JP2018148287A - カナル型イヤホン - Google Patents

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Abstract

【課題】音源定位感の向上と臨場感の向上を図る。
【解決手段】カナル型イヤホン10は、ステレオ信号のうちの第1音声信号を第1音波に変換する第1ドライバユニット30と、第2音声信号を、前記第1音波と同位相及び同振幅の第2音波に変換する第2ドライバユニット40と、遅延パイプ50と、ハウジング20と、前記ハウジング20に装着されたイヤピース60と、を備えている。遅延パイプ50は、所定のパイプ長を有し、第2ドライバユニット40で変換された第2音波を遅延させてこの位相を遅れさせる。ハウジング20は、第1、第2ドライバユニット30,40及び遅延パイプ50を収容し、前記変換された第1音波と前記位相が遅れた第2音波とを合成して合成音を再生し、開口部から放出する。
【選択図】図1

Description

本発明は、クロスフィールド(crossfeed)機能によって頭内定位を改善したカナル型イヤホンに関するものである。
特許文献1には、放音部を外耳道入口に挿入して用いるカナル型イヤホンが記載されている。このカナル型イヤホンでは、電気音響変換器であるドライバユニットから発生する音波を、外耳道入口に伝達する導音部として、経路長の異なる独立した2つの導音管を有している。そして、ドライバユニットから発生し、2つの導音管を通過した2つの音波が、聴取者の外耳道入口で合成され、その2つの導音管の経路差を2分1波長とする周波数の音圧を抑制するようになっている。このような構成により、両端閉管共振による望ましくない周波数における音圧ピークを抑制しながら、音域全体の音量の低下を防止でき、イヤホンを装着しない場合と遜色の無い音質を実現できるという効果がある。
しかし、特許文献1のカナル型イヤホンでは、経路長の異なる2つの導音管を、外耳道入り口に挿入できる太さの中に収めないといけないので、1つの導音管の断面積が小さくなり、その結果、空気の粘性抵抗で高域が減衰するという問題があった。
そこで、その問題を解決するために、特許文献2に記載されたカナル型イヤホンでは、2つ以上の電気音響変換器であるドライバユニットと、このドライバユニットのそれぞれに付随し、おのおの経路長の異なる導音管と、を備えている。そして、2つ以上のドライバユニットから同じ位相で発生し、それぞれの導音管を通過した音波が外耳道入口で合成され、その2つ以上の導音管の間の経路差を2分1波長とする周波数の音圧を抑制するようになっている。このような構成により、両端閉管共振による望ましくない周波数における音圧ピークを抑制しながら、音域全体の音量の低下を防止し、イヤホンを装着しない場合と遜色の無い音圧−周波数特性等を実現できるという効果がある。
特許第4681698号公報 特許第4953490号公報
しかしながら、特許文献1、2のカナル型イヤホンを含めたイヤホン及びヘッドホンの音声再生全般の課題として、スピーカの音声再生と比較して、音場が頭の中にできる頭内定位のため、自然環境と比較して不自然であり、臨場感のある再生音を得ることが困難であった。以下、この課題について詳細に説明する。
図26は、聴取者の耳による音源の知覚を説明する図である。
自然界の音(つまり音源)1は、1点から発生して聴取者2の左耳2L及び右耳2Rの両耳2L,2Rに届く。この時、両耳2L,2Rには、耳介や頭部・身体等の影響を受け、左耳2Lと右耳2Rとに異なる周波数特性(音色)の音が届く。又、音源1の方向により、到達時間差τが生じる。聴取者2は、それらの情報を基に、音源1の方向・距離等を判断しているものと思われる。
聴取者2の周りに音源1を移動させたときの両耳2L,2Rの音圧差Δpと位相差Δφを考える。
例えば、公知文献(富士通テン技報、Vol.2,No.2(1984年)、藤田・若松・加藤・本島・長野著「側方スピーカを付加したステレオ音場の解析」p.47、図6「実音源によるΔp−Δφ」)に記載されているように、500Hzの音源1を、聴取者2を中心とする半円上に移動させた場合、聴取者2の左耳2L及び右耳2Rの音圧差Δpと位相差Δφは、次のようになる。即ち、音圧差Δpがプラスの領域は、右耳2Rの音圧が高く、位相差Δφがプラスの領域は、右耳2Rの位相が進んでいる。例えば、聴取者2から見て、正面から右30°の音源位置では、右耳2Rの音圧が4dB高く、位相が0.4π進んでいる。
図27は、スピーカを使ったステレオ音源の再生を示す図である。
ステレオ音源の再生では、前方の左側スピーカ3L及び右側スピーカ3Rから、音が両耳2L,2Rに再生されるよう音圧差・位相差をつけた音を送り出し、図27に近似するような、所望の音場を形成している。この時、右耳2Rには、右側スピーカ3Rからの直接音Rと左側スピーカ3Lからの遅延音Laが届き、左耳2Lには、左側スピーカ3Lからの直接音Lと右側スピーカ3Rからの遅延音Raが届いている。
図28は、ヘッドホンによるステレオ音源の再生を示す図である。
ヘッドホン再生の音源としては、通常、図27の再生を前提とした音源が流用されている。そして、ヘッドホン再生では、図28のように、両耳2L,2Rの近くに左側スピーカ3L及び右側スピーカ3Rが置かれる。この時、右耳2Rには右側スピーカ3Rからの直接音R、左耳2Lには左側スピーカ3Lからの直接音Lが届いている。
