JP2018139551A - 乳酸菌生育促進剤、その製造方法、及びそれを用いた乳酸の製造方法 - Google Patents

乳酸菌生育促進剤、その製造方法、及びそれを用いた乳酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、乳酸の製造において、飛粉を用いることで、飛粉の新たな用途を提供するだけでなく、その生産性をより良くするための乳酸菌生育促進剤、及びその製造方法を提供することを課題とする。また、当該乳酸菌生育促進剤を用いて、より効率の良い乳酸の製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】糖化酵素により糖化された飛粉を含む乳酸菌生育促進剤を乳酸菌育成培地に用いることで、乳酸の生産性が高まることを見出した。したがって、糖化酵素により糖化された飛粉を含む乳酸菌生育促進剤を提供する。【選択図】 図1

Description

本発明は、乳酸の製造に用いられる乳酸菌生育促進剤、その製造方法、及びそれを用いた乳酸の製造方法に関する。特に、飛粉を利用した乳酸の製造に用いられる乳酸菌生育促進剤、その製造方法、及びそれを用いた乳酸の製造方法に関する。
コンニャク芋は、サトイモ科の多年生の植物として知られている。そして、当該コンニャク芋からは、主に煮込み料理などに用いられるコンニャクの原材料となるコンニャク粉と、そのコンニャク粉の製造過程で副産物として生じる飛粉が製造される。飛粉については、その抽出物が動脈硬化の予防などに役立つことが開示されている(特許文献1)。しかし、飛粉の利用に対する研究・開発は十分になされておらず、その多くが産業廃棄物として廃棄されている。また、上記方法においても多くの産業廃棄物が産生される。
一方、乳酸は、醸造用、漬物などの食品・飲料添加物、医薬品や化粧品への添加物などの用途に加え、近年は分解可能で環境にやさしいプラスチックの製造などの工業用途としての利用が知られており、そのさらなる研究開発及び需要の増加が期待される物質の一つである。乳酸の製造には、化学合成法と発酵方法とが知られていた。そのうち、発酵法では、一般的には、グリセロールを含む培地中で乳酸を産生する乳酸菌を培養し、その培養液から乳酸を精製する方法が用いられるが、乳酸菌の生育を促進するためにカルシウム塩などの栄養素が添加されることが知られていた(特許文献2)。
特開2006−089440号公報 特開平07−099968号公報
本発明は、乳酸の製造において、飛粉を用いることで、飛粉の新たな用途を提供するだけでなく、その生産性をより良くするための乳酸菌生育促進剤、及びその製造方法を提供することを課題とする。また、当該乳酸菌生育促進剤を用いて、より効率の良い乳酸の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、糖化酵素により糖化された飛粉を含む乳酸菌生育促進剤を乳酸菌育成培地に用いることで、乳酸の生産性が高まることを見出した。したがって、本発明の第1の局面は、
(1)糖化酵素により糖化された飛粉を含む、乳酸菌生育促進剤、である。
本発明の好適な態様は、
(2)上記糖化酵素がアミラーゼである、上記(1)に記載の乳酸菌生育促進剤、である。
本発明の好適な態様は、
(3)上記飛粉は、タンパク質分解酵素により処理された飛粉である、上記(1)又は(2)に記載の乳酸菌生育促進剤、である。
本発明の好適な態様は、
(4)上記タンパク質分解酵素がプロテアーゼである、上記(3)に記載の乳酸菌生育促進剤、である。
本発明の好適な態様は、
(5)乳酸菌を増殖させるための培地に0.5体積%〜7.0体積%の添加量で添加される、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の乳酸菌生育促進剤、である。
本発明の好適な態様は、
(6)上記添加量が1.0体積%〜5.0体積%である、上記(5)に記載の乳酸菌生育促進剤、である。
