JP2018149716A - 液体を吐出する液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および液体吐出ヘッドの製造方法 - Google Patents

液体を吐出する液体吐出ヘッド、液体吐出装置、および液体吐出ヘッドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 気泡の滞留を抑制しつつ、十分な接合領域を確保することができる支持部材を有する液体吐出ヘッドを提供する。【解決手段】 支持部材は、記録素子基板を支持する第1面に設けられた複数の第1開口と、第1面の反対側の面である第2面に設けられた第2開口とを連通し、記録素子基板に液体を供給する流路を備える。また、支持部材は、記録素子基板に接し、複数の第1開口の間に設けられた梁を備えており、この梁は、第1開口から第2開口に向かう流路の途中まで延びている。さらに、複数の第1開口の配設方向において、第2開口の長さは、1つの第1開口の長さよりも長く、複数の第1開口の長さと第1面における梁の長さとの合計よりも短い。【選択図】 図3

Description

本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッド、液体吐出装置、およびその製造方法に関するものである。
インク等の記録液体を吐出して記録媒体に記録を行う液体吐出ヘッド(インクジェット記録ヘッド、単に「ヘッド」とも称する)は、写真や文書、3次元構造体等を形成する手段として用いられている。画像記録の高密度化や高速化に対応するために、特許文献1には、記録を行うための素子を備える記録素子基板を支持する支持部材に、ヘッドの放熱を促進するための梁を設ける構成が記載されている。また、支持部材には記録素子基板に液体を供給するための供給部材が接合されており、この供給部材から支持部材に設けられた流路を介して記録素子基板に液体が供給される。
特開2007−276385号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたような梁を支持部材に設けると、支持部材に設けられた流路の断面積が小さくなるため、流路内に気泡が滞留し、この気泡によって記録素子基板への液体の供給が妨げられる懸念がある。特に、液体吐出装置本体の小型化やこれに伴うヘッドの小型化によって流路が一層細くなると、この気泡の滞留による液体の供給性の低下の恐れが高まる。
また、ヘッドの小型化に対応するために複数の流路同士の間隔を小さくすると、支持部材とこれに接合される供給部材との接合領域が十分に確保できず、接合が不十分となる恐れがある。特に、隣接する流路において異なる色の液体が流れるような構成で接合が不十分であると、混色が生じる恐れもある。
そこで、本発明は、気泡の滞留を抑制しつつ、十分な接合領域を確保することができる支持部材を有する液体吐出ヘッドを提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明の液体吐出ヘッドは、記録を行うための素子を備える記録素子基板と、前記記録素子基板に液体を供給するための供給部材と、前記記録素子基板を支持する第1面と、前記第1面の反対側の面である、前記供給部材の側の第2面と、を備え、前記第1面に設けられた複数の第1開口と前記第2面に設けられた第2開口とを連通し、前記記録素子基板に液体を供給する流路が形成された支持部材であって、前記記録素子基板に接し、前記複数の第1開口の間に設けられた梁を備えた前記支持部材と、を有する液体吐出ヘッドにおいて、前記梁は、前記第1開口から前記第2開口に向かう前記流路の途中まで延びており、前記複数の第1開口の配設方向において、前記第2開口の長さは、1つの前記第1開口の長さよりも長く、前記複数の第1開口の長さと前記第1面における前記梁の長さとの合計よりも短いことを特徴とする。
本発明によると、気泡の滞留を抑制しつつ、十分な接合領域を確保することができる支持部材を有する液体吐出ヘッドを提供することができる。
