JP6201909B2 - 車両用衝突検知装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の衝突事故の発生を正確に検知可能な車両用衝突検知装置に関する。
従来、歩行者が車両に衝突した際、歩行者への衝撃を軽減するための歩行者保護装置を備えた車両がある。この車両では、バンパ部にセンサを備えた衝突検知装置を設け、このセンサにより車両に歩行者などが衝突したことが検知された場合、歩行者保護装置を作動させ、歩行者への衝撃を和らげる構成となっている。この歩行者保護装置には、例えばポップアップフードと呼ばれるものがある。このポップアップフードは、車両の衝突検知時に、エンジンフードの後端を上昇させ、歩行者とエンジンなどの硬い部品との間隔(クリアランス)を増加させ、そのスペースを用いて歩行者の頭部への衝突エネルギーを吸収し、頭部への衝撃を低減させるものである。
上記した車両用衝突検知装置には、車両のバンパ内におけるバンパレインフォースメントの前面に、チャンバ空間を内部に有するチャンバ部材を配設し、このチャンバ空間内の圧力を圧力センサにより検出するようにしたものがある。この構成のものでは、バンパ(バンパカバー)へ物体(歩行者など)が衝突すると、バンパカバーの変形に伴ってチャンバ部材が変形し、チャンバ空間に圧力変化が発生する。この圧力変化を圧力センサが検出することで歩行者の衝突を検知している。
近年、上記したチャンバ式の車両用衝突検知装置よりも、小型で搭載性に優れたチューブ部材を用いて衝突を検知するチューブ式の車両用衝突検知装置が提案されている。この車両用衝突検知装置は、車両のバンパ内に配設された衝撃吸収用部材であるバンパアブソーバと、バンパアブソーバに車幅方向に沿って形成された溝部に装着される中空のチューブ部材と、チューブ部材内の圧力を検出する圧力センサとを備えて構成されている。そして、車両前方に歩行者などが衝突した際には、バンパアブソーバが衝撃を吸収しながら変形すると同時にチューブ部材も変形する。このとき、チューブ部材内の圧力が上昇し、この圧力変化を圧力センサにより検出することに基づいて、車両と歩行者との衝突を検知する。
独国実用新案第2011105867号明細書
しかしながら、上記した構成の車両用衝突検知装置では、衝撃吸収用部材であるバンパアブソーバが発砲部材などから形成されているので、このバンパアブソーバに溝部を設ける際に寸法公差などが生じる。このため、溝部内にチューブ部材を装着した際に、当該溝部内における検出用チューブ部材の車両前方側又は後方側に形成される隙間にばらつきが生じる。これにより、車両と歩行者との衝突時におけるチューブ部材の変形量、すなわち圧力センサによる圧力検出結果が車幅方向においてばらつくことで、衝突検知精度が低下するという問題がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、バンパアブソーバに形成された溝部内における検出用チューブ部材の車両前方側又は後方側に形成される隙間を小さくして衝突検知精度を向上させた車両用衝突検知装置を提供することを目的とする。
上記目的を解決するためになされた請求項1に記載の車両用衝突検知装置(1)は、車両のバンパ(7)内に配設されたバンパアブソーバ(2)と、バンパアブソーバに車幅方向に沿って形成された溝部(2a)に装着されると共にバンパレインフォースメント(9)の車両前方側に配設される内部に中空部(30a)が形成された検出用チューブ部材(3)と、検出用チューブ部材の中空部内の圧力を検出する圧力センサ(4)とを有し、圧力センサによる圧力検出結果に基づいてバンパへの物体の衝突を検知する。そして、検出用チューブ部材は、その外周面(31bを周回するように突設された突出部(31aが車幅方向に沿って所定間隔で複数形成した蛇腹部(31)を有している備えたことを特徴とする。
この構成によれば、検出用チューブ部材の外周面における車両前方側及び車両後方側のうち少なくとも一方の面に突設された突出部によって、バンパアブソーバの溝部内における検出用チューブ部材の車両前方側又は後方側に形成される隙間が小さくなるので、隙間のばらつきによる影響を低減することができる。すなわち、車両バンパへの歩行者等の衝突時における検出用チューブ部材の変形量が車幅方向においてばらつくことを防ぐことができ、車両用衝突検知装置の衝突検知精度を向上させることができる。なお、この欄及び特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
