JP2018140963A - カルコゲン含有有機化合物およびその用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】化学的安定性に優れ、半導体特性(高いキャリア移動度)を有し、かつ溶媒に対する高い溶解性を有する有機化合物を提供する。【解決手段】式(1)で表される化合物。[式(1)中、Xは、それぞれ独立に酸素、硫黄またはセレンであり、mは、それぞれ独立に0または1であり、nは、それぞれ独立に0または1であり、ただし、mがいずれも0である場合、nは1であり、R1およびR2は、それぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルシリル、アルキルシリルエチニル、アルキルカルボニルまたはアルキルスルホニルであり、これらの基は置換基を有してもよい。]【選択図】なし

Description

本発明は、カルコゲン含有有機化合物およびその用途に関する。さらに詳しくは、カルコゲン含有有機化合物、有機半導体材料、有機半導体膜および有機電界効果トランジスタ(FET)に関する。
近年、半導体特性を有する有機化合物が注目されている。その中でも、ペンタセンおよびテトラセン等のポリアセン化合物は、その高いキャリア移動度から、有機半導体材料として古くから知られている。なお、本明細書において、「キャリア移動度」は、電子移動度および正孔移動度を含む広義の意味で用いる。
しかしながら、公知のポリアセン化合物は、溶媒に対する溶解性が低いため、塗布法または印刷法等による薄膜形成が困難である。したがって、製造コストのかかる蒸着プロセスで半導体特性を有する素子(以下「素子」ともいう。)を作製せざるを得ない。さらに、公知のポリアセン化合物は、耐酸化性等の化学的安定性にも問題があり、産業上の実用性という観点では難しい材料である。
そこで、溶解性や化学的安定性を改善するために、アセン骨格に種々の置換基を導入した化合物が検討されている(例えば、特許文献1および非特許文献1参照)。さらに、アセン骨格の一部に硫黄やセレン等のカルコゲンを導入した化合物、例えば、ジベンゾチエノチオフェン(BTBT)やジナフトチエノチオフェン(DNTT)等も既に検討されている(例えば、特許文献2〜3参照)。
上記特許文献によると、上記化合物において、高いキャリア移動度を維持しつつ、化学的安定性を改善することに成功している。しかしながら、これらは直線型でかつ対称性が高い分子構造を有するため、アルキル基等の置換基を導入しても溶解性が必ずしも充分ではない等の問題を抱えている。
このように、これまでに半導体特性を有する有機化合物が種々開発されている。しかしながら、化学的安定性に優れ、溶媒に対する高い溶解性を有し、かつ高いキャリア移動度を有する有機化合物(例えば、溶液の状態で塗布または印刷することが可能であり、トランジスタ作製等の広範な用途に適用可能な材料である。)の開発は、未だ充分になされていない。
そこで、分子内に屈曲部位を導入した、非直線型構造を基本骨格とする有機半導体材料が近年注目されている。上記の有機半導体材料において、本発明者らは既に、ジナフトフラン、ジナフトチオフェン、ジアントラフランおよびジアントラチオフェン等の、V字型またはU字型分子の特定位置に、アルキル基等の置換基を導入することで、熱的・化学的安定性に優れ、高い溶解性および高いキャリア移動度を有する有機半導体材料を見出している(特許文献4、非特許文献2参照)。また、本発明者らは、更に高いキャリア移動度を有する有機半導体材料として、N字型分子構造を有するカルコゲン含有有機化合物を見いだしている(特許文献5参照)。
国際公開第2005/80304号 国際公開第2006/77888号 国際公開第2008/50726号 国際公開第2013/125599号 国際公開第2014/136827号
Journal of the American Chemical Society, 2001年, 123巻, 9482頁 第59回応用物理学関係講演会 講演番号16aF9-7(2012)
従来の化合物には溶媒に対する溶解性に関してさらなる改善の余地があり、したがってさらなる溶解性の高い材料が求められている。例えば、化学的安定性に優れ、半導体特性(高いキャリア移動度)を有し、かつ溶媒に対する高い溶解性を有する有機化合物は、当該有機化合物を含む溶液を用いることによって、塗布法または印刷法等の方法で薄膜形成が可能となることから、その利用価値が非常に大きい。したがって発明の課題は、化学的安定性に優れ、半導体特性(高いキャリア移動度)を有し、かつ溶媒に対する高い溶解性を有する有機化合物、有機半導体材料、有機半導体膜、および有機電界効果トランジスタ(FET)を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、以下の構成を有する新規なカルコゲン原子含有有機化合物によって、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の[1]〜[7]に関する。
[1]式(1)で表される化合物。
Figure 2018140963
[式(1)中、Xは、それぞれ独立に酸素、硫黄またはセレンであり、mは、それぞれ独立に0または1であり、nは、それぞれ独立に0または1であり、ただし、mがいずれも0である場合、nは1であり、
1およびR2は、それぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルシリル、アルキルシリルエチニル、アルキルカルボニルまたはアルキルスルホニルであり、これらの基は置換基を有してもよい。]
[2]式(1)において、Xが硫黄であり、mが0であり、nが1であり、R1が水素であり、R2がそれぞれ独立に水素、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル、アリール、アルキルアリール、アルコキシアリール、アルキルチオアリール、ヘテロアリール、アルキルへテロアリール、アルコキシ、アルキルチオまたはアルキルシリルである、前記[1]に記載の化合物。
[3]式(1)において、R2がそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル、アルキルアリール、アルキルへテロアリール、アルコキシ、アルキルチオまたはアルキルシリルである、前記[2]に記載の化合物。
[4]式(1)において、R2がそれぞれ独立に4−アルキルアリールである、前記[2]に記載の化合物。
[5]前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の化合物からなる有機半導体材料。
[6]前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の化合物を含む有機半導体膜。
[7]基板、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極および有機半導体層を有する有機電界効果トランジスタであって、前記有機半導体層が前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の化合物を含む有機電界効果トランジスタ。
本発明によれば、化学的安定性に優れ、半導体特性(高いキャリア移動度)を有し、かつ溶媒に対する高い溶解性を有する有機化合物、有機半導体材料、有機半導体膜、および有機電界効果トランジスタ(FET)を提供することができる。
図1は、(a)ボトムゲート−トップコンタクト型、(b)ボトムゲート−ボトムコンタクト型、(c)トップゲート−トップコンタクト型、(d)トップゲート−ボトムコンタクト型の有機電界効果トランジスタ(FET)の断面図である。 図2は、エッジキャスト法による製膜の概略を示す図である。 図3は、実施例で得られたサンプルの飽和領域の伝達特性を示す図である。 図4は、実施例で得られたサンプルの出力特性を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