液体吐出ヘッドの斜視図である。 液体吐出ヘッドのA−A断面図である。 液体吐出ヘッドのA−A断面拡大図である。 液体吐出ヘッドのB−B断面図である。 支持部材を第1面および第2面から見た平面図である。 本発明を適用した実施例および比較例についての吐出後の吐出口列方向の温度分布を示すグラフである。
(液体吐出ヘッド)
図1は、本発明を適用可能な液体吐出ヘッド1を示す斜視図である。液体吐出ヘッド1は、記録を行うためのエネルギーを発生する記録素子17(図3)と、液体を吐出する吐出口9(図3)と、が設けられた記録素子基板2を有する。記録素子17としては、例えば熱エネルギーを発生する電気熱変換素子を用いることができる。また、液体吐出ヘッド1は、記録素子基板2を支持する支持部材5と、支持部材5に設けられた流路14(図2)を介して記録素子基板2に液体を供給するための液体供給部材4と、を有する。液体供給部材4には、インク等の液体を貯留するメインタンクからチューブ等が接続される導入口3と、導入口3から供給されたインクを貯留するサブタンクと、支持部材5に設けられた流路14へ液体を流すための流路16(図2)と、を有する。液体供給部材4は、例えば、樹脂材料を用いて射出成型によって形成することができる。
図2は、図1のA−A線に沿う部分断面図である。記録素子基板2と支持部材5とは、接着剤を介して接合されている。また、支持部材5と液体供給部材4とは接着剤6を介して接合されている。支持部材5の記録素子基板2側の面を第1面5aとも称し、第1面5aの反対側の面である、支持部材5の液体供給部材4側の面を第2面5bとも称する。液体吐出ヘッド1は複数の記録素子基板2を有している。これらの複数の記録素子基板2には、それぞれ異なる色の液体が液体供給部材4に設けられた導入口3から流路16を通って支持部材5の流路14を介して供給される。したがって、複数の記録素子基板2はそれぞれ異なる色の液体を吐出することができる。
図3は、図1のA−A線に沿う部分断面拡大図である。図3は、液体吐出ヘッド1の記録を行う姿勢、すなわちヘッドの使用状態における姿勢を示しており、図2とは上下方向が反対となっている。記録素子基板2は、液体を吐出する吐出口9が形成された吐出口プレート10と、記録素子17や供給口11が形成された基体12と、を有しており、矢印13の方向へ液滴を吐出する。本実施形態では、1つの供給口11に対してその両側にそれぞれ記録素子列が配置されている。記録素子列は複数の記録素子17がY方向に沿って配列されて構成されている。1つの記録素子基板2は2つの供給口11と4つの記録素子列とを有している。また、記録素子基板2は、各記録素子列にそれぞれ対応する吐出口列を有している。
また、本実施形態では、供給口11は、記録素子列に沿う方向における長さが、記録素子列に交差する方向における長さよりも長くなっている。
(支持部材)
図2〜図5を参照して、液体吐出ヘッド1を構成する支持部材5について説明する。図4は、図1や図2に示すB−B線における液体吐出ヘッド1の部分断面図である。図4(a)は支持部材5を有する液体吐出ヘッドを示し、図4(b)〜(d)は後述する支持部材51〜53をそれぞれ有する液体吐出ヘッドを示す。図5(a)は記録素子基板2側の面である第1面53aから支持部材53を見た平面図であり、図5(b)は液体供給部材4側の面である第2面53bから支持部材53を見た平面図である。なお、支持部材5と支持部材53とは後述の梁8が設けられる位置が異なるが、その他は同様の構成である。
支持部材5は、液体供給部材4から記録素子基板2へ液体を流すための流路部材でもあり、また、液体の吐出に伴って記録素子基板2に蓄積される熱を放出するための放熱部材でもある。放熱性を確保するため、支持部材5は、例えば酸化アルミニウム(Al)等の熱伝導率の高い材料で形成されることが好ましい。
図3に示すように、支持部材5には、液体供給部材4の流路16から供給された液体を記録素子基板2の供給口11へ流す流路14が設けられている。この流路14は、記録素子基板2側の面である支持部材5の第1面5aに設けられた第1開口22と、液体供給部材4側の面である第2面5bに設けられた第2開口21と、を連通している。