本発明の第1の実施形態の車両用衝突検知装置の全体構成を示す図である。 図1のバンパ部の拡大図である。 図1のバンパ部の横断面図である。 図3のバンパアブソーバの溝部の拡大断面図である。 検出用チューブ部材の蛇腹構造を示す図である。 図5のVI−VI断面図である。 図5のVII−VII断面図である。 圧力センサの内部構造を示す断面図である。 検出用チューブ部材の配置構造の変形例を示す断面図である。 参考形態における図4相当図である。 図9の検出用チューブ部材の装着方法を示す図である。
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態の車両用衝突検知装置について、図1〜図8を参照して説明する。図1〜図4に示すように、本実施形態の車両用衝突検知装置1は、衝撃吸収用部材であるバンパアブソーバ2、中空の検出用チューブ部材3、圧力センサ4、速度センサ5、衝突検知ECU6などを備えて構成されている。この車両用衝突検知装置1は、車両前方に設けられたバンパ7への物体(歩行者など)の衝突を検知するものである。このバンパ7は、図3に示すように、バンパカバー8、バンパアブソーバ2、バンパレインフォースメント9を主体として構成されている。
バンパアブソーバ2は、バンパレインフォースメント9の前面9aに設けられ、検出用チューブ部材3を囲むように配設される。このバンパアブソーバ2は、バンパ7において衝撃吸収の作用を受け持つ部材であり、例えば発泡ポリプロピレンなどからなる。このバンパアブソーバ2の後面2bには、検出用チューブ部材3を装着するための溝部2aが形成されている(図4参照)。この溝部2aは、矩形形状の断面を有し、車幅方向に沿って形成されている。なお、溝部2aは、車幅方向の途中(例えば車幅方向中央部に設けられた意匠部分など)に屈曲部を有していてもよいものとする。また、溝部2aの断面形状は矩形に限られず、例えば円形や多角形であってもよい。
検出用チューブ部材3は、図1及び図2に示すように、車幅方向(車両左右方向)に延びるチューブ状部材であり、バンパアブソーバ2の溝部2aに装着される。検出用チューブ部材3は、本体部30と、本体部30の外周を覆う蛇腹部31とを有して構成される。
本体部30は、内部に中空部30aが形成され、車両のバンパ7内におけるバンパレインフォースメント9の前面9a(車両前方側)に配設される。また、本体部30の両端部は、バンパレインフォースメント9の車幅方向左右の外側にて、略コ字状に湾曲して後述する圧力センサ4に接続されている。
本体部30は、円形の断面形状を有し、合成ゴム、例えばシリコーンゴムからなる。また、本体部30の外径は、例えば数mm〜10数mm程度であるとする。なお、本体部30の断面形状は、円形に限られず、四角形などの多角形であってもよい。また、本体部30の材質としては、他にもエチレンプロピレンゴム(EPDM)などでもよい。
蛇腹部31は、検出用チューブ部材3の本体部30の外周面30bを覆うように車幅方向に沿って形成される蛇腹形状の部分である。蛇腹部31は、図5に示すように、検出用チューブ部材3の外周面を形成する凹部31bと、複数の凸部31aとを有している。凸部31a(突出部に相当)は、凹部31bから車幅方向に沿って所定の間隔(例えば数mm)をあけて突設されている。凸部31aは、凹部31bよりも検出用チューブ部材3の径方向外側へ突出し、凹部31bを周回するように設けられている。
すなわち、蛇腹部31は、凹部31bを周回する凸部31aが車幅方向に沿って所定間隔で断続的に複数形成されていることにより蛇腹形状を構成している。なお、蛇腹部31の凸部31aの高さ(厚さ)は、例えば2mm程度であるとする(図6参照)。また、蛇腹部31の凹部31bの厚さは、例えば1mm程度であるとする(図7参照)。
蛇腹部31は、例えばスポンジゴムなどからなり、バンパアブソーバ2及び検出用チューブ部材3よりも柔らかい材質である。また、蛇腹部31は、検出用チューブ部材3と一体成形されている。また、蛇腹部31の凸部31aは、溝部2aに対して車両前後方向にはみだすように形成されている。本実施形態では、凸部31aを凹部31bに突設することにより、溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両前方側又は後方側に形成される隙間を埋めるようにしている。
