以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態等は、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
(実施の形態1)
<木製材料>
まず、実施の形態1に係る木製材料1について、図1を用いて説明する。図1は、実施の形態1に係る木製材料1を模式的に示す斜視図である。
本実施の形態に係る木製材料1は、主に柱や梁などに使用することができる集成材であり、図1に示すように、第1の木製部材11a、第2の木製部材11b、第3の木製部材11cおよび第4の木製部材11dと、繊維強化樹脂材料12とを有する。つまり、本実施の形態における木製材料1は、繊維強化集成材である。
第1の木製部材11a、第2の木製部材11b、第3の木製部材11cおよび第4の木製部材11dの各々は、例えば原材を製材することにより得られた長尺状の略板状部材であって、例えばラミナ等の板材である。第1の木製部材11a(第1のラミナ)、第2の木製部材11b(第2のラミナ)、第3の木製部材11c(第3のラミナ)、および、第4の木製部材11d(第4のラミナ)は、上から下に向かってこの順で積層されているが、積層順序はこれに限らない。
繊維強化樹脂材料12は、一方向に配列された強化繊維の束に熱可塑性樹脂が含浸したシート状の樹脂材料である。繊維強化樹脂材料12は、一方向に配列された強化繊維の繊維軸方向が、第1の木製部材11a、第2の木製部材11b、第3の木製部材11cおよび第4の木製部材11dの長手方向と同じになるように配置されている。
木製材料1は、繊維強化樹脂材料12の少なくとも片面に、木製部材を有している。本実施の形態では、繊維強化樹脂材料12の両面に木製部材を有している。
具体的には、繊維強化樹脂材料12の一方の面には、第2の木製部材11bが配置され、繊維強化樹脂材料12の他方の面には、第3の木製部材11cが配置されている。本実施の形態では、さらに、第2の木製部材11bには、第1の木製部材11aが積層され、第3の木製部材11cには、第4の木製部材11dが積層されている。
このように、本実施の形態における木製材料1では、繊維強化樹脂材料12の一方の面には、第2の木製部材11bおよび第1の木製部材11aが積層され、繊維強化樹脂材料12の他方の面には、第3の木製部材11cおよび第4の木製部材11dが積層されている。つまり、繊維強化樹脂材料12は、第1の木製部材11aおよび第2の木製部材11bの第1積層体と、第3の木製部材11cおよび第4の木製部材11dの第2積層体とに挟持されている。
第1の木製部材11a〜第4の木製部材11dおよび繊維強化樹脂材料12の各部材同士は、樹脂接着剤などの固定用接着剤(不図示)で接合されている。
なお、第1の木製部材11a〜第4の木製部材11dおよび繊維強化樹脂材料12は、幅および長さがいずれも同一である。したがって、第2の木製部材11bと第3の木製部材11cとが対向する面は、固定用接着剤を介して、すべて繊維強化樹脂材料12と接合されている。また、第1の木製部材11a〜第4の木製部材11dの4枚の木製部材(ラミナ)は、同一部材である。
以上、本実施の形態における木製材料1によれば、木材が有する木目などの外観や質感を有していながら、優れた強度を有する。具体的には、第1の木製部材11a〜第4の木製部材11dの側面の外観はほぼ木の質感を有しており、曲げ強度に優れ、しかも、たわみも少ない。また、木製材料1を構成する各木製部材(ラミナ)が乾燥収縮して反りやねじれなどが発生することも抑制できる。
なお、本実施の形態では、4枚の木製部材を積層したが、木製部材の積層枚数は、特に限定されるものではなく、5枚、6枚またはそれ以上であってもよいし、3枚、2枚であってもよい。
以下、木製材料1を構成する各部材の具体例について詳細に説明する。なお、以下の説明では、図面の符号は省略する。
<木製部材(ラミナ)>
第1の木製部材〜第4の木製部材(以下、「木製部材」と記載する)の材質は、杉、松、樫、花梨、ヒノキ、ヒバ、サワラ、栗、欅、槇、樅、栂、ラワン、バルサなどであり、特に限定されるものではない。このような材質の木製部材を用いることで、様々な木目、香りを有する木製材料1が得られるとともに、意匠性の高い木製材料1が得られる。なお、本実施の形態における木製材料1において、従来、強度が弱くて木製部材として用いることができなかったものも用いることも可能である。
また、木製部材の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、板状であっても、柱状であってもよい。また、木製部材が板状物や柱状物である場合、木製材料は、集成材や合板のように、複数の木製部材を貼り合わせたものであってもよいし、単板のように一つの木製部材で構成されたものであってもよい。
木製部材の大きさは、特に限定されるものではなく、目的とする建築物や木製品を製造するために適した長さ、幅、厚さのものを用いることができる。
例えば、木造建築物の柱、梁、筋違などに用いる集成材用のラミナであれば、木製部材としては、幅1cm〜80cm、長さ50cm〜10m、厚さ0.5mm〜10cm程度のものが挙げられる。木製材料が繊細な部分に用いられるものであれば、幅、長さ、厚さは、前記の範囲より小さくても良い。また、木製材料が寺社仏閣や体育館など大型の建築物などに用いられるものであれば、幅、長さ、厚さは、前記の範囲よりさらに大きくてもよい。
また、木製材料が、テーブルの天板や棚板のような家具、または、玩具などに用いられるものであれば、目的とするデザインや重量に応じて、任意の長さ、幅、厚さのものを用いることができる。
また、木製部材としては、シート状の繊維強化樹脂材料を配置するための溝を設けたものであっても良いし、溝を設けていない表面が平面のみで構成されたものであってもよい。
この場合、繊維強化樹脂材が存在する箇所の木製部材に溝が無い場合であったり、溝があってもその深さが繊維強化樹脂材料の厚みよりも浅い場合であったりしても、本実施の形態におけるシート状の繊維強化樹脂材を用いることで、木製部材とシート状の繊維強化樹脂材料とを積層して加圧したときに、木製部材が繊維強化樹脂材料の厚みの分(溝の深さが、繊維強化樹脂材の厚みに不足している分)だけ凹むため、木製部材には特に溝が設けられていなくてもよいし、溝が設けられていてもシート状の繊維強化樹脂材料の厚さよりも浅い溝であってもよい。
木製部材とシート状の繊維強化樹脂材料との接着強度の観点からは、向かい合う木製部材と木製部材の面の全面にシート状の繊維強化樹脂材料を有するとよく、向かい合う木製部材と木製部材の面の全面にシート状の繊維強化樹脂材料が存在しない場合(例えばシート状の繊維強化樹脂材料の面積に比べ木製部材と木製部材との接合面が広い場合)には、少なくとも一方の木製部材に溝が設けられているとよい。
<繊維強化樹脂材料>
本実施の形態に係る繊維強化樹脂材料は、一方向に配列された強化繊維の束に熱可塑性樹脂が含浸したシート状の形状を有している。これにより、本実施の形態に係る繊維強化樹脂材料は、強化繊維の繊維軸方向の引張強度に優れている。また、一方向に配列された強化繊維の束に熱可塑性樹脂が含浸していることにより、強化繊維がバラバラになることを防ぎ、木製材料の製造工程における取り扱いが容易になる(つまりハンドリング性が良い)。
また、本実施の形態に係る繊維強化樹脂材料は、強化繊維の束の表面に樹脂が付着しているだけではなく、強化繊維の束の内部にまで熱可塑性樹脂が含浸しているため、強化繊維樹脂材と木製部材とを固定用接着剤で強固に接着することができる。これにより、得られる木製材料は優れた強度を有する。
また、繊維強化樹脂材料がシート状であることにより、繊維強化樹脂材料と木製部材との接合部分の面積を大きくすることができる。また、繊維強化樹脂材に熱可塑性樹脂を用いているため、木製部材との接着に用いられる接着剤、特にレゾルシノール系の樹脂接着剤との接着性に優れている。これにより、優れた曲げ強度を有し、かつ、たわみを抑制できる木製材料を得ることができる。また、木製部材の乾燥等による木製材料の反りやねじれなどが発生することも抑制できる。
