JP2018153175A - デジタルポリメラーゼ連鎖反応において、光学的アーチファクトによって引き起こされる定量化誤差を減少させるための方法 - Google Patents

デジタルポリメラーゼ連鎖反応において、光学的アーチファクトによって引き起こされる定量化誤差を減少させるための方法 Download PDF

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Abstract

【課題】デジタルポリメラーゼ連鎖反応(dPCR)において、光学的アーチファクトによって引き起こされる定量化誤差を減少させるための方法、およびdPCRを用いて、試料中の関心対象の核酸の量または濃度を決定するための方法。【解決手段】関心対象の核酸の量または濃度が、反応領域のアレイにおいて定量化され、a)dPCRにおいて用いられる反応領域のアレイを提供し;b)各反応領域において、光学的シグナルの分布を決定し;c)工程b)において決定される反応領域における光学的シグナルが、反応領域において不均等に分布している場合、反応領域を無効と同定し;そしてd)無効と同定された反応領域を、関心対象の核酸の量または濃度の計算から排除する工程を含む、前記方法。【選択図】なし

Description

本発明は、デジタルポリメラーゼ連鎖反応(dPCR)において、光学的アーチファクトによって引き起こされる定量化誤差を減少させるための方法、およびdPCRを用いて、試料中の関心対象の核酸の量または濃度を決定するための方法に関する。
多くの生物学的、生化学的、診断または療法目的のため、試料中の核酸の量または濃度を正確にそして的確に決定することが必要である。dPCRは、核酸検出および定量化のためのかなり新しいアプローチであり、核酸の絶対的定量化および稀なアレルの検出のため、慣用的なリアルタイム定量的PCRに対して代替法を提供する。dPCRは、核酸試料を多くの個々の平行PCR反応に分配することによって働き;これらの反応のいくつかは、ターゲット分子を含有し(陽性)、一方、他のものは含有しない(陰性)。PCR分析に続き、陰性反応の分画を用いて、試料中のターゲット分子数の絶対計数を行う。リアルタイムPCRに勝るdPCRの重要な利点の1つは、定量化の正確さがより優れていることである。この利点は、定量化が陽性分配の正確な計数および理論的な分配体積の知識しか必要としない(計数はPCR効率にそれほど感受性ではない)ことによる、dPCRの生得的な特性に頼る。定量化標準は必要ではない。これは、標準自体によって引き起こされる潜在的な定量化誤差を排除する。
先行技術は、誤った陽性または陰性計数を同定するため、そして小滴に基づくアッセイにおいて、シグナルを較正するかまたは標準化するための方法を提供する(US 2013/0302792 A1)。この標準化は、陽性および陰性計数の間の分離を改善するはずである。したがって、標準化は、偽陽性または偽陰性計数のリスクを減少させる。最終的な目標は、核酸に関して得られるシグナルを修正することによって、核酸濃度決定の正確さおよび的確さを改善することである。
しかし、先行技術の方法は、光学的決定がアーチファクトによって損なわれる状況による、PCRにおける定量化誤差を考慮していない。
したがって、光学的アーチファクトによって引き起こされる定量化誤差を減少させる、dPCRによる関心対象の核酸の定量化法に関する必要性がある。本発明の目的は、これらの方法を提供することであった。
問題は、各反応領域中の光学的シグナルの分布を分析し、そして光学的アーチファクトを含む反応領域を関心対象の核酸の量または濃度の計算から排除する、デジタルポリメラーゼ連鎖反応(dPCR)に基づく方法によって解決された。
図1は、供給源画像から、ピークピクセルとともに、分配中心を含有する画像への工程を例示する。 図2は、暗視野蛍光画像に対するアーチファクト除去を例示する。図2Aおよび2Bは、それぞれ、非消光色素を含む反応領域(正常な形状)、ならびに消光色素および蛍光ダストアーチファクトを含む反応領域を示す。 図3は、明視野非蛍光に対するアーチファクト除去を例示する。図3Aおよび3Bは、それぞれ、アーチファクトを含まない反応領域(正常な形状)およびダストアーチファクトを含む反応領域を示す。コア領域は、分配境界内部のすべてのピクセルからなり、分配境界によって陰が付けられていない。アーチファクトは、標準偏差または最小値の逸脱によって最もよく区別される。
したがって、本発明は、試料中の関心対象の核酸の量または濃度のより的確でそして正確な決定を可能にする、dPCRによって核酸を定量化する非常に正確でそして的確な方法を提供する。特に、上記方法は、例えば、反応領域中の不純物(例えば汚れ)または場合による測定における技術的失敗による、光学的アーチファクトを含む反応領域の排除を可能にする。
第一の側面において、本発明は、デジタルポリメラーゼ連鎖反応(dPCR)において光学的アーチファクトによって引き起こされる定量化誤差を減少させるための方法であって、関心対象の核酸の量または濃度が、反応領域のアレイにおいて定量化され、
a)dPCRにおいて用いられる反応領域のアレイを提供し;
b)各反応領域において、光学的シグナルの分布を決定し;
c)工程b)において決定される反応領域における光学的シグナルが、反応領域において不均等に分布している場合、反応領域を無効と同定し;そして
d)無効と同定された反応領域を、関心対象の核酸の量または濃度の計算から排除する
工程を含む、前記方法に関する。
上に詳述するように、核酸の量または濃度を信頼性を持って決定するための方法は、いくつかの産業適用において、例えば医学的分野において特に重要である。いくつかの側面に関して、核酸が試料中に存在するかどうかを明らかにすることが必要でありうるだけでなく、試料、例えば患者または製品から得られる試料中の核酸の量または濃度を、可能な限り的確にそして正確に決定する必要がありうる。これは、例えば、疾患の重症度の診断において、あるいは例えば混入または不純物を明らかにするため、環境技術または製品の品質管理において、関心が持たれうる。
現在のdPCR法は、意図される体積中に存在する核酸の数の決定に重点を置き、そして光学的アーチファクトは考慮しない。
dPCR(デジタルポリメラーゼ連鎖反応、デジタルPCRまたはDigitalPCR)は、DNA、cDNA、RNAまたはその混合物を含む核酸を直接定量化し、そして場合によってクローン性に増幅するために使用可能な、慣用的ポリメラーゼ連鎖反応法のバイオテクノロジー改良法である。dPCRおよび伝統的PCR(例えばqPCR)の間の重要な相違は、核酸量を測定する方法にあり、前者はPCRよりもより的確でそして正確な方法であるが、また、経験を積んでいない使用者の管理下では、より誤りやすい傾向がある。dPCRのダイナミックレンジはより小さいため、試料の希釈が必要でありうる。dPCRはまた、試料内で単一の反応を実行するが、試料を多数の分配または反応領域に分離し、そして反応を各分配または反応領域において、個々に行う。この分離は核酸量のより信頼性がある収集および高感度の測定を可能にする。さらに、該方法は、正確な定量化を可能にする。
上に詳述するとおり、dPCR試料を分配して、試料内の個々の核酸分子が、多くの別個の領域(反応領域)内に局在し、そして濃縮されるようにする。試料の分配は、分子集団がポアソン分布にしたがうと仮定することによって、核酸数の概算を可能にする。その結果、各部分は、陰性または陽性反応(それぞれ「0」または「1」)を含有するであろう。PCR増幅後、PCR最終産物陽性反応を含有する領域を計数することによって、核酸を定量化することも可能である。慣用的定量的PCRにおいて、定量化結果は、PCRプロセスの増幅効率に依存しうる。しかし、dPCRは、最初の試料量を決定するために、増幅サイクルの数には依存せず、ターゲット核酸を定量化するために、不確かな指数データへの依存を排除し、そしてしたがって、絶対定量化を提供する。
本発明の第一の側面は、光学的アーチファクトによって引き起こされる定量化誤差を減少させるための方法に関する。
光学的アーチファクトは、意図されるもの以外の供給源から生じる光学的シグナルである。本発明の背景において、これはdPCRアッセイからは生じず、光学的プロセスにおいて決定される光学的シグナルの望ましくないまたは意図されない改変のいずれかである。アーチファクトは、dPCRシグナルに影響を及ぼす不純物などの撹乱物質から、あるいは光学的シグナルの決定において用いられる技術またはデバイスからのいずれかで生じうる。
アーチファクトは、限定されるわけではないが、汚れ、ダスト、引っ掻き傷、液体のしみ、例えば分離シリコン油、毛髪、繊維、指紋からの汚れ、反応領域の不正確な充填または反応領域の分配構造の欠陥、例えば特定の理由により半分の深さしかない分配を含む、何らかの種類の不純物であることも可能である。アーチファクトは、反応領域の下部または上部表面あるいは該領域内のいずれにあることも可能である。
汚れは、製品を不透明または不潔にする物質を指す。汚れは、使用者または観察者から見て望ましくない物質(しばしば小さいサイズの粒子または痕跡)である。汚れの一般的なタイプには、限定なしに、ダスト(有機またはミネラル物質の一般的な粉末)、例えば土、油、グリース等の残渣、ごみ(排泄物などの汚物)、汚物(黒い染みついたダスト、例えばすす)、および土(基盤上にある、粘土、砂および腐植土の混合物)が含まれる。
光学的アーチファクトはまた、アレイ表面上の修飾、例えば限定なしに、引っ掻き傷、液体のしみ、例えば分離シリコン油、毛髪、繊維、指紋からの汚れ、またはアレイ構造における欠陥、例えば特定の理由により半分の深さしか持たない分配を含む、表面上(内部または外部)の物質の除去または付加によっても引き起こされうる。最後に、反応領域の不正確な充填(例えば反応領域が部分的にしか充填されない)もまた、アーチファクトを引き起こしうる。
