JP2018153525A - 描画装置及び描画方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このような装置を用いれば、ネイルサロン等を利用することなく、手軽にネイルプリントを楽しむことができる。
ネイルデザインのもともとの縦横比と爪の縦横比とがほぼ同等であればおおよそイメージ通りにネイルデザインを爪にフィッティングすることができる。
また、逆にネイルデザインのもともとの縦横比と比べて、爪が縦方向の長さに対して横方向が長い形状である場合には、デザインが全体に横方向に押し潰されたような状態となり、もともとのネイルデザインの印象とは異なるものになってしまう。
しかしこの手法の場合、爪が縦方向又は横方向に極端に短い形状である場合には、爪の長さの短い側にネイルデザインが大きくはみ出してしまい、デザイン全体が上手く爪上に収まらない可能性がある。
描画対象である爪の領域の縦横比を取得する爪情報検出部と、
前記爪の領域の縦横比に応じてネイルデザインの縦横比を変えて前記ネイルデザインを前記爪の領域にフィッティングさせる第1のフィッティングモードを有し、前記第1のフィッティングモードにおいて、前記ネイルデザインの前記縦横比の変化率を、前記ネイルデザインに対して設定されている限界変化率を越えない範囲の値にするデザインフィッティング部と、
を備えることを特徴としている。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
また、以下の実施形態では、ネイルプリント装置1は手の指の爪の表面を描画対象面として、これに描画するものとして説明するが、本発明の描画対象面は手の指の爪の表面に限るものではなく、例えば足の指の爪の表面を描画対象面としてもよい。
図1(a)及び図1(b)に示すように、本実施形態におけるネイルプリント装置1は、描画部40が描画用具である描画ヘッド41を備え、インクジェット方式にて印刷指U1の爪Tに描画を施す描画装置である。
このネイルプリント装置1は、ケース本体2と、このケース本体2に収容される装置本体10とを備えている。
操作部25は、ユーザが各種入力を行う入力部である。
操作部25には、例えば、ネイルプリント装置1の電源をONする電源スイッチ釦、動作を停止させる停止スイッチ釦、爪Tに描画するデザイン画像を選択するデザイン選択釦、描画開始を指示する描画開始釦等、各種の入力を行うための図示しない操作釦が配置されている。
表示部26は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ等で構成されている。
本実施形態において、この表示部26には、例えば、印刷指U1を撮影して得た爪画像(爪Tの画像を含む印刷指U1の画像)、この爪画像中に含まれる爪Tの輪郭等の画像、爪Tに描画すべきデザイン画像を選択するためのデザイン選択画面、デザイン確認用のサムネイル画像、各種の指示を表示させる指示画面等が適宜表示される。
なお、表示部26の表面に各種の入力を行うためのタッチパネルが一体的に構成されていてもよい。
下部機枠11は、背面板111、底板112、左右一対の側板113a,113b、X方向移動ステージ収容部114、Y方向移動ステージ収容部115及び隔壁116を有する。
側板113a,113bの下端部は、底板112の左右両端部にそれぞれ連結され、側板113a,113bが底板112に対して立てられた状態に設けられている。
背面板111の下部は、前方(指挿入方向手前側)に向かって2段に窪むように形成されている。背面板111の下端部は底板112の前端部に連結されており、背面板111は、底板112と側板113a,113bによって囲われた領域を前後に区切っている。
この窪んだ背面板111の後ろ側に形成される空間がX方向移動ステージ収容部114、Y方向移動ステージ収容部115(図1(b)参照)となっている。X方向移動ステージ収容部114内には、描画部40が前方(指挿入方向手前側)に移動した際に描画部40のX方向移動ステージ45が収容される。また、Y方向移動ステージ収容部115内には、描画部40のY方向移動ステージ47が配置されている。
また、隔壁116は、下部機枠11の内部前方側の空間(背面板111、底板112及び側板113a,113bによって囲われた指挿入方向手前側の空間)を上下に区切るように下部機枠11の内側に設けられている。隔壁116はほぼ水平に設けられ、隔壁116の左右両端部が側板113a,113bにそれぞれ連結され、隔壁116の後端部が背面板111に連結されている。
指固定部30は、描画を施す爪Tに対応する指(以下、これを「印刷指U1」という。)を受け入れる指受入部31と、この印刷指U1以外の指(以下、これを「非印刷指U2」という。)を退避させる指退避部32と、から構成されている。
