以下、本発明の実施の形態による油圧クレーン駆動装置を、クローラ式の油圧クレーンに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1ないし図4は、本発明の実施の形態を示している。ここで、図1および図2は、油圧クレーン1を、移動式の油圧クレーン(クレーン仕様)として用いる場合を示している。一方、図3および図4は、油圧クレーン1を、タワー式の油圧クレーン(タワー仕様)として用いる場合を示している。
即ち、実施の形態の油圧クレーン1は、フロントアタッチメント7A,7Bの仕様に応じて、図1および図2に示すような移動式の油圧クレーン1として用いることができ、かつ、図3および図4に示すようなタワー式の油圧クレーン1として用いることができる。換言すれば、油圧クレーン1は、作業現場、作業内容等に応じて、フロントアタッチメント7A,7Bを選択(交換)することができる。
図1および図3において、油圧クレーン1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、上部旋回体3の前側に起伏可能に取付けられたフロントアタッチメント7A,7Bとを含んで構成されている。油圧クレーン1は、フロントアタッチメント7Aの先端から吊下げられた主フック20(図1)、または、フロントアタッチメント7Bの先端から吊下げられたフック34(図3)を用いて、吊荷作業を行うものである。
ここで、下部走行体2と上部旋回体3は、移動式の油圧クレーン1のときとタワー式の油圧クレーン1のときとの両方で用いられるものである。また、後述のバックストップ13とマスト14も、移動式の油圧クレーン1のときとタワー式の油圧クレーン1のときとの両方で用いられるものである。これに対して、フロントアタッチメント7A,7Bは、クレーン仕様(図1)とタワー仕様(図2)とで、それぞれ構成が異なる。
即ち、図1に示す移動式の油圧クレーン1のフロントアタッチメント7A(以下、クレーンアタッチメント7Aともいう)は、主としてブーム8により構成されている。一方、図3に示すタワー式の油圧クレーン1のフロントアタッチメント7B(以下、タワーアタッチメント7Bともいう)は、主としてブーム21と、ジブ24とにより構成されている。
この場合、図1のブーム8の下部ブーム8Aと図3のブーム21の下部ブーム21Aは、クレーンのときとタワーのときとの両方で用いられるものである。即ち、図1と図3とでは、ブーム8,21と下部ブーム8A,21Aとを異なる符号を付しているが、同じ構成のものである。換言すれば、クレーンアタッチメント7Aとタワーアタッチメント7Bは、ブーム8,21の下部ブーム8A,21Aよりも上側が、クレーンのときとタワーのときとで相違する構成となっている。
下部走行体2は、トラックフレーム2Aと、トラックフレーム2Aの左,右両側に設けられた駆動輪2Bと、トラックフレーム2Aの左,右両側で駆動輪2Bと前,後方向の反対側に設けられた遊動輪2Cと、駆動輪2Bと遊動輪2Cに巻回された履帯2Dとにより構成されている。左,右の駆動輪2Bは、左,右の走行用油圧モータ2E,2F(図2,4参照)によって回転駆動される。
上部旋回体3は、油圧クレーン1のクレーン本体を構成するもので、前,後方向に延びる旋回フレーム4を有している。旋回フレーム4の前側には、左,右方向の中間部に位置してブーム支持ブラケット4Aが設けられている。また、旋回フレーム4のうちブーム支持ブラケット4Aよりも後側には、ガントリ支持ブラケット4Bが設けられている。さらに、旋回フレーム4のうちガントリ支持ブラケット4Bよりも後側には、バックストップ支持ブラケット4Cが設けられている。
旋回フレーム4の後側には、フロントアタッチメント7A,7Bおよび吊荷との重量バランスをとる左,右のカウンタウエイト5(右側のみ図示)が左,右方向に間隔をもって配設されている。この場合、左,右のカウンタウエイト5は、例えば、フロントアタッチメント7A,7Bおよび吊荷に応じて増減させることができる。
左,右のカウンタウエイト5の間には、ブーム用下部スプレッダ16(図1)とブーム起伏ウインチ17(図1)とが前,後に離間して配設されている。一方、旋回フレーム4の右前側(フロントアタッチメント7A,7Bの右側)にはキャブ6が配置されている。キャブ6内の運転室には、運転席(図示せず)、各種の操作装置64,65,66,67,68(図2,4参照)、入力装置75(図2,4参照)等が配置されている。
次に、図1に示すクレーンアタッチメント7Aについて説明する。クレーンアタッチメント7Aは、上部旋回体3の旋回フレーム4に起伏可能に取付けられたブーム8を備えている。ブーム8は、下部ブーム8Aと、下部ブーム8Aの先端に接続された上部ブーム8Bとにより構成されている。下部ブーム8Aは、主巻ウインチ11とジブ起伏兼補巻ウインチ12と共に、クレーンアタッチメント7Aとタワーアタッチメント7Bとの両方で用いられるものである。
下部ブーム8Aの基端側は、旋回フレーム4のブーム支持ブラケット4Aにピン結合により起伏可能に取付けられている。下部ブーム8Aの先端側には、バックストップ支持ブラケット8Cが設けられている。また、下部ブーム8Aには、主巻ウインチ11と、補巻ウインチとして用いられるジブ起伏兼補巻ウインチ12とが、長さ方向に並んで搭載されている。
一方、上部ブーム8Bの先端には、シーブブラケット8D,8Eが設けられている。シーブブラケット8Dにはガイドシーブ9が回転可能に取付けられ、シーブブラケット8Eにはポイントシーブ10が回転可能に取付けられている。ガイドシーブ9およびポイントシーブ10は、主巻ロープ19が巻回されるものである。
主巻ウインチ11は、主巻ロープ19を巻取り、巻出す主巻用ロープウインチを構成している。主巻ウインチ11は、主巻ドラム11Aと主巻用油圧モータ11B(図2,4参照)とを含んで構成されている。主巻ウインチ11は、主巻用油圧モータ11Bにより主巻ドラム11Aを回転(正転、逆転)させ、主巻ロープ19を巻取り、巻出すことにより、主フック20を昇降させる。
ジブ起伏兼補巻ウインチ12は、クレーン仕様のときは、補巻ロープ(図示せず)を巻取り、巻出す補巻用ロープウインチを構成しており、タワー仕様のときは、ジブ起伏ロープ29(図3)を巻取り、巻出すジブ起伏用ロープウインチを構成している。ジブ起伏兼補巻ウインチ12は、ジブ起伏兼補巻ドラム12Aとジブ起伏兼補巻用油圧モータ12B(図2,4参照)とを含んで構成されている。
ジブ起伏兼補巻ウインチ12は、クレーン仕様のときは、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bによりジブ起伏兼補巻ドラム12Aを回転(正転、逆転)させ、補巻ロープを巻取り、巻出すことにより補フック(図示せず)を昇降させることができる。一方、図3に示すように、タワー仕様のときは、ジブ起伏兼補巻ウインチ12は、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bによりジブ起伏兼補巻ドラム12Aを回転(正転、逆転)させ、ジブ起伏ロープ29(のジブ用巻回ロープ29A)を巻取り、巻出すことによりジブ24を起伏させる。
バックストップ13は、旋回フレーム4とブーム8との間に設けられている。即ち、バックストップ13の基端側は、旋回フレーム4のバックストップ支持ブラケット4Cに取付けられている。バックストップ13の先端側は、下部ブーム8Aのバックストップ支持ブラケット8Cに取付けられている。バックストップ13は、ブーム8の起伏角度に応じて伸縮し、ブーム8が地面に対してほぼ垂直に起立したときに、この起立したブーム8を背後から支えるものである。