この聴取条件では、遅延音La,Raの再生が望めないため、図27のような音場は形成されない。同じく、図26のような自然界の音の聴取条件とも異なるため、聴取者2の脳が混乱し、頭の中に音源がある、いわゆる頭内定位現象を生じる。この頭内定位現象が、ヘッドホン・イヤホン聴取時の音質悪化の一因となっている。
例えば、従来の特許文献1、2のカナル型イヤホンでは、スピーカ再生を前提とした音源を使いながら、直接音L,Rだけを再生していて、遅延音La,Raの再生を考慮していないので、頭内定位現象による品質悪化の課題がある。
これらを解決するために、従来、例えば、デジタル・シグナル・プロセッサ(以下「DSP」という。)を使って頭内定位を改善する提案がされているが、信頼性の高いものが実現されていない。又、DSPを使ったものは、電子回路を使用するため、構造が複雑で、高価であり、普及の妨げにもなっている。
本発明の目的は、音響回路で遅延回路を作り、パッシブ型で、遅延音La,Raを再生することで、従来のカナル型イヤホンの音質を改善しようとするものである。
本発明のカナル型イヤホンは、左右一対の第1音声信号及び第2音声信号を有するステレオ信号のうちの前記第1音声信号を入力して第1音波に変換する第1ドライバユニットと、前記第2音声信号を入力して前記第1音波と同位相及び同振幅の第2音波に変換する第2ドライバユニットと、遅延パイプと、ハウジングと、外耳道挿入用のイヤピースと、を備えることを特徴とする。
ここで、前記遅延パイプは、音源から聴取者の左耳と右耳とに到来する音波の到達距離差に基づいて設定されたパイプ長を有し、前記第2ドライバユニットで変換された前記第2音波を導入し、前記パイプ長により前記第2音波を遅延させて、前記第2音波の位相を所定時間遅れさせるものである。前記ハウジングは、前記第1ドライバユニット、前記第2ドライバユニット、及び前記遅延パイプが収容され、前記第1ドライバユニットで変換された前記第1音波と前記遅延パイプで位相が遅れた前記第2音波とを合成して合成音を再生し、前記合成音を開口部から放出するものである。更に、前記イヤピースは、前記ハウジングの前記開口部に装着され、前記ハウジングから放出された前記合成音を外耳道へ導くものである。
本発明のカナル型イヤホンによれば、第1音声信号及び第2音声信号を有するステレオ音声信号のうちの、第1音声信号を第1ドライユニットに加え、第2音声信号を第2ドライバユニットに加え、遅延パイプによって遅延音を作り、第1ドライバユニットから放出される直接音と、その遅延音と、を合成して音声信号を再生するようにしている。特に、従来のカナル型イヤホンでは再生されていない遅延音を加えることで、頭内定位感の軽減、広い音場感、及び立体感を得ることができる。これにより、音源定位感の向上と臨場感の向上が図れる。更に、構造が簡単であるため、信頼性の高い再生機能と低コスト化が可能になる。
本発明の実施例1におけるカナル型イヤホンの原理を示す概略の構成図 図1中の右耳用イヤホン10Rの斜視図 図2の側面図 図3のI−I線拡大断面図 図3のII−II線拡大断面図 図2の左側面視の分解斜視図 図2の右側面視の分解斜視図 図1中の遅延パイプ長の検討を示す図 図8の遅延距離を示す図 図8の遅延距離の算出例を示す図 図10の遅延距離の算出結果を示す図 図1(b)の動作波形図 図12のベクトル表示を示す図 遅延パイプ長のシミュレーション条件を示す図 遅延パイプ長のシミュレーション波形を示す図 遅延パイプ長の計算例を示す図 遅延パイプ長が220mmの実験結果を示す波形図 遅延パイプ長が220mmの他の実験結果を示す波形図 遅延パイプ長が220mmの他の実験結果を示す波形図 実験用イヤホンモデル1の周波数特性を示す波形図 図18中の一部の周波数特性を示す波形図 図19の差の周波数特性を示す波形図 遅延パイプ長が100mmの実験結果を示す波形図 実験用イヤホンモデル2の周波数特性を示す波形図 図22中の一部の周波数特性を示す波形図 図23の差の周波数特性を示す波形図 効果確認用の回路基板を示す概略の回路図 聴取者の耳による音源の知覚を説明する図 スピーカを使ったステレオ音源の再生を示す図 ヘッドホンによるステレオ音源の再生を示す図
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
(実施例1の原理)
図1(a)、(b)は、本発明の実施例1におけるカナル型イヤホンの原理を示す概略の構成図であり、同図(a)は全体の構成図、及び同図(b)は左耳用イヤホンの等価回路図である。
このカナル型イヤホン10は、左右一対の第1イヤホン(例えば、左耳用イヤホン)10L及び第2イヤホン(例えば、右耳用イヤホン)10Rを備えている。左耳用イヤホン10L及び右耳用イヤホン10Rには、ステレオ音声信号である一対の第1音声信号(例えば、左耳用音声信号)SL及び第2音声信号(例えば、右耳用音声信号)SRを入力するプラグ付きコード11が接続されている。左耳用イヤホン10Lと右耳用イヤホン10Rとは、入力される左耳用音声信号SLと右耳用音声信号SRとの結線状態が異なるのみであり、同一の部品で構成されているので、それらの構成部品には同一の符号を付している。