また、支持部材5には梁7が設けられており、梁7の記録素子基板2側の面と、記録素子基板2の支持部材5側の面の、隣接する供給口11の間の領域と、が接している。このように、記録素子基板2の供給口11の間の領域に対応するように梁7を設けることで、記録素子基板2の梁7を介した放熱が促進され、記録素子基板2の温度の上昇を抑制することができる。
また、図5(a)に示すように、梁7は、Y方向における第1開口22の両端部同士を接続するように、Y方向に延在している。したがって、第1開口22は、梁7によって複数の第1開口22a、22bに分割されている。言い換えると、梁7は隣接する複数の第1開口22a、22bの間に設けられている。
さらに、図3に示すように、梁7はZ方向において、液体供給部材4の側までは延在しておらず、第1面5aから流路14の途中まで延びた構成となっている。梁7をこのような構成とすることで、梁が第1開口22から第2開口21まで延びた構成と比べ、第2開口21の開口面積を確保しやすいため、梁7を設けつつ、気泡の滞留や液体の供給性の低下を抑制することができる。
以下、図3に示すように、第1開口22と第2開口21とを連通する流路14のうち、第1開口22a(または第1開口22b)から梁7が延びる部分を流路部14aとも称し、梁7が設けられていない部分を流路部14bとも称する。
また、図5(b)に示すように、支持部材5(53)には、梁7の延びるY方向に交差して(本実施形態では直交して)梁8が設けられている。梁8は、流路14の内壁と梁7の流路14に面する壁とを接続するように、X方向に延在している。また、梁8は、支持部材5の液体供給部材4側の面である第2面5bに設けられている。したがって、第2開口21は、梁8によって複数の第2開口21a、21b、22c、22dに分割されている。言い換えると、梁8は複数の第2開口21a〜21dのうち隣接する第2開口の間に設けられている。
さらに、図4(a)に示すように、梁8はZ方向において、記録素子基板2の側までは延在しておらず、第2面5bから流路14の途中まで延びた構成となっている。梁8をこのような構成とすることで、梁が第2開口21から第1開口22まで延びた構成と比べ、第1開口22の開口面積を確保しやすいため、梁8を設けつつ、気泡の滞留や液体の供給性の低下を抑制することができる。なお、この梁8を設けたことによる放熱効果については後に説明する。
また、互いに交差する方向に延在する梁7と梁8とを設ける場合に、本実施形態のように、梁7を支持部材5の第1面5aから流路14の途中まで延びた構成とし、梁8を支持部材5の第2面5bから流路14の途中まで延びた構成とすることが好ましい。これは、互いに対向する面からそれぞれの梁が流路14の途中まで延びる構成とすることで、第1開口22の開口面積および第2開口21の開口面積を確保しやすくなり、液体の供給性の低下を抑制することができるためである。
ここで、第1開口22および第2開口21の形状について説明する。図5(a)示すように、第1開口22(22a、22b)は、上述した記録素子基板2の供給口11と同様に、記録素子列に沿う方向(Y方向)における長さが交差方向(本実施形態ではY方向に直交するX方向)よりも長くなっている。また、図5(b)に示すように、第2開口21も、記録素子列に沿う方向(Y方向)における長さが交差方向(X方向)よりも長くなっている。さらに、梁8によって分割された複数の第2開口21a〜21dについてもY方向における長さがX方向における長さが長くなっている。
ところで、記録を行った際に発生した気泡15や吸引回復時に液体供給部材4の側から流れてきた気泡15が、第1開口22付近に滞留してしまうと、液体の供給の妨げになる恐れがある。特に、記録素子基板2内の温度分布を小さくするために支持部材5への放熱を促進するために梁7や梁8を設けた場合、流路14の断面積が小さくなるため、第1開口22近傍における気泡15の滞留を抑えることが求められる。
そこで、本実施形態では、以下のような流路14の幅の寸法としている。ここで、幅とは、図3に示すX方向における長さのことをいう。なお、本実施形態では、X方向は複数の第1開口22a、22bの配設方向である。図3に示すように、ヘッド1の使用状態において上方に位置する第2開口21の幅Eは、1つの第1開口22a(22b)の幅Cよりも大きい。また、第1開口22a(22b)の幅Cよりも流路14の途中の幅Fの方が大きい。ここで、上述したように梁7は第1面5aから流路14の途中まで延びた構成であるので、支持部材5に梁7を設けつつ、流路14の途中の幅Fを十分に大きくすることができる。