なお、蛇腹部31(凸部31a)の材質は、柔軟性を有する材質であれば適宜選択可能であるものとする。例えば、蛇腹部31の材質としては、他にも軟質ポリウレタンフォームなどの軟質樹脂を用いてもよい。更に、蛇腹部31の材質としては、検出用チューブ部材3と同じ合成ゴムからなるものであっても、バンパアブソーバ2及び検出用チューブ部材3よりも硬度が小さいものであればよい。また、蛇腹部31は、凹部31bを有しない構成とし、検出用チューブ部材3の本体部30の外周面30bに複数の凸部31aのみを所定間隔で一体成形するようにしてもよい。
圧力センサ4は、バンパレインフォースメント9の前面9aよりも車両後方側に配置される。具体的には、圧力センサ4は、バンパレインフォースメント9の左右両端部側の後面9bに2つ設置され、ボルト(図示しない)を締結することにより固定されて取り付けられる。本実施形態では、このように圧力センサ4を2つ設置することにより、冗長性及び検出精度を確保している。
この圧力センサ4は、図2及び図8に示すように、検出用チューブ部材3の左右両端部に接続され、検出用チューブ部材3の中空部30a内の圧力を検出するように構成されている。具体的には、圧力センサ4は、気体の圧力変化を検出するセンサ装置であり、検出用チューブ部材3の中空部30a内の空気の圧力変化を検出する。圧力センサ4は、図1に示すように、伝送線を介して衝突検知ECU(Electronic Control Unit)6に電気的に接続され、圧力に比例した信号を衝突検知ECU6へ出力する。衝突検知ECU6は、圧力センサ4による圧力検出結果に基づいて、バンパ7への歩行者の衝突を検知する。また、衝突検知ECU6は、歩行者保護装置10に電気的に接続されている。
圧力センサ4は、図8に示すように、本体部40と、センサ部41と、圧力導入管42と、コネクタ部43とを備えて構成される。本体部40は、センサ部41を収容するための箱状のケースである。センサ部41は、圧力検出用のセンサ素子等が設けられた基板などからなる。圧力導入管42は、検出用チューブ部材3内の圧力をセンサ部41に導入するための略円筒状の管であり、本体部40から検出用チューブ部材3の中空部30a内に差し込まれている。センサ部41は、圧力導入管42を介して検出用チューブ部材3の中空部30a内の圧力変化を検出する。このセンサ部41は、コネクタ部43に設けられたコネクタ44に電気的に接続されており、圧力に比例した信号をコネクタ44及び信号線を介して衝突検知ECU6へ送信する(図1参照)。
速度センサ5は、車両の速度を検出するセンサ装置であり、衝突検知ECU6に信号線を介して電気的に接続されている。この速度センサ5は、車両速度に比例した信号を衝突検知ECU6へ送信する。
衝突検知ECU6は、CPUを主体として構成され、車両用衝突検知装置1の動作全般を制御するものであり、圧力センサ4、歩行者保護装置10のそれぞれに電気的に接続されている(図1参照)。衝突検知ECU6には、圧力センサ4からの圧力信号(圧力データ)などが入力される。衝突検知ECU6は、圧力センサ4による圧力検出結果(入力信号)に基づいて所定の衝突判定処理を実行し、バンパ7への歩行者などの物体の衝突を検知した場合には歩行者保護装置10を作動させる。
バンパ7は、車両の衝突時における衝撃を和らげるためのものであり、バンパカバー8、バンパアブソーバ2、バンパレインフォースメント9などから構成される。バンパカバー8は、バンパ7の構成部品を覆うように設けられ、ポリプロピレン等の樹脂製の部材である。このバンパカバー8は、バンパ7の外観を構成すると同時に、車両全体の外観の一部を構成するものとなっている。
バンパレインフォースメント9は、バンパカバー8内に配設されて車幅方向に延びるアルミニウムなどの金属製の剛性部材であって、図3に示すように、内部中央に梁が設けられた日の字状断面を有する中空部材である。また、バンパレインフォースメント9は、車両前方側の面(前面9a)と、車両後方側の面(後面9b)とを有している。このバンパレインフォースメント9は、図1及び図2に示すように、車両前後方向に延びる一対の金属製部材であるサイドメンバ11の前端に取り付けられる。
