以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、機能が同じ部材及び処理には全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明を適宜省略する。
<第1実施形態>
図1において、本実施形態に係る燃料電池システム10は、燃料処理装置14と、燃料電池11と、気化器34とを有している。
燃料処理装置14は、メタン等の原料ガスから水素を含む燃料ガスを生成するFPS(Fuel Processing System)であり、触媒(図示せず)と、触媒を加熱する燃焼器18とを有している。触媒は改質触媒であり、改質器19内に設けられている。改質器19には、原料ガス経路24が接続されており、該原料ガス経路24を通じて原料ガスが供給されるようになっている。原料ガス経路24には、原料ガスを送るためのブロワ25が設けられている。
また、改質器19には、水供給経路28が接続されており、該水供給経路28を通じて改質器19に水が供給される。水供給経路28には、例えばポンプ32と、気化器34とが設けられている。ポンプ32は、水を水供給経路28へ送り出すものである。気化器34は、ポンプ32の下流側に設けられ、水供給経路28に送り出された水を気化させて水蒸気を生成するものである。改質器19は、この水供給経路28を通じて供給された水蒸気を利用して、原料ガスを改質して、水素を含む燃料ガスを生成するようになっている。そして、この燃料ガスは、燃料ガス経路42を通じて、燃料電池11のアノード(図示せず)へ供給されるようになっている。
燃料処理装置14の燃焼器18には、供給経路44が接続されている。この燃焼器18は、供給経路44を通じて供給された空気と、オフガスとの混合ガスを燃焼させ、改質器19内の触媒を加熱する。燃焼器18からの排気は、排気経路48を通じて排出される。
燃料電池11は、燃料器18よりも上流で燃料処理装置14から供給される燃料ガスを用いて発電を行う。この燃料電池11は、例えば固体高分子形燃料電池、りん酸形燃料電池、固体酸化物形燃料電池、及び溶融炭酸塩形燃料電池等、何れの種類の燃料電池であってもよい。ここでは一例として、燃料電池11に固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)を用いる例について説明する。図示は省略するが、燃料電池11は、電解質層と、該電解質層の表裏面にそれぞれ積層されたアノード及びカソードとを有している。アノードは燃料極であり、カソードは空気極である。
カソードには、供給経路44を通じて空気(酸化ガス)が供給される。このカソードでは、酸素と電子が、電解質層で電気化学的に反応して酸素イオンとなり、電解質膜を移動する。
一方、アノードには、燃料ガス経路42を通じて、燃料処理装置14から水素を含む燃料ガスが供給される。このアノードでは、水素が電解質層を移動してきた酸素イオンと反応し、水、二酸化炭素、及び電子が生成される。アノードで生成された電子は、外部回路を通ってカソードに移動する。
そして、このようにして電子がアノードからカソードに移動することにより、燃料電池11において発電が行われる。供給された空気及びオフガスは、下流側の供給経路44を通じて燃料処理装置14の燃焼器18へ供給される。
このようにして燃料電池システム10で発電された電力は、例えば受電盤50に入力され、受電盤50において、電力の需給バランスに応じて、燃料電池システム10で発電された電力を電気事業者が供給する商用電力に連系させる系統連系を行った上で負荷に供給される。場合によっては、例えば燃料電池システム10で発電した電力を、指定された量だけ受電盤50を介して電気事業者の系統に逆潮流し、燃料電池システム10が設置された需要家以外の負荷に供給する場合もある。逆潮流する電力量は、例えば電気事業者の系統全体における電力需要に基づいて、別途設けられた電力管理センター等から指定される。以降では、燃料電池システム10で発電した電力を、当該燃料電池システム10が設置された需要家の負荷に供給する例について説明する。
なお、受電盤50は、燃料電池システム10で発電された電力を商用電力より優先的に負荷に供給するものとする。ここで「負荷」とは、電力を消費して動作する装置や設備全体の総称である。
図2に、燃料電池システム10で発電する電力を制御するための制御系統概略図の一例を示す。図2に示すように、燃料電池システム10では、燃料電池11の出力端がパワーコンディショナー(Power Conditioning System:PCS20)に接続される。
燃料電池11で発電される電気の電圧は直流であるため、PCS20で交流に変換すると共に、燃料電池11で発電される電気の電圧値(以降、「燃料電池11の電圧値」という)が負荷40の入力電圧値に調整され、PCS20から例えば受電盤50を介して負荷40に供給される。ただし、例えば負荷40の入力電圧が直流電圧に対応している場合や、多段式燃料電池システム10の外部に直流交流変換装置を別途設ける場合等には、PCS20は、第1燃料電池11及び第2燃料電池12から出力された直流電圧を交流電圧に変換することなく外部に供給することがある。
また、PCS20は、燃料電池11の電圧値が一定になるように、燃料電池11で発電される電気の電流値(以降、「燃料電池11の電流値」という)、若しくは電圧値の何れかを設定し、設定した電流値若しくは電圧値を電流制御器30に通知する。ここで、燃料電池11の電圧値が「一定」であるとは、電圧値が変動せずに予め定めた大きさの電圧を出力し続ける場合だけでなく、燃料電池11の電圧値と予め定めた電圧値との差分の絶対値が、燃料電池11の電圧値が変動していないとみなすことができるような予め定めた範囲内に含まれる場合も該当する。
以降では、燃料電池11の電流値を設定して燃料電池11の電圧値が一定になるように調整する例について説明するが、燃料電池11の電圧値を調整するようにしてもよい。
電流制御器30は、PCS20から電流値を受け付けると、燃料電池11を制御して、燃料電池11の電流値がPCS20から受け付けた電流値に近づくようにする。この際、電流制御器30は、燃料電池11の電流値を制御する上で必要があれば、例えばブロワ25及びポンプ32等の燃料ガスの流量を調整する調整手段を制御してもよい。なお、電流制御器30が、PCS20から受け付けた電圧値に燃料電池11の電圧値を制御する場合、燃料電池11の電流値の増減に対応して燃料ガスの流量を調整するようにする。
なお、電流制御器30が制御する調整手段は、ブロワ25及びポンプ32に限られない。例えば、ブロワ25及びポンプ32に換えて、又はブロワ25及びポンプ32に加えて供給経路44を通過する空気の供給量を調整する図示しない空気ブロワ等を制御してもよい。ここで、PCS20は設定装置の一例であり、電流制御器30は制御装置の一例である。
上記に説明したPCS20及び電流制御器30による燃料電池11の出力の制御は、例えばコンピュータを用いて実現することができる。図3は、コンピュータ100、200を用いて、燃料電池システム10のPCS20、及び電流制御器30の制御に関連する機能部を実現する場合の構成例を示す図である。
コンピュータ100は、プログラムを処理するCPU(Central Processing Unit)102、CPU102によるプログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)104、プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)106、コンピュータ100とコンピュータ200等の外部装置とを接続するインターフェースであるI/O108及び内部バス110を含む。
