JP2018146423A - カルボキシル末端アミノ酸の分析方法 - Google Patents

カルボキシル末端アミノ酸の分析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリペプチドのカルボキシル末端(C末端)のアミノ酸の新規分析方法の提供。【解決手段】本発明によれば、ポリペプチドのC末端のアミノ酸を分析する方法であって、(a)同位体標識溶液中の1種または複数種のポリペプチドをカルボキシペプチダーゼにより酵素処理する工程と、(b)同位体で標識されていないアミノ酸をC末端のアミノ酸として検出する工程とを含んでなる方法が提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリペプチドのカルボキシル末端のアミノ酸の分析方法に関する。
ポリペプチドのカルボキシル末端(以下、「C末端」ということがある)は、mRNAからの翻訳後、種々のプロセシングを受け、切断・修飾などがなされることが知られている。また、タンパク質やペプチドの香味特性はC末端のアミノ酸に依存しうることが知られている。このため、ポリペプチドのC末端のアミノ酸を分析することは、生体中のポリペプチドの挙動や、食品中のタンパク質やペプチドの香味の分析において重要な意義を有する。
これまでに開発されてきたポリペプチドのC末端アミノ酸残基やC末端付近のアミノ酸配列の分析技術としては、C末端アミノ酸を誘導体化し、分離・同定することによりC末端からのアミノ酸配列を順次決定する、酵素を用いない化学的方法(特許文献1)や、C末端アミノ酸をラセミ化し、断片化した後に、カルボキシペプチダーゼ処理をしてC末端断片を分離する技術(特許文献2)が知られている。
特開平10−293130号公報 特開平7−203993号公報
しかしながら、上記のようなポリペプチドのC末端の重要性にも関わらず、当該C末端のアミノ酸の種類と量を評価できる方法はこれまでに知られていなかった。
本発明者らは、ポリペプチドのC末端のアミノ酸の分析方法について鋭意検討を重ねたところ、安定同位体標識された溶液中で分析対象のポリペプチドをカルボキシペプチダーゼで分解することによって、C末端のアミノ酸を同定、かつ、定量できることを見出した。本発明者らはまた、分析対象がポリペプチドの混合物であっても、C末端アミノ酸の存在比を定量的に分析できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
すなわち、本発明によれば、ポリペプチドのカルボキシル末端のアミノ酸の新規分析方法を提供することを目的とする。
本発明によれば以下の発明が提供される。
[1]ポリペプチドのカルボキシル末端のアミノ酸を分析する方法であって、
(a)同位体標識溶液中の1種または複数種のポリペプチドをカルボキシペプチダーゼにより酵素処理する工程と
(b)同位体で標識されていないアミノ酸をカルボキシル末端のアミノ酸として検出する工程と
を含んでなる、方法。
[2]ポリペプチドのカルボキシル末端のアミノ酸を同定する、上記[1]に記載の方法。
[3]工程(b)において、同位体で標識されていないアミノ酸をカルボキシル末端のアミノ酸であると同定する、上記[2]に記載の方法。
[4]ポリペプチドのカルボキシル末端のアミノ酸を定量する、上記[1]に記載の方法。
[5]工程(b)において、同位体で標識されていないアミノ酸をカルボキシル末端のアミノ酸として定量する、上記[4]に記載の方法。
[6]工程(b)において、酵素処理により遊離したアミノ酸を質量分析計で分析する、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]同位体が酸素原子の同位体である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8]酸素原子の同位体が18Oである、上記[7]に記載の方法。
[9]同位体標識溶液がH 18Oである、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の方法。
[10]ポリペプチドが構造未知のものである、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の方法。
[11]酵素処理時間が30分以上である、上記[1]〜[10]のいずれかに記載の方法。
[12]同位体標識溶液からなる、ポリペプチドのカルボキシル末端のアミノ酸の分析用試薬。
[13]同位体標識溶液がH 18Oである、上記[12]に記載の試薬。
本発明によれば、ポリペプチドのカルボキシル末端のアミノ酸を同定、かつ、定量することができる。本発明では、分析対象のポリペプチドを修飾処理せずに、C末端のアミノ酸を同定し、かつ、定量できる点で有利である。