通常、車両の衝突事故においては、車両の進行方向(車両前方)に存在する歩行者や車両と衝突する場合が多い。このため、本実施形態では、圧力センサ4をバンパレインフォースメント9の後面9bに配設して、車両前方の歩行者や車両との衝突に伴う衝撃(外力)が、車両前方に設けられたバンパカバー8などから圧力センサ4に直接伝わることをバンパレインフォースメント9の存在によって保護している。
歩行者保護装置10としては、例えばポップアップフードを用いる。このポップアップフードは、車両の衝突検知後瞬時に、エンジンフードの後端を上昇させ、歩行者とエンジンなどの硬い部品との間隔(クリアランス)を増加させ、そのスペースを用いて歩行者の頭部への衝突エネルギーを吸収し、歩行者の頭部への衝撃を低減させるものである。なお、ポップアップフードの代わりに、車体外部のエンジンフード上からフロントウインド下部にかけてエアバッグを展開させて歩行者の衝撃を緩衝するカウルエアバッグなどを用いてもよい。
次に、本実施形態における車両用衝突検知装置1の衝突時の動作について説明する。車両前方に歩行者などの物体が衝突した際には、バンパ7のバンパカバー8が歩行者との衝突による衝撃により変形する。続いて、バンパアブソーバ2が衝撃を吸収しながら変形すると同時に、検出用チューブ部材3も変形する。このとき、検出用チューブ部材3内の圧力が急上昇し、この圧力変化が圧力センサ4に伝達する。
更に、本実施形態では、検出用チューブ部材3が装着されたバンパアブソーバ2の溝部2a内において、当該溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両前方側又は後方側に形成される隙間を蛇腹部31の凸部31aにより埋めているので、バンパアブソーバ2の変形に伴って検出用チューブ部材3を適切に変形させることが可能となっている。すなわち、凸部31aを検出用チューブ部材3の外周面を形成する凹部31bに突設することで、衝突時のバンパアブソーバ2及び検出用チューブ部材3の変形を阻害することなく、溝部2a内において検出用チューブ部材3の車両前方側又は後方側に形成される隙間のばらつきをなくすことができ、衝突検知を正確に行うことを可能としている。
車両用衝突検知装置1の衝突検知ECU6は、圧力センサ4の検知結果に基づいて、所定の衝突判定処理を実行する。この衝突判定処理では、例えば圧力センサ4及び速度センサ5の検出結果に基づいて、衝突物の有効質量を算出し、この有効質量が所定の閾値より大きい場合、歩行者との衝突が発生したものと判定し、更に車両速度が所定の範囲(例えば時速25km〜55kmの範囲)内である場合に、歩行者保護装置10の作動を要する歩行者との衝突が発生したものと判定する。
ここで、「有効質量」とは、衝突時における圧力センサ4の検出値より、運動量と力積の関係を利用して算出する質量をいう。車両と物体との衝突が発生した場合、歩行者とは質量の異なる衝突物では、検知される圧力センサ4の値が異なる。このため、人体の有効質量と、想定される他の衝突物の質量との間に閾値を設定することにより、衝突物の種類を切り分けることが可能となる。この有効質量は、次式に示すように、圧力センサ4により検出される圧力の値の所定時間における区間積分値を、速度センサ5により検出される車両速度で割ることにより算出される。
M=(∫P(t)dt)/V・・・(式1)
なお、Mは有効質量、Pは所定時間における圧力センサ4による検出値、tは所定時間(例えば、数ms〜数十ms)、Vは速度センサ5により検出される衝突時の車両速度を示している。有効質量を算出する方法には、他にも、衝突した物体の運動エネルギーEを表す式E=1/2・MV2を用いて算出することが可能である。この場合、有効質量は、M=2・E/V2により算出される。
そして、衝突検知ECU6は、歩行者保護装置10の作動を要する歩行者との衝突が発生したと判定した場合、歩行者保護装置10を作動させる制御信号を出力し、歩行者保護装置10を作動させて、上記したように歩行者への衝撃を低減させる。