コンピュータ100は、内部バス110に接続されたCPU102、RAM104、ROM106及びI/O108との間でデータを送受信しながら、CPU102で燃料電池11の電圧値を一定にするための電流値を設定し、設定した電流値を、I/O108を介して第1外部バス112に接続されたコンピュータ200に通知する。
コンピュータ200はコンピュータ100と同様に、CPU202、RAM204、ROM206、I/O208、及び内部バス210を含み、内部バス210に接続されたCPU202、RAM204、ROM206、及びI/O208の間でデータを送受信しながら、CPU202で、燃料電池11の電流値がコンピュータ100から指示された電流値に近づくように、I/O208を介して第2外部バス212に接続された燃料電池11、ブロワ25及びポンプ32を制御する。
また、コンピュータ200は、例えばCPU102の指示に基づいて、I/O208を介して第2外部バス212に接続された電圧計29で燃料電池11の電圧値を計測し、計測し電圧値をCPU102に通知する。
なお、I/O108及びI/O208に接続される装置等は一例であり、図示しない他の装置等を接続してもよいことは言うまでもない。例えばI/O108及びI/O208の少なくとも一方に、インターネット又は専用回線等の通信回線に接続して、通信回線上の他の電子機器との間で通信を行う通信装置を接続してもよい。
また、例えばI/O108及びI/O208の少なくとも一方に、タッチパネル等の入力装置、或いは液晶ディスプレイ等の表示装置を接続してもよい。
図3では、PCS20を構成するコンピュータ100と電流制御器30を構成するコンピュータ200をそれぞれ設けたが、コンピュータ100とコンピュータ200を統合してもよいことは言うまでもない。
次に、燃料電池システム10における燃料電池の出力制御について説明する。
図4は、PCS20に含まれるCPU102によって実行される燃料電池制御プログラムに基づく燃料電池制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。燃料電池制御プログラムはROM106に予め記憶されており、CPU102は燃料電池制御プログラムをROM106から読み込んで実行する。なお、PCS20は、燃料電池11で発電された電力を負荷40に供給している状態であるものとする。
まず、ステップS10において、PCS20は電流制御器30に対して、燃料電池11の電圧値を計測し、計測結果をPCS20に通知するように制御する。当該制御を受け付けた電流制御器30は、電圧計29で燃料電池11の電圧値を計測して、計測した電圧値をPCS20に通知する。
ここで、図5に燃料電池11の電流電圧特性60の一例を示す。図5に示すように、燃料電池11の電流電圧特性60は、燃料電池11の電流値を低くするにつれて、燃料電池11の電圧値が高くなる傾向が見られる。また、燃料電池11の劣化が進むと、電流電圧特性60は電流電圧特性60Aのように、燃料電池11の電流値が同じになるように調整しても、燃料電池11の電圧値が低下する傾向が見られる。例えば、燃料電池11の電流値を共に電流値I0に設定しても、燃料電池11の劣化が進むと電圧値が基準電圧値Vから電圧値VAに低下する。
したがって、ステップS20において、PCS20は、燃料電池11の劣化度合いを確認するため、ステップS10で取得した電圧値が基準電圧値Vより低下しているか否かを判定する。ここで、基準電圧値Vとは、燃料電池11からPCS20に供給する電圧値として予め定めた値であり、基準電圧値Vは、例えばROM106に予め記憶されている。
ステップS20の判定処理が否定判定の場合には、まだ燃料電池11の劣化は認められないと判定できるため、ステップS20の判定処理を繰り返し実行し、引き続き燃料電池11の電圧値の変化を監視する。一方、ステップS20の判定処理が肯定判定の場合には、燃料電池11の劣化が認められるためステップS30に移行する。
上述したように、燃料電池11が劣化した場合、燃料電池11の電流値を低下させることによって、燃料電池11の電圧値を上昇させることができる。例えば、図5に示すように、燃料電池11の劣化によって燃料電池11の電流電圧特性が電流電圧特性60から電流電圧特性60Aに変化した場合であっても、燃料電池11の電流値をI0からIAまで低下させることによって、基準電圧値Vを維持することができる。
しかしながら、PCS20は、燃料電池11が劣化した後の電流電圧特性を予め把握することはできないため、燃料電池11の電圧値が基準電圧値Vになるような燃料電池11の電流値を最初から設定することができない。
したがって、ステップS30において、PCS20は、燃料電池11の電圧値が基準電圧値Vに近づくように、現在設定している電流値よりも予め定めた値だけ低下させた電流値を新たな電流値として設定し、設定した電流値を電流制御器30に通知する。
電流値の低下幅は、例えばROM106に予め記憶されており、PCS20は、当該値をROM106から読み出して新たな電流値を設定すればよい。なお、電流値の低下幅を小さくするほど燃料電池11の電圧値を細かく調整することができるため、燃料電池11の電圧値が基準電圧値Vに一致しやすくなる。
ここで、燃料電池11の電圧値が基準電圧値Vと一致するとは、燃料電池11の電圧値と基準電圧値Vとが同じ値になる場合だけでなく、燃料電池11の電圧値と基準電圧値Vとの差分の絶対値が、燃料電池11の電圧値と基準電圧値Vとが同じ値であるとみなすことができるような予め定めた範囲に含まれる場合も該当する。
PCS20から電流値を受け付けた電流制御器30は、燃料電池11の電流値がPCS20から受け付けた電流値となるように燃料電池11の電流を制御する。
しかし、電流制御器30が燃料電池11の制御を始めてから、燃料電池11の電流値が設定した電流値になるまでには一定の期間を要するため、ステップS40において、PCS20は、燃料電池11の電流値の制御に要する時間(以降、「制御時間」という)が経過したか否かを判定する。
なお、時間の計測には、例えばCPU102に備えられたタイマ機能を用いればよい。また、制御時間は、例えば燃料電池システム10の実機による実験や燃料電池システム10の設計仕様に基づくコンピュータシミュレーション等により予め求められ、例えばROM106に予め記憶しておけばよい。
ステップS40の判定処理が否定判定の場合には、制御時間を経過するまでステップS40を繰り返し実行し、ステップS40の判定処理が肯定判定となった場合に、ステップS50に移行する。
ステップS50において、PCS20は、ステップS10と同様の方法によって、燃料電池11の電流値を低下させた後の燃料電池11の電圧値を取得する。
ステップS60において、PCS20は、ステップS50で取得した燃料電池11の電圧値が基準電圧値Vと一致するか否かを判定する。
ステップS60の判定処理が肯定判定の場合には、燃料電池11の電圧値が基準電圧値Vと一致したことから、図4に示す燃料電池制御処理を終了する。一方、ステップS60の判定処理が否定判定の場合には、ステップS70に移行する。
ステップS70において、PCS20は、今度はステップS50で取得した燃料電池11の電圧値が基準電圧値Vより高いか否かを判定する。ステップS70の判定処理が肯定判定の場合には、ステップS30で設定した電流値が、基準電圧値Vに対応する電流値よりも低かったためであると考えられるため、ステップS80に移行する。