マスト14は、旋回フレーム4に前,後方向に回動可能に設けられている。即ち、マスト14の基端側は、旋回フレーム4のガントリ支持ブラケット4Bにピン結合により回動可能に取付けられている。マスト14の先端14Aは、旋回フレーム4に対して前,後方向に回動可能な自由端となっている。マスト14の先端14Aには、複数枚のシーブを有するブーム用上部スプレッダ15が設けられている。
一方、旋回フレーム4の後側には、左,右のカウンタウエイト5間に位置してブーム用下部スプレッダ16とブーム起伏ウインチ17とが設けられている。ブーム用下部スプレッダ16は、ブーム用上部スプレッダ15の各シーブに対応する複数枚のシーブを有している。
ブーム起伏ウインチ17は、ブーム起伏ロープ18を巻取り、巻出すブーム起伏用ロープウインチを構成している。ブーム起伏ウインチ17は、起伏用ドラムとしてのブーム起伏ドラム17Aと起伏用油圧モータとしてのブーム起伏用油圧モータ17B(図2,4参照)とを含んで構成されている。ブーム起伏ウインチ17は、ブーム起伏用油圧モータ17Bによりブーム起伏ドラム17Aを回転(正転、逆転)させ、ブーム起伏ロープ18(のブーム用巻回ロープ18A)を巻取り、巻出すことにより、旋回フレーム4に対してブーム8を起伏させる。
ブーム起伏ロープ18は、ブーム用巻回ロープ18Aとブーム用ペンダントロープ18Bとにより構成されている。ブーム用巻回ロープ18Aは、一端側がブーム起伏ウインチ17のブーム起伏ドラム17Aに巻回され、他端側がブーム用上部スプレッダ15の各シーブとブーム用下部スプレッダ16の各シーブとに巻回されている。ブーム用ペンダントロープ18Bは、一端がマスト14の先端14Aに接続され、他端が上部ブーム8Bのシーブブラケット8Dに接続されている。
従って、ブーム起伏ウインチ17によってブーム起伏ロープ18のブーム用巻回ロープ18Aを巻取ったときには、ブーム用上部スプレッダ15がブーム用下部スプレッダ16に接近し、マスト14の先端14Aは後方(カウンタウエイト5側)に回動する。一方、ブーム起伏ウインチ17からブーム起伏ロープ18のブーム用巻回ロープ18Aを巻出したときには、ブーム用上部スプレッダ15がブーム用下部スプレッダ16から離間し、マスト14の先端14Aは前方(キャブ6側)に回動する。このように、ブーム8は、ブーム起伏ウインチ17によってブーム起伏ロープ18のブーム用巻回ロープ18Aの巻取り、巻出しを行うことにより、ブーム8の基端側を中心にして、地面に対して比較的小さい角度をもって傾斜した姿勢と、地面に対してほぼ垂直に起立した姿勢との間で起伏することができる。
主巻ロープ19は、一端側が主巻ウインチ11の主巻ドラム11Aに巻回されている。主巻ロープ19の他端側は、上部ブーム8Bの先端側に設けられたガイドシーブ9およびポイントシーブ10に巻回された後、吊荷用の主フック20に取付けられている。従って、主巻ウインチ11によって主巻ロープ19の巻取り、巻出しを行うことにより、主フック20を昇降させることができる。
次に、図3に示すタワーアタッチメント7Bについて説明する。なお、タワーアタッチメント7Bの構成については、クレーンアタッチメント7Aと相違している部分を主として説明する。また、図3では、タワーアタッチメント7Bとクレーンアタッチメント7Aとの両方で用いられる部材(同じ部材)については、下部ブーム21Aを除いて同じ符号を付している。
タワーアタッチメント7Bは、ブーム21(以下、タワーブーム21ともいう)と、ジブ24(以下、タワージブ24ともいう)と、タワーストラット27とを備えている。
タワーブーム21は、上部旋回体3に起伏可能に取付けられている。タワーブーム21は、基端側が旋回フレーム4のブーム支持ブラケット4Aに起伏可能に取付けられた下部ブーム21Aと、基端が下部ブーム21Aの先端に取付けられた複数段、例えば3段に連ねられた中間ブーム21Bと、3段の中間ブーム21Bのうち、最も先端側に位置する中間ブーム21Bの先端に設けられた上部ブーム21Cとにより構成されている。
タワーブーム21の下部ブーム21Aには、主巻ウインチ11と、ジブ起伏ウインチとして用いられるジブ起伏兼補巻ウインチ12とが、長さ方向に並んで搭載されている。この点は、クレーンアタッチメント7Aのブーム8の下部ブーム8Aと同様である。
一方、上部ブーム21Cは、タワーブーム21の起立姿勢(図3に示す姿勢)で上部が前側に突出した菱形形状をなし、下辺部が中間ブーム21Bの先端に取付けられている。上部ブーム21Cの前側(起立姿勢での前側)には、タワージブ24が起伏可能に取付けられている。上部ブーム21Cの後側(起立状態での後側)の角部には、タワーストラット27が揺動可能に取付けられている。さらに、上部ブーム21Cの後側には、三角形状のシーブブラケット21Dが取付けられている。シーブブラケット21Dには、タワーガイドシーブ22とトップシーブ23が回転可能に取付けられている。
タワージブ24は、タワーブーム21を構成する上部ブーム21Cの先端に取付けられている。タワージブ24は、基端が上部ブーム21Cに起伏可能に取付けられた下部ジブ24Aと、基端が下部ジブ24Aの先端に取付けられた中間ジブ24Bと、中間ジブ24Bの先端に設けられた上部ジブ24Cとにより構成されている。上部ジブ24Cの先端側には、ガイドシーブ25とポイントシーブ26が回転可能に取付けられている。ガイドシーブ25とポイントシーブ26は、主巻ロープ33が巻回されるものである。
タワーストラット27は、タワーブーム21を構成する上部ブーム21Cに揺動可能に取付けられている。タワーストラット27は、3本のストラット27A,27B,27Cを、3箇所の連結部27D,27E,27Fによって連結することにより、三角形状の構造体として構成されている。
先端側ジブ用ペンダントロープ28は、タワーストラット27とタワージブ24との間を連結するペンダントロープを構成している。この場合、先端側ジブ用ペンダントロープ28は、一端がタワーストラット27の連結部27Eに接続され、他端がタワージブ24の上部ジブ24Cの先端側に接続されている。
ジブ起伏ロープ29は、ジブ起伏兼補巻ウインチ12に巻回されると共に、先端がタワーストラット27の連結部27Fに接続されている。ジブ起伏ロープ29は、タワーストラット27を介してタワージブ24をタワーブーム21に対して起伏させるものである。
ジブ起伏ロープ29は、ジブ用巻回ロープ29Aと基端側ジブ用ペンダントロープ29Bとにより構成されている。ジブ用巻回ロープ29Aは、一端側がジブ起伏兼補巻ウインチ12のジブ起伏兼補巻ドラム12Aに巻回されている。ジブ用巻回ロープ29Aの他端側は、ジブ用上部スプレッダ30の各シーブとジブ用下部スプレッダ31の各シーブとに巻回されている。この場合、ジブ用下部スプレッダ31は、タワーブーム21の中間ブーム8Bに取付けられ、複数枚のシーブを有している。ジブ用上部スプレッダ30は、ジブ用下部スプレッダ31に対向して設けられ、複数枚のシーブを有している。そして、基端側ジブ用ペンダントロープ29Bは、一端がジブ用上部スプレッダ30に接続され、他端がタワーストラット27の連結部27Fに接続されている。
従って、ジブ起伏兼補巻ウインチ12によってジブ起伏ロープ29(のジブ用巻回ロープ29A)を巻取ることにより、タワーブーム21に対してタワージブ24の先端側を上側に起こすことができる。また、ジブ起伏兼補巻ウインチ12によってジブ起伏ロープ29(のジブ用巻回ロープ29A)を巻出すことにより、タワーブーム21に対してタワージブ24の先端側を下側に伏すことができる。