本実施の形態におけるシート状の繊維強化樹脂材料の厚みは、目的とする木製材料に必要な強度などに合わせて任意に設定することができ、特に限定されるものではないが、繊維強化樹脂材料の厚みの下限としては、好ましくは0.10mm超、さらに好ましくは0.30mm超、さらにより好ましくは0.40mm超、さらにより好ましくは0.50mm超、さらには、0.60mm超であるとよい。また、繊維強化樹脂材料の厚みの上限も特に限定されるものではないが、好ましく2.00mm未満、さらに好ましくは1.5mm未満、さらにより好ましくは1mm未満である。
シート状の繊維強化樹脂材料の厚みが0.01mm(下限値)を下回ると、曲げ強度や
たわみ抑制性能など、十分な強度を有する木製材料が得られなかったり、シート状の繊維強化樹脂材料が配列方向に沿って割れたりするおそれがある。特に、繊維強化樹脂材料の強化繊維として炭素繊維やバサルト繊維を用いた場合には、繊維強化樹脂材料の厚みが0.01mmを下回ると、幅方向に沿ってシート状の繊維強化樹脂材料が折れてしまうおそれがあるため、木製材料の製造過程でのハンドリング性が悪くなり、木製材料の生産性が低下するおそれがある。
また、シート状の繊維強化樹脂材料の厚みが2.00mm(上限値)を上回ると、得ら
れた木製材料を任意の長さに切断したり、鉋がけをしたり、ボルトを通す穴をあけたり、釘を打ったりといった作業がしにくくなったり、これらの作業をするのに特別な装置が必要になったりするおそれがある。また、シート状の繊維強化樹脂材料の厚みが2.00m
mを上回ると、熱可塑性樹脂が繊維強化樹脂材料の内部にまで十分含浸しないおそれがある。
また、シート状の繊維強化樹脂材料の長さや幅は、目的とする木製材料に必要な大きさに合わせて任意に設定することができ、特に限定されるものではない。シート状の繊維強化樹脂材料の長さについては、シート状の繊維強化樹脂材料として、50mや500m、あるいはそれ以上の長さのものを製造してロール状に保管しておき、必要なときに必要な長さや幅に切断して使用してもよい。また、シート状の繊維強化樹脂材料の幅は、例えば1cm〜1m程度であるが、特に限定されるものではない。シート状の繊維強化樹脂材料が繊維軸方向に沿って割れることを防ぐとの観点からは、シート状の繊維強化樹脂材料の幅は2m以下、好ましくは1m以下、さらに好ましくは50cm以下、さらにより好ましくは30cm以下であるとよい。
また、本実施の形態における繊維強化樹脂材料の繊維体積含有率(Vf値)は20%〜90%であることが好ましい。繊維強化樹脂材料のVf値は、当該繊維強化樹脂材料を用いて得られる木製材料の強度の観点から、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上、さらにより好ましくは50%以上、またさらにより好ましくは60%以上である。また、得られる繊維強化樹脂材料のハンドリング性、および、繊維強化樹脂材料を用いて得られる木製材料の強度の観点からは、繊維強化樹脂材料のVf値は、より好ましくは80%以下、さらにより好ましくは70%以下である。
なお、繊維強化樹脂材料のVf値は、以下の式1で求めることができる。
Vf値(%)=(m2/ρ2)/[(m2/ρ2)+((m1−m2)/ρ3)]・・・式1
式1において、m1は、繊維強化樹脂材料の1m当たりの質量(g)を表し、m2は、繊維強化樹脂材料1m当たりに含まれる炭素繊維の質量(g)を表し、ρ2は、その炭素繊維の密度(g/cm3)を表し、ρ3は、繊維強化樹脂材料に用いられる樹脂の密度(g/cm3)を表している。
<熱可塑性樹脂>
本実施の形態に係る繊維強化樹脂材料に用いられる熱可塑性樹脂は、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリブチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、芳香族ポリエステル等の熱可塑性樹脂である。
熱可塑性樹脂としては、好ましくは、硬化剤や触媒、重合開始剤、重合促進剤などの添加剤を添加したり加熱したりすることにより、反応が開始または反応が促進等されて硬化する反応型樹脂であり、硬化した後も熱可塑性を有するものである。また、熱可塑性樹脂としては、熱可塑性を維持するため、分子構造が直鎖状のものが好ましい。また、複数種の熱可塑性樹脂を配合して用いてもよい。
なお、熱可塑性樹脂は、反応後に化学構造が変わる場合もあり、例えば、エポキシ樹脂は、反応後にフェノキシ樹脂になる。つまり、本実施の形態における反応型の熱可塑性エポキシ樹脂については、反応後にフェノキシ樹脂になるものも含む。
また、本発明の目的を逸脱しない範囲で、熱可塑性樹脂に、熱硬化性樹脂を配合してもよい。
固定用接着剤と強固に接着して得られる木製材料の強度を高めるとの観点からは、熱可塑性樹脂としては、好ましくは、熱可塑性エポキシ樹脂、特に好ましくは反応型の熱可塑性エポキシ樹脂である。また、強化繊維として炭素繊維を用いる場合には、炭素繊維との親和性の観点からも反応型の熱可塑性エポキシ樹脂が好ましく、繊維強化樹脂材料を用いて得られる木製材料の強度およびその耐久性がより向上する。
例えば、熱硬化性エポキシ樹脂を含浸させたシート状の繊維強化樹脂材料を用いたときに、木製材料に大きな力がかかった場合、繊維強化樹脂材料と木製部材とを接合するときに用いられる固定用接着剤の間で界面剥離が生じやすいが、熱可塑性エポキシ樹脂が含浸したシート状の繊維強化樹脂材料を用いた場合、繊維強化樹脂材料と木製部材とを接合するときに用いられる固定用接着剤の間で界面剥離が生じにくい。
この理由は定かではないが、反応後も直鎖状分子構造を有する熱可塑性エポキシ樹脂は、直鎖の部分に固定用接着剤と反応しやすい基を多く有しているか、または、熱可塑性エポキシ樹脂の弾性によるものではないかと推測している。
このような反応型の熱可塑性樹脂は、硬化剤で硬化させる前は、常温で液状または溶剤により溶解または分散したものとすることができるため、熱可塑性エポキシ樹脂を強化繊維の束の内部にまで含浸させることができる。また、強化繊維の束の内部にまで樹脂が存在しているため、強化繊維と熱可塑性樹脂が十分絡み合う(接触し合う)。このため、本実施の形態の繊維強化樹脂材料を用いて得られる木製材料は、優れた強度を有し、また、ばらつきが抑制されて安定した強度を有する。
また、反応型の熱可塑性樹脂は、加熱溶融させて使用する未反応型の熱可塑性樹脂に比べ、反応前の熱可塑性樹脂の分子量が小さく流動性が高く、反応後に例えば数平均分子量で1万以上ないし3万以上に高分子化させたり架橋の状態を調整したりすることが可能であり、また、強度の向上や可撓性、熱変形性の調整も可能である。
熱により溶融して用いられる熱可塑性樹脂は、強化繊維の束への含浸が困難であるため、強化繊維の束を0.13mm以下の薄いシート状にする必要があるが、本実施の形態の繊維強化樹脂材料であれば、反応型の熱可塑性樹脂を用いているため熱可塑性樹脂が強化繊維の束に容易に含浸するので強化繊維の束を薄くする必要がなく、厚みの厚い繊維強化樹脂材料が得られる。
このような熱可塑性樹脂を用いて得られた繊維強化樹脂材料は、熱硬化性樹脂を用いる場合と比べて、木製部材との接着性に優れているとともに、得られる木製材料の強度も優れている。また、別途固定用接着剤を用いなくとも木製部材と接合することも可能性であるし、リサイクルも容易である。
<強化繊維の束>
本実施の形態に係る繊維強化樹脂材料に用いられる強化繊維は、無機繊維、有機繊維、金属繊維またはこれらを複合して用いたものが挙げられる。具体的には、強化繊維としては、炭素繊維、黒鉛繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、タングステンカーバイト繊維、ボロン繊維、ガラス繊維、バサルト繊維、パラ系アラミド繊維、メタ系アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、PBO(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール)繊維、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維、ポリイミド繊維、フッ素繊維、ポリビニルアルコール(PVA繊維)、ステンレス、鉄などが挙げられる。
また、強化繊維は、短繊維、長繊維のいずれでもよいが、生産性および強度の観点から、長繊維の方が好ましい。
