JP2018139795A - 自律走行装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】往復移動による掃除において掃除されない領域の発生を抑制できる自律走行装置を提供する。【解決手段】自律走行装置10の掃除ユニットは自律走行装置10の進行方向に交差する方向に延びる掃除領域CRに亘って掃除を行う。自律走行装置10の制御ユニットは基準壁を決定し、基準壁に平行する第1の方向X1に自律走行装置10を移動させ、基準壁に平行しかつ第1の方向とは反対方向の第2の方向X2に自律走行装置10を移動させる往復移動を繰り返す掃除制御を実行し、掃除制御の実行時において、自律走行装置10の第1の方向X1の掃除領域CRと、自律走行装置10の第2の方向X2の掃除領域CRとが一部重複するように自律走行装置10を移動させ、自律走行装置10が基準壁から遠い場合の第1の方向X1の掃除領域CRと第2の方向X2の掃除領域CRとの重複幅Wd2を、自律走行装置10が基準壁に近い場合の重複幅Wd1よりも大きくする。【選択図】図5
Description
本発明は自律走行装置に関する。
特許文献1には、床面を往復移動しつつ掃除することにより、床面の全体に亘って掃除する自律走行装置が開示されている。特許文献1の自律走行装置は、距離測定センサによって検出された基準壁と往路との間の距離と、基準壁と復路との間の距離とを予め設定された一定の距離だけ離した状態で往復移動する。これにより、自律走行装置が往復移動するときに往路の掃除領域と復路の掃除領域との一部が重複する。
例えば距離測定センサは基準壁からの距離が大きくなるにつれて測定誤差が大きくなる。これにより、自動走行装置が基準壁から離れるにつれて、基準壁と往路との間の距離および基準壁と復路との間の距離のばらつきが大きくなる場合がある。このため、往路の掃除領域と復路の掃除領域とが重ならず、掃除されない領域が生じるおそれがある。
本発明の自律走行装置の一形態は、掃除ユニットと、前記掃除ユニットを制御する制御ユニットとを含む自律走行装置であって、前記掃除ユニットは、前記自律走行装置の進行方向に交差する方向に延びる掃除領域に亘って掃除を行い、前記制御ユニットは、前記自律走行装置と前記自律走行装置の周囲の壁との距離に基づいて基準壁を決定し、前記基準壁に平行する第1の方向に前記自律走行装置を移動させ、前記基準壁に平行しかつ前記第1の方向とは反対方向の第2の方向に前記自律走行装置を移動させる往復移動を繰り返す掃除制御を実行し、前記掃除制御の実行時において、前記自律走行装置の前記第1の方向の前記掃除領域と、前記自律走行装置の前記第2の方向の前記掃除領域とが一部重複するように前記自律走行装置を移動させ、前記自律走行装置が前記基準壁から遠い場合の前記第1の方向の前記掃除領域と前記第2の方向の前記掃除領域との重複幅を、前記自律走行装置が前記基準壁に近い場合の前記重複幅よりも大きくする。
上記自律走行装置は、往復移動による掃除において掃除されない領域の発生を抑制できる。
(自律走行装置が取り得る形態の一例)
(1)本発明の自律走行装置の一形態は、掃除ユニットと、前記掃除ユニットを制御する制御ユニットとを含む自律走行装置であって、前記掃除ユニットは、前記自律走行装置の進行方向に交差する方向に延びる掃除領域に亘って掃除を行い、前記制御ユニットは、前記自律走行装置と前記自律走行装置の周囲の壁との距離に基づいて基準壁を決定し、前記基準壁に平行する第1の方向に前記自律走行装置を移動させ、前記基準壁に平行しかつ前記第1の方向とは反対方向の第2の方向に前記自律走行装置を移動させる往復移動を繰り返す掃除制御を実行し、前記掃除制御の実行時において、前記自律走行装置の前記第1の方向の前記掃除領域と、前記自律走行装置の前記第2の方向の前記掃除領域とが一部重複するように前記自律走行装置を移動させ、前記自律走行装置が前記基準壁から遠い場合の前記第1の方向の前記掃除領域と前記第2の方向の前記掃除領域との重複幅を、前記自律走行装置が前記基準壁に近い場合の前記重複幅よりも大きくする。
これにより、基準壁から自律走行装置が離れた位置で往復移動する場合、基準壁と第1の方向または第2の方向に移動する自律走行装置との間の距離がばらついても、第1の方向の掃除領域と第2の方向の掃除領域とが重複しやすくなる。したがって、自律走行装置が往復移動するときに掃除されない領域の発生を抑制できる。
(1)本発明の自律走行装置の一形態は、掃除ユニットと、前記掃除ユニットを制御する制御ユニットとを含む自律走行装置であって、前記掃除ユニットは、前記自律走行装置の進行方向に交差する方向に延びる掃除領域に亘って掃除を行い、前記制御ユニットは、前記自律走行装置と前記自律走行装置の周囲の壁との距離に基づいて基準壁を決定し、前記基準壁に平行する第1の方向に前記自律走行装置を移動させ、前記基準壁に平行しかつ前記第1の方向とは反対方向の第2の方向に前記自律走行装置を移動させる往復移動を繰り返す掃除制御を実行し、前記掃除制御の実行時において、前記自律走行装置の前記第1の方向の前記掃除領域と、前記自律走行装置の前記第2の方向の前記掃除領域とが一部重複するように前記自律走行装置を移動させ、前記自律走行装置が前記基準壁から遠い場合の前記第1の方向の前記掃除領域と前記第2の方向の前記掃除領域との重複幅を、前記自律走行装置が前記基準壁に近い場合の前記重複幅よりも大きくする。
これにより、基準壁から自律走行装置が離れた位置で往復移動する場合、基準壁と第1の方向または第2の方向に移動する自律走行装置との間の距離がばらついても、第1の方向の掃除領域と第2の方向の掃除領域とが重複しやすくなる。したがって、自律走行装置が往復移動するときに掃除されない領域の発生を抑制できる。
(2)前記自律走行装置の一例によれば、前記制御ユニットは、前記掃除制御の実行時において前記自律走行装置が前記基準壁から離れるにつれて前記重複幅を大きくする。
基準壁と第1の方向に移動する自律走行装置との間の距離のばらつき、および、基準壁と第2の方向に移動する自律走行装置との間の距離のばらつきは、基準壁と自律走行装置との間の距離が長くなるにつれて大きくなる。制御ユニットは、自律走行装置が基準壁から離れるにつれて重複幅を大きくするため、自律走行装置が基準壁から離れても第1の方向の掃除領域と第2の方向の掃除領域とが重複しやすくなる。
基準壁と第1の方向に移動する自律走行装置との間の距離のばらつき、および、基準壁と第2の方向に移動する自律走行装置との間の距離のばらつきは、基準壁と自律走行装置との間の距離が長くなるにつれて大きくなる。制御ユニットは、自律走行装置が基準壁から離れるにつれて重複幅を大きくするため、自律走行装置が基準壁から離れても第1の方向の掃除領域と第2の方向の掃除領域とが重複しやすくなる。
(3)前記自律走行装置の一例によれば、前記制御ユニットは、前記基準壁と前記自律走行装置との間の距離と、前記基準壁と対向する対向壁と前記自律走行装置との間の距離とに基づいて、前記重複幅を変更する。