これにより、気泡15はヘッドの使用状態における上方、すなわち、第2開口21の側へ移動し、支持部材5の流路14よりも体積の大きい液室が設けられた液体供給部材4に移動することができる。
さらに、流路14のうちの、第1開口22a(または第1開口22b)から梁7が延びる部分までである流路部14aにおいて、第1開口22a(22b)の幅が最も小さくなるように構成されることが好ましい。すなわち、流路部14aの幅が第1開口22a(22b)の幅と略同じかそれ以上であることが好ましい。
このような構成を有する流路14内の気泡15の移動について、以下で説明する。第1開口22a(22b)はY方向における長さよりもX方向における長さの方が短い。したがって、第1開口22近傍に位置する気泡15の最大の直径を第1開口22のX方向における長さである幅Cと同程度と想定することができる。流路部14aの第1開口22近傍で梁7と流路14の内壁との間隔が略一定(C)であると、第1開口22近傍に位置する気泡15の上側と下側とで表面張力は同等であるが、気泡15にかかる浮力によって、気泡15は第2開口21の側へ向かって移動する。さらに、流路14のうちの梁7が設けられていない流路部14bの幅は第1開口22aにおける幅Cよりも大きいため、表面張力は常に上面<下面となる。したがって、気泡15が第1開口22の近傍から第2開口21へと移動するため、気泡15の第1開口22近傍での滞留をより抑制することができる。
なお、支持部材5を形成する際に、例えばCIM(セラミックインジェクションモールド)で製造する場合などでは、型から成形された部材を取り外しやすいように、数度程度の傾斜をつけて部材を成形することがある。この傾斜があると流路14(流路部14a)において第1開口22aの幅Cが最小とならない場合もあるが、この傾斜は気泡15の上面と下面とにおける表面張力の差が浮力より大きくならない程度であればよい。これにより、浮力によって気泡15は第2開口21の側へ移動することができる。また、このような数度程度の傾斜を有している場合も、流路部14aの幅は第1開口22a(22b)の幅と略同じであるとみなすことができる。
また、支持部材5の第2開口21の幅Eは、第1開口22aの幅C、第1開口22bの幅C、および第1面5aにおける梁7の幅Dの合計よりも小さい(すなわち、E<2C+D)。これにより、液体供給部材4と接合される支持部材5側の接着剤6の塗布領域を十分に確保することができる。したがって、支持部材5の、液体供給部材4との接合領域を十分確保でき、隣接する流路14間での混色等の発生を抑制することができる。なお、接着剤6に限らず、ゴム等のシール部材で液体供給部材4と支持部材5とを接合する場合にも、シール部材を設けるために必要な領域を確保することができる。
なお、上述したように梁7が第2面5bの側まで延在せず、第1面5aから流路14の途中まで延びた構成であると、梁7を設けつつ、支持部材5の第2開口21の幅Eが大きくならない構成(E<2C+D)をとりやすい。
また、流路14との連通部に段差が生じないように、第2開口21との連通部における液体供給部材4の流路16の幅も第2開口の幅Eと略同じとなっている。これにより、液体供給部材4の、支持部材5との接合領域を十分に確保することができる。さらに、液体供給部材4の成形に十分な厚みを確保することが可能になる。
(支持部材の放熱効果)
以下、気泡の滞留や接合領域の確保に加えて、液体吐出ヘッド1の温度分布を良好にするための梁8を設ける位置等についての好ましい例について説明する。なお、本発明は上述したような梁7が設けられていればよく、必ずしも梁8を設けることが必須ではない。
図4は、図1や図2に示すB−B線における液体吐出ヘッド1の部分断面図である。図4(a)は支持部材5を有する液体吐出ヘッド1を示し、図4(b)〜(d)は支持部材51〜53をそれぞれ有する液体吐出ヘッドを示す。図4(b)〜(d)の液体吐吐出ヘッドは、梁8の位置や数が異なる支持部材を有しているが、その他の構成は上述した液体吐出ヘッド1と同様である。
