JP2018150472A - 蛍光発光材料、蛍光発光材料の中間体及び有機発光素子 - Google Patents

蛍光発光材料、蛍光発光材料の中間体及び有機発光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】400〜500nmの波長領域の青色の蛍光発光性を有し、かつ高い蛍光量子収率を有する蛍光発光材料及びその中間体の提供。【解決手段】式(1)で表される化合物からなる蛍光発光材料及びAr1とAr2をアミド結合で結合した化合物からなる前記化合物を合成する中間体。(Ar1は単環/縮合環の芳香族炭化水素基又は芳香族炭化水素基;Ar2は単環/縮合環の芳香族複素環基;Mはハロゲン)【選択図】なし

Description

本開示は、蛍光発光材料、蛍光発光材料の中間体及び有機発光素子に関する。
近年、有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと称することがある)発光を利用したデバイスが注目され、例えば、4K有機ELテレビなどの開発が盛んに行われている。
有機EL発光デバイスの発光層等に用いる蛍光発光材料は、例えば、有機ELテレビであると、赤色発光材料、緑色発光材料、及び青色発光材料の光の三原色である発光体がバランス良く組み合わされて、種々の色相が表現される。光の三原色の蛍光発光材料のバランスが良好ではない場合、特に白色画像の良好な表現が困難となり、コントラストに優れた画像が表示し難いという問題がある。
光の三原色の蛍光発光材料のなかでも、青色蛍光発光する化合物は限定的であり、良好な画像再現性のため、高品質の青色蛍光発光材料の検討が進められている。
既述の如き有機EL発光デバイスの発光層等に用いる蛍光発光材料は、高効率に蛍光発光することが求められている。また、デバイスに組み込む場合の取り扱い性の観点からは、比較的小さな分子の化合物であり、かつ、固体の状態で良好な蛍光発光を示す蛍光発光材料が求められる。
蛍光発光性を有する有機芳香族化合物としては、2つの芳香環を有する1,3−ジケトンを配位子の基本骨格として有するボロン−ジケトン−ジアリール錯体(以下、BFDKと称することがある)が知られており、BFDKは、有機溶媒中でも固体状態でも蛍光を発するというユニークな性質を有する。
BFDKは、比較的小さな分子であり、固体状態の化合物として得られ、半導体性を有する化合物もある。
BFDKについては、BFDKに含まれる芳香環のπ電子数を変化させて、蛍光量子収率を向上させ得ることが報告されている(例えば、非特許文献1)。
また、蛍光発光性有機芳香族化合物として、フルオレン骨格をアリール基の一つとして有するボロン−ジケトン−ジアリール錯体が報告されている(例えば、特許文献1及び非特許文献2参照)。
特開2012−197259号公報
Photochem.Photobiol.Sci.,Vol.15、pp278−286(2016年) Photochem.Photobiol.Sci.,Vol.15、pp3597−3610(2016年)
有機発光デバイス等に用いる蛍光発光性有機芳香族化合物には、400nm〜500nmの青色波長領域に発光を示すことに加えて、高い蛍光量子収率を有することが求められる。
しかし、非特許文献1の、ジベンゾイルメタン、ナフチル基又はアントリル基を有するボロン−ジケトン−ジアリール錯体のほとんどは、蛍光量子収率が0.5以下であり、有機発光素子等として有用なレベルの蛍光量子収率を有する蛍光発光性有機芳香族化合物とは言い難い。
一方、特許文献1中に記載されたボロン−ジケトン−ジアリール錯体もまた、実用上有用な値の蛍光量子収率を得ると言う観点からは改良の余地がある。
このように、実用上容認できる発光効率を有し、青色発光を示すものは限定されており、さらに蛍光量子収率が良好な蛍光発光材料が望まれているのが現状である。
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、青色の蛍光発光性を有し、かつ、固体の状態で高い蛍光量子収率を有する蛍光発光材料を提供することである。
本発明の他の実施形態が解決しようとする課題は、蛍光発光材料の新規な中間体を提供することである。
本発明の別の実施形態が解決しようとする課題は、青色の良好な蛍光発光性を有する蛍光発光材料を用いた有機発光素子を提供することである。
課題を解決するための手段は、以下の実施形態が含まれる。
<1>下記一般式(I)で表される蛍光発光材料。

一般式(I)中、Arは、以下に示す構造から選ばれる1価の置換基を表し、Arは、以下に示す構造から選ばれる含窒素複素環基を表す。Mは、ハロゲン原子を表す。

上記ArにおけるRは、水素原子、若しくは、アルキル基、アルコキシ基、及びシリル基から選ばれる1価の置換基を表す。
<2>前記一般式(I)で表される蛍光発光材料は、下記化合物(1)、化合物(4)、化合物(5)、化合物(6)、化合物(8)及び化合物(9)から選ばれる少なくとも1種を含む<1>に記載の蛍光発光材料。

<3>下記一般式(II)で表される、蛍光発光材料の中間体。

一般式(II)中、Arは、以下に示す構造から選ばれる1価の置換基を表し、Arは、以下に示す構造から選ばれる含窒素複素環基を表す。
上記ArにおけるRは、水素原子、若しくは、アルキル基、アルコキシ基、及びシリル基から選ばれる1価の置換基を表す。
<4>前記一般式(II)で表される蛍光発光材料は、下記化合物(a)、化合物(d)、化合物(e)、化合物(f)、化合物(h)及び化合物(i)から選ばれる少なくとも1種を含む<3>に記載の蛍光発光材料の中間体。