[カルコゲン原子含有有機化合物]
本発明のカルコゲン原子含有有機化合物は、式(1)で表される化合物である。本明細書において、「置換基」とは、水素以外の原子または基を意味する。以下、式(1)で表される化合物を「化合物(1)」ともいい、「本発明の化合物」ともいう。
Figure 2018140963
式(1)中の各記号について説明する。
Xは、それぞれ独立に酸素、硫黄またはセレンであり、本発明の化合物が高いキャリア移動度を示すことから、酸素または硫黄が好ましく、硫黄が特に好ましい。
mは、それぞれ独立に0または1であり、nは、それぞれ独立に0または1であり、ただし、mがいずれも0である場合、nは1である。m=0かつn=1であると、π共役系が拡がるので移動度が優れる。
1およびR2は、それぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルシリル、アルキルシリルエチニル、アルキルカルボニルまたはアルキルスルホニルであり、これらの基は置換基を有してもよい。なお、2つあるR1は互いに同一でも異なってもよいが、同一であることが好ましく;2つあるR2は互いに同一でも異なってもよいが、同一であることが好ましい。置換基としては、例えば、R1およびR2として列挙した基と同様のものおよびそのハロゲン化された基が挙げられ、好ましくは、ハロゲン、アルキル、ハロアルキルである。
置換基を有する前記基としては、例えば、ハロアルキル、アルキルアリール、ハロアルキルアリール、アルコキシアリール、アルキルチオアリール、アルキルへテロアリール、ハロアルキルへテロアリール、アルキルシクロアルキル、ハロシクロアルキル、ハロアルキルシクロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、ハロアルキルシリル、ハロアルキルシリルエチニル、ハロアルキルカルボニルおよびハロアルキルスルホニルが挙げられる。
ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。
アルキルとしては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、へキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシルおよびオクタデシルが挙げられる。アルキルの炭素数は、1〜20が好ましく、化合物(1)の溶媒への高い溶解性と、分子間の電子雲の重なりやすさとの両立の点から、より好ましくは4〜14であり、さらに好ましくは6〜12であり、特に好ましくは9〜12である。アルキルは、直鎖状および分岐鎖状のいずれであってもよく、結晶中における分子配列の観点から、直鎖状であることが好ましい。
ハロアルキルとしては、アルキルにおいて少なくとも1つの水素がハロゲンに置き換えられた基が挙げられ、例えば、トリフルオロメチルパーフルオロヘキシル、パーフルオロオクチルおよびパーフルオロデシル等の、アルキル中の全ての水素がフッ素に置き換えられた基;トリフルオロエチル、1H,1H-パーフルオロヘキシル、1H,1H-パーフルオロオクチルおよび1H,1H−パーフルオロデシル等の、ハロアルキルが結合する部位(例:R1およびR2の場合は芳香環)に直結した炭素に結合した水素のみがフッ素に置き換えられておらず、他の全ての水素がフッ素に置き換えられた基が挙げられる。
アリールとしては、例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニルおよびナフチルが挙げられる。アリールの炭素数は、好ましくは6〜20、より好ましくは6〜10である。
アリールにおける置換基としては、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオが好ましい。アリールにおける置換基の炭素数は、好ましくは1〜20、より好ましくは4〜14であり、さらに好ましくは6〜12であり、特に好ましくは9〜12である。
アルキルアリールとしては、例えば、メチルフェニル、エチルフェニル、ブチルフェニル、ペンチルフェニル、へキシルフェニル、ヘプチルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニル、デシルフェニル、ウンデシルフェニル、ドデシルフェニル、トリデシルフェニル、テトラデシルフェニルおよびオクタデシフェニル等のアルキルフェニル、特に4−アルキルフェニル;1−メチルナフチル、2−メチルナフチル、4−メチルナフチル、1,6−ジメチルナフチルおよび4−t−ブチルナフチル等のアルキルナフチルが挙げられる。ハロアルキルアリールとしては、例えば、前述のハロアルキルを有するアリールが挙げられる。
アルコキシアリールとしては、例えば、メトキシフェニル、エトキシフェニル、ブトキシフェニル、ペンチルオキシフェニル、へキシルオキシフェニル、ヘプチルオキシフェニル、オクチルオキシフェニル、ノニルオキシフェニル、デシルオキシフェニル、ウンデシルオキシフェニル、ドデシルオキシフェニル、トリデシルオキシフェニル、テトラデシルオキシフェニルおよびオクタデシオキシフェニル等のアルコキシフェニル、特に4−アルコキシフェニルが挙げられる。
アルキルチオアリールとしては、例えば、メチルチオフェニル、エチルチオフェニル、プロピルチオフェニル、ブチルチオフェニル、ペンチルチオフェニル、ペンチルチオフェニル、ヘキシルチオフェニル、ヘプチルチオフェニル、オクチルチオフェニル、ノニルチオフェニル、デシルチオフェニル、ウンデシルチオフェニル、ドデシルチオフェニル、トリデシルチオフェニル、テトラデシルチオフェニルおよびオクタデシルチオフェニル等のアルキルチオフェニル、特に4−アルキルチオフェニルが挙げられる。
ヘテロアリールとしては、例えば、環構成原子として炭素以外に酸素、硫黄および窒素から選ばれるヘテロ原子を1〜5個含有する複素環が挙げられる。ヘテロアリールの炭素数は、通常は2〜20、好ましくは2〜10である。ヘテロアリールの具体例としては、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、フラザニル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ[b]チエニル、インドリル、1H−インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリルおよび1H−ベンゾトリアゾリルが挙げられる。これらの中でも、フリル、チエニル、チアゾリルおよびピリジルが好ましい。
アルキルへテロアリールおよびハロアルキルへテロアリールとしては、例えば、それぞれ、ヘテロアリールにおいて、少なくとも1つの水素がR1〜R2として列挙したアルキルまたはハロアルキルに置き換えられた基が挙げられる。
シクロアルキルとしては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロオクチルが挙げられる。シクロアルキルの炭素数は、通常は3〜8、好ましくは5〜8である。アルキルシクロアルキル、ハロシクロアルキルおよびハロアルキルシクロアルキルとしては、それぞれ、シクロアルキルにおいて少なくとも1つの水素がR1〜R2として列挙したアルキル、ハロゲン、ハロアルキルに置き換えられた基が挙げられる。
アルケニルとしては、例えば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチルアリル、2−ブテニル、2−ペンテニル、2−ヘキセニル、2−ヘプテニル、2−オクテニル、2−ノネニル、2−デセニルが挙げられる。アルケニルの炭素数は、通常は2〜20、好ましくは6〜12である。ハロアルケニルとしては、アルケニルにおいて少なくとも1つの水素がハロゲンに置き換えられた基が挙げられる。
