JP2018144451A - 印刷装置および印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】印刷装置における被印刷物の支持治具を、安価かつ迅速に製作する。【解決手段】本発明に係る印刷装置は、光硬化性インクを吐出するインクヘッドと、被印刷物5の形状データに基づいて被印刷物5を支持するサポート250を設定するサポート設定部と、ベース200上に光硬化性インクでサポート250を形成させるサポート形成部と、サポート250に支持された被印刷物5に対して印刷データに基づいて印刷を施す印刷制御部とを備える。サポート設定部は、被印刷物5がサポート250に支持されたときに被印刷物5に接する支持部251を備えるようにサポート250を設定する。【選択図】図8
Description
本発明は、印刷装置および印刷方法に関する。
従来から、立体物などの被印刷物に印刷を行う印刷装置として、いわゆる、フラットベッドタイプの印刷装置が知られている。フラットベッドタイプの印刷装置として、例えば、特許文献1には、被印刷物が載置され副走査方向に被印刷物を搬送するテーブルと、主走査方向に移動するインクヘッドおよび紫外線照射ランプとを備え、被印刷物に対して紫外線硬化インクで印刷するプリンタが開示されている。
ところで、フラットベッドタイプの印刷装置で被印刷物に印刷を行うにあたっては、被印刷物のテーブル上での位置を特定し、かつ被印刷物がテーブル上で動かないように固定する治具が必要である。特に、角柱形状や円筒形状など、下面が斜面や曲面を持つ被印刷物の場合には、上記冶具には、位置の特定だけでなく、被印刷物がぐらつかないように支持する機能が求められる(以下では適宜、被印刷物の位置を特定し、被印刷物を固定する行為を「支持」と称し、そのための冶具を「支持冶具」と称する。)。そのような支持治具が必要であることによって、被印刷物の印刷にはコストと時間が掛かる。また被印刷物の形状が変更されると冶具も形状の変更が必要になり、さらにコストと時間を要することになる。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、被印刷物を支持するための支持治具を安価かつ迅速に製作し、被印刷物の形状変更にも柔軟に対応することである。
本発明に係る印刷装置は、被印刷物が載置されるベースが載せられるテーブルと、前記ベースに光硬化性インクを吐出するインクヘッドと、前記ベースに吐出される前記光硬化性インクに光を照射する光照射機構と、前記インクヘッドおよび前記光照射機構を前記テーブルに対して移動させる移動機構と、制御装置とを備える。前記制御装置は、前記被印刷物の形状データを含む印刷データを記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記被印刷物の形状データに基づいて前記被印刷物を支持するサポートを設定するサポート設定部と、前記インクヘッド、前記光照射機構、および前記移動機構を制御して前記光硬化性インクによって前記ベース上に前記サポートを形成させるサポート形成部と、前記印刷データに基づいて前記サポートに支持された前記被印刷物に対して印刷を施す印刷制御部とを備える。前記サポート設定部は、第1設定部を備え、前記第1設定部は、前記被印刷物が前記サポートに支持されたときに前記被印刷物に接する支持部を備えるように前記サポートを設定する。
また、本発明に係る印刷方法は、予め準備されたベースに配置される被印刷物に印刷を施す印刷方法であって、前記被印刷物に対する印刷データに含まれる前記被印刷物の形状データに基づいて前記被印刷物が載置されたときに前記被印刷物に接する支持部を備えるサポートを設定するサポート設定工程と、前記ベース上に光硬化性インクを吐出し前記ベース上の前記光硬化性インクに光を照射することによって前記ベース上に前記光硬化性インクによる前記サポートを形成するサポート形成工程と、前記サポートに前記被印刷物を載置する載置工程と、前記印刷データに基づいて前記サポートに載置された前記被印刷物に印刷を施す印刷工程と、を含む印刷方法である。
上記印刷装置および印刷方法によれば、被印刷物の形状データに基づいて、光硬化性インクによって、ベース上に被印刷物を支持するサポートを形成することができる。上記サポートは、被印刷物がベースに載置されたときに被印刷物に接する支持部を備え、支持部が被印刷物に接することによって被印刷物を支持する。上記のように光硬化性インクによってベース上にサポートを形成すれば、被印刷物に印刷を施すときに被印刷物を支持するための支持治具の製作が不要になり、印刷の時間およびコストの削減に繋がる。また、サポートは、被印刷物の形状データに基づいて形成されるので、サポートを形成するための印刷データを改めて作成する必要がなく、被印刷物の設計変更にも柔軟に対応できる。さらに、サポートそのものが印刷データ中の被印刷物の形状データに基づいて形成されるため、被印刷物と印刷データの位置がずれ、結果、印刷位置がずれるような不具合も発生しにくい。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
図1は、一実施形態に係る印刷装置1を示す斜視図である。図2は、フロントカバー20を開けた状態の印刷装置1を示す正面図である。以下の説明では、特に断らない限り、印刷装置1を正面から見たときに、印刷装置1から遠ざかる方を前方、印刷装置1に近づく方を後方とする。左、右、上、下とは、印刷装置1を正面から見たときの左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。また、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味するものとする。ただし、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、印刷装置1の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。また、図面中の符号Yは主走査方向を示している。ここでは、主走査方向Yは左右方向である。符号Xは、副走査方向を示している。ここでは、副走査方向Xは前後方向である。主走査方向Yと副走査方向Xとは平面視において直交している。符号Zは、高さ方向、すなわち、上下方向を示している。ただし、主走査方向Y、副走査方向Xおよび高さ方向Zは、特に限定されず、印刷装置1の形態に応じて適宜に設定可能である。
本実施形態では、印刷装置1は、インクジェット方式のプリンタである。本実施形態において、「インクジェット方式」とは、二値偏向方式または連続偏向方式などの各種の連続方式、および、サーマル方式または圧電素子方式などの各種のオンデマンド方式を含む従来公知の各種の手法によるインクジェット式のことをいう。また、印刷装置1は、いわゆる、フラットベッドタイプのプリンタである。
印刷装置1は、立体物などの被印刷物5(図6参照)にインクを吐出して、被印刷物5に印刷を行う装置である。図1に示すように、印刷装置1は、箱状に形成されている。本実施形態では、印刷装置1は、ケース10と、フロントカバー20と、操作パネル25を備えている。ケース10は、底部11と、前壁部12と、後壁部13と、左壁部14と、右壁部15と、天面部16とを有している。底部11は、板状の部材である。前壁部12は、底部11の前端の右部に接続され、底部11の前端の右部から上方に延びている。図示は省略するが、後壁部13は、底部11の後端に接続され、底部11の後端から上方に延びている。左壁部14は、底部11の左端に接続され、底部11の左端から上方に延びている。左壁部14の後端は、後壁部13の左端に接続されている。右壁部15は、底部11の右端に接続され、底部11の右端から上方に延びている。ここでは、右壁部15の前端は、前壁部12の右端に接続され、右壁部15の後端は、後壁部13の右端に接続されている。天面部16は、前壁部12の上端、後壁部13の上端、左壁部14の上端、および、右壁部15の上端にそれぞれ接続されている。図2に示すように、ケース10の前部には、開口17が形成されている。
フロントカバー20は、ケース10の開口17を開閉自在に設けられている。ここでは、フロントカバー20は、後端を軸に回転可能なように、ケース10に支持されている。
本実施形態では、底部11、前壁部12、後壁部13、左壁部14、右壁部15、天面部16およびフロントカバー20に囲まれることによって、内部空間18が形成されている。内部空間18は、印刷装置1による印刷が行われる空間である。フロントカバー20の後端を軸にして、フロントカバー20を上方に回転させることによって、内部空間18と外部空間とが連通される。
本実施形態では、図1に示すように、フロントカバー20には、窓部21が設けられている。窓部21は、例えば、透明のアクリル板によって形成されている。作業者は、窓部21を通じて内部空間18を視認することが可能である。
操作パネル25は、ケース10の右前部に設けられている。ここでは、操作パネル25は、天面部16の右前部に設けられている。操作パネル25は、作業者が印刷に関する操作を行うパネルである。
次に、印刷装置1の内部構成について説明する。図3は、印刷装置1の要部を模式的に示した平面図である。なお、図3では、前壁部12、後壁部13、左壁部14、右壁部15、天面部16およびフロントカバー20が取り外されている。図4は、キャリッジ61、インクヘッド30および第1紫外線照射ランプ41および第2紫外線照射ランプ42を模式的に示した正面図である。図5は、印刷装置1に係るブロック図である。図2〜図5に示すように、印刷装置1は、インクヘッド30と、インクカートリッジ35と、光照射機構40と、テーブル50と、移動機構60と、制御装置100と、を備えている。制御装置100は、記憶部101と、印刷制御部102と、サポート設定部103と、サポート形成部104と、モード選択部105と、を備えている。移動機構60は、キャリッジ61と、ガイドレール62と、ヘッド駆動装置63と、第1テーブル移動機構64と、第2テーブル移動機構65とを備えている。
