JP2018144981A - エレベーター用点検装置、エレベーター用点検システム、その制御方法及び端末装置 - Google Patents

エレベーター用点検装置、エレベーター用点検システム、その制御方法及び端末装置 Download PDF

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Abstract

【課題】エレベーターが停止して動かせない状況において、昇降路の機器の状態を保守員が効率的よく迅速に点検できるようにするエレベーター用点検装置、エレベーター用点検システム、その制御方法及び端末装置を提案する。【解決手段】エレベーターの乗りかごが停止した際に、エレベーターの昇降路内を点検するためのエレベーター用点検装置において、乗りかごの停止階及び各階の階高情報に基づいて、昇降路内の点検対象とする第1の高さ位置を演算する演算部と、撮像装置が搭載されて昇降路内を上下方向に飛行する飛行体を制御するコントローラであって、演算部から取得した当該第1の高さ位置に基づいて、第1の高さ位置まで移動するよう飛行体を制御し、撮像装置により撮影した画像を取得するコントローラとを備えるようにした。【選択図】図2

Description

本発明は、エレベーター用点検装置、エレベーター用点検システム、その制御方法及び端末装置に関し、例えば、エレベーターの乗りかごを動かせない状態において、昇降路内の機器の状況を撮像して保守員に表示することで保守員が点検するエレベーター用点検システムに適用して好適なものである。
一般に、エレベーターには、地震の揺れを感知した場合に乗りかごの昇降運転を停止させる地震時管制運転装置が設置されている。この地震時管制運転装置は、機械室や塔内に設置された地震計が一定の揺れを感知した場合に、乗りかごを最寄りの階で停止させ、乗りかごのドアを開放して停止階に利用者を非難させることで利用者の安全を確保するものである。
地震時管制運転装置が感知する地震動は、初期微動と主要動とがある。地震時管制運転装置は、初期微動のみ感知した場合には、一定時間経過後に自動で乗りかごの昇降運転を復旧させるのに対して、強い揺れの主要動を感知した場合には、乗りかごの昇降運転を停止後、現地で専門技術を持つ保守員による復旧のための点検がなされるまで乗りかごの昇降運転を復旧させない。
このため地震時管制運転装置が主要動を感知した場合、保守員は、現地に赴いて昇降路内の機器の損傷や被害の有無を目視で確認しなければならない。この場合、保守員は、特に、主ロープの引っ掛かりの有無や、テールコードの引っ掛かりの有無、ガイドレールの傾きの有無、ガイドレールから乗りかごが外れていないか等、乗りかごの昇降運転が正常にできない被害がないかを点検する必要がある。しかしながらこのような点検には相応の時間を必要とし、特に昇降路の長い高層エレベーターの場合には確認作業に多大な時間を要する。
このような状況のもと、近年では、エレベーターの乗りかごを動かせない状態において、昇降路内の機器の状況を保守員が点検する際に使用するエレベーター用点検装置の研究開発も広く行われ、昇降路内の機器の状況を保守員が点検する際に使用するエレベーター用点検装置が実用化されている。例えば特許文献1には、この種のエレベーター用点検装置の1つとして、昇降路内の機器の状況を保守員が確認するために、昇降路内の障害物を避けながら昇降し昇降路内の機器を撮影する発明が開示されている。
特開2015−30604号公報
ところで、高層ビルに設置されたエレベーターの地震時管制運転装置が強い揺れの主要動を感知し、エレベーターが昇降運転を停止した場合、高層階の居住者が移動手段を失い、高層階に取り残される可能性がある。このため保守員は、早急に点検を行い、乗りかごの昇降運転を復旧させる必要がある。しかしながら高層ビルに設置された昇降路が長いエレベーターにおいては保守員が昇降路を移動しながら目視で確認すると時間がかかってしまう。
上述した特許文献1に係る技術によれば、乗りかごの昇降運転の復旧のための点検作業を行う際、保守員は、前述したエレベーター用点検装置を昇降路内に投入して、次にエレベーター用点検装置と昇降路内の機器との距離を距離測定手段で把握し、障害物を回避しながら飛行手段で上昇移動させながら、撮像手段で撮像した昇降路内の機器を確認することで、機器の状況を確認することができる。
このような状況において、保守員は、効率的に点検をするために、ロープが引っ掛かったり、ロープとの衝突により機器が損傷したりしやすい位置を推測しながら、昇降路内の点検をする必要がある。昇降路が長ければ長いほど、推測が間違っていた場合の時間のロスが多くなり、復旧の速度が保守員の個々の力量により依存しやすくなってしまうという問題があった。