これにより、第1の方向の掃除領域と第2の方向の掃除領域とが重複しやすく、かつ、基準壁と対向壁との間の領域を効率的に掃除できる。
これにより、第1の方向の掃除領域と第2の方向の掃除領域とが重複しやすく、かつ、基準壁と対向壁との間の領域を効率的に掃除できる。
(4)前記自律走行装置の一例によれば、前記制御ユニットは、前記掃除制御の実行時において前記対向壁と前記自律走行装置との距離が前記自律走行装置と前記基準壁との距離よりも小さくなった場合、前記自律走行装置が前記対向壁に近い場合の前記重複幅を、前記自律走行装置が前記対向壁から遠い場合の前記重複幅よりも小さくする。
これにより、自律走行装置が基準壁から離れても対向壁に近づくと重複幅が小さくなるため、重複幅が過度に大きくなることを抑制できる。したがって、基準壁と対向壁との間の領域を効率的に掃除できる。
これにより、自律走行装置が基準壁から離れても対向壁に近づくと重複幅が小さくなるため、重複幅が過度に大きくなることを抑制できる。したがって、基準壁と対向壁との間の領域を効率的に掃除できる。
(5)前記自律走行装置の一例によれば、前記制御ユニットは、前記掃除制御の実行時において前記自律走行装置が前記対向壁に近づくにつれて前記重複幅を小さくする。
対向壁と第1の方向に移動する自律走行装置との間の距離のばらつき、および、対向壁と第2の方向に移動する自律走行装置との間の距離のばらつきは、対向壁と自律走行装置の間の距離が短くなるにつれて小さくなる。制御ユニットは、自律走行装置が対向壁に近づくにつれて重複幅を小さくするため、第1の方向の掃除領域と第2の方向の掃除領域とが重複しやすく、かつ、基準壁と対向壁との間の領域を効率的に掃除できる。
対向壁と第1の方向に移動する自律走行装置との間の距離のばらつき、および、対向壁と第2の方向に移動する自律走行装置との間の距離のばらつきは、対向壁と自律走行装置の間の距離が短くなるにつれて小さくなる。制御ユニットは、自律走行装置が対向壁に近づくにつれて重複幅を小さくするため、第1の方向の掃除領域と第2の方向の掃除領域とが重複しやすく、かつ、基準壁と対向壁との間の領域を効率的に掃除できる。
(実施の形態1)
図1〜図3を参照して、自律走行装置10について説明する。
自律走行装置10は、掃除対象領域の一例である床面上を自律的に走行し、床面に存在するごみを吸引するロボット型の掃除機である。図1および図2に示される自律走行装置10はボディ20、一対の走行ユニット30、掃除ユニット40、吸引ユニット50、ごみ箱60、センサユニット70、制御ユニット80、および、電源ユニット(図示略)を備える。ボディ20は一対の走行ユニット30、掃除ユニット40、吸引ユニット50、ごみ箱60、センサユニット70、制御ユニット80、および、電源ユニットを収容している。一対の走行ユニット30は、ボディ20を走行させる。掃除ユニット40はボディ20の下方のごみを掻き上げる。吸引ユニット50は掃除ユニット40により掻き上げられたごみをボディ20内に吸引する。ごみ箱60は吸引ユニット50により吸引されたごみを収容する。センサユニット70は複数のセンサを含む。複数のセンサは検出した信号(検出値)を制御ユニット80に出力する。制御ユニット80は各ユニット30、40、50、70の動作を制御する。電源ユニットは各ユニット30、40、50、70、80に電力を供給する。
図1〜図3を参照して、自律走行装置10について説明する。
自律走行装置10は、掃除対象領域の一例である床面上を自律的に走行し、床面に存在するごみを吸引するロボット型の掃除機である。図1および図2に示される自律走行装置10はボディ20、一対の走行ユニット30、掃除ユニット40、吸引ユニット50、ごみ箱60、センサユニット70、制御ユニット80、および、電源ユニット(図示略)を備える。ボディ20は一対の走行ユニット30、掃除ユニット40、吸引ユニット50、ごみ箱60、センサユニット70、制御ユニット80、および、電源ユニットを収容している。一対の走行ユニット30は、ボディ20を走行させる。掃除ユニット40はボディ20の下方のごみを掻き上げる。吸引ユニット50は掃除ユニット40により掻き上げられたごみをボディ20内に吸引する。ごみ箱60は吸引ユニット50により吸引されたごみを収容する。センサユニット70は複数のセンサを含む。複数のセンサは検出した信号(検出値)を制御ユニット80に出力する。制御ユニット80は各ユニット30、40、50、70の動作を制御する。電源ユニットは各ユニット30、40、50、70、80に電力を供給する。
ボディ20は掃除に適した平面形状を有する。ボディ20の平面形状の一例は、ルーローの三角形、その三角形とおおよそ同じ形状を有する多角形、これらの三角形あるいは多角形の頂部にR面が形成された形状、円形、円形に類似した形状、四角形、または、四角形に類似した形状である。図1および図2に示されるボディ20の平面形状は、上記三角形あるいは多角形の頂部にR面が形成された形状の一例である。
図2に示されるように、ボディ20は吸込口21を含む。吸込口21はボディ20の下方に存在するごみをボディ20内に吸引できるようにボディ20の底面22に開口している。ボディ20内には、吸込口21とごみ箱60とを連通するダクト(図示略)が設けられている。
図2および図3に示されるように、掃除ユニット40はメインブラシ41、サイドブラシ42、第1の駆動モータ43、および、第2の駆動モータ44を含む。第1の駆動モータ43はメインブラシ41を回転させる。第2の駆動モータ44はサイドブラシ42を回転させる。メインブラシ41は吸込口21に配置されている。メインブラシ41が回転することにより、ボディ20の下方のごみが掻き上げられる。サイドブラシ42はメインブラシ41の側方に設けられている。サイドブラシ42が回転することにより、ボディ20周辺の床面のごみが吸込口21およびメインブラシ41に案内される。掃除ユニット40は掃除領域CRに亘って掃除する。掃除領域CRは自律走行装置10の進行方向と交差する方向に延びている。一例では、掃除領域CRは自律走行装置10の進行方向と直交する方向に延びている。掃除領域CRは自律走行装置10の幅方向において掃除ユニット40によって掃除可能な領域である。一例では、掃除領域CRは吸込口21の長手方向の長さ(自律走行装置10の幅方向における吸込口21の長さ)である。
吸引ユニット50はごみ箱60に対してメインブラシ41とは反対側に設けられている。吸引ユニット50は電動ファン51を含む。電動ファン51はごみ箱60内の空気を吸引する。電動ファン51が駆動することにより、メインブラシ41より掻き上げられたごみがダクトを通過してごみ箱60内に移動する。