例1においてペプチド基質(配列番号1)を酵素分解反応に供した場合の3時間反応後の遊離アミノ酸の抽出イオンクロマトグラムを示した図である。図1中、横軸は時間(分)を示し、「n.d.」はアミノ酸が検出されなかったことを示す。
発明の具体的説明
<工程(a)>
工程(a)は、同位体標識溶液中の1種または複数種のポリペプチドをカルボキシペプチダーゼにより酵素処理する工程である。本発明の方法は、カルボキシペプチダーゼによる酵素処理に先立って分析対象のポリペプチドを同位体標識溶液中に溶解させる工程を含んでいてもよい。
カルボキシペプチダーゼはポリペプチドをC末端から順次遊離させるプロテアーゼであり、例えば、カルボキシペプチダーゼY(EC 3.4.16.5)、カルボキシペプチダーゼA(EC 3.4.17.1)、カルボキシペプチダーゼB(EC 3.4.17.2)、カルボキシペプチダーゼC(EC 3.4.16.5)、カルボキシペプチダーゼE(EC 3.4.17.10)が挙げられる。
使用するカルボキシペプチダーゼによっては基質特異性によりC末端アミノ酸が遊離しない可能性もあるが、この場合には使用するカルボキシペプチダーゼの種類を選択することにより、C末端アミノ酸を遊離させることができる。構造未知のポリペプチドなど、様々なポリペプチド基質を分析する場合には基質特異性が低いカルボキシペプチダーゼYを用いることが好ましい。
カルボキシペプチダーゼによる酵素処理の反応条件は、使用する酵素に従って適宜決定することができる。カルボキシペプチダーゼとしてカルボキシペプチダーゼYを用いた場合には、20〜50℃、pH3.0〜8.0の条件で酵素反応を実施することができる。また、反応溶液中のポリペプチドの濃度は0.00001〜5mM程度とすることができ、カルボキシペプチダーゼは反応溶液1mL当たり0.05〜50unitとなるように添加することができる。
ポリペプチドの溶液にカルボキシペプチダーゼを添加すると加水分解反応が開始する。反応開始直後からC末端アミノ酸の遊離が始まり、30分経過後には、ポリペプチドの配列にもよるが、分析対象のポリペプチドの10〜100%程度からC末端アミノ酸が遊離されうる。すなわち、好ましくは酵素反応を30分以上実施し、酵素反応開始から30分以降を目安にして遊離したアミノ酸を分析することができる。遊離したアミノ酸の分析については後述する。
本発明においては、酵素反応を同位体標識溶液(好ましくは安定同位体標識溶液)中で実施する。ここで、同位体としては酸素原子の同位体が挙げられ、例えば、18Oおよび17Oである。また、同位体標識溶液としては、同位体標識された水が挙げられ、例えば、H 18O(18O標識水)である。本発明において同位体標識溶液としてH 18Oを用いた場合には、カルボキシペプチダーゼがポリペプチドのC末端アミノ酸(C-terminal)に作用し、内部残基由来のアミノ酸には18Oが取り込まれるが、C末端残基由来のアミノ酸には18Oが取り込まれない(下記式参照)。18Oが取り込まれたアミノ酸と18Oが取り込まれていないアミノ酸とは、質量数の違いから区別して検出することができる。
Figure 2018146423
分析対象のポリペプチドは、1種であっても複数種であってもよく、複数種の場合には後述のようにC末端アミノ酸の存在比を定量的に分析することができる。
分析対象のポリペプチドはまた、構造既知であっても、構造未知であってもよく、構造未知であっても後述のようにC末端アミノ酸を同定し、かつ、定量することができる。
本発明において「ポリペプチド」は、アミノ酸がペプチド結合により連結したポリペプチド鎖からなるものを意味する。ポリペプチドのうちアミノ酸数が10個程度以下のものはペプチドあるいはオリゴペプチドと呼ばれることがあり、アミノ酸数が10個以上のものはタンパク質と呼ばれることがあるが、本発明においては「ポリペプチド」は、タンパク質、ペプチドおよびオリゴペプチドを含む意味で用いられるものとする。
<工程(b)>
工程(b)は、同位体で標識されていないアミノ酸をカルボキシル末端のアミノ酸として検出する工程である。カルボキシペプチダーゼによる酵素処理により最初に遊離してくるアミノ酸がC末端のアミノ酸に対応する。すなわち、ポリペプチドの配列や使用するカルボキシペプチダーゼにもよるが、酵素反応を30分程度実施すると最初にC末端アミノ酸が遊離し、その後遅れてC末端から2番目のアミノ酸、3番目のアミノ酸が順番に遊離してくる。酵素反応溶液を反応開始から5分、10分、15分あるいは20分おきに回収し、遊離アミノ酸の回収率を経時観察することで、遊離してくるアミノ酸の順番を特定することができる。
前述の通り、カルボキシペプチダーゼがポリペプチドのC末端アミノ酸に作用すると、内部残基由来のアミノ酸には同位体元素が取り込まれるが、C末端残基由来のアミノ酸には同位体元素が取り込まれない。すなわち、同位体で標識されていないアミノ酸を、カルボキシル末端のアミノ酸として検出することができる。