左耳用イヤホン10Lは、構成部品を収容するための筐体であるハウジング20を有している。ハウジング20内には、第1ドライバユニット(例えば、耳側前方のフロントドライバユニット)30と、第2ドライバユニット(例えば、後方のリヤドライバユニット)40と、そのリヤドライバユニット40及びフロントドライバユニット30間に連結された遅延パイプ40と、が収容されている。フロントドライバユニット30の前方側には、ハウジング20から突出して外耳道挿入用のイヤピース60が装着されている。
フロントドライバユニット30は、コード11から左耳用音声信号SLを入力して第1音波(例えば、左耳用の直接音)Lに変換する電気音響変換器である。リヤドライバユニット40は、コード11から右耳用音声信号SRを入力して左耳用直接音Lと同位相及び同振幅の第2音波(例えば、左耳用の直接音)Rに変換する電気音響変換器である。遅延パイプ50は、リヤドライバユニット40で変換された左耳用の直接音Rを導入し、この直接音Rを遅延させることにより該直接音Rの位相を遅れさせて左耳用の遅延音Raを生成するものであり、所定の長さHを有している。
これらのフロントドライバユニット30、リヤドライバユニット40、及び遅延パイプ50を収容するハウジング20は、フロントドライバユニット30で変換された左耳用の直接音Lと、遅延パイプ50で位相が遅れた左耳用の遅延音Raと、を合成して左耳用の合成音(L+Ra)を再生し、開口部(例えば、導音管)から放出する機能を有している。又、イヤピース60は、ハウジング20の導音管に装着され、そのハウジング20から放出された合成音(L+Ra)を聴取者2の左耳2Lの外耳道へ導くものである。
右耳用イヤホン10Rは、左耳用イヤホン10Lと同一の構成であるが、その構成部品の機能が左耳用イヤホン10Lと少し異なっている。
即ち、右耳用イヤホン10Rにおいて、フロントドライバユニット30は、コード11から右耳用音声信号SRを入力して第1音波(例えば、右耳用の直接音)Rに変換する電気音響変換器である。リヤドライバユニット40は、コード11から左耳用音声信号SLを入力して右耳用直接音Rと同位相及び同振幅の第2音波(例えば、右耳用の直接音)Lに変換する電気音響変換器である。遅延パイプ50は、リヤドライバユニット40で変換された右耳用の直接音Lを導入し、この直接音Lを遅延させることにより該直接音Lの位相を遅れさせて右耳用の遅延音Laを生成するものであり、所定の長さHを有している。
これらのフロントドライバユニット30、リヤドライバユニット40、及び遅延パイプ50を収容するハウジング20は、フロントドライバユニット30で変換された右耳用の直接音Rと、遅延パイプ50で位相が遅れた右耳用の遅延音Laと、を合成して右耳用の合成音(R+La)を再生し、導音管から放出する機能を有している。又、イヤピース60は、ハウジング20の導音管から放出された合成音(R+La)を聴取者2の右耳2Rの外耳道へ導くものである。
このように構成されるカナル型イヤホン10の原理は、次の通りである。
左耳用イヤホン10Lでは、コード11から送られてくる左耳用音声信号SL及び右耳用音声信号SRを入力する。入力された左耳用音声信号SLは、フロントドライバユニット30によって左耳用の直接音Lに変換される。更に、入力された右耳用音声信号SRは、リヤドライバユニット40により、直接音Lと同位相及び同振幅の左耳用の直接音Rに変換される。変換された直接音Rは、遅延パイプ50によって遅延されて位相が遅れた左耳用の遅延音Raに変換される。ハウジング20内において、変換された左耳用直接音Lと左耳用遅延音Raとが合成され、左耳用合成音(L+Ra)が再生される。再生された左耳用合成音(L+Ra)は、ハウジング20の導音管を経由して、左耳用のイヤピース60から聴取者2の左耳2Lの外耳道へ導かれる。
同様に、右耳用イヤホン10Rでは、コード11から送られてくる左耳用音声信号SL及び右耳用音声信号SRを入力する。入力された右耳用音声信号SRは、フロントドライバユニット30によって右耳用の直接音Rに変換される。更に、入力された左耳用音声信号SLは、リヤドライバユニット40により、直接音Rと同位相及び同振幅の右耳用の直接音Lに変換される。変換された直接音Lは、遅延パイプ50によって遅延されて位相が遅れた右耳用の遅延音Laに変換される。ハウジング20内において、変換された右耳用直接音Rと右耳用遅延音Laとが合成され、右耳用合成音(R+La)が再生される。再生された右耳用合成音(R+La)は、ハウジング20の導音管を経由して、右耳用のイヤピース60から右耳2Rの外耳道へ導かれる。
本実施例1のカナル型イヤホン10では、従来のカナル型イヤホンでは再生されていない遅延音La,Raを直接音L,Rに加えることで、頭内定位感が軽減されて広い音場感と立体感が得られる。これにより、音源定位感の向上と臨場感の向上が図れる。
(実施例1の構成)
図2は図1中の右耳用イヤホン10Rの斜視図、図3は図2の側面図、図4は図3のI−I線拡大断面図、図5は図3のII−II線拡大断面図、図6は図2の左側面視の分解斜視図、及び、図7は図2の右側面視の分解斜視図である。
図1の左側イヤホン10Lは、右側イヤホン10Lと同一の構成である。
