の抗結核菌剤を含有することを特徴とする結核又は結核性疾患の治療剤。
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