ブーム起伏ロープ32は、ブーム用巻回ロープ32Aとブーム用ペンダントロープ32Bとにより構成されている。ブーム用巻回ロープ32Aは、一端側がブーム起伏ウインチ17(図3は図示を省略。図1参照)のブーム起伏ドラム17A(図3は図示を省略。図1参照)に巻回され、他端側がブーム用上部スプレッダ15の各シーブとブーム用下部スプレッダ16(図3は図示を省略。図1参照)の各シーブとに巻回されている。ブーム用ペンダントロープ32Bは、一端がマスト14の先端14Aに接続され、他端がタワーブーム21の上部ブーム21Cに接続されている。
従って、ブーム起伏ウインチ17によってブーム起伏ロープ32のブーム用巻回ロープ32Aを巻取ることにより、タワーブーム21の基端側を中心にして、タワーブーム21の先端側を上側に起こすことができる。また、ブーム起伏ウインチ17によってブーム起伏ロープ32のブーム用巻回ロープ32Aを巻出すことにより、タワーブーム21の基端側を中心にして、タワーブーム21の先端側を地面側に伏すことができる。
主巻ロープ33は、一端側が主巻ウインチ11の主巻ドラム11Aに巻回されている。主巻ロープ33の他端側は、タワーブーム21(のシーブブラケット21D)のトップシーブ23、タワージブ24のガイドシーブ25、ポイントシーブ26を介してフック34に取付けられている。従って、主巻ウインチ11による主巻ロープ33の巻取り、巻出しに応じてフック34を昇降させることができる。
次に、油圧クレーン1の油圧回路41について、図2および図4を参照しつつ説明する。ここで、図2は、クレーンアタッチメント7Aが上部旋回体3に取付けられているときの油圧回路を示している。この場合は、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bは、例えば、補フックを昇降させる補巻用油圧モータとして用いられる。一方、図4は、タワーアタッチメント7Bが上部旋回体3に取付けられているときの油圧回路を示している。この場合は、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bは、タワージブ24を起伏させるジブ起伏用油圧モータとして用いられる。
油圧クレーン1の油圧回路41は、第1の油圧ポンプ44により圧油が供給される第1の油圧回路42と、第1の油圧ポンプ44とは別の第2の油圧ポンプ48により圧油が供給される第2の油圧回路43とを備えている。第1の油圧回路42は、前述の左走行用油圧モータ2Eと、ブーム起伏用油圧モータ17Bとに加え、第1の油圧ポンプ44と、左走行用方向制御弁51と、ジブ起伏用方向制御弁60と、起伏用方向制御弁としてのブーム起伏用方向制御弁53とを含んで構成されている。第2の油圧回路43は、前述の右走行用油圧モータ2Fと、主巻用油圧モータ11Bとに加え、第2の油圧ポンプ48と、右走行用方向制御弁52と、補巻用方向制御弁58と、主巻用方向制御弁55とを含んで構成されている。この場合、油圧ポンプ44,48、および、制御弁51,52,53,55,58,60は、上部旋回体3に搭載されている。また、後述の作動油タンク45、パイロット油圧ポンプ62、操作回路切換弁69、制御装置76等も、上部旋回体3に搭載されている。
ここで、図1に示すクレーン仕様のときは、図2に示すように、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bは、補巻用方向制御弁58を介して第2の油圧回路43に接続される。これに対して、図3に示すタワー仕様のときは、図4に示すように、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bは、ジブ起伏用方向制御弁60を介して第1の油圧回路42に接続される。このため、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bは、第1の油圧回路42を構成するものであり、かつ、第2の油圧回路43を構成するものである。
第1の油圧ポンプ44は、左走行用油圧モータ2E、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12B、および、起伏用油圧モータとしてのブーム起伏用油圧モータ17Bに圧油を供給する。第1の油圧ポンプ44は、作動油タンク45に貯溜された作動油を圧油として吐出する。第1の油圧ポンプ44は、作動油を貯留する作動油タンク45と共に、左走行用油圧モータ2E、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12B、および、ブーム起伏用油圧モータ17Bに圧油を供給するための第1の油圧源を構成している。
第1の油圧ポンプ44は、例えば、上部旋回体3に搭載された駆動源(回転源)となるエンジン(図示せず)により回転駆動される。エンジンは、第1の油圧ポンプ44の他、第2の油圧ポンプ48およびパイロット油圧ポンプ62を回転駆動する。なお、油圧ポンプ44,48,62を駆動する駆動源は、内燃機関となるエンジン単体で構成できる他、例えば、エンジンと電動モータ、または、電動モータ単体により構成してもよい。また、油圧ポンプ44,48,62は、別々の駆動源で駆動してもよい。
第1の油圧ポンプ44は、第1の吐出管路46内に向けて圧油を吐出する。この場合、第1の吐出管路46は、左走行用方向制御弁51、ジブ起伏用方向制御弁60、および、ブーム起伏用方向制御弁53を直列で接続している。即ち、第1の油圧ポンプ44には、上流側から順に、左走行用方向制御弁51、ジブ起伏用方向制御弁60、および、ブーム起伏用方向制御弁53がシリーズ接続されている。これにより、第1の油圧回路42は、左走行用油圧モータ2E、ブーム起伏用油圧モータ17B、および、必要に応じてジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bに圧油を供給するための第1のシリーズ回路となっている。
第1の油圧回路42には、第1の吐出管路46と作動油タンク45との間に位置して第1のメインリリーフ弁47が設けられている。第1のメインリリーフ弁47は、第1の吐出管路46内の圧力が予め決められた圧力(設定圧)を越えたときに開弁して過剰圧を作動油タンク45側にリリーフさせる。即ち、第1の油圧ポンプ44から供給される圧油の最高圧力は、第1のメインリリーフ弁47によって規定される。
一方、第2の油圧回路43の第2の油圧ポンプ48は、第1の油圧ポンプ44とは別に設けられている。第2の油圧ポンプ48は、右走行用油圧モータ2F、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12B、および、主巻用油圧モータ11Bに圧油を供給する。第2の油圧ポンプ48は、作動油タンク45に貯溜された作動油を圧油として吐出する。第2の油圧ポンプ48は、作動油を貯留する作動油タンク45と共に、右走行用油圧モータ2F、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12B、および、主巻用油圧モータ11Bに圧油を供給するための第2の油圧源を構成している。
第2の油圧ポンプ48は、第1の油圧ポンプ44と同様に、駆動源(回転源)となるエンジンにより回転駆動される。第2の油圧ポンプ48は、第2の吐出管路49内に向けて圧油を吐出する。この場合、第2の吐出管路49は、右走行用方向制御弁52、補巻用方向制御弁58、および、主巻用方向制御弁55を直列で接続している。即ち、第2の油圧ポンプ48には、上流側から順に、右走行用方向制御弁52、補巻用方向制御弁58、および、主巻用方向制御弁55がシリーズ接続されている。これにより、第2の油圧回路43は、右走行用油圧モータ2F、主巻用油圧モータ11B、および、必要に応じてジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bに圧油を供給するための第2のシリーズ回路となっている。