本発明は、以上の点を考慮してなされたもので、エレベーターが停止して動かせない状況において、昇降路内の機器の状態を保守員が効率的よく迅速に点検できるようにするエレベーター用点検装置、エレベーター用点検システム、その制御方法及び端末装置を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明においては、エレベーターの乗りかごが停止した際に、エレベーターの昇降路内を点検するためのエレベーター用点検装置において、乗りかごの停止階及び各階の階高情報に基づいて、昇降路内の点検対象とする第1の高さ位置を演算する演算部と、撮像装置が搭載されて昇降路内を上下方向に飛行する飛行体を制御するコントローラであって、演算部から取得した当該第1の高さ位置に基づいて、第1の高さ位置まで移動するよう飛行体を制御し、撮像装置により撮影した画像を取得するコントローラとを備えるようにした。
また本発明においては、エレベーターの乗りかごが停止した際に、当該エレベーターの昇降路内の状況を保守員が点検するために使用するエレベーター用点検システムにおいて、撮像装置が搭載され、昇降路内を上下方向に飛行するエレベーター用点検装置と、保守員が携帯する端末装置と、乗りかごの停止階及び各階の階高情報を端末装置に送信するエレベーター制御装置とを備え、端末装置は、取得した停止階及び階高情報に基づいて、昇降路内の点検対象とする第1の高さ位置を算出し、算出した第1の高さ位置をエレベーター用点検装置に通知し、エレベーター用点検装置は、昇降路内を端末装置から通知された第1の高さ位置にまで飛行して撮影した画像を端末装置に送信し、端末装置は、エレベーター用点検装置から受信する画像を表示するようにした。
さらに本発明においては、エレベーターの乗りかごが停止した状態で、当該エレベーターの昇降路内の状況を保守員が点検するために使用するエレベーター用点検システムの制御方法において、エレベーター用点検システムは、撮像装置が搭載され、昇降路内を上下方向に飛行するエレベーター用点検装置と、保守員が操作する端末装置とを有し、端末装置が、乗りかごの停止階及び各階の階高情報を取得する第1のステップと、端末装置が、取得した停止階及び階高情報に基づいて、昇降路内の優先的に点検すべき第1の高さ位置を算出する第2のステップと、端末装置が、算出した第1の高さ位置をエレベーター用点検装置に通知する第3のステップと、エレベーター用点検装置が、昇降路内を端末装置から通知された第1の高さ位置にまで飛行し、少なくとも昇降路内における当該第1の高さ位置の状況を撮像装置により撮影する第4のステップと、エレベーター用点検装置が、当該撮影により得られた映像データを端末装置に送信する第5のステップと、端末装置が、エレベーター用点検装置から送信されてきた映像データに基づく撮像装置の撮像映像を表示する第6のステップとを備えるようにした。
さらに本発明においては、エレベーターの乗りかごが停止した状態で、当該エレベーターの昇降路内の状況を保守員が点検するために使用するエレベーター用点検システムを構成する端末装置において、プログラムを記憶するメモリと、メモリに格納されたプログラムを実行するプロセッサと、情報を表示するディスプレイとを備え、プロセッサは、メモリに格納されたプログラムに基づいて、乗りかごの停止階及び各階の階高情報を取得し、取得した停止階及び階高情報に基づいて、昇降路内の優先的に点検すべき第1の高さ位置を算出し、算出した第1の高さ位置を、昇降路内を撮像しながら上下方向に飛行するエレベーター用点検装置に通知し、当該通知に応じて昇降路内を第1の高さ位置にまで上昇するエレベーター用点検装置から送信されてくる映像データに基づく撮像映像をディスプレイに表示させるようにした。
本発明によれば、エレベーターが停止して動かせない状況において、昇降路内の機器の状態を保守員が効率的よく迅速に点検できるようにするエレベーター用点検装置、エレベーター用点検システム、その制御方法及び端末装置を実現できる。
本実施の形態によるエレベーター用点検システムを使用して保守員が点検するエレベーターの概略構造の要部を示した斜視図である。 本実施の形態による地震発生時のエレベーター及びエレベーター用点検システムを示す概念図である。 本実施の形態による端末装置の構成を示すブロック図である。 優先点検高さ位置決定機能の説明に供する概念図である。 優先点検高さ位置決定機能の説明に供する概念図である。 優先点検高さ位置決定処理の処理手順を示すフローチャートである。 昇降路内撮像処理の処理手順を示すフローチャートである。