また、本発明者らは、飛粉を糖化酵素により糖化する工程を含む方法により得られた乳酸菌生育促進剤を乳酸菌育成培地に用いることで、乳酸の生産性が高まることを見出した。したがって、本発明の他の局面は、
(7)飛粉を糖化酵素により糖化する工程を含む、乳酸菌生育促進剤の製造方法、である。
本発明の好適な態様は、
(8)上記糖化酵素はアミラーゼである、上記(7)に記載の乳酸菌生育促進剤の製造方法、である。
本発明の好適な態様は、
(9)上記飛粉をタンパク質分解酵素により処理する工程を含む、上記(7)又は(8)に記載の乳酸菌生育促進剤の製造方法、である。
本発明の好適な態様は、
(10)上記タンパク質分解酵素はプロテアーゼである、上記(9)に記載の乳酸菌生育促進剤の製造方法、である。
さらに、本発明者らは、糖化酵素により糖化された飛粉を含む乳酸菌生育促進剤を、乳酸菌を増殖させるための培地に添加することで、より効率よく乳酸を製造できることを見出した。したがって、本発明の他の局面は、
(11)糖化酵素により糖化された飛粉を含む乳酸菌生育促進剤を乳酸菌を増殖させるための培地に添加する工程を含む、乳酸の製造方法、である。
本発明の好適な態様は、
(12)上記糖化酵素はアミラーゼである、上記(11)に記載の乳酸の製造方法、である。
本発明の好適な態様は、
(13)上記飛粉は、タンパク質分解酵素により処理された飛粉である、上記(11)又は(12)に記載の乳酸の製造方法、である。
本発明の好適な態様は、
(14)上記タンパク質分解酵素はプロテアーゼである、上記(13)に記載の乳酸の製造方法、である。
本発明の好適な態様は、
(15)上記乳酸菌生育促進剤が0.5体積%〜7.0体積%の添加量で添加される、上記(11)〜(14)のいずれかに記載の乳酸の製造方法、である。
本発明の好適な態様は、
(16)上記添加量が1.0体積%〜5.0体積%の量である、上記(15)に記載の乳酸の製造方法、である。
本発明は、乳酸の製造において、飛粉を用いることで、飛粉の新たな用途を提供するだけでなく、生産性をより良くするための乳酸菌生育促進剤、及びその製造方法を提供することができる。また、本発明は、当該乳酸菌生育促進剤を用いて、より効率の良い乳酸の製造方法を提供することができる。
図1は、添加した物質ごとに製造された乳酸の量の定量結果を示す図である。
以下で本発明の乳酸菌生育促進剤、その製造方法、及びそれを用いた乳酸の製造方法を実施する形態を詳細に説明する。ただし、以下の実施形態は、本発明を説明するための一例であり、本発明が当該実施形態のみに限定されるものではない。
1.乳酸菌生育促進剤の原材料等
「乳酸菌生育促進剤」は、乳酸菌の培養をする際に、その生育又は増殖を促進するために、典型的には乳酸菌を増殖させるための培地に添加される添加剤の一つである。本実施形態においては、乳酸菌生育促進剤は、糖化酵素により糖化された飛粉、すなわち飛粉糖化液を含む。
ここで、コンニャクは、一般的には、コンニャク粉、特には精粉を所定の温度に加温した水中に添加してゲル状になるまで撹拌し、その後、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ剤を添加して撹拌し、それを型に流し込んで固めた後に熱湯で煮沸して得られる。「飛粉」とは、このようなコンニャクの原材料として用いられる精粉、微粉、又は中粉等のコンニャク粉の製造過程において、副産物として生産されるものである。コンニャク粉はグルコマンナンを主成分とする一方で、当該飛粉は、コンニャク粉に比べて、グルコマンナンの含有量が相対的に少なく、デンプン等の糖質、セルロース、タンパク質、脂質及び/又は灰分等を多量に含む。
一例としては、飛粉中には、50〜70%の糖質、10〜30%のタンパク質、0.7〜7%の脂質、及び6〜10%の灰分が含まれる。
コンニャク粉の製造は、一般的には、採取したコンニャク芋を洗浄及びスライスし、温熱乾燥により乾燥させることで、コンニャク芋のスライス乾燥品を得る。その後、公知の粉砕方法により所望の大きさとなるようにスライス乾燥品を複数回に分けて徐々に粉砕する。その各粉砕工程において、比重により分離し、比重の重い方はその後篩にかけ、その粒径に応じて精粉、微粉、及び中粉のコンニャク粉として回収される。飛粉は、比重による分離の際に、比重の軽い粉として分離・回収することによって得られる。