走行ユニット30は駆動輪31および走行用モータ32を有する。走行用モータ32は駆動輪31にトルクを伝達できるように駆動輪31の軸に連結されている。走行用モータ32が駆動することにより、駆動輪31がボディ20に対して回転し、自律走行装置10が床面上を走行する。自律走行装置10はキャスター23をさらに備える。キャスター23は、ボディ20の底面の後方部分に設けられている。
センサユニット70は障害物検出センサ71、距離測定センサ72、および、方向検出センサ73を含む。障害物検出センサ71は第2検出部の一例である。距離測定センサ72は第1検出部の一例である。障害物検出センサ71、距離測定センサ72、および方向検出センサ73の数は任意である。図1では、3つの障害物検出センサ71、1つの距離測定センサ72、および、1つの方向検出センサ73がボディ20に設けられた例を示している。
各障害物検出センサ71はボディ20の前方および側方に存在する物体を検出できるようにボディ20に設けられている。第1の障害物検出センサ71はボディ20の前面に設けられている。第2の障害物検出センサ71はボディ20における右斜め前方の部分に設けられている。第3の障害物検出センサ71はボディ20における左斜め前方の部分に設けられている。障害物検出センサ71の一例は超音波センサである。超音波センサは音波を出力する出力部、および、反射された音波を受信する受信部を含む(いずれも図示略)。障害物検出センサ71が物体を適切に検出できる測定範囲(検出対象領域)は例えば障害物検出センサ71から基準距離だけ前方側に直進した範囲である。基準距離の一例は20cmである。障害物検出センサ71は受信部が受信した音波を電圧に変換し、変換した電圧値を検出値として取得する。受信部が受信した音波を変換した電圧値は受信部が受信した音波の強度が高くなるにつれて高くなる。
距離測定センサ72はボディ20の周囲の全体に存在する物体を検出できるようにボディ20に設けられている。距離測定センサ72の一例はレーザレンジファインダである。レーザレンジファインダは光を出力する出力部、および、反射された光を受信する受信部を含む(いずれも図示略)。好ましい例では、距離測定センサ72は平面視においてボディ20の中央部かつ頂部に設けられる。距離測定センサ72の出力部は床面に垂直な軸まわりでボディ20に対して回転可能である。距離測定センサ72の測定範囲(検出対象領域)は主に、床面に垂直な軸まわりにおいて出力部が回転する角度範囲、および、その軸を中心とする円または扇の半径により決められる。この半径は物体の検出に適した強度を有する光が到達する距離である。出力部が回転する角度範囲の一例は360°である。円または扇の半径の一例は200cmである。距離測定センサ72は受信部が受信した光を電圧に変換し、変換した電圧値を検出値として取得する。受信部が受信した光を変換した電圧値は受信部が受信した光の強度が高くなるにつれて高くなる。
方向検出センサ73は自律走行装置10の方向を検出できるようにボディ20に設けられている。一例では、方向検出センサ73はボディ20の中心から後方部分に向かう方向に対してボディ20の周囲の壁面の面方向がなす角度を検出する。方向検出センサ73の一例はジャイロセンサである。方向検出センサ73は平面視においてボディ20の中央部かつボディ20内部に設けられている。
制御ユニット80は制御部81および環境地図作成装置82を含む。環境地図作成装置82は地図作成部83および記憶部84を含む。制御部81および地図作成部83は例えばCPU(Central Processing Unit)のような半導体集積回路を含む。制御部81は操作部(図示略)から入力された信号および制御プログラムに基づいて自律走行装置10を制御する。操作部の一例は、自律走行装置10に設けられた操作パネル、または、自律走行装置10に対応するリモートコントローラである。地図作成部83は障害物検出センサ71の検出結果および距離測定センサ72の検出結果を用いて環境地図を作成する。環境地図の作成手法の一例はSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)である。記憶部84は例えばフラッシュメモリのような不揮発性の半導体記憶素子を含む。記憶部84は自律走行装置10の制御に関連する各種の情報、および、地図作成部83により作成された環境地図等を記憶する。各種の情報は制御部81により実行される制御プログラム、および、そのプログラムにおいて参照されるパラメータである。
制御ユニット80は環境地図を作成するための地図作成制御、および、環境地図に基づいて掃除対象領域を掃除するための掃除制御を実行する。ユーザは操作パネルまたはリモコンの操作に基づいて地図作成制御および掃除制御を選択して実行できる。制御ユニット80は地図作成制御が選択されたとき、距離測定センサ72の検出結果に基づいて掃除対象領域を含む部屋の壁面等を含む環境地図を作成する。制御ユニット80は掃除制御が選択されたとき、予め設定された走行ルートに沿って自律走行装置10を走行させるとともに掃除ユニット40および吸引ユニット50を駆動させる。
自律走行装置10の各制御の詳細について説明する。一例では、図4に示されるように、自律走行装置10は平面視において矩形状の部屋の床面を掃除対象領域として掃除する。図4の部屋は第1壁面W1、第2壁面W2、第3壁面W3、および、第4壁面W4を有する。第1壁面W1と第3壁面W3とは互いに対向し、第2壁面W2と第4壁面W4とは互いに対向する。
(地図作成制御)
制御ユニット80は部屋の第1壁面W1、第2壁面W2、第3壁面W3、および、第4壁面W4の順に壁面に沿って自律走行装置10を移動させるとともに、所定の地点ごとに局所地図を作成し、環境地図に反映する。作成された環境地図は記憶部84(図3参照)に記憶される。制御ユニット80は、基本的には次のように環境地図を更新する。距離測定センサ72の検出値が第1閾値以上である場合、制御ユニット80はその検出値に対応する実際の領域である検出対象領域に壁等の物体が存在すると判定し、環境地図上における対応する領域に物体が存在する情報を記入する。距離測定センサ72の検出値が第1閾値未満である場合、制御ユニット80は、検出値に対応する実際の領域(検出対応領域)が壁等の物体が存在しない空白領域であると判定し、環境地図上における対応する領域に空白を示す情報を記入する。なお、第1閾値は試験等により予め設定される。第1閾値の一例は距離測定センサ72の検出距離の上限値の検出対象領域に存在する壁面(拡散反射面)に拡散反射された光を受信したときの距離測定センサ72の検出値の下限値である。