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)本実施の形態によるエレベーター用点検システムの構成
図1は、一般的な1:1ローピング方式のエレベーター1の概略構造を示す。このエレベーター1は、建物に設置された昇降路2内において、各階床に設置された乗り場4の間を乗りかご3が昇降運転するものである。
エレベーター1は、巻上機14に巻き付けられた主ロープ13の一端側に取り付けられた乗りかご3と、当該主ロープ13の他端側に取り付けられた釣合錘8とを備える。乗りかご3及び釣合錘8は、それぞれ昇降路2の壁に固定配置されたかご用ガイドレール7及び釣合錘用ガイドレール9に沿って昇降する。
巻上機14は、乗りかご3を昇降駆動する昇降機構であり、昇降路2の上部に設けられた機械室6に、乗りかご3の昇降運転を制御するエレベーター制御装置(以下、これを制御盤12と呼ぶ)及び図示しない調速ロープの一端が掛けられた調速機と共に設置される。リング状の調速ロープの他端は、昇降路2の下部に設けられたピット5内に配設された図示しない滑車に掛けられる。
各階の乗り場4に設けられた乗り場ドア10は、乗りかご3に対する乗降口であり、乗りかご3が着床した場合に、乗りかご3のかごドア11と係合して当該かごドア11と一体に開閉する。なお専門技術を有した保守員は、所定の外部開放手段により乗り場ドア10を開けて昇降路2内を点検することが可能であり、強い揺れの地震等により運行を停止したエレベーター1の復旧作業の際に、乗り場ドア10を開けて昇降路2内に後述のエレベーター用点検装置21を投入することができる。
図2は、地震により強い揺れが発生した結果、主ロープ13の一部が昇降路2に引っ掛かった状態を示している。この図2において、30はエレベーター1の点検のため保守員によって持ち込まれた本実施の形態によるエレベーター用点検システムを示す。このエレベーター用点検システム30は、端末装置15及びエレベーター用点検装置21を備えて構成される。
端末装置15は、例えばスマートフォンやタブレット等の通信端末装置から構成され、図3に示すように、CPU16、メモリ17、通信装置19及びディスプレイ20を備えて構成される。CPU16は、端末装置15全体の動作制御を司るプロセッサである。メモリ17は、例えば揮発性の半導体メモリから構成され、CPU16のワークメモリとして利用される。後述のプログラム18はこのメモリ17に格納されて保持される。また通信装置19は無線LAN機器等であり、ディスプレイ20は有機EL又は液晶パネル等から構成される。
この端末装置15は、エレベーター1の制御盤12の基板、又は、所定位置(例えば、各階の乗り場4に設置された乗りかご3の呼び釦の近傍)に配設された制御盤12と接続されたコネクタを介して制御盤12と通信を行い、当該制御盤12が管理している乗りかご3の現在の停止階や、各階の床から1つ上の階の床までの高さを表す階高情報を取得する機能を備える。
また端末装置15は、乗りかご3の停止階と各階の階高情報から、昇降路2内において主ロープ13や図示しないテールコード等の長尺物が引っ掛かる可能性が高い昇降路2内の高さ位置、又は、揺れた長尺物と接触し損傷を受ける可能性が高い機器が設置された昇降路2内の高さ位置を「最も優先的に点検すべき高さ位置」(以下、これを優先点検高さ位置と呼ぶ)として算出し、算出結果をエレベーター用点検装置21に通知する機能を備える。
なお優先点検高さ位置から例えば上下1m程度の所定の範囲(以下、これを優先点検高さ範囲と呼ぶ)内については、優先点検高さ位置と同様に、昇降路2内において長尺物が引っ掛かる可能性や機器が設置されていた場合に揺れた長尺物と接触し機器が損傷を受ける可能性が高い。
さらに端末装置15は、エレベーター用点検装置21の動作を遠隔操作するためのリモートコントローラとしての機能と、後述のようにエレベーター用点検装置21から送信されてくる映像データに基づく映像を表示するモニタとしての機能とを備える。
エレベーター用点検装置21は、昇降路2内を上下に飛行する例えばドローン等の飛行体から構成される。エレベーター用点検装置21には、プロペラ22及び当該プロペラ22を回転駆動する図示しないモータ(以下、これを飛行用モータと呼ぶ)と、昇降路2内を撮像するためのカメラ等の撮像装置23と、気圧を測定する気圧計24と、撮像装置23の撮像映像の映像データを端末装置15に無線送信する無線LAN機器等の通信装置25と、CPU及びメモリ等の情報処理資源を備えるコントローラ26とが搭載されている。