さらにまたはあるいは、アーチファクトは画像化中の技術的問題のためでありうる。これらのアーチファクトは、画像化供給源および画像の間の意図されない相違による。相違の理由は、例えば、ブルーミング、色収差、ジャギー、エイリアシング、JPEG圧縮、モアレまたはノイズである可能性もある。
ブルーミングは、存在するピクセル上に流出し、画像領域中に過剰曝露を引き起こしうる、電荷のオーバーフローである。
色収差は、レンズが同じ収束点にすべての色の焦点を合わせることに失敗する、分散から生じる効果である。これは、レンズが、光の異なる波長に関して、異なる屈折率を有するために起こる。透明な物質の屈折率は、各々に固有な度合いで、波長が増加するにつれて減少する。色収差は、画像の暗い部分および明るい部分を分ける境界に沿った色の「フリンジ」として現れ、これは、光学的スペクトル中の各色が、単一の共通の点に焦点を合わせることが不能であるためである。レンズの焦点距離fは、屈折率nとは独立であるため、光の異なる波長は、異なる位置に焦点を結ぶであろう。
ジャギーまたはエイリアシングは、デジタル画像中の斜線上の目に見えるぎざぎざの縁を指す。ピクセルは正方形であり、そして斜線は、正方形のピクセルのセットからなるため、ピクセルが大きい場合には、一連の階段ステップのように見える場合がある。撮影後の鮮明化により、ジャギーの可視性は増加するであろう。
JPEG圧縮は、画像保存に用いられる。JPEGは、デジタルフォトファイルを保存するために用いられる、最も一般的なフォトファイル形式である。しかし、JPEGは、画像品質および画像サイズの間のトレードオフを生じる。ファイルをJPEGとして保存する場合、画像は圧縮され、そして品質は失われる。
モアレは、画像が高頻度の反復領域を含有する場合に引き起こされる。これらの詳細は、カメラの分解能を超過しうる。これは、画像上の波打つ着色線のように見える。
ノイズは、望ましくないまたは散在する色の斑点として画像上に現れ、そしてノイズは、最も一般的には、カメラのISOを上昇させることによって引き起こされる。これは、しばしば赤、緑、および青の小さな点として、画像の陰および黒い部分に最も現れる。ノイズは、より低いISOを用いることによって減少させることも可能である。
第一の側面の方法の第一の工程において、dPCRにおいて用いられる反応領域のアレイを提供する。
dPCRにおいて用いられる反応領域は、dPCRにおいて使用するために適した任意の反応領域アレイであってもよく、そしてこれには、限定なしに、マイクロアレイまたはナノアレイの小型化されたチャンバー、微少流体デバイスのチャンバー、マイクロウェルまたはナノウェルが含まれる。反応領域は、チップ上、キャピラリー中、核酸結合表面上またはビーズ上であってもよい。好ましくは、アレイはマイクロアレイまたはチップ上である。
本発明で使用可能な、利用可能なdPCR系は多数ある。商業化されているデジタルPCRプラットホームには、Fluidigmのマイクロウェルチップに基づくBioMark(登録商標) dPCR、Life Technologiesのスルーホールに基づくQuantStudio12k flex dPCRおよび3D dPCR、ならびにBio−Rad(登録商標)の小滴に基づくddPCR(ddPCR) QX100およびQX200、ならびにRainDance(登録商標)のRainDropが含まれる。微少流体チップに基づくdPCRは、パネルあたり最大数百の反応領域を有しうる。小滴に基づくdPCRは、通常、およそ20,000の分配された小滴を有し、そして反応あたり、最大10,000,000を有しうる。QuantStudio 12k dPCRは、サブアレイあたり64の反応領域を含有し、そして総数48のサブアレイを含有し、アレイあたり総数3072反応領域に等しい、OpenArray(登録商標)プレート上で、デジタルPCR分析を行う。
小滴dPCR(ddPCR)は、水−油エマルジョン小滴技術に基づく。試料を多数の小滴(例えば約20,000)に分画し、そしてテンプレート分子のPCR増幅が、各個々の小滴において起こる。ddPCR技術は、小滴形成化学を含む最も標準的なTaqManプローブに基づくアッセイに関して用いるものと類似の試薬およびワークフローを用いる。また、挿入試薬、例えばEvagreenを用いてもよい。大規模な試料反応分配は、ddPCR技術の重要な側面である。非球状分配(例えばナノウェル)は、実際に、同じ数の球体分配よりも、試料体積あたり、より広い領域を有する。
典型的には、より多い数の反応領域を用いることによって、dPCRによる決定の正確さおよびより重要には的確さが改善されうる。およそ100〜200、200〜300、300〜400、700またはそれより多い反応領域を用いることが可能であり、これらは、PCRによって問題の量または濃度を決定するために用いられる。
第一の側面の方法の第二の工程において、各反応領域中の光学的シグナルの分布を決定する。
このため、各反応領域の多様な下位領域から光学的シグナルを検出し、そして決定する。好ましくは、反応領域を分析のための下位領域に細分割し、そして各下位領域に関して光学的シグナルを得て、それによって、反応領域中の光学的シグナルの分布を決定する。反応領域の下位領域への細分割は、グリッディングまたはラスタライジングによって実行可能であり、ここで、反応領域を、一般的にはピクセルの長方形のグリッドまたは色のポイントに細分割する。画像は、ドットマトリックスデータ構造である。ラスターは、ピクセルの幅および高さによって、そして反応領域あたりのピクセル数によって、技術的に特徴付けられる。本発明において、各下位領域の光学的シグナルを特徴付ける値を検出し、決定し、そしてさらなる分析のために登録する。
典型的には、光学的シグナルは、光子を登録することによって検出され、これは、記録可能な出力を、通常は電気的シグナルとして生じる。電気的シグナルの強度は、光学的シグナルの強度に対応する。しかし、光学的シグナルを検出するための方法は、当該技術分野に周知である。
光学的シグナルは、非蛍光明視野または暗視野モードで、あるいは蛍光モードで、決定可能である。やはり蛍光モードで、例えば適切なフィルターコアを用いた画像の二次元コンボリューションとして、適切な画像プロセシングフィルター操作で、下位領域の光学的シグナルの値を決定する。この方法は、多数の例えばピクセル程度の比較的小さい物体の検出に非常に効率的である。画像プロセシングフィルター操作の結果は、分配の中心ピクセルがピーク値を有し、これらが次いで検出される画像である(例えば図1を参照されたい)。
第三の工程として、工程b)において決定される反応領域における光学的シグナルが、反応領域において不均等に分布している場合、反応領域を無効と同定する。
通常は液体である、反応領域中のdPCR組成物は、均等に分布していると予期される。したがって、反応領域の下位領域中の光学的シグナルは、本質的に同一であると予期されうる。シグナルの不均等な分布は、アーチファクトを暗示する。他の下位領域のシグナルに比較して、有意に増加したまたは減少した光学的シグナルを有する少なくとも1つの下位領域(好ましくは少なくとも3、より好ましくは少なくとも5、最も好ましくは少なくとも10)がある場合、シグナルは不均等に分布している。分布を評価するため、各下位領域の値を記録する。下位領域は、連続する数字または文字、画像化系上の領域のXY位、あるいは値の列または値における位置によって明示可能であり、そして光学的シグナルに関する値が下位領域に割り当てられる。このプロセスは、特性(例えば数値として表される光学的シグナルの強度)とともにアレイ上の反応領域の同定を可能にする。
その後、分布を評価する。これは、単一の値を互いに比較することによって実行可能である。単一の値が、任意の他の単数または複数の値と有意に異なる場合、あるいは値および反応領域の任意の他の単数または複数の値の間の相違が閾値を超えている場合、シグナル分布は不均等である。
当業者は、2つの値が互いに有意に異なるかどうかを評価する統計的方法、例えばスチューデントのt検定またはカイ二乗検定を知っている。さらに、当業者は、適切な参照、例えば反応領域の下位領域(単数または複数)に関する単一の値または値群を選択する方法を知っている。あるいは、これは、以前、例えば以前のアッセイにおいて決定した値、あるいは第三者、例えば実験装置の製造者によって与えられた値または当該技術分野に知られる公表された値であってもよい。
アーチファクト同定および反応領域の無効化に関しては、基本的に、光学的シグナル、例えば特定の下位領域に属するピクセルを用いて実行し、反応領域中のシグナル強度分布を決定し、そしてしたがってアーチファクトおよびそのタイプを決定する、異なるアルゴリズムがある。パラメータ、例えば平均シグナルレベル、中央値、標準偏差、最大および最小シグナルステップ、また分布形状も計算し、そして決定する。分配の充填が不適切である場合、これはまた、シグナルの閾値を用いることによって認識可能であり、そしてパラメータセットに基づいて、アーチファクトとして処理可能である。
閾値の選択に関して、当業者は、経験および一般的な場合の環境(例えば関与するアッセイまたはマーカー)に基づいて、適切な閾値を選択可能であろうことが注目される。経験にはまた、以前の類似のまたは同一のアッセイ、およびそこに記録される光学的シグナルの変動が含まれることも可能である。
あるいはまたはさらに、光学的シグナルの平均値、および場合によって反応領域中の光学的シグナルの値の標準偏差を決定する。したがって、平均、標準偏差、分布の形状またはシグナル平均からの単一のシグナルの逸脱を分析することによって、均等な分布を評価することもまた可能である。反応領域における光学的シグナルの分布が(i)閾値を超える標準偏差、(ii)分布の不適切な形状、(iii)閾値を超えるシグナル平均からの単一シグナルの逸脱および/または(iv)予期されるものから有意に逸脱したシグナル平均によって特徴付けられる場合、反応領域を無効と同定することも可能である。光学的アーチファクトを同定するための例を、図2および3にもまた示す。これらの図からわかるように、標準偏差は、ダストアーチファクトを含む反応領域中で有意に増加する。これらの反応領域はまた、分布の不適切な形状も示す。シグナル平均からの最小および/または最大シグナルの逸脱は有意に増加し、そしてシグナル平均は、アーチファクトを含まない反応領域中で測定されたものから逸脱する。