<5><1>又は<2>に記載の蛍光発光材料を含む有機発光素子。
本発明の一実施形態によれば、青色の蛍光発光性を有し、かつ、固体の状態で高い蛍光量子収率を有する蛍光発光材料を提供することができる。
本発明の別の実施形態によれば、蛍光発光材料の新規な中間体を提供することができる。
本発明の別の実施形態によれば、青色の良好な蛍光発光性を有する蛍光発光材料を用いた有機発光素子を提供することができる。
蛍光発光材料である化合物(1)、化合物(2)及び化合物(3)のクロロホルム溶媒中における吸収スペクトル及び蛍光スペクトル、並びにエタノール溶媒中におけるリン光スペクトルを示すグラフである。 蛍光発光材料である化合物(4)、化合物(5)及び化合物(6)のクロロホルム溶媒中における吸収スペクトル及び蛍光スペクトル、並びにエタノール溶媒中におけるリン光スペクトルを示すグラフである。 蛍光発光材料である化合物(7)、化合物(8)及び化合物(9)のクロロホルム溶媒中における吸収スペクトル及び蛍光スペクトル、並びにエタノール溶媒中におけるリン光スペクトルを示すグラフである。 蛍光発光材料である化合物(1)、化合物(2)及び化合物(3)の固体状態の蛍光量子収率を示すグラフである。 蛍光発光材料である化合物(4)、化合物(5)及び化合物(6)の固体状態の蛍光量子収率を示すグラフである。 蛍光発光材料である化合物(7)、化合物(8)及び化合物(9)の固体状態の蛍光量子収率を示すグラフである。 蛍光発光材料である化合物(1)の単結晶のX線構造解析図である。
以下、本開示の蛍光発光材料、蛍光発光材料の中間体、及び有機発光素子について詳細に説明する。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本明細書における「固形分」の語は、溶剤を除く成分を意味し、溶剤以外の低分子量成分などの液状の成分も本明細書における「固形分」に含まれる。
本明細書において「溶媒」とは、水、有機溶剤、及び水と有機溶剤との混合溶媒を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
≪蛍光発光材料≫
本開示の蛍光発光材料は、下記一般式(I)で表される。
既述のようにボロン−ハロゲン錯体は、蛍光発光材料として興味深い挙動を示す。本発明者の検討によれば、ハロゲン化ホウ素と反応させ、ボロン錯体を形成させる中間体として種々の化合物を検討し、その結果、後述する新規な蛍光発光材料の中間体を見出した。本開示の蛍光発光材料は、後述する蛍光発光材料の中間体とハロゲン化ホウ素との反応生成物であり、青色蛍光発光材料として有用である。
なお、本明細書における青色蛍光発光材料とは、最大蛍光波長が380nm〜550nmの範囲にある発光材料を指す。

一般式(I)中、Arは、以下に示す構造から選ばれる1価の置換基を表し、Arは、以下に示す構造から選ばれる含窒素複素環基を表す。Mは、ハロゲン原子を表す。

一般式(I)中、Arは、芳香環を有する1価の置換基であり、上記に示す構造から選ばれる。上記構造より明らかなように、芳香環を有していれば、単環構造であっての2以上の芳香環を有する多環構造であってもよい。また、酸素原子、硫黄原子、窒素原子の如くヘテロ原子を有していてもよい。
上記ArにおけるRは、水素原子、若しくは、アルキル基、アルコキシ基、及びシリル基から選ばれる1価の置換基を表す。
Arは無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。
Arが有してもよい置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキルチオ基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基、炭素数1〜6のアミノアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアシル基、炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基等が挙げられる。
なかでも、一般式(I)中、Arは、ベンゼン環、ナフタレン環、及びフラン環から選ばれる1価の置換基が、合成適性、及び蛍光量子収率がより向上する観点から好ましい。
一般式(I)中、Arで表される含窒素複素環は、2本の結合手の一方、即ち、窒素原子の結合手がホウ素原子(B)と、他方、即ち、炭素原子の結合手がホウ素錯体における窒素原子と、それぞれ結合する。
Arで表される含窒素複素環は、上記構造に明らかなように、単環構造であってもよく、多環構造であってもよい。また、複素環は、窒素原子を1つ含んでもよく、2つ含んでもよい。
一般式(I)中のArは、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。
Arが有してもよい置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、アルキルチオ基、スルフィニル基、スルホニル基、アミノ基、炭素数1〜6のアミノアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアシル基、炭素数1〜5のアルコキシカルボニル基等が挙げられる。しかし、一般式(I)で表される化合物の蛍光発光を妨げない限り、導入可能な置換基は上記に限定されない。
Arとしては、蛍光量子収率がより向上する観点から、窒素原子を1つ又は2つ含み、単環構造の含窒素複素環が好ましい。
具体的には以下に示す構造を有する含窒素複素環がより好ましい。