ステップS80において、PCS20は、燃料電池11の電圧値が基準電圧値Vに近づくように、電流制御器30に前回通知した電流値よりも高い電流値を設定し、設定した電流値を電流制御器30に通知する。具体的には、PCS20は、電流制御器30に前回通知した電流値よりも予め定めた値だけ上昇させた電流値を新たな電流値として設定し、電流制御器30に通知する。なお、燃料電池11の電圧値が基準電圧値Vに徐々に近づいていくように、電流値の上昇幅は、ステップS30における電流値の低下幅より小さく設定することが好ましい。
電流値の上昇幅は、例えばROM106に予め記憶されており、PCS20は、当該値をROM106から読み出して新たな電流値を設定すればよい。
そして、PCS20は、ステップS60で燃料電池11の電圧値が基準電圧値Vと一致するまで、既に説明したステップS40以降の処理を実行する。
一方、ステップS70の判定処理が否定判定の場合には、ステップS30で設定した電流値が、基準電圧値Vに対応する電流値よりも高かったためであると考えられる。
したがって、ステップS30に移行して、PCS20は、前回設定した電流値よりも更に低い電流値を設定して、設定した電流値を電流制御器30に通知する。
そして、PCS20は、ステップS60で燃料電池11の電圧値が基準電圧値Vと一致するまで、既に説明したステップS40以降の処理を実行する。
このように第1実施形態に係る燃料電池システム10では、燃料電池11の劣化に伴い、燃料電池11の電流値を低下させることで、燃料電池11の電圧値が一定になるように燃料電池11を制御する。
仮に、燃料電池11の電流値を一定に制御したまま燃料電池11を発電させる場合、燃料電池11の劣化が進むにつれて燃料電池11の電圧値は低下することから、燃料電池11で発電される電力の大きさ、すなわち燃料電池11の発電量は低下する。一方で、燃料電池11の電流値を一定に制御していることから、燃料電池11の劣化状態に関係なく、燃料電池11における燃料ガスの消費量は変わらないため、燃料ガス流量を変化させる必要がない。したがって、燃料電池11の電流値を一定に制御したまま燃料電池11を発電させた場合、燃料電池11における燃料ガスの供給熱量に対する発電量、すなわち発電効率は、燃料電池11の劣化が進むにつれて低下することになる。
しかしながら、図4に示したように、燃料電池11の電圧値を一定に制御したまま燃料電池11を発電させる場合、燃料電池11の電流値の低下に伴って、燃料電池11の発電量が低下するが、燃料電池11の電流値を低下させることによって、燃料電池11における燃料ガスの消費量も低下することになり、燃料ガスの供給量も低下させる制御が行われる。したがって、燃料電池システム10では、燃料電池11の劣化が進んだ場合であっても、発電効率の低下を抑制することができる。また、燃料電池11の電圧値を予め決めた値に制御することで、PCS20に入る電圧範囲が限定されるため、それに合わせてPCS20の構成部品を設計することができ、燃料電池システム10のコスト低下や運転効率向上が見込まれる。
<第2実施形態>
第1実施形態では、燃料電池の劣化が進んだ場合であっても燃料電池11の発電効率を維持する燃料電池システム10について説明したが、第2実施形態では、複数の燃料電池のうち少なくとも1つの燃料電池の発電効率を維持した上で、負荷40の電力需要に追従する燃料電池システム10Aについて説明する。
図6は、燃料電池システム10Aの構成例を概略的に示す図である。図6に示した燃料電池システム10Aが第1実施形態に係る燃料電池システム10と異なる点は、燃料電池12、熱交換器21、水蒸気分離膜16、熱交換器22、水タンク26及び再生燃料ガス経路54が追加され、当該追加に伴い、オフガス経路46、オフガス経路52及び供給経路44が変更された点である。
図6に示すように、燃料電池システム10Aには2つの燃料電池11、12と、2つの熱交換器21、22が含まれる。したがって、説明をわかりやすくするため、燃料電池11を「第1燃料電池11」、燃料電池12を「第2燃料電池12」、熱交換器21を「第1熱交換器」、熱交換器22を「第2熱交換器」と表記することにする。ここでは一例として、第1燃料電池11及び第2燃料電池12共に、固体酸化物形燃料電池を用いるものとする。
以下に 燃料電池システム10Aが燃料電池システム10と異なる点を中心にして、燃料電池システム10Aの構成を説明する。
燃料電池システム10Aでは、第1燃料電池11におけるカソードでの未反応ガスは、下流側の供給経路44を通じて第2燃料電池12へ供給される。
一方、水蒸気分離膜16には、燃料電池11において未反応の燃料ガス及び生成ガスを含むオフガス(アノードオフガス)が供給され、水蒸気分離膜16は、オフガスに含まれる水蒸気を気体の状態で除去する。水蒸気分離膜16は、水の凝縮点よりも高い温度(例えば100℃以上)で、オフガスから水蒸気を除去することができる。
水蒸気分離膜16で除去された水蒸気は、熱交換器22で冷却されて水38となり、水タンク26に貯えられるようになっている。水タンク26の上部にはオフガス経路46が接続されている。水タンク26で凝縮しない二酸化炭素等のガスは、該オフガス経路46を通じて、燃料処理装置14の燃焼器18へ供給されるようになっている。熱交換器22は、原料ガス経路24を流れる原料ガスと、オフガス経路52を流れるオフガスとの間で熱交換を行い、オフガスを冷却すると共に原料ガスを加熱するものである。
また、燃料電池システム10Aでは、水蒸気分離膜16でオフガスから水蒸気を除去した後の再生燃料ガスは、再生燃料ガス経路54を通じて、第2燃料電池12へ供給されるようになっている。そして、再生燃料ガス経路54には、第1熱交換器21が設けられている。この第1熱交換器21は、オフガス経路52を流れるオフガスと、再生燃料ガス経路54を流れる再生燃料ガスとの間で熱交換を行い、オフガスを例えば200℃程度に冷却すると共に再生燃料ガスを第2燃料電池12の作動温度に対応して再度加熱するものである。
一方、第2燃料電池12は、再生燃料ガスを用いて発電を行う固体酸化物形燃料電池である。図示は省略するが、第2燃料電池12も、第1燃料電池11と同様に、電解質層と、該電解質層の表裏面にそれぞれ積層されたアノード及びカソードとを有している。アノードには、再生燃料ガス経路54を通じて、再生燃料ガスが供給される。
また、第2燃料電池12の構成は、第1燃料電池11と同様であり、再生燃料ガスを用いて発電が行われる。未反応の空気は、下流側の供給経路44を通じて、燃料処理装置14の燃焼器18へ供給される。
なお、上記では、第2燃料電池12が再生燃料ガスを用いて発電する例について説明したが、第2燃料電池12の発電には、必ずしも再生燃料ガスを用いる必要はなく、第1燃料電池11から排出されたオフガスを用いてもよい。
第1燃料電池11は、燃料処理装置14から供給される燃料ガスを用いて発電を行うことから、前段の燃料電池の一例であり、第2燃料電池12は、第1燃料電池11での発電に用いられた未反応の燃料ガス及び生成ガスを含むオフガスから再生した再生燃料ガスを用いて発電を行うことから、後段の燃料電池の一例である。また、このように前段と後段にそれぞれ第1燃料電池11、第2燃料電池12を設けて各々発電させる燃料電池システム10Aは、多段式燃料電池システムの一例である。
燃料電池システム10Aでは、第1燃料電池11のオフガスから水蒸気や二酸化炭素を取り除き、反応に寄与する燃料ガス(水素や一酸化炭素)の濃度を高めた再生燃料ガスを用いて後段の第2燃料電池12で再度発電を行うため、第1燃料電池11だけで発電する場合に比べて、発電効率が向上する。