また、軽量で強度が大きいとの観点から、強化繊維は、好ましくは、炭素繊維、バサルト繊維がよく、特に好ましくは炭素繊維がよい。難燃性の観点からは、強化繊維は、ガラス繊維がよい。
炭素繊維は、PAN系およびピッチ系のいずれの炭素繊維でも使用できる。このうち、強度と弾性率とのバランスの観点から、強化繊維としては、PAN系の炭素繊維の方が好ましい。
また、本実施の形態では、強化繊維を一方向に配列させて束ねたものが用いられる。ここで、強化繊維を一方向に配列させたものとは、強化繊維の繊維軸方向を合わせたものである。また、強化繊維を束ねたものとは、2本以上の強化繊維の単繊維を収束させたものであればよく、集束剤で収束させたものであってもよいし、集束剤を用いずに束ねたものであってもよい。生産性の観点からは集束剤で収束させた方がよい。なお、集束剤を用いる場合には、熱可塑性樹脂と親和性の高い収束剤を用いるとよい。これにより、強化繊維の束の中に熱可塑性樹脂が含浸しやすくなり、優れた強度を有し、かつ、強度が安定した木製材料が得やすくなる。
一方向に配列された強化繊維の束は、強化繊維の単繊維を1000本以上束ねたものが好ましく、より好ましくは1万本以上、さらに好ましくは10万本以上がよい。強化繊維の束の本数の上限は、特に限定されないが、目的とする繊維強化樹脂材料の幅や厚みに合わせて任意に設定すればよい。また、強化繊維の束の開繊の有無についても、目的とする繊維強化樹脂材料の幅や厚みに合わせて任意に検討すればよい。
したがって、本実施の形態では、炭素繊維メーカーから供給される炭素繊維の単繊維を6000本(6K)束ねた製品、あるいは、12000本(12K)、24000本(24K)、60000本(60K)などの製品を、そのまま用いたり、束ねて用いたり、または、開繊したりして用いることができる。
また、炭素繊維は、無撚糸、有撚糸、解燃糸のいずれであってもよい。
<固定用樹脂>
本実施の形態に係る木製材料の固定用接着剤としては、一般的に木材の接着に使われている樹脂系の接着剤を用いることができる。
固定用接着剤の好適な具体例としては、レゾルシノール樹脂、フェノールレゾルシノール樹脂、フェノール樹脂、α−オレフィン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂や水性高分子−イソシアネート系樹脂等を用いた公知の接着剤が使用できる。特に、固定用接着剤としては、木製部材と強力繊維および熱可塑性樹脂に親和性が高いものが好ましく、強力繊維として炭素繊維、熱可塑性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合には、レゾルシノール樹脂やフェノールレゾルシノール樹脂を用いるとよい。
<木製材料の製造方法>
次に、本実施の形態に係る木製材料1の製造方法の一例について説明する。なお、本実施の形態に係る木製材料1の製造方法は、以下の方法に限定されるものではない。
まず、固定用接着剤によって第1の木製部材11aと第2の木製部材11bとを貼り合わせて第1積層体を作製する。具体的には、第1の木製部材11aおよび第2の木製部材11bの一方または両方の側面の一つに固定用接着剤を付与して、固定用接着剤を付与した面を接着面として第1の木製部材11aと第2の木製部材11bとを貼り合わせる。固定用接着剤の付与は、スプレーを用いたスプレー法やキスロールなどを用いた転写法の他に、刷毛などを用いて行うことができる。
同様に、固定用接着剤によって第3の木製部材11cと第4の木製部材11dとを貼り合わせて第2積層体を作製する。具体的には、第1積層体と同様の方法によって、第3の木製部材11cおよび第4の木製部材11dの一方または両方の側面の一つに固定用接着剤を付与して、固定用接着剤を付与した面を接着面として第3の木製部材11cと第4の木製部材11dとを貼り合わせる。
次に、第1積層体における第2の木製部材11bおよび第2積層体における第3の木製部材11cの各々の側面の一つに固定用接着剤を付与する。固定用接着剤の付与は、上記同様に、スプレー法または転写法の他に、刷毛などを用いて行うことができる。
次に、第1積層体の第2の木製部材11bまたは第2積層体の第3の木製部材11cにおける固定用接着剤を付与した面に、第2の木製部材11b(第3の木製部材11c)の長手方向と一方向に配列された強化繊維の軸方向とを合わせて、シート状の繊維強化樹脂材料12を配置する。
次に、第2の木製部材11bおよび第3の木製部材11cの一方の上に配置されたシート状の繊維強化樹脂材料12の上に、固定用接着剤が付与された、第2の木製部材11bおよび第3の木製部材11cの他方を、当該固定用接着剤が付与された面と繊維強化樹脂材料12とが重ね合わさるようにして積層する。
次に、第1積層体(第1の木製部材11a、第2の木製部材11b)、繊維強化樹脂材料12、第2積層体(第3の木製部材11c、第4の木製部材11d)の順で積層したものに油圧式プレス機などを用いて圧力(0.1〜10MPa:圧力ゲージ)をかけ、室温で5時間から100時間程度放置する。これにより、木製材料1を得ることができる。
また、第1の木製部材11a〜第4の木製部材11dおよびと繊維強化樹脂材料12の各部材の重ね合せ部分から固定用接着剤がにじみ出している場合には、鉋がけやグラインダーがけをすることにより、にじみ出した固定用接着剤を除去するとよい。
また、本実施の形態では、圧力をかけながら室温で5時間から100時間程度放置し、固定用接着剤を硬化させたが、圧力をかけながら加熱および/または加湿してもよい。この場合、加熱は、乾熱加熱、スチーム加熱、マイクロ波加熱、高周波誘電加熱、高周波誘導加熱など、任意の方法で行うことができる。
なお、本実施の形態では、2つの木製部材同士を先に貼り合わせて積層体を作製し、その後、その積層体を2つと繊維強化樹脂材料とを貼り合わせたが、これに限らない。例えば、第2の木製部材11bと繊維強化樹脂材料12と第3の木製部材11cとを先に貼り合わせて、その後、第2の木製部材11bに第1の木製部材11aを貼り合わせるとともに第3の木製部材11cに第4の木製部材11dを貼り合わせた後で、油圧式プレス機などで加圧してもよい。
<繊維強化樹脂材料の製造方法>
次に、本実施の形態に係る木製材料1に用いられる繊維強化樹脂材料12の製造方法の一例について説明する。なお、本実施の形態に係る繊維強化樹脂材料12の製造方法は、以下の方法に限定されるものではない。
本実施の形態におけるシート状の繊維強化樹脂材料12は、炭素繊維メーカーなどの繊維メーカーから供給されるドラムに巻かれた強化繊維の束をドラムから引き出し、その後、熱可塑性樹脂溶液を付与することで作製することができる。このとき、ドラムに巻かれた強化繊維の束は、一方向に配列されている。
なお、炭素繊維メーカーなどから供給される一つのドラムから引き出したものを強化繊維の束として用いてもよいし、複数のドラムをクリールに取り付け、複数本の強化繊維の束をさらに束ねたものを一つの強化繊維の束として用いてもよい。
ドラムから引き出した強化繊維の束に付与する熱可塑性樹脂溶液は、前記の通り、種々の反応型の熱可塑性樹脂と、当該熱可塑性樹脂を溶解または分散するための溶剤や硬化剤とを少なくとも含む。熱可塑性樹脂溶液に用いられる熱可塑性樹脂は、熱可塑性エポキシ樹脂など、前記の通りである。なお、熱可塑性樹脂溶液とは、溶剤に溶質が完全に溶解した溶液だけではなく、エマルジョンやディスパージョンであってもよい。
熱可塑性樹脂溶液に含まれる溶剤としては、水、ジメチルホルムアミド、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、メチルセルソルブ、セルソルブ、アノンなどが挙げられる。
熱可塑性樹脂溶液に含まれる硬化剤としては、エポキシ樹脂では、脂肪族ポリアミン、ポリアミノアミド、ケティミン、脂肪族ジアミン、芳香族ジアミン、イミダゾール、3級アミンなどのアミン系化合物、リン酸化合物、酸無水物系化合物、メルカプタン系化合物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ジシアンジアミド、ルイス酸錯化合物などが挙げられる。
また、熱可塑性樹脂溶液には、触媒、重合開始剤、重合促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、増粘剤、乳化剤、分散剤などの添加剤が、本発明の目的を逸脱しない範囲で添加されていてもよい。