一般式(I)中、Mはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子には、特に制限はない。なかでも、得られる化合物の安定性により優れ、蛍光量子収率がより良好となるという観点から、フッ素原子、塩素原子等が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
本開示の蛍光発光材料としては、例えば、以下に示す例示化合物が挙げられる。
なお、本開示の蛍光発光材料である化合物は、以下の例示化合物に限定されず、既述の一般式(I)に包含される化合物であれば特に制限されない。
上記例示化合物のうち、本開示における蛍光発光材料は、下記化合物(1)、化合物(2)、化合物(3)、化合物(4)、化合物(5)、化合物(6)、化合物(7)、化合物(8)及び化合物(9)から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
本開示の蛍光発光材料は、下記化合物(1)、化合物(4)、化合物(5)、化合物(6)、化合物(8)及び化合物(9)から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
本開示の蛍光発光材料の蛍光の光物理特性、すなわち蛍光量子収率(Φ)、蛍光寿命(τ)及び速度定数は、公知の測定方法によって測定することができる。
蛍光量子収率は、例えば、絶対PL光量子収率測定装置(C9920−02、浜松フォトニクス(株)製)を用い、蛍光発光材料である化合物を、アセトニトリル、クロロホルム等から選ばれる適切な有機溶剤に溶解させ、溶液の状態の試料を調製し、得られた溶液の状態の試料を測定対象として測定することができる。既述の絶対PL光量子収率測定装置を用いることで、従来の相対的な計測方法に比べて、信頼性の高い蛍光量子収率の値を得ることができる。
蛍光寿命は、例えば、小型蛍光寿命測定装置(TAU、浜松フォトニクス(株)製)を用いて、単一光子計測法により測定することができる。測定対象である試料は、既述の蛍光量子収率の測定試料と同様に、各化合物を適切な有機溶媒中に溶解した溶液を用いる。単一光子計測法におけるレーザー光源は、ナノ秒Nd:YAG レーザーの第三高調波(波長:355nm)を用いることができる。
蛍光発光材料である各化合物の蛍光寿命(τ)を測定し、上記で得られた蛍光量子収率(Φ)と蛍光寿命(τ)との関係から、速度定数(k)を算出することができる。
本開示の蛍光発光材料の溶媒中での最大励起波長は特に限定されず、例えば、280nm〜600nmの範囲とすることができる。溶媒中での最大蛍光波長も適宜設定されることができる。なお、本開示の蛍光発光材料を、有機発光素子等に適用する青色蛍光発光材料として用いるという観点からは、最大蛍光波長は、380nm〜550nmであることが好ましく、400nm〜500nmであることがより好ましい。
固体状態の蛍光発光材料の最大蛍光波長、蛍光量子収率の測定は、固体状態の蛍光発光材料の粉末状物を測定対象とし、既述の各測定装置を用いて測定することができる。
本開示の蛍光発光材料は、上記一般式(I)で表される構造を有することで、蛍光における優れた光物理特性を有する。即ち、本開示の蛍光発光材料は、蛍光量子収率、蛍光寿命及び速度定数が良好であり、なかでも、有機発光素子等の電子デバイスへの適用時に重要な物性とされる蛍光量子収率が高いという特性を有し得る。このため、従来、切望されていた青色蛍光発光材料における蛍光量子収率を、有機発光素子等の有機デバイスにとって有用であるレベルにまで飛躍的に高めることが可能となった。
また、後述するように、本開示の蛍光発光材料は、固体状態でも高い蛍光量子収率を有する。このため、有機発光素子などに本開示の蛍光発光材料を適用する場合、固体状態の薄膜を作製し、得られた薄膜を電極として、電子デバイスに適用する場合にも、光子を効率よく波長変換して蛍光発光させることが可能である。
一般式(I)で表される蛍光発光材料は、後述する新規な蛍光発光材料の中間体と、ハロゲン化ホウ素とを反応させることで得ることができる。
≪蛍光発光材料の中間体≫
本開示の蛍光発光材料の中間体は、下記一般式(II)で表される。
一般式(II)中、Arは、以下に示す構造から選ばれる1価の置換基を表し、Arは以下に示す構造から選ばれる含窒素複素環基を表す。
一般式(II)におけるAr、及びArは、既述の一般式(I)におけるAr、及びArとそれぞれ同義であり、好ましい例も同様である。
本開示の蛍光発光材料の中間体としては、例えば、以下に示す例示化合物が挙げられる。
なお、本開示の蛍光発光材料の中間体である化合物は、以下の例示化合物に限定されず、既述の一般式(II)に包含される化合物であれば特に制限されない。
本開示の蛍光発光材料の中間体は、下記化合物(a)、化合物(b)化合物(c)、化合物(d)、化合物(e)、化合物(f)、化合物(g)、化合物(h)及び化合物(i)から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。