以上説明したように、第1の実施形態の車両用衝突検知装置1は、車両のバンパ7内に配設されたバンパアブソーバ2と、バンパアブソーバ2に車幅方向に沿って形成された溝部2aに装着されると共にバンパレインフォースメント9の車両前方側に配設される内部に中空部30aが形成された検出用チューブ部材3と、検出用チューブ部材3の中空部30a内の圧力を検出する圧力センサ4とを有し、圧力センサ4による圧力検出結果に基づいてバンパ7への物体(歩行者)の衝突を検知する。そして、検出用チューブ部材3は、その外周面(車両前方側及び車両後方側の面を含む外周面)を形成する凹部31bに突設された凸部31aを有する蛇腹部31を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、検出用チューブ部材3の外周面を形成する凹部31bに突設された凸部31aによって、バンパアブソーバ2の溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両前方側又は後方側に形成される隙間が小さくなるので、隙間のばらつきによる影響を低減することができる。すなわち、車両バンパ7への歩行者等の衝突時における検出用チューブ部材3の変形量が車幅方向においてばらつくことを防ぐことができ、車両用衝突検知装置の衝突検知精度を向上させることができる。
また、製造時にバンパアブソーバ2の溝部2aに寸法公差が生じることにより、製造された複数のバンパアブソーバ2の溝部2aの寸法には個々に差が生じるが、検出用チューブ部材3の凹部31bに凸部31aを設けることで、溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両前方側又は後方側に形成される隙間が、各バンパアブソーバ2間でばらつくことをなくすことができる。これにより、車両と歩行者との衝突時における検出用チューブ部材3の変形量、すなわち圧力センサ4による圧力検出結果が各バンパアブソーバ2の寸法によってばらつくことを防ぐことができ、車両用衝突検知装置1による衝突検知精度の信頼性を向上させることができる。
更に、検出用チューブ部材3の車両後方側に剛性部材であるバンパレインフォースメント9が配設されているとともに、溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両前方側又は後方側に形成される隙間を凸部31aにより埋めているので、検出用チューブ部材3が車両後方側に撓むことを確実に防止でき、正確に衝突検知を行うことができる。
また、蛇腹部31の凸部31aは、検出用チューブ部材3の外周面を形成する凹部31bに車幅方向に沿って所定の間隔をあけて複数形成されたことを特徴とする。この構成によれば、蛇腹部31の凸部31aが車幅方向に沿って所定の間隔をあけて配設されていることにより、溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両前方側又は後方側に形成される隙間を効率良く埋めることができる。
また、検出用チューブ部材3は、その外周面を形成する凹部31bを周回する凸部31a(突出部)が車幅方向に沿って所定間隔で断続的に複数形成された蛇腹部31を有していることを特徴とする。この構成によれば、検出用チューブ部材3の凹部31bに車幅方向に沿って所定間隔で断続的に複数の凸部31aを設け、検出用チューブ部材3が蛇腹部31を有する構造とすることにより、溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両前方側又は後方側に形成される隙間のばらつきを効果的に小さくすることができる。
また、凸部31a(蛇腹部31)は、柔軟性を有する材質からなり、バンパアブソーバ2及び検出用チューブ部材3よりも柔らかい材質からなることを特徴とする。この構成によれば、凸部31aがバンパアブソーバ2及び検出用チューブ部材3よりも柔らかい材質であるので、溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両前方側又は後方側に形成される隙間を凸部31aにより埋めても、衝突時におけるバンパアブソーバ2及び検出用チューブ部材3の変形に蛇腹部31が悪影響を与えない。これにより、車両用衝突検知装置1の衝突検知精度を確実に向上させることができる。
また、凸部31a(蛇腹部31)は、溝部2aに対して車両前後方向にはみだすように形成されていることを特徴とする。この構成によれば、蛇腹部31を有する検出用チューブ部材3とバンパアブソーバ2(溝部2a)との嵌合強度を向上させることができ、検出用チューブ部材3の組付け性を良好にすることができる。
また、凸部31a(蛇腹部31)は、検出用チューブ部材3と一体成形されていることを特徴とする。この構成によれば、検出用チューブ部材3と凸部31aとが一体形成されているので、蛇腹部31を有する検出用チューブ部材3のバンパアブソーバ2への組付けを容易に行うことができる。