インクヘッド30は、キャリッジ61に設けられている。インクヘッド30は、テーブル50上に向けて光硬化性インクを吐出する部材である。本実施形態では、インクヘッド30の数は「6」であるが、インクヘッド30の数は特に限定されない。複数のインクヘッド30は、主走査方向Yに並んで配置されている。図示は省略するが、インクヘッド30の底面には、複数のノズルが形成されている。インクヘッド30では、このノズルから下方に向かって光硬化性インクが吐出される。
複数のインクヘッド30には、それぞれインクカートリッジ35が接続されている。インクヘッド30と、インクカートリッジ35とは、図示しないインクチューブによって接続されている。インクカートリッジ35には、それぞれ色の異なる光硬化性インクが収容されている。光硬化性インクは、例えば、紫外線硬化インクである。紫外線硬化インクは、紫外線が照射されることによって硬化するインクである。複数のインクカートリッジ35のうちの少なくとも一つのインクカートリッジには、グロスインク(透明インク)が収容されている。グロスインクは本来、印刷の艶出し等の表面処理のために使用するインクであるが、厚盛り可能なため、本実施形態においては、被印刷物5を支持するためのサポート250(図8参照)の形成にも用いられる。グロスインクは、紫外線の照射によって即座に硬化するため、厚盛り印刷に適している。グロスインクには、大別して、印刷後の表面が光沢仕上げのタイプと艶消し仕上げのタイプとが存在する。一般的には、艶消し仕上げタイプの方が光沢仕上げタイプに比べて強い表面摩擦力が得られ、被印刷物5を支持するのに好適である。本実施形態では、底部11の左後部にインクカートリッジ収容部36が設けられ、インクカートリッジ35は、インクカートリッジ収容部36に収容されている。
図4に示すように、本実施形態では、光照射機構40は、キャリッジ61に設けられている。本実施形態にあっては、光硬化性インクは紫外線硬化インクであるので、光照射機構40は、第1紫外線照射ランプ41および第2紫外線照射ランプ42から構成される。第1紫外線照射ランプ41および第2紫外線照射ランプ42は、テーブル50上に向けて、インクヘッド30から吐出された光硬化性インクを硬化させる紫外線を発する。第1紫外線照射ランプ41は、キャリッジ61の左側面、インクヘッド30よりも左方に配置されている。第2紫外線照射ランプ42は、キャリッジ61の右側面、インクヘッド30よりも右方に配置されている。紫外線照射ランプが、インクヘッド30の左右にあることで、キャリッジ61が主走査方向Yのどちらに移動されるときでも、光照射機構40は、テーブル50上に吐出された紫外線硬化インクに紫外線を照射することができる。
図2に示すように、テーブル50は、ケース10内の内部空間18に配置されている。テーブル50は、インクヘッド30、第1紫外線照射ランプ41、および第2紫外線照射ランプ42よりも下方に配置されている。図3に示すように、テーブル50は、平面視において、底部11における主走査方向Yの中央部分に配置されている。
移動機構60は、テーブル50に対して、インクヘッド30および光照射機構40を動かす機構である。この移動は相対的なものであって、本実施形態では、移動機構60は、テーブル50を副走査方向X(前後方向)および高さ方向Z(上下方向)に動かし、インクヘッド30および光照射機構40を主走査方向Y(左右方向)に動かす。勿論、上述の移動方向は一つの例であって、移動機構60が、テーブル50、インクヘッド30、光照射機構40を動かす方向は、上記方向に限定されない。また、移動機構60は、テーブル50だけ、またはインクヘッド30および光照射機構40だけを移動させる構成であってもよい。
ガイドレール62は、キャリッジ61を主走査方向Yにガイドする部材である。図2に示すように、ガイドレール62は、主走査方向Yに延びている。本実施形態では、ケース10内には、主走査方向Yに延びた内壁19が設けられている。内壁19の左端は、左壁部14に接続され、内壁19の右端は、右壁部15に接続されている。ガイドレール62は、内壁19に固定されている。
キャリッジ61は、ガイドレール62に摺動自在に係合している。キャリッジ61は、ガイドレール62に沿って主走査方向Yへの移動が可能である。図4に示すように、キャリッジ61には、インクヘッド30、第1紫外線照射ランプ41、および第2紫外線照射ランプ42が設けられている。キャリッジ61において、第1紫外線照射ランプ41および第2紫外線照射ランプ42、複数のインクヘッド30は、主走査方向Yに並ぶように配置されている。
キャリッジ61、インクヘッド30、第1紫外線照射ランプ41、および第2紫外線照射ランプ42は、一体となって、ガイドレール62に沿って主走査方向Yに移動する。本実施形態では、図3に示すように、キャリッジ61には、ヘッド駆動装置63が接続されている。ヘッド駆動装置63は、キャリッジ61をガイドレール62に沿って主走査方向Yに移動させる装置である。ヘッド駆動装置63が駆動することによって、キャリッジ61、インクヘッド30、第1紫外線照射ランプ41、および第2紫外線照射ランプ42は、主走査方向Yに移動する。ヘッド駆動装置63の種類は特に限定されないが、例えば、ヘッド駆動装置63は、モータである。
第1テーブル移動機構64は、テーブル50を副走査方向Xに移動させる。図3に示すように、平面視において、第1テーブル移動機構64は、底部11の主走査方向Yの中央部分に開けられた開口11aの下に設けられている。第1テーブル移動機構64は、第1シャフト64aと、第2シャフト64bと、搬送部材64cと、第1駆動モータ64dとを備えている。第1シャフト64aおよび第2シャフト64bは、副走査方向Xに延びている。第1シャフト64aと第2シャフト64bとは平行に配置されている。第1シャフト64aおよび第2シャフト64bは、底部11に支持されている。搬送部材64cは、第1シャフト64aおよび第2シャフト64bに対して摺動自在に設けられている。本実施形態では、搬送部材64cは、平板64c−1と、第1筒状部64c−2と、第2筒状部64c−3とを有している。平板64c−1は、底部11の開口11aの下方に位置している。図2、図3に示すように、第1筒状部64c−2および第2筒状部64c−3は、中空の筒状の部材であって、例えば、ボールブッシュを備えている。第1筒状部64c−2は、平板64c−1の左端に設けられ、第2筒状部64c−3は、平板64c−1の右端に設けられている。第1筒状部64c−2には、第1シャフト64aが摺動自在に挿入されている。第2筒状部64c−3には、第2シャフト64bが摺動自在に挿入されている。図5に示すように、第1駆動モータ64dは、搬送部材64cを副走査方向Xに移動させる駆動源である。図3に示すように、搬送部材64cは、第1駆動モータ64dの駆動によって、第1シャフト64aおよび第2シャフト64bに沿って、副走査方向Xに移動する。搬送部材64cの上には、高さ調整部材65aを介して、テーブル50が載置されている。そこで、第1テーブル移動機構64は、テーブル50を副走査方向Xに移動することができる。
図2に示すように、第2テーブル移動機構65は、テーブル50を高さ方向Z(上下方向)に移動させる機構である。第2テーブル移動機構65は、底部11に設けられた開口11aの下で第1テーブル移動機構64と接続され、開口11aを通ってテーブル50を支持している。第2テーブル移動機構65は、高さ調整部材65aと、第2駆動モータ65bとを備えている。高さ調整部材65aは、高さが可変な部材である。高さ調整部材65aは、高さを調整する機構として、例えば、ラックおよびピニオン機構を備えている。第2駆動モータ65bは、高さ調整部材65aに接続されており、駆動することで、高さ調整部材65aの高さを調整する。高さ調整部材65aの高さが変更されることによって、テーブル50の高さが調整される。
図5に示すように、制御装置100は、記憶部101、印刷制御部102、サポート設定部103、サポート形成部104、およびモード選択部105を備えている。制御装置100は、例えば、印刷装置1に接続されたコンピュータであり、中央演算処理装置(以下、CPUという。)と、CPUが実行するプログラムなどが格納されたROMと、RAMなどを備えていてもよい。制御装置100の各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。また、各部は、プロセッサであってもよいし、回路であってもよい。記憶部101、印刷制御部102、サポート設定部103、サポート形成部104、およびモード選択部105の構成は特に限定されない。
記憶部101は、被印刷物5の形状データを含む印刷データを記憶している。図6は、印刷データの模式図である。図6に示されるように、被印刷物5は立体物である。被印刷物5は、例えば、塩化ビニル、アクリル等で形成されている。図6に表された被印刷物5において、ハッチングが施され符号205が付された部位は、印刷が施される印刷部位205である。図6に示す例においては、印刷部位205は、被印刷物5の天面である。図示は省略するが、印刷データには、印刷部位205に印刷される模様や色などのデータが含まれている。また、印刷データには、被印刷物5の三次元的な形状データが含まれている。
印刷制御部102は、記憶部101に記憶された印刷データ、および操作パネル25に入力された印刷に関する情報に基づいて、被印刷物5への印刷の制御を行う部位である。印刷制御部102は、インクヘッド30、第1紫外線照射ランプ41、第2紫外線照射ランプ42、ヘッド駆動装置63、第1駆動モータ64d、第2駆動モータ65bを制御して、被印刷物5に対して印刷を行う。