本開示の蛍光発光材料の中間体は、下記化合物(a)、化合物(d)、化合物(e)、化合物(f)、化合物(h)及び化合物(i)から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
なお、本開示の蛍光発光材料の中間体は、上記の例示化合物に限定されず、既述の一般式(II)に包含される化合物であれば特に制限されない。
上記化合物はいずれも新規化合物である。
≪蛍光発光材料及び蛍光発光材料の中間体の製造≫
本開示の蛍光発光材料である一般式(I)で表される化合物は、既述の蛍光発光材料の中間体である一般式(II)で表される化合物と、ハロゲン化ホウ素と、を反応させ、錯体を形成させることにより得ることができる。
反応において、一般式(II)で表される化合物(K1)と、ハロゲン化ホウ素(K2)との使用割合は、例えば、K1/K2(モル比)=1/1〜0.35/1、好ましくは0.98/1〜0.5/1、さらに好ましくは0.96/1〜0.75/1であってもよい。
蛍光発光材料の中間体である一般式(II)で表される化合物は、以下に示すスキームに従い、1価の置換基であるArを有するカルボニル化合物と、Arで表される含窒素複素環を有するアミド化合物とを反応させることにより合成し得る。
カルボニル基含有化合物と、アミド化合物との反応温度及び反応時間には特に制限はない。例えば、反応は、室温(25℃)近傍で行うことができ、目的に応じて、さらに、0℃〜70℃程度の温度条件下で反応させることができる。反応促進の目的で加温することもできるが、副反応を抑制する観点からは、反応温度は70℃以下であることが好ましい。
反応時間は、0.5時間〜5時間とすることができ、1時間〜3時間の範囲であることが、生産性の観点から好ましい。
なお、以下に示すスキームでは、反応溶媒としてピリジンが記載されているが、以下に記載の溶媒は代表例であり、原料成分の溶解性、反応性等を考慮して反応溶媒は、適宜選択することができる。
上記のようにして得られた一般式(II)で表される蛍光発光材料の中間体は、溶媒中でハロゲン化ホウ素と混合することにより、以下に示すように、両者が速やかに反応してハロゲン化錯体を形成し、一般式(1)で表される蛍光発光材料を得ることができる。
よって、本開示の蛍光発光材料の中間体を用いることにより、以下に示すスキームの如く、ハロゲン化ホウ素錯体である本開示の一般式(I)で表される蛍光発光材料を簡易に得られる。下記スキーム中、Mはハロゲン原子を表す。
本開示の蛍光発光材料を製造する際には、上記スキームに示す工程以外の工程を含むことができる。
例えば、得られた一般式(II)で表される蛍光発光材料の中間体を精製する工程を、錯体を形成させる工程の前に行なうことができる。
また、錯体を形成させることで得られた一般式(I)で表される蛍光発光材料を精製する工程を含んでもよい。
反応に用いる溶媒はどのようなものであってもよいが、反応の進行し易さからは、非プロトン性溶媒であることが好ましい。非プロトン性溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル及びジフェニルエーテルなどの鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン及びジオキサンなどの環状エーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、スルホラン、ジメチルスルホンなどの脂肪族スルホン、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。中でも、テトラヒドロフラン及びトルエンが好ましい。溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
使用する溶媒の量としては、例えば、一般式(II)で表される化合物及びハロゲン化ホウ素の総量1質量部に対して、0.1質量部〜20質量部であることが好ましく、1質量部〜15質量部であることがより好ましい。
反応は、空気中で行ってもよく、不活性ガス(例えば、ヘリウム、窒素、アルゴンなど)の雰囲気下又は流通下で行ってもよい。また、反応は、常圧下、加圧下、又は減圧下で行ってもよい。さらに、反応は、撹拌しながら行ってもよく、還流しながら行ってもよい。
上記の錯体の形成に係る工程によって一般式(I)で表される化合物を合成する方法については、例えば、Sakaiらの文献[Tetrahedron Letters(2012),53,4138−4141]を参照することができる。
本開示の一般式(I)で表される蛍光発光材料は、有機溶媒中及び固体状態において、高い蛍光量子収率を有し、かつ380nm〜500nmの青色波長領域に蛍光発光することから、広い分野への応用が期待できる。具体的には、例えば、光反応試薬、二光子吸収材料、共役ポリマー材料、半導体材料、フォトクロミック材料、近赤外光検出用デバイス、酸素センサー及び有機発光素子等への応用が期待できる。
≪有機発光素子≫
本開示の有機発光素子は、既述の一般式(I)で表される蛍光発光材料を含む。
本明細書における有機発光素子は、例えば、表示装置、照明装置の構成部材、電子写真方式の画像形成装置の露光光源、液晶表示装置のバックライト、白色光源にカラーフィルターを有する発光装置等の発光素子として好適に用いられる。
表示装置としては、例えば、有機発光素子を表示部に用い、有機発光素子とトランジスタのドレイン電極又はソース電極と接続させて発光輝度を制御することにより、有機ELテレビ、パーソナルコンピュータのディスプレイ等の画像表示装置が挙げられ、本開示の有機発光素子を適用することができる。
本開示の蛍光発光材料は、青色蛍光発光の発光効率が良好である。このため、本開示の有機発光素子は、赤色、及び緑色の蛍光発光材料を含む有機発光素子と組み合わせて、例えば、画像表示装置に適用した場合に、白色の表示性が良好であり、コントラストに優れた画像が得られるため、その応用範囲は広い。
以下、本開示の蛍光発光材料について、実施例を挙げてより具体的に説明する。しかし本開示は、その主旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されない。なお、収率の「%」は、原料が理論上、所望の生成物にすべて変換された場合に対する実際に得られた生成物の量の比率(質量基準)である。
(試薬及び化合物の同定方法)
調製に用いた試薬は、すべて市販のものを用いた。また、合成した生成物については、NMR(核磁気共鳴)測定によって確認した。
NMR測定には、日本電子(株)製、NMR System 400MHzまたは600MHzを用いた。
≪蛍光発光材料の中間体の合成≫
まず、蛍光発光材料の中間体の合成について説明する。以下に示す蛍光発光材料の中間体は、いずれも新規化合物である。
〔実施例1〕
<化合物(a):N−(2−ピリジニル)ベンズアミドの合成>