本実施の形態において、熱可塑性樹脂溶液の粘度は、5〜1000mPa・sであるとよい。粘度が5mPa・s以上であれば、強化繊維の束に十分な量の熱可塑性樹脂を容易に付与することができる。また、熱可塑性樹脂溶液の粘度は、繊維強化樹脂材料へ熱可塑性樹脂の付与量の観点から、好ましくは、10mPa・s以上、より好ましくは50mPa・s以上がよい。また、熱可塑性樹脂溶液の粘度が1000mP・s以下であれば、強化繊維の束の内部にまで、熱可塑性樹脂を容易に浸透させることができる。また、熱可塑性樹脂溶液の粘度は、より好ましくは800mPa・s以下、さらには500mPa・s以下であるとよい。
強化繊維の束への熱可塑性樹脂の付与方法としては、熱可塑性樹脂溶液に強化繊維の束を浸漬させるディップ法、浸漬した後にマングルなどで絞るディップニップ法、熱可塑性樹脂溶液をキスロールやグラビアロール等に付着させて当該キスロール等から強化繊維の束に熱可塑性樹脂を転写する転写法、または、霧状の熱可塑性樹脂溶液を強化繊維の束に付与するスプレー法などが挙げられる。また、ディップ法、転写法、スプレー法などでは、熱可塑性樹脂溶液が付着した強化繊維の束を、オリフィスやダイス、ロール等と接触させることにより、強化繊維の束の内部にまで熱可塑性樹脂を押し込んだり、余分な熱可塑性樹脂を除去して強化繊維の束への熱可塑性樹脂の付与量を調整したりできる。
シート状の繊維強化樹脂材料12を得るとの観点からは、ロールと接触させ強化繊維の束を広げるとよい。
また、強化繊維の束への熱可塑性樹脂の量が上述した好ましいVf値となるように、強化繊維への熱可塑性樹脂溶液の付与量を調整したり、溶剤の配合比によって熱可塑性樹脂溶液中の熱可塑性樹脂の量を調整したりするとよい。
本実施の形態では、熱可塑性樹脂溶液の粘度が低いため、転写法によって熱可塑性樹脂を強化繊維の束の片面に付与した場合においても、強化炭素繊維の束の内部にまで熱可塑性樹脂を浸透させることができる。もちろん、強化繊維の束の両面に転写法により熱可塑性樹脂を付与してもよい。
強化繊維の束に熱可塑性樹脂を付与した後は、乾燥および/または熱処理を行う。乾燥と熱処理とは同時に行ってもよいし、別々に行ってもよい。なお、繊維強化樹脂材料を得る段階においては、熱可塑性樹脂を完全に反応させてしまってもよいが、ある程度の状態で反応が止まった(もしくは反応速度が低下した)状態とし、木製材料の製造時に熱可塑性樹脂を完全に反応させてもよい。
強化繊維の束に熱可塑性樹脂を付与した後に乾燥や熱処理を行う目的は、少なくとも繊維強化樹脂材料の表面のタックを解消するためである。繊維強化樹脂材料の表面のタックが解消することで繊維強化樹脂材料や木製材料の製造工程でのハンドリング性が向上するので、乾燥や熱処理を行うことは、生産性の観点から好ましい。
なお、繊維強化樹脂材料と木製部材との接合を、固定用接着剤を用いずに、繊維強化樹脂材料に含浸している熱可塑性樹脂により行う場合には、繊維強化樹脂材料にタックを有しているものであってもよい。
乾燥および熱処理の温度は、熱可塑性樹脂、硬化剤または溶剤にもよるが、熱可塑性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、乾燥であれば40℃〜120℃で1分〜1時間程度行うとよく、熱処理であれば120℃〜250℃で1分から1時間程度行うとよい。より好ましくは、乾燥は50℃〜100℃で10分〜30分、熱処理は120℃〜180℃で3分〜40分がよい。このような乾燥や熱処理の条件の範囲は、反応型の熱可塑性樹脂の反応の開始、促進、反応の完結、または、得られる繊維強化樹脂材料のタックの防止などの観点から好ましい。
炭素繊維の束に熱可塑性樹脂を付与し、乾燥および/または熱処理した後は、熱可塑性樹脂が付与された強化繊維の束を任意の長さに切断することにより、シート状の繊維強化樹脂材料12を得ることができる。
この場合、熱可塑性樹脂が付与された強化繊維の束の切断は、一方向に配列された強化繊維の束の繊維軸方向に対して垂直方向に切断するとよい。なお、ここでいう垂直方向とは、正確に強化繊維の繊維軸方向に対して垂直でなくてもよく、おおよそ垂直な方向に切断したものであればよい。切断された繊維強化樹脂材料の長さは前記の通りであるが、10mや100mまたはそれ以上の長さでカットし、巻き取りロール状として保管しておいてもよい。
このように長尺状のまま保管しておくことにより、繊維強化樹脂材料に接合する木製部材の長さに応じて、必要な時に任意の長さで切断して用いることができるため、在庫リスクの軽減および作業性などの観点より好ましい。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る木製材料2について、図2を用いて説明する。図2は、実施の形態2に係る木製材料2を模式的に示す斜視図である。
本実施の形態に係る木製材料2は、上記実施の形態1と同様に、主に柱や梁などに使用することができる集成材であり、繊維強化樹脂材料22の両面に木製部材が配置されている。
図2に示すように、本実施の形態に係る木製材料2は、一方向に配列された強化繊維の束に熱可塑性樹脂が含浸したシート状の繊維強化樹脂材料22と、繊維強化樹脂材料22の一方の面に積層された第1の木製部材21aと、繊維強化樹脂材料22の他方の面に積層された第2の木製部材21bとを有する。具体的には、第1の木製部材21aと第2の木製部材21bとの間に、繊維強化樹脂材料22が配置されている。
第1の木製部材21aおよび第2の木製部材21bは、上記実施の形態1における木製部材と同様のものを用いることができる。また、繊維強化樹脂材料22も上記実施の形態1における繊維強化樹脂材料と同様のものを用いることができる。
本実施の形態でも、繊維強化樹脂材料22では、一方向に配列された強化繊維の繊維軸方向が第1の木製部材21aおよび第2の木製部材21bの長手方向と同じになるように配置されている。
第1の木製部材21aと繊維強化樹脂材料22とは、固定用接着剤によって接合されている。同様に、第2の木製部材21bと繊維強化樹脂材料22とは、固定用接着剤によって接合されている。固定用接着剤は、実施の形態1と同様のものを用いることができる。
第1の木製部材21aと第2の木製部材21bとは、互いに幅および長さが同一である。一方、繊維強化樹脂材料22は、第1の木製部材21aおよび第2の木製部材21bと長さは同一であるが、幅は第1の木製部材21aおよび第2の木製部材21bよりも狭くなっている。このため、木製材料2の側面(長辺側の面)からは繊維強化樹脂材料22を視認することができない。なお、長手方向からの端面(短辺側の面)からは、繊維強化樹脂材料22の存在を確認することができる。
したがって、第1の木製部材21aおよび第2の木製部材21bの互いに向かい合う面は、固定用接着剤を介して、繊維強化樹脂材料22と接合されている箇所と、第1の木製部材21aおよび第2の木製部材21bが直接、接合されている箇所とがある。
つまり、第1の木製部材21aの第2の木製部材21b側の面には、繊維強化樹脂材料22に接合されている部分と、第2の木製部材21bに接合されている部分とがある。
同様に、第2の木製部材21bの第1の木製部材21a側の面には、繊維強化樹脂材料22に接合されている部分と、第1の木製部材21aに接合されている部分とがある。
第1の木製部材21aおよび第2の木製部材21bにおいて、繊維強化樹脂材料22が配置されている箇所には、繊維強化樹脂材料22を配置するための溝があらかじめ設けられていてもよいし、第1の木製部材21aおよび第2の木製部材21bにあらかじめ溝が設けられていなくてもよい。
繊維強化樹脂材料22を配置するための溝をあらかじめ設けておく場合、第1の木製部材21aおよび第2の木製部材21bの両方に溝を設けてもよいし、第1の木製部材21aおよび第2の木製部材21bの一方のみに溝を設けてもよい。
