JP2018144611A - 車両の前部構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】バンパーの下方への変形が防止され、かつ前突時の衝撃を衝撃感知センサが早期に感知できる車両の前部構造を提供する。【解決手段】車両の前部構造は、車両の前面に設けられるバンパーフェイシャーと、車両の幅方向に延びる第1骨格部材に取り付けられ、バンパーフェイシャーを第1骨格部材に固定するバンパーブラケットと、第1骨格部材の下方に設けられ、車両の幅方向に延びる第2骨格部材と、第2骨格部材に取り付けられ、バンパーブラケットを支持する支持部材と、第1骨格部材に取り付けられ、車両に生じた衝撃を感知する衝撃検出手段と、を備えている。そして、支持部材は、車両前端側が開口し後端側に弱化部が形成されるように車両前後方向に延びるスリットを備えている。【選択図】図2

Description

本発明は、車両のバンパーを含む前部構造に関する。
車両の前部に取り付けられるバンパーフェイシャーを、バンパーフェイシャーとフレームとの間にバンパーブラケットを設けて取り付けることがある。又、車両の前部に、車両が前突したときの衝撃を感知する衝撃感知センサが設けられることがある。
バンパーブラケットは、これをフレームに取り付けるにあたり、下部に支持部材を設けて取り付けることがある。衝撃感知センサは、感知した信号がエアバッグ装置等の作動に用いられるため、衝撃を早期に、かつ確実に感知することが求められる。
特開平6−316244号公報
車両が前突した際、バンパーブラケットが衝撃感知センサと衝突物との間に挟まれると、前突時の衝撃エネルギーがバンパーブラケットに吸収され、前突の衝撃が間接的に衝撃感知センサに伝達されてしまう。すると、衝撃感知センサの衝突を感知する速度や精度が低下するおそれがある。そのため、前突時に直ちにバンパーブラケットが衝撃感知センサの下方に移動するよう、支持部材は、剛性が低く、破損し易いことが好ましい。
一方、支持部材の剛性が低いと、例えば人がバンパーに手をついただけで支持部材が座屈し、バンパーの破損を招くおそれがある。
本発明は、バンパーの下方への変形が防止でき、かつ前突時の衝撃を衝撃感知センサが早期に、確実に感知できる車両の前部構造を提供することを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するため、車両の前部構造を次のように構成した。車両の前部構造は、車両の前面に設けられるバンパーフェイシャーと、車両の幅方向に延びる第1骨格部材に取り付けられ、バンパーフェイシャーを第1骨格部材に固定するバンパーブラケットと、第1骨格部材の下方に設けられ、車両の幅方向に延びる第2骨格部材と、第2骨格部材に取り付けられ、バンパーブラケットを支持する支持部材と、第1骨格部材に取り付けられ、車両に生じた衝撃を感知する衝撃検出手段と、を備えている。そして、支持部材は、車両前端側が開口し後端側に弱化部が形成されるように車両前後方向に延びるスリットを備えている。
本発明にかかる車両の前部構造は、次の効果を奏する。バンパーを上方から押圧しても、バンパーはバンパーブラケットに支持され、所定の位置に保持される。
万一、前突事故が発生して、バンパーに前方から押圧力が加えられたとする。すると、バンパーブラケットの支持部材の弱化部が前後方向に変形し、支持部材が座屈する。支持部材が座屈すると、バンパーブラケットが下方に移動し、衝撃感知センサと衝突物との間にバンパーブラケットが挟まれることを防止できる。
又、支持部材が弱化部で容易に変形するため、支持部材の変形に衝撃エネルギーが費やされない。これにより、前突により生じる衝撃が衝撃感知センサに直接的に伝達され、高い精度で衝撃が衝撃感知センサで感知される。
本発明の前部構造を備えた車両を示す斜視図。 同前部構造を示す断面図。 同前部構造を示す斜視図。 同前部構造の支持部材を示す斜視図。 同支持部材を示す側面図。 前突したときの同前部構造を示す断面図。 第2の実施形態の支持部材を示す側面図。 第3の実施形態の支持部材を示す正面図。 第3の実施形態の支持部材を示す側面図。 第4の実施形態の支持部材を示す正面図。 第5の実施形態の支持部材を示す側面図。 第6の実施形態の支持部材を示す側面図。
本発明にかかる一実施形態の車両の前部構造について説明する。
(第1実施形態)