2−アミノピリジン(380mg、4.0mmol(ミリモル))とベンゾイルクロリド(0.50ml(ミリリットル)、4.4mmol)とを、溶媒であるピリジン((20ml)に加え、室温(25℃)で2時間撹拌した。
CHCl(50ml)で反応生成物を抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と、飽和食塩水とにより洗浄して有機溶媒を留去した。クロロホルムと酢酸エチルとの混合溶媒(1:1(容積比))を展開溶媒としてシリカゲルカラムにて310mgの化合物(a)を得た。このようにして新規な蛍光発光材料の中間体である化合物(a)を合成した。
化合物(a)の収率は39%であった。化合物(a)の融点(以下、mpと略記する場合がある)は82℃〜83℃であった。
既述の方法により、NMR測定を行い、以下に示す結果を得た。
HNMR(CDCl、400MHz、δ=9.47(br,1H),8.40(ddd,1H,J=8.3,2.0,1.0Hz),8.03,(ddd,1H,J=5.0,2.0,1.0Hz),7.91(m,2H),7.71(ddd,J=8.3,7.4,2.0Hz),7.52(m,1H),7.43(m,2H),6.97(ddd,1H,J=7.4,5.0,1.0Hz).HRMS(FAB−TOF)m/z calcd.for C1211O 199.0871 [M+1],found199.0880.
〔実施例2〕
<化合物(b):N−(3−ピリダジニル)ベンズアミドの合成>
3−アミノピリダジン(420mg、4.4mmol)とベンゾイルクロリド(0.57ml、5.0mmol)とを、溶媒であるピリジン(20 ml)に溶解させ、2時間還流した。
CHCl(50ml)で生成物を抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と、飽和食塩水とにより洗浄して有機溶媒を留去した。クロロホルムと酢酸エチルとの混合溶媒(1:1、容積比)を展開溶媒としてシリカゲルカラムにて180mgの化合物(b)を得た。化合物(b)の収率は21%であり、mpは140℃〜141℃であった。
既述の方法により、NMR測定を行い、以下に示す結果を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)、δ=10.00(br,1H),8.93(brd,1H,J=4.7Hz),8.62(brd,1H,J=8.9Hz),8.01(m,2H),7.39−7.58(m,4H).
13C NMR(151MHz,CDCl)、δ=166.4,155.2,148.4,133.5,133.0,130.2,129.2,128.5,127.5,119.0.HRMS(FAB−TOF)m/z calcd. forC1210O 200.0824[M+1],found 200.0846.
〔実施例3〕
<化合物(c):N−(2−ピラジニル)ベンズアミドの合成>
2−アミノピラジン(190mg、2.0mmol)と、ベンゾイルクロリド(0.25ml.2.2mmol)と、をピリジン(20ml)に溶解させ、2時間還流した。
CHCl(50ml)で生成物を抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と、飽和食塩水とにより洗浄して有機溶媒を留去した。クロロホルムと酢酸エチルとの混合溶媒(1:1(容積比))を展開溶媒として、シリカゲルカラムにて310mgの化合物(c)を得た。化合物(c)の収率は78%、mpは170℃〜171℃であった。
既述の方法により、NMR測定を行い、以下に示す結果を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)、δ=9.73(d,1H,J=1.5Hz),8.64(brs,1H),8.38(d,1H,J=2.6Hz),8.24(dd,1H,J=2.6,1.5Hz),7.94(m,2H),7.61(m,1H),7.52(m,2H).HRMS(FAB−TOF) m/z calcd. for C1210O 200.0824 [M+1], found 200.0823.
〔実施例4〕
<化合物(d)の合成>
2−アミノピリジン(288mg、3.0mmol)と、NaH(620mg、25mmol)を15mlのTHFに溶かし、50℃で20分撹拌した。1−ナフトエ酸エチル(0.53ml、3.0mmol)を加え、1時間還流した。酢酸エチルを用いて抽出し、希塩酸、飽和重曹水溶液、飽和食塩水の順で洗浄した。クロロホルムと酢酸エチルとの混合溶媒(1:1(容積比))を展開溶媒としてシリカゲルカラムで精製後、660mgの化合物(d)を得た。化合物(d)の収率は88%であり、mpは153℃〜154℃であった。
既述の方法により、NMR測定を行い、以下に示す結果を得た。
H NMR(CDCl、400MHz)、δ=8.70(s,1H),8.47(d,1H),8.41(d,1H),8.15(d,1H),7.98(d,1H),7.91(d,1H),7.78(t,1H),7.60−7.48(m,3H),7.05(t,1H).
〔実施例5〕
<化合物(e)の合成>
2−アミノピリジン(192mg、2.0mmol)とNaH(414mg、17mmol)を15mlのTHFに溶かし、50℃で20分撹拌した。2−ナフトエ酸エチル(0.35ml、2.0mmol)を加え、1時間還流した。酢酸エチルを用いて抽出し、希塩酸、飽和重曹水溶液、飽和食塩水の順で洗浄した。クロロホルムと酢酸エチルとの混合溶媒(1:1(容積比))を展開溶媒としてシリカゲルカラムで精製後、300mgの化合物(e)得た。化合物(e)の収率は60%であり、mpは88℃〜89℃であった。
既述の方法により、NMR測定を行い、以下に示す結果を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)、δ=9.10(d,1H),8.48−8.45(d,2H),8.24(t,1H),8.00−7.86(m,4H),7.76(t,1H),7.60−7.53(m,2H),7.06−7.02(t,1H).
〔実施例6〕
<化合物(f)の合成>
2−アミノピリジン(510mg、5.0mmol)とNaH(1.04g、40mmol)を20mlのTHFに溶かし、50℃で20分撹拌した。2−フランカルボン酸エチル(700mg、5.0mmol)を加え3時間還流した。酢酸エチルを用いて抽出し、希塩酸、飽和重曹水溶液、飽和食塩水の順で洗浄した。クロロホルムと酢酸エチルとの混合溶媒(1:1(容積比))を展開溶媒としてシリカゲルカラムで精製後、770mgの化合物(f)を得た。化合物(f)の収率は81%であり、mpは85℃〜86℃であった。
既述の方法により、NMR測定を行い、以下に示す結果を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)、δ=8.74(s,1H),8.32−8.30(d,2H),7.72(t,1H),7.52(s,1H),7.27−7.23(d,1H),7.06(t,1H),6.56(t,1H).