本発明の分析方法では、ポリペプチドのカルボキシル末端のアミノ酸の種類を決定することができる。すなわち、本発明の分析方法は、ポリペプチドのカルボキシル末端のアミノ酸の決定方法あるいは同定方法とすることができる。この場合、工程(b)において、同位体で標識されていないアミノ酸をカルボキシル末端のアミノ酸であると決定あるいは同定する手順を含んでいてもよい。
本発明の分析方法ではまた、ポリペプチドのカルボキシル末端のアミノ酸を定量することができる。すなわち、本発明の分析方法は、ポリペプチドのカルボキシル末端のアミノ酸の定量方法とすることができる。この場合、工程(b)において、同位体で標識されていないアミノ酸をカルボキシル末端のアミノ酸として定量する手順を含んでいてもよい。
本発明の分析方法では、酵素処理により遊離したアミノ酸の分析は質量分析法(MS、mass spectrometry)により実施することができる。すなわち、同位体標識されたアミノ酸と、同位体標識されていないアミノ酸とは質量数が異なることから、本発明の分析方法では、質量分析法により両者を区別して検出することができる。例えば、本発明において同位体標識溶液としてH 18Oを用いた場合には、カルボキシペプチダーゼによる加水分解により内部残基由来のアミノ酸には18Oが取り込まれるが、C末端残基由来のアミノ酸には18Oが取り込まれないため、内部残基由来のアミノ酸はm/z値(質量/電荷比)が+2されることになり、C末端残基由来のアミノ酸と区別して検出できることとなる(図1参照)。
本発明の分析方法に使用する質量分析法は、酵素処理により遊離したアミノ酸を同位体標識を区別して検出できるものである限り特に限定されるものではないが、例示をすれば、液体クロマトグラフィー−質量分析(LC−MS)、ガスクロマトグラフィー−質量分析(GC−MS)、キャピラリー電気泳動−質量分析(CE−MS)が挙げられ、これらのいずれも使用することができる。
本発明の分析方法では、分析時に内部標準物質(例えば、13Cなどの同位体で標識されたアミノ酸)を用いることにより、測定精度を向上させることができる。すなわち、予め定量した内部標準物質を同位体標識溶液中に存在させるか、あるいは酵素反応後の溶液に添加することで、分析対象のポリペプチドのC末端アミノ酸と内部標準物質を質量分析法により分析し、両者の比を元にして分析対象のアミノ酸を正確に定量することができる。質量分析法による検出では、装置自体の感度変動や、分析サンプルに含まれるマトリックスの影響によるイオンサプレッションやイオンエンハンスメント現象のため、場合によっては定量誤差が生じる可能性があるが、内部標準物質を用いることでこれらの影響を補正し、定量誤差を最小限に抑制することができる。内部標準として13Cなどの同位体で標識されたアミノ酸を用いる場合は、酵素反応により18Oを取り込んだアミノ酸と質量が重複しないものを選択すればよい。
本発明の分析方法では、分析対象のポリペプチドのC末端のアミノ酸を同定し、かつ、定量することができる。また、分析対象のポリペプチドはアミノ酸配列が未知のものであってもよい。従って、本発明の分析方法によれば、従来なし得なかったポリペプチドのC末端アミノ酸の分析を簡便に実施することができ、例えば、生体内ポリペプチドの挙動解析、食品中に存在するか、あるいは食品に添加するポリペプチドの香味特性の分析、ポリペプチド医薬品の定量、品質管理などに利用することができる。
本発明の分析方法ではまた、分析対象のポリペプチドが反応溶液中に複数種含まれていてもよい。この場合、カルボキシペプチダーゼによる酵素処理を実施すると、これら複数種のポリペプチドそれぞれからC末端アミノ酸が遊離してくる。これらのC末端アミノ酸は、いずれも同位体標識されていないアミノ酸であることから、質量分析法により、ポリペプチド内部由来の同位体標識されたアミノ酸と区別して検出することができる。また複数種のポリペプチドに由来するC末端アミノ酸はそれぞれ定量することができ、その存在比率を求めることができる。複数種のポリペプチドに由来するC末端アミノ酸の存在比率は、ポリペプチド混合物を含む飲食品の香味や物性の分析および研究に利用することができるため、有利である。
例えば、本発明の分析方法によれば、飲食品の原料として利用されるタンパク分解物の製造時や飲食品製造時のタンパク分解反応の際に実施される酵素処理の条件を、生成するペプチド混合物におけるC末端アミノ酸の種類と存在比率をもとに調整し、分解物である生成ペプチド混合物の香味や物性を制御することが可能となる。また本発明の分析方法は、ポリペプチド医薬品の品質管理において、活性本体ポリペプチドと不純物ポリペプチドの存在比率分析に利用することができ、さらに、C末端アミノ酸の修飾比率分析にも利用することができるため、有利である。