なお、以降では、第1燃料電池11及び第2燃料電池12を区別する必要がない場合、単に「燃料電池」と表記する場合がある。
図7に、燃料電池システム10Aで発電する電力を制御するための制御系統概略図の一例を示す。図7に示すように、燃料電池システム10Aでは、第1燃料電池11及び第2燃料電池12の出力端がそれぞれPCS20Aに接続される。
一般的に、供給電力が電力需要を上回る場合、電力の周波数は電力の需給バランスが一致する場合の周波数として予め定めた商用周波数(東日本地域であれば50Hz、西日本地域であれば60Hz)より上昇する。一方、供給電力が電力需要を下回る場合、電力の周波数は予め定めた商用周波数より低下する。
したがって、PCS20Aは、例えば負荷40に供給している電力の周波数の変動量から、状況に応じて変動する負荷40の電力需要を把握し、燃料電池システム10Aで発電する電力が、負荷40の電力需要に近づくように第1燃料電池11及び第2燃料電池12の発電量を制御する。
具体的には、PCS20Aは、第2燃料電池12の電圧値が基準電圧値Vになるように設定した第2燃料電池12の電流値を電流制御器30Bに通知し、設定した電流値と基準電圧値Vから第2燃料電池12の発電量を算出する。そして、PCS20Aは、負荷40の電力需要と第2燃料電池12の発電量との差分を、第1燃料電池11の発電量として決定し、決定した発電量を得るために第1燃料電池11から出力すべき電流値、すなわち、第1燃料電池11の発電量に対応した電流値を電流制御器30Aに通知する。
電流制御器30Aは、PCS20Aから電流値を受け付けると、第1燃料電池11を制御して、第1燃料電池11から出力される電流の大きさが指示された電流値に近づくように制御する。この際、電流制御器30Aは、第1燃料電池11の電流を制御する上で必要があれば、ブロワ25及びポンプ32等の燃料ガスの流量を調整する調整手段を制御してもよい。
同様に、電流制御器30Bも、PCS20Aから電流値を受け付けると、第2燃料電池12を制御して、第2燃料電池12から出力される電流の大きさが指示された電流値に近づくように制御する。この際、電流制御器30Bは、第2燃料電池12の電流を制御する上で必要があれば、ブロワ25及びポンプ32等の調整手段を制御してもよい。
なお、電流制御器30A及び電流制御器30Bが制御する調整手段は、ブロワ25及びポンプ32に限られない。例えば、供給経路44を通過する空気の供給量を調整する図示しない空気ブロワ等であってもよい。以降、第1燃料電池11及び第2燃料電池12での各々の発電量の合計が、負荷40の電力需要に近づくように、第1燃料電池11の電流及び第2燃料電池12の電流を制御する例を用いて本発明について説明するが、第1燃料電池11及び第2燃料電池12の各々の発電量の制御方法はこれに限られない。例えば、電流制御器30A及び電流制御器30Bは、PCS20から目標とする電圧値を受け付け、第1燃料電池11及び第2燃料電池12の電圧値を制御することで、受け付けた電圧値に近づくように調整するようにしてもよい。
ここで、電流制御器30Aは第1制御装置の一例であり、電流制御器30Bは第2制御装置の一例である。
上記に説明したPCS20A、電流制御器30A、30Bによる燃料電池の出力の制御は、例えばコンピュータを用いて実現することができる。図8は、コンピュータ100、200A、及び200Bを用いて、それぞれ燃料電池システム10AのPCS20A、電流制御器30A、及び電流制御器30Bの制御に関連する機能部を実現する場合の構成例を示す図である。
図8に示す構成例が、図3に示した構成例と異なる点は、電流制御器30A、30Bの各々が、第1実施形態に係るコンピュータ200と同じ構成を有するコンピュータ200A、200Bで構成され、第1外部バス112に周波数センサ23が追加された点である。また、第2外部バス212に、燃料電池11の代わりに第1燃料電池11及び第2燃料電池12が接続された点である。
PCS20Aに対応するコンピュータ100に含まれるCPU102は、I/O108を介して、電流制御器30Aに対応するコンピュータ200Aに含まれるCPU202及び電流制御器30Bに対応するコンピュータ200Bに含まれるCPU202とデータを送受信する。また、コンピュータ200AのCPU202は、I/O208を介して、第2外部バス212に接続される第1燃料電池11、ブロワ25及びポンプ32を制御する。コンピュータ200BのCPU202は、I/O208を介して、第2外部バス212に接続される第2燃料電池12、電圧計29、ブロワ25及びポンプ32を制御する。
なお、I/O108及びI/O208に接続される装置等は一例であり、図示しない他の装置等を接続してもよいことは言うまでもない。
次に、燃料電池システム10Aにおける燃料電池の出力制御について説明する。
図9は、PCS20Aに含まれるCPU102によって実行される燃料電池制御プログラムに基づく燃料電池制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。燃料電池制御プログラムはROM106に予め記憶されており、CPU102は燃料電池制御プログラムをROM106から読み込んで実行する。なお、PCS20Aは、燃料電池で発電された電力を既に負荷40に供給している状態であるものとする。
まず、ステップS100において、PCS20Aは、図4に示した第1実施形態に係る燃料電池制御処理、すなわち電圧一定制御を実行して、第2燃料電池12の電圧値が基準電圧値Vで一定になるように第2燃料電池12を制御する。
ステップS110において、PCS20Aは、周波数センサ23で負荷40に供給している電力の周波数を計測し、商用周波数(例えば50Hz)に対する周波数のずれ、すなわち周波数の変動量を算出する。そして、PCS20Aは、算出した周波数の変動量から負荷40の電力需要の増減量を算出し、PCS20Aが負荷40に供給している現在の電力の大きさと、負荷40の電力需要の増減量とから、負荷40の電力需要を取得する。PCS20Aは、取得した負荷40の電力需要を例えばRAM104に記憶する。
周波数の変動量と負荷40の電力需要の増減量との対応関係は、例えば燃料電池システム10Aの実機による実験や燃料電池システム10Aの設計仕様に基づくコンピュータシミュレーション等により予め求められ、例えばROM106の予め定めた領域に記憶しておけばよい。
なお、ここでは一例として、負荷40に供給する電力の周波数を計測して負荷40の電力需要を取得したが、他の手法を用いて負荷40の電力需要を取得するようにしてもよい。例えば、PCS20Aから供給される電力、及び電気事業者から供給される商用電力を受電して負荷40に電力を配電する受電盤50に設置された電力計で計測された負荷40の消費電力を、負荷40の電力需要として取得するようにしてもよい。この場合、周波数センサ23は不要となる。
ステップS120において、PCS20Aは、ステップS100で設定した第2燃料電池12の電流値と基準電圧値Vから第2燃料電池12の発電量を算出する。そして、PCS20Aは、ステップS110で取得した負荷40の電力需要から第2燃料電池12の発電量を差し引いた電力を、第1燃料電池11の発電量に決定する。このように、第1燃料電池11の発電量を決定することによって、第1燃料電池11及び第2燃料電池12における発電量の合計が負荷40の電力需要に一致することになる。