〔実施例7〕
<化合物(g)の合成>
2−アミノピリジン(291mg、3.0mmol)とNaH(577mg、24mmol)を20mlのTHFに溶かし、50℃で20分撹拌した。3−フランカルボン酸エチル(0.38ml、3.0mmol)を加え3時間還流した。酢酸エチルを用いて抽出し、希塩酸、飽和重曹水溶液、飽和食塩水の順で洗浄した。クロロホルムと酢酸エチルとの混合溶媒(1:1(容積比))を展開溶媒としてシリカゲルカラムで精製後、347mgの化合物(g)を得た。化合物(g)の収率は61%であり、mpは112℃〜113℃であった。
既述の方法により、NMR測定を行い、以下に示す結果を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)、δ=8.32−8.24(d,3H),8.07(s,1H),7.75−7.73(t,1H),7.49(s,1H),7.06−7.05(t,1H),6.75(d,1H).
〔実施例8〕
<化合物(h)の合成>
2−アミノキノリン(210mg、1.4mmol)とNaH(308mg、11.0mmol)を15mlのTHFに溶かし、50℃で20分撹拌した。安息香酸エチル(0.38ml、3.0mmol)を加え3時間還流した。酢酸エチルを用いて抽出し、希塩酸、飽和重曹水溶液、飽和食塩水の順で洗浄した。クロロホルムと酢酸エチルとの混合溶媒(1:1(容積比))を展開溶媒としてシリカゲルカラムで精製後、230mgの化合物(h)を得た。化合物(h)の収率は67%であり、mpは125℃〜126℃であった。
既述の方法により、NMR測定を行い、以下に示す結果を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)、δ=8.86(s,1H),8.58(d,1H),8.22(d,1H),7.98(d,2H),7.83−7.81(t,2H),7.69−7.65(t,1H),7.60−7.56(t,1H),7.52−7.44(m,3H).
〔実施例9〕
<化合物(i)の合成>
1−アミノイソキノリン(508mg、3.5mmol)とNaH(580mg、24mmol)を20mlのTHFに溶かし、50℃で20分撹拌した。安息香酸エチル(0.49ml、3.46mmol)を加え3時間還流した。酢酸エチルを用いて抽出し、希塩酸、飽和重曹水溶液、飽和食塩水の順で洗浄した。クロロホルムと酢酸エチルとの混合溶媒(1:1(容積比))を展開溶媒としてシリカゲルカラムで精製後、520mgの化合物顔(i)を得た。化合物(i)の収率は60%であり、mpは104℃〜105℃であった。
既述の方法により、NMR測定を行い、以下に示す結果を得た。
H NMR(CDCl、400MHz)、δ=9.02(s,1H),8.44(s,2H),7.80−7.40(m,8H),7.04(s,1H).
≪蛍光発光材料の中間体を用いた蛍光発光材料の合成≫
以下、既述の実施例1〜実施例9で得た蛍光発光材料の中間体を出発物質とした蛍光発光材料の合成について述べる。以下に示す蛍光発光材料は、その中間体と同様に、いずれも新規化合物である。
〔実施例10〕
<化合物(1)の合成>
実施例1で得られた化合物(a)(80mg,0.4mmol)とハロゲン化ホウ素であるボロントリフルオリドジエチルエーテレート(boron trifluoride diethyl etherate)(46%、0.41ml、0.5mmol)を5mlのベンゼンに溶解し1時間還流した。沈殿物を濾過し、ヘキサンとエチルアセテートを溶媒として用いて再結晶し、30mgの化合物(1)を得た。
得られた化合物(1)の収率30%。mpは149℃〜150℃であった。
既述の方法により、NMR測定を行い、以下に示す結果を得た。
H NMR(600MHz,acetone−d)、δ=8.50(br,1H),8.41(ddd,1H,J=8.4,7.4,1.8Hz),8.32(m,2H),7.70(m,1H),7.67(m,2H),7.57(m,2H)、13C NMR(151MHz,acetone−d),δ=168.1,158.0,150.2,136.5,134.9,132.7,132.0,130.5,129.6. HRMS(FAB−TOF)m/z calcd. for C1210BFO 247.0854[M+1],found 247.0867.
〔実施例11〕
<化合物(2)の合成>
実施例2で得た化合物(b)(500mg、2.5mmol)と、ボロントリフルオリドジエチルエーテレート(46%、0.63ml、2.3mmol)と、を15mlのベンゼンに溶解させ、1時間還流した。沈殿物を濾過し、CHClを用いて再結晶により60mgの化合物(2)を得た。化合物(2)の収率は9%であり、mpは252℃〜254℃であった。
既述の方法により、NMR測定を行い、以下に示す結果を得た。
H NMR(600MHz,acetone−d)、δ=9.15(dd,1H,J=4.6,166Hz),8.38(m,2H),8.29(dd,1H,J=8.5,4.6Hz),8.04(brd,1H,J=8.5Hz),7.73(m,1H),7.61(m,2H)、13C NMR(151MHz,acetone−d)、δ=168.1,158.0,150.1,136.5,134.9,132.7,132.0,130.5,129.6.HRMS(FAB−TOF) m/z calcd. for C11BFO 248.0807 [M+1],found 248.0842.
〔実施例12〕
<化合物(3)の合成>
実施例3で得た化合物(c)(100mg、0.32mmol)と、ボロントリフルオリドジエチルエーテレート(46%、0.13ml、0.5mmol)と、を5mlのベンゼンに溶解させ、1時間還流した。沈殿物を濾過し、CHClを用いて再結晶により30mgの化合物(3)を得た。
化合物(3)の収率は25%であり、mpは、141℃〜142℃であった。
既述の方法により、NMR測定を行い、以下に示す結果を得た。
H NMR(600MHz,acetone−d)、δ=9.32−9.35(m,2H),8.22(m,2H),7.96(m,1H),7.79(m,1H),7.66(m,2H).HRMS(FAB−TOF) m/z calcd.for C1210O 200.0824[M+1],found 200.0856.
〔実施例13〕
<化合物(4)の合成>
実施例4で得た化合物(d)(302mg、1.2mmol)とボロントリフルオリドジエチルエーテレート(0.30ml、2.4mmol)とを10mlのベンゼンに溶かし、室温で2時間撹拌した。溶液をろ過後、純水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。ベンゼンと酢酸エチルとの混合溶媒(3:1(容積比))を展開溶媒としたシリカゲルカラムで分離し、242mgの化合物(4)を得た。化合物(4)の収率は68%であり、mpは134℃〜135℃であった。