印刷制御部102は、ヘッド駆動装置63の駆動を制御することで、キャリッジ61に配置されたインクヘッド30、第1紫外線照射ランプ41、および第2紫外線照射ランプ42の主走査方向Yへの移動を制御する。さらに、キャリッジ61の移動と連動させて、インクヘッド30がテーブル50上に紫外線硬化インクを吐出するタイミングを制御する。また、印刷制御部102は、テーブル50上に吐出された紫外線硬化インクに対して、第1紫外線照射ランプ41および第2紫外線照射ランプ42が紫外線を照射するタイミングを制御する。
印刷制御部102は、さらに、第1テーブル移動機構64の第1駆動モータ64d、および第2テーブル移動機構65の第2駆動モータ65bを制御することによって、テーブル50の移動を制御する。より詳しくは、印刷制御部102は、第1テーブル移動機構64の第1駆動モータ64dの駆動を制御することによって、テーブル50の副走査方向Xへの移動を制御する。また、印刷制御部102は、第2テーブル移動機構65の第2駆動モータ65bの駆動を制御することによって、テーブル50の高さ方向Zへの移動を制御する。
サポート設定部103は、ベース200上で被印刷物5を支持するサポート250(図8参照)を設定する部位である。サポート250は、被印刷物5の形状データに基づいて設定される、被印刷物5の簡易支持冶具である。サポート設定部103は、第1設定部103aを備え、第1設定部103aは、サポート250のベース200上での位置、およびサポート250の形状を設定する。サポート250は、サポート設定部103で設定された位置と形状に基づいて、ベース200上に形成される。サポート250の設定の詳細については後述する。
サポート形成部104は、サポート設定部103で設定された位置と形状に基づいて、サポート250をベース200上に形成するように各部を制御する部位である。サポート形成部104は、インクヘッド30、第1紫外線照射ランプ41、第2紫外線照射ランプ42、ヘッド駆動装置63、第1駆動モータ64d、第2駆動モータ65bの動きを制御することで、ベース200上にサポート250を形成する。具体的には、サポート形成部104は、紫外線硬化インクをベース200上に厚塗り印刷することによって、サポート250を形成する。即ち、サポート形成部104によるサポート250の形成方法は、被印刷物5への印刷と同様の「印刷」である。
モード選択部105は、上記サポートの形成を行うモード(以下、サポート形成モードと言う。)か、被印刷物5の印刷を行うモード(以下、印刷モードと言う。)かが選択される部位である。モード選択部105は、例えば制御装置100に接続された外部のコンピュータの表示装置などに設定画面として表示され、作業者は上記画面でモードを選択する。サポート形成モードが選択されたとき、モード選択部105は、サポート形成部104に、サポート設定部103で設定された位置と形状に基づいてサポート250を印刷させるよう指令する。一方、印刷モードが選択されたとき、モード選択部105は、印刷制御部102に、記憶部101に記憶された印刷データに基づいて被印刷物5に印刷を行うように指令する。
ベース200は、テーブル50上に載置される部材であって、好ましくは、板状の部材である。ベース200は、サポート形成モードにおいては、被印刷物5を支持するサポート250がその上に形成される部材であり、印刷モードにおいては、その上で被印刷物5への印刷が行われる部材である。ベース200の材料は、例えば、塩化ビニル、アクリル等である。ベース200の材料は、光硬化性インクとの接着性が良い材料が望ましい。また、ベース200は、その上にサポート250が形成される部材であるため、自重で撓まない程度の強度があることが好ましく、また、繰り返し使用に耐える程度の耐久性があることが好ましい。あるいは、ベース200上には交換可能な薄いシート等が貼付されてもよい。1つのサポート250をわずかな回数しか使用しないような試作においては、上記シートの貼付は作業を簡易化し、コストも削減する。
以下では、サポート設定部103におけるサポート250の位置および形状の設定について、いくつかの実施形態に分けて説明する。いずれの実施形態も、上記で説明した共通の構成要素を含み、同じ構成要素は同じ機能を有する。そこで、以下に記載するいくつかの実施形態の説明においても、これまでに使用した符号をそのまま用いるものとする。
(第1実施形態)
第1実施形態は、被印刷物5の平面視における輪郭線に基づいてサポート250が設定される実施形態である。図6に示されるように、被印刷物5の輪郭線210は、被印刷物5がベース200上に載置された状態で上方Uから見たときの、被印刷物5の外形線である。本実施形態に係るサポート250は、被印刷物5の輪郭線210に接することで被印刷物5を支持する支持部を備える。
第1実施形態は、被印刷物5の平面視における輪郭線に基づいてサポート250が設定される実施形態である。図6に示されるように、被印刷物5の輪郭線210は、被印刷物5がベース200上に載置された状態で上方Uから見たときの、被印刷物5の外形線である。本実施形態に係るサポート250は、被印刷物5の輪郭線210に接することで被印刷物5を支持する支持部を備える。
図7、図8は、本実施形態に係るサポート設定部103で設定されるサポート250の形状を表す模式図である。図7、図8では、図6に示された被印刷物5と同じ被印刷物5が示されている。図7は、被印刷物5およびサポート250を上方Uから見た平面図である。図8は、図7におけるVIII−VIII断面図である。図8に示されるように、本実施形態に係るサポート250は、被印刷物5の輪郭線210に外側から接するように設定される。サポート250のうち被印刷物5に接する部分を、サポート250全体と区別するために支持部251と称することとすると、サポート250は、支持部251を備え、支持部251で被印刷物5を支持している。サポート250の高さは、輪郭線210の高さよりもわずかに高く設定されている。また、サポート250は、図7に示されるように、被印刷物5の輪郭線210の全周に沿って設定されている。本実施形態におけるサポート250は、1つの連続したサポートであって、かつ環状をなすサポートである。
サポート250を形成するにあたっては、まず、被印刷物5の形状データを含む印刷データが記憶部101に記憶される。上記被印刷物5の形状データには、輪郭線210のデータが含まれている。また、ベース200が、テーブル50上に載置される。さらに、モード選択部105で、サポート形成モードが選択される。サポート形成モードが選択されたとき、サポート設定部103によって、例えば制御装置100に接続された外部のコンピュータの表示装置などに、サポート250の完成イメージが映し出されてもよい。サポート250は、図7、図8に示されるように、被印刷物5の輪郭線210に支持部251で接しつつ、高さが輪郭線210よりもわずかに高い形状に設定される。ただし、サポート250は、高さ方向において、輪郭線210を含む鉛直面の下端に掛かっていればよく、サポート250の高さは必ずしも輪郭線210の高さを超える必要はない。また、本実施形態では、サポート250のベース200上における位置は、被印刷物5の全周に設定されている。上記設定は、制御装置100によって自動で行われる。
サポート設定部103において、図7、図8に示すようなサポート250の形状が設定されると、印刷制御部102は、サポート250の形状データに基づいて、インクヘッド30、光照射機構40、および移動機構60を制御して、ベース200上にサポート250を形成させる。サポート250の材料は、インクヘッド30から吐出される紫外線硬化インクであり、その形成方法は、被印刷物5への印刷と同様である。詳しくは、サポート形成部104は、ヘッド駆動装置63を制御して、キャリッジ61に配置されたインクヘッド30および光照射機構40を主走査方向Yに移動させ、また、第1テーブル移動機構64の第1駆動モータ64dおよび第2テーブル移動機構65の第2駆動モータ65bを制御して、テーブル50を副走査方向Xおよび高さ方向Zに移動させる。サポート形成部104は、上記キャリッジ61およびテーブル50の動きに連動させて、インクヘッド30に紫外線硬化インクを吐出させる。紫外線硬化インクが吐出された領域には、光照射機構40によって紫外線が照射される。このようにして、印刷装置1は、被印刷物5を支持するサポート250をベース200上に形成する。
サポート250の形成が終わると、作業者は、ベース200をテーブル50に取り付けたまま、サポート250に被印刷物5を載置する。ただし、ベース200とテーブル50とを位置決めする機構があれば、ベース200をテーブル50からいったん取り外し、再度設置することも問題ない。被印刷物5をサポート250に取り付けた後、作業者はモード選択部105で印刷モードを選択し、被印刷物5に印刷を施すように指令する。