一方、第1の木製部材21aおよび第2の木製部材21bに溝が無い場合であったり、溝があってもその深さが繊維強化樹脂材料22の厚みよりも浅い場合であったりしても、木製材料2の製造工程において、第1の木製部材21aと第2の木製部材21bとの間に固定用接着剤と繊維強化樹脂材料22とを積層して積層体を作製した後、この積層体を加圧することにより、第1の木製部材21aおよび第2の木製部材21bが繊維強化樹脂材料22の厚みの分(溝の深さが、繊維強化樹脂材料22の厚みに不足している分)だけ凹むため、第1の木製部材21aと第2の木製部材21bとの間に埋め込むようにして繊維強化樹脂材料22を配置することができる。
このように、第1の木製部材21aおよび第2の木製部材21bに溝が無くても積層体を加圧することで第1の木製部材21aと第2の木製部材21bを凹ませて繊維強化樹脂材料22を埋めることができるのは、繊維強化樹脂材料22が、薄いシートであり、かつ、強化繊維の束に熱可塑性樹脂が含浸しているからである。
以上、本実施の形態における木製材料2によれば、実施の形態1と同様に、木材が有する木目などの外観や質感を有していながら、優れた強度を有する。
また、本実施の形態における木製材料2は、実施の形態1と比べて、外観上、側面からは繊維強化樹脂材料22が全く見えないため、より自然な木材のみの外観を有する木製材料2が得られる。
なお、本実施の形態では、2枚の木製部材を積層したが、木製部材の積層枚数は、特に限定されるものではなく、3枚、4枚またはそれ以上であってもよい。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係る木製材料3について、図3を用いて説明する。図3は、実施の形態3に係る木製材料3を模式的に示す斜視図である。
本実施の形態に係る木製材料3は、上記実施の形態1、2と同様に、主に柱や梁などに使用することができる集成材であり、繊維強化樹脂材料の両面に木製部材が配置されている。
図2に示すように、本実施の形態に係る木製材料3は、上記実施の形態2と同様に、第1の木製部材31aと第2の木製部材31bとの間に、一方向に配列された強化繊維の束に熱可塑性樹脂が含浸したシート状の繊維強化樹脂材料が配置された構造であるが、本実施の形態では、第1の木製部材31aと第2の木製部材31bとの間に、複数の繊維強化樹脂材料が配置されている。
具体的には、第1の木製部材31aと第2の木製部材31bとの間に、第1の繊維強化樹脂材料32a、第2の繊維強化樹脂材料32bおよび第3の繊維強化樹脂材料32cの3枚の繊維強化樹脂材料が配置されている。第1の繊維強化樹脂材料32a、第2の繊維強化樹脂材料32bおよび第3の繊維強化樹脂材料32cは、互いに平行に配置され、かつ、一定の間隔をあけて配置されている。したがって、第1の繊維強化樹脂材料32a、第2の繊維強化樹脂材料32bおよび第3の繊維強化樹脂材料32cの各々の一方の面には、第1の木製部材31aが配置され、第1の繊維強化樹脂材料32a、第2の繊維強化樹脂材料32bおよび第3の繊維強化樹脂材料32cの他方の面には、第2の木製部材31bが配置されている。
第1の木製部材31aおよび第2の木製部材31bは、上記実施の形態1における木製部材と同様のものを用いることができる。また、繊維強化樹脂材料32も上記実施の形態1における繊維強化樹脂材料と同様のものを用いることができる。
本実施の形態でも、第1の繊維強化樹脂材料32a、第2の繊維強化樹脂材料32bおよび第3の繊維強化樹脂材料32cは、一方向に配列された強化繊維の繊維軸方向が第1の木製部材31aおよび第2の木製部材31bの長手方向と同じになるように配置されている。
第1の木製部材31aと、第1の繊維強化樹脂材料32a、第2の繊維強化樹脂材料32bおよび第3の繊維強化樹脂材料32cとは、固定用接着剤によって接合されている。同様に、第2の木製部材31bと、第1の繊維強化樹脂材料32a、第2の繊維強化樹脂材料32bおよび第3の繊維強化樹脂材料32cとは、固定用接着剤によって接合されている。固定用接着剤は、実施の形態1と同様のものを用いることができる。
第1の木製部材31aと第2の木製部材31bとは、互いに幅および長さが同一である。一方、第1の繊維強化樹脂材料32a、第2の繊維強化樹脂材料32bおよび第3の繊維強化樹脂材料32cの各々は、第1の木製部材31aおよび第2の木製部材31bと長さは同一であるが、幅が第1の木製部材31aおよび第2の木製部材31bよりも狭くなっている。このため、木製材料3の側面(長辺側の面)からは、第1の繊維強化樹脂材料32a、第2の繊維強化樹脂材料32bおよび第3の繊維強化樹脂材料32cを視認することができない。なお、長手方向からの端面(短辺側の面)からは、第1の繊維強化樹脂材料32a、第2の繊維強化樹脂材料32bおよび第3の繊維強化樹脂材料32cの存在を確認することができる。
したがって、第1の木製部材31aおよび第2の木製部材31bの互いに向かい合う面は、固定用接着剤を介して、第1の繊維強化樹脂材料32a、第2の繊維強化樹脂材料32bおよび第3の繊維強化樹脂材料32cの各々と接合されている箇所と、第1の木製部材31aおよび第2の木製部材31bが直接、接合されている箇所とがある。
つまり、第1の木製部材31aの第2の木製部材31b側の面には、第1の繊維強化樹脂材料32a、第2の繊維強化樹脂材料32bおよび第3の繊維強化樹脂材料32cの各々に接合されている部分と、第2の木製部材31bに接合されている部分とがある。
同様に、第2の木製部材31bの第1の木製部材31a側の面には、第1の繊維強化樹脂材料32a、第2の繊維強化樹脂材料32bおよび第3の繊維強化樹脂材料32cの各々に接合されている部分と、第1の木製部材31aに接合されている部分とがある。
なお、第1の繊維強化樹脂材料32a、第2の繊維強化樹脂材料32bおよび第3の繊維強化樹脂材料32cの3つの幅の合計長さよりも、1枚の第1の木製部材31a(または第2の木製部材31b)の幅の長さの方が大きい。
第1の木製部材31aおよび第2の木製部材31bにおいて、第1の繊維強化樹脂材料32a、第2の繊維強化樹脂材料32bおよび第3の繊維強化樹脂材料32cが配置されている箇所には、第1の繊維強化樹脂材料32a、第2の繊維強化樹脂材料32bおよび第3の繊維強化樹脂材料32cの各々を配置するための溝があらかじめ設けられていてもよいし、第1の木製部材31aおよび第2の木製部材31bにあらかじめ溝が設けられていなくてもよい。
溝をあらかじめ設けておく場合、第1の木製部材31aおよび第2の木製部材31bの両方に溝を設けてもよいし、第1の木製部材31aおよび第2の木製部材31bの一方のみに溝を設けてもよい。
一方、第1の木製部材31aおよび第2の木製部材31bに溝が無い場合であったり、溝があってもその深さが繊維強化樹脂材料(第1の繊維強化樹脂材料32a、第2の繊維強化樹脂材料32b、第3の繊維強化樹脂材料32c)よりも浅い場合であったりしても、実施の形態2と同様に、木製材料3の製造工程において、第1の木製部材31aと第2の木製部材31bとの間に繊維強化樹脂材料(第1の繊維強化樹脂材料32a、第2の繊維強化樹脂材料32b、第3の繊維強化樹脂材料32c)を挟んで加圧することで、第1の木製部材31aおよび第2の木製部材31bを凹ませて第1の木製部材31aと第2の木製部材31bとの間に埋め込むようにして繊維強化樹脂材料を配置することができる。
以上、本実施の形態における木製材料3によれば、実施の形態1、2と同様に、木材が有する木目などの外観や質感を有していながら、優れた強度を有する。しかも、実施の形態2と同様に、外観上、側面からは繊維強化樹脂材料が全く見えないため、自然な木材のみの外観を有する木製材料3が得られる。
また、本実施の形態における木製材料3は、実施の形態2と比べて、繊維強化樹脂材料の使用量を減らすことができる。
なお、本実施の形態では、2枚の木製部材を積層したが、木製部材の積層枚数は、特に限定されるものではなく、3枚、4枚またはそれ以上であってもよい。また、本実施の形態では、3枚の繊維強化樹脂材料を用いたが、繊維強化樹脂材料の枚数は、特に限定されるものではなく、2枚であってもよいし、4枚またはそれ以上であってもよい。
(実施の形態4)
次に、実施の形態4に係る木製材料4について、図4を用いて説明する。図4は、実施の形態4に係る木製材料4を模式的に示す斜視図である。
本実施の形態に係る木製材料4は、上記実施の形態1〜3と同様に、主に柱や梁などに使用することができる集成材である。