指受入部31は、隔壁116の上側であって下部機枠11の幅方向のほぼ中央部に配置されている。また、隔壁116によって下部機枠11の下側に区分けられた空間が指退避部32を構成している。
例えば、薬指の爪Tに描画を施す場合には、指受入部31に印刷指U1としての薬指を挿入し、非印刷指U2であるその他の4指(親指、人差し指、中指、小指)を指退避部32に挿入する。
また、指受入部31の上側には、指受入部31に挿入された印刷指U1の爪Tを露出させるための図示しない窓部が形成されている。
また、隔壁116の上面であって下部機枠11の前面側の両側部には、下部機枠11の前面側を塞ぐ前壁31f(図1(a)参照)が立設されている。また、隔壁116の上面には、この前壁31fの中央部寄りの端部から前記指受入部31に向けて狭窄し、印刷指U1を指受入部31内に案内する一対のガイド壁31g(図1(a)参照)が立設されている。
ユーザは指受入部31に挿入した印刷指U1と指退避部32に挿入した非印刷指U2との間に隔壁116を挟むことができる。そのため、指受入部31内に挿入された印刷指U1が安定して固定される。
ホームエリア60には、例えば後述する描画ヘッド41のインク吐出部(ノズル面)をクリーニングするためのクリーニング機構やインク吐出部(ノズル面)の保湿状態を保つためのキャップ機構等(いずれも図示せず)で構成されるインクジェット保守部が、非描画時に描画ヘッド41が配置される位置に対応して設けられている。
なお、ホームエリア内のインクジェット保守部等の配置はここで例示したものに限定されない。
描画ヘッド41は、例えば、イエロー(Y;YELLOW)、マゼンタ(M;MAGENTA)、シアン(C;CYAN)のインクに対応する図示しないインクカートリッジと各インクカートリッジにおける描画対象(爪T)に対向する面(本実施形態では、図1(a)等における下面)に設けられた図示しないインク吐出部とが一体に形成されたインクカートリッジ一体型のヘッドである。インク吐出部は、それぞれの色のインクを噴射する複数のノズルからなるノズルアレイを備えており、描画ヘッド41は、インクを微滴化し、インク吐出部から描画対象(爪T)の被描画面に対して直接にインクを吹き付けて描画を行う。
なお、描画ヘッド41は、上記3色のインクを吐出させるものに限定されない。その他のインクを貯留するインクカートリッジ及びインク吐出部を備えていてもよい。
また、X方向移動ステージ45は、Y方向移動ステージ47のY方向移動部471に固定されている。Y方向移動部471は、Y方向移動モータ48の駆動によりY方向移動ステージ47上を図示しないガイドに沿ってY方向に移動するようになっており、これにより、ユニット支持部材44に取り付けられている描画ヘッド41が、Y方向(図1(b)におけるY方向、ネイルプリント装置1の前後方向)に移動するようになっている。
なお、本実施形態において、X方向移動ステージ45及びY方向移動ステージ47は、X方向移動モータ46、Y方向移動モータ48と、図示しないボールネジ及びガイドとを組み合わせることで構成されている。
本実施形態では、X方向移動モータ46及びY方向移動モータ48等により、描画ヘッド41をX方向及びY方向に駆動するXY駆動部としてのヘッド移動部49が構成されている。
この撮影部50は、指受入部31内に挿入されて窓部から見える爪T(爪Tを含む印刷指U1)を照明装置52によって照明する。そして、撮像装置51によってその印刷指U1を撮影して、印刷指U1の画像である爪画像(爪Tの爪画像を含む指の画像)を得るものである。
図1(a)及び図1(b)に示すように、本実施形態において、撮像装置51及び照明装置52は、上部機枠12に設けられている。
すなわち、上部機枠12には基板13が設置されており、撮影部50を構成する撮像装置51及び照明装置52は、この基板13の下面に、隔壁116に対向するように設けられている。
なお、基板13に取り付けられている撮像装置51及び照明装置52の位置は図示例に限定されない。
本実施形態では、撮影部50の撮像装置51によって、爪Tを含む印刷指U1を撮影して爪画像が取得される。
後述する爪情報検出部812は、この爪画像を用いて印刷指U1及び描画対象である爪Tの位置や形状(爪Tの輪郭)、爪Tの縦横比等を検出するようになっている。
本実施形態では、撮像装置51の両側、手前側及び奥側に撮像装置51を囲むように4つの照明装置52が配置されている。照明装置52は、下方に向けて光を照射して、撮像装置51の下方の撮影範囲を照明する。
なお、照明装置52を設ける数や、その配置等は図示例に限定されない。