制御ユニット80は部屋の第1壁面W1、第2壁面W2、第3壁面W3、および、第4壁面W4の順に壁面に沿って自律走行装置10を移動させるとともに、所定の地点ごとに局所地図を作成し、環境地図に反映する。作成された環境地図は記憶部84(図3参照)に記憶される。制御ユニット80は、基本的には次のように環境地図を更新する。距離測定センサ72の検出値が第1閾値以上である場合、制御ユニット80はその検出値に対応する実際の領域である検出対象領域に壁等の物体が存在すると判定し、環境地図上における対応する領域に物体が存在する情報を記入する。距離測定センサ72の検出値が第1閾値未満である場合、制御ユニット80は、検出値に対応する実際の領域(検出対応領域)が壁等の物体が存在しない空白領域であると判定し、環境地図上における対応する領域に空白を示す情報を記入する。なお、第1閾値は試験等により予め設定される。第1閾値の一例は距離測定センサ72の検出距離の上限値の検出対象領域に存在する壁面(拡散反射面)に拡散反射された光を受信したときの距離測定センサ72の検出値の下限値である。
(掃除制御)
制御ユニット80は環境地図を作成後、自律走行装置10が往復移動するための走行ルートRTを設定する。一例では、図4の二点鎖線により示されるように、走行ルートRTは第1壁面W1に平行または直交する方向に自律走行装置10を往復移動させるルートである。走行ルートRTは、連続する4つの走行ルートRT1〜RT4が繰り返し設けられることにより構成されている。第1走行ルートRT1は第1壁面W1に平行する第1の方向X1に沿って第4壁面W4から第2壁面W2まで自律走行装置10を移動させるルートである。第2走行ルートRT2は第1走行ルートRT1の第2壁面W2側の端部から第2壁面W2に平行する第3の方向Yに沿って第1壁面W1から離れるように所定の移動距離MD1だけ自律走行装置10を移動させるルートである。第3走行ルートRT3は第2走行ルートRT2における第1走行ルートRT1側とは反対側の端部から第1の方向X1とは反対方向である第2の方向X2に沿って第2壁面W2から第4壁面W4まで自律走行装置10を移動させるルートである。第4走行ルートRT4は第3走行ルートRT3の第4壁面W4側の端部から第3の方向に沿って第1壁面W1から離れるように所定の移動距離MD2だけ自律走行装置10を移動させるルートである。図4では、第1走行ルートRT1および第3走行ルートRT3の合計で11ラインが設定されている。図4では、第1壁面W1に沿う第1走行ルートRT1を1ライン目とし、第1壁面W1から離れるにつれてライン数が増加する。そして第3壁面W3に沿う第1走行ルートRT1を11ライン目とする。図4では、走行ルートの1ライン目から11ライン目まで順にLN1〜LN11が付されている。
制御ユニット80は環境地図を作成後、自律走行装置10が往復移動するための走行ルートRTを設定する。一例では、図4の二点鎖線により示されるように、走行ルートRTは第1壁面W1に平行または直交する方向に自律走行装置10を往復移動させるルートである。走行ルートRTは、連続する4つの走行ルートRT1〜RT4が繰り返し設けられることにより構成されている。第1走行ルートRT1は第1壁面W1に平行する第1の方向X1に沿って第4壁面W4から第2壁面W2まで自律走行装置10を移動させるルートである。第2走行ルートRT2は第1走行ルートRT1の第2壁面W2側の端部から第2壁面W2に平行する第3の方向Yに沿って第1壁面W1から離れるように所定の移動距離MD1だけ自律走行装置10を移動させるルートである。第3走行ルートRT3は第2走行ルートRT2における第1走行ルートRT1側とは反対側の端部から第1の方向X1とは反対方向である第2の方向X2に沿って第2壁面W2から第4壁面W4まで自律走行装置10を移動させるルートである。第4走行ルートRT4は第3走行ルートRT3の第4壁面W4側の端部から第3の方向に沿って第1壁面W1から離れるように所定の移動距離MD2だけ自律走行装置10を移動させるルートである。図4では、第1走行ルートRT1および第3走行ルートRT3の合計で11ラインが設定されている。図4では、第1壁面W1に沿う第1走行ルートRT1を1ライン目とし、第1壁面W1から離れるにつれてライン数が増加する。そして第3壁面W3に沿う第1走行ルートRT1を11ライン目とする。図4では、走行ルートの1ライン目から11ライン目まで順にLN1〜LN11が付されている。
制御ユニット80は、第1走行ルートRT1における自律走行装置10の掃除領域CRと、第3走行ルートRT3における自律走行装置10の掃除領域CRとが一部重複するように、各ラインの走行ルートRT1、RT3の基準壁からの距離が設定される。制御ユニット80は、各ラインの走行ルートRT1、RT3の基準壁からの距離に基づいて、第2走行ルートRT2の移動距離MD1および第4走行ルートRT4の移動距離MD2を設定する。なお、以降の説明において、重複幅Wdは、第1走行ルートRT1における自律走行装置10の掃除領域CRと第3走行ルートRT3における自律走行装置10の掃除領域CRとが第3の方向Yにおいて重複する幅寸法である。
制御ユニット80は自律走行装置10が基準壁から遠い場合の重複幅Wdを自律走行装置10が基準壁に近い場合の重複幅Wdよりも大きくする増加処理を実行する。一例では、制御ユニット80は自律走行装置10が第3の方向Yにおいて基準壁から離れるにつれて重複幅Wdを大きくする。
増加処理において基準壁に対する第1走行ルートRT1および第3走行ルートRT3の距離は、次のように算出される。
制御ユニット80は基準距離Lw、測定誤差幅MEW、制御目標距離Lg、および、掃除完了幅Wcfを算出する。基準距離Lwは測定誤差幅MEWを含まない理想状態での第3の方向Yにおける基準壁と距離測定センサ72の中心位置との間の距離である。測定誤差幅MEWは距離測定センサ72の測定のばらつきの幅である。制御目標距離Lgは自律走行装置10が往復移動するための第1走行ルートRT1および第3走行ルートRT3と基準壁との間の目標距離である。掃除完了幅Wcfは自律走行装置10によって掃除が完了した領域における基準壁からの第3の方向Yの距離である。
制御ユニット80は基準距離Lw、測定誤差幅MEW、制御目標距離Lg、および、掃除完了幅Wcfを算出する。基準距離Lwは測定誤差幅MEWを含まない理想状態での第3の方向Yにおける基準壁と距離測定センサ72の中心位置との間の距離である。測定誤差幅MEWは距離測定センサ72の測定のばらつきの幅である。制御目標距離Lgは自律走行装置10が往復移動するための第1走行ルートRT1および第3走行ルートRT3と基準壁との間の目標距離である。掃除完了幅Wcfは自律走行装置10によって掃除が完了した領域における基準壁からの第3の方向Yの距離である。
基準距離Lwは自律走行装置10が基準壁に沿って移動する場合、(式1)により算出される。
基準距離Lw=掃除幅Lb−吸込口幅Lv/2 …(式1)
基準距離Lw=掃除幅Lb−吸込口幅Lv/2 …(式1)
掃除幅Lbは一方のサイドブラシ42のブラシ直径BDと吸込口21とを含めた距離の最大値である。ブラシ直径BDはサイドブラシ42におけるブリッスル束の長さが長い方の直径である。吸込口幅Lvはボディ20の吸込口21の幅寸法である。吸込口幅Lvは自律走行装置10が第1走行ルートRT1および第3走行ルートRT3に沿って移動する場合、第3の方向Yにおける掃除領域CRの寸法に等しい。