上記のように、本実施形態に係る印刷装置1は、被印刷物5の形状データを含む印刷データを記憶する記憶部101と、記憶部101に記憶された被印刷物5の形状データに基づいて被印刷物5を支持するサポート250を設定するサポート設定部103と、光硬化性インクによってベース200上にサポート250を形成させるサポート形成部104と、サポート250に支持された被印刷物5に対して印刷を施す印刷制御部102とを備えている。サポート設定部103は、第1設定部103aを備え、第1設定部103aは、被印刷物5がサポート250に支持されたときに被印刷物5に接する支持部251を備えるようにサポート250を設定する。上記構成を備えることにより、本実施形態に係る印刷装置1は、被印刷物5の形状データに基づいて、光硬化性インクによって、ベース200上に被印刷物5を支持するサポート250を形成することができる。サポート250は、被印刷物5がベース200に載置されたときに被印刷物5に接する支持部251を備え、支持部251が被印刷物5に接することにより被印刷物5を支持する。上記のように光硬化性インクによってベース200上にサポート250を形成すれば、被印刷物5に印刷を施すときに被印刷物5を支持するための支持治具の製作が不要になり、試作の時間およびコストが削減される。また、サポート250は、被印刷物の形状データに基づいて形成されるので、サポート250を形成するための印刷データを改めて作成する必要がなく、被印刷物5の設計変更にも柔軟に対応できる。さらに、サポート250そのものが印刷データ中の被印刷物5の形状データに基づいて形成されるため、被印刷物5と印刷データの位置がずれ、結果、印刷位置がずれるような不具合も発生しにくい。
本実施形態に係る印刷装置1は、被印刷物5の輪郭線210に接する支持部251を備えたサポート250を設定する。上記印刷装置1によれば、様々な被印刷物5の形状に対応して被印刷物5を支持可能なサポート250を設定することができる。
また、本実施形態に係る印刷装置1は、サポート250を1つの連続したサポートとして設定する。上記印刷装置1によれば、簡易にサポート250を設定することができる。なお、本実施形態では、サポート250は、被印刷物5の輪郭線210の全周に亘り環状に設定されていたが、必ずしも環状に限定されない。例えば、サポート250は、環の一部が欠落したC字の形状をなしていてもよい。
上記した例では、被印刷物5はベース200上に1個であったが、複数であってもよい。複数の被印刷物5がベース200上に配置されるときには、サポート250は被印刷物5のそれぞれに対して設定され、形成される。複数の被印刷物5に対して同時にサポート250を設定することで、印刷時には複数の被印刷物5への同時印刷が可能になり、印刷効率の向上に繋がる。また、複数の被印刷物5は、全て同じ種類の被印刷物であってもよいし、複数種類の被印刷物が混在していてもよい。サポート250の形成は印刷データに基づいて行われるため、被印刷物5がどのような被印刷物であるかは任意である。
(第2実施形態)
第2実施形態は、サポート250が連続した1つのサポートではなく、2つ以上の互いに分離したサポートである実施形態である。第1実施形態では、サポート250は被印刷物5の全周に沿うものであったが、上記のようなサポート250の形状は、被印刷物5の支持のために必ずしも必要ではない。場合によっては、光硬化性インクを無駄に使用し、サポート250の形成のための時間を無駄に消費する。そこで、第2実施形態に係る印刷装置1は、サポート250を複数の互いに分離したサポートとして設定し、上記光硬化性インクの消費量とサポート250の形成時間を少なくする。
第2実施形態は、サポート250が連続した1つのサポートではなく、2つ以上の互いに分離したサポートである実施形態である。第1実施形態では、サポート250は被印刷物5の全周に沿うものであったが、上記のようなサポート250の形状は、被印刷物5の支持のために必ずしも必要ではない。場合によっては、光硬化性インクを無駄に使用し、サポート250の形成のための時間を無駄に消費する。そこで、第2実施形態に係る印刷装置1は、サポート250を複数の互いに分離したサポートとして設定し、上記光硬化性インクの消費量とサポート250の形成時間を少なくする。
図9は、本実施形態に係る制御装置100のブロック図である。図9に示されるように、本実施形態に係るサポート設定部103は、第1設定部103aの他に、第2設定部103bを備えている。第2設定部103bは、印刷データに含まれている被印刷物5の形状データに基づいて、支持部251が設定されるべきベース200上の位置を演算する部位である。第1設定部103aは、第2設定部103bが演算したベース200上の位置に支持部251を備えるようにサポート250を設定する。
第2設定部103bは、以下のような手順で支持部251の位置を決定する。第2設定部103bは、まず、被印刷物5の形状データから、被印刷物5の重心の位置を演算する。次に、重心を通る鉛直面の中から被印刷物5を最小の面積で切断する第1鉛直面を求める。さらに、上記第1鉛直面に垂直であって上記重心を通る第2鉛直面を求める。第2設定部103bは、上記演算結果に基づき、第1鉛直面および第2鉛直面によって区切られる4つの領域内にそれぞれ位置する4つの地点に前記支持部を設定する。即ち、上記4つの地点で、支持部251は被印刷物5の輪郭線210に接する。
図10は、上記第2設定部103bの演算プロセスを、被印刷物5に対して図示した模式図である。図10は、被印刷物5を上方Uから見ている。図10の被印刷物5は、平面視においてS字型をなしている。上述したように、第2設定部103bは、被印刷物5の形状データから、被印刷物5の重心の位置を計算する。図10において、符号Gで示した点は、被印刷物5の重心である。図10に示した被印刷物5では、重心Gは被印刷物5の内部に位置している。被印刷物5の重心Gを通り、被印刷物5を最小の面積で切断する鉛直面が第1鉛直面VP1である。第2設定部103bは、重心Gの位置から第1鉛直面VP1を演算する。多くの場合、重心Gを通る鉛直面の中で、第1鉛直面VP1は、被印刷物5の伸長方向または長手方向に垂直な鉛直面である。次に、第2設定部103bは、第1鉛直面VP1に垂直であって重心Gを通る第2鉛直面VP2を演算する。図10に示されるように、第2鉛直面VP2は、多くの場合、被印刷物5の伸長方向または長手方向と平行な鉛直面である。第1鉛直面VP1および第2鉛直面VP2によって、ベース200は4つの領域A1、A2、A3、A4に分割される。第2設定部103bは、4つの領域A1、A2、A3、A4にそれぞれ属する地点に、支持部251を設定する。即ち、第2設定部103bによって選定される支持部251の位置は、領域A1内にあって被印刷物5の輪郭線210に接する地点P1、領域A2内にあって被印刷物5の輪郭線210に接する地点P2、領域A3内にあって被印刷物5の輪郭線210に接する地点P3、領域A4内にあって被印刷物5の輪郭線210に接する地点P4、の4点である。
本実施形態に係る第1設定部103aは、上記P1〜P4の4地点に支持部251が配置されるようにサポート250の形状を設定する。本実施形態においては、第1設定部103aは、P1〜P4の4点に対応する4個の互いに分離したサポート250を設定する。P1〜P4の位置は、例えば、被印刷物5の輪郭線210上において第1鉛直面VP1と第2鉛直面VP2との交点から最も離れた地点に設定されてもよい。あるいは、被印刷物5の輪郭線210上において第1鉛直面VP1と第2鉛直面VP2との交点から最も離れた地点と最も近い地点の中間地点に設定されてもよい。また、各支持部251は、被印刷物5の輪郭線210に沿って一定の長さを備えていることが好ましく、上記長さは、制御装置100によって予め設定されている。図10においては、上記長さは、LLに設定されている。ただし、サポート250の長さLLは、一定でなくともよく、例えば、被印刷物5の外周の長さに比例して設定されるようになっていてもよい。あるいは、被印刷物5の体積または重量(重量の場合、印刷装置1は、被印刷物5の比重が入力される部材を備える。)に応じて、当該被印刷物を十分に支えるだけの長さLLが設定されてもよい。サポート250の幅Wについても同様であって、サポート250が当該被印刷物を十分に支えるだけの強度を持つように幅Wが設定されてもよい。
支持部251が設定される地点P1〜P4は、被印刷物5に回転移動および平行移動を許さない4地点に設定されてもよい。例えば、地点P1〜P4の位置を設定する最初のステップにおいて、地点P1〜P4は、被印刷物5の輪郭線210上において第1鉛直面VP1と第2鉛直面VP2との交点から最も離れた地点と最も近い地点の中間地点に設定されるとする。その状態で、被印刷物5が回転移動または平行移動可能か演算し、移動不可能であれば、P1〜P4はその地点で確定する。逆に移動可能であれば、P1〜P4を第1鉛直面VP1と第2鉛直面VP2との交点から離れる方向に順次移動させながら、都度移動可能かの検証を行う、というような設定方法でもよい。
なお、本実施形態におけるサポート250および被印刷物5の断面形状の図示は省略するが、第1実施形態と同じく、サポート250は、支持部251で被印刷物5の輪郭線210に接し、その高さは輪郭線210の高さよりもわずかに高く設定されている。
上記サポート250によれば、4点の支持部251によって、効率的に被印刷物5を支持することができる。図10に示した被印刷物5は、4個のサポート250によって位置が決定されている。このように、サポート250が互いに分離した複数のサポートとして設定されることで不必要な部分にサポートを形成しなくてもよくなり、サポート250の形成に要する光硬化性インクおよび時間が節約できる。