既述の方法により、NMR測定を行い、以下に示す結果を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)、δ=9.10(d,1H),8.41−8.56(d,2H),8.12(t,1H),8.04(d,1H),7.90(d,1H),7.70−7.50(m,4H),7.43(t,1H).
〔実施例14〕
<化合物(5)の合成>
実施例5で得た化合物(e)(580mg、3.0mmol)とボロントリフルオリドジエチルエーテレート(0.58ml、4.6mmol)とを20mlのベンゼンに溶かし、室温で2時間撹拌した。溶液をろ過後、純水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。ベンゼンと酢酸エチルとの混合溶媒(3:1(容積比))を展開溶媒としたシリカゲルカラムで分離し、150mgの化合物(5)を得た。化合物(5)の収率は22%であり、mpは223℃〜224℃であった。
既述の方法により、NMR測定を行い、以下に示す結果を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)、δ=8.92(s,1H),8.39−8.37(d,2H),8.11(t,1H),8.00(d,1H),7.90(t,2H),7.61−7.50(m,3H),7.40(t,1H).
〔実施例15〕
<化合物(6)の合成>
実施例6で得た化合物(f)(580mg、3.0mmol)とボロントリフルオリドジエチルエーテレート(0.76m、6.0mmol)とを20mlのベンゼンに溶かし、室温で2時間撹拌した。溶液をろ過後、純水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。ベンゼンと酢酸エチルとの混合溶媒(3:1(容積比))を展開溶媒としたシリカゲルカラムで分離し、360mgの化合物(6)を得た。化合物(6)の収率は50%であり、mpは165℃〜166℃であった。
既述の方法により、NMR測定を行い、以下に示す結果を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)δ=8.34(d,1H),8.07(t,1H),7.68(d,1H),7.55(d,1H),7.45(d,1H),7.38(t,1H),6.60(t,1H).
〔実施例16〕
<化合物(7)の合成>
実施例7で得た化合物(g)(277mg、2.0mmol)とボロントリフルオリドジエチルエーテレート(0.50ml、4.0mmol)とを20mlのベンゼンに溶かし、室温で2時間撹拌した。溶液をろ過後、純水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。ベンゼンと酢酸エチルとの混合溶媒(3:1(容積比))を展開溶媒としたシリカゲルカラムで分離し、460mgの化合物(7)を得た。化合物(7)の収率97%であり、mpは144℃〜145℃であった。
既述の方法により、NMR測定を行い、以下に示す結果を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)、δ=8.33−8.31(d,1H),8.23(s,1H),8.05(t,1H),7.47−7.41(d,2H),7.35(t,1H),6.93(d,1H).
〔実施例17〕
<化合物(8)の合成>
実施例8で得た化合物(h)(153mg、0.60mmol)とボロントリフルオリドジエチルエーテレート(0.15ml、1.2mmol)とを10mlのベンゼンに溶かし、室温で2時間撹拌した。溶液をろ過後、純水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。ベンゼンと酢酸エチルとの混合溶媒(3:1(容積比))を展開溶媒としたシリカゲルカラムで分離し、100mgの化合物(8)を得た。化合物(8)の収率は56%であり、mpは195℃〜196℃であった。
既述の方法により、NMR測定を行い、以下に示す結果を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)、δ=8.65−8.63(d,1H),8.44−8.37(m,3H),7.87−7.83(t,2H),7.64−7.60(t,1H),7.53−7.49(t,2H).
〔実施例18〕
<化合物(9)の合成>
実施例9で得た化合物(i)(320mg、1.7mmol)とボロントリフルオリドジエチルエーテレート(0.42ml、3.4mmol)とを15mlのベンゼンに溶かし、室温で2時間撹拌した。溶液をろ過後、純水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。ベンゼンと酢酸エチルとの混合溶媒(3:1(容積比))を展開溶媒としたシリカゲルカラムで分離し、360mgの化合物(9)を得た。化合物(9)の収率は72%であり、mpは195℃〜196℃であった。
既述の方法により、NMR測定を行い、以下に示す結果を得た。
H NMR(CDCl、400MHz)、δ=9.12(d,1H),8.53−8.51(d,2H),8.10(d,1H),7.94(t,1H),7.86(d,1H),7.81(t,1H),7.63−7.62(d,2H),7.55−7.51(t,2H).
≪評価≫
実施例10〜実施例18にて合成した蛍光発光材料(化合物(1)〜化合物(9))のそれぞれを含む溶液(クロロホルム)に対する蛍光の光物理特性(蛍光量子収率、蛍光寿命及び速度定数)を測定した。また、液体窒素温度:77Kにおけるエタノール中の蛍光発光材料のリン光スペクトルを測定した。
なお、上記のそれぞれの化合物を含む溶液を測定対象として用いた。
<各物性の測定方法>
(蛍光量子収率等の測定)
絶対PL光量子収率測定装置(C9920−02、浜松フォトニクス(株)製)を用いて、クロロホルム溶媒中における上記化合物の最大蛍光波長(λflu/nm)を測定した。絶対PL光量子収率測定装置を用いることで、信頼性の高い蛍光量子収率の値を得ることができる。
また、吸収スペクトルについては、紫外可視分光光度計(Ubest−50、JASCO社製)を用いて測定し、蛍光発光スペクトルについては、蛍光分光光度計(F−4010、日立社製)を用いて測定した。
化合物(1)〜化合物(3)のクロロホルム中での吸収スペクトル及び蛍光発光スペクトル、並びに77Kにおけるエタノール中のリン光スペクトルを図1に示し、化合物(4)〜化合物(6)のクロロホルム中での吸収スペクトル及び蛍光発光スペクトル、並びに77Kにおけるエタノール中のリン光スペクトルを図2に示し、化合物(7)〜化合物(9)のクロロホルム中での吸収スペクトル及び蛍光発光スペクトル、並びに77Kにおけるエタノール中のリン光スペクトルを図3に示す。図1、図2及び図3中、各化合物における吸収スペクトル(図中に「abs」と記載)を実線で示し、リン光スペクトル(図中に「phos」と記載)を破線で示し、蛍光スペクトル(図中に「flu」と記載)を一点破線で示す。
(蛍光寿命の測定)
小型蛍光寿命測定装置(C11367−01、浜松フォトニクス(株)製)を用いて、クロロホルム溶媒中における化合物(2)及び化合物(3)の蛍光寿命(τ)を測定し、上記で得られた蛍光量子収率(Φ)と蛍光寿命(τ)との関係から、速度定数(k)を算出した。蛍光量子収率、すなわち蛍光量子収率(Φ)とは、物質が吸収した光子のうち、蛍光として放出される光子の割合を表す。このため、蛍光量子収率が高いほど発光効率が良く、発光強度が強いことを示す。
また、蛍光寿命(τ)の値は分子固有の値を有し、速度定数の値(k)は蛍光量子収率(Φ)を蛍光寿命(τ)で除した値である。
各化合物を溶解した溶液に対する上記の物性の測定結果、及び、後述する固体粉末の最大蛍光波長及び蛍光量子収率(表1〜表2では「蛍光収率」と略記する)を、下記表1〜表2に示す。
(固体の最大蛍光波長及び蛍光量子収率の測定)
上記で得られた化合物(化合物(1)〜化合物(9))を、それぞれ固体粉末状の試料とし、該試料を上記の絶対PL光量子収率測定装置付属のガラスシャーレにそれぞれ投入し、該試料を入れたガラスシャーレを上記の絶対PL光量子収率測定装置に設置した後は、上記の各化合物を溶解した溶液に対する最大蛍光波長及び蛍光量子収率を測定した条件と同じ条件で、最大蛍光波長及び蛍光量子収率の測定を行った。その結果を図3、図4及び図5にグラフで示す。
表1〜表2及び図1〜図3に示される結果から、蛍光発光材料である化合物(2)〜化合物(9)は、クロロホルム溶媒中で、ある程度の蛍光量子収率を有した。また、図1に示されるように、これらの化合物は、クロロホルム溶媒中、380nm〜450nmという青色波長領域での蛍光発光を示した。
また、表1〜表2及び図4〜図6に示されるように、化合物(1)〜化合物(9)は、いずれも、固体粉末としての高い蛍光量子収率を有した。特に、実施例10で得た蛍光発光材料(化合物(1))は、クロロホルム溶媒中では蛍光発光は見られなかったが、固体粉末状態においては、非常に高レベルの蛍光量子収率の値を示し、目視で観察した場合にも、鮮やかな青色蛍光が確認された。
なお、固体粉末状態で高い蛍光発光を示した化合物(1)の蛍光発光材料の単結晶を、X線構造解析装置(RIGKAKU XtaLAB P200装置、(株)リガク製)を用いてX線構造解析したところ、図7に示すように、サンドイッチ ヘリングボーン パッキング、即ち、πスタッキングした二量体が、F−π相互作用と、CH−O相互作用と、により集積された構造を示した。その結果、規則性のある結晶構造が形成され、その結晶構造に起因して固体状態での強い蛍光発光が実現したと推定される。
上記実施例の結果より、本開示の蛍光発光材料は、有機発光素子等として有用なレベルの蛍光発光効率を有する蛍光発光性材料であることが示された。