<分析用試薬>
本発明の別の面によれば、同位体標識溶液からなる、ポリペプチドのカルボキシル末端のアミノ酸の分析用試薬が提供される。本発明の分析用試薬は、本発明の分析方法における同位体標識溶液に相当することから、本発明の分析方法に関する記載に従って実施することができる。
以下の例に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
例1:C末端アミノ酸残基の分析(1)
ペプチド基質を安定同位体標識水の存在下で酵素分解反応に供し、遊離アミノ酸を液体クロマトグラフ質量分析(以下、「LC−MS」という)により定量した。
(1)酵素分解反応および分析用サンプルの調製
1mgのカルボキシペプチダーゼY(Worthington社製)を1mLの安定同位体標識水H 18O(大陽日酸社製、以下「標識水」という)に溶解して酵素溶液(以下同様)を調製した。ペプチド基質:(ベンジルオキシカルボニル基)−Gly−Pro−Leu−Gly−Pro(配列番号1、ペプチド研究所製)を50mMリン酸バッファー(pH6.7)((無水)リン酸二水素ナトリウム(特級)および(無水)リン酸水素ナトリウム(特級)(いずれも和光純薬工業社製)を標識水に溶解して調製、以下同様)に溶解して1.74mMペプチド基質溶液を調製した。500μLのペプチド基質溶液に5μLの酵素溶液を添加して室温に置き、5分後、10分後、30分後、1時間後、2時間後、3時間後および24時間後に50μLをサンプリングし、各サンプルを95℃のヒートブロックで1分間加熱することにより酵素を失活させた。次いで各サンプルを標識水で600倍に希釈し、LC−MSによる遊離アミノ酸定量分析に供した。検量線は、アミノ酸混合標準液H型(和光純薬工業社製)を用いて作成した。なお、「C末端アミノ酸残基の定量値/理論値」×100(%)を遊離アミノ酸の回収率とした。
(2)LC−MSによる定量分析
遊離アミノ酸の定量分析は以下の条件で行った。
カラム:Intrada Amino Acid 150mm×2mm(粒子径3μm、インタクト社製)
検出器:質量分析計(Waters社製)
イオンソース:ESI−positive
Scan range:m/z 50−600
移動相A:アセトニトリル/100mM ギ酸アンモニウム=20/80(v/v)
移動相B:アセトニトリル/ギ酸=100/0.3(v/v)
流量:0.3mL/分
グラジエントプログラム:表1に示す通りとした。
Figure 2018146423
(3)結果
結果は図1および表2に示される通りであった。なお、表中の「−」は遊離アミノ酸が検出されないことを示す(以下、同様)。
Figure 2018146423
図1の結果より、ペプチド基質のC末端のPro残基は18O非標識体であるPro(16O)(m/z 116)として検出され、18O標識体であるPro(18O)(m/z 118)としては検出されなかった。一方、ペプチド基質の内部残基であるGlyおよびLeu残基は18O非標識体であるGly(16O)(Gly:m/z 76)およびLeu(16O)(Leu:m/z 132)としては検出されず、18O標識体であるGly(18O)(Gly:m/z 78)およびLeu(18O)(Leu:m/z 134)として検出された。これらの結果より、本分析法によれば、ペプチドのC末端アミノ酸残基のみ18O非標識体として選択的に検出できることが確認された。
また、表2の結果より、酵素反応2時間後にはペプチド基質のC末端Pro残基およびこれに隣接するGly残基の分解がほぼ完了していること、C末端Pro残基は18O非標識体としてほぼ100%の回収率であること、隣接するGly残基は18O標識体としてほぼ100%の回収率であることが確認された。なお、酵素反応24時間後にはPro残基の18O標識体であるPro(18O)が5%回収されているが、これはペプチド基質内部のPro残基が分解されて生成したものと考えられ、C末端Pro残基の回収率に影響しないことが確認された。
例2:C末端アミノ酸残基の分析(2)
(1)酵素分解反応および分析用サンプルの調製
ペプチド基質:Gly−Gly−Tyr−Arg(配列番号2、ペプチド研究所製)を用いた以外は例1(1)に記載の手順に従ってサンプルを調製した。
(2)LC−MSによる定量分析
遊離アミノ酸の定量分析は、例1(2)に記載の手順に従って行った。
(3)結果
結果は表3に示される通りであった。
Figure 2018146423
表3の結果より、酵素反応24時間後にはペプチド基質のC末端Arg残基の分解がほぼ完了していること、C末端Arg残基は18O非標識体としてほぼ100%の回収率であることが確認された。
例3:C末端アミノ酸残基の分析(3)