なお、本実施形態では、第1鉛直面VP1は、第2設定部103bによって、被印刷物5の重心Gを通る鉛直面のうち被印刷物5を最小の面積で切断する鉛直面に自動設定されたが、第2設定部103bは、作業者が第1鉛直面VP1の角度(図10においては、印刷装置1の前後左右を座標軸とする直交座標系における角度θ)を適宜調整可能なように構成されていてもよい。または、作業者が第1鉛直面VP1の角度θを任意に設定可能に構成されていてもよい。第1鉛直面VP1が被印刷物5の重心Gを通る鉛直面のうち被印刷物5を最小の面積で切断する鉛直面に自動設定される実施形態は、多くの場合、第2鉛直面VP2の方向が被印刷物5の伸長方向または長手方向に一致するため便利であるが、被印刷物5に特異的に断面積が小さい「くびれ」等が存在すると、第2鉛直面VP2が被印刷物5の伸長方向または長手方向とまったく異なる方向に設定されてしまうことがあり得る。そのような場合に、作業者が第1鉛直面VP1の方向を補正できると有効である。また、第1鉛直面VP1および第2鉛直面VP2は、被印刷物5の重心Gを通り互いに直交する鉛直面であるから、第1鉛直面VP1および第2鉛直面VP2がどのような方向に設定されても、第1鉛直面VP1および第2鉛直面VP2によって分割される被印刷物5の4つの部分はバランスを保つようになっている。より詳しくは、第1鉛直面VP1および第2鉛直面VP2が重心Gを通る限り、第1鉛直面VP1を挟んだ両側の力のモーメントは釣り合っており、第2鉛直面VP1を挟んだ両側の力のモーメントは釣り合っている。そこで、作業者が任意に第1鉛直面VP1の角度θを設定しても、領域A1、A2、A3、およびA4に配分される被印刷物5の力のモーメントはバランスしており、よって、領域A1、A2、A3、およびA4にそれぞれ設定される支持部251によって、被印刷物5はバランスよく支持される。上記第1鉛直面VP1の補正または設定は、例えば、印刷装置1に接続された外部のコンピュータの表示装置に表示される入力画面によって行うことができるようになっているとよい。
(第2実施形態の変形例1)
第2実施形態は、いくつかの変形例で実施することが可能である。その1つの変形例は、支持部251の位置を2点だけ設定する変形例である。本変形例に係る第2設定部103bは、第1鉛直面VP1と第2鉛直面VP2とによって区切られる4つの領域のうち対角に位置する2つの領域に支持部251を設定するように構成されている。図11は、本変形例に係る印刷装置1が設定するサポート250を表す模式図である。本変形例に係る第2設定部103bも、被印刷物5の形状データから重心Gを求め、重心Gを通り被印刷物5を最小の面積で切断する第1鉛直面VP1を演算する。さらに、第1鉛直面VP1に垂直かつ重心Gを通る鉛直面VP2を演算する。そして、本変形例に係る第2設定部103bは、第1鉛直面VP1および第2鉛直面VP2によって区分された4つ領域A1、A2、A3、A4にそれぞれ位置する地点P1、P2、P3、P4のうち対角に位置する2点P1およびP3、またはP2およびP4に支持部251を設定する。図11には、地点P2およびP4に支持部251が設定された場合が示されている。本変形例に係るサポート250によれば、2個の支持部251の支持により、少なくとも、直立に不向きな断面形状を持つ被印刷物5を直立させることができる。直立に不向きな断面形状とは、例えば、下半分が半円形の断面形状などである。被印刷物5が印刷中にベース200上で動かなければそれでよい場合には、本変形例に係るサポート250で十分有効である。また、被印刷物5の形状によっては、位置決めも可能である。そして、支持が2点になる分、サポート250の形成に要する光硬化性インクと時間がさらに節約できる。当然ながら、本変形例においても、第1鉛直面VP1の方向は、作業者が補正または任意に設定できてもよい。
第2実施形態は、いくつかの変形例で実施することが可能である。その1つの変形例は、支持部251の位置を2点だけ設定する変形例である。本変形例に係る第2設定部103bは、第1鉛直面VP1と第2鉛直面VP2とによって区切られる4つの領域のうち対角に位置する2つの領域に支持部251を設定するように構成されている。図11は、本変形例に係る印刷装置1が設定するサポート250を表す模式図である。本変形例に係る第2設定部103bも、被印刷物5の形状データから重心Gを求め、重心Gを通り被印刷物5を最小の面積で切断する第1鉛直面VP1を演算する。さらに、第1鉛直面VP1に垂直かつ重心Gを通る鉛直面VP2を演算する。そして、本変形例に係る第2設定部103bは、第1鉛直面VP1および第2鉛直面VP2によって区分された4つ領域A1、A2、A3、A4にそれぞれ位置する地点P1、P2、P3、P4のうち対角に位置する2点P1およびP3、またはP2およびP4に支持部251を設定する。図11には、地点P2およびP4に支持部251が設定された場合が示されている。本変形例に係るサポート250によれば、2個の支持部251の支持により、少なくとも、直立に不向きな断面形状を持つ被印刷物5を直立させることができる。直立に不向きな断面形状とは、例えば、下半分が半円形の断面形状などである。被印刷物5が印刷中にベース200上で動かなければそれでよい場合には、本変形例に係るサポート250で十分有効である。また、被印刷物5の形状によっては、位置決めも可能である。そして、支持が2点になる分、サポート250の形成に要する光硬化性インクと時間がさらに節約できる。当然ながら、本変形例においても、第1鉛直面VP1の方向は、作業者が補正または任意に設定できてもよい。
(第2実施形態の変形例2)
また、第2実施形態の別の1つの変形例は、被印刷物5の重心Gが被印刷物5の外部に存在するとき、内部に重心を持つ複数の部分に被印刷物5を分割し、上記複数の部分に対してそれぞれ支持部251を設定する実施形態である。自身の外部に重心Gを持つ被印刷物5は、例えばC字やL字などの形状を備えた被印刷物である。そのような被印刷物5に対する場合には、第2実施形態に係る印刷装置1では、必ずしも好適なサポート250を設定できないことがあり得る。
また、第2実施形態の別の1つの変形例は、被印刷物5の重心Gが被印刷物5の外部に存在するとき、内部に重心を持つ複数の部分に被印刷物5を分割し、上記複数の部分に対してそれぞれ支持部251を設定する実施形態である。自身の外部に重心Gを持つ被印刷物5は、例えばC字やL字などの形状を備えた被印刷物である。そのような被印刷物5に対する場合には、第2実施形態に係る印刷装置1では、必ずしも好適なサポート250を設定できないことがあり得る。
図12は、重心Gが外部に存在する被印刷物5に対して設定されるサポート250を示す模式図である。図12は、第2実施形態に係る第2設定部103bによって設定されるサポート250を示している。図12に示される被印刷物5は、L字型の平面形状を備えている。図12に示されるように、被印刷物5の重心Gは、被印刷物5の外部に存在している。
図12に示されるように、被印刷物5は、第1鉛直面VP1および第2鉛直面VP2によって分割されている。しかしながら、領域A4には被印刷物5が存在せず、従って領域A4にはサポート250が設定不可能である。これは、被印刷物5が重心Gを外部に持つ形状であるためである。また、他の3個のサポート250は、被印刷物5の左方Lおよび前方Fを支持するように設定され、右方Rおよび後方Rrを支持するサポート250は設定されていない。このようなサポート250によれば、被印刷物5が転倒しないように支持することはできるものの、被印刷物5の移動および回転を抑えることは困難である。
一方、図13は、本変形例に係る第2設定部103bによって設定されるサポート250を示している。図13における被印刷物5は、図12におけるものと同じ被印刷物5である。当然ながら、図13においても、被印刷物5の重心Gは、被印刷物5の外部に存在している。
本変形例に係る第2設定部103bは、図13のように被印刷物5の重心Gが被印刷物5の外部に存在するとき、被印刷物5を、内部に重心が存在する複数の部分に分割するように構成されている。本変形例では、第1鉛直面VP1によって被印刷物5を、第1部分5aと第2部分5bとに分割する。符号Gaは、第1部分5aの重心を表している。同様に、符号Gbは、第2部分5bの重心である。図13に示されるように、第1部分5aの重心Gaは、第1部分5aの内部に存在している。第2部分5bの重心Gbも、第2部分5bの内部に存在している。このように、本変形例に係る印刷装置1は、第1鉛直面VP1によって、被印刷物5を、内部に重心が存在する複数の部分(ここでは、第1部分5aおよび第2部分5b)に分割する。上記分割によっても内部に重心を持たない部分が存在する場合は、当該部分について同様に再分割する。ただし、上記分割方法は1つの例であって、これに限定されない。被印刷物5を分割する面は、第1鉛直面VP1でなくともよく、また、分割数は「2」でなくともよい。また、被印刷物5を分割する面は、必ずしも鉛直面であることを要しない。
上記のように、被印刷物5を内部に重心を持つ複数の部分に分割した後、第2設定部103bは、それぞれの部分に対して支持部251を設定する。本変形例では、第1部分5a、第2部分5bのそれぞれに対して第1鉛直面および第2鉛直面が設定され、第1鉛直面と第2鉛直面とによって区分される4つの領域のうち対角に位置する2領域に支持部251が設定される。符号VP1−aは、第1部分5aに対する第1鉛直面を表している。符号VP2−aは、第1部分5aに対する第2鉛直面を表している。符号VP1−bは、第2部分5bに対する第1鉛直面を表している。符号VP2−bは、第2部分5bに対する第2鉛直面を表している。図13に示されるように、支持部251は、第1部分5aに対して、第1鉛直面VP1−aと第2鉛直面VP2−aとで区分される4領域のうち対角に位置する2領域に設定されている。同様に、第2部分5bに対して、支持部251は、第1鉛直面VP1−bと第2鉛直面VP2−bとで区分される4領域のうち対角に位置する2領域に設定されている。上記の合計4個のサポート250は、被印刷物の前方F、後方Rr、左方L、右方Rに配置され、被印刷物5を移動および回転不可能に支持している。このように支持部251が設定されることにより、重心Gを外部に持つ被印刷物5に対しても、移動、回転を抑えるようなサポート250を設定することができる。なお、第1部分5a、第2部分5bのそれぞれに対して設定されるサポート250の数は2個に限定されず、例えば3個以上であってもよい。
(第3実施形態)