ステップS130において、PCS20Aは、例えばROM106に予め記憶された第1燃料電池11の電流電圧特性60を参照して、電圧と電流の積がステップS120で決定した第1燃料電池11の発電量となるような電流値を設定する。第1燃料電池11の電流電圧特性60は、例えば第1燃料電池11の実物を用いた実験や、第1燃料電池11の設計仕様に基づくコンピュータシミュレーション等により予め求めておけばよい。
以降では、電圧と電流の積がステップS120で決定した第1燃料電池11の発電量となるような電流値を「目標電流値」という。
ステップS140において、PCS20Aは、I/O108を介して電流制御器30AにステップS130で設定した目標電流値を通知する。
すると、電流制御器30Aによって、第1燃料電池11から出力される電流の大きさが目標電流値に近づくように制御される。したがって、燃料電池システム10Aから負荷40の電力需要に応じた電力が供給されることになる。
このように第2実施形態に係る燃料電池システム10Aでは、第2燃料電池12の電圧値を一定に保った状態で、第1燃料電池11及び第2燃料電池12で発電される電力の合計が負荷40の電力需要に近づくように、第1燃料電池11の電流値を制御する。したがって、燃料電池システム10Aは、第2燃料電池12の劣化が進んでも、第2燃料電池12における発電効率の低下を抑制したまま、負荷40の電力需要にあわせた電力を供給することができる。
また、第2燃料電池12は再生燃料ガスを用いて発電を行うが、再生燃料ガスは、第1燃料電池11のオフガスから生成される上に、水蒸気分離膜16の劣化等の影響を受けるため、燃料ガスに比べてガスの組成が安定しにくい場合がある。したがって、第2燃料電池12の電圧は、第1燃料電池11の電圧に比べて変動幅が大きくなる傾向がある。
更に、燃料電池システム10Aのように、後段に位置する第2燃料電池12の電圧値が一定になるように制御することで、例えば、水蒸気分離膜16の破損などで再生燃料ガス量の急激な低下が起こったとしても燃料枯れが起こらずに、第2燃料電池12の損傷を抑制することもできる。
<第3実施形態>
第2実施形態では、第1燃料電池11に対応した電流電圧特性60を参照して、負荷40の電力需要に応じた目標電流値を設定した。
しかしながら、図5に示すように、電流電圧特性60は、燃料電池の劣化が進むにつれて電流電圧特性60→電流電圧特性60Aのように変化する。したがって、予め定めた燃料電池の電流電圧特性60と、電流を制御する際の燃料電池における実際の電流電圧特性とは異なることがある。
そこで、第3実施形態では、第2燃料電池12の電圧値を一定に保った状態で、予め定めた燃料電池の電流電圧特性60を用いることなく第1燃料電池11の発電量を制御することで、負荷40の電力需要に応じた電力を精度よく供給する燃料電池システム10Bについて説明する。
燃料電池システム10Bの概略構成は、図6に示した燃料電池システム10Aの概略構成と同じであり、燃料電池システム10Bの制御系統は、図7に示した燃料電池システム10Aの制御系統と同じである。
また、燃料電池システム10BのPCS20B及び電流制御器30A、30Bによる燃料電池の制御は、例えば図10に示すコンピュータ構成を用いて実現することができる。図10に示す構成が図8に示した構成と異なる点は、第2外部バス212に電圧計29の代わりに電圧計29A、29Bが接続され、また、電流計27が追加された点である。その他の図10の構成については図8と同じ構成である。
ここで、電流計27は第1燃料電池11の電流値を計測し、電圧計29Aは第1燃料電池11の電圧値を計測する。また、電圧計29Bは第2燃料電池12の電圧値を計測する。すなわち、電圧計29Bは、図8における電圧計29に相当する。
以下に、燃料電池システム10Bにおける燃料電池の出力制御について説明する。
図11は、燃料電池システム10BのPCS20Bに含まれるCPU102によって実行される燃料電池制御プログラムに基づく燃料電池制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。燃料電池制御プログラムはROM106に予め記憶されており、CPU102は燃料電池制御プログラムをROM106から読み込んで実行する。なお、PCS20Bは、燃料電池で発電された電力を既に負荷40に供給している状態であるものとする。
まず、ステップS200において、PCS20Bは、図4に示した第1実施形態に係る燃料電池制御処理、すなわち電圧一定制御を実行して、第2燃料電池12の電圧値が基準電圧値Vで一定になるように第2燃料電池12の出力を制御する。
ステップS210において、PCS20Bは、図9に示した第2実施形態に係る燃料電池制御処理のステップS110と同様の処理を実行して、負荷40の電力需要を取得する。
ステップS220において、PCS20Bは、ステップS200で設定した第2燃料電池12の電流値と基準電圧値Vから第2燃料電池12の発電量を算出する。そして、PCS20Bは、ステップS210で取得した負荷40の電力需要から第2燃料電池12の発電量を差し引いた電力を、第1燃料電池11の発電量として算出する。このように、第1燃料電池11の発電量を決定することによって、第1燃料電池11及び第2燃料電池12における発電量の合計が負荷40の電力需要に一致することになる。
なお、第2燃料電池12の発電量は予想される負荷40の電力需要よりも少なくなるように予め設定されているものとする。したがって、第1燃料電池11の発電量は正値となる。
以降、ステップS220で算出した第1燃料電池11の発電量を「目標発電量」ということにする。
ステップS230において、PCS20Bは、初めてステップS230を実行する場合、例えば初期値として予め定めた電流値を目標電流値として電流制御器30Aに通知する。2回目以降のステップS230では、PCS20Bは、直前に電流制御器30Aに通知した目標電流値から変動させた電流値を新たな目標電流値として、電流制御器30Aに通知する。なお、目標電流値の変動方法に関しては後述することにする。
ステップS230の処理によって、電流制御器30Aが第1燃料電池11の電流値を目標電流値に制御する。
ステップS240において、PCS20Bは、電流制御器30Aに対して、第1燃料電池11の電圧値及び電流値を計測させ、計測結果をPCS20Bに通知するように制御する。当該制御を受け付けた電流制御器30Aは、電流計27で第1燃料電池11の電流値を計測すると共に、電圧計29Aで第1燃料電池11の電圧値を計測し、計測した電圧値及び電流値をPCS20Bに通知する。したがって、PCS20Bは、第1燃料電池11の電圧値及び電流値を取得することができる。
ステップS250において、PCS20Bは、ステップS240で取得した電圧値及び電流値を用いて、第1燃料電池11の発電量を算出する。
ステップS260において、PCS20Bは、ステップS250で算出した第1燃料電池11の発電量が、ステップS220で算出した目標電力量と一致するか否かを判定する。
ステップS260の判定処理が否定判定の場合には、第1燃料電池11の発電量と第2燃料電池12の発電量の合計が負荷40の電力需要に一致していない状態にあることを示しているため、ステップS230に移行し、第1燃料電池11の発電量と第2燃料電池12の発電量の合計が負荷40の電力需要に一致するように調整した新たな目標電流値を電流制御器30Aに通知する。
具体的には、第1燃料電池11の発電量が目標電力量より大きい場合には、第1燃料電池11の発電量を低下させるように調整した電流値を新たな目標電流値とし、第1燃料電池11の発電量が目標電力量より小さい場合には、第1燃料電池11の発電量を上昇させるように調整した電流値を新たな目標電流値とすればよい。