また、溝部2aは、バンパアブソーバ2の後面2bに設けられることを特徴とする。この構成によれば、検出用チューブ部材3をバンパレインフォースメント9の車両前方側に安定して配置することができるとともに、検出用チューブ部材3をバンパアブソーバ2へ組付け易くすることができる。
また、圧力センサ4は、バンパレインフォースメント9の後面9bに固定されることを特徴とする。この構成によれば、圧力センサ4をバンパレインフォースメント9の後面9b(車両後方側)に固定しているので、バンパ7の左右端部付近に歩行者などの物体が衝突しても、バンパレインフォースメント9によって衝撃が低減され、圧力センサ4にバンパカバー8からの衝撃が直接伝わらない。このため、バンパカバー8の変形により圧力センサ4に外力が加わり、圧力センサ4が外力により損傷してしまうことを防止できる。これにより、車両用衝突検知装置1の耐性を改善できるとともに、車両用衝突検知装置1による衝突検知の信頼性を向上させることができる。
更に、圧力センサ4は、バンパレインフォースメント9の後面9bにボルトの締結により固定されているので、圧力センサ4をバンパレインフォースメント9に確実に固定することができ、衝突時に圧力センサ4が外力により外れたり損傷したりすることを防止できる。
また、本実施形態では、圧力センサ4をバンパレインフォースメント9の後面9bの左右両端部側に2つ配設することにより、検出用チューブ部材3における圧力変化を高い精度で検知できるとともに、冗長性を確保できる。すなわち、2つの圧力センサ4の出力を用いて衝突判定を行うことによって、誤検知を防止して正確な衝突検知を行うことができる。
なお、上記した第1の実施形態では、溝部2a及び検出用チューブ部材3は、バンパアブソーバ2の車両後方側に配設された場合について説明したが、これに限られず、溝部2a及び検出用チューブ部材3の配設位置を適宜変更させてもよい。例えば、図9に示すように、溝部2a及び検出用チューブ部材3を、バンパレインフォースメント9の車両前方側におけるバンパアブソーバ2の中央上部に配置してもよい。
また、検出用チューブ部材3の外周面を形成する凹部31bに凸部31aを車幅方向に沿って所定間隔で複数形成することにより、蛇腹部31を有する検出用チューブ部材3としたが、これに限られない。検出用チューブ部材3は、その外周面30bにおける車両前方側及び車両後方側のうち少なくとも一方の面に突設された凸部31aを備え、凸部31aは、検出用チューブ部材3の外周面30bに車幅方向に沿って間隔をあけて複数形成されたものであればよい。すなわち、凸部31aの形状や配置個数は適宜変更可能であるとする。更に、凸部31aは、検出用チューブ部材3と一体成形されるものとしたが、別体で成形された凸部31aを検出用チューブ部材3の外周面30bに固定するようにしてもよい。
参考形態
次に、参考形態について、図10及び図11を参照して説明する。なお、図10及び図11には上記第1の実施形態と同一部分には同一の符号を付して説明を省略し、異なる部分についてだけ説明する。参考形態においては、図10及び図11に示すように、検出用チューブ部材3の外周面30bにおける車両後方側に、車両後方に向かって突出した突出部32が配設されている。突出部32は、相似形状を有する一対の第1突出部32aと第2突出部32bとからなる。
この突出部32(第1突出部32a及び第2突出部32b)は、例えばスポンジゴムなどからなり、バンパアブソーバ2及び検出用チューブ部材3よりも柔らかい材質である。
また、突出部32は、検出用チューブ部材3の車幅方向全体にわたって連続的に設けられている。
具体的には、第1突出部32aは、検出用チューブ部材3の外周面30bにおける車両後方側に設けられ、検出用チューブ部材3の外周面30b上部から車両後方に向かって突出している。第2突出部32bは、検出用チューブ部材3の外周面30bにおける車両後方側に設けられ、検出用チューブ部材3の外周面30b下部から車両後方に向かって突出している。これら第1突出部32a及び第2突出部32bは、検出用チューブ部材3の外周面30b上部及び外周面30b下部から中央側へ傾斜した曲面を有する外形形状となっている。