アルコキシとしては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ、トリデシルオキシ、テトラデシルオキシおよびオクタデシルオキシが挙げられる。アルコキシの炭素数は、通常は1〜20、好ましくは6〜12である。ハロアルコキシとしては、アルコキシにおいて少なくとも1つの水素がハロゲンに置き換えられた基が挙げられる。
アルキルチオとしては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ、ヘプチルチオ、オクチルチオ、ノニルチオ、デシルチオ、ウンデシルチオ、ドデシルチオ、トリデシルチオ、テトラデシルチオおよびオクタデシルチオが挙げられる。アルキルチオの炭素数は、通常は1〜20、好ましくは6〜12である。ハロアルキルチオとしては、アルキルチオのアルキルにおいて少なくとも1つの水素がハロゲンに置き換えられた基が挙げられる。
アルキルシリルとしては、例えば、ジメチルシリル、ジエチルシリル等のジアルキルシリル;トリメチルシリルおよびトリエチルシリル等のトリアルキルシリルが挙げられる。アルキルシリルの炭素数は、通常は1〜12、好ましくは3〜9である。ハロアルキルシリルとしては、アルキルシリルのアルキルにおいて少なくとも1つの水素がハロゲンに置き換えられた基が挙げられる。
アルキルシリルエチニルとしては、例えば、エチニルにおける水素がR1およびR2として列挙したアルキルシリルに置き換えられた基が挙げられ、ハロアルキルシリルエチニルとしては、例えば、アルキルシリルエチニルのアルキルにおいて少なくとも1つの水素がハロゲンに置き換えられた基が挙げられる。
アルキルカルボニルおよびアルキルスルホニルにおけるアルキルとしては、例えば、R1およびR2として列挙したアルキルが挙げられる。ハロアルキルカルボニルおよびハロアルキルスルホニルとしては、例えば、それぞれ、アルキルカルボニルおよびアルキルスルホニルのアルキルにおいて少なくとも1つの水素がハロゲンに置き換えられた基が挙げられる。
なお、上記説明で表されるアルキルは、直鎖状および分岐鎖状のいずれであってもよいが、結晶中における分子配列の観点から、直鎖状であることが好ましい。
密な分子の凝集構造が有用な有機半導体としては望ましいという観点から、R1は、水素であることが好ましい。
同様の観点から、R2は、それぞれ独立に水素、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル、アリール、アルキルアリール、アルコキシアリール、アルキルチオアリール、ヘテロアリール、アルキルへテロアリール、アルコキシ、アルキルチオまたはアルキルシリルであることが好ましく、炭素数1〜20のアルキル、アルキルアリール、アルキルへテロアリール、アルコキシ、アルキルチオまたはアルキルシリルであることがより好ましく、有用な有機半導体としては化合物が基板に対して分子が立った構造が好ましいという観点から、アルキルアリールであることがさらに好ましく、4−アルキルアリールであることが特に好ましい。また、R2は、同一の置換基であることが好ましい。
本発明の化合物は、その構造(非直線型かつカルコゲン架橋型の構造)および好ましくは置換基導入の効果により、溶媒に対して高い溶解性を示す。すなわち、後述する化合物の濃度で溶液を調製することができる。よって、本発明の化合物を含む溶液を基板上に塗布または印刷することが可能となり、簡便な製膜工程により本発明の化合物を含む有機半導体膜を製造することができる。例えば、印刷法を用いる膜形成は、常温かつ常圧下で行うことができ、また簡便かつ短時間で膜を形成できるので、高温かつ高圧下で行う蒸着法等の膜形成よりも、製造コスト等の点で有利である。したがって、本発明の化合物が有する優れた性質を損なうことなく、有機半導体膜および当該有機半導体膜を有する有機半導体素子を製造することができる。
本発明の化合物は、分子の屈曲部位に存在するカルコゲンにより、分子間相互作用が向上し、分子間でπ電子軌道の重なりが充分あるため、本発明の化合物およびこの化合物を含む有機半導体膜は、充分に高いキャリア移動度を示す。用途によってキャリア移動度の最適値は異なるが、有機半導体素子として使用する場合のキャリア移動度は、好ましくは0.01cm2/V・s以上、より好ましくは1.0cm2/V・s以上、特に好ましくは5.0cm2/V・s以上である。キャリア移動度の上限値は特に限定されないが、例えば、50.0cm2/V・s程度である。なお、キャリア移動度は、例えば、本発明の化合物の0.01質量%濃度の1,2−ジクロロベンゼン溶液(エッジキャスト法)を用いて形成された有機半導体膜について測定され、その測定方法の詳細は、実施例に記載したとおりである。
本発明の化合物は、キャリア移動度が高いという性質に加えて、トランジスタのゲート電圧によるドレイン電流のオン/オフ比が高いという、有機半導体材料として優れた性質を有する。
また、本発明の化合物は、耐酸化性等の化学的安定性に優れている。
また、本発明の化合物は、後述するように、有機合成化学的に実施容易な反応を用いて短工程で合成できることから、工業的に製造可能であって、実用性に富む有機半導体材料として用いることができる。
以上より、本発明の化合物は、有機半導体材料として好適に用いられる。
以下、本発明の化合物の具体例を示す。
Figure 2018140963
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[化合物(1)の製造方法]
本発明の化合物は、以下の方法で製造することができる。この製造方法は、主に工程1:クロスカップリング反応、工程2:臭素化反応、工程3:縮環反応からなる。また、前記製造方法により化合物(1)の基本骨格を合成し、続いて置換反応を行うことで、種々の置換基を有する化合物(1)を製造することができる。
<工程1>クロスカップリング反応
工程1では、有機金属化合物の存在下、化合物(11)と(12)をクロスカップリングさせる。化合物(11)の使用量は化合物(12)1.0molに対して通常2.0から3.0molである。
工程1では、公知のクロスカップリング反応、例えば根岸クロスカップリング、鈴木−宮浦クロスカップリング、熊田−玉尾−Corriuクロスカップリング、小杉−右田−Stilleクロスカップリング及びこれらから派生した反応によって、化合物(13)を合成する。クロスカップリング反応に用いられる反応条件(触媒の種類とその量、温度、時間)は特に限定されない。
<工程2>臭素化反応
工程2では、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンの存在下、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液を滴下してリチウム2,2,6,6−テトラメチルピペリジド溶液を調製する。塩化亜鉛溶液にt−ブチルリチウム溶液を滴下して調製した溶液をリチウム2,2,6,6−テトラメチルピペリジド溶液に滴下して調製した溶液に、化合物(13)を加え、その後1,2−ジブロモ−1,1,2,2−テトラクロロエタンで臭素化を行い、化合物(14)を合成する。なお、反応条件や臭素化剤はこれらに限定されない。
<工程3>縮環反応
工程3では、化合物(14)とn−ブチルリチウムを反応させ、ビス(フェニルスルホニル)スルフィドを加えて縮環反応を行い、化合物(15)を合成する。
Figure 2018140963
前記反応式中の原料化合物および目的化合物中の記号は、前記式(1)中の同一記号と同義である。前記反応式で使用する各化合物(略称)の詳細は実施例に記載する。