図4に示すように、本実施の形態に係る木製材料4は、第1の木製部材41a、第2の木製部材41b、第3の木製部材41c、第4の木製部材41dおよび第5の木製部材41eの5枚の木製部材と、第1の繊維強化樹脂材料42aおよび第2の繊維強化樹脂材料42bの2枚の繊維強化樹脂材料とを有する。
第1の木製部材41a、第2の木製部材41b、第3の木製部材41c、第4の木製部材41dおよび第5の木製部材41eは、この順で積層されている。また、第1の繊維強化樹脂材料42aは、第1の木製部材41aと第2の木製部材41bとの間に配置されており、第2の繊維強化樹脂材料42bは、第4の木製部材41d第5の木製部材41eとの間に配置されている。
第1の木製部材41a〜第5の木製部材41eは、上記実施の形態1における木製部材と同様のものを用いることができる。また、第1の繊維強化樹脂材料42aおよび第2の繊維強化樹脂材料42bも、上記実施の形態1における繊維強化樹脂材料と同様のものを用いることができる。
本実施の形態においても、第1の繊維強化樹脂材料42aおよび第2の繊維強化樹脂材料42bの各々は、一方向に配列された強化繊維の束に熱可塑性樹脂が含浸したシート状の繊維強化樹脂材料である。
第1の繊維強化樹脂材料42aおよび第2の繊維強化樹脂材料42bの各々は、一方向に配列された強化繊維の繊維軸方向が第1の木製部材41a〜第5の木製部材41eの長手方向と同じになるように配置されている。
第1の木製部材41a〜第5の木製部材41eおよび第1の繊維強化樹脂材料42a、第2の繊維強化樹脂材料42bの各部材同士は、固定用接着剤で接合されている。固定用接着剤は、実施の形態1と同様のものを用いることができる。
第1の繊維強化樹脂材料42aの一方の面には、第1の木製部材41aが配置され、第1の繊維強化樹脂材料42aの他方の面には、第2の木製部材41bが配置されている。また、第2の繊維強化樹脂材料42bの一方の面には、第4の木製部材41dが配置され、第2の繊維強化樹脂材料42bの他方の面には、第5の木製部材41eが配置されている。
第1の木製部材41a〜第5の木製部材41eおよび第1の繊維強化樹脂材料42a、第2の繊維強化樹脂材料42bは、互いに幅および長さが同一である。したがって、第1の木製部材41aおよび第2の木製部材41bが互いに対向する面は、固定用接着剤を介して、すべて第1の繊維強化樹脂材料42aと接合されている。また、第4の木製部材41dおよび第5の木製部材41eが互いに対向する面は、固定用接着剤を介して、すべて第2の繊維強化樹脂材料42bと接合されている。つまり、第1の繊維強化樹脂材料42aの両面および第2の繊維強化樹脂材料42bの両面に木製部材が配置されている。
以上、本実施の形態における木製材料4によれば、実施の形態1〜3と同様に、木材が有する木目などの外観や質感を有していながら、優れた強度を有する。
また、本実施の形態における木製材料4では、実施の形態1〜3と比べて、曲げ強度をより高めることができるとともに、さらに、たわみが少ない木製材料3を得ることができる。また、木製材料4を構成する各木製部材(ラミナ)が乾燥収縮して反りやねじれなどが発生することを一層抑制できる。
なお、本実施の形態では、5枚の木製部材を積層したが、木製部材の積層枚数は、特に限定されるものではなく、6枚、7枚またはそれ以上であってもよいし、また、4枚、3枚であってもよい。
また、第1の繊維強化樹脂材料42aおよび/または第2の繊維強化樹脂材料42bは、実施の形態2のように、幅が第1の木製部材41aよりも狭いものを用いてもよいし、さらに実施の形態3のように、幅が狭いものを複数枚平行に、かつ間隔をあけて並べてもよい。
(実施の形態5)
次に、実施の形態5に係る木製材料5について、図5を用いて説明する。図5は、実施の形態5に係る木製材料5を模式的に示す斜視図である。
本実施の形態に係る木製材料5は、上記実施の形態1と同様に、主に柱や梁などに使用することができる集成材であり、繊維強化樹脂材料の両面に木製部材が配置されている。
図5に示すように、本実施の形態に係る木製材料5は、実施の形態1における木製材料1において、木製部材を2枚とし、繊維強化樹脂材料の木製部材への配置方向を異ならせたものである。なお、それ以外は、実施の形態1における木製材料1と同様である。
具合的には、本実施の形態における木製材料5は、第1の木製部材51aと第2の木製部材51bとの間に、7枚の繊維強化樹脂材料が配置されている。具体的には、第1の繊維強化樹脂材料52a、第2の繊維強化樹脂材料52b、第3の繊維強化樹脂材料52c、第4の繊維強化樹脂材料52d、第5の繊維強化樹脂材料52e、第6の繊維強化樹脂材料52f、および、第7の繊維強化樹脂材料52gが配置されている。これらの7枚の繊維強化樹脂材料は、第1の木製部材51a(第2の木製部材51b)の長手方向に沿って隙間なく隣接して並べられている。
7枚の繊維強化樹脂材料のうち、第1の繊維強化樹脂材料52a、第3の繊維強化樹脂材料52c、第5の繊維強化樹脂材料52eおよび第7の繊維強化樹脂材料52gの4枚については、繊維軸方向が第1の木製部材51aおよび第2の木製部材51bの長手方向と同じになるように配置されている。
一方、7枚の繊維強化樹脂材料のうち、第2の繊維強化樹脂材料52b、第4の繊維強化樹脂材料52dおよび第6の繊維強化樹脂材料52fの3枚については、繊維軸方向が第1の木製部材51aおよび第2の木製部材51bの長手方向に対して垂直方向となるように配置されている。
つまり、第1の繊維強化樹脂材料52a、第3の繊維強化樹脂材料52c、第5の繊維強化樹脂材料52eおよび第7の繊維強化樹脂材料52gの繊維軸方向は、第2の繊維強化樹脂材料52b、第4の繊維強化樹脂材料52dおよび第6の繊維強化樹脂材料52fの繊維軸方向とは直交している。
以上、本実施の形態における木製材料5によれば、実施の形態1〜4と同様に、木材が有する木目などの外観や質感を有していながら、優れた強度を有する。
また、本実施の形態における木製材料5では、実施の形態1と比べて、木製材料5の長手方向以外の多方面において曲げ強度を高めることができるとともに、たわみがより少ない木製材料5を得ることができる。また、木製材料5を構成する各木製部材(ラミナ)が乾燥収縮して反りやねじれなどが発生することを一層抑制できる。このため、本実施の形態における木製材料5は、特に、幅が広い木製部材を用いる場合に有効である。
なお、本実施の形態では、2枚の木製部材を積層したが、木製部材の積層枚数は、特に限定されるものではなく、3枚、4枚またはそれ以上であってもよい。また、本実施の形態では、木製部材の長手方向の両端に配置される繊維強化樹脂材料の繊維軸方向が木製部材の長手方向と同じになるように複数の繊維強化樹脂材料が配置されているが、これに限るものではない。例えば、木製部材の長手方向の両端に配置される繊維強化樹脂材料の繊維軸方向が木製部材の長手方向に対して垂直方向となるようにして、複数の繊維強化樹脂材料を交互に配置してもよい。
(実施の形態6)
次に、実施の形態6に係る木製材料6について、図6を用いて説明する。図6は、実施の形態6に係る木製材料6を模式的に示す斜視図である。
本実施の形態に係る木製材料6は、主にテーブルの天板や棚の棚板などに適した特に薄くて軽い木製材料である。
図6に示すように、本実施の形態に係る木製材料6は、厚さが薄い単板である木製部材61と、一方向に配列された強化繊維の束に熱可塑性樹脂が含浸したシート状の繊維強化樹脂材料62とを有する。木製部材61は、上記実施の形態1における木製部材と同様のものを用いることができる。また、繊維強化樹脂材料62も、上記実施の形態1における繊維強化樹脂材料と同様のものを用いることができる。
本実施の形態において、繊維強化樹脂材料62の一方の面には木製部材61が配置されているが、繊維強化樹脂材料62の他方の面に木製部材が配置されていない。つまり、繊維強化樹脂材料62の片面のみに木製部材61が配置されている。
繊維強化樹脂材料62は、一方向に配列された強化繊維の繊維軸方向が木製部材61の長手方向と同じになるように配置されている。
木製部材61と繊維強化樹脂材料62の各部材同士は、固定用接着剤で接合されている。固定用接着剤は、実施の形態1と同様のものを用いることができる。
木製部材61と繊維強化樹脂材料62とは、幅および長さが同一である。したがって、木製部材61の片面は、すべて繊維強化樹脂材料62と接合されている。