図1に車両10を示す。車両10は、前部にバンパー12と、フード14と、フロントウィンドシールドガラス16と、ヘッドライト18と、左右の前輪20とを備えている。以下、説明において、車両10の直進方向を前方とし、その逆を後方とし、前方を基準に、車両10の幅方向に沿って左右を定める。又、車両10を水平に配置したときの重力の方向を下方、その逆を上方とする。
バンパー12は、車両10の前面に設けられている。バンパー12は、バンパー12の表面を形成するバンパーフェイシャー22と、バンパーフェイシャー22を裏側から保持するバンパーブラケット24(図2参照)とを備えている。
バンパーフェイシャー22は、車両10の前面に設けられている。バンパーフェイシャー22は、上下方向で、フード14の前端Aから車両10の前面の下方まで、幅方向で、左右の前輪20の近傍までを覆っている。バンパーフェイシャー22には、適宜、空気取入口23が形成されている。バンパーフェイシャー22は、基本的に合成樹脂材で、一体に形成されている。尚、バンパーフェイシャー22は、複数の部材を組み合わせたものでもよい。バンパーフェイシャー22と車両10のフレーム30との間にバンパーブラケット24が設けられている。
図2、図3に、バンパーブラケット24と車両10のフレーム30の前方部分を示す。図2は、車両10の幅方向中央を通り、車両10の前後方向に延びる縦平面で、バンパーブラケット24及びフレーム30を破断した断面図である。図3は、フレーム30の前部を斜め前方から示す斜視図である。フレーム30は、基本的に金属製で、所定の剛性を有している。
フレーム30は、前部に、第1骨格部材32と、第2骨格部材34と、第1クロスメンバ36と、左右一対のフロントサイドメンバ38と、左右一対の縦部材40とを備えている。
フロントサイドメンバ38は、車両10の前後方向に沿って、車両10の左右に一対設けられている。左右のフロントサイドメンバ38の前端に、第1クロスメンバ36が幅方向に設けられている。第1クロスメンバ36は、左右のフロントサイドメンバ38を連結している。
それぞれのフロントサイドメンバ38の先端に、縦部材40が上下(縦)方向に取り付けられている。縦部材40の上部には、第1骨格部材32が設けられている。第1骨格部材32は、縦部材40の上部に幅方向に設けられ、左右の縦部材40を連結している。第1骨格部材32には、車両10の第1ピラー21(図1参照)から延びるエプロンアッパメンバ41が接続されている。又、第1骨格部材32には、幅方向の中央後面に、衝撃感知手段としての衝撃感知センサ42が設けられている。
衝撃感知センサ42は、車両10に前突等が発生して生じた衝撃を感知するセンサで、衝撃を感知すると、その旨の信号を制御装置に送り出す。制御装置は、例えばエアバッグ装置等の所定の各装置と接続し、衝撃感知センサ42から検知信号が送られてくると、信号を処理し、各種装置を作動させるための作動信号を送信する。
第1骨格部材32と第1クロスメンバ36の間に、第2骨格部材34が設けられている。第1骨格部材32と第2骨格部材34と第1クロスメンバ36は、互いにほぼ平行に設けられている。フレーム30の前面に、バンパーブラケット24が取り付けられている。
バンパーブラケット24は、基本的に合成樹脂材で全体が形成されている。バンパーブラケット24には、バンパーフェイシャー22を固定する固定ねじ25を通す通孔53が設けられている。
バンパーブラケット24は、図2に示すように、第1骨格部材32から車両10の前方に延びており、上端が第1骨格部材32に取り付けられ、下端に支持部材60が取り付けられている。支持部材60は、バンパーブラケット24が自重で垂れ下がるのを防止するための部材である。
図4、図5に、支持部材60を示す。図4は、支持部材60を斜め上方から示す斜視図である。図5は、支持部材60を左方から示す側面図である。支持部材60は、本体部62と、取付片64とを備えている。本体部62は、支持部材60を車両10に取り付けた状態で、フレーム30から車両前方かつ上方に向かって延びた概ね直方体形状を有している。取付片64は、支持部材60を車両10に取り付けた状態で本体部62の上下方向両端に一対設けられている。支持部材60は、基本的に合成樹脂材から一体に形成されている。
取付片64は、支持部材60を車両10に取り付けた状態で略鉛直方向に延びるように、本体部62の長手方向に対して所定の角度αで、それぞれ本体部62の外方に突出している。取付片64は、互いに平行に設けられている。取付片64は、先端に通孔65を有している。上部の取付片64は、通孔65を用いてバンパーブラケット24の下端にねじ止めされ、下部の取付片64は、通孔65を用いて第2骨格部材34にねじ止めされている。図2にかかる状態を示す。