[有機半導体膜等の膜]
本発明の膜(例:有機半導体膜)は、本発明の化合物、すなわち化合物(1)を含む。本発明の化合物は、溶媒に対して高い溶解性を示すため、これらを溶媒に溶解させた溶液(以下「有機半導体溶液」ともいう。)を、基板上に塗布または印刷することで、表面均一性に優れた膜(例:有機半導体膜)を形成することができる。
有機半導体溶液の調製に使用される溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ジエチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、乳酸エチル、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、アセトニトリル、アセトン、シクロヘキサン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、ブチルセロソルブ、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、1,2−ジメトキシベンゼン、3−フェノキシトルエン、アニソール、テトラリン、1,2−ジクロロベンゼンおよびジメチルスルホキシド等の有機溶媒;水;またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
ここで、本発明の化合物の高濃度溶液とは、有機半導体溶液中の当該化合物濃度が0.01質量%以上である溶液をいう。
本発明の化合物の溶媒に対する優れた溶解性により、種々の濃度の有機半導体溶液を調製することができるので、得られる膜の結晶化度を変化させることができる。膜の結晶化度が変化すると、結晶化度に影響されるキャリア移動度も変化する。したがって、本発明では、結晶から非晶質までの広い範囲での結晶性を容易に調整でき、有機半導体膜の厚さおよびキャリア移動度といった、必要な素子特性を安定して再現できる。
また、本発明の化合物と高分子化合物とを含有する樹脂組成物を用いて製膜してもよい。前記樹脂組成物における高分子化合物の含有量は、通常は1〜99質量%、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは5〜80質量%である。また、前記樹脂組成物における溶媒の含有量は、本発明の化合物および高分子化合物の含有量が上記範囲であり、かつ前記樹脂組成物が製膜に適した粘度を有するよう、適宜設定される。
高分子化合物としては、例えば、熱可塑性高分子および熱硬化性高分子が挙げられる。具体的には、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリシクロオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアセチレン、ポリピロールおよびポリアリレンビニレンが挙げられる。また、前記高分子化合物として、導電性高分子を用いてもよい。導電性高分子としては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロールおよびポリアニリンが挙げられる。
本発明の膜の厚さは、所望の用途に応じて適宜選択することができる。例えば、有機半導体素子に使用される有機半導体膜の厚さは、好ましくは10〜1,000nm、より好ましくは10〜200nmである。
本発明の膜の製造方法としては、種々の方法が挙げられる。
塗布法としては、例えば、スピンコート法、ディップコート法およびブレード法が挙げられる。また、本発明者らが開発した、塗布法に分類される、実施例にて後述するエッジキャスト法(Appl. Phys. Exp. 2 (2009) 111501参照)およびギャップキャスト法(Adv. Mater. 23 (2011) 1626参照)も有効である。
印刷法としては、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、平版印刷、凹版印刷および凸版印刷が挙げられる。印刷法の中でも、本発明の化合物の溶液をそのままインクとして用いプリンタにより行うインクジェット印刷は、簡易な方法であるため好ましい。
上記方法以外の製膜法、例えば蒸着法を用いて製膜を行っても差し支えはない。
製膜時の温度は特に限定されず、通常は室温〜200℃、好ましくは50〜150℃である。ここでの温度は、例えば、塗布法や印刷法では、有機半導体溶液の加熱温度であり、雰囲気の温度であり、製膜に使用される基板の加熱温度である。また、前記溶液温度、雰囲気温度、基板温度はお互いに異なる温度であってもかまわない。上記の溶液を使用しない製膜法、例えば蒸着法では、製膜に使用される基板の加熱温度を意味する。
有機半導体膜を有機半導体素子の一部としてそのまま使用する際には、印刷法によりパターニングを行うことが好ましく、さらに印刷法において、本発明の化合物の高濃度溶液を用いることが好ましい。高濃度溶液を用いれば、インクジェット印刷、マスク印刷、スクリーン印刷およびオフセット印刷等を活用できる。また、印刷法による有機半導体膜の製造は、加熱や真空プロセスの必要性がなく流れ作業によって製造できるので、低コスト化および工程変更への対応性を増すことに寄与する。また、印刷法による有機半導体膜の製造は、素子の回路の単純化、製造効率の向上、および素子の低廉化・軽量化に寄与する。以上の観点から、溶媒への高い溶解性を示す本発明の化合物は優れている。
[有機半導体素子]
本発明の有機半導体素子は、上記有機半導体膜および電極を有する。具体的には、上記有機半導体膜と、他の半導体特性を有する素子とを組み合わせることによって、有機半導体素子とすることができる。他の半導体特性を有する素子としては、例えば、整流素子、スイッチング動作を行うサイリスタ、トライアックおよびダイアックが挙げられる。
本発明の有機半導体素子は、表示素子としても用いることができ、特にすべての部材を有機化合物で構成した表示素子が有用である。
表示素子としては、例えば、フレキシブルな、シート状表示装置(例:電子ペーパー、ICカードタグ)、液晶表示素子およびエレクトロルミネッセンス(EL)素子が挙げられる。これらの表示素子は、可撓性を示す高分子から形成される絶縁基板上に、本発明の有機半導体膜と、この膜を機能させる構成要素を含む1つ以上の層とを形成することで作製することができる。このような方法で作製された表示素子は、可撓性を有しているため、衣類のポケットや財布等に入れて持ち運ぶことができる。
表示素子としては、例えば、固有識別符号応答装置を挙げることもできる。固有識別符号応答装置は、特定周波数または特定符号を持つ電磁波に反応し、固有識別符号を含む電磁波を返答する装置である。固有識別符号応答装置は、再利用可能な乗車券または会員証、代金の決済手段、荷物または商品の識別用シール、荷札または切手の役割、および会社または行政サービス等において、書類または個人を識別する手段として用いられる。
固有識別符号応答装置は、ガラス基板または可撓性を示す高分子から形成される絶縁基板上に、信号に同調して受信するための空中線と、受信電力で動作し、識別信号を返信する本発明の有機半導体素子とを有する。
〈有機電界効果トランジスタ(FET)〉
本発明の有機半導体素子の例としては、有機電界効果トランジスタ(FET)が挙げられる。本発明の有機FETは、液晶表示素子およびエレクトロルミネッセンス(EL)素子と組み合わせても用いることができる。
本発明の有機FETは、基板、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極および有機半導体層を有し、前記有機半導体層が本発明の有機半導体膜からなり、すなわち本発明の化合物を含む。また、本発明の有機FETは、キャリアの注入効率を上げるために、キャリア注入層を有してもよい。
