JP2018144397A - 多芯筆記具 - Google Patents

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Norihisa Yoshimura
典久 吉村
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Abstract

【課題】リフィールの前後動係止操作をなすスライダーの、前後摺動を極力制限されないようにしつつもスライダーの横ブレを防止し、スライダーの係止や他スライダーの操作による係止解除が確実になされる多芯筆記具を提供する。
【解決手段】スライダー6の軸筒の中心方向への移動規制を、軸筒の中心から放射状に配置した隣り合った2つの傾斜壁面に対してスライダーの2つの周接壁が当接することによりなす。
【選択図】図14

Description

本発明は、スライダーと接続されたリフィールを軸筒内に複数収容し、軸筒の窓孔からスライダーを突出させてリフィールの先端に有するペン先の軸筒の開口部からの出没操作を可能とすると共に、スライダーの前進時に、軸筒の中心方向に変位することによって軸筒の係止部にスライダーを係止させて、ペン先の突出状態を維持する多芯筆記具に関する。
特許文献1に記載されているような、複数の筆記体を備える多芯式筆記具は、軸筒本体の後方に軸心に沿った方向に開口した複数の切欠窓へ摺動可能に配置され、筆記体の後方部に連結して一体とした摺動部材の前後移動によって、軸筒本体の先端開口部から筆記体の先端部が突出したり没入したりする。
前記摺動部材が前方にスライドすると、摺動部材は後軸の内面に形成した係止受部に係止し、筆記体の先端部を突出した状態となる。
1つの筆記体の先端部が突出した状態から没入した状態へするには、後方位置にある別の摺動部材をユーザが前方に向かってスライドさせると、その別の摺動部材に形成した係止解除突起により、係止受部に係止してある摺動部材の係止突起を解除して、筆記体の先端部を没入させる。
特開2011−93172号公報
特許文献1に記載の発明は、摺動部材の突部を切欠窓の縁によって軸筒周方向(横方向)の移動規制をしているが、摺動部材の摺動を円滑になすためには、多少なりとも部材間に隙間を形成しなくてはならず、摺動部材の横方向のブレが必ず生まれるものであった。摺動部材の横方向の位置がずれると、筆記体の先端部を突出操作する際の係止が上手くいかなかったり、他の摺動部材の前進時に筆記体の先端部を突出状態としている摺動部材と上手く当接せず、係止が解除されずに所望の筆記体を突出させにくかったりするなどの問題が起こりえるものであった。
そこで本発明は、スライダーと接続されたリフィールを軸筒内に複数収容し、軸筒の窓孔からスライダーを突出させてリフィールの先端に有するペン先の軸筒の開口部からの出没操作を可能にすると共に、スライダーの前進時に、軸筒の中心方向に変位することによって軸筒の係止部にスライダーを係止させて、ペン先の突出状態を維持する多芯筆記具において、前記スライダーの軸筒の中心方向への移動規制を、軸筒の中心から放射状に配置した隣り合った2つの傾斜壁面に対してスライダーの2つの周接壁が当接することによりなす多芯筆記具を要旨とするものである。
本願の多芯式筆記具は、リフィールの前後動係止操作をなすスライダーの、周方向(横方向)の移動規制を、軸筒中心方向への押し込み可能位置を規制する放射状の傾斜壁にて左右から挟まれるように複数位置にてなしたので、V字状の部分にて押さえられ、前後摺動を極力制限されないようにしつつもスライダーの横ブレを防止したので、スライダーの係止や他スライダーの操作による係止解除が確実になされるものである。
実施例の構成を示す正面図 実施例のA−A断面図 実施例の後軸の正面図 図3のB−B断面図 実施例のスライダー6を側面から見た図 図5の斜視図 実施例のクリップスライダー7を側面から見た図 図7の斜視図 実施例の摺動ケースの正面図 実施例の摺動ケースを前方(C方向)から見た図 実施例の摺動ケースの斜視図 図2のクリップスライダーが前進し、係止した状態。 図13のD−D断面図 図12の後軸を省略した斜視図
本発明は軸筒内に円周状に複数のリフィールを収容し、そのリフィールから任意に選択した1本のリフィールを前進させ、そのリフィールのペン先を前記軸筒の先端に有する開口部から突出した状態で係止させることで筆記可能となる多芯筆記具に関するものである。