なお、撮影部50によって撮影された画像(すなわち、爪画像)の画像データは、後述する記憶部82の爪画像記憶領域821に記憶される。
図2は、本実施形態における制御構成を示す要部ブロック図である。
制御装置80は、図2に示すように、図示しないCPU(Central Processing Unit)により構成される制御部81と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)で構成される記憶部82とを備えるコンピュータである。
具体的には、記憶部82のROMには、印刷指U1の位置や形状(輪郭)、爪Tの位置や形状(輪郭)、爪Tの縦横比等の検出を行うための爪情報検出プログラム、ネイルデザインDを爪Tにフィッティングさせるためのデザインフィッティングプログラム、描画データを生成するための描画データ生成プログラム、描画処理を行うための描画プログラム等の各種プログラムが格納されており、これらのプログラムが制御装置80によって実行されることによって、ネイルプリント装置1の各部が統括制御されるようになっている。
また、本実施形態において記憶部82には、撮影部50によって取得されたユーザの印刷指U1の爪Tの爪画像を記憶する爪画像記憶領域821、爪情報検出部812によって検出された爪情報(印刷指U1の輪郭や爪Tの輪郭、爪Tの縦横比等)が記憶される爪情報記憶領域822、及び描画対象である爪Tに描画されるネイルデザインDの画像データ(これを単に「デザインデータ」ともいう。)を記憶するネイルデザイン記憶領域823が設けられている。
なお、全てのデザインデータが同じモデル爪MTを想定して用意されている場合は、ネイルデザインDの縦長さhd、横長さwdや縦横比(hd/wd)の情報はデフォルト値が1つ記憶されていればよく、個々のデザインデータにこれらの情報が付帯されている必要はない。
限界変化率は、当該ネイルデザインDを縦方向や横方向に圧縮又は伸張した場合にデザイン全体の印象が変化したりバランスが崩れたりしない限界を示すものである。形状変化を認識しにくい限界変化率を予め定めて、ネイルデザインDの形状を変化(すなわち、一方向への圧縮・伸張)させる場合に、この限界変化率を超えて変化させないようにすることにより、ユーザのイメージ通りのデザイン形状を適切に爪Tに反映させることができる。
限界変化率は、各ネイルデザインDごとに異なり、縦方向又は横方向のいずれか一方を圧縮又は伸張してもデザイン全体の印象が変化しにくいものであれば、限界変化率は比較的高く設定される。逆に、少しでもネイルデザインDの縦方向又は横方向のいずれか一方を圧縮又は伸張すると、大きく印象が変わり、全体のバランスが悪くなるようなものであれば限界変化率は低くなり、デザインによっては限りなくゼロに近くなる。
また、例えば、キャラクタの顔等がデザインされているようなものであれば、縦方向又は横方向のいずれか一方を圧縮又は伸張するとデザイン全体の印象が変化しやすく、全体のバランスも崩れやすい。このため、このようなネイルデザインDについては限界変化率は比較的低く設定され、例えば、95%以上圧縮すると印象が変化する場合には、限界変化率は95%となる。
また、1つのネイルデザインDについての限界変化率は、縦方向の限界変化率と横方向の限界変化率とを別々に持ってもよいし、一つの値を共有してもよい。
縦方向と横方向とで異なる限界変化率を持つ場合、例えば縦方向に圧縮又は伸張してもさほど印象は変わらないが、横方向に圧縮又は伸張すると大きく印象が変わってしまうようなデザインの場合には、縦方向の限界変化率は比較的高く設定され、横方向の限界変化率は比較的低く設定される。
撮影部50により取得された爪画像の画像データは、記憶部82の爪画像記憶領域821に記憶される。
ここで爪Tの縦横比とは、例えば、爪Tの外周に接する矩形状の外接枠(図4において破線で示す枠)を想定した場合に、この外接枠の爪幅方向の長さを横長さw、爪幅方向に直交する爪Tの延在方向の長さを縦長さh(いずれも図4参照)とし、この横長さwと縦長さhとの比率(h/w)である。
爪情報検出部812による爪情報の検出手法は、例えば、印刷指U1や爪Tと背景(本実施形態では、指載置部116a)との色の差を印刷指U1や爪Tの形状(輪郭)を検出する。また、爪Tと印刷指U1との色の差や陰影の付き方等から爪Tと印刷指U1の皮膚との境界を検出し、爪Tの形状(輪郭)を取得する。なお、爪情報検出部812による爪情報の検出手法は、ここで例示したものに限定されず、各種の手法を用いることが可能である。
なお、以下においては、爪情報検出部812が、撮影部50により取得された爪画像から印刷指U1や爪Tの輪郭、爪Tの縦横比等を爪情報として検出する場合について説明するが、爪画像から検出される爪情報はこれに限定されず、例えば爪Tの曲率等も爪画像に基づいて検出されてもよい。