図4(a)に示す支持部材5には、1つの流路14に対して3つの梁8がY方向に略等間隔に配置されている。図4(b)に示す支持部材51には、1つの流路14に対して7つの梁8がY方向に略等間隔に配置されている。図4(c)に示す支持部材52には、1つの流路14に対して2つの梁8が第2開口21のY方向における両端の近傍に配置されている。図4(d)に示す支持部材53には、図4(c)に示した支持部材52に設けられた2つの梁8に加えてY方向における中央部に梁8が配置されている。
図4(a)を実施例1、(b)を実施例2、(c)を実施例3、(d)を実施例4、図4(a)の支持部材5から梁8を無くし梁7のみが設けられた構成を実施例5として、各支持部材の放熱の効果を検証した。具体的には、駆動周波数15KHzとして1列分の吐出口(1280個)から一定時間連続吐出を行い、その直後の記録素子基板2の温度を測定してY方向における温度分布を調べた。
また、比較例1として特許文献1に記載されたような梁7や梁8を有していない支持部材、比較例2として梁7を有しておらずY方向における中央部に位置する2つの梁8を有している支持部材をそれぞれ備えた液体吐出ヘッドを用いて同様に温度分布を調べた。
これらの測定結果を図6(a)および(b)に示す。
なお、ヘッドを高速に駆動しつつ高画質の記録を行うためには、吐出後の温度が全体的に低く、また、吐出口列方向における温度のばらつき(温度分布)が小さいことが好ましい。温度が低い方が放熱のための待機時間を短くできるため、より高速な記録が可能となるからである。また、吐出口列方向における中央部と端部とで温度差が小さい方が液体の吐出量が揃いやすいため、より高画質な記録が可能となるからである。
まず、各支持部材を有する液体吐出ヘッドに共通する温度分布の傾向について説明する。
図6(a)、(b)に示すように、各支持部材を有する液体吐出ヘッドはいずれも吐出口列方向(Y方向)における両端部において温度が低くなっていた。これは、両端部は放熱部材である支持部材と接触している面積が広いためと考えられる。
また、各支持部材を有する液体吐出ヘッドは、いずれもY方向の中央部において温度が低くなっていた。これは以下に記すように、流路14における速度分布の影響が考えられる。
上記の温度測定にあたっては、記録素子基板2への液体供給の際に、Y方向における中央部の流速が他の部分と比べて速い傾向にある液体吐出ヘッドを用いた。図4(a)に示すように、Y方向における両端に位置する流路14の内壁は、第2開口21側から第1開口22側へ向かって流路14の断面積が大きくなるように傾斜する傾斜部14cを備えている。流路14がこのような傾斜部14cを有する場合、Y方向の端部では液体と流路の内壁と摩擦によって液体の流れが遅くなり、中央部における流速が相対的に速い速度分布が生じると考えられる。液体の流れる速度が速い中央部では、液体の流れによる冷却の効果が他の部分と比べて大きく、中央部において温度が低くなったものと考えられる。なお、この速度分布は記録を高速化すると大きくなる傾向にある。
そして、各支持部材を有する液体吐出ヘッドのいずれも、温度の低い中央部と端部との間で温度が高くなるという温度分布を示した。
次に、各支持部材を用いた場合のそれぞれの温度分布について比較する。
まず、比較例1の支持部材を有する液体吐出ヘッドは、梁7および梁8が設けられていないため、到達温度が高く、また、Y方向における温度分布が大きく、得られた画像もムラが大きかった。これに対し、実施例5の梁7のみが設けられた支持部材や比較例2の梁8のみが設けられた支持部材を有する液体吐出ヘッドは、梁7または梁8を設けたことによって到達温度が低くなった。さらに、実施例1〜4の梁7および梁8が設けられた支持部材を有する液体吐出ヘッドは、到達温度が一層低くなった。
このように、到達温度を低くするためには、梁7および梁8の一方を支持部材に設けることが好ましく、梁7および梁8の両方を支持部材に設けることがより好ましいことがわかった。