第2の油圧回路43には、第2の吐出管路49と作動油タンク45との間に位置して第2のメインリリーフ弁50が設けられている。第2のメインリリーフ弁50は、第2の吐出管路49内の圧力が予め決められた圧力(設定圧)を越えたときに開弁して過剰圧を作動油タンク45側にリリーフさせる。即ち、第2の油圧ポンプ48から供給される圧油の最高圧力は、第2のメインリリーフ弁50によって規定される。
第1の油圧回路42の左走行用油圧モータ2Eは、下部走行体2の左側の履帯2Dを駆動するものである。左走行用油圧モータ2Eには、左走行用方向制御弁51を介して第1の油圧ポンプ44からの圧油が供給される。即ち、左走行用油圧モータ2Eは、第1の油圧ポンプ44から供給される圧油により駆動される。
左走行用方向制御弁51は、パイロット操作式の方向制御弁である。即ち、左走行用方向制御弁51は、例えば、6ポート3位置の油圧パイロット式方向制御弁により構成されている。左走行用方向制御弁51は、第1の油圧ポンプ44から左走行用油圧モータ2Eに供給する圧油を切換え制御する。即ち、左走行用方向制御弁51は、第1の油圧ポンプ44と左走行用油圧モータ2Eとの間で左走行用油圧モータ2Eに対する圧油の供給と排出を切換える。左走行用方向制御弁51の油圧パイロット部51A,51Bには、左走行用操作装置64の操作に基づくパイロット圧(切換信号)が供給される。
第2の油圧回路43の右走行用油圧モータ2Fは、下部走行体2の右側の履帯を駆動するものである。右走行用油圧モータ2Fには、右走行用方向制御弁52を介して第2の油圧ポンプ48からの圧油が供給される。即ち、右走行用油圧モータ2Fは、第2の油圧ポンプ48から供給される圧油により駆動される。
右走行用方向制御弁52は、左走行用方向制御弁51と同様に、パイロット操作式の方向制御弁である。即ち、右走行用方向制御弁52は、例えば、6ポート3位置の油圧パイロット式方向制御弁により構成されている。右走行用方向制御弁52は、第2の油圧ポンプ48から右走行用油圧モータ2Fに供給する圧油を切換え制御する。即ち、右走行用方向制御弁52は、第2の油圧ポンプ48と右走行用油圧モータ2Fとの間で右走行用油圧モータ2Fに対する圧油の供給と排出を切換える。右走行用方向制御弁52の油圧パイロット部52A,52Bには、右走行用操作装置66の操作に基づくパイロット圧(切換信号)が供給される。
第1の油圧回路42のブーム起伏用油圧モータ17Bは、ブーム起伏ウインチ17のブーム起伏ドラム17Aを駆動する。ブーム起伏用油圧モータ17Bには、ブーム起伏用方向制御弁53を介して、第1の油圧ポンプ44からの圧油が供給される。即ち、ブーム起伏用油圧モータ17Bは、第1の油圧ポンプ44から供給される圧油により駆動される。
ブーム起伏用方向制御弁53は、パイロット操作式の方向制御弁である。即ち、ブーム起伏用方向制御弁53は、例えば、6ポート3位置の油圧パイロット式方向制御弁により構成されている。ブーム起伏用方向制御弁53は、第1の油圧ポンプ44からブーム起伏用油圧モータ17Bに供給する圧油を切換え制御する。即ち、ブーム起伏用方向制御弁53は、第1の油圧ポンプ44とブーム起伏用油圧モータ17Bとの間でブーム起伏用油圧モータ17Bに対する圧油の供給と排出を切換える。ブーム起伏用方向制御弁53の油圧パイロット部53A,53Bには、ブーム起伏用操作装置65の操作に基づくパイロット圧(切換信号)が供給される。
ブーム起伏用方向制御弁53とブーム起伏用油圧モータ17Bとの間は、ブーム起伏用迂回管路54を介して作動油タンク45と接続されている。ブーム起伏用迂回管路54には、ブーム起伏用リリーフ弁54Aおよびブーム起伏用チェック弁54Bが並列に設けられている。
第2の油圧回路43の主巻用油圧モータ11Bは、主巻ウインチ11の主巻ドラム11Aを駆動する。主巻用油圧モータ11Bには、主巻用方向制御弁55を介して、第2の油圧ポンプ48からの圧油が供給される。即ち、主巻用油圧モータ11Bは、第2の油圧ポンプ48から供給される圧油により駆動される。
主巻用方向制御弁55は、パイロット操作式の方向制御弁である。即ち、主巻用方向制御弁55は、例えば、6ポート3位置の油圧パイロット式方向制御弁により構成されている。主巻用方向制御弁55は、第2の油圧ポンプ48から主巻用油圧モータ11Bに供給する圧油を切換え制御する。即ち、主巻用方向制御弁55は、第2の油圧ポンプ48と主巻用油圧モータ11Bとの間で主巻用油圧モータ11Bに対する圧油の供給と排出を切換える。主巻用方向制御弁55の油圧パイロット部55A,55Bには、主巻用操作装置67の操作に基づくパイロット圧(切換信号)が供給される。
主巻用方向制御弁55と主巻用油圧モータ11Bとの間は、主巻用迂回管路56を介して作動油タンク45と接続されている。主巻用迂回管路56には、主巻用リリーフ弁56Aおよび主巻用チェック弁56Bが並列に設けられている。
ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bは、ジブ起伏兼補巻ウインチ12のジブ起伏兼補巻ドラム12Aを駆動する。図2に示すクレーン仕様のときは、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bは、ジブ起伏兼補巻用管路57A,57Bを介して、補巻用方向制御弁58と接続される。この場合は、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bには、補巻用方向制御弁58およびジブ起伏兼補巻用管路57A,57Bを介して、第2の油圧ポンプ48からの圧油が供給される。
補巻用方向制御弁58は、パイロット操作式の方向制御弁である。即ち、補巻用方向制御弁58は、例えば、6ポート3位置の油圧パイロット式方向制御弁により構成されている。補巻用方向制御弁58は、第2の油圧ポンプ48から補巻用油圧モータとなるジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bに供給する圧油を切換え制御する。即ち、補巻用方向制御弁58は、第2の油圧ポンプ48とジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bとの間でジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bに対する圧油の供給と排出を切換える。補巻用方向制御弁58の油圧パイロット部58A,58Bには、ジブ起伏兼補巻用操作装置68の操作に基づくパイロット圧(切換信号)が供給される。
補巻用方向制御弁58とジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bとの間は、補巻用迂回管路59を介して作動油タンク45と接続されている。補巻用迂回管路59には、補巻用リリーフ弁59Aおよび補巻用チェック弁59Bが並列に設けられている。
一方、図4に示すタワー仕様のときは、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bは、ジブ起伏兼補巻用管路57A,57Bを介して、ジブ起伏用方向制御弁60と接続される。この場合は、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bには、ジブ起伏用方向制御弁60およびジブ起伏兼補巻用管路57A,57Bを介して、第1の油圧ポンプ44からの圧油が供給される。