本実施形態において、デザインフィッティング部813は、フィッティングの手法として、爪Tの縦横比に応じてネイルデザインDの縦横比を変えるようにデザインデータの縦方向又は横方向を圧縮又は伸張する第1のフィッティングモードと、ネイルデザインDの縦横比を変えずにデザインデータを伸張又は圧縮する第2のフィッティングモードとを有している。
デザインフィッティング部813は、この第1のフィッティングモードと、第2のフィッティングモードとを併用して、爪Tに描画するネイルデザインDのデザインデータを変形させてネイルデザインDを爪Tにフィッティングさせる。
なお、本実施形態では、前述のように各ネイルデザインDごとに限界変化率が設定されており、デザインフィッティング部813は、この限界変化率を超えない範囲内でデザインデータDを圧縮又は伸張する。
本実施形態では、デザインデータの縦長さhd、横長さwdが一般的な爪Tの縦長さh、横長さwよりも大きい場合を想定しており、デザインフィッティング部813がデザインデータを変形させてネイルデザインDを爪Tにフィッティングさせる際には、デザインデータを圧縮させて合せ込んでいく場合を想定しており、限界変化率は、デザインデータを圧縮してもネイルデザインDの印象が大きく変化しない限界である限界圧縮率である。
なお、デザインデータの縦長さhd、横長さwdが一般的な爪Tの縦長さh、横長さwよりも小さい場合には、デザインフィッティング部813はデザインデータを伸張することでネイルデザインDを爪Tにフィッティングさせる。この場合には、限界変化率は、デザインデータを伸張してもネイルデザインDの印象が大きく変化しない限界である限界伸張率となる。
いずれの手法でフィッティングを行うかはデフォルトで設定されていてもよいし、ユーザが選択してもよい。また、爪情報検出部812による検出結果から、いずれの手法を優先して行うかをデザインフィッティング部813において判断するようにしてもよい。
なお、各手法の詳細については後述する。
本実施形態では、描画データ生成部814は、デザインフィッティング部813により爪Tに合うように伸張又は圧縮されたデザインデータについて適宜曲面補正等を行い、描画ヘッド41によって描画されるネイルデザインDの描画用の画像データを生成する。
図3は、ネイルデザインDの一例であり、図4は、描画対象であるユーザの爪Tの一例である。
図3に示すように、ネイルデザインDは、モデル爪MTの外周に接する矩形状の外接枠(図3において実線で示す枠)の縦長さhd/横長さwdと同じ縦横比を有するように設定されている。図3ではネイルデザインDの中心を中心点Dcとして示している。
また、図4に示す爪Tは、図3に示すモデル爪MTよりも横長であり、図4では、爪Tの外周に接する矩形状の外接枠(図4において破線で示す枠)の縦長さh、横長さwを爪Tの縦長さh、横長さwとしている。図4では爪Tの中心を中心点Tcとして示している。
第2のフィッティングモードによるフィッティングを行う際には、まず撮影制御部811が撮影部50を制御して、照明装置52により印刷指U1を照明しながら撮像装置51により印刷指U1を撮影させる。これにより、撮影制御部811は、図4示すような、爪Tの爪画像を取得する(ステップS1)。爪画像が取得されると、爪情報検出部812により爪Tの形状(爪輪郭)等が検出され(ステップS2)、デザインフィッティング部813は、この爪情報から爪Tの縦長さh、横長さwや爪Tの縦横比(h/w)の情報を取得する(ステップS3)。さらに、デザインフィッティング部813は、ネイルデザイン記憶領域823からネイルデザインDの縦横比(hd/wd)を取得する(ステップS4)。
具体的には、図6(a)に示すように、ネイルデザインDと爪Tとを、ネイルデザインDの中心点Dcと爪Tの中心点Tcとが重なる位置でフィッティングさせる(ステップS5)。
本実施形態では、図4に示す爪Tは、縦長さhよりも横長さwが長い横長形状であるため、ネイルデザインDの縦横比を変えずにデザインデータを変形(本実施形態では圧縮)させていくと、先にネイルデザインdの両側端部が爪Tの両側端部に対応する状態となる。
この状態までネイルデザインDを圧縮すると、図6(b)に示すように、変化後のネイルデザインD1は、横方向の長さwd1が爪Tの横幅wと同等となり、縦方向の長さhd1が爪Tの縦幅hよりも長い形状となっており、ネイルデザインD1の上下部分が爪Tの上下方向にはみ出した状態となる。
ネイルデザインDの縦長さhd又は横長さwdの少なくともいずれかが爪Tの縦長さh又は横長さwに対応するまでデザインデータを変化(本実施形態では圧縮)させたら、第2のフィッティングモードによるフィッティングを終了する。