ステップS230〜S260の処理を繰り返して、第1燃料電池11の発電量が目標電力量に一致した場合、ステップS260の判定処理が肯定判定となり、図11に示した燃料電池制御処理を終了する。
このように第3実施形態に係る燃料電池システム10Bでは、第2燃料電池12の電圧値を一定に保った状態で、第1燃料電池11の電流値を可変しながら第1燃料電池11の発電量を算出することで、第1燃料電池11及び第2燃料電池12における発電量の合計が負荷40の電力需要に近づくように制御する。
燃料電池システム10Bでは、第1燃料電池11の実際の発電量に基づいて目標電流値を制御するため、予め定めた電流電圧特性60に基づいて第1燃料電池11の電流値を制御する場合と比較して、負荷40の電力需要に応じた電力を精度よく供給することができる。すなわち、燃料電池システム10Bは、電圧変動に伴う第2燃料電池12の損傷を抑制しながら、負荷40の電力需要に一致した電力を供給することができる。
<第4実施形態>
第2実施形態に係る燃料電池システム10A、及び第3実施形態に係る燃料電池システム10Bでは、後段の第2燃料電池12に対して電圧一定制御を行い、発電効率の低下を抑制したが、第2燃料電池12に加えて第1燃料電池11に対しても電圧一定制御をおこなってもよい。
そこで、第4実施形態では、第1燃料電池11の電圧値及び第2燃料電池12の電圧値を目標とする出力に応じて一定に保つ燃料電池システム10Cについて説明する。
燃料電池システム10Cの概略構成は、図6に示した燃料電池システム10Aの概略構成と同じであり、燃料電池システム10Cの制御系統は、図7に示した燃料電池システム10Aの制御系統と同じである。また、燃料電池システム10Cは、図10に示したコンピュータ構成と同じ構成を用いて実現することができる。
図12は、燃料電池システム10CのPCS20Cに含まれるCPU102によって実行される燃料電池制御プログラムに基づく燃料電池制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS300において、PCS20Cは、電圧計29Aで第1燃料電池11の電圧値を計測しながら、第1燃料電池11に対して図4に示した電圧一定制御を実行し、第1燃料電池11の電圧値を、予め定めた第1燃料電池11の基準電圧値V1に設定する。
次に、ステップS310において、PCS20Cは、電圧計29Bで第2燃料電池12の電圧値を計測しながら、第2燃料電池12に対して図4に示した電圧一定制御を実行し、第2燃料電池12の電圧値を、予め定めた第2燃料電池12の基準電圧値V2に設定する。
なお、本実施形態における「基準電圧値V1」及び「基準電圧値V2」は、例えば電力需要に追従して予め設定される電圧であってもよい。例えば、燃料電池システム10Cで発電した電力を逆潮する場合には、燃料電池システム10Cで発電した電力が負荷40の電力需要より大きくなるように、基準電圧値V1、V2を設定する。逆に、燃料電池システム10Cで発電した電力を逆潮させないようにする場合には、燃料電池システム10Cで発電した電力が負荷40の電力需要以下となるように、基準電圧値V1、V2を設定する。すなわち、基準電圧値V1、V2は目標電圧の一例である。
このように第1燃料電池11及び第2燃料電池12の電圧値を制御することで、第1燃料電池11及び第2燃料電池12が劣化した場合であっても、第1燃料電池11の電圧値及び第2燃料電池12の電圧値をそれぞれ基準電圧値V1及び基準電圧値V2に保つことができる。
第1燃料電池11の電圧値及び第2燃料電池12の電圧値をそれぞれ基準電圧値V1及び基準電圧値V2に保つには、第1燃料電池11及び第2燃料電池の電流値を低下させる制御が行われるため、それに伴い燃料ガスの供給量も低下する。したがって、燃料電池システム10Cでは、第1燃料電池11及び第2燃料電池12が劣化した場合であっても、発電効率の低下を抑制することができる。
<第5実施形態>
第2実施形態〜第4実施形態に係る燃料電池システム10A、10B、及び10Cの制御系統は、図7に示したように、第1燃料電池11及び第2燃料電池12に対して、それぞれ発電量を制御する電流制御器30A及び電流制御器30Bが存在し、個別に制御を行っていた。
しかし、第5実施形態に係る燃料電池システム10Dの制御系統は、図13に示すように、第1燃料電池11及び第2燃料電池12を直列に接続し、直列に接続された第1燃料電池11及び第2燃料電池12の各々の出力端がPCS20Dに接続される。そして、これまで第1燃料電池11及び第2燃料電池12をそれぞれ個別に制御していた電流制御器30A及び電流制御器30Bを1つの電流制御器30に統合し、電流制御器30で第1燃料電池11及び第2燃料電池12の発電量を制御する。
図14に、燃料電池システム10Dをコンピュータで構成する場合の構成例を示す。
ここで、コンピュータ200は、図8の燃料電池システム10A又は図10の燃料電池システム10Bを構成するコンピュータ200A及びコンピュータ200Bを、1つのコンピュータに統合したものである。
このような構成を有する燃料電池システム10Dで、第1燃料電池11または第2燃料電池12に対して、図4に示した燃料電池制御処理、すなわち、電圧一定制御を行ってもよい。
第1燃料電池11に対して電圧一定制御を行った場合、第1燃料電池11に対する電圧一定制御によって設定された電流に応じた電圧が、第2燃料電池12から出力される。反対に、第2燃料電池12に対して電圧一定制御を行った場合、第2燃料電池12に対する電圧一定制御によって設定された電流に応じた電圧が、第1燃料電池11から出力される。
この場合、燃料電池システム10Dから供給される電力は、必ずしも負荷40の電力需要と一致しない。
したがって、燃料電池システム10Dから供給される電力を負荷40の電力需要に近づけるためには、例えばPCS20Dは、第1燃料電池11と第2燃料電池12の電流電圧特性60を参照することで、負荷40の電力需要に近づくように、第1燃料電池11と第2燃料電池12の電圧が予め定めた範囲内で、第1燃料電池11及び第2燃料電池12を流れる電流値を調整してもよい。
図15は、PCS20Dに含まれるCPU102によって実行される燃料電池制御プログラムに基づく燃料電池制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。具体的には、第1燃料電池11及び第2燃料電池12の電流電圧特性60を用いて電流値の設定を行う。
ステップS400において、PCS20Dは、図9に示した第2実施形態に係る燃料電池制御処理のステップS110と同様の処理を実行して、負荷40の電力需要を取得する。なお、負荷40の電力需要は目標電力量の一例であり、目標電力量は必ずしも負荷40の電力需要に限られない。目標電力量は、例えば燃料電池システム10Dのユーザ等が予め定めた電力量であればよい。
ステップS410において、PCS20Dは、初期電流値を設定する。具体的には、PCS20Dは、第1燃料電池11及び第2燃料電池12の各々の電流電圧特性60を参照して、第1燃料電池11及び第2燃料電池12における各々の予め定めた電圧の範囲の上限のうち、高い方の電圧に対応した電流値を初期電流値に設定する。
ステップS420において、PCS20Dは、第1燃料電池11及び第2燃料電池12の各々の電流電圧特性60を参照して、ステップS410で設定した電流値に対応する第1燃料電池11及び第2燃料電池12の電圧値が、それぞれ第1燃料電池11及び第2燃料電池12の予め定めた電圧の範囲内であるか否かを判定する。