さらに、梁7および梁8が設けられた支持部材を有する液体吐出ヘッドの温度分布を比べると以下のことがわかった。実施例1の支持部材5と実施例2の支持部材51とを比較すると、実施例2の支持部材51は、梁8の数が多いため到達温度が低いが、温度分布が大きかった(図6(a))。高速化の観点においては梁8の数が多いと有利であるが、高画質化の観点からは温度分布が小さくなった支持部材5の方が好ましい。
また、梁8がY方向に略等間隔に配置された支持部材を有する実施例1(や実施例2)と比べ、梁8が第2開口21の両端縁部の近傍に配置された支持部材52や支持部材53を有する実施例3や実施例4の方が、温度分布が小さかった(図6(b))。上述のように流路14はY方向における両端においてその内壁が傾斜する傾斜部14cを備えているため、特に第1開口21の近傍で液体の流れが遅くなったと考えられる。これに対し、第2開口21の両端縁部の近傍にそれぞれ配置された梁8は、第1開口22の両端に近接している。これにより、液体の流れによる冷却効果の低い部分において梁8によって放熱が促進されたため、支持部材52や53を有するヘッドの温度分布が小さくなったと考えられる。実施例3と実施例4とを比べると、梁8がY方向における中央部に設けられていない支持部材52を用いた実施例3の方が中央部における温度低下を抑えられており、温度分布が一層小さくなっていた。
このように、Y方向における液体吐出ヘッドの温度分布を小さくするためには、第2開口21の両端縁部近傍に梁8を設けることが好ましい。特に、流路14のY方向における端部よりも中央部の方が流速の速い速度分布の傾向を示す液体吐出ヘッドにおいて、第2開口21の両端縁部近傍に梁8を設けることが好ましい。この際、図4(d)に示すように、第2開口21とこの近傍に位置する梁8(8a)との間隔aを、隣接する梁8(梁8aと梁8b)同士の間隔bよりも小さくすることがより好ましい。また、上述のように気泡の滞留を抑えるためには、間隔aを流路部14のうちの最も小さい流路幅である幅Cと略同じかそれ以上とすることがより好ましい。
(支持部材の製造)
なお、酸化アルミニウムを用いて支持部材を形成する場合、例えば、酸化アルミニウムの切削や上述したCIMにより支持部材を形成することができるが、CIMの方が切削よりもコストを低く抑えられる。上述したように温度分布の観点からは支持部材53よりも支持部材52の方が好ましいが、CIMを用いて支持部材を形成する場合、支持部材53の方が支持部材52よりも好ましい。
これは、梁7が第1面5aから第2面5bまで延在しておらず第1面5aから流路14の途中まで延びた構成であり、梁7の断面積が非常に小さいため、梁7の部分を射出成型で形成することが困難であるためである。ここで、梁8のYZ平面に沿う断面積は、梁7のXZ平面に沿う断面積よりも大きい。そのため、図5(a)に示すようにゲート30を4か所配置した場合、ゲート30から供給された材料が、梁8となる部分からX方向に流れて梁7となる部分に充填されてY方向に材料が流れて梁7が形成される。したがって、成形のしやすさを考慮すると、相対的に断面積の小さい梁7に加えて相対的に断面積の大きい梁8を設ける構成が好ましく、複数の梁8を設けることがより好ましい。ここで、複数の梁8を設ける位置に関しては、図4(c)に示した支持部材52のように、隣接する梁8同士の間隔が大きく離れて位置していると、梁8から流れた材料が十分に供給されず、Y方向に長い梁7の形成が困難な場合がある。したがって、より成形性を高めるためには、支持部材5(図4(a))や支持部材53(図4(d))のように、梁7に交差する複数の梁8が梁7の長手方向に互いに近接して設けられている構成がより好ましい。
1 液体吐出ヘッド
2 記録素子基板
4 液体供給部材
5 支持部材
5a 第1面
5b 第2面
7 梁
14 流路
21 第2開口
22 第1開口

Claims (14)

  1. 記録を行うための素子を備える記録素子基板と、
    前記記録素子基板に液体を供給するための供給部材と、
