JP2018144368A - ガスバリア積層体、及びガスバリア積層体の製造方法 - Google Patents
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1.基材層(X)と、樹脂組成物を用いて形成された層(Y)とを有する、ガスバリア積層体であって、前記樹脂組成物は、少なくとも、擬ベーマイト構造を有する化合物と、加水分解性金属元素含有化合物と、水溶性有機高分子化合物と、溶剤とを含有する混合物が、ゾルゲル法により加水分解縮合した成分を含み、前記加水分解性金属元素含有化合物は、加水分解により水酸基を2個以上有し得るものであり、前記擬ベーマイト構造を有する化合物は、モル比 水酸基/Al原子が、1.25以上、2.8以下である、ガスバリア積層体。
2.前記加水分解性金属元素含有化合物が、加水分解性珪素化合物である、上記1に記載の、ガスバリア積層体。
3.前記加水分解性金属元素含有化合物が、珪素アルコキシドである、上記1または2に記載の、ガスバリア積層体。
4.前記加水分解性金属元素含有化合物が、テトラエトキシシランである、上記1〜3の何れかに記載の、ガスバリア積層体。
5.前記水溶性有機高分子化合物の、層(Y)中の含有率が、0.1質量%以上、10質量%以下である、上記1〜4の何れかに記載の、ガスバリア積層体。
6.前記水溶性有機高分子化合物の、前記樹脂組成物の加水分解前の全非溶剤成分中の含有率が、0.05質量%以上、5質量%以下である、上記1〜5の何れかに記載の、ガスバリア積層体。
7.前記水溶性有機高分子化合物が、水酸基を有する水溶性有機高分子化合物である、上記1〜6の何れかに記載の、ガスバリア積層体。
8.前記水溶性有機高分子化合物が、アルコール性水酸基を有する水溶性有機高分子化合物である、上記1〜7の何れかに記載の、ガスバリア積層体。
9.前記水溶性有機高分子化合物が、脂肪族主骨格からなる水溶性有機高分子化合物である、上記1〜8の何れかに記載の、ガスバリア積層体。
10.前記水溶性有機高分子化合物が、ポリビニルアルコールである、上記1〜9の何れかに記載の、ガスバリア積層体。
11.前記層(Y)の厚みが、0.05μm以上、2μm以下である、上記1〜10の何れかに記載の、ガスバリア積層体。
12.前記擬ベーマイト構造を有する化合物の粒子の平均一次アスペクト比が、1以上、25以下である、上記1〜11の何れかに記載の、ガスバリア積層体。
13.前記擬ベーマイト構造を有する化合物の粒子の平均一次長径が、7nm以上、100nm以下である、上記1〜12の何れかに記載の、ガスバリア積層体。
14.上記1〜13の何れかに記載の積層体を用いて作製した、ガスバリア包装材料。
15.上記1〜13の何れかに記載のガスバリア積層体を製造するための製造方法であって、少なくとも、下記a)、b)、c)、d)、e)の工程を含む、ガスバリア積層体の製造方法。
a)前記加水分解性金属元素含有化合物の加水分解物を含む溶液Aを調製する工程。
b)前記擬ベーマイト構造を有する化合物が分散した溶液Bと、前記水溶性有機高分子化合物とを混合して、溶液Cを調製する工程。
c)溶液Cと溶液Aとを少量ずつ混合して、溶液Dを調製する工程。
d)溶液Dを基材層(X)に塗布して、塗工物Eを得る工程。
e)塗工物Eを、40℃以上、120℃以下の温度で加熱して、層(Y)を形成する工程。
図1は、本発明のガスバリア積層体の層構成について、その態様を示す概略的断面図である。図1に示されるように、本発明のガスバリア積層体は、1の基材層(X)と、2のガスバリア層(Y)とを、場合により接着層を介して積層してなるものであってよい。
本発明において、ガスバリア性を有する層(Y)は、樹脂組成物から形成されるものである。該樹脂組成物は、少なくとも、擬ベーマイト構造を有する化合物と、加水分解により水酸基を2個以上有し得る加水分解性珪素化合物と、水溶性有機高分子化合物と、溶剤とを含有する混合物が、ゾルゲル法により加水分解縮合した成分を含むものであり、加水分解縮合生成物と、加水分解性珪素化合物の未加水分解物、擬ベーマイト構造を有する化合物の未縮合物、等の未反応物や反応の途中段階のものも含まれている。