図2及び図3中の矢印Xはイヤホン10Rの軸方向、矢印Yは矢印Xの垂直方向、及び、矢印Zは矢印Xに対する直交方向を示している。
図2及び図3に示す右耳用イヤホン10Rにおいて、部品収容用のハウジング20は、円筒状のメインハウジング21を有し、このメインハウジング21の外周面の一部に、箱形のコード引き出し部21aが突設されている。メインハウジング21の前方側には、フロントハウジング22が固着されている。フロントハウジング22は、メインハウジング21と同一の直径の円筒状をなし、前面が閉塞されて、この閉塞箇所の中央に、円筒状の導音管22aが突設されている。導音管22aには、楕円体傘形のイヤピース60が着脱自在に装着されている。メインハウジング21の後方側には、このメインハウジング21よりも大きな直径の円筒状のリヤハウジング23が固着されている。リヤハウジング24の前面において、メインハウジング21の後面側外周との間は、閉塞されている。リヤハウジング23の後面側は、円板状のリヤハウジングキャップ24が固着されて閉塞されている。
図4及び図5に示す破線の矢印は、リヤドライバユニット40で変換された右耳用遅延音Laの流れを示している。
図4〜図7に示すように、フロントハウジング22の前面には、円筒状の導音管22aが突設され、この導音管22a内に、円柱状のイコライザ22bが挿入されている。イコライザ22bは、右耳用合成音(R+La)の周波数を変更して、主に中高音のバランスを取るための部材であり、スポンジ等で形成されている。導音管22aの外周面には、イヤピース60が着脱自在に装着されている。イヤピース60は、導音管22aの外周に装着される円筒状の取り付け部61と、この取り付け部61の前端に延設された楕円体傘形の外耳道挿入部62と、を有し、シリコーンゴム等の弾性部材により形成されている。
フロントハウジング22の後部側には、円筒状の遅延パイプ取り付け部22bが設けられている。遅延パイプ取り付け部22bには、遅延パイプ50の他端52が固定されている。フロントハウジング22の後部内には、遅延パイプ取り付け部22bの近傍に、フロントドライバユニット30が装着されている。フロントドライバユニット30は、丸皿形状のフロントドライバハウジング31と、電気音響変換器であるフロントドライバ32と、帽子状のフロントドライバキャップ33と、により構成されている。フロントドライバハウジング31は、円形の開口部31aを有し、フロントハウジング22の後部内に装着されている。フロントドライバハウジング31の開口部31aには、フロントドライバ32が装着されている。フロントドライバキャップ33は、フロントドライバ32を後側から覆う部材であり、このフロントドライバキャップ33の後面側に、貫通孔を有する円筒部33aが突設されている。円筒部33a内には、スポンジ等で形成された振動吸収用のフロント側音質調整材33bが挿入されている。
フロントハウジング22の後方側に配置されたメインハウジング21内の後部側には、リヤドライバユニット40が装着されている。リヤドライバユニット40は、フロントドライバユニット30の音波発生方向の軸に対して同一の軸上に配置されている。このリヤドライバユニット40は、丸皿形状のリヤドライバハウジング41と、電気音響変換器であるリヤドライバ42と、帽子状のフロントドライバキャップ43と、により構成されている。リヤドライバハウジング41は、この前面側に円筒状の遅延パイプ取り付け部41aを有し、メインハウジング21内の後部側に装着されている。遅延パイプ取り付け部41aには、遅延パイプ50の一端51が固定されている。リヤドライバハウジング41の内には、リヤドライバ42が装着されている。リヤドライバ42の後部側には、リヤドライバ特性調整機構42aが取り付けられている。リヤドライバキャップ43は、リヤドライバ42を後側から覆う部材であり、このリヤドライバキャップ43の後面側に、貫通孔を有する円筒部43aが突設されている。円筒部43a内には、スポンジ等で形成された振動吸収用のリヤ側音質調整材43bが挿入されている。
メインハウジング21の後方側に配置されたリヤハウジング23は、前面側に円形の開口部23aが形成され、この開口部23a内に、リヤドライバユニット40が収容されている。更に、リヤハウジング23内には、リヤドライバユニット40の周辺を囲むように、遅延パイプ50が収容されている。遅延パイプ50は、リヤドライバユニット40の音波発生方向に対して直交する方向に、リング状に巻き回した螺旋構造になっており、この螺旋構造の一端51が、その音波発生方向に対して略U字形に屈曲して、フロントハウジング22側の遅延パイプ取り付け部22bに固定され、螺旋構造の他端52が、その音波発生方向の前方に延びて、リヤドライバハウジング41側の遅延パイプ取り付け部41aに固定されている。リヤハウジング23の後面側は、リヤハウジングキャップ24により閉塞されている。
(実施例1の動作)
図2〜図7に示す右側イヤホン10Rの動作を説明する。
右耳用イヤホン10Rでは、コード11から送られてくる右耳用音声信号SR及び左耳用音声信号SLを入力する。入力された右耳用音声信号SRは、フロントドライバユニット30内のフロントドライバ32によって右耳用の直接音Rに変換され、フロントハウジング22内へ放出される。更に、入力された左耳用音声信号SLは、リヤドライバユニット40内のリヤドライバ42により、直接音Rと同位相及び同振幅の右耳用の直接音Lに変換される。