更に、本体部62は、第1スリット66と第2スリット68とを有している。支持部材60を車両10に取り付けた状態で、第1スリット66は、第2スリット68の上方に位置している。第1スリット66は、請求項でいう上部側のスリットである。
第1スリット66は、本体部62の上端から、本体部62の全長Lのほぼ1/3の長さ(L/3)下方の位置に設けられている。第2スリット68は、第1スリット66から更にL/3の長さ下方の位置に設けられている。
第1スリット66及び第2スリット68は、支持部材60をバンパーブラケット24と第2骨格部材34との間に取り付けたとき、ほぼ水平に配置されるように設けられている。
第1スリット66と第2スリット68は、いずれも本体部62の横幅方向全体にわたり設けられている。第1スリット66及び第2スリット68の上下方向の幅は、極力薄く形成するとよい。第1スリット66は、後端が開口し、第2スリット68は、前端が開口している。
つまり、第1スリット66は、本体部62の後面から所定長さ前方の位置まで形成され、これにより、支持部材60の上部前方に第1薄肉部70が形成されている。又、第2スリット68は、本体部62の前面から所定長さ後方の位置まで形成され、これにより、支持部材60の下部後方に第2薄肉部72が形成されている。
第1薄肉部70及び第2薄肉部72は、それぞれの各スリットの間隔が開く方向に力を受けると塑性変形し、各スリットの拡がりに従って支持部材60を前後方向に沿って屈曲させる。第1スリット66及び第2スリット68は、前後方向の押圧力に対して本体部62の支持力(剛性)を弱化させ、前後方向に支持部材60を変形可能としている。第1薄肉部70及び第2薄肉部72は、請求項でいう弱化部である。
一方、支持部材60は、上方から押圧力を受けたとしても、第1スリット66及び第2スリット68により形成された面の上下内面どうしが接触することで荷重を受ける。したがって、第1スリット66及び第2スリット68を有する支持部材60の上方向からの荷重に対する強度(剛性)は、スリットが設けられていない支持部材60が有する上方向からの荷重に対する強度とほぼ同程度の値となっている。
尚、第1スリット66や第2スリット68は、例えば、図12に示すような上下方向に開いた空隙dで形成されていてもよい。又、空隙dの内部に形成された突部等で、常に空隙dの上下内面の一部が接触している状態に支持部材60を形成してもよい。空隙は、下記の各実施形態においても同様に形成されていてよい。
次に、車両10の前部構造の作用、効果について説明する。図2に示すように、バンパーフェイシャー22は、車両10の前面に、バンパーブラケット24を介してフレーム30に取り付けられている。
例えば、バンパー12の上面に手をついてバンパー12を上から押圧したと仮定する。上からの押圧力は、バンパーフェイシャー22からバンパーブラケット24に伝わり、支持部材60に上方から押圧力が加わる。支持部材60の下端は、第2骨格部材34に固定されているため、支持部材60は上下から押圧される。
支持部材60に設けられている第1スリット66と第2スリット68は、前後方向に沿ってほぼ水平に形成されているので、上方からの押圧力がかかると、各スリットにより形成された面の上下内面が接触する。したがって、支持部材60は、上方からの押圧力では容易に座屈等変形することがなく、バンパーブラケット24を保持する。したがって、バンパーフェイシャー22は、バンパーブラケット24により確実に保持され、上から押圧されてもバンパー12が破損することはない。
次に、車両10が前突したときについて説明する。車両10が衝突物に衝突すると、バンパー12に前方から押圧力がかかる。前方からの押圧力は、バンパーフェイシャー22からバンパーブラケット24に伝えられる。バンパーブラケット24に伝わった押圧力は、支持部材60の上部を、支持部材60の下部に対して後方に押圧する。
すると、支持部材60は、図6に示すように、第2薄肉部72が塑性変形し、第2スリット68が拡げられる。これにより支持部材60の上部の取付片64は、第2薄肉部72を中心にして後方に回動する。更に、支持部材60は、第2薄肉部72が塑性変形するに伴い、第1薄肉部70が塑性変形し、第1スリット66が拡げられる。
これにより、バンパーブラケット24は、下部が支持部材60と連結したまま、後方斜め下方に移動する。衝撃感知センサ42は、第1骨格部材32の幅方向ほぼ中央の後面に設けられている。車両10が前突してバンパー12が後退すると、バンパーブラケット24が後方斜め下方に移動するので、バンパーブラケット24、主にバンパーブラケット24の上板部44等が衝突物と衝撃感知センサ42との間に挟まれなくなる。