前記リフィールの後端にはスライダーが設けられている。そのスライダーには、軸筒の外周面にリフィールの本数と同じ数だけ設けられ軸筒の軸心方向に伸びる窓孔から外部に露出する操作部が形成されている。この操作部を前方に押す事でスライダーと共にリフィールが前方に移動することになる。なお、この操作部は、押しやすいように指との接触部分を曲面で形成したりすると良いが、その形状は押圧出来れば特に限定されるものではない。また、操作部とクリップを一体に形成したり、別部材で内部に弾撥部材を配置し、洗濯ばさみのように押圧操作によって先端を開けたり閉じたりできるバインダー式のクリップからなる操作部としても良い。前記スライダーは、主にポリオキシメチレン(POM)などのポリアセタール樹脂や、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS)、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS)、ポリカーボネート樹脂(PC)といった樹脂材質からなるが、これに限るものではない。
スライダーとリフィールを着脱自在な嵌合状態とすることで、例えばペン先がボールペンで構成されたリフィール内に収容されたインキが無くなった際のリフィール交換や、好みのインキが収容されたリフィールへの交換、ペン先がシャープペンシルで構成されたリフィールへの交換などを行う事ができる。なお、シャープペンシルで構成されたリフィールが収容可能な多芯筆記具とする際は、芯を繰り出す事ためのノック操作が可能な構成とする必要がある。例えば、前進し係止した状態で前記スライダーの操作部をさらに前方へ押すことでノック動作を可能にしても良く、また、軸筒内にスライダーの後方に配置され前後に摺動可能な摺動部材を配置し、前進し係止した状態でその摺動部材を前方に押す事でノック操作を可能としても良い。また、ノック操作が可能であれば、これらの方法に限定されるものではない。
リフィールを交換可能とするために、軸筒を前方と後方で分割し、ねじ螺合や嵌合といった構造によって着脱可能としても良く、また、軸筒からリフィールを取り出す事が可能であれば、その方法は特に限定されない。リフィールだけ交換可能な方法だけで無く、リフィールとスライダーを一体とした状態で、リフィールとスライダーの両方を同時に交換可能としても良い。
軸筒内に配置され、前後に収縮可能な弾撥部材によって、リフィールおよびスライダーは後方に付勢されているため、リフィールが突出された状態での係止が解除されると、その付勢力によって、リフィールおよびスライダーは後方に移動し、リフィールのペン先は没入状態となる。
本発明の多芯筆記具は、スライダーを押してリフィールを前進させると、前記スライダーは軸筒の中心方向に変位し、そのスライダーに形成されている係止部が軸筒内に設けられた係止部に係止することで係止状態となる。係止を解除する際は、係止状態のリフィール以外の他のリフィールのスライダーを前方へ押す事で、他のリフィールのスライダーに形成された解除突起が、係止状態のスライダーに形成された被解除突起に接触し、係止状態のスライダーを軸筒の外径方向に変位させることで係止解除を行う事ができる。係止が解除されると、前記弾撥部材によって、係止状態だったリフィールおよびスライダーは、後方に移動し、係止前の状態に戻ることになる。
前記被解除突起と解除突起は、そのどちらか一方、もしくは、その両方に傾斜面を形成することで、被解除突起に解除突起が接触した際の接触抵抗を減らす事ができるため、より良い解除操作を行う事ができる。
本発明では、前述のとおり、スライダーを押してリフィールを前進させると、前記スライダーは軸筒の中心方向に変位するが、その変位を適度な位置に規制するために、軸筒の内部には、軸筒の中心から放射状に傾斜壁面が配置されている。また、スライダーには、左右に向かい合う2つの周接壁が形成されている。前記隣り合った2つの傾斜壁面により、2つの傾斜壁面の間の距離は軸筒の中心方向へ行くに従い狭くなるテーパ形状(V字状)となっており、この2つの傾斜壁面によって形成されるテーパ形状の数は、円周状に配置されるスライダーの数と同じ数だけ設けられ、それぞれが軸筒の中心に向かう直線上で向かい合うように配置される。そして、前記スライダーが軸筒の中心方向に変位した際に、前記2つの傾斜壁面とスライダーの2つの周接壁がそれぞれ当接することにより、前記スライダーが前記2つの傾斜壁面によって両側から挟まれることになり、係止時のスライダーの横ブレが防止される。そのため、他のスライダーを前進させて係止状態のスライダーの被解除突起に解除突起を接触させる際に、係止状態のスライダーの被解除突起が横に逃げず、確実に接触するため、スライダーの係止や他スライダーの操作による係止解除が確実になされるものである。