また基準距離Lwは自律走行装置10が基準壁から離れた状態(2ライン目以上)で第1の方向X1および第2の方向X2に向けて移動する場合、(式2)により算出される。
基準距離Lw=前回の掃除完了幅Wcf+吸込口幅Lv/2 …(式2)
基準距離Lw=前回の掃除完了幅Wcf+吸込口幅Lv/2 …(式2)
測定誤差幅MEWは距離測定センサ72の測定誤差MEに基づいて算出される。測定誤差MEは(式3)により算出される。
測定誤差ME=±誤差係数ε×距離測定センサ72の測定距離MD …(式3)
測定誤差ME=±誤差係数ε×距離測定センサ72の測定距離MD …(式3)
誤差係数εは距離測定センサ72の測定のばらつき度合を示す係数である。測定距離MDは基準壁と距離測定センサ72の中心位置との間の距離であり、基準距離Lwに等しい。このため、測定誤差幅MEWは(式4)により算出される。(式4)から分かるとおり、測定誤差幅MEWは正の測定誤差MEと負の測定誤差MEとの誤差幅である。
測定誤差幅MEW=基準距離Lw×2×誤差係数ε …(式4)
測定誤差幅MEW=基準距離Lw×2×誤差係数ε …(式4)
制御目標距離Lgは基準距離Lwおよび測定誤差幅MEWを用いて(式5)により算出される。制御ユニット80は制御目標距離Lgに基づいて基準壁からの第1走行ルートRT1および第3走行ルートRT3の距離を決めている。
制御目標距離Lg=基準距離Lw−測定誤差幅MEW …(式5)
制御目標距離Lg=基準距離Lw−測定誤差幅MEW …(式5)
掃除完了幅Wcfは制御目標距離Lgおよび吸込口幅Lvを用いて(式6)により算出される。
掃除完了幅Wcf=制御目標距離Lg+吸込口幅Lv/2 …(式6)
掃除完了幅Wcf=制御目標距離Lg+吸込口幅Lv/2 …(式6)
表1は掃除ユニット40に関する寸法関係の一例を示している。
表2は表1に基づいて算出された基準距離Lw、測定誤差幅MEW、制御目標距離Lg、および、掃除完了幅Wcfの一例を示している。
表2から重複幅Wdは表3のようになる。表3から分かるとおり、ライン数が増加するにつれて重複幅Wdが増加している。なお、1ライン目は自律走行装置10が基準壁に沿うため、重複幅Wdが存在しない。
図4および図5を参照して、掃除制御の実行時における自律走行装置10の動作について説明する。
図4に示されるように、自律走行装置10は、1ライン目LN1である第1走行ルートRT1として、第1壁面W1に沿って第1の方向X1に向けて移動する。自律走行装置10は障害物検出センサ71によって第2壁面W2を検出したとき、第1の方向X1への移動を停止し、自律走行装置10の進行方向が第3の方向Yかつ第1壁面W1から離れる側となるように自律走行装置10の向きを変更する。そして自律走行装置10は第2走行ルートRT2として、第2壁面W2に沿って移動距離MD1に亘って移動した後、移動を停止する。このとき、制御ユニット80は距離測定センサ72によって距離測定センサ72の中心位置と第1壁面W1との間の距離を測定し、測定した距離が2ライン目の制御目標距離Lgに一致するように自律走行装置10を移動させる。自律走行装置10は自律走行装置10の進行方向が第2の方向X2となるように自律走行装置10の向きを変更する。
図4に示されるように、自律走行装置10は、1ライン目LN1である第1走行ルートRT1として、第1壁面W1に沿って第1の方向X1に向けて移動する。自律走行装置10は障害物検出センサ71によって第2壁面W2を検出したとき、第1の方向X1への移動を停止し、自律走行装置10の進行方向が第3の方向Yかつ第1壁面W1から離れる側となるように自律走行装置10の向きを変更する。そして自律走行装置10は第2走行ルートRT2として、第2壁面W2に沿って移動距離MD1に亘って移動した後、移動を停止する。このとき、制御ユニット80は距離測定センサ72によって距離測定センサ72の中心位置と第1壁面W1との間の距離を測定し、測定した距離が2ライン目の制御目標距離Lgに一致するように自律走行装置10を移動させる。自律走行装置10は自律走行装置10の進行方向が第2の方向X2となるように自律走行装置10の向きを変更する。
自律走行装置10は2ライン目LN2である第3走行ルートRT3として、第2の方向X2に向けて移動する。このとき、制御ユニット80は距離測定センサ72によって距離測定センサ72の中心位置と第1壁面W1との間の距離を測定し、測定した距離が2ライン目の制御目標距離Lgを維持するように自律走行装置10の移動を制御する。一例では、制御ユニット80は距離測定センサ72によって測定した距離と制御目標距離Lgとの差が0となるようにフィードバック制御を実行する。自律走行装置10は障害物検出センサ71によって第4壁面W4を検出したとき、第2の方向X2への移動を停止し、自律走行装置10の進行方向が第3の方向Yかつ第1壁面W1から離れる側となるように自律走行装置10の向きを変更する。そして自律走行装置10は第4走行ルートRT4として、第4壁面W4に沿って移動距離MD2に亘って移動した後、移動を停止する。このとき、制御ユニット80は距離測定センサ72によって距離測定センサ72の中心位置と第1壁面W1との間の距離を測定し、測定した距離が3ライン目LN3の制御目標距離Lgに一致するように自律走行装置10を移動させる。自律走行装置10は自律走行装置10の進行方向が第1の方向X1となるように自律走行装置10の向きを変更する。自律走行装置10はこのような往復動作を繰り返すことにより、部屋の掃除対象領域の全域に亘って掃除を行う。この場合、図4に示されるように、自律走行装置10は増加処理によって第1壁面W1から離れるにつれて移動距離MD1、MD2が小さくなる。このため、ライン数が増加するにつれて、第3の方向Yにおいて隣り合う第1走行ルートRT1と第3走行ルートRT3との間の距離が小さくなる。このため、図5に示されるように、3ライン目LN3の重複幅Wd2は2ライン目LN2の重複幅Wd1よりも大きくなる。なお、3ライン目LN3の重複幅Wd2は2ライン目LN2の掃除領域CRと3ライン目LN3の掃除領域CRとの重複幅Wdである。2ライン目LN2の重複幅Wd1は1ライン目LN1の掃除領域CRと2ライン目LN2の掃除領域CRとの重複幅Wdである。
実施の形態1の作用について説明する。
自律走行装置10は環境地図に基づいて基準壁から離れるにつれて重複幅Wdが大きくなるように往復移動する。これにより、自律走行装置10が基準壁から離れることに起因して距離測定センサ72の測定誤差MEが大きくなっても、測定誤差MEを含んだ制御目標距離Lgに設定されているため、各走行ルートRT1、RT3の掃除領域CRが重複しやすい。また第3の方向Yにおける第1走行ルートRT1と第3走行ルートRT3との間の距離のばらつきに起因する誤差がライン数に応じて累積しても、重複幅Wdが大きくなっているため、各走行ルートRT1、RT3の掃除領域CRが重複しない領域が生じにくい。したがって、自律走行装置10の往復移動により掃除されない領域が生じることを抑制できる。