Claims (5)

  1. 下記一般式(I)で表される蛍光発光材料。


    一般式(I)中、Arは、以下に示す構造から選ばれる1価の置換基を表し、Arは、以下に示す構造から選ばれる含窒素複素環基を表す。Mは、ハロゲン原子を表す。

    上記ArにおけるRは、水素原子、若しくは、アルキル基、アルコキシ基、及びシリル基から選ばれる1価の置換基を表す。
  2. 前記一般式(I)で表される蛍光発光材料は、下記化合物(1)、化合物(4)、化合物(5)、化合物(6)、化合物(8)及び化合物(9)から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1に記載の蛍光発光材料。


  3. 下記一般式(II)で表される、蛍光発光材料の中間体。


    一般式(II)中、Arは、以下に示す構造から選ばれる1価の置換基を表し、Arは、以下に示す構造から選ばれる含窒素複素環基を表す。

    上記ArにおけるRは、水素原子、若しくは、アルキル基、アルコキシ基、及びシリル基から選ばれる1価の置換基を表す。
  4. 下記一般式(II)で表される蛍光発光材料の中間体は、下記化合物(a)、化合物(d)、化合物(e)、化合物(f)、化合物(h)及び化合物(i)から選ばれる少なくとも1種を含む請求項3に記載の蛍光発光材料の中間体。

  5. 請求項1又は請求項2に記載の蛍光発光材料を含む有機発光素子。
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