前記2つの傾斜壁面のテーパ形状(V字状)に対して、前記2つの周接壁の間の距離も軸筒の中心方向へ行くに従い狭くなるテーパ形状とすることで、当接箇所まで案内されやすくなっているが、2つの傾斜壁面の間に挟まれる形状であれば、2つの周接壁は、互いに平行に向き合う面や曲面で形成された面で形成されていても良く、特に限定されるものではない。また、2つの傾斜壁面の間に挟まれる形状であれば、2つの周接壁との接触は点接触でも、面接触でも良く、特に限定されるものではない。
前記傾斜壁面は、軸筒に一体に形成したり、前述の摺動部材に形成しても良く、その場所は特に限定されるものではない。
最良な構成の1例(実施例1)を説明する。
なお、以降の説明において、前方とはペン先側方向を指し、後方とはクリップが取り付けられている側方向を指す。
軸筒1は、図1〜2に示すように、前軸2と後軸3、摺動ケース4により構成されている。前記前軸2は螺合などの手段により後軸3に取り付けられており、前記後軸3の後端部には摺動ケース4が圧入などの手段によって取り付けられている。軸筒1を構成する前軸2と後軸3、摺動ケース4は各々、ポリカーボネート樹脂(PC)や、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS)、アクリロニトリルスチレン樹脂(AS)、ポリオキシメチレン(POM)などのポリアセタール樹脂といった樹脂材質からなるが、これに限るものではない。
前記前軸2の前端には、リフィール5の筆記部が出没する開口部2aが形成されている。
また、前記前軸2は透明な材質から構成されており、内部のリフィール5を、前軸2を通して識別可能としている。リフィール5の樹脂パイプ5aは着色、もしくは転写印刷などにより、内部のインキ5bと近似した色に着色されており、使用するリフィールを使用者の外観からの識別を可能としている。
さらに、前記前軸2は内部のリフィール5の視認性やデザイン性を考慮し、一部品で構成されているが、ゴム状弾性体からなるグリップを挿着したり、二色成形、或いは、多色成形といった手段などにより前軸2にゴム状弾性体からなるグリップを被覆しても良い。
ゴム状弾性体からなるグリップを挿着、被覆することにより、グリップ感が増し、書きやすさ、疲れにくさが増すのである。
後軸3は円柱形状をしており、図1や図2に示すとおり、表面に突出部などは設けていない。即ち、平滑な表面状態を形成している。これは後軸3の加飾性向上の為であり、全周に転写印刷を施すことが出来るようになっている。さらに前記後軸3には、図1〜図4に示すとおり、その長手方向に5個の窓孔3aが形成されている。本例においては、5個の窓孔3aが形成されているが、リフィール5の合計数が5本であるためであり、この本数によって窓孔3aの形成する数も変わるものである。
スライダー6及びクリップスライダー7は後軸3の後端より挿入され、後軸3内を通り、窓孔3aに入り込むことで組み立てられる。
前記後軸3の窓孔3aには、前記スライダー6及びクリップスライダー7が前後移動可能に配置されている。
後軸3は、着色半透明な材質から構成されている。リフィール5をスライダー6及びクリップスライダー7に対して着脱する際、即ち、リフィール5を交換する際、その着脱部5cの視認性が良好なものとなり、容易に着脱作業を行うことができるようになる。また、後軸3は、円筒状であるが故に、その曲面のレンズ作用により、前記着脱部5cが拡大・大径化され、さらに容易に着脱作業を行うことができるようになる。
前記スライダー6(図5〜6参照)およびクリップスライダー7(図7〜8参照)について説明する。
尚、前記クリップスライダー7は、前記スライダー6の操作部にクリップが一体になっている以外は、基本的な構成はスライダー6と同様であるため、特に断りがなければスライダー6として説明し、図の参照符号も共通としている。