    前記記録素子基板を支持する第1面と、前記第1面の反対側の面である、前記供給部材の側の第2面と、を備え、前記第1面に設けられた複数の第1開口と前記第2面に設けられた第2開口とを連通し、前記記録素子基板に液体を供給する流路が形成された支持部材であって、前記記録素子基板に接し、前記複数の第1開口の間に設けられた梁を備えた前記支持部材と、
    を有する液体吐出ヘッドにおいて、
    前記梁は、前記第1開口から前記第2開口に向かう前記流路の途中まで延びており、
    前記複数の第1開口の配設方向において、前記第2開口の長さは、1つの前記第1開口の長さよりも長く、前記複数の第1開口の長さと前記第1面における前記梁の長さとの合計よりも短いことを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記流路うちの、1つの前記第1開口から前記梁が延びる部分までである流路部の、前記配設方向における長さは、前記配設方向における前記1つの第1開口の長さと略同じまたは当該第1開口の長さよりも長い、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記支持部材は、前記流路を構成する内壁と前記梁の前記流路に面する壁とを前記配設方向に接続する、複数の、前記梁とは別の梁を備える、請求項1または請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記別の梁は、前記第2開口から前記第1開口に向かう前記流路の途中まで延びている、請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
  5. 前記第2開口は前記配設方向よりも前記配設方向に交差する方向における長さが長く、前記複数の別の梁のうちの少なくとも一つは、前記交差する方向における前記第2開口の縁部の近傍に設けられている、請求項3または請求項4に記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記第2開口の縁部と前記縁部の近傍に設けられた前記別の梁との間隔は、前記配設方向における1つの前記第1開口の長さと略同じまたは当該第1開口の長さよりも長い、請求項5に記載の液体吐出ヘッド。
  7. 前記第2開口の縁部と前記縁部の近傍に設けられた前記別の梁との間隔は、隣接する前記複数の別の梁の間の間隔よりも短い、請求項5または請求項6に記載の液体吐出ヘッド。
  8. 隣接する前記複数の別の梁が略等間隔に設けられている、請求項3乃至請求項6のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  9. 前記記録素子基板は、前記複数の第1開口の配設方向に交差して配設された複数の前記素子を備えている、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  10. 前記記録素子基板は異なる素子に液体を供給するための複数の供給口を備え、
    前記複数の供給口のそれぞれに前記第1開口が連通する、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  11. 前記供給部材は樹脂材料で形成されている、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  12. 前記支持部材は酸化アルミニウムで形成されている、請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッド。
  13. 請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドを用いて液体を吐出する液体吐出装置。
  14. 請求項3乃至請求項8のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法において、
    前記配設方向における前記梁の断面積は、前記配設方向に交差する方向における前記別の梁の断面積よりも小さく、
    前記別の梁となる部分から前記梁となる部分へ材料を供給して前記梁を形成する、液体吐出ヘッドの製造方法。
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