(1)酵素分解反応および分析用サンプルの調製
ペプチド基質:Ser−Gln−Asn−Tyr−Pro−Ile−Val(配列番号3、ペプチド研究所製)を用いた以外は例1(1)に記載の手順に従ってサンプルを調製した。
(2)LC−MSによる定量分析
遊離アミノ酸の定量分析は、例1(2)に記載の手順に従って行った。
(3)結果
結果は表4に示される通りであった。
Figure 2018146423
表4の結果より、酵素反応24時間後にはペプチド基質のC末端Val残基、Val残基に隣接するIle残基およびIle残基に隣接するPro残基の分解がほぼ完了していること、C末端Val残基は18O非標識体としてほぼ100%の回収率であること、IleおよびPro残基は18O標識体としてほぼ100%の回収率であることが確認された。
例4:ペプチド混合物のC末端アミノ酸残基の分析
(1)酵素分解反応および分析用サンプルの調製
各ペプチド基質:Ser−Gln−Asn−Tyr−Pro−Ile−Val(配列番号3)、Tyr−Gly−Gly−Phe−Leu−Arg−Lys−Tyr−Pro(配列番号4)、Tyr−Pro−Phe−Pro−Gly(配列番号5)およびArg−Pro−Pro−Gly−Phe−Ser−Pro−Phe−Arg(配列番号6)(いずれもペプチド研究所製)を50mMリン酸バッファー(pH6.7)に溶解して各1mMペプチド基質溶液を調製した。各ペプチド基質溶液50μLを採取後、混合し、300μLの50mMリン酸バッファー(pH6.7)を添加して500μLのペプチド基質溶液を調製し、25μLの酵素溶液を添加して室温に置き、経時的にサンプリングし、各サンプルを95℃のヒートブロックで1分間加熱することにより酵素を失活させた。次いで、各サンプルを標識水で20倍に希釈し、LC−MSによる遊離アミノ酸定量分析に供した。検量線の作成と、回収率の算出は、例1(1)に記載の手順に従って行った。
(2)LC−MSによる定量分析
遊離アミノ酸の定量分析は、例1(2)に記載の手順に従って行った。
(3)結果
結果は表5に示される通りであった。
Figure 2018146423
表5の結果より、酵素反応30時間後には混合ペプチド基質の各C末端アミノ酸残基は18O非標識体としてほぼ100%の回収率であることが確認された。一方、ペプチド基質のC末端には存在せず内部にのみ存在するアミノ酸残基の18O非標識体は検出されないことが確認された。これらの結果より、本分析法によれば、ペプチド混合物において各ペプチド基質由来のC末端アミノ酸残基を選択的に定量できることが確認された。

Claims (13)

  1. ポリペプチドのカルボキシル末端のアミノ酸を分析する方法であって、
    (a)同位体標識溶液中の1種または複数種のポリペプチドをカルボキシペプチダーゼにより酵素処理する工程と
    (b)同位体で標識されていないアミノ酸をカルボキシル末端のアミノ酸として検出する工程と
    を含んでなる、方法。
  2. ポリペプチドのカルボキシル末端のアミノ酸を同定する、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(b)において、同位体で標識されていないアミノ酸をカルボキシル末端のアミノ酸であると同定する、請求項2に記載の方法。
  4. ポリペプチドのカルボキシル末端のアミノ酸を定量する、請求項1に記載の方法。
  5. 工程(b)において、同位体で標識されていないアミノ酸をカルボキシル末端のアミノ酸として定量する、請求項4に記載の方法。
  6. 工程(b)において、酵素処理により遊離したアミノ酸を質量分析計で分析する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 同位体が酸素原子の同位体である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 酸素原子の同位体が18Oである、請求項7に記載の方法。
  9. 同位体標識溶液がH 18Oである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. ポリペプチドが構造未知のものである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 酵素処理時間が30分以上である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 同位体標識溶液からなる、ポリペプチドのカルボキシル末端のアミノ酸の分析用試薬。
  13. 同位体標識溶液がH 18Oである、請求項12に記載の試薬。
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