第3実施形態は、第1実施形態および第2実施形態とサポート250の断面形状が異なる実施形態である。第1実施形態および第2実施形態では、サポート250は、被印刷物5の輪郭線210に接するように設けられたが、輪郭線210のベース200からの高さが高いと、それに合わせてサポート250の高さを高く設定しなければならなかった。そして、その分、光硬化性インクと形成時間を要した。また、第1実施形態および第2実施形態に係るサポート250は、被印刷物5を外側から支持するため、例えば、バランスが悪く自立しない形状を有する被印刷物5の支持には好適ではなかった。そこで、本実施形態に係る印刷装置1は、被印刷物5の下面に接し、下面を支持する支持部251を備えたサポート250を設定する。
第3実施形態は、第1実施形態および第2実施形態とサポート250の断面形状が異なる実施形態である。第1実施形態および第2実施形態では、サポート250は、被印刷物5の輪郭線210に接するように設けられたが、輪郭線210のベース200からの高さが高いと、それに合わせてサポート250の高さを高く設定しなければならなかった。そして、その分、光硬化性インクと形成時間を要した。また、第1実施形態および第2実施形態に係るサポート250は、被印刷物5を外側から支持するため、例えば、バランスが悪く自立しない形状を有する被印刷物5の支持には好適ではなかった。そこで、本実施形態に係る印刷装置1は、被印刷物5の下面に接し、下面を支持する支持部251を備えたサポート250を設定する。
図14は、本実施形態に係る印刷装置1で設定されるサポート250を表す模式図であって、サポート250と被印刷物5の縦断面である。図14に示されるように、被印刷物5は、上方にオーバーハングした断面を備えており、従って、ベース200の方(下方D)を向いた下面211を備えている。また、図14に示される被印刷物5は、下面211の重心Gの真下の部分がベース200に接しておらず、自立しない形状を有している。本実施形態に係る第1設定部103aは、被印刷物5の形状データのうち、下面211の形状情報に基づいてサポート250の断面形状を設定する。
本実施形態に係る第1設定部103aは、下面211の少なくとも一部に接する支持部251を備えるようにサポート250を設定する。図14に示すサポート250は、支持部251で被印刷物5の下面211に接している。図14における下面211は上方Uに向かって広がる傾斜を備えた傾斜面であり、支持部251は、上記傾斜面の途中で下面211に接している。サポート250の断面形状は天面が平坦な長方形の形状であり、支持部251は、サポート250の天面のうち被印刷物5に接した隅である。そこで、サポート250の高さは、支持部251の高さと同じである。従って、サポート250の高さは、被印刷物5の輪郭線210の高さよりも低い。また、支持部251は、被印刷物5の下面211を支持しているので、第1実施形態および第2実施形態よりも被印刷物5の支持が確実である。第1実施形態および第2実施形態においては、被印刷物5は、被印刷物5と支持部251との間の摩擦力によって支持されていたが、本実施形態では、支持部251は、被印刷物5が転倒しようとする力をその進行方向で受けている。そこで、本実施形態に係るサポート250は、自立しない被印刷物5に対して、より確実な支持を行うことができる。
このように、本実施形態に係る印刷装置1は、被印刷物5の下面211に接する支持部251を備えたサポート250によって、被印刷物5を下方から支持する。そこで、サポート250の高さを被印刷物5の輪郭線210より低くすることができ、サポート250の形成に要する光硬化性インクおよび形成時間を節約することができる。また、本実施形態に係るサポート250は、被印刷物5の下面211を支持するため、バランスが悪く自立しない被印刷物5に対しても安定した支持を行うことができる。なお、サポート250は、グロスインクの積層によって形成されるため、柔軟性があり、また角部が丸みを帯びている。よって、被印刷物5と支持部251とが接触する際、被印刷物5が支持部251によって傷つけられる恐れは少ない。
サポート250は、被印刷物5の下面211の最下部212と輪郭線210との間D1のうち輪郭線210側の半分に属するD2側で下面211と接することが好ましい。つまり支持部251は、被印刷物5の下面211の最下部212と輪郭線210の間のうち輪郭線210に近い側であることが好ましい。被印刷物5を半分よりも外側で支持することにより、被印刷物5の支持はより安定する。
また、支持部251は、サポート250につき1つに限定されない。サポート250は、支持部251を複数備えていてもよい。例えば、サポート250は階段状の形状を持ち、各段の隅が支持部251として被印刷物5の下面211に接するような形態であってもよい。
(第3実施形態の変形例1)
第3実施形態は、いくつかの変形例で実施することが可能である。例えば、支持部251は、被印刷物5の下面211の一部に倣う形状に設定されてもよい。図15は、本変形例に係る印刷装置1で設定されるサポート250を表す模式図であって、サポート250と被印刷物5の縦断面である。図15に示されるように、本変形例に係るサポート250には、下面211の傾斜面に面で接触する面取りが設けられている。上記面取りが、本変形例における支持部251である。このように、支持部251は、被印刷物5の下面211に面で接するように、下面211の形状に倣った形状に設定されてもよい。支持部251が下面211の形状に倣った形状に設定されることで、被印刷物5の支持はより安定する。当然ながら、支持部251の形状は、平面形状に限定されない。被印刷物5が曲面の下面211を備えている場合には、それに倣って支持部251も曲面で構成される。
第3実施形態は、いくつかの変形例で実施することが可能である。例えば、支持部251は、被印刷物5の下面211の一部に倣う形状に設定されてもよい。図15は、本変形例に係る印刷装置1で設定されるサポート250を表す模式図であって、サポート250と被印刷物5の縦断面である。図15に示されるように、本変形例に係るサポート250には、下面211の傾斜面に面で接触する面取りが設けられている。上記面取りが、本変形例における支持部251である。このように、支持部251は、被印刷物5の下面211に面で接するように、下面211の形状に倣った形状に設定されてもよい。支持部251が下面211の形状に倣った形状に設定されることで、被印刷物5の支持はより安定する。当然ながら、支持部251の形状は、平面形状に限定されない。被印刷物5が曲面の下面211を備えている場合には、それに倣って支持部251も曲面で構成される。
(第3実施形態の変形例2)
あるいは、第3実施形態は、第1実施形態または第2実施形態と組み合わせて実施されてもよい。図16は、本変形例に係る印刷装置1で設定されるサポート250を表す模式図であって、サポート250と被印刷物5の縦断面である。図16に示されるサポート250は、被印刷物5の輪郭線210に外側から接する支持部251と、被印刷物5の下面211に接する支持部251とを両方備えている。そこで、被印刷物5は、外側から支えられるとともに下面211でも支えられている。従って、これまでに説明された実施形態よりも被印刷物5の支持が安定している。本変形例は、比較的重量のある被印刷物5を扱うときなどに有効である。
あるいは、第3実施形態は、第1実施形態または第2実施形態と組み合わせて実施されてもよい。図16は、本変形例に係る印刷装置1で設定されるサポート250を表す模式図であって、サポート250と被印刷物5の縦断面である。図16に示されるサポート250は、被印刷物5の輪郭線210に外側から接する支持部251と、被印刷物5の下面211に接する支持部251とを両方備えている。そこで、被印刷物5は、外側から支えられるとともに下面211でも支えられている。従って、これまでに説明された実施形態よりも被印刷物5の支持が安定している。本変形例は、比較的重量のある被印刷物5を扱うときなどに有効である。
なお、上記2つの変形例においても、支持部251は、被印刷物5の下面211の最下部212と輪郭線210との間D1のうち輪郭線210側の半分D2の少なくとも一部を含むように設定されるのが好ましい。支持部251が上記のように設定されることで、被印刷物5の支持はより安定する。
(第4実施形態)
第4実施形態は、支持部251の位置およびサポート250の断面形状を半自動で設定する実施形態である。第1〜第3実施形態においては、支持部251の位置およびサポート250の断面形状は、被印刷物5の形状データに基づいて印刷装置1が自動で設定していた。しかしながら、支持部251の位置およびサポート250の断面形状は、作業者が設定できてもよい。第4実施形態は、第1〜第3実施形態で説明された支持部251の位置およびサポート250の断面形状を、作業者が適宜選択して組み合わせることができる実施形態である。
第4実施形態は、支持部251の位置およびサポート250の断面形状を半自動で設定する実施形態である。第1〜第3実施形態においては、支持部251の位置およびサポート250の断面形状は、被印刷物5の形状データに基づいて印刷装置1が自動で設定していた。しかしながら、支持部251の位置およびサポート250の断面形状は、作業者が設定できてもよい。第4実施形態は、第1〜第3実施形態で説明された支持部251の位置およびサポート250の断面形状を、作業者が適宜選択して組み合わせることができる実施形態である。
図17は、本実施形態に係る制御装置100のブロック図である。図17に示されるように、本実施形態に係る制御装置100は、条件入力部106を備えている。条件入力部106は、サポート250の設定に関する条件を作業者が入力する部位である。条件入力部106は、例えば、印刷装置1に接続された外部のコンピュータの表示装置に表示される入力画面として作業者に提示される。条件入力部106は、さらに、第1条件入力部106a、第2条件入力部106b、および第3条件入力部106cを備えている。