自律走行装置10は環境地図に基づいて基準壁から離れるにつれて重複幅Wdが大きくなるように往復移動する。これにより、自律走行装置10が基準壁から離れることに起因して距離測定センサ72の測定誤差MEが大きくなっても、測定誤差MEを含んだ制御目標距離Lgに設定されているため、各走行ルートRT1、RT3の掃除領域CRが重複しやすい。また第3の方向Yにおける第1走行ルートRT1と第3走行ルートRT3との間の距離のばらつきに起因する誤差がライン数に応じて累積しても、重複幅Wdが大きくなっているため、各走行ルートRT1、RT3の掃除領域CRが重複しない領域が生じにくい。したがって、自律走行装置10の往復移動により掃除されない領域が生じることを抑制できる。
また距離測定センサ72により基準壁が検出できない場合、自律走行装置10は環境地図の走行ルートに基づいて往復移動する。しかし、環境地図の部屋の形状と、実際の部屋の形状とが正確に一致しない場合がある。例えば、実際の部屋の壁面が第1の方向X1に平行に延びているにもかかわらず、環境地図の壁面は波打った形状として作成される場合がある。このため、第3の方向Yにおける第1走行ルートRT1と第3走行ルートRT3との間の距離が第1の方向X1(第2の方向X2)においてばらつく。しかし、自律走行装置10は予め重複幅Wdを大きく取って往復移動しているため、環境地図の部屋の形状と、実際の部屋の形状とが正確に一致しない場合でも、自律走行装置10の往復移動により掃除されてない領域が生じることを抑制できる。
また、制御ユニット80は前回の掃除完了幅Wcfに基づいて算出された基準距離Lwを用いて今回の制御目標距離Lgが算出される。前回の掃除完了幅Wcfが前回の制御目標距離Lgに基づいて算出されるため、今回の制御目標距離Lgには、前回のラインの制御目標距離Lgおよび掃除完了幅Wcfが反映されている。これにより、第3の方向Yにおける第1走行ルートRT1と第3走行ルートRT3との間の距離のばらつきに起因する誤差がライン数に応じて累積することを抑制できる。したがって、各走行ルートRT1、RT3の掃除領域CRが重複しやすくなり、自律走行装置10の往復移動により掃除されない領域が生じることを抑制できる。
(実施の形態2)
実施の形態2の自律走行装置10は基準壁に対する自律走行装置10の位置、および、基準壁と対向する対向壁に対する自律走行装置10の位置に基づいて重複幅Wdを増減させる点において、実施の形態1の自律走行装置10と相違する。その他の点において、実施の形態2の自律走行装置10は実施の形態1の自律走行装置10と実質的に同じ構成を備える。また説明の便宜上、実施の形態2における掃除対象領域となる部屋の第3の方向Yの大きさは実施の形態1における部屋の第3の方向Yの大きさよりも大きくしている。
実施の形態2の自律走行装置10は基準壁に対する自律走行装置10の位置、および、基準壁と対向する対向壁に対する自律走行装置10の位置に基づいて重複幅Wdを増減させる点において、実施の形態1の自律走行装置10と相違する。その他の点において、実施の形態2の自律走行装置10は実施の形態1の自律走行装置10と実質的に同じ構成を備える。また説明の便宜上、実施の形態2における掃除対象領域となる部屋の第3の方向Yの大きさは実施の形態1における部屋の第3の方向Yの大きさよりも大きくしている。
制御ユニット80は、基準壁と自律走行装置10との間の距離と、対向壁と自律走行装置10との間の距離とに基づいて重複幅Wdを変更する。制御ユニット80は自律走行装置10が基準壁よりも対向壁に近い領域において自律走行装置10が対向壁に近い場合の重複幅Wdを自律走行装置10が対向壁から遠い場合の重複幅Wdよりも小さくする減少処理を実行する。一例では、制御ユニット80は自律走行装置10が第3の方向Yにおいて対向壁に近づくにつれて重複幅Wdを小さくする。
制御ユニット80は減少処理において基準距離Lw、制御目標距離Lg、および、掃除完了幅Wcfのそれぞれを、対向壁に対する距離に置き換えて、(式1)、(式2)、(式5)、および、(式6)によって算出する。詳細には、制御ユニット80は対向壁に沿う走行ルートを1ライン目として(式1)を用いて基準距離Lwを算出する。そして制御ユニット80は(式1)から算出された基準距離Lwから(式5)を用いて制御目標距離Lgを算出し、(式6)を用いて掃除完了幅Wcfを算出する。2ライン目以降は(式2)を用いて基準距離Lwを算出する。そして制御ユニット80は(式2)から算出された基準距離Lwから(式5)を用いて制御目標距離Lgを算出し、(式6)を用いて掃除完了幅Wcfを算出する。
なお、制御ユニット80は減少処理において第1走行ルートRT1および第2走行ルートRT2の対向壁からの距離を、増加処理の算出結果を用いて算出してもよい。一例では、制御ユニット80は、増加処理の重複幅Wdの増加量と等しい減少量をラインごとに加えることにより制御目標距離Lgを設定する。
表4は、実施の形態1の表1に基づいて算出された基準距離Lw、測定誤差幅MEW、制御目標距離Lg、および、掃除完了幅Wcfの一例を示している。表4から分かるとおり、1ライン目〜7ライン目までの領域において増加処理が実行され、8ライン目〜13ライン目までの領域において減少処理が実行される。13ライン目が対向壁を基準としたときの1ライン目となり、12ライン目が対向壁を基準としたときの2ライン目となり、11ライン目が対向壁を基準としたときの3ライン目となる。10ライン目が対向壁を基準としたときの4ライン目となり、9ライン目が対向壁を基準としたときの5ライン目となり、8ライン目が対向壁を基準としたときの6ライン目となる。
表4から重複幅Wdは表5のようになる。表5から分かるとおり、2ライン目〜7ライン目の重複幅Wdは増加し、8ライン目〜12ライン目の重複幅Wdは減少している。なお、1ライン目は自律走行装置10が基準壁に沿い、13ライン目は自律走行装置10が対向壁に沿うため、重複幅Wdが存在しない。
図6および図7を参照して、掃除制御の実行時における自律走行装置10の動作について説明する。
制御ユニット80は環境地図に基づいて基準壁となる第1壁面W1と対向壁となる第3壁面W3との間の距離LRを取得できる。制御ユニット80は、第1壁面W1と距離測定センサ72の中心位置との間の距離L1が距離LRの1/2以下の領域を、自律走行装置10が第3壁面W3よりも第1壁面W1に近い第1領域R1として設定する。制御ユニット80は距離L1が距離LRの1/2よりも大きい領域を自律走行装置10が第1壁面W1よりも第3壁面W3に近い第2領域R2として設定する。そして制御ユニット80は増加処理によって第1壁面W1から離れるにつれて重複幅Wdが増加するように第1領域R1内の走行ルートを設定し、減少処理によって第3壁面W3に近づくにつれて重複幅Wdが減るように第2領域R2内の走行ルートを設定する。これにより、図6に示される走行ルートRTが設定される。