変換された直接音Lは、図5中の破線矢印で示すように、遅延パイプ50の一端51から入り、螺旋構造中を伝搬して遅延され、位相が遅れた右耳用の遅延音Laが、図4中の破線矢印で示すように、遅延パイプ50の他端52から放出される。放出された右耳用の遅延音Laは、フロントハウジング22内において、右耳用直接音Rと合成され、右耳用合成音(R+La)が再生される。再生された右耳用合成音(R+La)は、フロントハウジング22の導音管22aを経由して、右耳用のイヤピース60から右耳2Rの外耳道へ導かれる。
同時に、左耳用イヤホン10Lでも、右耳用イヤホン10Rと同様の動作が行われ、左耳用合成音(L+Ra)が再生され、左耳用のイヤピース60から左耳2Lの外耳道へ導かれる。これにより、聴取者2は、両耳2L,2Rにて、頭内定位感が軽減された広い音場感と立体感のあるステレオ音を聞くことができる。
(実施例1の実験結果)
図27に示すように、ステレオ音源を左右のスピーカ3L,3Rで再生した場合、聴取者2の右耳2Rには右側スピーカ3Rからの直接音Rと左側スピーカ3Lからの遅延音Laが届き、左耳2Lには左側スピーカ3Lからの直接音Lと右側スピーカ3Rからの遅延音Raが届いている。
図1に示すように、本実施例1のカナル型イヤホン10では、図27の両耳2L,2Rへの入力音と比較すれば明らかように、左耳2Lには、左耳用の直接音Lと遅延パイプ50による左耳用の遅延音Raとの合成音(L+Ra)が再生され,右耳2Rには、右耳用の直接音Rと遅延パイプ50による右耳用の遅延音Laとの合成音(R+La)が再生される。遅延時間は、遅延パイプ50の長さで調整できる。
図8は、図1中の遅延パイプ長の検討を示す図、更に、図9は、図8の遅延距離を示す図である。
図8及び図9に示すように、両耳間隔を矢印定し(例えば、18cm)、正面から右方向の音の到来角度をθ(°)とすると、遅延距離h(cm)は、図10のようになる。例えば、到来角度θが30°の場合は遅延距離hが9(cm)、到来角度θが90°の場合は遅延距離hが18(cm)になる。
図10は、図8の遅延距離の算出例を示す図、更に、図11は、図10の遅延距離の算出結果を示す図である。
図10及び図11に示すように、聴取者2の頭の半径をr(例えば、9cm)とすると、音の到来角度θ(°)に対する遅延距離h2(cm)は、式(1)から求めることができる。
h2=2πr×(θ/360°) (1)
更に、遅延距離h1は、式(2)から求めることができる。
h1=(左耳2Lへ届く遅延音Raの伝搬距離)
−(右耳2Rへ届く直接音Rの伝搬距離) (2)
従って、到来角度θ(°)に対する遅延距離h1,h2,h1+h2は、図12のようになる。
例えば、到来角度θが30°の場合、遅延距離h1は4.5cm、遅延距離h2は4.712389cm、及び、遅延距離h1+h2は9.212389cmとなる。
次に、図1(b)の等価回路を参照して、音波合成による位相干渉について考察する。
図12は、図1(b)の動作波形図であり、横軸は時間、縦軸は音圧である。
この図12には、フロントドライバユニット30の出力音Aと、遅延パイプ50による遅れxだけ遅れているリヤドライバユニット40の出力音Bと、が示されている。
遅延パイプ50による遅れxは、式(1)に基づいて、次式(3)から算出できる。
x=(2π/λ)H=kH (3)
但し、k=2π/λ=ω/c
k;波数(波長定数)
H;遅延パイプ50の長さ
ω=2πf;角周波数
f;周波数
c;音速
図13は、図12のベクトル表示を示す図である。
フロントドライバユニット30の出力音A、遅延パイプ50による遅れxだけ遅れているリヤドライバユニット40の出力音B、及び、出力音Aと出力音Bの合成出力音Cは、式(4)で表せる。
(A+Bcosx)+(Bsinx)=C (4)
式(4)を展開すると、式(5)になる。
+2ABcosx+(Bcosx)+(Bsinx)
=A+B+2ABcosx=C (5)
従って、合成出力音Cは、式(6)のようになる。
C=√(A+B+2ABcosx) (6)
フロントドライバユニット30及びリヤドライバユニット40に同位相・同レベルで入力される信号の合成出力音がCとなる。フロントドライバユニット30及びリヤドライバユニット40に同位相・同レベルで入力される信号とは、図27において正面・中央に定位する音である。多くの音楽では、ボーカルとベースを正面・中央に定位させているので、それらが位相干渉の影響を受ける。
正面・中央以外に定位するように意図された音は、例えば、レベル差及び位相差をつけて録音されている。この場合の位相干渉は、正面・中央に定位する音よりも小さいと推定される。
図14−1、図14−2、図14−3〜図24は、最適な遅延パイプ長の算出例を示す図である。
そのうち、図14−1、図14−2、図14−3は、遅延パイプ長のシミュレーションを示す図であり、図14−1は遅延パイプ長のシミュレーション条件、図14−2は遅延パイプ長のシミュレーション波形、及び図14−3は計算例である。図14−2の波形図の横軸は周波数(Hz)、縦軸は音圧(dB)である。