本発明における擬ベーマイト構造を有する化合物とは、ベーマイト(AlO(OH))の一部が水酸化アルミニウム(酸化アルミニウム三水和物)となってアモルファス化した化学構造を有するものであり、一般的には、下記式で表される。
Al2O3・mH2O
(mは平均で1〜3の数であり、モル比OH基/Al原子は平均で1〜3である。)
本発明において、加水分解とは、金属元素に結合したアルコキシ基やフェノキシや水素等に、水分子が反応して、アルコール類やフェノール類や水素分子と、金属原子に水酸基が付いた化合物を生成する化学反応のことである。
本発明における水溶性有機高分子化合物は、層(Y)に優れた塗工性を与えるものであり、また、層(Y)にクラックを生じにくくし、安定したガスバリア性を与えるものである。
本発明における溶剤は、水溶性であり、擬ベーマイト構造を有する化合物と、加水分解性金属元素含有化合物及びその加水分解物、加水分解縮合物、及び水溶性有機高分子化合物とを、均一に溶解または分散させ得るものであればよく、水または有機溶剤でもよく、オクタノール/水分配係数Log Powが、0.5以下であることが好ましく、1種でも、または2種以上を混合して使用してもよい。
層(Y)は、前記樹脂組成物を基材層(X)等に塗布し、40〜120℃の、加熱による乾燥、更には必要に応じて、加熱によるエージングによって形成される。
本発明において、基材層は、包装される内容物の種類や、物流において要求される機械的強度、耐薬品性、耐溶剤性、製造性等に応じて、種々の材料が適用され得る。
とは、旧JIS K6748:1995やJIS K6899−1:2000にて定義されたものを指す。
本発明の積層体は、基材層(X)と、樹脂組成物を用いて形成された、ガスバリア性を有する層(Y)とを有する積層体であるが、用途に応じて、シール層や接着層等の種々の層を有することができる。
本発明では、基材層(X)内の層間、層(Y)内の層間、他の層間、及び、基材層(X)、層(Y)、他の層との各層間に、接着層を設けて積層することも可能である。
本発明による積層体は、包装材料として特に好適に用いることができる。例えば、医薬品、化粧品、化学品、飲食品等の用途に用いることができる。
本発明の包装体は、本発明の包装材料を製袋してなるものであり、ヒートシール面が対向するように、積層フィルムを折り曲げるかまたは2枚を重ね合せ、その周辺端部を例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型、ガゼット型等のヒートシール形態によりヒートシールすることにより作製することができる。
本発明による積層体は、包装製品以外の高度なバリア性を要求される様々な分野の製品にも適用することができる。例えば、太陽電池、有機発光ダイオード、波長変換シート、および表示装置等の電気・電子製品に用いることができる。
実施例及び比較例に用いた主な原材料の詳細は下記のとおりである。
水溶性有機高分子化合物溶液A:けん化度98.5%、重合度約2500のポリビニルアルコールと蒸留水とを混合して、4質量%ポリビニルアルコール水溶液になるように調製した。
PETフィルムA:ユニチカ(株)社製、エンブレット。厚み12μm、片面コロナ処理済み。
アルミナクリアゾール:川研ファインケミカル(株)社製、擬ベーマイト構造を有する化合物の分散液。Al2O3換算濃度5質量%、水酸基/Al原子モル比1.62、平均一次粒径20nm、不定形。
AS−200:日産化学工業(株)社製、擬ベーマイト構造を有する化合物の分散液。Al2O3換算濃度10質量%、水酸基/Al原子モル比2.34、平均一次長径15nm、平均一次短径7nm、平均一次アスペクト比2.1、平均一次粒径11nm、針状。