適切な閾値レベルを、同じアレイにおいて、例えば暗黙のうちに、典型的な標準偏差から決定し、そして得ることも可能である。
さらに、反応領域を取り巻く下位領域(例えばピクセル)が、反応領域の評価および無効化に含まれてもよい。これには、例えば平均リム値またはリム値のSTDEVの分析が含まれうる。
反応領域が、以前のセクションに記載したように、無効と見なされた場合、反応領域周囲の下位領域に関するシグナル値を調べることによって、さらなるアーチファクト同定法を適用してもよい。以前のセクションに記載したものと類似の概念を適用することによって、平均シグナルレベル、中央値、標準偏差、最大および最小シグナルステップ、またこのリム領域に割り当てられる下位領域の分布の形状(形状)、アーチファクト認識の確かさの計算は、拡大可能であり、これはアーチファクトの大部分が反応領域寸法よりもより大きい側方サイズを有するためである。
例示的な態様において、アレイの反応領域に対する焦点位置にセンサーを置き、そして画像を捕捉する。すべてが済んだ後、この捕捉された画像を評価することも可能である。通常、完全センサー、例えばカメラピクセルを読み取る。典型的には、光学的シグナルに数値を与え、下位領域に関するいくつかの値を得る。
アーチファクト同定および反応領域の無効化のため、値を互いに比較する。光学的シグナル、例えば特定の下位領域に属するピクセルを用いて、反応領域中のシグナル強度分布を決定し、そしてしたがってアーチファクトおよび場合によってそのタイプを決定する、異なる方法およびアルゴリズムがある。パラメータ、例えば平均シグナルレベル、中央値、標準偏差、最大および最小シグナルステップ、また分布形状(六角形分配形状対例えば分配の円形形状)を計算し、そして決定する。反応領域の充填が不適切である場合、これはまた、光学的シグナルの閾値を用いることによって認識可能であり、そしてパラメータセットに基づいて、アーチファクトとして処理可能である。
第四の工程として、無効と同定された反応領域を、関心対象の核酸の量または濃度の計算から排除する。「排除される」は、反応領域が評価されていないとして処理され、そして無視されることを意味する。典型的には、シグナル(陽性または陰性;「0」および「1」、上記を参照されたい)、または反応領域の体積のいずれも、反応領域のアレイ中の関心対象の核酸の量または濃度を定量化する際に、考慮されない。
第二の側面において、本発明は、試料中の関心対象の核酸の量または濃度を決定するための方法であって:
a)関心対象の核酸を含有すると推測される試料を提供し;
b)反応領域アレイの各反応領域において、試料を用いてdPCRを実行し;
c)各反応領域において、光学的シグナルの分布を決定し;
d)工程c)において決定される反応領域における光学的シグナルが、反応領域において不均等に分布している場合、反応領域を無効と同定し;そして
e)工程d)において無効と同定されていない反応領域のdPCR結果に基づいて、関心対象の核酸の量または濃度を計算する
工程を含む、前記方法に関する。
本発明の該方法の第一の工程において、関心対象の核酸を含有すると推測される試料を提供する。
試料は、被験体由来の試料を含めて、問題の核酸を含有すると推測される任意の試料であってもよい。試料は、その物質(単数または複数)と同一であり、そしてそのより多い量を代表すると意図される、限定された量の物質である。試料を得る作業は、人によって、または自動的に実行可能である。試験、分析、検査、調査、実証、または試行使用のために、試料を採取するかまたは提供することも可能である。ある場合、試料採取は連続的に進行中であってもよい。試料は、固体、液体または気体を含むかまたはこれらからなってもよい;試料は、ゲルまたは痰、組織、生物またはこれらの組み合わせなどの、何らかの中間特性を持つ物質であってもよい。好ましくは、試料は、容易な分配を可能にする液体または懸濁物である。
物質試料が個々のアイテムとして計数できない場合であっても、試料の量はなお、体積、質量、サイズ、または他のこうした寸法に関して記述可能である。固形試料は、1つのまたはいくつかの別個の片として入手可能であるし、あるいは断片化されるか、顆粒であるかまたは粉末化されることも可能である。
この文脈の試料は、検出するかまたは測定しそして定量化しようとする、1またはそれより多い核酸を含有すると推測される、ある量の物質である。本明細書において、該用語には、限定されるわけではないが、標本(例えば生検または医学的標本)、培養物(例えば微生物学的培養)または環境試料、例えば水または土が含まれる。試料は被験体、例えば動物またはヒト由来であってもよいし、液体、固体(例えば糞便)、懸濁物または組織であってもよい。用語「被験体由来の試料」には、任意の所定の被験体から単離された、生物学的液体、排泄物および組織のすべてが含まれる。好ましくは、被験体は動物、より好ましくは哺乳動物、またはさらにより好ましくはヒトである。試料は、限定されるわけではないが有蹄動物、クマ、魚類、齧歯類等の動物を含む、家畜動物、ならびに野生動物の多様な科のすべてから得られてもよい。
試料の例には、限定されるわけではないが、細胞または組織培養物、血液、血清、血漿、針吸引物、尿、精液、精漿、前立腺液、排泄物、涙、唾液、汗、生検、腹水、脳脊髄液、胸水、羊水、腹水、間質液、痰、ミルク、リンパ液、鼻および他の洗浄液試料、または組織抽出物試料が含まれる。試料供給源は、新鮮、凍結および/または保存臓器または組織試料または生検または吸引物由来などの固形組織;あるいは被験体の妊娠または発生における任意の時点に由来する細胞であってもよい。
試料は、天然の試料の供給源と天然には混合されていない化合物、例えば保存剤、抗凝血剤、緩衝剤、固定液、栄養素、抗生物質等を含有してもよい。
試料がdPCRのための準備ができていないかまたはdPCRに適していない場合、dPCRに使用する前に、さらなるプロセシングが必要である可能性もある。通常、試料は、例えば試料を希釈して(dPCRを可能にする核酸濃度を得る)、妨害構成要素を除去し、dPCRに必要な試薬を添加するなどにより、dPCRのためにプロセシングされる必要がある。プロセシングは、多数の異なる工程および技術を含むことも可能であり、これらは、試料の性質、関心対象の核酸のタイプ、および用いるdPCR法を含む、多様な側面に応じるであろう。典型的には、プロセシングには、精製工程および/または希釈または濃縮工程が含まれる。核酸を精製するための方法は、当該技術分野に周知であり、そしてこれには、限定されるわけではないが、ホモジナイズ、洗浄、遠心分離、抽出等が含まれる。例えば試料を破壊することによって、保存剤を添加することによって、試料を凍結することによってまたは乾燥させることによって、試料を保存することが必要である可能性もある。得た試料を破壊するため、物理的な力(例えばポリトロン、粉砕または凍結)または化学的方法(例えば細胞の溶解)を用いてもよい。ホモジナイズのために界面活性剤またはカオトロープを用いてもよい。酸フェノール/クロロホルム、フィルター、ガラス粒子またはクロマトグラフィ(例えば結合パートナーとして適切な核酸を用いて)の使用によって、核酸を抽出してもよい。プロセシングの任意の時点で(プロセシングの開始時、プロセシング中、および/またはプロセシング終了時)、試料を保存することが必要である可能性もある。このため、適切な培地、例えば緩衝生理食塩水を添加することが必要であるかまたは適切である可能性もある。関心対象でないか、または妨害しうる、混入物質および/または核酸を除去することが必要である可能性もある。混入物質を除去するため(例えばDNアーゼ、RNアーゼおよび/またはプロテイナーゼ)、または関心対象の核酸を保護するため(例えばDNアーゼ阻害剤またはRNアーゼ阻害剤)、酵素を用いてもよい。酵素を不活性化するため、加熱工程が適切である可能性もある。望ましくない構成要素、例えば二価カチオン(Ca2+およびMg2+)を取り除くため、除去剤を用いてもよい。培地を交換するために、洗浄工程が必要である可能性もある。
上に詳述するように、dPCRのため、関心対象の核酸は、dPCR中、適切な量または濃度で存在する必要がある。したがって、適切な希釈または濃縮工程が必要である可能性がある。核酸希釈は、通常、溶媒(例えば続く工程のための適切な培地、例えばdPCR培地またはdPCR緩衝液)を添加することによって行われる。例えば、望ましくない構成要素の除去、または特定の最終濃度を得るための濃縮が、意図されるかまたは必要である場合、これには、洗浄工程が伴ってもよい。濃縮は、任意の濃縮法、例えば免疫捕捉、遠心分離、アルコール沈殿、および結合マトリックスの使用のいずれによって行ってもよい。プロセシング後、試料はdPCRの準備ができており、これは、第二の側面にしたがった本発明の方法の工程b)にしたがうことである。