コントローラ26は、エレベーター用点検装置21全体の動作制御を司るコンピュータ装置である。例えば、コントローラ26は、保守員の操作に応じて端末装置15から送信される操縦信号に基づいて上述の飛行用モータの動作を制御することによりエレベーター用点検装置21を昇降路2内で昇降させる。またコントローラ26は、撮像装置23に撮像を開始させたり、このとき撮像装置23から出力される撮像映像の映像データを端末装置15に送信するよう通信装置25を制御したり、撮像映像の解像度を上げ又は下げるよう撮像装置23を制御する。なお、撮像装置23は、複数の画像群である映像ではなく、画像を撮像しても当然よいものとし、この場合、通信装置25は画像を端末装置15に送信し、端末装置15は画像を表示する。
ここで、かかる優先点検高さ位置について、図4及び図5を参照して説明する。図4は、エレベーター1において、地震による強い揺れが発生した結果、昇降路2に異常が発生した一例として、昇降路2において、主ロープ13が引っ掛かった状態を示す。
図4において、乗りかご3は、上層階で停止した状態、釣合錘8は、エレベーター1の構造上、下層階で停止した状態を示す。乗りかご3の現在の停止階及び各階の階高H1〜H7の情報(階高情報)は上述のように機械室6に設置された制御盤12が管理しており、保守員が端末装置15を制御盤12と接続することにより、これらの情報を当該制御盤12から端末装置15に取り込ませることができる。
そして端末装置15は、このようにして取得したこれらの情報から、巻上機14から乗りかご3までの主ロープ13の長さL1と、巻上機14から釣合錘8までの主ロープ13の長さL2とをそれぞれ算出する。例えば長さL1は階高H1とすることができる。また、長さL2の近似値を、階高H1〜H5を合計することで算出することができる。
また端末装置15は、上述のようにして取得した乗りかご3の現在の停止階から、乗りかご3の現在の停止階が中間階より上であるか、又は、下であるかを判定する。この判定結果を用いることで、端末装置15は、巻上機14から乗りかご3までの主ロープ13の長さL1と、巻上機14から釣合錘8までの主ロープ13の長さL2とのいずれが長いかを判定することができる。
長さL1及び長さL2の関係としては、図5(A)〜図5(C)に示す3通りが考えられる。乗りかご3の停止階が中間階より下である場合、図5(A)に示すように、長さL1が長さL2より小さい値となる。また乗りかご3の停止階が中間階より上である場合、図5(B)に示すように、長さL1が長さL2よりも大きい値となる。さらに乗りかご3の停止階が中間階である場合には、図5(C)に示すように、長さL1及び長さL2がほぼ等しい値となる。
ここで、主ロープ13の長さが長い方が揺れによる振れ幅が大きいため、地震の揺れにより主ロープ13が昇降路2の中で引っ掛かったり、主ロープ13が昇降路2内の機器に衝突して当該機器を損傷させたりする可能性は、主ロープ13の巻上機14から乗りかご3までの部分と、巻上機14から釣合錘8までの部分とのうち、長さが長い方が高い。また、主ロープ13の巻上機14から乗りかご3又は釣合錘8までの部分のうち、振れ幅が最も大きくなる可能性が高いのは当該部分の中間位置(主ロープ13の巻上機14から乗りかご3又は釣合錘8までの部分の中間位置)である。
そこで、端末装置15は、昇降路2内の高さ位置であって、主ロープ13の巻上機14から乗りかご3までの部分と、巻上機14から釣合錘8までの部分とのうちの長さが長い方の中間位置と同じ高さ位置を優先点検高さ位置と判定する。
例えば、図5(A)においては、乗りかご3は中間階より下に停止しており、長さL1が長さL2より大きな値となる。また、主ロープ13の長さL1側の振れ幅が最も大きくなる可能性が高いのは、主ロープ13の長さL1側の中間位置A1である。従って、この場合、端末装置15は、昇降路2内における主ロープ13の長さL1側の中間位置A1と同じ高さ位置を優先点検高さ位置と判定する。
なお、この場合における最下階から主ロープ13の中間位置A1までの高さは、各階の階高H1〜H7の合計から、長さL1の中間位置A1に相当する距離である昇降路2の天井からの距離(L1÷2)を差し引くことで算出することができる。
また図5(B)においては、乗りかご3は中間階より上に停止しており、長さL2が長さL1より大きな値となる。また、主ロープ13の長さL2側の振れ幅が最も大きくなる可能性が高いのは、主ロープ13の長さL2側の中間位置B1である。従って、この場合、端末装置15は、昇降路2内における主ロープ13の長さL2側の中間位置B1と同じ高さ位置を優先点検高さ位置と判定する。