ステップS420の判定処理が否定判定の場合には、ステップS480に移行する。そして、ステップS480において、PCS20Dは、電流値の予め定めた増分である電流Δiだけ電流値を増加して、ステップS420に移行する。既に説明したように、燃料電池の電流電圧特性60は、電流値を大きくするに従って、電圧が低下する傾向があるため、電流Δiだけ電流値を増加することで、第1燃料電池11及び第2燃料電池12の電圧値を低下させる。そして、再びステップS420で、設定した電流値に対応する第1燃料電池11及び第2燃料電池12の電圧値が、それぞれ第1燃料電池11及び第2燃料電池12の予め定めた電圧の範囲内であるか否かを判定する。
一方、ステップS420の判定処理が肯定判定の場合には、ステップS430に移行する。
ステップS430において、PCS20Dは、現在の電流値(候補電流値)と、第1燃料電池11の電流電圧特性60から得られる候補電流値に対する電圧値とから、候補電流値を電流制御器30に設定した場合の第1燃料電池11の発電量を算出する。
ステップS440において、PCS20Dは、候補電流値と、第2燃料電池12の電流電圧特性60から得られる候補電流値に対する電圧値とから、候補電流値を電流制御器30に設定した場合の第2燃料電池12の発電量を算出する。
ステップS450において、PCS20Dは、ステップS430で算出した第1燃料電池11の発電量、及びステップS440で算出した第2燃料電池12の発電量の合計発電量と、目標電力量との差分がこれまでの最小値であるか否かを判定し、肯定判定の場合にはステップS460に移行する。
ステップS460において、PCS20Dは、ステップS450で算出した電力の差分を、例えばRAM104に記憶する。すなわち、RAM104には、第1燃料電池11及び第2燃料電池12の各々における予め定めた電圧の範囲内において、第1燃料電池11及び第2燃料電池12の合計発電量が目標電力量に最も近づく電流値が記憶される。
一方、ステップS450の判定処理が否定判定の場合には、ステップS460の処理を実行せずにステップS470に移行する。
ステップS470において、PCS20Dは、第1燃料電池11及び第2燃料電池12の各々の電流電圧特性60を参照して、候補電流値が、第1燃料電池11及び第2燃料電池12における各々の予め定めた電圧の範囲の下限に対応した電流値のうち、より高い方の電流値(上限電流値)に達したか否かを判定する。
ステップS470の判定処理が否定判定の場合には、ステップS480に移行して、候補電流値をΔi増加して、既に説明したステップS420〜S480の処理を実行する。
一方、ステップS470の判定処理が肯定判定の場合には、第1燃料電池11及び第2燃料電池12における各々の予め定めた電圧の範囲に対応した電流値について、当該電流値を電流制御器30に設定した場合の燃料電池システム10Dの発電量を試算したことになるため、ステップS490に移行する。
ステップS490において、PCS20Dは、ステップS460でRAM104に記憶された電流値を電流制御器30に設定する。
以上の処理により、第1燃料電池11及び第2燃料電池12の電圧値を予め定めた範囲の電圧に制御しながら、燃料電池システム10Dの発電量を目標電力量に近づけることができる。
なお、この制御方法では第1燃料電池11と第2燃料電池12に対してそれぞれ電圧計29A、29Bを設置する必要がない。
また、PCS20Dは、第1燃料電池11及び第2燃料電池12を流れる電流値、第1燃料電池11の電圧値及び第2燃料電池12の電圧値から、第1燃料電池11及び第2燃料電池で発電される電力を各々算出し、算出した電力の合計が負荷40の電力需要に近づくように、第1燃料電池11と第2燃料電池12の電圧が予め定めた範囲内で、第1燃料電池11及び第2燃料電池12を流れる電流値を調整してもよい。
図16は、PCS20Dに含まれるCPU102によって実行される燃料電池制御プログラムに基づく燃料電池制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。具体的には、第1燃料電池11及び第2燃料電池12の発電量を計測しながら、第1燃料電池11及び第2燃料電池12を流れる電流値の設定を行う。
ステップS500において、PCS20Dは、図9に示した第2実施形態に係る燃料電池制御処理のステップS110と同様の処理を実行して、負荷40の電力需要を取得する。既に説明したように、負荷40の電力需要は目標電力量の一例であり、目標電力量は必ずしも負荷40の電力需要に限られない。
ステップS510において、PCS20Dは、第1燃料電池11及び第2燃料電池12における各々の予め定めた電圧の範囲のうち、高い方の電圧に対応した電流値と考えられる電流値よりも十分低い電流値を初期電流値として電流制御器30に設定する。この初期電流値は、例えば燃料電池システム10Dの実機による実験や燃料電池システム10Dの設計仕様に基づくコンピュータシミュレーション等により予め求められ、例えばROM106に予め記憶しておけばよい。
ステップS520において、PCS20Dは、電圧計29Aで第1燃料電池11の電圧値を取得する。
ステップS530において、PCS20Dは、電圧計29Bで第2燃料電池12の電圧値を取得する。
ステップS540において、PCS20Dは、ステップS520で取得した第1燃料電池11の電圧値と、ステップS530で取得した第2燃料電池12の電圧値が、それぞれ第1燃料電池11の電圧値として予め定めた範囲と、第2燃料電池12の電圧値として予め定めた範囲に含まれるか否かを判定する。
ステップS540の判定処理が否定判定の場合には、ステップS600に移行する。そして、ステップS600において、PCS20Dは、電流値の予め定めた増分である電流Δiだけ増加させた電流値を電流制御器30に設定し、ステップS520に移行する。
そして、ステップS600で設定した電流値における第1燃料電池11及び第2燃料電池12の電圧値が、それぞれ第1燃料電池11及び第2燃料電池12の予め定めた電圧の範囲内であるか否かを、ステップS540で判定する。
そして、ステップS540の判定処理が肯定判定の場合には、ステップS550に移行する。
ステップS550において、PCS20Dは、電流計27で第1燃料電池11及び第2燃料電池12を流れる電流値を取得する。
ステップS560において、PCS20Dは、ステップS520で取得した第1燃料電池11の電圧値と、ステップS530で取得した第2燃料電池12の電圧値と、ステップS550で取得した第1燃料電池11及び第2燃料電池12を流れる電流値とを用いて、燃料電池システム10D全体の発電量を算出する。
ステップS570において、PCS20Dは、ステップS560で算出した発電量と目標電力量との差分がこれまでの最小値であるか否かを判定し、肯定判定の場合にはステップS580に移行する。
ステップS580において、PCS20Dは、ステップS570で算出した電力の差分を、例えばRAM104に記憶する。すなわち、RAM104には、第1燃料電池11及び第2燃料電池12の各々における予め定めた電圧の範囲内において、第1燃料電池11及び第2燃料電池12の合計発電量が目標電力量に最も近づく電流値が記憶される。
一方、ステップS570の判定処理が否定判定の場合には、ステップS580の処理を実行せずにステップS590に移行する。
ステップS590において、PCS20Dは、候補電流値が、第1燃料電池11及び第2燃料電池12における各々の予め定めた電圧の範囲の下限に対応した電流値のうち、より高い方の電流値(上限電流値)に達したか否かを判定する。