なお、スライス乾燥品の粉砕には、タービンミキサー粉砕法、ターボミル粉砕法、ローラーミル研磨粉砕法など、公知の方法であればいずれを用いても良いが、好適には、タービンミキサーによる粗粉砕、次いでタービンミキサーにより微粉砕、次いでターボミル粉砕、最後にローラーミル研磨による粉砕の順で、徐々に粒径が細かくなるように粉砕することが好ましい。
また、飛粉の分離及び回収には、得られた粉体の落下速度の違いを利用する重力場分離、得られた粉体の慣性力の違いを利用する慣性力場分離、又は得られた粉体に遠心力をかけて分離する遠心力場分離などを利用することができる。そして、好適には遠心力場分離が用いられ、その中でも特にサイクロンセパレータを用いるのが好ましい。
2.乳酸菌生育促進剤の製造
本実施形態においては、乳酸菌生育促進剤の製造には、一例としては上記方法により得られた飛粉を用いる。以下、飛粉を用いた本実施形態に係る乳酸菌生育促進剤、特には飛粉糖化液を含む乳酸菌生育促進剤の製造方法を説明するが、当該方法は一例であって、本発明に係る乳酸菌生育促進剤を他の製造方法によって製造することも可能である。
(1)液化工程
まず、本実施形態に係る乳酸菌生育促進剤を製造するにあたり、飛粉を純水に混合しpHを調整して得られた溶液中に所定量の液化酵素が添加される。その後、得られた溶液を所定の温度まで加温し、当該温度で所定の時間、液化反応させる。次いで、液化反応後の溶液をオートクレーブで所定時間(例えば、15分間)、加熱処理(例えば、120℃)を行い、液化酵素を失活させて、液化液を得る。
なお、添加される液化酵素としては、所定の力価を有するものであればいずれでもよく、好ましくはα−アミラーゼ(EC3.2.1.1)を用いることができる。このような液化酵素としては市販のものでも良く、好ましくは、耐熱性が高い酵素、例えば、商品名「クライスターゼSD8」、商品名「クライスターゼT10S」(以上、天野エンザイム社製)、商品名「ターマミルSC」(ノボザイムズジャパン社製)、商品名「スピターゼHK」(長瀬産業社製)が挙げられる。
また、液化酵素の添加量は、酵素力価をJIS K7001−1990により測定した液化力単位(LJU)を1unitとした場合に、原料(飛粉)1gに対して1unit〜150units、好ましくは10units〜100units、より好ましくは20units〜70unitsである。1unit以上であれば、液化反応は十分に進み、150units以下であれば経済的である。
液化酵素の反応温度及び反応時間は、添加する液化酵素の種類によっても異なる。しかし、一例として、65℃〜120℃の反応温度、好ましくは80℃〜110℃の反応温度であって、0.01時間〜24時間の反応時間、好ましくは0.1時間〜12時間の反応時間、より好ましくは0.1時間〜2時間の反応時間とすることが挙げられる。
また、液化反応には、沸騰湯浴であったり、ジェットクッカーなどの連続式液化装置を利用することが可能である。
(2)糖化工程
まず、糖化工程では、上記液化工程によって得られた液化液に、所定量のタンパク質分解酵素及び糖化酵素が添加される。その後、得られた溶液を所定の温度まで加温し、その温度で所定時間、タンパク質分解反応及び糖化反応させる。次いで、タンパク質分解反応及び糖化反応後の溶液をガスや電気または蒸気を使用した加熱装置付の反応槽で所定時間(例えば、30分間)、加熱処理(例えば、70℃)を行い、タンパク質分解酵素及び糖化酵素を失活させて、糖化液を得る。