この場合における最下階から主ロープ13の中間位置B1までの高さは、各階の階高H1〜H7の合計から、長さL2の中間位置B1に相当する距離である昇降路2の天井からの距離(L2÷2)を差し引くことで算出することができる。
さらに図5(C)においては、乗りかご3は中間階に停止しており、長さL1及び長さL2がほぼ同じ値となる。また、主ロープ13の長さL1側及び長さL2側の振れ幅が最も大きくなる可能性が高いのは、主ロープ13の長さL1側及び長さL2側の中間位置C1である。従って、この場合、端末装置15は、昇降路2内における主ロープ13の長さL1側及び長さL2側の中間位置C1と同じ高さ位置を優先点検高さ位置と判定する。
この場合における最下階から主ロープ13の中間位置C1までの高さは、各階の階高H1〜H7の合計から、長さL1及び長さL2の中間位置C1に相当する距離である昇降路2の天井からの距離(L1÷2又はL2÷2)を差し引くことで算出することができる。
かくして端末装置15は、上述のように、乗りかご3が停止している停止階と各階の階高情報から優先点検高さ位置を算出し、算出した優先点検高さ位置をエレベーター用点検装置21に通知する。また端末装置15は、このようにして算出した優先点検高さ位置と、制御盤12から取得した乗りかご3の現在の停止階とに基づいてエレベーター用点検装置21を昇降路2内に投入すべき階を判定する。そして端末装置15は、この結果をディスプレイ20(図3)に表示する。
一方、エレベーター用点検装置21は、保守員によって昇降路2内に投入される。この際、保守員は、端末装置15に表示された、エレベーター用点検装置21を投入すべき階を確認し、その階の乗り場ドア10を開けてエレベーター用点検装置21を昇降路2内に投入する。また保守員は、この後、端末装置15を操作してエレベーター用点検装置21を上昇させる。
このときエレベーター用点検装置21のコントローラ26は、気圧計24の計測結果に基づいて高さ方向の移動距離を逐次算出し、算出結果に基づいて、エレベーター用点検装置21を昇降路2内の優先点検高さ位置にまで上昇させる。そしてコントローラ26は、この後、昇降路2内の優先点検高さ位置における主ロープ13の状態や昇降路2内に設置された機器の状態を撮像装置23により撮像させ、かくして得られた映像データを通信装置25を介して端末装置15に無線送信する。
(2)優先点検高さ位置決定処理
図6は、地震による強い揺れが発生し、乗りかご3の昇降運転が停止された際に、端末装置15のCPU16がプログラム18に基づいて実行する優先点検高さ位置決定処理の処理手順を示す。CPU16は、この図6に示す手順に従って、優先点検高さ位置を決定する。
実際上、地震による強い揺れが発生し、乗りかご3の昇降運転が停止された後、保守員によって端末装置15が制御盤12に接続されると、CPU16は、制御盤12から乗りかご3の現在の停止階の情報(以下、これをかご位置情報と呼ぶ)と、各階の階高情報とを取得する(SP11)。
続いて、CPU16は、ステップSP11で取得したかご位置情報及び各階の階高情報に基づいて巻上機14から乗りかご3までの長さL1を算出すると共に(SP12)、巻上機14から釣合錘8までの長さL2を算出する(SP13)。
次いで、CPU16は、ステップSP12で算出した長さL1と、ステップSP13で算出した長さL2とに基づいて優先点検高さ位置を決定する(SP14)。具体的に、CPU16は、長さL1が長さL2よりも長い場合には、昇降路2内における巻上機14から乗りかご3までの主ロープ13の中間位置(図5(A)の中間位置A1)と同じ高さ位置を優先点検高さ位置に決定する。
また、CPU16は、長さL2が長さL1よりも長い場合には、昇降路2内における巻上機14から釣合錘8までの主ロープ13の中間位置(図5(B)の中間位置B1)と同じ高さ位置を優先点検高さ位置に決定し、長さL1と長さL2がほぼ同じ長さの場合には、昇降路2内における昇降路2内における巻上機14から乗りかご3までの主ロープ13の中間位置及び巻上機14から釣合錘8までの主ロープ13の中間位置(図5(C)の中間位置C1)と同じ高さ位置を優先点検高さ位置に決定する。
この後、CPU16は、上述のようにして決定した優先点検高さ位置を優先点検高さ位置情報としてエレベーター用点検装置21に送信する(SP15)。