制御ユニット80は環境地図に基づいて基準壁となる第1壁面W1と対向壁となる第3壁面W3との間の距離LRを取得できる。制御ユニット80は、第1壁面W1と距離測定センサ72の中心位置との間の距離L1が距離LRの1/2以下の領域を、自律走行装置10が第3壁面W3よりも第1壁面W1に近い第1領域R1として設定する。制御ユニット80は距離L1が距離LRの1/2よりも大きい領域を自律走行装置10が第1壁面W1よりも第3壁面W3に近い第2領域R2として設定する。そして制御ユニット80は増加処理によって第1壁面W1から離れるにつれて重複幅Wdが増加するように第1領域R1内の走行ルートを設定し、減少処理によって第3壁面W3に近づくにつれて重複幅Wdが減るように第2領域R2内の走行ルートを設定する。これにより、図6に示される走行ルートRTが設定される。
自律走行装置10が1ライン目LN1〜7ライン目LN7の第1領域R1において往復移動するとき、距離測定センサ72は第3の方向Yにおける第1壁面W1と距離測定センサ72の中心位置との間の距離を測定する。制御ユニット80は距離測定センサ72の検出結果と第1壁面W1に対する目標距離である制御目標距離Lgとの差が0になるようにフィードバック制御を行う。自律走行装置10は第1領域R1において各走行ルートRT1、RT3に沿って往復移動するため、実施の形態1の自律走行装置10と同様に重複幅Wd(図6では図示略)がライン数の増加に応じて増加する。
自律走行装置10が8ライン目LN8〜13ライン目LN13の第2領域R2において往復移動するとき、距離測定センサ72は第3の方向Yにおける第3壁面W3と距離測定センサ72の中心位置との間の距離を測定する。制御ユニット80は距離測定センサ72の検出結果と第3壁面W3に対する目標距離である制御目標距離Lgとの差が0となるようにフィードバック制御を行う。自律走行装置10は第2領域R2において各走行ルートRT1、RT3に沿って往復移動するため、重複幅Wdがライン数の増加に応じて減少する。一例では、図7に示されるように、12ライン目LN12の重複幅Wd4は11ライン目LN11の重複幅Wd3よりも大きくなる。なお、12ライン目LN12の重複幅Wd4は12ライン目LN12の掃除領域CRと13ライン目LN13の掃除領域CRとの重複幅Wdである。11ライン目LN11の重複幅Wd3は11ライン目LN11の掃除領域CRと12ライン目LN12の掃除領域CRとの重複幅Wdである。
なお、制御ユニット80は自律走行装置10が各ラインの開始位置に位置したとき、距離測定センサ72により自律走行装置10の周囲の壁面を検出し、その検出結果に基づいて増加処理および減少処理を選択してもよい。一例では、距離測定センサ72は自律走行装置10が1ライン目LN1〜7ライン目LN7の第1領域R1に位置するとき、第1壁面W1を検出し、第3壁面W3を検出しない。このため、制御ユニット80は第1領域R1において増加処理を実行する。
自律走行装置10が7ライン目LN7の移動が終了し、第2走行ルートRT2として第3壁面W3に向けて移動したとき、距離測定センサ72は第1壁面W1および第3壁面W3を検出する。一例では、第2走行ルートRT2の途中で距離測定センサ72の中心位置と第3壁面W3との間の距離が距離測定センサ72の中心位置と第1壁面W1との間の距離よりも小さくなる。このため、自律走行装置10が第2走行ルートRT2に沿って移動する途中で増加処理から減少処理に切り替える。このため、減少処理に基づいて第2走行ルートRT2の移動距離MD1が変更される。したがって、制御ユニット80は8ライン目LN8〜13ライン目LN13の第2領域R2において減少処理を実行する。
また、部屋の大きさによっては、距離測定センサ72が第1壁面W1および第3壁面W3の両方を検出できない場合がある。この場合、制御ユニット80は距離測定センサ72が第3壁面W3を検出するラインに自律走行装置10が位置するまで増加処理を実行する。そして制御ユニット80は距離測定センサ72が第3壁面W3を検出したとき、増加処理に代えて減少処理を実行する。
実施の形態2の作用について説明する。
制御ユニット80は第1壁面W1および第3壁面W3のうちの距離測定センサ72の中心位置と近い側の壁面を基準にして基準となる壁面と距離測定センサ72の中心位置との間の距離を測定する。このため、第1壁面W1および第3壁面W3の一方のみを基準として距離測定センサ72の中心位置との間の距離を測定する場合に比べ、測定誤差MEが小さくなる領域が生じる。測定誤差MEが小さくなる領域では、重複幅Wdを小さくしても自律走行装置10の往復移動によって掃除されない領域が生じにくくなる。このため、重複幅Wdを小さくすることにより、部屋を効率的に掃除できる。
制御ユニット80は第1壁面W1および第3壁面W3のうちの距離測定センサ72の中心位置と近い側の壁面を基準にして基準となる壁面と距離測定センサ72の中心位置との間の距離を測定する。このため、第1壁面W1および第3壁面W3の一方のみを基準として距離測定センサ72の中心位置との間の距離を測定する場合に比べ、測定誤差MEが小さくなる領域が生じる。測定誤差MEが小さくなる領域では、重複幅Wdを小さくしても自律走行装置10の往復移動によって掃除されない領域が生じにくくなる。このため、重複幅Wdを小さくすることにより、部屋を効率的に掃除できる。
(変形例)
各実施の形態に関する説明は、本発明に従う自律走行装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う自律走行装置は、各実施の形態以外に例えば以下に示される各実施の形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合せられた形態を取り得る。
各実施の形態に関する説明は、本発明に従う自律走行装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う自律走行装置は、各実施の形態以外に例えば以下に示される各実施の形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合せられた形態を取り得る。
・各実施の形態において、制御ユニット80は、増加処理においてラインごとに一定の変更幅ΔWd分だけ重複幅Wdを大きくしてもよい。制御ユニット80は、以下の(式7)のように重複幅Wdを設定する。(式7)において、Nは2以上の自然数である。重複幅WdnはNライン目の重複幅Wdである。重複幅Wdn−1は(N−1)ライン目の重複幅Wdである。