図14−1に示すように、フロントドライバユニット30の出力音A、遅延パイプ50による遅れxだけ遅れているリヤドライバユニット40の出力音B、及び遅延パイプ50の長さHの条件を矢印定する。例えば、音速は340m/s、遅延パイプ長Hは220mm、出力音A,Bは1、第1dip周波数は0.77272727kHzに矢印定する。そして、Lチャンネル・Rチャンネルに同相・同振幅で入力される音声信号の出力特性をシミュレートした。
Lチャンネル・Rチャンネルに同相・同振幅で入力される音声信号とは、正面・中央に定位する音源を想定している。ここには主に、ボーカル・ベースが定位するので、音源再生上、重要な特性になる。このシミュレート結果の波形図が図14−2に示されている。更に、式(6)を計算する。この計算結果が図14−3に示されている。なお、音速、遅延パイプ長、出力音A,Bは変更できる。
(I) 実験結果1
図15は、遅延パイプ長Hが220mmの実験結果を示す波形図であり、横軸は周波数(Hz)、縦軸は音圧(dB)である。
横方向への音の広がり感を期待して、つまり音の広がり感最大(真横からの音)を想定して、遅延パイプ長220mmを実験した。
フロントドライバユニット30の出力音A及びリヤドライバユニット40の出力音Bの同相・同振幅の信号を加える。この遅延パイプ50による位相干渉のシミュレーション結果の波形が図15に示されている。図15において、矢印1で示す周波数770Hzに、位相干渉による凹みが見える。又、中・高域周波数にも、多くの凹凸が生じている。
図16は、遅延パイプ長Hが220mmの他の実験結果を示す波形図であり、横軸は周波数(Hz)、縦軸は音圧(dB)である。
図15の実験結果において、実際には、リヤドライバユニット40の出力音Bが、遅延パイプ50により減衰する。又、高域周波数は、より減衰すると推定される。そこで、図16では、リヤドライバユニット40の出力音Bが、図15より半分になった場合をシミュレートした。図16の矢印2に示すように、位相干渉は、図15より改善されているのが分かる。
図17は、遅延パイプ長220mmの他の実験結果を示す波形図であり、横軸は周波数(Hz)、縦軸は音圧(dB)である。
この図17では、フロントドライバユニット30の出力音A及びリヤドライバユニット40の出力音Bを同振幅にし、リヤドライバユニット40の出力音Bを逆相にした場合の遅延パイプ50による位相干渉のシミュレーション結果が示されている。図17中の矢印3で示すように、位相干渉により、低域周波数レベルが低下しているのが分かる。これは、音楽再生では好ましくないので、リヤドライバユニット40に対しては、同相給電にすることが必要である。
図1(a)中の左耳用イヤホン10Lにおいて、図6及び図7に示すように、遅延パイプ50を、リング状に巻き回した構造にした実験用イヤホンモデル1を作成した。
図18は、実験用イヤホンモデル1の周波数特性を示す波形図であり、横軸は周波数(Hz)、縦軸は音圧(dB)である。
図18において、破線の波形は、フロントドライバユニット30側だけに給電した特性である。一点鎖線の波形は、リヤドライバユニット40側だけに給電した特性である。又、実線の波形は、フロントドライバユニット30及びリヤドライバユニット40に同時給電した特性である。
図18において、矢印4で示すように、位相干渉による凹みが見える。同じく、矢印5及び矢印6で示すように、位相干渉による増加が見える。しかし、矢印7に示すように、フロントドライバユニット30及びリヤドライバユニット40に同時給電した場合の位相干渉は、高域周波数ではさほど影響がないことが分かる。
図15の実験結果と比較してみると、略同じような位相干渉が起きている。しかし、図18では、位相干渉の周波数が、全体的に低い方にずれているのが観測できる。この理由としては、遅延パイプ50が等価的に長くなっているのか、或いは、遅延パイプ50内の音速が遅くなっているのかもしれない。この程度の誤差は、実験の繰り返しで補正できる。
図19は、図18中の一部の周波数特性(即ち、図18から破線の波形と実線の波形とを抜き出した周波数特性)を示す波形図であり、横軸は周波数(Hz)、縦軸は音圧(dB)である。
この図19では、図18においてフロントドライバユニット30側だけに給電した場合の破線の波形Take15と、フロントドライバユニット30側及びリヤドライバユニット40側に同時給電した場合の実線の波形Take17と、が示されている。
図20は、図19の差の周波数特性(即ち、図19における実線の波形Take17と破線の波形Take15との差の周波数特性)を示す波形図であり、横軸は周波数(Hz)、縦軸は音圧(dB)である。
この図20では、実線の波形Take17と破線の波形Take15との差の波形(Take17−Take15)が、二点鎖線で示されている。図15及び図16のような位相干渉が確認できる。出力音は、フロントドライバユニット30側から出る直接音Lと、リヤドライバユニット40側からの遅延音Raと、の合成であることが分かる。
(II) 実験結果2
図21は、遅延パイプ長Hが100mmの実験結果を示す波形図であり、横軸は周波数(Hz)、縦軸は音圧(dB)である。