続いて、CPU16は、保守員がエレベーター用点検装置21を昇降路2内に投入すべき階を、ステップSP14で決定した優先点検高さ位置に基づいて判定し(SP16)、その判定結果を端末装置15のディスプレイ20に表示させる(SP17)。
具体的に、CPU16は、長さL1よりも長さL2が大きい場合や、長さL1と長さL2がほぼ同じ場合には、乗りかご3の停止位置の1階床上の階を、エレベーター用点検装置21を昇降路2内に投入すべき階と判定する。またCPU16は、長さL1よりも長さL2が大きいと判定した場合には、最下階を、エレベーター用点検装置21を昇降路2内に投入すべき階と判定する。かくして保守員は、端末装置15に表示された階の乗り場4の乗り場ドア10を開けて昇降路2内にエレベーター用点検装置21を投入する。
そしてCPU16は、この後、この優先点検高さ位置決定処理を終了する。
(3)昇降路内撮像処理
図7は、端末装置15から優先点検高さ位置が通知された際に、エレベーター用点検装置21のコントローラ26により実行される昇降路内撮像処理の処理手順を示す。エレベーター用点検装置21は、この図7に示す手順に従って、昇降路2内を撮像する。
実際上、エレベーター用点検装置21のコントローラ26は、端末装置15から優先点検高さ位置が通知されると、まず、通知された優先点検高さ位置を認識する(SP21)。
続いて、コントローラ26は、この後に保守員により行われる端末装置15に対する所定操作に応じて、上述の飛行用モータを駆動させることによりエレベーター用点検装置21の上昇を開始させる(SP22)。またコントローラ26は、撮像装置23に撮像開始を指示し(SP23)、この結果として撮像装置23から出力される撮像映像の映像データを端末装置15に送信するよう通信装置25に指示を与える(SP24)。
これにより、エレベーター用点検装置21が昇降路2内を上昇しながら撮像した映像の映像データが端末装置15に送信され、この映像データに基づく撮像装置23の撮像映像が端末装置15にリアルタイムで表示される。
この後、コントローラ26は、気圧計24の計測結果に基づいて、エレベーター用点検装置21が優先点検高さ位置を中心とする所定の高さ範囲(優先点検高さ位置の上下1m以内の高さであり、以下、これを優先点検高さ範囲と呼ぶ)の下限に到達するのを待ち受ける(SP25)。
そしてコントローラ26は、やがてエレベーター用点検装置21が上述の優先点検高さ範囲の下限に到達することによりステップSP25で肯定結果を得ると、上述の飛行用モータを制御してエレベーター用点検装置21の上昇速度を低減(例えば半分に)させると共に、撮像映像の解像度を上げる(例えば2倍に上げる)よう撮像装置23を制御する(SP26)。
またコントローラ26は、この後、気圧計24の計測結果に基づいて、エレベーター用点検装置21が優先点検高さ範囲の上限を超えるのを待ち受ける(SP27)。この結果、エレベーター用点検装置21がかかる優先点検高さ範囲内を飛行している間は、それ以外の半分の上昇速度かつ2倍の解像度で昇降路2内の撮影が行われることになる。
そして、コントローラ26は、やがてエレベーター用点検装置21が優先点検高さ範囲の上限を超える高さにまで上昇するステップSP27で肯定結果を得ると、上述の飛行用モータを制御することによりエレベーター用点検装置21のさらなる上昇を停止させる。
続いて、コントローラ26は、保守員から上昇、下降又は回転等の何等かの動作を実行すべき指示が与えられたか否かを判定する(SP28)。そしてコントローラ26は、この判定で否定結果を得ると、ステップSP30に進む。これに対して、コントローラ26は、ステップSP28の判定で肯定結果を得ると、保守員から与えられた指示に従い、要求された動作等を実行するよう飛行用モータ等を制御する(SP29)。
続いてコントローラ26は、保守員から撮像動作の終了指示が与えられたか否かを判定する(SP30)。そしてコントローラ26は、この判定で否定結果を得ると、エレベーター用点検装置21の位置が優先点検高さ位置を超えてから一定時間が経過したか否かを判定する(SP31)。
コントローラ26は、この判定で否定結果を得ると、ステップSP28に戻り、この後、ステップSP30又はステップSP31で肯定結果を得るまでステップSP28〜ステップSP31の処理を繰り返す。
そしてコントローラ26は、やがて保守員から撮像動作の終了指示が与えられることによりステップSP30の判定で肯定結果を得、又は、エレベーター用点検装置21の位置が優先点検高さ位置を超えてから一定時間が経過することによりステップSP31の判定で肯定結果を得ると、上述の飛行用モータを駆動させることによりエレベーター用点検装置21を昇降路2内における最初の投入位置にまで下降させ、この後、この昇降路内撮像処理を終了する。