このように、ジブ起伏兼補巻用管路57A,57Bは、クレーン仕様のときは、補巻用方向制御弁58と接続され、タワー仕様のときは、ジブ起伏用方向制御弁60と接続される。これにより、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bは、第1の油圧ポンプ44から供給される圧油と第2の油圧ポンプ48から供給される圧油とのうちのいずれか一方の圧油により駆動される。
ジブ起伏用方向制御弁60は、パイロット操作式の方向制御弁である。即ち、ジブ起伏用方向制御弁60は、例えば、6ポート3位置の油圧パイロット式方向制御弁により構成されている。ジブ起伏用方向制御弁60は、第1の油圧ポンプ44からジブ起伏用油圧モータとなるジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bに供給する圧油を切換え制御する。即ち、ジブ起伏用方向制御弁60は、第1の油圧ポンプ44とジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bとの間でジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bに対する圧油の供給と排出を切換える。ジブ起伏用方向制御弁60の油圧パイロット部60A,60Bには、ジブ起伏兼補巻用操作装置68の操作に基づくパイロット圧(切換信号)が供給される。
ジブ起伏用方向制御弁60とジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bとの間は、ジブ起伏用迂回管路61を介して作動油タンク45と接続されている。ジブ起伏用迂回管路61には、ジブ起伏用リリーフ弁61Aおよびジブ起伏用チェック弁61Bが並列に設けられている。
パイロット油圧ポンプ62は、第1の油圧ポンプ44および第2の油圧ポンプ48と同様に、駆動源(回転源)となるエンジンにより回転駆動される。パイロット油圧ポンプ62は、作動油タンク45に貯溜された作動油を圧油としてパイロット吐出管路63内に吐出する。即ち、パイロット油圧ポンプ62は、作動油タンク45と共にパイロット油圧源を構成している。パイロット油圧ポンプ62は、操作装置64,65,66,67,68を介して方向制御弁51,52,53,55,58,60にパイロット圧を供給する。
左走行用操作装置64、ブーム起伏用操作装置65、右走行用操作装置66、主巻用操作装置67、および、ジブ起伏兼補巻用操作装置68は、それぞれレバー式の減圧弁型パイロット弁(即ち、レバー操作装置)である。左走行用操作装置64は、レバー操作量に応じた圧力のパイロット圧油(即ち、パイロット圧)を、左走行用方向制御弁51の油圧パイロット部51A,51Bに出力する。これにより、左走行用操作装置64は、左走行用方向制御弁51を操作する。起伏用操作装置としてのブーム起伏用操作装置65は、レバー操作量に応じたパイロット圧を、ブーム起伏用方向制御弁53の油圧パイロット部53A,53Bに出力する。これにより、ブーム起伏用操作装置65は、ブーム起伏用方向制御弁53を操作する。
右走行用操作装置66は、レバー操作量に応じたパイロット圧を、右走行用方向制御弁52の油圧パイロット部52A,52Bに出力する。これにより、右走行用操作装置66は、右走行用方向制御弁52を操作する。主巻用操作装置67は、レバー操作量に応じたパイロット圧を、主巻用方向制御弁55の油圧パイロット部55A,55Bに出力する。これにより、主巻用操作装置67は、主巻用方向制御弁55を操作する。
ジブ起伏兼補巻用操作装置68は、レバー操作量に応じたパイロット圧を、操作回路切換弁69、電磁切換弁70,71,72,73を介して、補巻用方向制御弁58とジブ起伏用方向制御弁60とのうちのいずれか一方の方向制御弁58(60)の油圧パイロット部58A,58B(60A,60B)に出力する。即ち、図2に示すクレーン仕様のときは、ジブ起伏兼補巻用操作装置68のパイロット圧は、操作回路切換弁69、電磁切換弁70,71を介して補巻用方向制御弁58に供給される。これに対して、図4に示すタワー仕様のときは、ジブ起伏兼補巻用操作装置68のパイロット圧は、操作回路切換弁69、電磁切換弁72,73を介してジブ起伏用方向制御弁60に供給される。これにより、ジブ起伏兼補巻用操作装置68は、ジブ起伏用方向制御弁60と補巻用方向制御弁58とのうちのいずれか一方の方向制御弁を操作する。
操作回路切換弁69は、手動式の切換弁であり、操作レバー69Aにより切換えることができる。操作回路切換弁69は、「クレーンモード(移動クレーンモード)」に対応する位置と「タワーモード(タワークレーンモード)」に対応する位置との2つの切換位置を有している。即ち、操作回路切換弁69は、操作レバー69Aの手動操作により、図2に示す「クレーンモード」の位置と図4に示す「タワーモード」の位置とのいずれかに切換えられる。
ここで、操作回路切換弁69は、ジブ起伏兼補巻用操作装置68とジブ起伏用方向制御弁60および補巻用方向制御弁58との間に設けられている。操作回路切換弁69は、ジブ起伏兼補巻用操作装置68の操作に応じたパイロット圧を、ジブ起伏用方向制御弁60に供給するか補巻用方向制御弁58に供給するかを切換える。
即ち、操作回路切換弁69は、操作レバー69Aにより図2に示す「クレーンモード」の位置に切換えられたときは、ジブ起伏兼補巻用操作装置68を補巻用方向制御弁58(の油圧パイロット部58A,58B)に接続させる。この場合、ジブ起伏兼補巻用操作装置68は、操作回路切換弁69および電磁切換弁70,71を介して補巻用方向制御弁58(の油圧パイロット部58A,58B)に接続される。
一方、操作回路切換弁69は、操作レバー69Aにより図4に示す「タワーモード」の位置に切換えられたときは、ジブ起伏兼補巻用操作装置68をジブ起伏用方向制御弁60(の油圧パイロット部60A,60B)に接続させる。この場合、ジブ起伏兼補巻用操作装置68は、操作回路切換弁69および電磁切換弁72,73を介してジブ起伏用方向制御弁60(の油圧パイロット部60A,60B)に接続される。
電磁切換弁70,71,72,73は、いずれもオンオフ電磁弁(例えば、3ポート2位置の電磁ソレノイド式切換弁)である。電磁切換弁70,71,72,73は、コントローラとしての制御装置76にそれぞれ接続されている。電磁切換弁70,71,72,73は、制御装置76によってオンとオフとが制御される。
第1の補巻用電磁切換弁70は、操作回路切換弁69と補巻用方向制御弁58の(第1の)油圧パイロット部58Aとの間に設けられている。第1の補巻用電磁切換弁70は、操作回路切換弁69と補巻用方向制御弁58の油圧パイロット部58Aとの間を連通する開位置(オン位置)と、これらの間を遮断する閉位置(オフ位置)とに切換えられる。即ち、第1の補巻用電磁切換弁70は、制御装置76から電磁パイロット部(ソレノイド)に対して電力が供給(給電)されていないときは、図2に示す閉位置、即ち、操作回路切換弁69と補巻用方向制御弁58の油圧パイロット部58Aとの間の接続を遮断するオフ位置(油圧パイロット部58Aと作動油タンク45とを接続するオフ位置)となる。一方、第1の補巻用電磁切換弁70は、制御装置76から電磁パイロット部(ソレノイド)に対して電力が供給(給電)されているときは、開位置、即ち、操作回路切換弁69と補巻用方向制御弁58の油圧パイロット部58Aとの間を接続するオン位置となる。