前記スライダー6は前記後軸3の長手方向に延びる略棒状体であり、前記後軸3に挿入された状態で後軸3の外面方向を上方、後軸3の軸心に向かう径方向を下方としたとき、スライダー6の軸筒中心側には、下方に突出し、かつ、長手方向に延設された突起6aが形成されている。その突起6aの前方には、突起6aの下端から前方に向かいながら上方に傾斜した傾斜面6bからなる解除突起6cが形成されている。
また、前記突起6aの後端には、突起6aの下端から後方に向かいながら上方に傾斜した傾斜面が形成されており、かつ、その傾斜面は、突起6aの後端の両側面から後方、かつ、内側に向かって傾斜する2つの傾斜面6dから形成されている。この2つの傾斜面6dからなる突起を被解除突起6eとする。さらにスライダー6の後方には、スライダー6の前方(スライダー前方部6f)より幅が狭く、かつ、長手方向に延びたスライダー後方部6gが形成されている。スライダー前方部6fとスライダー後方部6gとは幅が異なるため段部が形成されている。そして、その段部によって形成される面(スライダー前方部後端面6h)には、後方へ突出し、側面が三角形状の係止突起6iが前記スライダー後方部6gの両側に配置されている。また、スライダー6はスライダー後方部6gの上方からスライダー前方部6fの上方に架けて、スライダー6を窓孔3aに沿って前後に移動させる操作を行うために窓孔3aより外方に突出した操作部6jが形成されている。この操作部6jは単に略円弧状の側面形状をした突起からなりスライダーを操作するだけのものと、操作に加えてクリップとしての役割を果たすためにクリップが一体に形成されたものがあり、本実施例においては、5つのスライダーの内4つが操作するためだけの突起が形成されたスライダーで、残りの1つがクリップ7aと一体に形成されたスライダー(クリップスライダー7とする)が設けられている。
図1〜2に示すとおり、摺動ケース4は、後軸3の後端部に取り付けられており、その外周の表面上には、後軸3との係合用の係合突起4aが設けられている。その係合突起4aは、後軸3の外周の表面に設けられた窓孔3aの後端部に係合される。この係合状態において、摺動ケース4の前半部4bは後軸3の後端内部に配置され、一方、摺動ケース4の後半部分は後軸3の後端開口部3cから突出する。その突出した摺動ケース4の後半部分をノック部4cとし、ノック作動により摺動ケース4全体が、後軸3に対して前後に摺動する。
摺動ケース4の前半部4bの前方部分には円周状に等間隔に形成された梁状の区画壁4dと、その区画壁4dの下方に配置され、前記ノック部4cの内部から区画壁4dの前方に延設された突起からなる延設突起4eが形成されている。延設突起4eの先端には、内径方向に向かい、かつ、後方に傾斜する傾斜面4fからなる係止突起4gが形成されている。
円周状に等間隔に配置された延設突起4eの下には、摺動ケース4の中心から各延設突起4eの下方に向かって延設され、かつ、長手方向に延設された板状の部材が形成されており、この板状の部材は、摺動ケース4の前方から見た際(図10参照)、放射状に配置されており、隣り合う板状の部材によってV字状の溝になっている。本実施例では、このV字状で長手方向に延設された溝をレール部4hとし、このV字の溝を形成する内側の傾斜面を傾斜壁面4iとする。
図2や図5〜8に示すとおり、前記スライダー6の前端部には、コイルスプリングからなる弾撥部材8の後端部が当接する鍔部6kが形成されている。
前記後軸3の中間部には、図2や図4に示すとおり、規制部3dが形成されており、その規制部3dには、リフィール5が遊挿する5つの貫通孔3eが形成されており、前記規制部3dに前記弾撥部材8の一端を係止させることにより、リフィール5に接続するスライダー6を後方に付勢している。
前記弾撥部材8によって後方に付勢されている前記スライダー6は、前記後軸の窓孔3aに沿って前後に摺動すると共に、前記摺動ケース4の隣り合う区画壁4dの間を前後に摺動する。前記スライダー6の前方には、ポールペンリフィールや、シャープ芯の繰出しが可能なシャープユニット等のリフィールが着脱可能に取付けられており、スライダー6の前後の摺動に伴い、一緒に前後に摺動する。
前記スライダーの突起6aの下方には、その突起の両側からそれぞれ下方に向かって傾斜する面からなるテーパ部6lが形成されている。このテーパ部6lの傾斜面の角度は、前記レール部4hのV字の傾斜壁面4iの角度と同程度となっているため、スライダー6が前進し、係止突起4gに係止されるまでの間、突起6aの下方に形成された傾斜面は、前記レール部4hの傾斜壁面4iに沿って移動する。