この参考形態では、検出用チューブ部材3をバンパアブソーバ2の溝部2aに装着する前において、第1突出部32aと第2突出部32bとは、車両上下方向に間隔をあけて設けられている。これは、衝突時における検出用チューブ部材3の適切な変形を阻害しないようにするためである。また、突出部32が設けられた検出用チューブ部材3の車両前後方向の長さは、溝部2aの車両前後方向の長さよりも長くなっている。つまり、突出部32(第1突出部32a及び第2突出部32b)は、溝部2aに対して車両前後方向にはみだすように形成されている(図11参照)。
そして、検出用チューブ部材3をバンパアブソーバ2の溝部2aに装着する際には、検出用チューブ部材3を溝部2aの奥方(車両前方)へ押し込んで装着する。これにより、突出部32が検出用チューブ部材3の外周面30bの車両後方側を覆うように配設されるとともに、上下一対の第1突出部32a及び第2突出部32bが、検出用チューブ部材3の外周面30bの中央側へ曲がりながら変形して当接する。このようにして、突出部32が突設された検出用チューブ部材3のバンパアブソーバ2(溝部2a)への組付けが完了する。
このとき、突出部32がバンパアブソーバ2及び検出用チューブ部材3よりも柔らかい材質であるため、突出部32(第1突出部32a及び第2突出部32b)が優先的に潰れて変形することで、溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両前方側又は後方側に形成される隙間を効率良く小さくすることができる(図10参照)。また、車両と歩行者との衝突時には、バンパアブソーバ2及び検出用チューブ部材3の変形に対して、突出部32の存在が悪影響を与えないようにできる。
以上説明した参考形態の車両用衝突検知装置1では、突出部32は、検出用チューブ部材3の外周面30bにおける車両後方側に設けられ、検出用チューブ部材3の外周面30b上部から車両後方に向かって突出した第1突出部32aと、第1突出部32aとは車両上下方向に間隔をあけて設けられて検出用チューブ部材3の外周面30b下部から車両後方に向かって突出した第2突出部32bとを有することを特徴とする。
この構成によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、検出用チューブ部材3の外周面30bにおける車両後方側に、検出用チューブ部材3の外周面30b上部から車両後方に向かって突出した第1突出部32aと検出用チューブ部材3の外周面30b下部から車両後方に向かって突出した第2突出部32bとを設けることにより、溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両前方側又は後方側に形成される隙間を確実に埋めることができる。これにより、簡易な構成で、車両用衝突検知装置1の衝突検知精度を向上させることができる。
特に、検出用チューブ部材3をバンパアブソーバ2の溝部2aに装着する際に、検出用チューブ部材3の外周面30b上部及び外周面30b下部に突設された上下一対の第1突出部32a及び第2突出部32bが、検出用チューブ部材3の外周面30bの中央側へ曲がりながら変形して当接することで、溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両前方側又は後方側に形成される隙間を効率良く埋めることができる。
また、突出部32は、検出用チューブ部材3の車幅方向全体にわたって連続的に設けられることを特徴とする。この構成によれば、突出部32を溝部2aの車幅方向全体にわたって設けることで、溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両前方側又は後方側に形成される隙間のばらつきを車幅方向全体にわたって小さくすることができ、より効果的に車両用衝突検知装置1の衝突検知精度を向上させることができる。
また、突出部32は、第1の実施形態と同様に、柔軟性を有する材質からなり、バンパアブソーバ2及び検出用チューブ部材3よりも柔らかい材質であることを特徴とする。この構成によれば、溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両前方側又は後方側に形成される隙間を突出部32により埋めても、突出部32がバンパアブソーバ2及び検出用チューブ部材3よりも柔らかい材質であるので、衝突時においてバンパアブソーバ2及び検出用チューブ部材3が変形することに対して悪影響を与えない。これにより、車両用衝突検知装置1の衝突検知精度をより確実に向上させることができる。