以上、本実施の形態における木製材料6によれば、実施の形態1〜5と同様に、木材が有する木目などの外観や質感を有していながら、優れた強度を有する。
また、本実施の形態における木製材料6の構成により、薄くて軽い木製材料でありながら、曲げ強度が強く、また、たわみも少ない木製材料6を得ることができる。また、木製部材61(単板)が乾燥収縮して反りやねじれなどが発生することを一層抑制できる。
なお、得られる木製材料6として厚いものを希望する場合には、厚い木製部材61(単板)を用いればよい。また、本実施の形態では、木製部材61は1枚であったが、木製部材を複数積層して合板として繊維強化樹脂材料62の片面のみに貼り合わせてもよい。
また、本実施の形態に対して実施の形態5を適用してもよい。つまり、実施の形態5のように、繊維強化樹脂材料62の木製部材61への配置方向が異なるものであってもよい。
(実施の形態7)
次に、実施の形態7に係る木製材料7について、図7を用いて説明する。図7は、実施の形態7に係る木製材料7を模式的に示す斜視図である。
本実施の形態に係る木製材料7は、上記実施の形態6と同様に、主にテーブルの天板や棚の仕切りなどに適した薄くて軽い木製材料である。
図7に示すように、本実施の形態に係る木製材料7は、厚さが薄い合板である木製部材71と、第1の繊維強化樹脂材料72a、第2の繊維強化樹脂材料72bおよび第3の繊維強化樹脂材料72cとを有する。
第1の繊維強化樹脂材料72a、第2の繊維強化樹脂材料72bおよび第3の繊維強化樹脂材料72cの各々は、一方向に配列された強化繊維の束に熱可塑性樹脂が含浸したシート状の繊維強化樹脂材料である。第1の繊維強化樹脂材料72a、第2の繊維強化樹脂材料72bおよび第3の繊維強化樹脂材料72cの各々の一方の面には、木製部材71が配置されているが、第1の繊維強化樹脂材料72a、第2の繊維強化樹脂材料72bおよび第3の繊維強化樹脂材料72cの各々の他方の面には、木製部材が配置されていない。
木製部材71は、上記実施の形態1における木製部材と同様のものを用いることができる。また、第1の繊維強化樹脂材料72a、第2の繊維強化樹脂材料72bおよび第3の繊維強化樹脂材料72cの各々は、上記実施の形態1における繊維強化樹脂材料と同様のものを用いることができる。
第1の繊維強化樹脂材料72a、第2の繊維強化樹脂材料72bおよび第3の繊維強化樹脂材料72cの各々は、繊維軸方向が木製部材71の長手方向と同じになるように配置されている。また、第1の繊維強化樹脂材料72a、第2の繊維強化樹脂材料72bおよび第3の繊維強化樹脂材料72cは、等間隔で互いに平行に配置されている。
木製部材71と、第1の繊維強化樹脂材料72a、第2の繊維強化樹脂材料72bおよび第3の繊維強化樹脂材料72cとは、固定用接着剤によって接合されている。固定用接着剤は、実施の形態1と同様のものを用いることができる。
第1の繊維強化樹脂材料72a、第2の繊維強化樹脂材料72bおよび第3の繊維強化樹脂材料72cの各々と木製部材71とは、長さが同一であるが、幅は木製部材71よりも狭くなっている。したがって、木製部材71の片面のすべてが繊維強化樹脂材料と接合されておらず、分離して配置された3枚の繊維強化樹脂材料(第1の繊維強化樹脂材料72a、第2の繊維強化樹脂材料72b、第3の繊維強化樹脂材料72c)のみと接合されている。なお、第1の繊維強化樹脂材料72a、第2の繊維強化樹脂材料72bおよび第3の繊維強化樹脂材料72cの3つの幅の合計よりも、1枚の木製部材71の幅の方が大きい。
以上、本実施の形態における木製材料7によれば、実施の形態1〜6と同様に、木材が有する木目などの外観や質感を有していながら、優れた強度を有する。
また、本実施の形態における木製材料7の構成により、薄くて軽い木製材料でありながら、曲げ強度が強く、また、たわみも少ない木製材料7を得ることができる。また、合板である木製部材71の各単板における乾燥収縮差などにより発生する反りやねじれなどを一層抑制することができる。
なお、得られる木製材料7として厚いものを希望する場合には、厚い木製部材71(合板)を用いたり、木製部材71として厚い単板を用いたり、これらを積層したものを木製部材71として用いてもよく、特に限定されるものではない。
また、本実施の形態に対して実施の形態5を適用してもよい。つまり、実施の形態5のように、第1の繊維強化樹脂材料72a、第2の繊維強化樹脂材料72bおよび第3の繊維強化樹脂材料72cの木製部材71への配置方向が異なるものであってもよい。
(変形例)
以上、本発明に係る木製材料について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態1〜5における木製材料は、主に柱や梁などに使用することができる集成材とし、実施の形態6、7における木製材料は、主にテーブルの天板や棚の仕切りであるとしたが、これに限らない。実施の形態1〜5における木製材料をテーブルの天板や脚などの家具用の部材等他の用途で用いたり、実施の形態6、7における木製材料を柱や梁などに使用したりしてもよい。つまり、実施の形態1〜7における木製材料は、様々のものの材料として用いることができ、天然木が有する木目や手触り、香りを有する製品を提供することができる。
その他、上記実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
以下、本発明に係る木製材料の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、「部」は質量部のことを表している。
(実施例1)
実施例1では、一方向に配列された強化繊維の束として、炭素繊維の単繊維を60000本束ねたもの(60K)(PAN系炭素繊維:三菱レイヨン株式会社製のパイロフィル(登録商標)TRH50 60M)を18本束ねて用いた。
この炭素繊維の束(60K、18本)をロールに接触させて幅9cmに広げた後、炭素繊維の束を以下に示す熱可塑性樹脂溶液を入れた樹脂バスに浸漬し、強化繊維の束に熱可塑性樹脂を付与した。
なお、熱可塑性樹脂溶液の粘度は、B型粘度計(TVB−15形粘度計:東機産業株式会社製)を用いて、ロータNo.20、12rpm、室温(15℃)で測定したものである。また、Vf値は、上記の式1で求めた。
[熱可塑性樹脂溶液(粘度:20mPa・s)]
・熱可塑性エポキシ樹脂(反応型樹脂:DENATITE TPEP−AA−MEK−05B:ナガセケムテックス株式会社製) 100部
・硬化剤(XNH6850RIN−K:ナガセケムテックス株式会社製)
6.5部
・メチルエチルケトン 50部
次に、熱可塑性樹脂溶液を付与した炭素繊維の束を4本のロールに接触(炭素繊維の束の上面および下面を交互にそれぞれ2回ずつ接触)させることにより炭素繊維の束をシゴいた後、60℃で20分間乾燥し、引き続き150℃で20分間熱処理を行うことで、長さ50m、幅9cm、厚み0.5mmの一方向に配列された強化繊維の束に直鎖状の反応型の熱可塑性樹脂が含浸したシート状の繊維強化樹脂材料を得た。
このようにして得られたシート状の繊維強化樹脂材料は、一旦、ロール状に巻き取って保管した。また、得られた繊維強化樹脂材料のVf値を求めたところ、Vf値は65%であった。なお、得られた繊維強化樹脂材料中の炭素繊維の長さは、炭素繊維が長繊維であるので繊維強化樹脂材料の長さと同じで、50mである。
次に、シート状の繊維強化樹脂材料を炭素繊維の軸方向に対しほぼ垂直に2mの長さとなるようにカットし、長さ2m、幅9cm、厚み0.7mmのシート状の繊維強化樹脂材料を得た。
繊維強化樹脂材料の炭素繊維の軸方向に対してほぼ垂直にカットした切断面を、電子顕微鏡を用いて100倍で観察したところ、炭素繊維の束の中央部にまで樹脂が入り込んでいた。
次に、幅9cm、厚さ2.25cm、長さ2mの杉材からなる単板をラミナ(木製部材)として用いて、上記のようにして得られたシート状の繊維強化樹脂材料とラミナ(木製部材)とを積層して木製材料を作製した。