ステップS590の判定処理が否定判定の場合には、ステップS600に移行して、候補電流値をΔi増加して、既に説明したステップS520〜S600の処理を実行する。
一方、ステップS590の判定処理が肯定判定の場合には、第1燃料電池11及び第2燃料電池12における各々の予め定めた電圧の範囲に対応した電流値について、当該電流値を電流制御器30に設定した場合の燃料電池システム10Dの発電量を算出したことになるため、ステップS610に移行する。
ステップS610において、PCS20Dは、ステップS580でRAM104に記憶された電流値を電流制御器30に設定する。
以上の処理により、第1燃料電池11及び第2燃料電池12の電圧値を予め定めた範囲の電圧に制御しながら、燃料電池システム10Dの発電量を目標電力量に近づけることができる。
なお、ここでは、燃料電池システム10Dから供給される電力を負荷40の電力需要に近づけるように、第1燃料電池11及び第2燃料電池12を流れる電流値を調整する例について説明したが、燃料電池システム10Dで発電した電力を逆潮する場合には、燃料電池システム10Dで発電する電力が負荷40の電力需要より大きくなるように目標電力量を定め、第1燃料電池11及び第2燃料電池12を流れる電流値を調整すればよい。
また、第1燃料電池11と第2燃料電池12の両方の電圧が予め定めた範囲内に収まる必要もなく、第1燃料電池11の電圧、第2燃料電池12の電圧どちらか一方が予め定めた範囲内に収まるように電流値を調整してもよい。
このように第5実施形態に係る燃料電池システム10Dでは、1つの電流制御器30で、直列に接続した第1燃料電池11と第2燃料電池の発電量を制御する。
電力需要の変動が少ない場合、複数の電流制御器を備えて個別に第1燃料電池11と第2燃料電池の発電量を制御するより、第1燃料電池11と第2燃料電池を直列に接続して、1つの電流制御器30で第1燃料電池11と第2燃料電池の発電量を制御した方が制御が簡単になり、かつ、電流制御器を複数備える必要がなくなるため、燃料電池システム10Dのコストが削減できる。
なお、第1実施形態〜第3実施形態では、燃料電池の電圧が変動する事例として、燃料電池の劣化によって出力電圧が低下する例を示した。第4実施形態および第5実施形態では、負荷40の電力需要や逆潮電力に応じて設定した基準電圧値から燃料電池の出力電圧が変動している例を示した。
一方、燃料電池システムには、燃料電池で効率よく発電することができる電圧値が設定されている場合があり、この電圧値を含む予め設定した範囲を「高効率電圧範囲」という。燃料電池の出力電圧が高効率電圧範囲に含まれる場合、他の出力電圧に比べて燃料電池の発電効率が高くなる。
したがって、燃料電池の出力電圧が高効率電圧範囲内に収まるように、第1実施形態〜第5実施形態に示した燃料電池制御処理を用いて、燃料電池の出力電圧を制御するようにしてもよい。この場合であっても、燃料電池の発電効率が最高効率を示す範囲で維持されることになる。
また、燃料電池の出力電圧が高効率電圧範囲に含まれない場合であっても、燃料電池の出力電圧が変動すると、その変動に追従しようとして無駄な燃料ガスが消費されることがある。すなわち、燃料電池の出力電圧の変動量は、出力電圧が一定とみなすことができる予め定めた範囲に抑制することが好ましい。
したがって、燃料電池の出力電圧が予め定めた範囲内に収まるように、第1実施形態〜第5実施形態に示した燃料電池制御処理を用いて、燃料電池の出力電圧を制御するようにしてもよい。この場合であっても、燃料電池の発電効率が維持されることになる。
以上、各実施形態を用いて本発明について説明したが、本発明は各実施形態に記載の範囲には限定されない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で各実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、当該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
例えば、燃料電池システム10A、10B、10C及び10Dでは、第1燃料電池11及び第2燃料電池12に固体酸化物形燃料電池を用いたが、例えば700℃程度の高温で作動する溶融炭酸塩形燃料電池(Molten Carbonate Fuel Cell:MCFC)、100℃程度の低温で作動する固体高分子形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)を用いてもよい。また、第1燃料電池11と第2燃料電池12で、異なる種類の燃料電池を組み合わせもよい。
また、第2実施形態〜第5実施形態では、第2燃料電池12に対して電圧一定制御を実行し、第1燃料電池11の電流値又は電圧を制御することで、燃料電池システム10A、10B、10C及び10Dの発電量を負荷40の電力需要に近づけるようにした。しかし、第1燃料電池11に対して電圧一定制御を実行し、第2燃料電池12の電流値又は電圧値を制御することで、燃料電池システム10A及び燃料電池システム10Bの発電量を負荷40の電力需要に近づけるようにしてもよい。
この場合、図9に示した燃料電池制御処理、及び図11に示した燃料電池制御処理において、「第2燃料電池12」を「第1燃料電池11」に、「第1燃料電池11」を「第2燃料電池12」にそれぞれ読み替えればよい。この際、電流計27は第2燃料電池12の電流値を計測するものとする。
また、第2実施形態〜第5実施形態では、第1燃料電池11及び第2燃料電池12の2段から成る多段式燃料電池システム10を用いて説明を行ったが、3段以上の燃料電池から成る多段式燃料電池システムに対しても本発明に係る燃料電池制御処理を適用することができる。この場合、複数の燃料電池の中から発電量を予め定めた値に設定する燃料電池と、負荷40の電力需要に応じて発電量を制御する燃料電池とに分類すればよい。
また、上述した各実施形態では、一例として燃料電池制御処理をソフトウエアで実現する形態について説明したが、各実施形態に示した燃料電池制御処理と同等の処理をハードウエアで処理させるようにしてもよい。この場合、燃料電池制御処理をソフトウエアで実現する場合に比べて、処理の高速化が図られる。
また、上述した各実施形態では、燃料電池制御プログラムが予めROM106に記憶されている形態について説明したが、これに限定されるものではない。本発明に係る燃料電池制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録した形態で提供することも可能である。例えば、本発明に係る燃料電池制御プログラムを、CD(Compact Disc)−ROM、又はDVD−ROM等の光ディスクに記録した形態で提供してもよいし、USBメモリ及びフラッシュメモリ等の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。また、燃料電池システムは、通信回線に接続された図示しない他の電子機器から燃料電池制御プログラムをダウンロードして、ROM106に格納するようにしてもよい。
また、上述した各実施形態では、PCSで燃料電池の電流値を決定して、電流制御器に通知した。しかし、例えば各需要家における燃料電池システムを通信回線に接続して、燃料電池の電流値を通信回線に接続された情報処理端末で決定し、各需要家に設置された燃料電池システムの電流制御器に通知するようにしてもよい。この場合、燃料電池システムが設置された場所とは異なる遠隔地から、燃料電池の電圧及び発電量を制御することができる。