アルミゾル10A:川研ファインケミカル(株)社製、擬ベーマイト構造を有する化合物の分散液。Al2O3換算濃度10質量%、水酸基/Al原子モル比1.22、平均一次長径50nm、平均一次短径10nm、平均一次アスペクト比5、平均一次粒径30nm、針状。
アルミゾルF−1000:川研ファインケミカル(株)社製、擬ベーマイト構造を有する化合物の分散液。Al2O3換算濃度4.8質量%、水酸基/Al原子モル比2.20、平均一次長径1400nm、平均一次短径4nm、平均一次アスペクト比350、平均一次粒径702nm、針状。
水酸化アルミニウム:日本軽金属(株)製、水酸化アルミニウム粉末BF013。水酸基/Al原子モル比3.00、平均粒径:1μm、球状)
本発明においては、水酸基/Al原子のモル比は、擬ベーマイト構造を有する化合物の水酸基/Al原子のモル比の平均値であり、以下の測定方法により算出されたものと定義する。水酸基/Al原子のモル比は、示差熱天秤(TG−DTA。リガク社製 Thermo Plus TG−8120)を用いて、重量減少量の測定値より算出した。
下記の原料を混合し、液温が10℃となるように冷却した。
蒸留水 129.20質量部、
イソプロピルアルコール 22.33質量部、
0.5N塩酸 3.05質量部
テトラエトキシシラン 95.42質量部
下記の配合比で、擬ベーマイト構造を有する化合物分散液Aに蒸留水を加え、更に水溶性有機高分子化合物溶液Aを混合し均一になるように撹拌した。
擬ベーマイト構造を有する化合物分散液A 3.0質量部
蒸留水 6.01質量部
水溶性有機高分子化合物溶液A 0.071質量部
加水分解液A 5.82質量部
表1、表2の配合に従って、各原料を用い、実施例1と同様に操作して、コーティング液を得て、層厚を適用して塗工を実施して、加熱乾燥条件やエージング条件等を適用して積層体を得て、実施例1と同様に評価した。表1、表2に結果を記す。
表2の配合に従って、各原料を用い、実施例1と同様に操作して、コーティング液を得て、層厚を適用して塗工を実施して、加熱乾燥条件やエージング条件等を適用して積層体を得て、実施例1と同様に評価した。表2に結果を記す。各比較例の内容は下記の通り。
比較例1〜5:擬ベーマイト構造を有する化合物のモル比水酸基/Alが小さ過ぎる。
比較例6:擬ベーマイト構造を有する化合物のモル比水酸基/Alが大き過ぎる。平均一次粒径が大き過ぎる。
比較例7:水溶性有機高分子化合物を含有していない。
比較例8:平均一次粒径が大き過ぎる。
[分散性]
コーティング液の分散性は、外観を目視確認により判断した。
○:均一に分散した。
×:分散せず。
コーティング液を基材層(X)に塗工した際の塗工物の外観を目視により判断した。
○:良好。
×:不良。
エージング処理して得られた積層体の層(Y)の表面を、走査電子顕微鏡(SEM。日立ハイテク(株)社製 S−4800)を用いて、一つの試験片について、ランダムに20箇所を5,000倍の倍率で観察し、クラックの有無を検出した。表3には下記の要領で記載した。
有り:クラック有り
無し:クラック無し
下記の方法で、示差熱天秤(TG−DTA)を用いて窒素雰囲気下重量減少量を測定し、算出した。
水酸基のモル数=2×(重量a−重量b)/18
Al原子のモル数=2×重量b/101.96
モル比 水酸基/Al原子=水酸基のモル数/Al原子のモル数
酸素透過度測定装置(MOCON社製 OX−TRAN 2/22)を用いて、JIS K−7126−2に準拠して、得られた積層体の酸素透過度を測定した。測定条件は下記の通り。
温度:23℃
相対湿度:90%
擬ベーマイト構造を有する化合物粒子の平均一次粒径は、透過型電子顕微鏡写真(TEM)(日立ハイテク製 H−7650)にて粒子像を撮影し、各々の一次粒子の最長径と最短径、及びそれらの平均値を、各々の一次粒子の長径、短径、粒径とし、更に、ランダムに選択した100個の一次粒子の長径、短径、粒径の平均値を、各々、平均一次長径、平均一次短径、平均一次粒径とした。