本実施形態では、爪Tの縦横比(h/w)がネイルデザインDの縦横比(hd/wd)よりも小さい(ステップS6;NO)。
この場合には、デザインフィッティング部813は、限界変化率(ここでは圧縮する場合の限界となるため限界圧縮率。これを図5において「α」とする。)に対する限界デザイン高さghdを求める(ステップS7)。すなわち、限界圧縮率を0から1の間の値で表した場合、図5のステップS7に示すように「ghd=hd×α」が成立する。デザインフィッティング部813は、このように、デザインデータを圧縮する前のネイルデザインDの縦長さhdに、どの程度まで圧縮が許されるかを示す限界圧縮率αを掛けることで、ネイルデザインDの縦方向の長さの限界を求める。
すなわち、まず、フィッティングさせるネイルデザインD1(図6(b)参照)の高さhd1を限界デザイン高さghdより小さくならない範囲で段階的に圧縮する。本実施形態では、hd1とghdの差の1/10ずつを1回の変化量δhdとして(δhd=(hd1−ghd)/10)、この変化量δhdずつ圧縮して再度フィッティングを行う場合を示している(ステップS8)。
なお、限界デザイン高さghdの範囲内で再フィッティングする際のデザインデータの圧縮方法、圧縮間隔はこれに限定されるものではない。hd1とghdの差の1/10よりももっと細かい圧縮間隔で再フィッティングを繰り返してもよい。また、まず比較的大きな圧縮間隔で再フィッティングを行い、所定回数これを行ったのち、より細かい圧縮間隔に切り替えて更に再フィッティングを行ってもよい。この場合には、再フィッティングを繰り返す回数を減らせるとともに、限界値付近では微細な調整を行うことができ、できる限り限界デザイン高さghdのぎりぎりでフィッティングを行うことができる。
また、デザインデータを圧縮する際の変化量は長さでなくてもよく、例えば、デザインデータを1画素ずつ圧縮するようにしてデザインデータを変化させてもよい。
他方、縦長さhd2が限界デザイン高さghdよりも大きい場合(ステップS9;YES)には、デザインフィッティング部813は、さらに圧縮後のネイルデザインD2の縦長さhd2(すなわちhd1−δhd)が爪Tの縦長さhと同じ又はこれよりも小さいか否かを判断する(ステップS10)。そして、圧縮後のネイルデザインD2の縦長さhd2(すなわちhd1−δhd)が爪Tの縦長さhと同じ又はこれよりも小さい場合(ステップS10;YES)には、そこでフィッティングを終了する。また、圧縮後のネイルデザインD2の縦長さhd2(すなわちhd1−δhd)が爪Tの縦長さhよりも大きい場合(ステップS10;NO)には、ステップS8に戻って、段階的にネイルデザインDを圧縮しながら再フィッティングを繰り返す。
この場合には、デザインフィッティング部813は、限界変化率αに対する限界デザイン幅gwdを求める(ステップS11)。上述した爪Tの縦横比(h/w)がネイルデザインDの縦横比(hd/wd)よりも小さい場合(ステップS6;NO)と同様に、限界圧縮率を0から1の間の値で表した場合、図5のステップS11に示すように「gwd=wd×α」が成立する。すなわち、デザインデータを圧縮する前のネイルデザインDの横長さwdに、どの程度まで圧縮が許されるかを示す限界圧縮率αを掛けることで、ネイルデザインDの横方向の長さの限界を求める。
ステップS12からステップS14に示す具体的なフィッティング処理の手法は、ネイルデザインDの縦方向の長さのフィッティングについてステップS8からステップS10に示した処理と同様であるため、その説明を省略する。
なお、図7におけるステップS21からステップS24は、図5におけるステップS1からステップS4と同様であることからその説明を省略する。
具体的には、ネイルデザインDと爪Tとをフィッティングさせる場合に、図8(a)及び図8(b)に示すように、ネイルデザインDの縦横比(hd/wd)と爪Tの縦横比(h/w)とが同等となるように合せ込む(ステップS25)。
本実施形態では、図8(a)から図8(c)に示す爪Tは、横長さwよりも縦長さhが長い縦長形状であるため、ネイルデザインDを圧縮して爪Tに合せ込むと、フィッティング後のネイルデザインD3は、図8(b)に示すように、横方向の長さwd3が爪Tの横幅wと同等となり、縦方向の長さhd1も爪Tの縦幅hと同等となって、爪Tの外周に接する外接枠とほぼ重なり合った状態となる。
このようにして、第1のフィッティングモードによるフィッティングが終了すると、次にデザインフィッティング部813は、デザインデータの圧縮又は伸張後のネイルデザインD3の縦方向の長さhd3又は横方向の長さwd3が当該ネイルデザインDの限界変化率αを超えている場合に、限界変化率αを超えない範囲内に再調整する。