有機FETにおいて、ゲート電極に印加する電圧を制御することによって、ゲート絶縁膜上の有機半導体層界面にキャリアを誘起し、ソース電極およびドレイン電極に流れる電流を制御し、スイッチング動作を行う。
有機FETにおいて、ドレイン電圧およびゲート電圧を変化させながらソース・ドレイン電極間の電流を測定することで得られる、ドレイン電流/ゲート電圧曲線から、キャリア移動度を求めることができる。さらに、ゲート電圧によるドレイン電流のオン/オフ動作を観測することもできる。
一般に、有機FETの構造は、ボトムゲート型構造およびトップゲート型構造に大別され、これらは、さらにトップコンタクト構造およびボトムコンタクト構造に分類される。
有機FETとしては、基板上にゲート電極が形成され、さらにゲート絶縁膜および有機半導体層がこの順で形成された態様をボトムゲート型と呼び;基板上に有機半導体層、ゲート絶縁膜およびゲート電極がこの順で形成された構造をトップゲート型と呼ぶ。
また、有機FETとしては、ソース電極およびドレイン電極が有機半導体層の下部(基板側)に配置される態様をボトムコンタクト型FETと呼び;ソース電極およびドレイン電極が有機半導体層の上部(有機半導体層を挟んで基板と反対側)に配置される態様をトップコンタクト型FETと呼ぶ。ソース電極およびドレイン電極と有機半導体層との間のキャリア注入の観点からは、トップコンタクト型構造が、ボトムコンタクト型構造よりも有機FET特性が優れることが多い。
図1に、それぞれ、(a)ボトムゲート−トップコンタクト型,(b)ボトムゲート−ボトムコンタクト型、(c)トップゲート−トップコンタクト型,(d)トップゲート−ボトムコンタクト型の有機FETの断面図を示す。ただし、本発明の有機FETは、上記で例示した有機FET構造に限定されず、公知の有機FET構造を有していてもよい。また、縦型の有機FET構造を採用してもよい。
基板としては、種々の基板が挙げられる。具体的には、ガラス基板、金、銅および銀等の金属基板、結晶性シリコン基板、アモルファスシリコン基板、トリアセチルセルロース基板、ノルボルネン基板、ポリエチレンテレフタレート基板等のポリエステル基板、ポリビニル基板、ポリプロピレン基板、ポリエチレン基板が挙げられる。
ゲート電極の材料としては、例えば、Al、Ta、Mo、Nb、Cu、Ag、Au、Pt、In、Ni、Nd、Cr、ポリシリコン、アモルファスシリコン、ハイドープ等のシリコン、錫酸化物、酸化インジウムおよびインジウム錫化合物(Indium Tin Oxide:ITO)等の無機材料;導電性高分子等の有機材料が挙げられる。ただし、導電性高分子は、不純物添加により導電性を向上させる処理がされていても構わない。
ゲート絶縁膜の材料としては、例えば、SiO2、SiN、Al23およびTa25等の無機材料;ポリイミドおよびポリカーボネート等の高分子材料が挙げられる。
ゲート絶縁膜および基板の表面は、公知のシランカップリング剤、例えば、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、オクタデシルトリクロロシラン(OTS)、デシルトリエトキシシラン(DTS)、オクタデシルトリエトキシシラン(ODSE)等のアルキル基を有するシランカップリング剤、あるいはトリエトキシトリデカフルオロオクチルシラン(F−SAM)等のフルオロアルキル基を有するシランカップリング剤を用いて表面処理を行うことができる。HMDS、OTS、DTS、ODSE、F−SAM等を用いた適切な表面処理を行うと、一般に、有機FET層を構成する結晶粒径の増大、結晶性の向上、分子配向の向上等が見られる。結果として、キャリア移動度およびオン/オフ比が向上し、閾値電圧が低下する傾向がある。
ソース電極およびドレイン電極の材料としては、ゲート電極と同種の材料を用いることができ、ゲート電極の材料と同一であっても異なっていてもよく、異種材料を積層してもよい。
キャリア注入層は、キャリアの注入効率を高めるために必要に応じて、ソース電極およびドレイン電極と、有機半導体層とのいずれにも接する形で設けられる。キャリア注入層は、例えば、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン(F4TCNQ)、ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル(HAT−CN)および酸化モリブデン等を用いて製膜される。
以下、本発明を実施例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。合成化合物の物性値の測定方法は以下の通りである。
1H NMRスペクトルは、日本電子(株)製ECA-600スペクトロメーターを用いて測定した。
なお、以下の表題化合物において、アルキル鎖はいずれも直鎖状である。
[実施例1]3,11-ジデシルビス(ナフトチエノ)[2,3-b;2',3'-e]ピラジンの合成
(第1工程)2,5-ビス(3-ブロモ-6-デシルナフタレン-2-イル)ピラジンの合成
Figure 2018140963
2-ブロモ-7-デシル-3-ヨードナフタレン(5.87 g, 12.4 mmol)のテトラヒドロフラン(THF, 50 mL)溶液に、-78 ℃で臭化イソプロピルマグネシウム(iPrMgBr, 1 Mテトラヒドロフラン溶液, 13.0 mL, 13.0 mmol)を2 mL/minの速度で滴下した。-78 ℃で30分間撹拌した後、塩化亜鉛(1 Mテトラヒドロフラン溶液, 13.0 mL, 13.0mmol)を4 mL/minの速度で加えた。反応溶液の温度を室温に戻した後、塩化リチウム(0.5 Mテトラヒドロフラン溶液, 26.0 mL, 13.0 mmol)を8 mL/minの速度で加えた。15分間撹拌した後、反応溶液を冷水浴で冷却し、2,5-ジブロモピラジン(1.34 g, 5.61 mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0) (Pd(dba)2, 212 mg, 0.369 mmol)およびトリ(2-フリル)ホスフィン (P(2-furyl)3, 173 mg, 0.746 mmol)を加えた。室温で19時間撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液(150 mL)を加え、反応を停止した。反応混合物をクロロホルムで抽出した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。シリカゲルを通して乾燥剤を除去した後、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮した。得られた粗生成物をヘキサンとクロロホルムとの混合溶媒(ヘキサン:クロロホルム =1:1(体積比))を展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、クロロホルムとメタノールとの混合溶媒から再沈殿させることで、白色個体の表題化合物(3.30 g, 4.28 mmol, 76%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.89 (t, J = 6.8 Hz, 3H), 1.27-1.36 (m, 14H), 1.73 (quint, J = 7.6 Hz, 2H), 2.81 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.42 (dd, 3J = 8.4 Hz, 4J = 1.6 Hz, 1H), 7.59 (s, 1H), 7.83 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.12 (s, 1H), 8.19 (s, 1H), 9.12 (s, 1H).