(4)本実施の形態の効果
以上のように、本実施の形態によるエレベーター用点検システム30では、端末装置15が、昇降路2内の優先点検高さ位置を算出してエレベーター用点検装置21に通知する。またエレベーター用点検装置21は、通知された優先点検高さ位置にまで上昇飛行し、その優先点検高さ位置における昇降路2内の状況を撮影して端末装置15に送信する。そして端末装置15は、エレベーター用点検装置21から送信されてきた映像データに基づく映像を表示する。
従って、本エレベーター用点検システム30によれば、保守員がエレベーター1の昇降路2内の最も優先的に点検すべき高さ位置の状況を優先的に把握することができるため、エレベーター1の点検を効率的に行うことができ、かくしてエレベーター1の復旧作業を迅速化させることができる。
また本エレベーター用点検システム30によれば、昇降路2内の機器に異常が発見された場合、地震による被害が大きいと判定し復旧を後回しにして、隣接するエレベーター1の復旧に取り掛かる、又は、発見した直後に応援を呼ぶ等の判定を迅速に行うことが可能となる。
(5)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、エレベーター用点検装置21が保守員によって持ち込まれる場合について述べたが、本発明はこれに限らず、エレベーター用点検装置21を、昇降路2の中におけるピット5の床及び又は乗りかご3のかご上に常設するようにしてもよい。
また上述の実施の形態においては、昇降路2の優先点検高さ位置よりも下側からエレベーター用点検装置21を昇降路2内に投入するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、昇降路2の優先点検高さ位置よりも上側からエレベーター用点検装置21を昇降路2内に投入するようにしてもよい。
さらに上述の実施の形態においては、端末装置15が制御盤12から各階の階高情報を取得する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、端末装置15が各階の階高情報を予め保持していてもよいし、端末装置15が制御盤12から製造番号のみを取得して、保持するデータベースを参照することで各階の階高情報を取得してもよいし、端末装置15が製造番号を基に管理センタに問い合わせることで各階の階高情報を取得するようにしてもよい。
さらに上述の実施の形態においては、端末装置15において優先点検高さ位置を算出する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、エレベーター用点検装置21が優先高さ点検位置を算出する演算部を備えてもよい。またエレベーター用点検装置21は、通信装置25及びコントローラ26を備えていればよく、カメラを備えたドローンが撮像した映像を取得して、当該映像を端末装置15へ表示するために送信するような中継装置でもよい。
1……エレベーター、2……昇降路、3……乗りかご、4……乗り場、5……ピット、6……機械室、7……かご用ガイドレール、8……釣合錘、9……釣合錘用ガイドレール、10……乗り場ドア、11……かごドア、12……制御盤、13……主ロープ、14……巻上機、15……端末装置、16……CPU、17……メモリ、18……プログラム、19,25……通信装置、20……ディスプレイ、21……エレベーター用点検装置、22……プロペラ、23……撮像装置、24……気圧計、26……コントローラ、30……エレベーター用点検システム。

Claims (7)

  1. エレベーターの乗りかごが停止した際に、エレベーターの昇降路内を点検するためのエレベーター用点検装置であって、
    前記乗りかごの停止階及び各階の階高情報に基づいて、前記昇降路内の点検対象とする第1の高さ位置を演算する演算部と、
    撮像装置が搭載されて前記昇降路内を上下方向に飛行する飛行体を制御するコントローラであって、前記演算部から取得した当該第1の高さ位置に基づいて、前記第1の高さ位置まで移動するよう前記飛行体を制御し、前記撮像装置により撮影した画像を取得する前記コントローラと
    を備えることを特徴とするエレベーター用点検装置。
  2. エレベーターの乗りかごが停止した際に、当該エレベーターの昇降路内を点検するためのエレベーター用点検システムであって、