上に詳述するように、試料は関心対象の核酸を含有し、その量または濃度を、本発明の方法において決定するものとする。核酸は、すべての既知の生命の形に必須であるバイオポリマーである。したがって、核酸は、特定の生物に関する指標として使用可能であるが、また、例えば、突然変異または天然存在変異体の場合には、疾患に関する指標としても使用可能である。DNA(デオキシリボ核酸)およびRNA(リボ核酸)を含む核酸は、ヌクレオチドとして知られる単量体から作製される。各ヌクレオチドは3つの構成要素:五炭糖、リン酸基、および窒素性塩基を有する。糖がデオキシリボースである場合、ポリマーはDNAである。糖がリボースである場合、ポリマーはRNAである。核酸は、最も重要な生物学的巨大分子の1つである。これらは、すべての生物中に豊富に見られ、ここで、遺伝情報をコードし、伝達し、そして発現する際に機能し、言い換えると、情報は、核酸配列、あるいはDNAまたはRNA分子内のヌクレオチドの順序を通じて伝達される。核酸の実験研究は、現代生物学および医学研究の主要部分を構成し、そしてゲノムおよび法医学科学ならびにバイオテクノロジーおよび薬学産業の基礎を形成する。したがって、本発明の方法は、これらの分野のいずれにおいて使用することも可能である。
核酸は、微生物(例えば病原体)の指標であることも可能であり、そして疾患、例えば感染の診断において有用でありうる。感染は、細菌、ウイルス、真菌、および寄生虫または他の核酸含有対象によって引き起こされることも可能である。病原体は、外因性(環境または動物供給源から、あるいは他のヒトから獲得される)であっても、または内因性(正常フロラ由来)であってもよい。試料は、徴候および症状に基づいて選択されてもよく、疾患プロセスの代表であるべきであり、そして抗微生物剤の投与前に収集されるべきである。プロセシングされない試料中の核酸の量は、疾患の重症度の指標でありうる。
あるいは、核酸は、遺伝子障害の指標であってもよい。遺伝子障害は、ゲノム中の1またはそれより多い異常によって引き起こされる遺伝的問題、特に誕生時から存在する状態(先天性)である。大部分の遺伝子障害は、非常に稀であり、そして数千または数百万人に1人が罹患する。遺伝子障害は、遺伝性、すなわち親の遺伝子から伝達されるものであってもまたはなくてもよい。非遺伝性遺伝子障害において、欠損は、DNAに対する新規突然変異または変化によって引き起こされてもよい。こうした場合、生殖系列で生じた場合にのみ、欠損は遺伝性であろう。同じ疾患、例えばいくつかの型の癌は、ある人々では遺伝性遺伝子状態によって、他の人々では新規突然変異によって、そして主に、さらに他の人々においては環境的原因によって、引き起こされうる。明らかに、突然変異を含む核酸の量は、疾患状態の指標でありうる。
本発明の方法において、核酸の量または濃度を決定する。物質量は、標準で定義される量である。国際単位系(SI)は、物質量を、存在する基本的実体の数に比例するよう定義し、アボガドロ定数の逆数が比例定数である(単位はmol)。物質量に関するSI単位はモルである。モルは、同位体炭素12の12gにある原子と等しい数の基本的実体を含有する物質の量と定義される。したがって、試料の物質量は、試料質量を物質のモル質量で割ったものとして計算される。この文脈において、「量」は、通常、関心対象の核酸配列のコピー数を指す。
物質の濃度は、構成要素の存在量を混合物の総体積で割ったものである。いくつかのタイプの数学的説明:質量濃度、モル濃度、数濃度、および体積濃度が、区別可能である。用語、濃度は、任意の種類の化学的混合物に適用可能であるが、最も頻繁には、これは溶液中の溶質および溶媒を指す。モル(量)濃度は、正常濃度および浸透圧濃度などの変数を有する。好ましくは、濃度は、数で与えられた構成要素の量を、混合物の総体積で割ったものである。本発明の背景において、濃度は通常、「体積あたりのコピー数」である。
好ましくは、提供される試料は液体中にあり、これはさらなる方法工程を容易にする。
次の工程として、反応領域アレイの各反応領域中の試料を用いて、dPCRを行う。dPCRにおいて、問題の核酸を増幅し、そして検出し、ここで、多くの個々の分子は、各々、別個の反応領域に単離される。各反応領域(ウェル、チャンバー、ビーズ、エマルジョン等)は、出発分子が存在しない場合は陰性結果、またはターゲットとされる出発分子が存在する場合は、増幅および検出に関して陽性結果のいずれかを有するであろう。これは、反応の一部がテンプレート分子を持たず、そして陰性増幅結果を与えるように、多くの別個のPCR反応に渡って、試料の限界希釈を行う技術である。反応終点で、陽性PCR反応の数を計数する際、元来の試料に存在する個々のテンプレート分子を1つ1つ計数する。PCRに基づく技術は、増幅可能である分子を計数するだけであるさらなる利点を有し、例えばこれは、配列決定ワークフローにおける、大規模な平行PCR工程に関連する。デジタルPCRに基づく方法において、分析しようとする核酸を多くの異なる反応領域(例えばウェル、ビーズ、エマルジョン、ゲルスポット、微少流体デバイス中のチャンバー等)に分配する。いくつかであるがすべてではない反応領域が少なくとも1つの分子を含有することが重要である。典型的には、各反応領域は、1つまたはゼロの分子を含有するであろう。実際、反応領域、例えばウェルには、分子のランダムな分布があるであろう。反応領域のある割合(例えば80%)が陽性である場合、多くの領域は、1またはそれより多い分子(例えばウェルあたり平均2.2分子)を含有するであろう。統計法を用いて、異なる反応領域の数および陽性の数に基づいて、試料中の分子の予期される総数を計算することも可能である。これは、異なる反応領域に適用された、部分中の核酸の計算量または濃度を生じるであろう。試料採取および確率に基づくいくつかの統計法を用いて、この濃度に到達することも可能である。こうした分析の例は、arxiv.org、引用arXiv:0809.1460v2[q−bio.GN]に見られる、2008年9月8日に最初にアップロードされた、Dubeら, arXiv:0809.1460v2 「デジタルPCRを用いた、ナノ流体デバイス上でのコピー数偏差の最大解像度の計算(2008)」に提供される。該刊行物は、デジタルPCRアレイ中で用いられる反応領域の数および陽性結果の数に基づいて、分子濃度および統計信頼区間を概算するために使用可能な一連の等式を提供する。このタイプの計算の別の例は、米国特許出願US 2009/0239308 A1に見出されうる。
通常、ポアソン分布は、単一のDNAアンプリコンのみが、ランダムに離散化された体積の反応装置中に存在して、反応体積あたり、関心対象のDNAアンプリコンが1つのみであることを支持する場合のデジタル体制を予測するために用いられる。この方式で、各反応装置体積から放出されるPCR増幅シグナル(例えば蛍光)は、1つのアンプリコンのみの産物であり、そしてすべての他の別個の反応体積からは分離されている。次いで、どれだけ多くのデジタル反応装置が、挿入色素または特定のDNAポリメラーゼプローブ配列に対応する増幅された蛍光シグナルを放出するかを計数することによって、定量化を達成する。デジタル体制において、各反応装置体積は、単一のDNA鎖より多くを含まないように限定されているため、その1つのDNA鎖ならびに対応するプライマーおよびプローブセットのみから、増幅された蛍光シグナルの100%が生じると正しく仮定することが可能である。しかし、非常に低濃度の体制は、結果が不正確になるため、通常、好ましくない。
dPCRに関するいくつかの方法論が存在する。例えば、クローン性に増幅されたDNAを伴う小ビーズを調製するエマルジョンPCRが用いられてきており、本質的には、各ビーズは、dPCRの1つのタイプのアンプリコンを含有する。PCR産物に対して「in situで」(すなわち同じウェル中で)実行可能な蛍光プローブに基づく技術は、この適用に特によく適している。米国特許第6,440,705号は、この増幅法のより詳細な説明を含有する。これらの増幅を、エマルジョンまたはゲル中、ビーズ上またはマルチウェルプレート中で実行することも可能である。
dPCRにはまた、チャネルおよびポンプを用いて、分子をいくつかの反応領域に送達する、微少流体に基づく技術も含まれる。適切な微少流体デバイスが当該技術分野に知られる。
dPCRは、本質的に慣用的PCRのように行われる。適切な培地中の核酸(参照または関心対象)を、プライマー、プローブおよび熱安定性ポリメラーゼ(例えばTaqポリメラーゼ)と接触させ、そして熱サイクリングを実行する(鎖分離および酵素的複製のための、反応の反復加熱および冷却サイクル)。培地は通常、デオキシヌクレオチド、緩衝溶液およびイオン(例えばMg2+)を含有する。
PCRの選択性は、特定の熱サイクリング条件下で、増幅のためにターゲティングされる領域に相補的であるプライマーの使用から生じる。生じた増幅産物を、通常は標識、例えば蛍光標識されている、適切なプローブの使用によって検出する。mRNAに基づくPCRのため、RNA試料をまず、逆転写酵素で、相補DNA(cDNA)に逆転写する。
典型的には、PCRプロセスは、25〜50回反復される一連の温度変化からなる。これらのサイクルは、通常、3つの段階からなる:第一の約95℃は、核酸二重鎖の分離を可能にし;第二の約50〜60℃の温度は、DNAテンプレートとプライマーの結合を可能にし;第三の68〜72℃の間の温度は、DNAポリメラーゼによって行われる重合を促進する。断片サイズが小さいことにより、酵素が整列段階および変性段階の間の変化中に断片の数を増加させることが可能であるため、このタイプのPCRにおいては、最後の工程は、通常、省略される。さらに、非特異的色素を用いる際、プライマー二量体の存在によって引き起こされるシグナルを減少させるため、シグナル、例えば蛍光を、例えば80℃の温度で測定する。用いる温度およびタイミングは、非常に多様なパラメータ、例えば:DNAを合成するために用いる酵素、反応中の二価イオンおよびデオキシリボヌクレオチド(dNTP)の濃度、ならびにプライマーの結合温度に依存する。