更に、第1薄肉部70と第2薄肉部72とは容易に塑性変形するので、前突により発生した衝撃エネルギーが支持部材60の変形に大きく吸収されることない。そのため、衝撃エネルギーは、衝撃感知センサ42に直接的に伝達され、衝撃感知センサ42の衝撃を感知する精度を損なわせない。
尚、支持部材60には第1スリット66を設けず第2スリット68のみを設けた構造でも同様の効果が期待できる。しかし、第2スリット68とともに第1スリット66も支持部材60に設けることにより、支持部材60の上部の取付片64が第2薄肉部72を中心に後方に回動する際に、第1スリット66が開く。これにより、第1スリット66(第1薄肉部70)が、第2薄肉部72の後方への回動に伴う支持部材60上部の変形の基点となり、第2薄肉部72をスムーズに回動させることができる。
以下、車両10の前部構造の他の実施形態について説明する。
(第2実施形態)
図7に、第2実施形態の支持部材60aを示す。支持部材60aは、本体部62aに第1スリット80及び第2スリット82を備えている。支持部材60aは、第1実施形態の支持部材60に対して、第1スリット80と第2スリット82とを備えている他はほぼ同一の構成を有している。同一の構成には同一の符号を付して説明に代える。
図7に示すように、第1スリット80と第2スリット82は、前後方向に延びる切れ目であり、本体部62aの幅方向には貫通している。そして、第1スリット80と第2スリット82は、前方向に前壁部84を有し、後方向に後壁部85を有することで、前後両端が壁部により閉じられている。第1スリット80の後壁部85は、第1スリット80の前壁部84より強度が弱い。第1スリット80の後壁部85は請求項でいう薄肉部であり、前壁部84は請求項でいう弱化部である。
第2スリット82の前壁部86は、第2スリット82の後壁部87より強度が弱い。第2スリット82の前壁部86は請求項でいう薄肉部であり、後壁部87は請求項でいう弱化部である。第1スリット80と第2スリット82は、支持部材60のスリットと同様、本体部62aをほぼ3等分したそれぞれの位置に設けられている。
第2実施形態の前部構造は、次のような作用効果を有している。バンパー12に上から押圧力が加えられても、第1実施形態と同様に各スリットにより形成された面の上下内面どうしが接触することで、支持部材60aは高い強度を発揮する。
また、本体部62aは、前後両端が前後壁部により閉じられているため、走行中の振動などによりスリットが開いたり閉じたりを繰り返してバンパーブラケット24やバンパーフェイシャー22がばたつくことがない。
万一、車両10が前突すると、第2スリット82の前壁部86は、前突による前後方向の荷重によって破断して、後壁部87を中心として本体部62aが回動する。更に、第1スリット80の後壁部85は、前突による前後方向の荷重によって破断して、前壁部84が塑性変形し第1スリット80が広げられる。これにより、第2実施形態の前部構造は、第1実施形態の前部構造が有する作用効果と同等の作用効果を有するとともに、バンパーブラケット24やバンパーフェイシャー22のばたつきを抑えるという追加効果を得ることができる。尚、第1スリット80と第2スリット82は、上下が接する切れ目でなく、上下方向に間隔を有する空隙でもよい。
(第3実施形態)
図8、図9に、第3実施形態の支持部材60bを示す。支持部材60bは、切れ目としての第1スリット66bと第2スリット68bを備えている。支持部材60bは、第1実施形態の支持部材60に対して、第1スリット66bと第2スリット68bとを備えている他はほぼ同一の構成を有している。同一の構成には同一の符号を付して説明に代える。
第1スリット66b及び第2スリット68bは、本体部62bを長手方向にほぼ3等分したそれぞれの位置に設けられている。第1スリット66b及び第2スリット68bにおける、各スリットを形成する第1面69(上面)と第2面71(下面)は、所定の間隔(ほぼ0である)をもって平行に、かつ前後方向には直線的で、幅方向には、規制部である複数屈曲した屈曲面(凹凸部)を有している。第1スリット66b及び第2スリット68bは、支持部材60bを後方から見ると、いわゆるのこぎり刃状に形成されている。屈曲面は、薄肉部70,72付近には設けないようにすることが好ましい。このようにすることで、屈曲面が薄肉部70,72における塑性変形を邪魔することがない。