スピーカ聴取状態を仮定して、延長パイプ長100mmを実験した。実験結果1と同様に、フロントドライバユニット30の出力音A及びリヤドライバユニット40の出力音Bの同相・同振幅の信号を加える。この遅延パイプ50による位相干渉のシミュレーション結果の波形が図21に示されている。位相干渉周波数が高めに移動することが予想される。
実験結果1と同様に、遅延パイプ長100mmの遅延パイプ50を、リング状に巻き回した構造にした実験用イヤホンモデル2を作成した。
図22は、実験用イヤホンモデル2の周波数特性を示す波形図であり、横軸は周波数(Hz)、縦軸は音圧(dB)である。
図22において、破線の波形は、フロントドライバユニット30側だけに給電した特性である。一点鎖線の波形は、リヤドライバユニット40側だけに給電した特性である。又、実線の波形は、フロントドライバユニット30及びリヤドライバユニット40に同時給電した特性である。
図22の一点鎖線の波形において、矢印1で示すように、リヤドライバユニット40側の低域音圧が高い。この領域は同相で合成されるため、矢印2で示すように、合成出力音も増加している。矢印3で示すように、延長パイプ50が短いため、リヤドライバユニット40側の出力音の高域の損失が少ないせいか、延長パイプ長220mmの実験結果1に比べ、高域での位相干渉が目立つ。
図23は、図22中の一部の周波数特性(即ち、図22から破線の波形と実線の波形とを抜き出した周波数特性)を示す波形図であり、横軸は周波数(Hz)、縦軸は音圧(dB)である。
この図23では、図22においてフロントドライバユニット30側だけに給電した場合の破線の波形Take9と、フロントドライバユニット30側及びリヤドライバユニット40側に同時給電した場合の実線の波形Take11と、が示されている。
図24は、図23の差の周波数特性(即ち、図23における実線の波形Take11と破線の波形Take9との差の周波数特性)を示す波形図であり、横軸は周波数(Hz)、縦軸は音圧(dB)である。
この図24では、実線の波形Take11と破線の波形Take9との差の波形(Take11−Take9)が、二点鎖線で示されている。図21のような位相干渉が確認できる。実験結果1の延長パイプ長220mmと比べると、位相干渉の周波数が高めにずれていることが分かる。延長パイプ50の長さHで、位相遅れが調整できる。
(実施例1の効果)
図25は、効果確認用の回路基板を示す概略の回路図である。
図25中のTLは左耳用音声信号SLの入力端子、TRは右耳用音声信号SRの入力端子、TGは接地端子、50Lは左耳用イヤホン10Lの遅延パイプ50に相当する左耳用可変抵抗(例えば、330Ω)、及び、50Rは右耳用イヤホン10Rの遅延パイプ50に相当する右耳用可変抵抗(例えば、330Ω)である。
本実施例1の効果を確認するために、図25に示すような回路基板を作り、音楽を再生しながら、可変抵抗50L,50Rの抵抗値を変化させて効果を確認し、次の(1)〜(5)のような結果が得られた。
(1) 音源にもよるが、従前、両耳2L,2Rの位置に定位していた音は、両耳2L,2Rの外側に10cm〜20cm程度、離れた場所に定位している。元々、両耳2L,2Rから離れて定位していた音は、更に遠方に定位している。音の横方向の広がりは、従来のカナル型イヤホンよりは非常に改善された。
(2) 頭内定位改善は、スピーカ聴取時のようにはいかないが、従来のカナル型イヤホンよりは気にならない。音の横方向の広がり感のせいで、頭内定位の不自然さが和らげられている。
(3) 音場が広がったせいで、臨場感のある再生音が得られている。
(4) 延長パイプ50の長さHとしては、聴感上、100mmに比べて220mmの方が音の広がり感に勝る。延長パイプ50の長さHは、220mmが好ましいが、聴取者2の両耳間隔の違いを考慮して、その長さHを他の最適値に変更することが可能である。
(5) 構造が簡単であるため、信頼性の高い再生機能と低コスト化が可能になる。
(変形例)
本発明は、上記実施例1に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(c)のようなものがある。
(a) カナル型イヤホン10の構造は、図2〜図8のものに限定されず、他の構造に変更しても良い。
(b) 例えば、カナル型イヤホン10は、実装構造上、小型化が要求されるので、延長パイプ50は、リング状に巻き回した構造が最適であるが、その取り付け位置等は、図4及び図5のものに限定されない。例えば、遅延パイプ50は、合成音の放出方向に沿って、リング状に巻回した構造、つまり、第2ドライバユニット40と第1ドライバユニット30との間に、合成音の放射方向(即ち、イヤホン10の軸方向)に沿って、リング状に巻回した構造にしても良い。これにより、イヤホン10の軸方向の長さを短くすることができる。
(c) 延長パイプ50は、断面が円形に限らず、四角形、多角形等の他の形状に変更しても良い。
1 音源
2 聴取者
2L 左耳
2R 右耳
10 カナル型イヤホン
10L 左耳用イヤホン(第1イヤホン)
10R 右耳用イヤホン(第2イヤホン)
11 コード
20 ハウジング
30 フロントドライバユニット(第1ドライバユニット)
40 リヤドライバユニット(第2ドライバユニット)
50 遅延パイプ
60 イヤピース