1つの態様において、ユニークなプローブ配列各々をコードする、多数の色、時間的および強度の組み合わせを用いることによって、より多数の蛍光プローブ配列(例えばTaqManプローブ配列)を同定するユニークな能力を可能にするdPCR法を提供する。さらに、より高価でない非TaqManプローブリアルタイムPCR増幅指標、例えばSYBRまたはPicoGreenを用いて、時間的キューのみ、強度キューのみ、または強度および時間的キューの組み合わせに基づく多重dPCRを達成し、こうして有意なコスト減少を伴って、より高い度合いでプライマー対を区別することも可能である。これらはまた、望ましい場合、より高い正確さに向けて、対照を増進し、そして結果を標準化するために用いることも可能である。典型的な五重qPCRからの典型的な多重化限界は、蛍光レポーターを用いて、限定されるスペクトルバンドを伴う百重dPCRまで増加させることが可能である。
dPCR前に、dPCRと同時に、またはdPCR後に、各反応領域中の光学シグナルの分布を定量化する。その後、工程c)において決定される反応領域における光学的シグナルが、反応領域において不均等に分布している場合、反応領域を無効と同定し、そして無効と同定された反応領域を、関心対称の核酸の量または濃度の計算から排除する。これらの工程のさらなる詳細はまた、上記および下記に示される。
本発明の方法において、核酸の量または濃度を決定する。物質量は、標準で定義される量である。国際単位系(SI)は、物質量を、存在する基本的実体の数に比例するよう定義し、アボガドロ定数の逆数が比例定数である(単位はmol)。物質量に関するSI単位はモルである。モルは、同位体炭素12の12gにある原子と等しい数の基本的実体を含有する物質の量と定義される。したがって、試料の物質量は、試料質量を物質のモル質量で割ったものとして計算される。
物質の濃度は、構成要素の存在量を混合物の総体積で割ったものである。いくつかのタイプの数学的説明:質量濃度、モル濃度、数濃度、および体積濃度が、区別可能である。用語、濃度は、任意の種類の化学的混合物に適用可能であるが、最も頻繁には、これは溶液中の溶質および溶媒を指す。モル(量)濃度は、正常濃度および浸透圧濃度などの変数を有する。好ましくは、濃度は、数で与えられた構成要素の量を、混合物の総体積で割ったものである。
本発明記載の関心対象の核酸は、その量または濃度を決定しようとする、任意の核酸である。核酸は、すべての既知の生命の形に必須であるバイオポリマーである。したがって、核酸は、特定の生物に関する指標として使用可能であるが、また、例えば、突然変異または天然存在変異体の場合には、疾患に関する指標としても使用可能である。DNA(デオキシリボ核酸)およびRNA(リボ核酸)を含む核酸は、ヌクレオチドとして知られる単量体から作製される。各ヌクレオチドは3つの構成要素:五炭糖、リン酸基、および窒素性塩基を有する。糖がデオキシリボースである場合、ポリマーはDNAである。糖がリボースである場合、ポリマーはRNAである。核酸は、最も重要な生物学的巨大分子の1つである。これらは、すべての生物中に豊富に見られ、ここで、遺伝情報をコードし、伝達し、そして発現する際に機能し、言い換えると、情報は、核酸配列、あるいはDNAまたはRNA分子内のヌクレオチドの順序を通じて伝達される。核酸の実験研究は、現代生物学および医学研究の主要部分を構成し、そしてゲノムおよび法医学科学ならびにバイオテクノロジーおよび薬学産業の基礎を形成する。したがって、本発明の方法は、これらの分野のいずれにおいて使用することも可能である。
本発明の方法の好ましい態様において、反応領域における光学的シグナルの分布が(i)閾値を超える標準偏差、(ii)分布の不適切な形状、(iii)閾値を超えるシグナル平均からの単一シグナルの逸脱、(iv)予期されるものから有意に逸脱したシグナル平均によって特徴付けられる場合、反応領域を無効と同定する。これらの態様に関するさらなる詳細は、上記に示される。
方法は、マーカーまたは標識の使用を必要とせず、そしてこれらが存在しなくても実行可能であり、例えば明視野または暗視野あるいは検出法において、反応領域を決定するのみでありうるが、マーカーの使用が好ましい。したがって、好ましい態様において、光学的マーカー、好ましくは光学的に検出可能な充填対照マーカーまたは光学的に検出可能なPCRプローブを用いることによって光学的シグナルを決定する。
光学的マーカーは、光学的に検出可能なマーカーである。マーカーは、dPCR混合物中にすでに存在し、そしてdPCRにおいて機能を有する任意の化合物(例えば光学的に検出可能なPCRプローブ)であってもよいし、またはアーチファクトを同定するために添加される任意の化合物であってもよい。例えば、光学的マーカーは、各反応領域中の充填を管理し、そして場合によって、各反応領域中で検出される充填対照マーカーの量または濃度に基づいて、反応領域の体積を決定するためにもまた用いられる、充填対照マーカーであってもよい(欧州特許出願EP 16002057.4を参照されたい)。
したがって、(i)光学的アーチファクトによって引き起こされる定量化誤差を減少させるため、そして場合によって(ii)反応体積逸脱によって引き起こされる定量化誤差を減少させるため、そして/または光学的に検出可能なPCRプローブとして使用するため、光学的マーカーをdPCRに用いる反応領域アレイの各反応領域に添加してもよい。マーカーは、場合によって各反応領域中の反応体積の定量化を、そして/またはプローブとして核酸の検出をさらに可能にする、任意の光学的に検出可能な物質または組成物であってもよい。
したがって、マーカーは、任意の光学的に検出可能な標識からなるかまたは該標識を含んでもよい。用語「標識」は、本明細書において、一般的に、反応領域中の体積を視覚化し、検出し、分析し、そして/または定量化するために使用可能な、任意の種類の物質または剤を指す。標識は、例えば、体積を光学的に検出可能および/または光学的に区別可能にする色素であってもよい。本発明にしたがった標識には、発光分析によって、検出および/または視覚化可能な、限定されるわけではないが、任意の着色(例えば2,4−ジニトロフェニル)または発光、好ましくは蛍光の分子または吸光度マーカー(非蛍光または蛍光)が含まれてもよく、例えば限定されるわけではないが、カルボキシフルオレセイン(FAM)、6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’7’−ジメトキシフルオレセイン(JOE)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、テトラクロロフルオレセイン(TET)、およびヘキサクロロフルオレセインを含むフルオレセイン色素、ローダミン色素、例えばカルボキシ−X−ローダミン(ROX)、テキサスレッドおよびテトラメチルローダミン(TAMRA)、シアニン色素、例えばピリリウムシアニン色素、DY548、クエーサー570、またはCy3、Cy5、Alexa 568等が含まれる。蛍光標識は、例えば、InvitrogenTM(USA)を含む、多様な供給業者から商業的に入手可能である。
標識の選択は、典型的には、物理特性(例えばスペクトル特性)によって、検出装置の利用可能性によって、そしてdPCR中の核酸検出に用いる標識(単数または複数)によって、決定される。標識ならびにその検出戦略は、当業者に周知である。
マーカーは、光学的アーチファクトの同定もまた可能にするために、各反応領域中、例えばとりわけフローストリーム中、マルチウェルプレート中、チップ上、アレイまたは視野中で、任意の適切に均一なまたは等しい分布を有する。さらに、標識は、各反応領域の体積を示すことも可能である。マーカー/標識の量または濃度を決定するための方法は、用いるマーカーに応じ、そして当該技術分野に周知である。好ましくは、蛍光によって検出および/または定量化可能である、蛍光マーカーを用いる。
例えば、シグナルは蛍光シグナルであってもよい。2またはそれより多い異なる蛍光シグナルが各反応領域から測定される(1つはPCR用、そして1つは定量化誤差を同定するため、そして場合によって充填対照マーカーとして)場合、シグナルは、例えば、別個の波長または波帯で検出可能である。あるいは、とりわけ、光の異なる波長または波帯での励起(例えば異なる時点または異なる位での励起)後、蛍光シグナルを同じ波長/波帯で測定してもよい。それぞれの別個のフルオロフォアを通じて、2またはそれより多い蛍光シグナルを検出してもよい。
いくつかの態様において、マーカーは増幅反応とカップリングされず、そしてしたがって、受動的参照として働く可能性もある。いくつかの態様において、マーカーは、さらに、対照増幅反応から検出される対照シグナルとして使用可能である。対照増幅反応は、外因性または内因性テンプレートの増幅を測定可能である。好ましくは、標識は、方法の間、安定であり、退色にはさらされず、増幅反応および/または温度とは独立に、不変である。
明らかに、光学的マーカーを、異なる時点で、また、アッセイ設計、用いる光学的マーカーおよびその特性に応じて、反応領域に添加することも可能である。一般的に、マーカーを、dPCRを実行する前または後に、反応領域に添加してもよい。
例えば、マーカーは、dPCRを実行するために必要な試薬を添加する前に、反応領域中に存在してもよい。1つの例において、アレイが産生されるかまたは製造される際に、マーカーをアレイに分布させてもよい。
あるいは、マーカーを、dPCR試薬とともに、反応領域に分布させてもよい。これは、マーカーの量または濃度を測定する際に特に適している。本発明の方法において、マーカー、特に充填対照マーカーは、好ましくは、反応領域に分布される前に、PCR反応混合物に添加される。