図12〜14に示すとおり、使用者が前記後軸3の窓孔3aより外方に突出した操作部6jを前方に押すことでスライダー6を前進させると、前述したスライダー6の突起6aの下方に形成されたテーパ部6lは、前記レール部4hの傾斜壁面4iより前方に移動するため、レール部4hから外れる。さらに、スライダー6の前方に取り付いているリフィール5が前記貫通孔3eによって軸心方向への移動を規制されているため、スライダーの前方を支点とするようにしてスライダー6の後方は軸心方向へ落ち込む。これにより、スライダー6のスライダー後方部6gの両側に形成された2つの係止突起6iが、摺動ケース4の延設突起4eの先端に形成された係止突起4gにそれぞれ係止される。この瞬間に、リフィール5の筆記部が前軸2の開口部2aから突出し、筆記可能となる。
また、前記リフィール5の先端部の突出状態において、後方に位置している他のスライダー6を前進させると、その前進したスライダー6の解除突起6cが、係止しているスライダー6の被解除突起6eに接触し、係止していたスライダー6が径方向外向きに移動することで、前記係止突起6iが前記摺動ケース4の係止突起4gの傾斜面4fを乗り越え、係止が解除され、その瞬間に後軸内に配置された弾撥部材8の弾撥力によりスライダー6が後方へ移動し、リフィール5の先端部が没状態になるのである。
使用者がスライダー6を前進させて係止した際に、前記スライダー6の後方の軸心方向へ落ち込み量を規制するために、前記スライダー6のスライダー後方部6gが、前記摺動ケース4の隣り合う延設突起4eの間を連結し形成されたレール部4hと接触するようになっている。さらに詳細に説明すると、前記スライダー後方部6gの両側面の下端部には上方から下方に向かって内側に傾斜する面取り部分(周接壁6m)が形成されている。この2つの周接壁6mが前記レール部4hの傾斜壁面4iに挟み込まれるように接触している。前記スライダー6は横方向の位置がずれると、リフィールを突出操作する際の係合が上手くいかなかったり、他ノック部材の前進時にリフィールの係止解除を行う際の被解除突起と解除突起が上手く当接せず、係合が解除されずに所望のリフィールを突出させにくかったりするなどの問題が起こりえる。前記スライダー6は前進し、係止した状態で操作部6jが前記後軸3の窓孔3aの間に配置されているため、操作部6jの両側に壁が存在することになり、この壁で操作部6jをはさみこむ事によりスライダー6の軸筒周方向(横方向)の位置のずれを規制しているが、ノック部材の摺動を円滑になすためには、多少なりとも部材間に隙間を形成しなくてはならず、ノック部材の横方向のブレが生まれるものである。これに対して、本実施例では、前述の通り、2つの周接壁6mが前記レール部4hの傾斜壁面4iに挟み込まれるように接触しているため、ノック部材の横方向の位置のずれを防止したので、ノック部材の係合や他ノック部材の操作による係合解除が確実になされるものである。
また、前記スライダー6が前進し、係止した状態で、前述の前記スライダー6のスライダー後方部6gが、前記摺動ケース4の隣り合う延設突起4eの間を連結し形成されたレール部4hと接触する前に、別の場所でスライダー6と摺動ケース4が接触してしまうと、スライダー後方部6gが正しい位置まで落ち込まない恐れがある。そのため、前記操作部6jの下方で、かつ、前記スライダー後方部6gの両側に形成された操作部下面6nは、前記隣り合う延設突起4eの上方部に対してそれぞれ向い合って配置され、かつ、前記操作部下面6nと延設突起4eの上方部の間に隙間を設けて配置されるようになっている。これにより、前進したスライダー6の被解除突起6eと、その他のスライダーの解除突起6cの距離が一定に保たれ、確実に係止解除を行うことが出来る。
前述のとおり、使用者が前記スライダー6を前進させると、スライダー6の前方に取り付いているリフィール5が前記貫通孔3eによって軸心方向への移動を規制されているため、スライダー6の前方を支点とするようにしてスライダー6の後方が軸心方向へ落ち込むことになる。つまり、スライダーの後方に行くほど前記スライダー6の係止・解除を行う際のスライダーの上下の移動量は大きくなる。そのため、本実施例では係止解除を行う際に、より確実にスライダーの係止突起6iが係止突起4gの傾斜面4fを乗り越えるように、前記被解除突起6eの位置は前記係止突起6iの下方付近に設けている。これにより、前進しているスライダーの係止を解除するために他のスライダーを前進させた際に、係止していたスライダーが径方向外向きに移動する移動量が大きくなり、係止の解除がしやすくなる。