本発明のカナル型イヤホンは、左右一対の第1音声信号及び第2音声信号を有するステレオ信号のうちの前記第1音声信号を入力して第1音波に変換する第1ドライバユニットと、前記第2音声信号を入力して前記第1音波と同位相及び同振幅の第2音波に変換する第2ドライバユニットと、音源から聴取者の左耳と右耳とに到来する音波の到達距離差に基づいて設定されたパイプ長を有し、前記第2ドライバユニットで変換された前記第2音波を導入し、前記パイプ長により前記第2音波を遅延させて、前記第2音波の位相を所定時間遅れさせる遅延パイプと、前記第1ドライバユニット、前記第2ドライバユニット、及び前記遅延パイプが収容され、前記第1ドライバユニットで変換された前記第1音波と前記遅延パイプで位相が遅れた前記第2音波とを合成して合成音を再生し、前記合成音を開口部から放出するハウジングと、前記ハウジングの前記開口部に装着され、前記ハウジングから放出された前記合成音を外耳道へ導く外耳道挿入用のイヤピースと、を備えている。
そして、前記遅延パイプは、リング状に巻回した構造になっていることを特徴とする。
図8は、図1中の遅延パイプ長の検討を示す図、更に、図9は、図8の遅延距離を示す図である。
図8及び図9に示すように、両耳間隔を設定し(例えば、18cm)、正面から右方向の音の到来角度をθ(°)とすると、遅延距離h(cm)は、図10のようになる。例えば、到来角度θが30°の場合は遅延距離hが9(cm)、到来角度θが90°の場合は遅延距離hが18(cm)になる。
図14−1に示すように、フロントドライバユニット30の出力音A、遅延パイプ50による遅れxだけ遅れているリヤドライバユニット40の出力音B、及び遅延パイプ50の長さHの条件を設定する。例えば、音速は340m/s、遅延パイプ長Hは220mm、出力音A,Bは1、第1dip周波数は0.77272727kHzに設定する。そして、Lチャンネル・Rチャンネルに同相・同振幅で入力される音声信号の出力特性をシミュレートした。

Claims (8)

  1. 左右一対の第1音声信号及び第2音声信号を有するステレオ信号のうちの前記第1音声信号を入力して第1音波に変換する第1ドライバユニットと、
    前記第2音声信号を入力して前記第1音波と同位相及び同振幅の第2音波に変換する第2ドライバユニットと、
    音源から聴取者の左耳と右耳とに到来する音波の到達距離差に基づいて設定されたパイプ長を有し、前記第2ドライバユニットで変換された前記第2音波を導入し、前記パイプ長により前記第2音波を遅延させて、前記第2音波の位相を所定時間遅れさせる遅延パイプと、
    前記第1ドライバユニット、前記第2ドライバユニット、及び前記遅延パイプが収容され、前記第1ドライバユニットで変換された前記第1音波と前記遅延パイプで位相が遅れた前記第2音波とを合成して合成音を再生し、前記合成音を開口部から放出するハウジングと、
    前記ハウジングの前記開口部に装着され、前記ハウジングから放出された前記合成音を外耳道へ導く外耳道挿入用のイヤピースと、
    を備えることを特徴とするカナル型イヤホン。
  2. 前記パイプ長により、前記第2音波の位相遅れを調整することを特徴とする請求項1記載のカナル型イヤホン。
  3. 前記遅延パイプは、
    リング状に巻回した構造になっていることを特徴とする請求項1又は2記載のカナル型イヤホン。
  4. 前記第1ドライバユニットと前記第2ドライバユニットとは、
    前記合成音の放出方向に対して一定距離隔てて配置され、
    前記遅延パイプは、
    前記合成音の放出方向に対して直交する方向に、リング状に巻回した構造になっていることを特徴とする請求項3記載のカナル型イヤホン。
  5. 前記第1ドライバユニットは、
    前記ハウジングの前記開口部側に配置され、
    前記第2ドライバユニットは、
    前記開口部側とは逆の前記第1ドライバユニットの後方に配置され、
    前記遅延パイプは、
    前記第2ドライバユニットの音波発生方向に対して直交する方向に、前記リング状に巻回した構造になっていることを特徴とする請求項4記載のカナル型イヤホン。
  6. 前記第1ドライバユニットと前記第2ドライバユニットとは、
    前記合成音の放出方向に対して一定距離隔てて配置され、
    前記遅延パイプは、
    前記合成音の放出方向に沿って、リング状に巻回した構造になっていることを特徴とする請求項3記載のカナル型イヤホン。
  7. 前記第1ドライバユニットは、
    前記ハウジングの前記開口部側に配置され、
    前記第2ドライバユニットは、
    前記開口部側とは逆の前記第1ドライバユニットの後方に配置され、
    前記遅延パイプは、
    前記第2ドライバユニットと前記第1ドライバユニットとの間に、前記合成音の放射方向に沿って、前記リング状に巻回した構造になっていることを特徴とする請求項6記載のカナル型イヤホン。
  8. 前記パイプ長は、220mmであることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項記載のカナル型イヤホン。
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