光学的アーチファクトによって引き起こされる定量化誤差の減少において、そしてアレイ中の体積の決定において、マーカーを用いる場合、マーカーは充填対照マーカーと称される。dPCRに関して得られるシグナルの標準化因子として、そして/または決定から他の無効な試料を排除するために、マーカーをさらに用いることも可能である。反応体積逸脱は、反応領域中の不均一な体積を生じうる。領域のサイズ分布の幅は、計数率に、そしてしたがって計算される核酸濃度の正確さに影響を及ぼす。この定量化誤差は、領域あたり低コピー数では無視できるが、領域あたりのコピー数が高くなると大きくなりうる。この影響は、1つの領域が非常に大きく、一方、他のすべてがゼロに向かって縮小する思考実験によって例示されうる。この場合、陽性カウントは、明らかに1に向かい、極端な過小定量化を生じるであろう。あるいはまたはさらに、反応体積逸脱は、平均反応領域体積が、例えば較正値によってあらかじめ決定されるような、意図されるまたは予期されるものとは異なるという事実のためでありうる。小滴に基づくdPCR系およびアレイに基づくdPCR系の両方において、平均分配体積の不確定性は、現在の系における正確性誤差の主な原因であることが見出された(Dongら, 2015, Sci. Rep. 5, 13174およびDongら, 2014, Anal. Bioanal. Chem. 406, 1701−1712)。
平均反応領域体積は、反応混合物組成中の変化(dPCRアレイの場合、界面活性剤が、反応混合物およびシーリング液の界面に形成されるメニスカスに影響を有する)、アレイの産生プロセスによって引き起こされる反応領域深度の変化(例えばアレイを産生するために用いる成形型の変化が、反応領域の幾何学的変化と関連しうる)または充填速度による反応領域の充填度の変化のため、変化する可能性もある。
体積は、物体(すなわち固体、液体、気体、またはプラズマ)が占める三次元空間に関する。体積は、寸法、例えば物体が占める空間の長さ、幅、および高さに基づいて計算可能である。これらは、通常、SI単位で表され、例えば立方センチメートル(cm)、立方メートル(m)、リットル(L)、ミリリットル(mL)等である。体積決定に関する詳細は、欧州特許出願EP 16002057.4にも示される。
1つの体積中のまたは体積あたりの、dPCRによって決定するような核酸の数として、関心対象の核酸の量または濃度を計算してもよく、ここで体積は充填対照マーカーの使用を伴って決定するような反応体積の総計である。充填対照マーカーは、各反応領域中の真の体積を決定するために、そしてしたがってdPCRによって分析される全体のそして真の体積を決定するために用いられる。正しい体積を知ることは、問題の核酸の正しい量またはその濃度を決定するために重要であることが明らかである。総体積は、反応領域中の体積の総計である。核酸数の量は、dPCRによって得られる。核酸濃度は、通常、核酸数/体積、例えばμlとして、提供される。反応領域のdPCR結果に基づいて、関心対象の核酸の量または濃度を計算する方法に関するさらなる詳細は、欧州特許出願EP 16002057.4に示される。
すべての反応領域が有効陽性、有効陰性または無効反応領域と分類されるならば、dPCRでの定量化の正確さおよび的確さをさらに増加させることが可能である:
−有効陽性反応領域は、適切に反応混合物で充填され、そして増幅後、陽性PCRシグナルを生成する。
−有効陰性反応領域は、適切に反応混合物で充填され、そして増幅後、PCRシグナルを生成しない。
−無効反応領域は、反応混合物で充填されず(または不十分にしか充填されず)または光学的アーチファクトのため、排除される。
上に詳述するように、無効な反応領域を同定することが重要である。dPCRより前の充填または分布プロセスが、空のまたは不十分に充填された反応領域を含むアレイの反応領域を生じうるため、反応領域は無効になりうる。もしこれらが核酸を含まない充填ウェル(陰性)と誤って解釈された場合、試料体積Vは過大評価され、そして濃度は過小評価される。例えば、充填対照マーカーのシグナルが、閾値下限未満であり、そして計算から排除される場合、充填対照マーカーを用いて、これらの反応領域を同定することも可能である。あるいはまたはさらに、特定の反応領域からの充填対照マーカーのシグナルレベルが、あらかじめ定義した閾値より高い場合、この反応領域を、ターゲット濃度計算から排除してもよい。通常、反応領域は、最大の高さを超えて充填されることが不可能である。より大きいシグナルレベルは、蛍光化ダスト粒子および他の混入物質から生じうる、アーチファクトを示す。
本発明の好ましい態様において、分布が、各反応領域のラスター画像化によって決定され、特に、ここで、光学的シグナルに対応する各ラスターが、光学的デバイス、特にカメラの一定数のピクセル、特に1つのピクセルからなり、そして/または分布が、光学的シグナルの平均、中央値、標準偏差、最大および最小シグナルステップおよび/または分布の形状によって特徴付けられる。この態様に関するさらなる詳細を上に示す。
本発明の好ましい態様において、光学的シグナルは、非蛍光明視野または暗視野あるいは蛍光検出法によって決定される。
明視野顕微鏡法は、すべての光学的顕微鏡照明技術のうち、最もシンプルである。試料照明は、透過される(すなわち下から照射され、そして上から観察される)白色光であり、そして試料中のコントラストは、試料の高密度領域において透過される光のある程度が吸収されることによって引き起こされる。明視野顕微鏡法は、光学顕微鏡において試料の照明に用いられるある範囲の技術のうち、最もシンプルであり、そしてシンプルであることから一般的な技術となっている。明視野顕微鏡画像の典型的な外見は、明るい背景上の暗い試料であり、したがってこの名称が付けられた。
暗視野顕微鏡法(暗野顕微鏡法)は、画像から、散乱しない光線を排除する、光学および電子顕微鏡両方における顕微鏡法を記載する。その結果、標本周囲の視野(すなわち光線を散乱させる標本がない場所)は一般的に暗い。暗視野は、非染色試料におけるコントラストを増進させるために用いられる照明技術を記載する。これは、対物レンズによって収集されないであろう光で試料を照射することによって働き、そしてしたがって、画像の一部を形成しないであろう。これは、明るい物体をその上に含む、暗い、ほぼ黒のバックグラウンドの古典的外見を生じる。
蛍光は、吸収光または他の電磁照射を有する物質による光の放出である。これは発光の1つの型である。大部分の場合、放出光は、吸収される照射より長い波長を有し、そしてしたがって、より低いエネルギーを有する。蛍光の最も驚くべき例は、吸収される照射がスペクトルの紫外領域にあり、そしてしたがってヒトの目には見えず、一方、放出光は、可視領域にあり、これによってUV光に曝露された際にのみ見られうる別個の色を蛍光基質に生じる場合に起こる。蛍光物質は、照射供給源が消されると直ちに発光をやめる。
本発明の好ましい態様において、光学的アーチファクトは、ダスト、引っ掻き傷、液体のしみ、毛髪、繊維、指紋、反応領域の不正確な充填および/またはアレイ構造の欠陥のためである。これらの用語に関するさらなる詳細を上に示す。
本発明の方法の別の好ましい態様において、光学的マーカーは、蛍光マーカーまたは吸光度マーカーである。
広範囲の蛍光マーカーが、本発明にしたがった充填対照マーカーとして使用可能である。各蛍光マーカーは、特徴的なピーク励起および放出波長を有し、そして放出スペクトルは、しばしば、重複する。その結果、dPCRに用いる蛍光マーカーおよび充填対照の組み合わせは、蛍光色素を励起するために用いるランプ(単数または複数)またはレーザー(単数または複数)の波長、利用可能な検出装置およびマーカーの特性に応じる。
6010系を用いて検出可能な例示的な蛍光色素には、フルオレセイン誘導体、例えばカルボキシフルオレセイン(FAM)、およびPULSAR 650色素(Ru(bpy)3の誘導体)が含まれる。FAMは、比較的小さいストークス・シフトを有し、一方、PULSAR 650色素は、非常に大きいストークス・シフトを有する。FAMおよびPULSAR 650色素はどちらも、およそ460〜480nmの光で励起させることが可能である。FAMは、約520nmで最大の光を放出し(そして650nmでは実質的に放出せず)、一方、PULSAR 650色素は、約650nmで最大の光を放出する(そして520nmでは実質的に放出しない)。カルボキシフルオレセインは、プローブ中で、例えばBLACK HOLE消光剤TM1色素と対形成可能であり、そしてPULSAR 650色素は、プローブ中で、例えばBLACK HOLE消光剤TM2色素と対形成可能である。
より好ましくは、光学的マーカーの蛍光および/または吸光特性は、1またはそれより多いdPCRプローブ(単数または複数)のものとは異なるはずである。これは、光学的マーカーおよび蛍光dPCRプローブ(単数または複数)を好適に区別することを可能にするため、好都合である。しかし、光学的マーカーが、dPCR中で用いるターゲットプローブ蛍光マーカーと同一の励起波長または放出波長を有する場合、検出をさらに単純化することも可能である。この方式で、光学的マーカーは、検出系の色多重化能を減少させない。例として、系は、4つの励起および4つの放出チャネルを有しうる。ストークス・シフトが大きい色素は、励起波長1によって励起され、そして放出は、放出チャネル4から収集され、これはまたdPCRにも用いられる。
別のより好ましい態様において、光学的マーカーは、少なくとも100nm、好ましくは少なくとも150nmのストークス・シフトを有する。ストークス・シフトは、同じ電子遷移の吸光および放出スペクトルのバンド最大値の位置の間の相違(波長の)である。分子が光子を吸収した際、エネルギーを得て、そして励起状態に入る。その結果、光子を放出し、したがってエネルギーを失う。放出された光子が、吸収された光子よりも少ないエネルギーを有する場合、このエネルギー相違がストークス・シフトである。より大きいストークス・シフトは、吸光および放出の間のスペクトル重複を排除し、そして蛍光の検出を可能にしながら干渉を減少させる。主な利点は、ストークス・シフトが大きい色素を、類似の励起または放出スペクトルのいずれかを有する他の色素とともに使用可能であることである。しかし、両方のスペクトルの1つは、ストークス・シフトが小さい色素および大きい色素の間で重複しないため、スペクトルクロストークは小さい。