実施例1〜16のコーティング液は良好な分散性と塗工性を示し、積層体は良好な層(Y)の表面状態と酸素バリア性を示したが、擬ベーマイト構造を有する化合物のモル比水酸基/Alが小さ過ぎる比較例1〜5は、十分な酸素バリア性を示さなかった。
2、2a、2b. ガスバリア層(Y)
3. シール層
Claims (15)
- 基材層(X)と、樹脂組成物を用いて形成された層(Y)とを有する、ガスバリア積層体であって、
前記樹脂組成物は、少なくとも、擬ベーマイト構造を有する化合物と、加水分解性金属元素含有化合物と、水溶性有機高分子化合物と、溶剤とを含有する混合物が、ゾルゲル法により加水分解縮合した成分を含み、
前記擬ベーマイト構造を有する化合物の粒子の平均一次粒径が、7nm以上、50nm以下であり、
前記加水分解性金属元素含有化合物は、加水分解により水酸基を2個以上有し得るものであり、
前記擬ベーマイト構造を有する化合物は、モル比 水酸基/Al原子が、1.25以上、2.8以下である、ガスバリア積層体。 - 前記加水分解性金属元素含有化合物が、加水分解性珪素化合物である、請求項1に記載の、ガスバリア積層体。
- 前記加水分解性金属元素含有化合物が、珪素アルコキシドである、請求項1または2に記載の、ガスバリア積層体。
- 前記加水分解性金属元素含有化合物が、テトラエトキシシランである、請求項1〜3の何れか1項に記載の、ガスバリア積層体。
- 前記水溶性有機高分子化合物の、層(Y)中の含有率が、0.1質量%以上、15質量%以下である、請求項1〜4の何れか1項に記載の、ガスバリア積層体。
- 前記水溶性有機高分子化合物の、前記樹脂組成物の加水分解前の全非溶剤成分中の含有率が、0.05質量%以上、5質量%以下である、請求項1〜5の何れか1項に記載の、ガスバリア積層体。
- 前記水溶性有機高分子化合物が、水酸基を有する水溶性有機高分子化合物である、請求項1〜6の何れか1項に記載の、ガスバリア積層体。
- 前記水溶性有機高分子化合物が、アルコール性水酸基を有する水溶性有機高分子化合物である、請求項1〜7の何れか1項に記載の、ガスバリア積層体。
- 前記水溶性有機高分子化合物が、脂肪族主骨格からなる水溶性有機高分子化合物である、請求項1〜8の何れか1項に記載の、ガスバリア積層体。
- 前記水溶性有機高分子化合物が、ポリビニルアルコールである、請求項1〜9の何れか1項に記載の、ガスバリア積層体。
- 前記層(Y)の厚みが、0.05μm以上、2μm以下である、請求項1〜10の何れか1項に記載の、ガスバリア積層体。
- 前記擬ベーマイト構造を有する化合物の粒子の平均一次アスペクト比が、1以上、25以下である、請求項1〜11の何れか1項に記載の、ガスバリア積層体。
- 前記擬ベーマイト構造を有する化合物の粒子の平均一次長径が、7nm以上、100nm以下である、請求項1〜12の何れか1項に記載の、ガスバリア積層体。
- 請求項1〜13の何れか1項に記載の積層体を用いて作製した、ガスバリア包装材料。
- 請求項1〜13の何れか1項に記載のガスバリア積層体を製造するための製造方法であって、少なくとも、下記a)、b)、c)、d)、e)の工程を含む、ガスバリア積層体の製造方法。
a)前記加水分解性金属元素含有化合物の加水分解物を含む溶液Aを調製する工程。
b)前記擬ベーマイト構造を有する化合物が分散した溶液Bと、前記水溶性有機高分子化合物とを混合して、溶液Cを調製する工程。
c)溶液Cと溶液Aとを少量ずつ混合して、溶液Dを調製する工程。
d)溶液Dを基材層(X)に塗布して、塗工物Eを得る工程。
e)塗工物Eを、40℃以上、120℃以下の温度で加熱して、層(Y)を形成する工程。
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