前記スライダー6の操作部下面6nは、前方から後方に行くにしたがって上方に傾斜している。これは、前記スライダー6が前進した際に、その後方が軸心方向へ落ち込む事で、スライダー全体が後方に行くに従って下方に向かって傾斜するが、前記スライダーが傾斜し、前記摺動ケース4に係止した際に、前記操作部下面6nと前記摺動ケース4の延設突起4eの上方部の隙間が平行、もしくは、隙間の前方より後方の方が広い隙間を形成して向き合うようにし、より確実に前記操作部下面6nと延設突起4eの上方部の間に隙間を設ける事ができる。
実施例1において、前記スライダー6の前端には長手方向に孔6oが形成されており、リフィール5の後端部に取り付けられた着脱部5cを前記孔6oに差し込むことが出来る。これにより、使用者は好みのリフィール5に簡単に着脱し、交換することができるのである。
尚、前記リフィール5としては、ボールペンリフィールや、シャープ芯の繰出しが可能なシャープユニット等から適宜選択できる。また、リフィール5としてボールペンリフィールを選択した場合、樹脂パイプ(インキ収容管)を着色、もしくは転写印刷などにより、内部のインキと近似した色に着色し、使用者の外観からの識別を可能とすることもできる。
また、前記スライダー6は、不透明な材質で形成されているが、透明、或いは、着色された半透明な材質で形成しても良い。透明にすることにより、リフィール5の後端に取り付けた着脱部5cを、スライダー6を通して視認することができ、使用者のリフィール識別が可能となる。さらには、スライダー6の奥行き感が発生し、より一層、美観が向上する。
本実施例は、前述のとおり、リフィール5の本数が5本となっている。リフィール5の本数が増えると内部に収容するスライダー6や弾撥部材8などの部品も増え、その分前記後軸3や前記摺動ケース4の外径も大きくなる。リフィール5の本数が増えても出来る限り外径を小さくしようとすれば、その分隣り合うリフィール5やスライダー6同士の隙間が小さくなり、前進して係止していたスライダー6が隣のスライダー6の干渉によって係止が解除されてしまい易くなるという恐れがある。
そこで、本実施例では、前記スライダー6及び前記クリップスライダーのスライダー前方部6fの両側面に、長手方向に延びる切欠き6pを形成している。これにより、前進して係止している前記スライダー6、及び、クリップスライダー7に隣り合うスライダーの側面との干渉を減らすことができる。
前記軸筒1の摺動ケース4の後端面には着脱孔4jが設けられており、イヤフォンジャックアクセサリーなどの装飾部品や、機能をもった部品、例えば、消しゴムや蛍光ペン、修正具などを着脱自在に取り付けることが可能となっている。
1 軸筒
2 前軸
2a 開口部
3 後軸
3a 窓孔
3b 閉鎖部
3c 後端開口部
3d 規制部
3e 貫通孔
4 摺動ケース
4a 係合突起
4b 前半部
4c ノック部
4d 区画壁
4e 延設突起
4f 傾斜面
4g 係止突起
4h レール部
4i 傾斜壁面
4j 着脱孔
5 リフィール
5a 樹脂パイプ
5b インキ
5c 着脱部
6 スライダー
6a 突起
6b 傾斜面
6c 解除突起
6d 傾斜面
6e 被解除突起
6f スライダー前方部
6g スライダー後方部
6h スライダー前方部後端面
6i 係止突起
6j 操作部
6k 鍔部
6l テーパ部
6m 周接壁
6n 操作部下面
6o 孔
6p 切欠き
7 クリップスライダー
7a クリップ
8 弾撥部材

Claims (1)

  1. スライダーと接続されたリフィールを軸筒内に複数収容し、軸筒の窓孔からスライダーを突出させてリフィールの先端に有するペン先の軸筒の開口部からの出没操作を可能とすると共に、スライダーの前進時に、軸筒の中心方向に変位することによって軸筒の係止部にスライダーを係止させて、ペン先の突出状態を維持する多芯筆記具において、前記スライダーの軸筒の中心方向への移動規制を、軸筒の中心から放射状に配置した隣り合った2つの傾斜壁面に対してスライダーの2つの周接壁が当接することによりなす多芯筆記具。
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