第1スリット66b及び第2スリット68bは、それぞれの第1面69と第2面71が互いに異なる向きに幅方向に相対的に移動しようとすると、それぞれの山と谷とが係合し、各スリットにおける幅方向への移動が規制される。
尚、支持部材60bは、第1スリット66bと第2スリット68bの各スリットにおける、前後方向に塑性変形する弱化部や、上方からの押圧力に対抗する強度に関しては、第1実施形態の支持部材60が有するものとほぼ同じものを備えている。
これにより、支持部材60bは、第1実施形態の支持部材60と同等の保持力を有するとともに、仮に、上方からの押圧力が斜め横の方向にずれた場合には、各スリットに形成された山と谷とが係合して、第1スリット66b及び第2スリット68bでの幅方向へのずれが防止される。
尚、屈曲面の形状は、各スリットにおける幅方向への移動が規制されるものであればどのようなものでもよく、例えば円弧状に湾曲した形状でもよい。又、規制部は、各スリットを形成する第1面69(上面)と第2面71(下面)に設けられる屈曲面である必要もない。
(第4実施形態)
図10に、第4実施形態の支持部材60cを示す。支持部材60cは、第1スリット66と第2スリット68の側方に、規制部としての係止片77、79を備えている。支持部材60cは、第1実施形態の支持部材60に対して、係止片77、79を備えている他はほぼ同一の構成を有している。同一の構成には同一の符号を付して説明に代える。
第1スリット66及び第2スリット68は、本体部62cを長手方向にほぼ3等分したそれぞれの位置に設けられている。係止片77は第1スリット66の側方に、係止片79は第2スリット68の側方に設けられている。
係止片77は、本体部62cにおいて、第1スリット66を挟んで一方(下側の部材)に固定され、第1スリット66を挟んだ他方(上側の部材)の側方に接している。同様に係止片79は、本体部62cにおいて、第2スリット68を挟んで一方に固定され、第2スリット68を挟んだ他方の側方に接している。
尚、支持部材60cは、第1スリット66と第2スリット68の各スリットにおける、前後方向に塑性変形する弱化部や、上方からの押圧力に対抗する強度に関しては、第1実施形態の支持部材60が有するものと同じである。
支持部材60cによれば、係止片77、79が、第1スリット66と第2スリット68の側方に設けられているので、仮に、支持部材60cにかかる上方からの押圧力が斜め横の方向にずれた場合にも、各スリットに形成された係止片77、79により、第1スリット66及び第2スリット68での幅方向へのずれが防止される。
(第5実施形態)
図11に、第4実施形態の支持部材60dを示す。支持部材60dは、切れ目としての第1スリット66dと第2スリット68dを備えている。支持部材60dは、第1実施形態の支持部材60に対して、第1スリット66dと第2スリット68dとを備えている他はほぼ同一の構成を有している。同一の構成には同一の符号を付して説明に代える。
第1スリット66d及び第2スリット68dは、各スリットの開口部Pから車両前後方向に延び、開口部Pから離れた最奥部で上下方向に間隔が拡がる拡大部73、75を有している。
具体的には、第1スリット66dの拡大部73は、側面視で下方に頂点を有する三角形状に拡がっており、第2スリット68dの拡大部75は、上方に頂点を有する三角形状に広がっている。それぞれのスリットの拡大部73等の三角形状の拡がりは、支持部材60dの幅方向全体に亘りほぼ同一の形状に形成されている。
車両10が前突した場合、第1薄肉部70と第2薄肉部72が塑性変形しつつ拡大部73,75が潰れながら変形することによって、第1スリット66dと第2スリット68dの間に挟まれた中間部分63が、矢印Rに示す方向にスムーズに回転することができるので、上部の取付片64が後方斜め下方に移動し易くなる。
更に、支持部材60dは、拡大部73,75が潰れながら変形することにより、上部の取付片64が上方へ大きく移動することなく後方斜め下方に移動する。したがって、支持部材60dを組み付けた車両10では、車両10が前突した際、バンパーブラケット24が円滑に後方斜め下方に移動する。尚、拡大部73等の形状は、三角形に限るものではない。
(第6実施形態)
図12に、第5実施形態の支持部材60eを示す。支持部材60eは、第1スリット66eと第2スリット68eを備えている。支持部材60eは、第1実施形態の支持部材60に対して、第1スリット66eと第2スリット68eとを備えている他はほぼ同一の構成を有している。同一の構成には同一の符号を付して説明に代える。