具体的には、ラミナおよび繊維強化樹脂材料の片面に固定用接着剤(レゾルシノール樹脂)を塗布し、このラミナ4枚を積層した上から1枚目のラミナと2枚目のラミナの間に、シート状の繊維強化樹脂材料がその強化繊維の軸方向がラミナの長さ方向と一致するよう配置した。このようにラミナと繊維強化樹脂材料を積層したものを、室温で48時間加圧し、ラミナとラミナの間の固定用接着剤およびラミナと繊維強化樹脂材料の間の固定用接着剤を硬化させた。次に、ラミナとラミナの間およびラミナと繊維強化樹脂材料の間から滲み出した固定用接着剤をグラインダーで除去し、木製材料として集成材を得た。得られた集成材は、タテ、ヨコの1辺がそれぞれ9cmで、長さが2mの角柱であった。
得られた集成材の曲げヤング係数(スパン1620mm、荷重点間距離360mm)を測定したところ、ヤング係数は7.4MPaであった。
また、繊維強化樹脂材料を用いなかった以外は、実施例1と同様の方法で比較例1の角柱状の木製材料を作製したところ、比較例1の角柱状の木製材料の曲げ強度は5.5MPaであった。
このように、実施例1の角柱状の木製材料は、比較例の角柱状の木製材料と比べて、著しく強度が向上していた。したがって、実施例1の角柱状の木製部材を用いて木造住宅を建築すれば、木の質感を有していながら、強い強度の住宅を得ることができ、耐震性にも優れる。また、従来と同等の強度のものであれば、細い柱や梁を用いることができるようになるため、住宅の間取りやデザインの自由度が向上する。
また、上記のように得られた実施例1の集成材について、燃焼性試験を行った。試験方法は、得られた集成材のシート状の繊維強化樹脂材料の上にラミナが1枚のみ積層された最外層の表面に対してガスバーナーのノズルを向けて、当該最外層のラミナの一ヵ所に火炎を集中させて800℃で加熱する方法とした。
その結果、加熱開始60分経過すると、加熱された最外層のラミナについては、ガスバーナーの熱によって燃焼して大きく穴が開いたが、最外層の内側の2層目のシート状の繊維強化樹脂材料については穴が開いていなかった。また、シート状の繊維強化樹脂材料において最外層のラミナとは反対側の面に積層されたラミナ(最外層から3層目のラミナ。つまり、2枚目のラミナ。)については、多少炭化して黒ずんでいたが、燃焼はしていなかった。
以上の結果より、本実施例の集成材を用いた場合には、火災等が発生して炎にさらされたときには、最外層のラミナは燃焼するものの、シート状の繊維強化樹脂材料よりも内側に存在するラミナへの延焼が抑制されて延焼の速度を抑えることができ、建築物の倒壊を抑制することができる。したがって、本実施例の集成材を建築物に用いることで、火災による被害の拡大を抑えることが期待できる。
なお、本実施例のシート状の繊維強化樹脂材料において、強化繊維としては炭素繊維を用いたが、強化繊維として、アルミナ繊維、バサルト繊維、ガラス繊維、ステンレスや鉄等の無機繊維を用いた場合にも、炭素繊維を用いた場合と同様の効果が期待できる。
また、シート状の繊維強化樹脂材料の配置については、図4のように集成材の両面を構成する最外層のラミナの内側にシート状の繊維強化樹脂材料を配置したり、集成材の4面を覆うようにシート状の繊維強化樹脂材料を配置したりしてもよい。また、集成材の4面を覆うように配置された当該シート状の炭素繊維樹脂材料の外側表面には、必要に応じて木製部材を積層させてもよい。
(実施例2)
実施例2では、一方向に配列された強化繊維の束として、炭素繊維の単繊維を60000本束ねたもの(60K)(PAN系炭素繊維:三菱レイヨン株式会社製のパイロフィル(登録商標)TRH50 60M)を12本束ねたものを用い、この炭素繊維の束(60K、12本)をロールに接触させて幅6cmに広げた後、熱可塑性樹脂を付与した以外は、実施例1と同様の方法で、一方向に配列された強化繊維の束に直鎖状の反応型の熱可塑性樹脂が含浸したシート状の繊維強化樹脂材料を得た。
得られた繊維強化樹脂材料を60cmでカットし、長さ60cm、幅6cm、厚み0.5mmの繊維強化樹脂材料を得た。また、得られた繊維強化樹脂材料のVf値は65%であった。
繊維強化樹脂材料の炭素繊維の軸方向に対してほぼ垂直にカットした切断面を、電子顕微鏡を用いて100倍で観察したところ、炭素繊維の束の中央部にまで樹脂が入り込んでいた。
次に、木製部材として、幅6cm、厚さ4mm、長さ60cmのラワン製の合板を1枚用いて、上記のようにして得られたシート状の繊維強化樹脂材料とラワン製の合板(木製部材)とを積層して木製材料を作製した。
具体的には、合板の一方の全面に固定用接着剤としてレゾルシノール樹脂を塗布し、シート状の繊維強化樹脂材料を構成する一方向に配列した強化繊維の繊維軸方向とラワン製の合板(木製部材)の長さ方向とが同じになるようにして、シート状の繊維強化樹脂材料とラワン製の合板の固定用接着剤を塗布した面とを重ね合わせて、荷重をかけて48時間、室温で加圧し、ラワン製の合板と繊維強化樹脂材料とを貼り合わせた。
得られた木製材料を棚板として用い、棚板の長さ方向の中央に約1kgの花瓶を置いたところ、最大で2〜3mmたわんだだけで、棚板にはほとんどたわみが発生しなかった。
また、繊維強化樹脂材料が貼り合わされていない以外は、実施例2と同様の方法で比較例2の木製材料を作製した。この比較例の木製材料を棚板として用い、実施例1の木製材料と同様に約1kgの花瓶を棚板の中央に置いたところ、棚板に20〜25mmのたわみが発生し、見栄えが悪く、花瓶も不安定な状態で危険であった。
このように、実施例2の木製材料によれば、薄い木製部材に強度を付与することができるので、無垢材の特徴を生かした木の質感を有していながら、優れた強度を有する製品を得ることができる。また、実施例2の木製材料は、薄いことからデザインの自由度が増すとともに、軽いために運搬も容易である。
なお、本実施例では、得られた木製材料を棚として用いたが、これに限らない。例えば、本実施例の木製材料は、テーブルや椅子など、意匠性に優れ且つ軽い家具をはじめとして、様々な物に適用することができる。
また、本実施例の木製材料は、片面が炭素繊維の黒色を有しており、棚板等として用いた場合に、新たな意匠性を有するものであった。
(実施例3)
実施例3では、繊維強化樹脂材料として、実施例1と同様のものを用いた。
次に、木製部材として、幅60cm、厚さ2.5mm、長さ180cmのラワン製の合板を2枚用いて、シート状の繊維強化樹脂材料とラワン製の合板(木製部材)とを積層して木製材料を作製した。
具体的には、2枚のラワン製の合板(木製部材)の片面の全面に、固定用接着剤としてレゾルシノール樹脂を塗布し、2枚のラワン製の合板のうちの一方の合板の固定用接着剤が塗布された面に、シート状の繊維強化樹脂材料を構成する一方向に配列した強化繊維の繊維軸方向とラワン製の合板の長さ方向とが同じになるようにして、シート状の繊維強化樹脂材料20枚を、ラワン製の合板の片面の一面全体に隙間なく1層に配置した。
次に、繊維強化樹脂材料のもう一方の面に、2枚のラワン製の合板のうちのもう1枚の合板の固定用接着剤が塗布された面が繊維強化樹脂材料と接するように、かつ、シート状の繊維強化樹脂材料を構成する一方向に配列した強化繊維の繊維軸方向とラワン製の合板の長さ方向とが同じになるようにして、ラワン製の合板を重ね合せた。
引き続き、重ね合せた繊維強化樹脂材料と2枚のラワン製の合板とに荷重をかけて、48時間、室温で加圧することで、2枚のラワン製の合板の間に繊維強化樹脂材料が挟まれた木製材料を得た。
得られた木製部材を天板として用いて、テーブルを作製した。具体的には、天板の四隅にテーブルの脚(タテ15cm、ヨコ15cmの角柱状)を取り付けて、高さが70cmのテーブルを作製した。これにより、幅60cm、長さ180cm、高さ約70cm、天板の厚み約5mmのテーブルを得た。
また、繊維強化樹脂材料を用いなかった以外は、実施例3と同様の方法で比較例3の木製材料を作製した。この比較例3の木製材料を天板として用いてテーブルを作製した。
この結果、実施例2の木製材料を天板として用いたテーブルは、テーブルの長さ方向の中央部にはテーブルの天板にたわみが発生せず、高さは70cmでは変化はなかった。一方、比較例2の木製材料を天板として用いたテーブルでは、長さ方向の中央部の高さが68.5cmとなり、1.5cm低くなっていた。つまり、1.5cmのたわみが発生していた。
このように、実施例3の木製材料は、たわみ難く、高い強度を有する。したがって、実施例3の木製材料を用いることで、木の質感を有していながら、薄くて、軽い、テーブル、棚、椅子などの家具をはじめとして、様々な物を得ることができる。