第2の補巻用電磁切換弁71は、操作回路切換弁69と補巻用方向制御弁58の(第2の)油圧パイロット部58Bとの間に設けられている。第2の補巻用電磁切換弁71は、操作回路切換弁69と補巻用方向制御弁58の油圧パイロット部58Bとの間を連通する開位置(オン位置)と、これらの間を遮断する閉位置(オフ位置)とに切換えられる。即ち、第2の補巻用電磁切換弁71は、制御装置76から電磁パイロット部(ソレノイド)に対して電力が供給(給電)されていないときは、図2に示す閉位置、即ち、操作回路切換弁69と補巻用方向制御弁58の油圧パイロット部58Bとの間の接続を遮断するオフ位置(油圧パイロット部58Bと作動油タンク45とを接続するオフ位置)となる。一方、第2の補巻用電磁切換弁71は、制御装置76から電磁パイロット部(ソレノイド)に対して電力が供給(給電)されているときは、開位置、即ち、操作回路切換弁69と補巻用方向制御弁58の油圧パイロット部58Bとの間を接続するオン位置となる。
第1のジブ起伏用電磁切換弁72は、操作回路切換弁69とジブ起伏用方向制御弁60の(第1の)油圧パイロット部60Aとの間に設けられている。第1のジブ起伏用電磁切換弁72は、操作回路切換弁69とジブ起伏用方向制御弁60の油圧パイロット部60Aとの間を連通する開位置(オン位置)と、これらの間を遮断する閉位置(オフ位置)とに切換えられる。即ち、第1のジブ起伏用電磁切換弁72は、制御装置76から電磁パイロット部(ソレノイド)に対して電力が供給(給電)されていないときは、図2に示す閉位置、即ち、操作回路切換弁69とジブ起伏用方向制御弁60の油圧パイロット部60Aとの間の接続を遮断するオフ位置(油圧パイロット部60Aと作動油タンク45とを接続するオフ位置)となる。一方、第1のジブ起伏用電磁切換弁72は、制御装置76から電磁パイロット部(ソレノイド)に対して電力が供給(給電)されているときは、開位置、即ち、操作回路切換弁69とジブ起伏用方向制御弁60の油圧パイロット部60Aとの間を接続するオン位置となる。
第2のジブ起伏用電磁切換弁73は、操作回路切換弁69とジブ起伏用方向制御弁60の(第2の)油圧パイロット部60Bとの間に設けられている。第2のジブ起伏用電磁切換弁73は、操作回路切換弁69とジブ起伏用方向制御弁60の油圧パイロット部60Bとの間を連通する開位置(オン位置)と、これらの間を遮断する閉位置(オフ位置)とに切換えられる。即ち、第2のジブ起伏用電磁切換弁73は、制御装置76から電磁パイロット部(ソレノイド)に対して電力が供給(給電)されていないときは、図2に示す閉位置、即ち、操作回路切換弁69とジブ起伏用方向制御弁60の油圧パイロット部60Bとの間の接続を遮断するオフ位置(油圧パイロット部60Bと作動油タンク45とを接続するオフ位置)となる。一方、第2のジブ起伏用電磁切換弁73は、制御装置76から電磁パイロット部(ソレノイド)に対して電力が供給(給電)されているときは、開位置、即ち、操作回路切換弁69とジブ起伏用方向制御弁60の油圧パイロット部60Bとの間を接続するオン位置となる。
位置センサ74は、操作回路切換弁69に設けられている。位置センサ74は、制御装置76と接続されている。位置センサ74は、操作回路切換弁69の切換位置(即ち、「クレーンモード」に対応する位置であるか「タワーモード」に対応する位置であるか)を検出し、その切換位置に対応する信号を、制御装置76に出力する。
入力装置75は、制御装置76に接続されている。入力装置75は、キャブ6内の運転席の近傍に設けられている。入力装置75は、モーメントリミッタの設定等を行うものである。このために、入力装置75は、例えば、設定項目、選択項目等を表示するためのモニタと、モニタの表示に基づいて各種の設定を行うための各種の操作スイッチを含んで構成されている。また、入力装置75は、例えば、モニタに加え、表示灯、警告ランプ、音響装置となるブザー等を含んで構成することにより、オペレータに情報を報知する報知装置となるものである。
ここで、入力装置75は、油圧クレーン1の作業モード、即ち、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bの作業モードを、ジブ起伏モード(タワーモード)と補巻モード(クレーンモード)とのいずれかに選択するためのモード選択スイッチを構成している。即ち、オペレータは、入力装置75を操作することにより、油圧クレーン1の作業モードを、例えば、「クレーンモード」と「タワーモード」とのいずれかに設定することができる。換言すれば、オペレータは、入力装置75を操作し、作業モードを適宜選択することにより、油圧クレーン1の作業モードを所望の作業モードに設定することができる。
制御装置76は、ジブ起伏用電磁切換弁72,73および補巻用電磁切換弁70,71を切換えるコントローラである。制御装置76は、例えば、マイクロコンピュータ、駆動回路、電源回路等を含んで構成されている。制御装置76は、ジブ起伏用電磁切換弁72,73(のソレノイド)および補巻用電磁切換弁70,71(のソレノイド)に接続されている。また、制御装置76は、入力装置75と接続されている。さらに、制御装置76には、上部旋回体3に搭載された電源となるバッテリ(図示せず)から電力が供給される。
制御装置76は、操作回路切換弁69の切換位置に応じて、ジブ起伏用電磁切換弁72,73および補巻用電磁切換弁70,71を切換える。この場合、制御装置76は、位置センサ74により検出される切換位置と、入力装置75により選択された作業モードとに応じて、ジブ起伏用電磁切換弁72,73および補巻用電磁切換弁70,71を切換える。
即ち、制御装置76は、図2に示すクレーン仕様のときに、位置センサ74により検出される操作回路切換弁69の切換位置が「クレーンモード」に対応する位置であり、かつ、入力装置75により選択された作業モードが「クレーンモード」のときは、補巻用電磁切換弁70,71に電力を供給する。これにより、制御装置76は、補巻用電磁切換弁70,71を励磁することにより開位置とする。この結果、ジブ起伏兼補巻用操作装置68のパイロット圧が補巻用方向制御弁58(の油圧パイロット部58A,58B)に供給されることが許可される。
一方、制御装置76は、図4に示すタワー仕様のときに、位置センサ74により検出される操作回路切換弁69の切換位置が「タワーモード」に対応する位置であり、かつ、入力装置75により選択された作業モードが「タワーモード」のときは、ジブ起伏電磁切換弁72,73に電力を供給する。これにより、制御装置76は、ジブ起伏用電磁切換弁72,73を励磁することにより開位置とする。この結果、ジブ起伏兼補巻用操作装置68からのパイロット圧がジブ起伏用方向制御弁60(の油圧パイロット部60A,60B)に供給されることが許可される。
これに対して、制御装置76は、位置センサ74により検出される操作回路切換弁69の切換位置と入力装置75により選択された作業モードとが一致しないときは、電磁切換弁70,71,72,73に電力を供給しない。これにより、制御装置76は、電磁切換弁70,71,72,73を消磁することにより閉位置とする。この結果、ジブ起伏兼補巻用操作装置68からのパイロット圧が補巻用方向制御弁58(の油圧パイロット部58A,58B)およびジブ起伏用方向制御弁60(の油圧パイロット部60A,60B)に供給されることが禁止される。
本実施の形態による油圧クレーン1は、上述の如き構成を有するもので、次に油圧クレーン1の動作について説明する。