第1条件入力部106aは、支持部251の位置を設定する方法を選択する部位である。本実施形態に係る第1条件入力部106aは、支持部251の位置を設定する方法を「全周」「4点」「マニュアル入力」の3つのモードから選択可能に構成されている。上記3つのモードのうち「全周」モードは、被印刷物5の全周にわたって1つの連続したサポート250を設定するモードである。「全周」モードを使用すれば、第1実施形態に係るサポート250のような、環状のサポート250が設定される。「4点」モードは、第2実施形態で説明されたような方法で支持部251の位置を4点設定するモードである。即ち、被印刷物5に対して第1鉛直面VP1(図10参照)および第2鉛直面VP2(図10参照)を設定し、第1鉛直面VP1と第2鉛直面VP2とによって分割される4つの領域内にそれぞれ1点ずつ支持部251を配置するモードである。「マニュアル入力」モードは、支持部251の位置を、作業者が設定するモードである。
第2条件入力部106bは、第1条件入力部106aで「マニュアル入力」モードが選択されたときに、作業者が支持部251の位置を入力する部位である。第2条件入力部106bの詳細については後述する。
第3条件入力部106cは、サポート250の断面形状が選択される部位である。第3条件入力部106cは、サポート250の断面形状として、「外周」および「下面」を選択可能に構成されている。「外周」が選択されると、第1実施形態、第2実施形態で説明されたような、被印刷物5の輪郭線210(図8参照)に外側から接するサポート250の形状が設定される。「下面」が選択されると、第3実施形態で説明されたような、被印刷物5の下面211(図14参照)に接するサポート250の形状が設定される。本実施形態では、第3実施形態の変形例1で説明されたような、下面211の形状に倣った支持部251を備えるサポート250が設定される。また、「外周」と「下面」の両方が選択されると、第3実施形態の変形例2で説明されたような、輪郭線210に外側から接する支持部251と下面211に接する支持部251とを両方備えたサポート250が設定される。
図18は、条件入力部106の入力画面の例である。図18に示されるように、入力画面の左側には、被印刷物5の平面イメージI1と断面イメージI2が表示されている。また入力画面の右側には、操作メニューMが表示されている。操作メニューMの上段には、サポート位置設定メニューM1が表示されている。サポート位置設定メニューM1は、第1条件入力部106aが入力画面上に表示されたものである。図18に示されるように、サポート位置設定メニューには、「全周」「4点」「マニュアル入力」のいずれかが選択可能なチェックボックスCB1が表示されている。図18では、「マニュアル入力」モードのチェックボックスCB1にチェックが入れられ、「マニュアル入力」モードが選択されている。
操作メニューMの中段には、サポート位置入力画面M2が表示されている。サポート位置入力画面M2は、第2条件入力部106bが入力画面に表示されたものである。第1条件入力部106aで「マニュアル入力」モードが選択されているため、サポート位置入力画面M2は操作可能になっている。サポート位置入力画面M2は、最大10個のサポート250の位置を入力できるように構成され、サポート位置入力画面M2上のサポートには「1」〜「10」の番号がそれぞれ振られている。ただし、上記10個は例示であって、サポート250の最大設定数を限定するものではない。サポートの番号の左にはチェックボックスCB2が表示され、チェックボックスCB2で選択されたサポート250について位置入力ができるようになっている。図18の入力画面では、「サポート6」にチェックが入っている。そこで、図18の入力画面では、「サポート6」について位置の入力を行っている。「サポート1」〜「サポート5」の入力は既に完了している。それぞれのサポート250について位置の入力を終えると、作業者は、サポートの番号の右の「決定」ボタンを押下して位置を決定する。決定後に変更したいときには、「決定」ボタンの右の「変更」ボタンを押下することで変更が可能になる。
サポート位置の入力は、入力画面左側にある被印刷物5の平面イメージI1を使って行われる。作業者は、例えば、平面イメージI1においてサポートを設定したい場所を選択することで、サポート位置を決定する。「サポート1」〜「サポート5」については、図18に示された位置に決定済みである。図18では、「サポート6」の位置を平面イメージI1で入力後、また「決定」ボタンが押下されていない状態が示されている。なお、本実施形態では、サポート250の被印刷物5の輪郭線210に沿った長さ、および幅は、制御装置100において予め設定されている。
なお、「マニュアル入力」モードにおけるサポート位置の入力は完全に自由ではなく、一定の制限があってもよい。例えば、4点以上が設定されること、上記4点が第1鉛直面VP1と第2鉛直面VP2とによって区分される4つの領域のそれぞれに属すること、等の制限が設けられていてもよい。
入力画面下段のサポート形状設定メニューM3では、サポート250の断面形状のパターンが選択される。サポート形状設定メニューM3は、第3条件入力部106cが入力画面に表示されたものである。サポート形状設定メニューは、「外周」および「下面」の2つのメニューと、上記2つのメニューのいずれかまたは両方を選択可能なチェックボックスCB3を備えている。チェックボックスCB3で選択されたサポート250の断面形状のパターンは、被印刷物5の断面イメージI2に反映され、確認できるようになっている。図18の例では、「外周」および「下面」の両方にチェックが入れられている。そこで、断面イメージI2には、輪郭線210に外側から接する支持部251と下面211に接する支持部251とを両方備えたサポート250のイメージが表示されている。
上記のように、本実施形態に係る印刷装置1によれば、被印刷物5の様々な形状に対応してサポート250の位置および形状を設定することができる。また、設定が半自動化されているので、設定作業が容易である。
なお、本実施形態に係る入力画面イメージは例示であり、印刷装置1を何ら限定するものではない。また、条件入力部106の仕様も一例であって、条件入力部106の仕様は上記で説明されたものに限定されない。例えば、本実施形態では、サポート250の断面形状は一律に設定されたが、それぞれのサポート250ごとに個別に設定できてもよい。あるいは、例えば、本実施形態では、「4点」モードにおける第1鉛直面VP1の方向の設定は自動であったが、作業者が任意に設定または補正できるようになっていてもよい。
(第5実施形態)
第5実施形態は、1個の被印刷物5の印刷データに基づいて、複数のサポート250を形成する実施形態である。形成される複数のサポート250は、同じ被印刷物5を対象としたサポートである。複数のサポート250が形成された後、各サポート250には各1個の被印刷物5が載置され、載置された複数の被印刷物5に対して印刷が行われる。本実施形態に係る印刷データは、1個の被印刷物5に対する印刷データである。
第5実施形態は、1個の被印刷物5の印刷データに基づいて、複数のサポート250を形成する実施形態である。形成される複数のサポート250は、同じ被印刷物5を対象としたサポートである。複数のサポート250が形成された後、各サポート250には各1個の被印刷物5が載置され、載置された複数の被印刷物5に対して印刷が行われる。本実施形態に係る印刷データは、1個の被印刷物5に対する印刷データである。
図19は、本実施形態に係る制御装置100のブロック図である。図19に示されるように、本実施形態に係る制御装置100は、数量入力部107を備えている。また、サポート設定部103は、第3設定部103cを備えている。
数量入力部107は、ベース200上に形成するサポート250の数が入力される部位である。上記サポート250の数の入力は、作業者によって行われる。入力画面は、例えば、制御装置100に接続された外部のコンピュータの表示装置等に表示される。
サポート設定部103の第3設定部103cは、数量入力部107に入力されたサポート250の数だけサポート250を設定する部位である。本実施形態では、印刷データは1個の被印刷物5に対するものであるため、第1設定部103aは、当該1個の被印刷物5を支持するサポート250を設定する。その後、第3設定部103cは、第1設定部103aが設定したサポート250のデータに基づいて、数量入力部107に入力されたサポート250の数量だけサポート250を設定する。本実施形態では、複数のサポート250の配置は、自動配置である。
図20は、サポート250の数を入力する入力画面の例である。図20に示されるように、入力画面の左側には、被印刷物5の平面イメージI3が表示されている。また入力画面の右側には、数量入力画面M4が表示されている。数量入力画面M4は、数量入力部107が入力画面として表示されたものである。また、平面イメージI3は、第3設定部103cが自動配置するサポート250の配置が視認可能に表示されたものである。図20の数量入力画面M4には、「4」が入力されている。即ち、図20の入力画面は、ベース200上に4個のサポート250を形成するように設定されている。なお、ここでは、1個の被印刷物5に対するサポート250を「1個」のサポート250と称している。
図20の平面イメージI3には、4個のサポート250が表示されている。図20では、サポート250は、縦2個×横2個で配置されている。第3設定部103cは、ベース200上の印刷可能エリアに収まるように、複数のサポート250を配置する。作業者が入力したサポート250の数が多すぎ、上記印刷可能エリアにサポート250が全て収まらない場合には、制御装置100はエラーを発し、入力された数量を拒絶する。