(第2工程)2,5-ジブロモ-3,6-ビス(3-ブロモ-6-デシルナフタレン-2-イル)ピラジンの合成
Figure 2018140963
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(TMP, 4.20 mL, 24.7 mmol)のテトラヒドロフラン(35 mL)溶液に、-78 ℃でn-ブチルリチウム(1.54 Mヘキサン溶液, 16.0 mL, 24.7 mmol)を2 mL/minの速度で滴下した。0 ℃に昇温し1時間撹拌することで、リチウム2,2,6,6-テトラメチルピペリジド溶液を調製した。塩化亜鉛(1 Mテトラヒドロフラン溶液, 24.8 mL, 24.8 mmol)に、0 ℃でt-ブチルリチウム(tBuLi, 1.65 Mペンタン溶液, 30.0 mL, 49.5 mmol)を4 mL/minの速度で滴下した。0 ℃で30分間撹拌した後、これを先に調製したリチウム2,2,6,6-テトラメチルピペリジド溶液に、-78 ℃で加えた。0 ℃に昇温し30分間撹拌した後、2,5-ビス(3-ブロモ-6-デシルナフタレン-2-イル)ピラジン(3.18 g, 4.13 mmol)のテトラヒドロフラン(25 mL)溶液を加えた。0 ℃で2時間撹拌した後、1,2-ジブロモ-1,1,2,2-テトラクロロエタン(26.9 g, 82.6 mmol)のテトラヒドロフラン(80 mL)溶液を加えた。0 ℃で1時間撹拌した後、温度を室温に戻しさらに20時間撹拌した。1,2-ジブロモ-1,1,2,2-テトラクロロエタン(13.6 g,41.8 mmol)を加え、24時間撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液(200 mL)を加え、反応を停止した。反応混合物をクロロホルムで抽出した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。シリカゲルを通して乾燥剤を除去した後、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮した。得られた粗生成物をヘキサンとクロロホルムとの混合溶媒(ヘキサン:クロロホルム = 7:3(体積比))を展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、クロロホルムとメタノールとの混合溶媒から再沈殿させることで、白色個体の表題化合物(409 mg,0.440 mmol,11%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.89 (t, J = 6.8 Hz, 3H), 1.28-1.36 (m, 14H), 1.73 (quint, J = 7.6 Hz, 2H), 2.81 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.43 (dd, 3J = 8.4 Hz, 4J = 1.6 Hz, 1H), 7.61 (s, 1H), 7.82 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.95 (s, 1H), 8.16 (s, 1H).
(第3工程)3,11-ジデシルビス(ナフトチエノ)[2,3-b;2',3'-e]ピラジンの合成
Figure 2018140963
2,5-ジブロモ-3,6-ビス(3-ブロモ-6-デシルナフタレン-2-イル)ピラジン(343 mg,0.369 mmol)のジエチルエーテル懸濁液(ジエチルエーテル, Et2O;15 mL)に、-78 ℃でn-ブチルリチウム(nBuLi, 1.54 Mヘキサン溶液,1.0 mL,1.54 mmol)を0.5 mL/minの速度で滴下した。0 ℃に昇温し30分間撹拌した後、再度-78 ℃に冷却し、ビス(フェニルスルホニル)スルフィド(Ph-O2S-S-SO2-Ph, 268mg,0.852mmol)のテトラヒドロフラン(5mL)溶液を加えた。-78 ℃で1.5時間撹拌した後、メタノールを加え、反応を停止した。得られた沈殿物を濾別し、メタノールで洗浄した。得られた個体を熱クロロホルムに溶解させ、シリカゲルを通した後、トルエンから熱再結晶することで、黄色個体の表題化合物(57.9 mg,0.086 mmol,23%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl2CDCl2, 100 ℃) δ 0.88 (t, J = 6.8 Hz, 3H), 1.27-1.43 (m, 14H), 1.78 (quint, J = 7.6 Hz, 2H), 2.85 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 7.43 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.71 (s, 1H), 8.03 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.25 (s, 1H), 9.01 (s, 1H).
[実施例2]3,11-ジヨードビス(ナフトチエノ)[2,3-b;2',3'-e]ピラジンの合成
(第1工程)2,5-ビス(3-ブロモ-6-(トリメチルシリル)ナフタレン-2-イル)ピラジンの合成
Figure 2018140963
2-ブロモ-7-(トリメチルシリル)-3-ヨードナフタレン(25.1 g,61.9 mmol)のテトラヒドロフラン(240 mL)溶液に、-78 ℃で臭化イソプロピルマグネシウム(1 Mテトラヒドロフラン溶液,65.0 mL,65.0 mmol)を6.5 mL/minの速度で滴下した。-78 ℃で30分間撹拌した後、塩化亜鉛(1 Mテトラヒドロフラン溶液,65.0 mL,65.0 mmol)を13 mL/minの速度で加えた。反応溶液の温度を室温に戻した後、塩化リチウム(0.5 Mテトラヒドロフラン溶液,130 mL,65.0 mmol)を9 mL/minの速度で加えた。10分間撹拌した後、反応溶液を冷水浴で冷却し、2,5-ジブロモピラジン(6.63 g,27.9 mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0) (1.07 g,1.86 mmol)およびトリ(2-フリル)ホスフィン (861 mg,3.71 mmol)を加えた。室温で19時間撹拌した後、塩化アンモニウム水溶液(150 mL)を加え、反応を停止した。反応混合物をクロロホルムで抽出した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。シリカゲルを通して乾燥剤を除去した後、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮した。得られた粗生成物をヘキサンとクロロホルムとの混合溶媒(ヘキサン:クロロホルム = 3:2(体積比))を展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、クロロホルムとメタノールとの混合溶媒から再沈殿させることで、白色個体の表題化合物(11.8 g,18.6 mmol,67%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.38 (s, 9H), 7.69 (dd, 3J = 8.0 Hz, 4J = 1.2 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.99 (s, 1H), 8.15 (s, 1H), 8.27 (s, 1H), 9.14 (s, 1H).