好ましい光学的マーカーには、ATTO 430LSおよびATTO 490LS(ATTO−TEC GmbH、ドイツ・ジーゲンより入手可能)、特にATTO 490LSが含まれる。どちらも、水に優れた溶解性を示し、そして100nmより大きいストークス・シフトを示し、これは、高いストークス・シフトが、検出中のシグナルの重複を最小限にするため、多数の蛍光マーカーを用いた方法において、特に有用である。ATTO 490LSは、FAMの励起波長およびCy5の放出波長を有する。FAMおよびCy5を組み合わせた際、ATTO 490LSを測定するためのさらなるフィルターは必要とされない。
第一および第二の側面にしたがった、本発明の方法の別の好ましい態様において、関心対象の核酸は、DNA、cDNA、RNAおよびその混合物からなる群より選択される核酸であるか、または任意の他のタイプの核酸である。
上に詳述するように、関心対象の核酸は、dPCRに適した任意の核酸であってもよい。核酸は、適切な長さを有するべきである。核酸は、非核酸構成要素を含有してもよい。核酸は、天然存在であっても、化学的に合成されても、またはバイオテクノロジー的に操作されていてもよい。好ましくは、核酸は、DNA、cDNA、RNAおよびその混合物からなる群より選択される。
本発明の方法は、診断または療法監視などの医学分野において特に関心が持たれ、そしてこれを、特定の微生物、細胞、ウイルス、細菌、真菌、哺乳動物種、遺伝子状態または疾患の指標となる、関心対象の核酸を検出し、そして/または定量化するために使用してもよい。これにしたがって、病原体の検出において、方法を用いてもよい。病原体は、疾患を引き起こす潜在能力を有する。典型的には、病原体を用いて、ウイルス、細菌、プリオン、真菌、またはさらに別の微生物などの感染性病原体を表現する。もちろん、本発明の方法を用いて、非病原性微生物を検出することもまた可能である。
例示的な病原体には、限定なしに、以下が含まれる:
−細菌:連鎖球菌属(Streptococcus)、ブドウ球菌属(Staphylococcus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、バークホルデリア属(Burkholderia)、ミコバクテリウム属(Mycobacterium)、クラミドフィラ属(Chlamydophila)、エシェリキア属(Ehrlichia)、リケッチア属(Rickettsia)、サルモネラ属(Salmonella)、ナイセリア属(Neisseria)、ブルセラ属(Brucella)、ミコバクテリウム属(Mycobacterium)、ノカルディア属(Nocardia)、リステリア属(Listeria)、フランシセラ属(Francisella)、レジオネラ属(Legionella)、およびエルシニア属(Yersinia)
−ウイルス:アデノウイルス、単純ヘルペス、水痘帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス、パピローマウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、西ナイルウイルス、TBEウイルス、HIV、インフルエンザウイルス、ラッサウイルス、ロタウイルスおよびエボラウイルス
−真菌:カンジダ属(Candida)、アスペルギルス属(Aspergillus)、クリプトコッカス属(Cryptococcus)、ヒストプラズマ属(Histoplasma)、ニューモシスチス属(Pneumocystis)およびスタキボトリス属(Stachybotrys)
−寄生虫:原生動物寄生虫、蠕虫動物寄生虫および節足動物寄生虫。
第二の側面にしたがった本発明の方法のさらに別の好ましい態様において、試料は、細胞培養または混入が推測される供給源、特に体液、血液、血漿、血清、尿、胆汁、脳脊髄液、スワブ、臨床標本、臓器試料または組織試料または被験体、特にヒト、動物または植物、特にヒトから得られている。
上に詳述するように、「試料」は、定量化しようとする関心対象の核酸を含有すると推測される物質の量を意味する。本明細書において、該用語には、標本(例えば生検または医学的標本)または培養物(例えば微生物学的培養物)が含まれる。試料は、ヒトを含めて、植物または動物由来であってもよく、液体、固体(例えば糞便)または組織であってもよい。試料には、患者から採取された物質が含まれてもよく、限定されるわけではないが、培養物、血液、唾液、脳脊髄液、胸水、ミルク、リンパ液、痰、精液、針吸引物等が含まれる。試料は、限定されるわけではないが有蹄動物、クマ、魚類、齧歯類等の動物を含む、家畜動物、ならびに野生化した又は野生の動物の多様な科のすべてから得られてもよい。ヒト試料または「組織試料」または「患者試料」または「患者細胞または組織試料」または「標本」に関して、各々は、被験体または患者の組織から得られる、類似の細胞あるいは生物学的または生化学的化合物のコレクションを意味する。組織試料の供給源は、新鮮、凍結および/または保存臓器または組織試料または生検または吸引物由来などの固形組織;血液または任意の血液構成要素;体液、例えば脳脊髄液、羊水、腹水、または間質液;あるいは被験体の妊娠または発生における任意の時点に由来する細胞であってもよい。組織試料は、天然の組織と天然には混合されていない化合物、例えば保存剤、抗凝血剤、緩衝剤、固定液、栄養素、抗生物質等を含有してもよい。
第一および第二の側面にしたがって、本発明の方法の好ましい態様において、少なくとも100反応領域、特に少なくとも1,000反応領域、特に少なくとも5,000反応領域で、同一にdPCRを行う。第一および第二の側面にしたがって、本発明の方法の好ましい態様において、最大10,000反応領域、特に最大50,000反応領域、特に最大100,000反応領域、好ましくは最大1,000,000反応領域で、同一にdPCRを行う。
好ましくは、dPCRは、関心対象の1またはそれより多い核酸を検出するため、特に消光剤と組み合わせた、または分子ビーコンとして、または加水分解プローブとして、1またはそれより多い蛍光dPCRプローブの使用を伴う。
PCR適用(例えばリアルタイムPCR)において、蛍光はしばしば、増幅産物を検出するために用いられる。通常、各試料を少なくとも1つの明記する波長の光ビームで照射し、そして励起されたフルオロフォアによって、放出される蛍光を検出する能力を伴う、サーマルサイクラー中でこれを実行する。サーマルサイクラーはまた、試料を迅速に加熱し、そして冷却することが可能であり、それによって、核酸およびDNAポリメラーゼの物理化学特性を利用する。
dPCRは、関心対象の核酸および/または参照核酸を検出するため、特に消光剤と組み合わせた、または分子ビーコンとして、または加水分解プローブとして、1またはそれより多い蛍光プローブの使用を伴うことも可能である。
しばしば、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)がqPCR中で検出される。FRETは、2つの分子間、本発明の場合、2つのプローブ間の相互作用を測定するための技術である。この技術において、2つの異なる蛍光分子(フルオロフォアまたは標識)を、核酸の検出に適したプローブ対に遺伝子融合させる。FRETの原理は、2つの標識の組み合わされた特性に基づく。標識が特定の波長(吸収周波数)の光で励起される場合、これは、異なる波長(放出周波数)でエネルギーを再放出する。FRETにおいて、第一の標識が励起され、これが次に、放出周波数を有する光を放出する。第一の標識(ドナー)の放出ピークが第二の標識(アクセプター)の励起ピークと重複している場合、第一の標識がエネルギーを第二の標識に移動させ、そして第二の標識が、それ自体の放出周波数の光を放出するため、2つの標識が近接していることを決定可能である。正味の結果は、通常放出するであろうエネルギーよりも少ないエネルギーをドナーが放出する(光として放射するエネルギーのある程度が、その代わり、アクセプターに移動するため)一方、アクセプターはその励起周波数で、より多くの光エネルギーを放出する(ドナーフルオロフォアから余分なエネルギーインプットを得ているため)。消光剤と蛍光色素の組み合わせもまた使用可能である。消光剤が、蛍光色素に近接していれば、蛍光放出が排除される。蛍光部分が消光剤から分離されれば、第一の蛍光部分の放出は、適切な波長の光での励起後に、検出可能である。分子ビーコンは、内在性に消光されたフルオロフォアを持つヘアピン状のプローブであり、その蛍光は、これらがターゲット核酸配列に結合した際に回復する。検出しようとする核酸が、ループ中の鎖に相補性である場合、核酸およびループの間で形成される二重鎖は、ステムのものよりより安定であり、これは前者の二重鎖がより多くの塩基対を含むためである。これは、フルオロフォアおよび消光剤の分離を引き起こす。フルオロフォアがひとたび消光剤から離れると、光でハイブリッドを照射した際、蛍光放出が生じる。放出の存在は、ハイブリダイゼーション事象が起こったことを報告し、そしてしたがって、ターゲット核酸配列は、試験試料中に存在する。加水分解プローブは、オリゴヌクレオチドプローブの5’端に共有結合したフルオロフォアおよび3’の消光剤からなる。フルオロフォアおよび消光剤が近接している限り、消光は、いかなる蛍光シグナルも阻害する。プローブは、プライマーの特異的セットによって増幅されるDNA領域内にアニーリングするように設計されている。ポリメラーゼがプライマーを伸長させ、そして新生鎖を合成するにつれて、ポリメラーゼの5’から3’のエキソヌクレアーゼ活性は、テンプレートにアニーリングしているプローブを分解する。プローブの分解は、そこからフルオロフォアを放出し、そして消光剤と近接しないようにし、したがって、消光効果を弱め、そしてフルオロフォアからの蛍光発光を可能にする。したがって、検出される蛍光は、問題の核酸の存在の指標である。