上記のように、本実施形態に係る印刷装置1は、1個の被印刷物5に対する印刷データがあれば、複数のサポート250を設定することができる。
なお、本実施形態では、複数のサポート250の配置は自動配置であったが、手動で配置できてもよい。その場合、例えば、平面イメージI3に作業者が操作を加えることによってサポート250の配置が行われる。
以上、いくつかの実施の形態について説明したが、ここに開示する印刷装置1は、上述の実施形態に限られるものではない。例えば、本発明に係るサポート250は、被印刷物5の下面211がベース200に接触しないように被印刷物5を支持してもよい。即ち、サポート250は、ベース200上から被印刷物5を浮かせるように、または被印刷物5の下面211とベース200の間に自身の一部を挟むように設定されてもよい。
また、サポート250は、互いに離間した支持部251を複数備えつつ、それ自体は一体であってもよい。あるいは、互いに分離した複数のサポート250それぞれについて、互いに離間した複数の支持部251を備えていてもよい。サポート250に一定の強度が求められるときなどには、サポート250が一体に構成された構成は有効であり、また不必要な部分では支持部251を省くという意味で上記構成は有効である。
1 印刷装置
5 被印刷物
5a 第1部分
5b 第2部分
30 インクヘッド
40 光照射機構
50 テーブル
60 移動機構
100 制御装置
101 記憶部
102 印刷制御部
103 サポート設定部
103a 第1設定部
103b 第2設定部
103c 第3設定部
104 サポート形成部
106 条件入力部
107 数量入力部
200 ベース
210 輪郭線
211 下面
250 サポート
251 支持部
G 重心
VP1 第1鉛直面
VP2 第2鉛直面
5 被印刷物
5a 第1部分
5b 第2部分
30 インクヘッド
40 光照射機構
50 テーブル
60 移動機構
100 制御装置
101 記憶部
102 印刷制御部
103 サポート設定部
103a 第1設定部
103b 第2設定部
103c 第3設定部
104 サポート形成部
106 条件入力部
107 数量入力部
200 ベース
210 輪郭線
211 下面
250 サポート
251 支持部
G 重心
VP1 第1鉛直面
VP2 第2鉛直面
Claims (14)
- 被印刷物が載置されるベースが載せられるテーブルと、
前記ベースに光硬化性インクを吐出するインクヘッドと、
前記ベースに吐出される前記光硬化性インクに光を照射する光照射機構と、
前記インクヘッドおよび前記光照射機構を前記テーブルに対して移動させる移動機構と、
制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記被印刷物の形状データを含む印刷データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記被印刷物の形状データに基づいて前記被印刷物を支持するサポートを設定するサポート設定部と、
前記インクヘッド、前記光照射機構、および前記移動機構を制御して前記光硬化性インクによって前記ベース上に前記サポートを形成させるサポート形成部と
前記印刷データに基づいて、前記サポートに支持された前記被印刷物に対して印刷を施す印刷制御部と、
を備え、
前記サポート設定部は、
前記被印刷物が前記サポートに支持されたときに前記被印刷物に接する支持部を備えるように前記サポートを設定する第1設定部を備えた、
印刷装置。 - 前記サポート設定部は、平面視における前記支持部の位置を設定する第2設定部を備え、
前記第1設定部は、前記第2設定部によって設定された位置に前記支持部を備えるように前記サポートを設定し、
前記第2設定部は、前記被印刷物の形状データに基づいて前記被印刷物の重心を求め、前記重心を通る第1の鉛直面と前記第1の鉛直面に垂直であって前記重心を通る第2の鉛直面とを設定し、少なくとも前記第1の鉛直面および前記第2の鉛直面によって区切られる4つの領域内にそれぞれ位置する4つの地点のうち前記第1の鉛直面および前記第2の鉛直面を挟んで対角に位置する2つの地点に前記支持部を設定する、
請求項1に記載の印刷装置。 - 前記第2設定部は、前記重心を通る鉛直面のうち前記被印刷物を最小の面積で切断する鉛直面を前記第1の鉛直面として設定する、
請求項2に記載の印刷装置。 - 前記第2設定部は、平面視において、少なくとも前記4つの地点に前記支持部を設定する、
請求項2または3に記載の印刷装置。 - 前記サポート設定部は、平面視における前記支持部の位置を設定する第2設定部を備え、
前記第1設定部は、前記第2設定部によって設定された位置に前記支持部を備えるように前記サポートを設定し、
前記第2設定部は、前記被印刷物の形状データに基づいて前記被印刷物の重心を求め、前記重心が前記被印刷物の内部に存在するときには前記被印刷物に対して前記支持部を設定し、前記重心が前記被印刷物の外部に存在するときには、内部に重心が存在する複数の部分に前記被印刷物を分割し、前記複数の部分のそれぞれに対して前記支持部を設定する、
請求項1に記載の印刷装置。 - 前記第1設定部は、平面視における前記被印刷物の輪郭線に接する前記支持部を備えるように前記サポートを設定する、
請求項1〜5のいずれか一つに記載の印刷装置。 - 前記第1設定部は、少なくとも前記被印刷物の下面の一部に接する前記支持部を備えるように前記サポートを設定する、
請求項1〜6のいずれか一つに記載のインクジェットプリンタ。 - 前記第1設定部は、少なくとも前記被印刷物の下面の一部に倣うように前記支持部を設定する、
請求項7に記載の印刷装置。 - 前記被印刷物の下面の一部は、前記下面の最下部と平面視における前記被印刷物の輪郭線との間のうち前記輪郭線側の半分に属する部分の少なくとも一部を含む、
請求項7または8のいずれか一つに記載の印刷装置。 - 前記第1設定部は、前記サポートを1つの連続したサポートとして設定する、
請求項1〜9のいずれか一つに記載の印刷装置。 - 前記第1設定部は、前記サポートを2つ以上の互いに分離したサポート部材として設定する、
請求項1〜9のいずれか一つに記載の印刷装置。 - 前記第1設定部は、前記ベース上に配置される複数の前記被印刷物のそれぞれに対して前記サポートを設定する、
請求項1〜11のいずれか一つに記載の印刷装置。 - 前記印刷データは、1つの前記被印刷物に対する印刷データであり、
前記制御装置は、前記ベース上に載置される前記被印刷物の数が入力される数量入力部を備え、
前記サポート設定部は、前記第1設定部が前記印刷データに基づいて1つの前記被印刷物を支持する前記サポートを設定した後に、前記数量入力部に入力された数だけ前記サポートを設定する第3設定部を備えた、
請求項1〜11のいずれか一つに記載の印刷装置。 - 予め準備されたベースに配置された被印刷物に印刷を施す印刷方法であって、
前記被印刷物に対する印刷データに含まれる前記被印刷物の形状データに基づいて、前記被印刷物が載置されたときに前記被印刷物に接する支持部を備えるサポートを設定するサポート設定工程と、
前記ベース上に光硬化性インクを吐出し前記ベース上の前記光硬化性インクに光を照射することによって前記ベース上に前記光硬化性インクによる前記サポートを形成するサポート形成工程と、
前記サポートに前記被印刷物を載置する載置工程と、
前記印刷データに基づいて、前記サポートに載置された前記被印刷物に印刷を施す印刷工程と、を含む、
印刷方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017044567A JP2018144451A (ja) | 2017-03-09 | 2017-03-09 | 印刷装置および印刷方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017044567A JP2018144451A (ja) | 2017-03-09 | 2017-03-09 | 印刷装置および印刷方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018144451A true JP2018144451A (ja) | 2018-09-20 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017044567A Pending JP2018144451A (ja) | 2017-03-09 | 2017-03-09 | 印刷装置および印刷方法 |
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JP (1) | JP2018144451A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11207897B2 (en) * | 2018-01-23 | 2021-12-28 | Citizen Watch Co., Ltd. | Printing jig and method for manufacturing printed objects |
-
2017
- 2017-03-09 JP JP2017044567A patent/JP2018144451A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11207897B2 (en) * | 2018-01-23 | 2021-12-28 | Citizen Watch Co., Ltd. | Printing jig and method for manufacturing printed objects |
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