(第2工程)2,5-ジブロモ-3,6-ビス(3-ブロモ-6-(トリメチルシリル)ナフタレン-2-イル)ピラジンの合成
Figure 2018140963
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(13.1 mL,77.0 mmol)のテトラヒドロフラン(80 mL)溶液に、-78 ℃でn-ブチルリチウム (1.54 Mヘキサン溶液,50.0 mL,77.0 mmol)を5 mL/minの速度で滴下した。0 ℃に昇温し1時間撹拌することで、リチウム2,2,6,6-テトラメチルピペリジド溶液を調製した。塩化亜鉛(1 Mテトラヒドロフラン溶液,77.0 mL,77.0 mmol)に、0 ℃でt-ブチルリチウム(1.77 Mペンタン溶液,87.0 mL,154 mmol)を7 mL/minの速度で滴下した。0 ℃で30分間撹拌した後、これを先に調製したリチウム2,2,6,6-テトラメチルピペリジド溶液に、-78 ℃で加えた。0 ℃に昇温し30分間撹拌した後、2,5-ビス(3-ブロモ-6-(トリメチルシリル)ナフタレン-2-イル)ピラジン(8.11 g,12.8 mmol)のテトラヒドロフラン(75 mL)溶液を加えた。0 ℃で2時間撹拌した後、1,2-ジブロモ-1,1,2,2-テトラクロロエタン(83.7 g,257 mmol)を加えた。0 ℃で1時間撹拌した後、温度を室温に戻しさらに20時間撹拌した。塩化アンモニウム水溶液(500 mL)を加え、反応を停止した。反応混合物をクロロホルムで抽出した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。シリカゲルを通して乾燥剤を除去した後、ロータリーエバポレーターで減圧濃縮した。得られた粗生成物をヘキサンとクロロホルムとの混合溶媒(ヘキサン:クロロホルム=7:3(体積比))を展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、クロロホルムとメタノールとの混合溶媒から再沈殿させることで、白色個体の表題化合物(3.44g,4.34mmol,34%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 0.38 (s, 9H), 7.71 (dd, 3J = 8.4 Hz, 4J = 1.2 Hz, 1H), 7.88 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.98 (s, 1H), 8.00 (s, 1H), 8.24 (s, 1H).
(第3工程)3,11-ビス(トリメチルシリル)ビス(ナフトチエノ)[2,3-b;2',3'-e]ピラジンの合成
Figure 2018140963
2,5-ジブロモ-3,6-ビス(3-ブロモ-6-(トリメチルシリル)ナフタレン-2-イル)ピラジン(0.90 g,1.14 mmol)のジエチルエーテル懸濁液(ジエチルエーテル;45.6mL)に、-78 ℃でn-ブチルリチウム(1.54 Mヘキサン溶液,3.11 mL,4.79 mmol)を滴下し、温度を-42 ℃とし1時間撹拌した。反応溶液に-78 ℃でビス(フェニルスルホニル)スルフィド(0.824g,2.62mmol)のテトラヒドロフラン溶液(テトラヒドロフラン;13.1 mL)を加え、-78 ℃で1時間撹拌した。温度を室温に戻した後、反応溶液にメタノールを加え反応を停止した。得られた沈殿物を濾別し、メタノールで洗浄することで黄色固体の表題化合物(0.318g,0.592mmol,52%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl2CDCl2, 100 ℃): δ 0.34 (s, 18H, Si(CH3)3), 7.66 (d, J = 9.2 Hz, 2H, ArH), 8.06 (d, J = 9.2 Hz, 2H, ArH), 8.08 (s, 2H, ArH), 8.34 (s, 2H, ArH), 9.00 (s, 2H, ArH).
(第4工程)3,11-ジヨードビス(ナフトチエノ)[2,3-b;2',3'-e]ピラジンの合成
Figure 2018140963
3,11-ビス(トリメチルシリル)ビス(ナフトチエノ)[2,3-b;2',3'-e]ピラジン(20 mg,0.037 mmol)の1,2-ジクロロベンゼン溶液(ODCB, 7.4 mL)に、0 ℃で一塩化ヨウ素(ICl, 0.1 M 1,2-ジクロロベンゼン溶液,890 μL,0.089 mmol)を滴下した。0 ℃で1時間撹拌した後、再度一塩化ヨウ素(0.1 M 1,2-ジクロロベンゼン溶液,445 μL,0.045mmol)を滴下した。0 ℃で15分間撹拌した後、温度を室温に戻し、10時間撹拌した。反応溶液に次亜硫酸ナトリウム水溶液、メタノールを加え、反応を停止した。得られた沈殿物を濾別し、水、メタノールで洗浄した。得られた粗生成物を加熱した1,2-ジクロロベンゼンに溶解させ、セライト濾過を行った。この溶液をロータリーエバポレーターで減圧濃縮し、1,2-ジクロロベンゼンによる熱再結晶により、橙色固体の表題化合物(11.1 mg,0.017 mmol,46%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl2CDCl2, 100 ℃): δ 7.80-7.86 (m, 4H, ArH), 8.22 (s, 2H, ArH), 8.38 (s, 2H, ArH), 9.03 (s, 2H, ArH).
[実施例3]3,11-ジフェニルビス(ナフトチエノ)[2,3-b;2',3'-e]ピラジンの合成
Figure 2018140963
臭化フェニルマグネシウム(0.93 Mテトラヒドロフラン溶液,96.7 μL,0.09 mmol)のトルエン溶液(トルエン;1.5 mL)に、0 ℃で塩化亜鉛(1 Mテトラヒドロフラン溶液,96 μL,0.096 mmol)、塩化リチウム(0.5 Mテトラヒドロフラン溶液,192 μL,0.096 mmol)をそれぞれ滴下した。0 ℃で10分撹拌した後、温度を室温に戻し、[1,1' -ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物(PdCl2(dppf), 0.98 mg,0.0012 mmol)、3,11-ジヨードビス(ナフトチエノ)[2,3-b;2',3'-e]ピラジン(19.3mg,0.03 mmol)を加え、110 ℃で18時間撹拌した。温度を室温に戻し、反応溶液にメタノールを加えた。得られた沈殿物を濾別し、メタノールで洗浄することで橙色固体の表題化合物(16.0 mg,0.029 mmol,98%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl2CDCl2, 100 ℃): δ 7.34-7.42 (m, 2H, ArH), 7.51 (dd, J = 7.6 Hz, 7.6 Hz, 4H, ArH), 7.77 (d, J = 8.0 Hz, 2H, ArH), 7.86 (dd, J = 8.4 Hz, 1.6 Hz, 2H, ArH), 8.15 (s, 2H, ArH), 8.20 (d, J = 8.0 Hz, 2H, ArH), 8.40 (s, 2H, ArH).