また、突出部32は、溝部2aに対して車両前後方向にはみだすように形成されていることを特徴とする。この構成によれば、検出用チューブ部材3及び突出部32(第1突出部32a及び第2突出部32b)と溝部2aとの嵌合強度を向上させることができ、検出用チューブ部材3の組付け性を良好にすることができる。
なお、上記した参考形態では、突出部32を溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両後方側に配設したが、これに限られず、突出部32を溝部2a内における検出用チューブ部材3の車両前方側に配設してもよい。この場合も、上記参考形態と同様の効果を得ることができる。
また、突出部32(第1突出部32a及び第2突出部32b)をバンパアブソーバ2の溝部2a内の車幅方向全体にわたって配設しなくてもよく、例えば車幅方向に所定間隔をあけ検出用チューブ部材3の本体部30の外周面30bに複数の突出部32を設けるようにしてもよい。この場合、第1突出部32a及び第2突出部32bは、上下一対であることが好ましい。
また、検出用チューブ部材3を溝部2aに装着する前の状態では、溝部2aの車両前後方向の長さよりも、突出部32が突設された検出用チューブ部材3の車両前後方向の長さの方が長くなるようにしたが、これに限られず、例えば突出部32が突設された検出用チューブ部材3の車両前後方向の長さが、溝部2aの車両前後方向の長さ(奥行)と同じ長さであってもよい。
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変形又は拡張を施すことができる。例えば、上記実施形態では、圧力センサ4をバンパレインフォースメント9の後面9bにおける左右両端部側に2つ配設したが、これに限られず、圧力センサ4を任意の位置に配置可能である。例えば、圧力センサ4をバンパレインフォースメント9の上面に配置してもよく、また、別の剛性部材に固定してもよい。
1 車両用衝突検知装置
2 バンパアブソーバ
2a 溝部
2b 後面
3 検出用チューブ部材
30 本体部
30a 中空部
30b 外周面
31 蛇腹部
31a 凸部(突出部)
31b 凹部(外周面)
32 突出部
32a 第1突出部
32b 第2突出部
4 圧力センサ
6 衝突検知ECU
7 バンパ
8 バンパカバー
9 バンパレインフォースメント
10 歩行者保護装置

Claims (6)

  1. 車両のバンパ(7)内に配設されたバンパアブソーバ(2)と、前記バンパアブソーバに車幅方向に沿って形成された溝部(2a)に装着されると共にバンパレインフォースメント(9)の車両前方側に配設される内部に中空部(30a)が形成された検出用チューブ部材(3)と、前記検出用チューブ部材の前記中空部内の圧力を検出する圧力センサ(4)とを有し、前記圧力センサによる圧力検出結果に基づいて前記バンパへの物体の衝突を検知する車両用衝突検知装置(1)において、
    前記検出用チューブ部材は、その外周面(31bを周回するように突設された突出部(31aが車幅方向に沿って所定間隔で複数形成した蛇腹部(31)を有していることを特徴とする車両用衝突検知装置。
  2. 前記突出部は、柔軟性を有する材質からなることを特徴とする請求項1に記載の車両用衝突検知装置。
  3. 前記突出部は、前記バンパアブソーバ及び前記検出用チューブ部材よりも柔らかい材質からなることを特徴とする請求項2に記載の車両用衝突検知装置。
  4. 前記突出部は、前記溝部に対して車両前後方向にはみだすように形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用衝突検知装置。
  5. 前記突出部は、前記検出用チューブ部材と一体成形されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用衝突検知装置。
  6. 前記溝部は、前記バンパアブソーバの後面(2b)に設けられることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の車両用衝突検知装置。
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