重複幅Wdn=(N−1)×変更幅ΔWd+重複幅Wdn−1 …(式7)
重複幅Wdn=(N−1)×変更幅ΔWd+重複幅Wdn−1 …(式7)
・各実施の形態において、記憶部84には、ライン数と重複幅Wdとの関係を示すテーブルまたはマップが記憶されていてもよい。各実施の形態において、制御ユニット80は記憶部84のテーブルまたはマップに基づいて増加処理を実行してもよい。実施の形態2において、制御ユニット80は記憶部84のテーブルまたはマップに基づいて減少処理を実行してもよい。
・各実施の形態において、制御ユニット80は上記(式4)に代えて以下の(式8)に基づいて測定誤差幅MEWを算出してもよい。(式8)から分かるとおり、測定誤差幅MEWは正の測定誤差MEおよび負の測定誤差MEの一方の誤差幅のみを含む。
測定誤差幅MEW=基準距離Lw×誤差係数ε …(式8)
測定誤差幅MEW=基準距離Lw×誤差係数ε …(式8)
・各実施の形態において、制御ユニット80は増加処理において重複幅Wdが増加するラインの範囲および重複幅Wdが増加しないラインの範囲の両方を含んでもよい。重複幅Wdが増加しないラインの範囲は基準壁に近いラインの範囲であることが好ましい。一例では、制御ユニット80は2ライン目LN2の重複幅Wdと3ライン目LN3の重複幅Wdとが互いに等しい。
・実施の形態2において、制御ユニット80は減少処理において重複幅Wdの減少量を任意に変更可能である。例えば、減少処理の重複幅Wdの減少量は増加処理の重複幅Wdの増加量と異なってもよい。また、ラインごとに一定の変更幅ΔWd分だけ重複幅Wdを小さくしてもよい。制御ユニット80は以下の(式9)のように重複幅Wdを設定する。
重複幅Wdn=重複幅Wdn−1−(N−1)×変更幅ΔWd …(式9)
重複幅Wdn=重複幅Wdn−1−(N−1)×変更幅ΔWd …(式9)
・実施の形態2において、制御ユニット80は減少処理において重複幅Wdが減少するラインの範囲および重複幅Wdが減少しないラインの範囲の両方を含んでもよい。重複幅Wdが減少しないラインの範囲は対向壁に近いラインの範囲であることが好ましい。一例では、制御ユニット80は11ライン目LN11の重複幅Wdと12ライン目LN12の重複幅Wdとが互いに等しい。
・各実施の形態において、制御ユニット80は掃除制御の実行時に距離測定センサ72による基準壁または対向壁との間の距離の測定を実行しなくてもよい。すなわち制御ユニット80は距離測定センサ72の検出結果に基づくフィードバック制御を実行しなくてもよい。この場合、制御ユニット80は、環境地図に基づいて設定された走行ルートRTに沿うように自律走行装置10を移動させる。
・実施の形態2において、制御ユニット80は部屋の大きさに基づいて増加処理のみを行う場合と、増加処理および減少処理を併用する場合とを選択してもよい。制御ユニット80は環境地図における基準壁と対向壁との間の距離が閾値以上のとき、増加処理および減少処理を併用する。制御ユニット80は環境地図の部屋における基準壁と対向壁との間の距離が閾値未満のとき、増加処理のみを行う。この選択の判定基準は、基準壁と対向壁との間の距離に代えて自律走行装置10の往復移動のライン数としてもよい。制御ユニット80は、基準壁と対向壁との間の領域を掃除するために自律走行装置10の往復移動のライン数が基準値以上のとき、増加処理および減少処理を併用する。制御ユニット80は、上記ライン数が基準値未満のとき、増加処理のみを行う。また、制御ユニット80はユーザによる操作パネルまたはリモコンの操作に基づいて増加処理のみを行う場合と、増加処理および減少処理を併用する場合とを選択してもよい。
本発明は、家庭用または業務用の自律走行型掃除機をはじめとして、各種の環境において使用される自律走行型掃除機および自律走行型搬送装置等の自律走行装置に適用可能である。
10 :自律走行装置
40 :掃除ユニット
80 :制御ユニット
W1 :第1壁面(基準壁)
W3 :第3壁面(対向壁)
CR :掃除領域
Wd :重複幅
Wd1:重複幅
Wd2:重複幅
Wd3:重複幅
Wd4:重複幅
X1 :第1の方向
X2 :第2の方向
40 :掃除ユニット
80 :制御ユニット
W1 :第1壁面(基準壁)
W3 :第3壁面(対向壁)
CR :掃除領域
Wd :重複幅
Wd1:重複幅
Wd2:重複幅
Wd3:重複幅
Wd4:重複幅
X1 :第1の方向
X2 :第2の方向
Claims (5)
- 掃除ユニットと、前記掃除ユニットを制御する制御ユニットとを含む自律走行装置であって、
前記掃除ユニットは、前記自律走行装置の進行方向に交差する方向に延びる掃除領域に亘って掃除を行い、
前記制御ユニットは、
前記自律走行装置と前記自律走行装置の周囲の壁との距離に基づいて基準壁を決定し、前記基準壁に平行する第1の方向に前記自律走行装置を移動させ、前記基準壁に平行しかつ前記第1の方向とは反対方向の第2の方向に前記自律走行装置を移動させる往復移動を繰り返す掃除制御を実行し、
前記掃除制御の実行時において、前記自律走行装置の前記第1の方向の前記掃除領域と、前記自律走行装置の前記第2の方向の前記掃除領域とが一部重複するように前記自律走行装置を移動させ、
前記自律走行装置が前記基準壁から遠い場合の前記第1の方向の前記掃除領域と前記第2の方向の前記掃除領域との重複幅を、前記自律走行装置が前記基準壁に近い場合の前記重複幅よりも大きくする
自律走行装置。 - 前記制御ユニットは、前記掃除制御の実行時において前記自律走行装置が前記基準壁から離れるにつれて前記重複幅を大きくする
請求項1に記載の自律走行装置。 - 前記制御ユニットは、前記基準壁と前記自律走行装置との間の距離と、前記基準壁と対向する対向壁と前記自律走行装置との間の距離とに基づいて、前記重複幅を変更する
請求項1または2に記載の自律走行装置。 - 前記制御ユニットは、前記掃除制御の実行時において前記対向壁と前記自律走行装置との距離が前記自律走行装置と前記基準壁との距離よりも小さくなった場合、前記自律走行装置が前記対向壁に近い場合の前記重複幅を、前記自律走行装置が前記対向壁から遠い場合の前記重複幅よりも小さくする
請求項3に記載の自律走行装置。 - 前記制御ユニットは、前記掃除制御の実行時において前記自律走行装置が前記対向壁に近づくにつれて前記重複幅を小さくする
請求項4に記載の自律走行装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017035568A JP2018139795A (ja) | 2017-02-27 | 2017-02-27 | 自律走行装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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