[実施例4]3,11-ビス(4-デシルフェニル)ビス(ナフトチエノ)[2,3-b;2',3'-e]ピラジンの合成
Figure 2018140963
1-ブロモ-4-デシルベンゼン(59.5 mg,0.20 mmol)のトルエン溶液 (トルエン;380 μL)に、-78 ℃でn-ブチルリチウム (1.64 Mヘキサン溶液,116 μL,0.19 mmol)を滴下した。-78 ℃で1時間撹拌した後、塩化亜鉛 (1 Mテトラヒドロフラン溶液,200 μL,0.20 mmol)を加えた。-78 ℃で5分間撹拌した後、温度を室温に戻し、[1,1' -ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物(1.63mg,0.002mmol)、3,11-ジヨードビス(ナフトチエノ)[2,3-b;2',3'-e]ピラジン(32.2 mg,0.05 mmol)を加え、110 ℃で17時間撹拌した。温度を室温に戻し、反応溶液にメタノールを加えた。得られた粗生成物を加熱した1,2-ジクロロベンゼンに溶解させ、セライト濾過を行った。この溶液をロータリーエバポレーターで減圧濃縮し、1,2-ジクロロベンゼンによる再結晶により、橙色固体の表題化合物(14.0 mg,0.017 mmol,34%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl2CDCl2, 100 ℃): δ 0.89 (t, J = 6.6 Hz, 6H, CH3), 1.26-1.44 (m, 28H, (CH2)7), 1.70 (quint, J = 7.5 Hz, 4H, ArCH2CH2), 2.69 (t, J = 7.6 Hz, 4H, ArCH2), 7.32 (d, J = 8.0 Hz, 4H, ArH), 7.68 (d, J = 7.6 Hz, 4H, ArH), 7.84 (dd, J = 8.6 Hz, 1.4 Hz, 2H, ArH), 8.13 (s, 2H, ArH), 8.16 (d, J = 8.8 Hz, 2H, ArH), 8.36 (s, 2H, ArH), 9.06 (s, 2H, ArH).
〔有機トランジスタ素子の作製及び特性評価〕
[エッジキャスト法]
[実施例5]
本発明者らが開発した塗布法(エッジキャスト法:Appl. Phys. Exp. 2 (2009) 111501)に準拠し、成膜およびトップコンタクト−ボトムゲート型のFETを作製・評価した。本法の概念図を図2に示す。
シリコン基板に対してβ-フェネチルトリメトキシシラン (β-PTS)により表面処理を施し、熱酸化シリコン絶縁膜(膜厚: 200 μm)付きシリコン基板(以下「基板」と呼称する。)を得た。基板上に溶液保持用のガラス片(溶液保持構造)を置き、実施例で合成した有機半導体材料の1,2-ジクロロベンゼン溶液(濃度: 0.01 wt%)を溶液保持構造の縁に垂らし、徐々に乾燥させた。溶媒の乾燥と共に結晶が成長し、数分で成膜が完了した。得られた結晶膜上にチャネル長200 μmのステンレス製の金属マスクを通してテトラフルオロキノジメタンのキャリア注入層(厚さ: 2 nm)、続いて金のソース電極とドレイン電極(厚さ: 40 nm)を真空蒸着法により蒸着し、トップコンタクトーボトムゲート型のFETを作製した。作製した素子について半導体パラメーターアナライザー("Keythley 4200" ケースレーインスツルメンツ株式会社製)を用いてキャリア移動度、閾値電圧、オン/オフ比の測定を大気雰囲気下で行ったところ、安定したトランジスタ特性を示した。尚、飽和領域におけるドレイン電流−ゲート電圧特性相関は下記の式で表される。
Figure 2018140963
以上の有機トランジスタ素子の作製および評価を実施例4で得られた化合物について行った。結果を表1に示す。
Figure 2018140963
実施例4の化合物をエッジキャスト法により成膜したサンプルの物性を評価した。飽和領域の伝達特性を図3に、出力特性を図4に示す。以上の結果から本発明の化合物は高いキャリア輸送性能を示し、また化学的安定性および溶媒に対する溶解性にも優れており、適切に置換基と置換位置を選定すればその性能は向上することが分かった。
10・・・ソース電極、20・・・ドレイン電極、30・・・ゲート電極、40・・・有機半導体層、50・・・ゲート絶縁膜、60・・・基板、70・・・キャリア注入層、80・・・結晶膜、90・・・有機半導体溶液、100・・・溶液保持構造

Claims (7)

  1. 式(1)で表される化合物。
    Figure 2018140963
    [式(1)中、Xは、それぞれ独立に酸素、硫黄またはセレンであり、mは、それぞれ独立に0または1であり、nは、それぞれ独立に0または1であり、ただし、mがいずれも0である場合、nは1であり、
    1およびR2は、それぞれ独立に水素、ハロゲン、アルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルシリル、アルキルシリルエチニル、アルキルカルボニルまたはアルキルスルホニルであり、これらの基は置換基を有してもよい。]
  2. 式(1)において、Xが硫黄であり、mが0であり、nが1であり、R1が水素であり、R2がそれぞれ独立に水素、ハロゲン、炭素数1〜20のアルキル、アリール、アルキルアリール、アルコキシアリール、アルキルチオアリール、ヘテロアリール、アルキルへテロアリール、アルコキシ、アルキルチオまたはアルキルシリルである、請求項1に記載の化合物。
  3. 式(1)において、R2がそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル、アルキルアリール、アルキルへテロアリール、アルコキシ、アルキルチオまたはアルキルシリルである、請求項2に記載の化合物。
  4. 式(1)において、R2がそれぞれ独立に4−アルキルアリールである、請求項2に記載の化合物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物からなる有機半導体材料。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物を含む有機半導体膜。
  7. 基板、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極および有機半導体層を有する有機電界効果トランジスタであって、前記有機半導体層が請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物を含む有機電界効果トランジスタ。
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