    撮像装置が搭載され、前記昇降路内を上下方向に飛行するエレベーター用点検装置と、
    保守員が携帯する端末装置と、
    前記乗りかごの停止階及び各階の階高情報を前記端末装置に送信するエレベーター制御装置と
    を備え、
    前記端末装置は、
    取得した前記停止階及び前記階高情報に基づいて、前記昇降路内の点検対象とする第1の高さ位置を算出し、算出した前記第1の高さ位置を前記エレベーター用点検装置に通知し、
    前記エレベーター用点検装置は、
    前記昇降路内を前記端末装置から通知された前記第1の高さ位置にまで飛行して撮影した画像を前記端末装置に送信し、
    前記端末装置は、
    前記エレベーター用点検装置から受信する前記画像を表示する
    ことを特徴とするエレベーター用点検システム。
  3. 前記エレベーター用点検装置は、
    プロペラと、
    前記プロペラを回転駆動するモータと、
    前記モータを制御するコントローラと
    を備え、
    前記コントローラは、
    前記端末装置から通知された前記昇降路内の前記第1の高さ位置の上下方向の所定範囲内の高さ位置における前記エレベーター用点検装置の上昇速度が、当該所定範囲に到達するまでの上昇速度よりも遅くなるよう前記モータを制御する
    ことを特徴とする請求項2に記載のエレベーター用点検システム。
  4. 前記コントローラは、
    前記昇降路内の前記第1の高さ位置の上下の前記所定範囲内の高さ位置において、撮像映像の解像度を、当該所定範囲に到達するまでの撮像映像の解像度よりも上げるように前記撮像装置を制御する
    ことを特徴とする請求項3に記載のエレベーター用点検システム。
  5. 前記端末装置は、
    前記第1の高さ位置に基づいて、前記エレベーター用点検装置を前記昇降路内に投入すべき階を判定して、前記投入すべき階を前記保守員に表示する
    ことを特徴とする請求項2に記載のエレベーター用点検システム。
  6. エレベーターの乗りかごが停止した状態で、当該エレベーターの昇降路内の状況を保守員が点検するために使用するエレベーター用点検システムの制御方法であって、
    前記エレベーター用点検システムは、
    撮像装置が搭載され、前記昇降路内を上下方向に飛行するエレベーター用点検装置と、
    前記保守員が操作する端末装置と
    を有し、
    前記端末装置が、前記乗りかごの停止階及び各階の階高情報を取得する第1のステップと、
    前記端末装置が、取得した前記停止階及び前記階高情報に基づいて、前記昇降路内の優先的に点検すべき第1の高さ位置を算出する第2のステップと、
    前記端末装置が、算出した前記第1の高さ位置を前記エレベーター用点検装置に通知する第3のステップと、
    前記エレベーター用点検装置が、前記昇降路内を前記端末装置から通知された前記第1の高さ位置にまで飛行し、少なくとも前記昇降路内における当該第1の高さ位置の状況を前記撮像装置により撮影する第4のステップと、
    前記エレベーター用点検装置が、当該撮影により得られた映像データを前記端末装置に送信する第5のステップと、
    前記端末装置が、前記エレベーター用点検装置から送信されてきた前記映像データに基づく前記撮像装置の撮像映像を表示する第6のステップと
    を備えることを特徴とするエレベーター用点検システムの制御方法。
  7. エレベーターの乗りかごが停止した状態で、当該エレベーターの昇降路内の状況を保守員が点検するために使用するエレベーター用点検システムを構成する端末装置であって、
    プログラムを記憶するメモリと、
    前記メモリに格納された前記プログラムを実行するプロセッサと、
    情報を表示するディスプレイと
    を備え、
    前記プロセッサは、
    前記メモリに格納された前記プログラムに基づいて、
    前記乗りかごの停止階及び各階の階高情報を取得し、
    取得した前記停止階及び前記階高情報に基づいて、前記昇降路内の優先的に点検すべき第1の高さ位置を算出し、
    算出した前記第1の高さ位置を、前記昇降路内を撮像しながら上下方向に飛行するエレベーター用点検装置に通知し、
    当該通知に応じて前記昇降路内を前記第1の高さ位置にまで上昇する前記エレベーター用点検装置から送信されてくる映像データに基づく撮像映像を前記ディスプレイに表示させる
    ことを特徴とする端末装置。
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