本実施形態では、爪Tの縦横比(h/w)がネイルデザインDの縦横比(hd/wd)よりも大きい(ステップS26;YES)。
この場合には、デザインフィッティング部813は、ネイルデザインDの限界変化率(ここでは圧縮する場合の限界となるため限界圧縮率。これを図7において「α」とする。)から、ネイルデザインDの縦方向の長さhdが爪Tの縦方向の長さhと同等であるときの限界デザイン幅gwdを取得する(ステップS27)。
他方、爪Tの横方向の長さwが限界デザイン幅gwdよりも小さい場合(ステップS28;NO)には、現状のネイルデザインD3(図8(b)参照)の横方向の長さwd3が限界変化率αの範囲を超えて圧縮され過ぎている状態となっている。このため、この場合には、図8(c)に示すように、デザインフィッティング部813は、第2のフィッティングモードを適用し、ネイルデザインD4の横方向の長さwd4を限界デザイン幅gwdまで伸張して、ネイルデザインD4と爪Tとを、ネイルデザインD4の中心点Dcと爪Tの中心点Tcとが重なる位置で再フィッティングさせる(ステップS29)。
この場合には、デザインフィッティング部813は、上述した爪Tの縦横比(h/w)がネイルデザインDの縦横比(hd/wd)よりも大きい場合(ステップS26;YES)と同様に、ネイルデザインDの限界変化率αから、ネイルデザインDの横方向の長さwdが爪Tの横方向の長さwと同等であるときの限界デザイン高さghdを取得する(ステップS30)。
ステップS31及びステップS32に示す具体的なフィッティング処理の手法は、ネイルデザインDの横方向の長さのフィッティングについてステップS28及びステップS29に示した処理と同様であるため、その説明を省略する。
この場合には、ユーザは、フィッティング結果をそのまま承認してもよいし、タッチパネル等から入力することで、爪T上におけるネイルデザインDの縦方向・横方向における位置や大きさ等をさらに微調整することができてもよい。また、ユーザが調整した内容をキャンセルして、デザインフィッティング部813による自動のフィッティング結果の状態まで戻すことができる操作ボタン等を用意してもよい。このようにすることで、ユーザが調整を失敗した場合にも容易に自動的に行われたフィッティング状態まで戻すことができる。
また、フィッティング結果は記憶部82等に記憶されるようにしてもよい。フィッティング結果をユーザや爪Tの情報と対応付けて記憶させておくことにより、次回以降同じユーザが同じネイルデザインDを爪Tに描画しようとしたときには、記憶されているフィッティング結果を読み出して適用することで、爪TにフィットしたネイルデザインDを、迅速に描画することが可能となる。
このため、標準的な爪とは異なる縦横比を有する爪T(例えば極端に縦長な爪や横に幅広い爪等)に対しても、ネイルデザインDの印象をできるだけ変えずに、ユーザのイメージに近い状態で描画することができる。
また、本実施形態のデザインデータには、それぞれ当該ネイルデザインDの縦方向及び横方向のそれぞれについて変化させることのできる限界を規定する限界変化率αが予め設定されている。
このため、ネイルデザインDを爪Tに合せ込むために縦方向や横方向に圧縮又は伸張した場合でも、そうしたネイルデザインDの形状変化をデザイン全体の印象が変化したりバランスが崩れたりしない範囲内にとどめ、できるだけユーザのイメージ通りのデザインを適切に爪Tの上に再現させることができる。
また、デザインフィッティング部813は、第2のフィッティングモードにより、ネイルデザインの縦方向の長さ又は横方向の長さの少なくともいずれかが爪の縦方向の長さ又は横方向の長さに対応するまでデザインデータを伸張又は圧縮し、次に、第1のフィッティングモードにより、爪の縦方向の長さ又は横方向の長さと対応していないネイルデザインの縦方向の長さ又は横方向の長さを爪に対応するように、当該ネイルデザインの限界変化率を超えない範囲内でデザインデータを圧縮又は伸張するという手法でフィッティングを行うことができる。
このため、ネイルデザインが大きく変形したり、印象が変わってしまうのを極力防いで、もともとのネイルデザインDの印象に近いデザインを爪Tに描画することができる。
さらに、デザインフィッティング部813は、第1のフィッティングモードにより、ネイルデザインの縦方向の長さ又は横方向の長さが爪の縦方向の長さ又は横方向の長さに対応するまでデザインデータを圧縮又は伸張し、次に、デザインデータの圧縮又は伸張後のネイルデザインの縦方向の長さ又は横方向の長さが当該ネイルデザインの限界変化率を超えている場合に、限界変化率を超えない範囲内に再調整するという手法でフィッティングを行うことができる。