図1および図2に示すように、クレーン仕様の油圧クレーン1を用いて吊荷作業を行う場合は、ブーム起伏ウインチ17によってブーム起伏ロープ18を巻取ることにより、例えば図1に示す如く、旋回フレーム4に対しブーム8を上方に立上げる。ブーム8の角度が定まったら、主巻ウインチ11の主巻用油圧モータ11Bによって主巻ドラム11Aを回転させる。これにより、主巻ロープ19が主巻ドラム11Aに巻取り、巻出され、主フック20を昇降させることができ、主フック20に吊下げた資材等の吊荷を地上と高所との間で運搬することができる。また、ジブ起伏兼補巻ウインチ12のジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bによってジブ起伏兼補巻ドラム12Aを回転させることにより、補巻ロープ(図示せず)の巻取り、巻出を行い、補フック(図示せず)を昇降させることもできる。
一方、図3および図4に示すように、タワー仕様の油圧クレーン1を用いて吊荷作業を行う場合は、ブーム起伏ウインチ17によってブーム起伏ロープ32を巻取ることにより、例えば図3に示す如く、旋回フレーム4に対しタワーブーム21を上方に立上げる。また、ジブ起伏兼補巻ウインチ12によってジブ起伏ロープ29を巻取ることにより、タワーブーム21に対してタワージブ24の先端側を上側に起こすことができる。タワージブ24の角度が定まったら、主巻ウインチ11の主巻用油圧モータ11Bによって主巻ドラム11Aを回転させる。これにより、主巻ロープ33が主巻ドラム11Aに巻取り、巻出され、フック34を昇降させることができ、フック34に吊下げた資材等の吊荷を地上と高所との間で運搬することができる。
ここで、実施の形態では、操作回路切換弁69の切換位置と電磁切換弁70,71,72,73の切換位置とにより、ジブ起伏兼補巻用操作装置68のパイロット圧を、ジブ起伏用方向制御弁60と補巻用方向制御弁58とのいずれに供給するかを切換える。この場合、図2に示すように、クレーン仕様のときは、ジブ起伏兼補巻用管路57A,57Bは、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bと補巻用方向制御弁58との間を接続する。即ち、この場合は、ジブ起伏兼補巻用管路57A,57Bの一端側(即ち、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bとは反対側)が補巻用方向制御弁58に接続される。
これに対して、タワー仕様のときは、ジブ起伏兼補巻用管路57A,57Bは、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bとジブ起伏用方向制御弁60との間を接続する。即ち、この場合は、ジブ起伏兼補巻用管路57A,57Bの一端側(即ち、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bとは反対側)がジブ起伏用方向制御弁60に接続される。このように、実施の形態では、フロントアタッチメント7A,7Bの仕様(即ち、フロントアタッチメント7A,7Bに応じたクレーンの作業モード)により、ジブ起伏兼補巻用管路57A,57Bの一端側の接続先(ジブ起伏兼補巻用管路57A,57Bを構成するホースの接続先)を切換える(組み換える)。
なお、ジブ起伏兼補巻用管路57A,57Bの一端側の接続作業は、例えば、作業現場で行われる。即ち、油圧クレーン1は、分解された状態で作業現場に搬送される。そして、作業現場では、例えば、図1に示すように、上部旋回体3にクレーンアタッチメント7Aを取付ける。このとき、図2に示すように、ジブ起伏兼補巻用管路57A,57Bの一端側は、補巻用方向制御弁58側に接続する。一方、図3に示すように、上部旋回体3にタワーアタッチメント7Bを取付けるときは、図4に示すように、ジブ起伏兼補巻用管路57A,57Bの一端側は、ジブ起伏用方向制御弁60側に接続する。
ここで、実施の形態では、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bに供給される圧油の供給源を、第1の油圧ポンプ44と第2の油圧ポンプ48とうちのいずれにするかは、設定される作業モードに応じて次のように決定される。即ち、実施の形態では、油圧クレーン1のオペレータは、入力装置75を用いて作業モードを「クレーンモード」と「タワーモード」とのいずれかに設定することが可能である。この場合、制御装置76は、設定された作業モードに応じて、電磁切換弁70,71,72,73を制御する。即ち、入力装置75および制御装置76は、オペレータがクレーンの作業モードを設定するための作業モード設定装置を構成している。
ここで、「クレーンモード」は、主巻ウインチ11または補巻ウインチとしてのジブ起伏兼補巻ウインチ12によって荷の吊り上げを行う場合に選択されるモードである。制御装置76は、「クレーンモード」に設定されると、ジブ起伏用電磁切換弁72,73のソレノイドを消磁し、補巻用電磁切換弁70,71のソレノイドを励磁する。このとき、操作回路切換弁69の操作レバー69Aを、図2に示す位置、即ち、「クレーンモード」に対応する位置に操作することで、ジブ起伏兼補巻用操作装置68のパイロット圧が補巻用方向制御弁58に供給されるようにする。また、ジブ起伏兼補巻用管路57A,57Bは、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bと補巻用方向制御弁58との間を接続する。即ち、ジブ起伏兼補巻用管路57A,57Bの一端側を補巻用方向制御弁58に接続する。これにより、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bに対して、第2の油圧ポンプ48からの圧油が補巻用方向制御弁58を介して供給されるようにする。
このような「クレーンモード」では、ジブ起伏兼補巻ウインチ12によって荷の吊り上げ作業を行う場合、ブーム起伏ウインチ17のブーム起伏ドラム17Aを駆動するブーム起伏用油圧モータ17Bには、第1の油圧ポンプ44から圧油が供給される。一方、補巻ウインチとして用いられるジブ起伏兼補巻ウインチ12のジブ起伏兼補巻ドラム12Aを駆動するジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bには、第2の油圧ポンプ48から圧油が供給される。このため、ブーム起伏用油圧モータ17Bとジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bとの間で圧力干渉が生じることを阻止できる。
一方、「タワーモード」は、油圧クレーン1をタワークレーンとして用いる場合に選択されるモードである。制御装置76は、「タワーモード」に設定されると、補巻用電磁切換弁70,71のソレノイドを消磁し、ジブ起伏用電磁切換弁72,73のソレノイドを励磁する。このとき、操作回路切換弁69の操作レバー69Aを、図4に示す位置、即ち、「タワーモード」に対応する位置に操作することで、ジブ起伏兼補巻用操作装置68のパイロット圧がジブ起伏用方向制御弁60に供給されるようにする。また、ジブ起伏兼補巻用管路57A,57Bは、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bとジブ起伏用方向制御弁60との間を接続する。即ち、ジブ起伏兼補巻用管路57A,57Bの一端側をジブ起伏用方向制御弁60に接続する。これにより、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bに対して、第1の油圧ポンプ44からの圧油がジブ起伏用方向制御弁60を介して供給されるようにする。