FRET技術における多様なアクセプター蛍光部分とともに使用可能な代表的なドナー蛍光部分には、フルオレセイン、ルシファーイエロー、B−フィコエリトリン、9−アクリジンイソチオシアネート、ルシファーイエローVS、4−アセトアミド−4’−イソチオシアナトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、7−ジエチルアミノ−3−(4’−イソチオシアネートエフェニル)−4−メチルクーマリン、スクシニミジル1−ピレンブチレート、および4−アセトアミド−4’−イソチオシアナトスチルベン−2,2’−ジスルホン酸誘導体が含まれる。代表的なアクセプター蛍光部分には、用いたドナー蛍光部分に応じて、LC−レッド610、LC−レッド640、LC−レッド670、LC−レッド705、Cy5、Cy5.5、リザミンローダミンBスルホニルクロリド、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、ローダミンxイソチオシアネート、エリスロシンイソチオシアネート、フルオレセイン、五酢酸ジエチレントリアミンまたはランタニドイオン(例えばユーロピウムまたはテルビウム)の他のキレートが含まれる。ドナーおよびアクセプター蛍光部分は、例えばMolecular Probes(オレゴン州ジャンクションシティ)またはSigma Chemical Co.(ミズーリ州セントルイス)から得られうる。
好ましくは、蛍光プローブは、フルオレセイン、ローダミンおよび/またはシアニンを含む。例えば、ドナー蛍光部分は、フルオレセインであってもよく、そして/またはアクセプター蛍光部分は、LC−レッド610、LC−レッド640、LC−レッド670、LC−レッド705、Cy5、およびCy5.5からなる群より選択されてもよく、好ましくはLC−レッド610またはLC−レッド640である。より好ましくは、ドナー蛍光部分はフルオレセインであり、そしてアクセプター蛍光部分はLC−レッド640またはLC−レッド610である。
いくつかの異なるフルオロフォア(例えば6−カルボキシフルオレセイン、頭字語:FAM、またはテトラクロロフルオレセイン、頭字語:TET)および消光剤(例えばテトラメチルローダミン、頭字語:TAMRA)が入手可能である。
本発明の第一の側面の方法の背景において行う定義および実施例はまた、第二の側面のものにも当てはまり、そして逆も当てはまる。
別に定義しない限り、本明細書に用いるすべての技術的および科学的用語、ならびに任意の頭字語は、本発明の技術分野の一般的な当業者によって、一般的に理解されるものと同じ意味を有する。分子生物学の一般的な用語の定義は、Benjamin Lewin, Genes V, Oxford University Press刊行, 1994(ISBN 0−19−854287−9); Kendrewら(監修), The Encyclopedia of Molecular Biology, Blackwell Science Ltd.刊行, 1994(ISBN 0−632−02182−9);およびRobert A. Meyers(監修), Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference, VCH Publishers, Inc.刊行, 1995(ISBN 1−56081−569−8)に見出されうる。
本発明は、本明細書に記載する特定の方法論、プロトコル、および試薬には限定されず、これはこれらが多様でありうるためである。本明細書に記載するものと類似のまたは同等の任意の方法および材料が、本発明の実施において使用可能であるが、好ましい方法および材料を本明細書に記載する。さらに、本明細書で用いる用語は、特定の態様のみを記載する目的のためであり、そして本発明の範囲を限定することを意図されない。
本明細書において、そして付随する請求項において、単数形「a」、「an」、および「the」には、文脈が明らかに別に指示しない限り、複数の指示対象が含まれる。同様に、単語「含む(comprise)」、「含有する(contain)」および「含む(encompass)」は、排他的であるよりも包括的であるように解釈されるものとする。同様に、単語「または(or)」は、文脈が明らかに別に指示しない限り、「および(and)」を含むと意図される。用語「複数」は、2またはそれより多くを指す。
図は、本発明の多様な態様を例示するよう意図される。こうしたものとして、論じる特定の修飾は、本発明の範囲に対する限定とは見なされないものとする。本発明の範囲から逸脱することなく、多様な同等物、変化、および修飾を実行可能であることが当業者には明らかであり、そしてしたがって、こうした同等の態様は、本明細書に含まれるものとすることが理解されるものとする。

Claims (14)

  1. デジタルポリメラーゼ連鎖反応(dPCR)において光学的アーチファクトによって引き起こされる定量化誤差を減少させるための方法であって、関心対象の核酸の量または濃度が、反応領域のアレイにおいて定量化され、
    a)dPCRにおいて用いられる反応領域のアレイを提供し;
    b)各反応領域において、光学的シグナルの分布を決定し;
    c)工程b)において決定される反応領域における光学的シグナルが、反応領域において不均等に分布している場合、反応領域を無効と同定し;そして
    d)無効と同定された反応領域を、関心対象の核酸の量または濃度の計算から排除する
    工程を含む、前記方法。
  2. 試料中の関心対象の核酸の量または濃度を決定するための方法であって:
    a)関心対象の核酸を含有すると推測される試料を提供し;
    b)反応領域アレイの各反応領域において、試料を用いてdPCRを実行し;
    c)各反応領域において、光学的シグナルの分布を決定し;
    d)工程c)において決定される反応領域における光学的シグナルが、反応領域において不均等に分布している場合、反応領域を無効と同定し;そして
    e)工程d)において無効と同定されていない反応領域のdPCR結果に基づいて、関心対象の核酸の量または濃度を計算する
    工程を含む、前記方法。
  3. 反応領域における光学的シグナルの分布が(i)閾値を超える標準偏差、(ii)分布の不適切な形状、(iii)閾値を超えるシグナル平均からの単一シグナルの逸脱および/または(iv)予期されるものから有意に逸脱したシグナル平均によって特徴付けられる場合、反応領域が無効と同定される、請求項1または2の方法。
  4. 前記光学的シグナルが、光学的マーカー、好ましくは光学的に検出可能な充填対照マーカーまたは光学的に検出可能なPCRプローブを用いることによって決定される、請求項1〜3のいずれかの方法。
  5. 前記分布が、各反応領域のラスター画像化によって決定され、特に、ここで、光学的シグナルに対応する各ラスターが、光学的デバイス、特にカメラの一定数のピクセル、特に1つのピクセルからなり、そして/または該分布が、光学的シグナルの平均、中央値、標準偏差、最大および最小シグナルステップおよび/または分布の形状によって特徴付けられる、請求項1〜4のいずれかの方法。
  6. 前記光学的シグナルが、非蛍光明視野または暗視野、あるいは蛍光検出法によって決定される、請求項1〜5のいずれかの方法。
  7. 前記光学的アーチファクトが、ダスト、引っ掻き傷、液体のしみ、毛髪、繊維、指紋、反応領域の不正確な充填および/またはアレイ構造の欠陥のためである、請求項4〜6のいずれかの方法。
  8. 前記光学的マーカーが蛍光マーカーである、請求項4〜7のいずれかの方法。
  9. 前記光学的マーカーが
    − 1またはそれより多いdPCRプローブのものと異なる蛍光および/または吸光度特性を有し;そして/または
    − 少なくとも100nm、好ましくは少なくとも150nmのストークス・シフトを有し;そして/または
    − ATTO 430 LSまたはATTO 490 LS、好ましくはATTO 490 LSであり;そして/または
    − dPCRで用いるターゲットプローブ蛍光マーカーと同一の励起波長または放出波長を有する
    請求項8の方法。
  10. 前記関心対象の核酸が
    − DNA、cDNA、RNAおよびその混合物からなる群より選択される核酸であり;そして/または
    − 微生物、細胞、ウイルス、細菌、真菌、哺乳動物種、遺伝子状態または疾患の指標である
    請求項1〜9のいずれかの方法。
  11. 前記試料が、細胞培養または汚染されていると推測される供給源、特に、被験体、特にヒト、動物および植物、特にヒトの体液、血液、血漿、血清、尿、胆汁、脳脊髄液、スワブ、臨床標本、臓器試料および組織試料から得られている、請求項2〜10のいずれかの方法。
  12. 前記反応領域が、マイクロアレイまたはナノアレイの小型化されたチャンバー、微少流体デバイスのチャンバー、マイクロウェルまたはナノウェル、チップ上、キャピラリー中、核酸結合表面上またはビーズ上、特にマイクロアレイ中またはチップ上である、請求項1〜11のいずれかの方法。
  13. 前記反応領域のアレイが
    − 少なくとも100反応領域、特に少なくとも1,000反応領域、特に少なくとも5,000反応領域;および/または
    − 最大10,000反応領域、特に最大50,000反応領域、特に最大100,000、好ましくは最大1,000,000反応領域
    を含む、請求項1〜12のいずれかの方法。
  14. dPCRが、関心対象の1またはそれより多い核酸を検出するため、特に消光剤と組み合わせて、または分子ビーコンとして、または加水分解プローブとして1またはそれより多い蛍光dPCRプローブの使用を伴い、そして/または特に、該蛍光dPCRプローブがフルオレセイン、ローダミンおよび/またはシアニンを含む、請求項1〜13のいずれかの方法。
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