このため、例えば、爪Tの形状(縦横比)が比較的標準的な爪Tに近い場合等、ネイルデザインDを合わせ込んだ際に、縦方向の長さ又は横方向の長さともに当該ネイルデザインの限界変化率を超えていないときは、一度のフィッティングで爪Tへの合せ込み処理を完了させることができ、簡易・迅速なフィッティングが可能となる。
例えば、標準的なモデル爪MTに基づくネイルデザインDの他、縦長の爪に対応したネイルデザインや、横長の爪に対応したネイルデザインがそれぞれ用意されていてもよい。
この場合、爪情報検出部812によって検出された爪情報から取得された爪Tの縦横比により、爪Tが縦長、横長の爪であることが把握された場合には、当該爪の形状に合うネイルデザインが描画候補として優先的に表示部26等に表示されるようにしてもよい。
この場合には、フィッティングにおけるネイルデザインDの変形も最小限度で済み、よりユーザのイメージ通りのネイルデザインを迅速に爪Tに描画することができる。
いずれか一方の手法でも、各種の形状の爪Tに対応したネイルデザインDのフィッティングを行うことができる。
さらに、インクジェット方式の描画ヘッドと、ペン等の描画用具とを両方備え、例えば、下地のべた塗り等であればペンを用い、細かい絵柄部分はインクジェット方式の描画ヘッドを用いるというように、描画するデザインや用途等に応じてインクジェット方式の描画ヘッドとペン等の描画用具とを使い分けて描画を行うものであってもよい。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
描画対象である爪の領域の縦横比を取得する爪情報検出部と、
前記爪の領域の縦横比に応じてネイルデザインの縦横比を変えて前記ネイルデザインを前記爪の領域にフィッティングさせる第1のフィッティングモードを有し、前記第1のフィッティングモードにおいて、前記ネイルデザインの前記縦横比の変化率を、前記ネイルデザインに対して設定されている限界変化率を越えない範囲の値にするデザインフィッティング部と、
を備えることを特徴とする描画装置。
<請求項2>
前記デザインフィッティング部は、
前記第1のフィッティングモードにおいて、前記ネイルデザインを、前記ネイルデザインの縦横比を前記爪の縦横比に合わせるように変化させて、前記ネイルデザインの縦方向の長さが前記爪の領域の縦方向の長さに一致し、前記ネイルデザインの横方向の長さが前記爪の領域の横方向の長さに一致するように変形させた後、前記ネイルデザインの縦方向及び横方向の前記一方を、前記変化率が前記限界変化率を越えない範囲の値となるように圧縮又は伸張することを特徴とする請求項1に記載の描画装置。
<請求項3>
前記デザインフィッティング部は、
前記ネイルデザインの縦横比を変えずに前記ネイルデザインの大きさを変化させる第2のフィッティングモードを有し、
前記第2のフィッティングモードにより、前記ネイルデザインを、前記爪の領域の縦横比に応じて、前記ネイルデザインの縦方向及び横方向の他方の長さが前記爪の領域の縦方向及び横方向の他方の長さに一致するように変形させた後、前記第1のフィッティングモードにより、前記ネイルデザインの縦方向及び横方向の前記一方を、前記変化率が前記限界変化率を越えない範囲の値で圧縮又は伸張することを特徴とする請求項1に記載の描画装置。
<請求項4>
描画対象である爪の領域の縦横比を取得する爪領域取得ステップと、
前記爪の領域の縦横比に応じてネイルデザインの縦横比を変えて前記ネイルデザインを前記爪の領域にフィッティングさせる第1のフィッティングモードを有し、前記第1のフィッティングステップにおいて、前記ネイルデザインの前記縦横比の変化率を、前記ネイルデザインに対して設定されている限界変化率を越えない範囲の値にするデザインフィッティングステップと、
を含むことを特徴とする描画方法。
<請求項5>
前記デザインフィッティングステップは、
前記第1のフィッティングモードにおいて、
前記ネイルデザインを、前記ネイルデザインの縦横比を前記爪の縦横比に合わせるように変化させて、前記ネイルデザインの縦方向の長さが前記爪の領域の縦方向の長さに一致し、前記ネイルデザインの横方向の長さが前記爪の領域の横方向の長さに一致するように変形させる第1変形ステップと、
前記第1変形ステップを実行した後に、前記ネイルデザインの縦方向及び横方向の前記一方を、前記変化率が前記限界変化率を越えない範囲の値となるように圧縮又は伸張する第2変形ステップと、
を含むことを特徴とする請求項4に記載の描画方法。
<請求項6>
前記デザインフィッティングステップにおける前記フィッティングは、前記ネイルデザインの縦横比を変えずに前記ネイルデザインの大きさを変形させる第2のフィッティングモードを有し、