このような「タワーモード」では、主巻ウインチ11によって荷の吊り上げ作業を行う場合、ジブ起伏ウインチとして用いられるジブ起伏兼補巻ウインチ12のジブ起伏兼補巻ドラム12Aを駆動するジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bには、第1の油圧ポンプ44から圧油が供給される。一方、主巻ウインチ11の主巻ドラム11Aを駆動する主巻用油圧モータ11Bには、第2の油圧ポンプ48から圧油が供給される。このため、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bと主巻用油圧モータ11Bとの間で圧力干渉が生じることを阻止できる。
上述のように、操作回路切換弁69の切換位置と電磁切換弁70,71,72,73の切換位置とにより、ジブ起伏兼補巻用操作装置68のパイロット圧を、ジブ起伏用方向制御弁60と補巻用方向制御弁58とのいずれに供給するかを切換える。この場合、操作回路切換弁69の操作レバー69Aには、操作位置検出器となる位置センサ74が取付けられている。位置センサ74は、操作回路切換弁69がパイロット圧をジブ起伏用方向制御弁60と補巻用方向制御弁58とのいずれに供給するように操作されているかを検出する。
例えば、操作レバー69Aが「タワーモード」に操作されており、かつ、オペレータが入力装置75により作業モードを「クレーンモード」に設定している場合を考える。この場合、操作回路切換弁69は、ジブ起伏兼補巻用操作装置68のパイロット圧をジブ起伏用方向制御弁60に供給することを許容(許可)する。しかし、制御装置76は、ジブ起伏用電磁切換弁72,73のソレノイドを消磁しているため、ジブ起伏兼補巻用操作装置68のパイロット圧は、ジブ起伏用方向制御弁60に供給されない。このとき、制御装置76は、例えば、入力装置75のモニタにエラーを表示させることで、オペレータに対してジブ起伏兼補巻ウインチ12が正常に動作しないことを報知する。
一方、操作レバー69Aが「クレーンモード」に操作されており、かつ、オペレータが入力装置75により作業モードを「タワーモード」に設定している場合を考える。この場合、操作回路切換弁69は、ジブ起伏兼補巻用操作装置68のパイロット圧を補巻用方向制御弁58に供給することを許容(許可)する。しかし、制御装置76は、補巻用電磁切換弁70,71のソレノイドを消磁しているため、ジブ起伏兼補巻用操作装置68のパイロット圧は、補巻用方向制御弁58に供給されない。このとき、制御装置76は、例えば、入力装置75のモニタにエラーを表示させることで、オペレータに対してジブ起伏兼補巻ウインチ12が正常に動作しないことを報知する。これにより、検出異常等に影響されない確実な油圧切換えと人為的な切換ミスの防止とを両立することができる。
このように、実施の形態では、操作回路切換弁69を切換えることにより、ジブ起伏兼補巻用操作装置68からのパイロット圧の供給先を、ジブ起伏用方向制御弁60と補巻用方向制御弁58とのうちのいずれか一方に切換えることができる。この場合、前述の特許文献1のような、「第1の油圧ポンプとジブ起伏兼補巻用油圧モータとを結ぶ管路」と「第2の油圧ポンプとジブ起伏兼補巻用油圧モータとを結ぶ管路」とを合流させる必要はない。このため、合流管路が不要になり、製造コストを抑制することができる。また、補巻用方向制御弁58とジブ起伏用方向制御弁60をシリーズ回路の最下流に配置する必要もなく、配置の自由度を向上することができる。しかも、操作回路切換弁69を手動式の切換弁としているため、パイロット回路の切換えの確実性を向上することもできる。
また、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bは、ブーム8,21の下部ブーム8A,21Aに設けられている。一方、油圧クレーン1は、分解した状態で作業現場に搬送される。このため、作業現場で油圧クレーン1を組み立てるときは、油圧クレーン1をクレーン仕様で用いるときもタワー仕様で用いるときも、いずれもジブ起伏兼補巻用管路57A,57Bの一端側(即ち、ジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bとは反対側)を上部旋回体3側に接続する作業を行う。このため、合流管路を設けなくても、ジブ起伏兼補巻用管路57A,57Bの接続を変えることにより、圧力干渉が生じないようにジブ起伏兼補巻用油圧モータ12Bに圧油を供給することができる。
実施の形態では、操作回路切換弁69とジブ起伏用方向制御弁60との間で開位置と閉位置とに切換えられるジブ起伏用電磁切換弁72,73と、操作回路切換弁69と補巻用方向制御弁58との間で開位置と閉位置とに切換えられる補巻用電磁切換弁70,71とを備えている。そして、ジブ起伏用電磁切換弁72,73と補巻用電磁切換弁70,71は、コントローラとしての制御装置76によってそれぞれの開位置と閉位置とが切換えられる。このため、ジブ起伏兼補巻用操作装置68からのパイロット圧の供給先を、操作回路切換弁69と制御装置76との両方によって決定することができる。これにより、パイロット回路の切換えの確実性をより向上することができる。
実施の形態では、操作回路切換弁69は、手動式の切換弁であり、制御装置76には、操作回路切換弁69の切換位置を検出する位置センサ74と、モード選択スイッチを構成する入力装置75とが接続されている。そして、制御装置76は、位置センサ74により検出される切換位置と入力装置75により選択された作業モードとに応じて、ジブ起伏用電磁切換弁72,73および補巻用電磁切換弁70,71を切換える。このため、操作回路切換弁69を手動操作することにより、パイロット回路の切換えを確実に行うことができる。
これに加えて、制御装置76は、操作回路切換弁69の切換位置と入力装置75により選択された作業モードとの整合性を判断することができる。即ち、制御装置76は、操作回路切換弁69の切換位置と入力装置75により選択された作業モードとが一致するときに、ジブ起伏兼補巻用操作装置68からのパイロット圧を、そのモードおよび切換位置で必要な制御弁(ジブ起伏用方向制御弁60または補巻用方向制御弁58)に供給することができる。これにより、操作回路切換弁69の切換位置と入力装置75により選択された作業モードとが一致しない状態で、油圧クレーン1が誤って運転されることを抑制できる。
なお、実施の形態では、ブーム8,21の下部ブーム8A,21Aに、主巻ウインチ11とジブ起伏兼補巻ウインチ12とを設けた場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、主巻ウインチ11とジブ起伏兼補巻ウインチ12とのうちの一方または両方を、上部旋回体3に設ける構成としてもよい。
実施の形態では、第1の油圧ポンプ44に対して上流側から左走行用方向制御弁51、ジブ起伏用方向制御弁60、ブーム起伏用方向制御弁53の順にシリーズ接続した場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、第1の油圧ポンプに対して上流側から左走行用方向制御弁、ブーム起伏用方向制御弁、ジブ起伏用方向制御弁の順にシリーズ接続してもよい。
実施の形態では、第2の油圧ポンプ48に対して上流側から右走行用方向制御弁52、補巻用方向制御弁58、主巻用方向制御弁55の順にシリーズ接続した場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、第2の油圧ポンプに対して上流側から右走行用方向制御弁、主巻用方向制御弁、補巻用方向制御弁の順にシリーズ接続してもよい。