第1スリット66e及び第2スリット68eは、空隙dを備えて形成されている。空隙dは、所定の間隔を有し、ほぼ平行に形成されている。第1スリット66eと第2スリット68eとが有する空隙dの内部に、緩衝材としての弾性体88が設けられている。弾性体88は、スポンジ等の弾性部材からなり、所定の弾性を備えている。
支持部材60eによれば、第1スリット66eと第2スリット68eに形成されている空隙dに弾性体88が充填されているので、走行中の振動などにより各スリットが開いたり閉じたりを繰り返してバンパーブラケット24やバンパーフェイシャー22がばたついた際に、弾性体88により上下面どうしの直接的な接触が緩和され、騒音が抑制される。又、各スリットを形成する際にスリットの上下方向の幅が大きくなってしまったとしても、上方からの荷重を受けた際の各スリットにおける上下方向の変形が低減される。尚、弾性体88が空隙dに充填されていても、弱化部における塑性変形に影響はほとんど生じない。
本発明の車両の前部構造によれば、バンパー12が適切に支持され、万一、車両10の前突時にはバンパーブラケット24が下方に移動し、衝撃感知センサ42の感度を良好に保つことができる。
尚、本発明は、上記実施形態で示すものに限るものではなく、発明の趣旨に適合する範囲で適宜変更可能である。例えば、車両10のフレーム構造は、上記構成に限るものではない。又、バンパーブラケット24の形状、支持部材60の形状、構成も、上記構成に限るものではない。
本発明は、車両のバンパー取り付けに利用できる。
10…車両、12…バンパー、14…フード、16…フロントウィンドシールドガラス、18…ヘッドライト、20…前輪、22…バンパーフェイシャー、23…空気取入口、24…バンパーブラケット、30…フレーム、32…第1骨格部材、34…第2骨格部材、36…クロスメンバ、38…フロントサイドメンバ、40…縦部材、41…エプロンアッパメンバ、42…衝撃感知センサ、44…上板部、53…通孔、60…支持部材、62…本体部、64…取付片、65…通孔、66…第1スリット、68…第2スリット、70…第1薄肉部、72…第2薄肉部、80…第1スリット、82…第2スリット、84…前壁部、87…後壁部、88…弾性体、A…前端、L…全長、d…空隙。

Claims (7)

  1. 車両の前面に設けられるバンパーフェイシャーと、
    前記車両の幅方向に延びる第1骨格部材に取り付けられ、前記バンパーフェイシャーを前記第1骨格部材に固定するバンパーブラケットと、
    前記第1骨格部材の下方に設けられ、前記車両の幅方向に延びる第2骨格部材と、
    前記第2骨格部材に取り付けられ、前記バンパーブラケットを支持する支持部材と、
    前記第1骨格部材に取り付けられ、前記車両に生じた衝撃を感知する衝撃検出手段と、を備え、
    前記支持部材は、前記車両前端側が開口し後端側に弱化部が形成されるように前記車両前後方向に延びるスリットを備えていることを特徴とする車両の前部構造。
  2. 前記支持部材は、前記スリットに加え、前記スリットの上方に、前記支持部材の前記車両後端側が開口し前端側に弱化部が形成されるように前記車両前後方向に延びる上部側のスリットを備えていることを特徴とする請求項1に記載の車両の前部構造。
  3. 前記スリット周辺に、前記支持部材の前記スリットを挟んだ前記スリットの上方側と下方側とが、前記車両幅方向へ相対的に移動することを規制する規制部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両の前部構造。
  4. 前記規制部は、前記支持部材の前記スリットにより形成された面に設けられる凹凸部であり、
    前記凹凸部は、対向した面に互いに対応するように形成されることを特徴とする請求項3に記載の車両の前部構造。
  5. 前記弱化部近傍には、前記車両上下方向における前記スリットの幅を拡大した拡大部を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両の前部構造。
  6. 前記スリットの開口は、前記車両前後方向の押圧力により破断する薄肉部により閉じられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両の前部構造。
  7. 前記スリットにより形成された面には、前記車両上下方向の衝撃を吸収する緩衝材が設けられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両の前部構造。
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