前記デザインフィッティングステップは、
前記第2のフィッティングモードにより、前記ネイルデザインを、前記爪の領域の縦横比に応じて、前記ネイルデザインの縦方向及び横方向の他方の長さが前記爪の領域の縦方向及び横方向の他方の長さに一致するように変形させる第3変形ステップと、
前記第3変形ステップを実行した後に、前記第1のフィッティングモードにより、前記ネイルデザインの縦方向及び横方向の前記一方を、前記変化率が前記限界変化率を越えない範囲の値で圧縮又は伸張する第4変形ステップと、
を含むことを特徴とする請求項4に記載の描画方法。
40 描画部
41 描画ヘッド
50 撮影部
81 制御部
82 記憶部
812 爪情報検出部
813 デザインフィッティング部
T 爪
U1 印刷指
Claims (6)
- 描画対象である爪の領域の縦横比を取得する爪情報検出部と、
前記爪の領域の縦横比に応じてネイルデザインの縦横比を変えて前記ネイルデザインを前記爪の領域にフィッティングさせる第1のフィッティングモードを有し、前記第1のフィッティングモードにおいて、前記ネイルデザインの前記縦横比の変化率を、前記ネイルデザインに対して設定されている限界変化率を越えない範囲の値にするデザインフィッティング部と、
を備えることを特徴とする描画装置。 - 前記デザインフィッティング部は、
前記第1のフィッティングモードにおいて、前記ネイルデザインを、前記ネイルデザインの縦横比を前記爪の縦横比に合わせるように変化させて、前記ネイルデザインの縦方向の長さが前記爪の領域の縦方向の長さに一致し、前記ネイルデザインの横方向の長さが前記爪の領域の横方向の長さに一致するように変形させた後、前記ネイルデザインの縦方向及び横方向の前記一方を、前記変化率が前記限界変化率を越えない範囲の値となるように圧縮又は伸張することを特徴とする請求項1に記載の描画装置。 - 前記デザインフィッティング部は、
前記ネイルデザインの縦横比を変えずに前記ネイルデザインの大きさを変化させる第2のフィッティングモードを有し、
前記第2のフィッティングモードにより、前記ネイルデザインを、前記爪の領域の縦横比に応じて、前記ネイルデザインの縦方向及び横方向の他方の長さが前記爪の領域の縦方向及び横方向の他方の長さに一致するように変形させた後、前記第1のフィッティングモードにより、前記ネイルデザインの縦方向及び横方向の前記一方を、前記変化率が前記限界変化率を越えない範囲の値で圧縮又は伸張することを特徴とする請求項1に記載の描画装置。 - 描画対象である爪の領域の縦横比を取得する爪領域取得ステップと、
前記爪の領域の縦横比に応じてネイルデザインの縦横比を変えて前記ネイルデザインを前記爪の領域にフィッティングさせる第1のフィッティングモードを有し、前記第1のフィッティングステップにおいて、前記ネイルデザインの前記縦横比の変化率を、前記ネイルデザインに対して設定されている限界変化率を越えない範囲の値にするデザインフィッティングステップと、
を含むことを特徴とする描画方法。 - 前記デザインフィッティングステップは、
前記第1のフィッティングモードにおいて、
前記ネイルデザインを、前記ネイルデザインの縦横比を前記爪の縦横比に合わせるように変化させて、前記ネイルデザインの縦方向の長さが前記爪の領域の縦方向の長さに一致し、前記ネイルデザインの横方向の長さが前記爪の領域の横方向の長さに一致するように変形させる第1変形ステップと、
前記第1変形ステップを実行した後に、前記ネイルデザインの縦方向及び横方向の前記一方を、前記変化率が前記限界変化率を越えない範囲の値となるように圧縮又は伸張する第2変形ステップと、
を含むことを特徴とする請求項4に記載の描画方法。 - 前記デザインフィッティングステップにおける前記フィッティングは、前記ネイルデザインの縦横比を変えずに前記ネイルデザインの大きさを変形させる第2のフィッティングモードを有し、
前記デザインフィッティングステップは、
前記第2のフィッティングモードにより、前記ネイルデザインを、前記爪の領域の縦横比に応じて、前記ネイルデザインの縦方向及び横方向の他方の長さが前記爪の領域の縦方向及び横方向の他方の長さに一致するように変形させる第3変形ステップと、
前記第3変形ステップを実行した後に、前記第1のフィッティングモードにより、前記ネイルデザインの縦方向及び横方向の前記一方を、前記変化率が前記限界変化率を越えない範囲の値で圧縮又は伸張する第4変形ステップと、
を含むことを特徴とする請求項4に記載の描画方法。
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