なお、添加されるタンパク質分解酵素の一例としては、EC番号が3.4群のものであれば良く、好ましくはエンド型プロテアーゼ、より好ましくは酸性プロテアーゼまたは中性プロテアーゼを用いることができる。このようなタンパク質分解酵素としては市販のものでも良く、好ましくは、商品名「プロテアックス」、商品名「ニューラーゼF3G」、商品名「パパインW−40」、商品名「プロメラインF」、商品名「パンクレアチンF」、商品名「プロテアーゼA「アマノ」SD」、商品名「プロテアーゼM「アマノ」SD」、商品名「プロテアーゼP「アマノ」3SD」、商品名「ペプチダーゼR」、商品名「サモアーゼPC10F」(EC3.4.24.27)、商品名「プロチンSD-NY10」(EC3.4.24.28)(以上、天野エンザイム社製)、商品名「食品用精製パパイン」、商品名「デナチームAP」、商品名「デナプシン2P」(以上、長瀬産業社製)、商品名「スミチームAP」、商品名「スミチームLP」、商品名「スミチームLPL」、商品名「スミチームFP」、商品名「スミチームLP50D」(EC3.4.11.1、EC3.4.21.63、及びEC3.4.23.18の混合)(以上、新日本化学工業社製)が挙げられる。
上記タンパク質分解酵素の添加量は、酵素力価をpH6.0で30℃、1分間、カゼインに添加して反応させた結果チロシン1μg相当のフォリン試液呈色物質の増加をもたらす酵素量を1unitとした場合に、原料1gに対して10units〜2000units、好ましくは10units〜1000units、より好ましくは30units〜500unitsである。2000units以下であれば、不快な風味を抑制でき、10units以上であれば十分にタンパク質分解反応が進む。
また、添加される糖化酵素の一例としては、グルコアミラーゼ(EC3.2.1.3)を用いることができる。このような糖化酵素としては市販のものでもよく、好ましくは商品名「グルコチーム#20000」、「OPTIMAX4060VHP」(以上、長瀬産業社製)、商品名「グルクザイムPL45」、「ダイザイムGPS」(以上、天野エンザイム社製)、商品名「スミチームAD」(新日本化学工業社製)が挙げられる。
上記糖化酵素の添加量は、酵素力価をpH4.5で40℃、30分間、アミロースに添加して反応させた結果グルコースを1mg生産する酵素量を1unitとした場合に、原料1gに対して3units〜300units、好ましくは15units〜150units、より好ましくは30units〜150unitsである。300units以下であれば不快な風味を抑制でき、3units以上であれば十分に糖化反応が進む。
タンパク質分解酵素及び糖化酵素の反応温度及び反応時間は、添加するタンパク質分解酵素及び糖化酵素の種類によっても異なる。しかし、一例として、30℃〜65℃の反応温度、好ましくは40℃〜65℃の反応温度、より好ましくは45℃〜65℃の反応温度であって、1時間〜48時間の反応時間、好ましくは6時間〜36時間の反応時間、より好ましくは12時間〜24時間の反応時間とすることが挙げられる。
上記糖化反応においては、得られる糖化液の糖組成に応じて、β−アミラーゼ等の糖化酵素や、液化により生じるデキストリン類のα−1,6結合を切断するためのいわゆる枝切酵素などを適宜添加しても良い。
また、上記糖化反応においては、糖化酵素と一緒にタンパク質分解酵素も一緒に添加したが、当然に糖化酵素のみを添加して糖化反応をすることも可能である。なお、糖化反応の結果得られる糖化液の取り扱いのしやすさ(タンパク質分解酵素を添加しない場合には糖化液の流動性が低い)、乳酸の生産性の観点から、タンパク質分解酵素も一緒に添加する方が好ましい。
(3)濃縮工程
まず、濃縮工程では、上記糖化工程によって得られた糖化液に対して珪藻土や活性炭を助剤とする濾過を行い、更にフィルター上を通液することで不溶部を取り除いた液部を得る。その後、得られた液部を所望のBrixとなるようにエバポレータなどを用いて濃縮して、乳酸菌生育促進剤として利用可能な飛粉糖化液を得る。
以上のとおり得られた飛粉糖化液は、取扱いの容易さ等を考慮して、Brixとして30%〜80%、より好ましくは35%〜80%、より好ましくは40%〜75%に調製することが望ましい。
また、当該飛粉糖化液中には、成分として、単糖類、二糖類、三糖類、四糖類以上等の糖類、アミノ酸、灰分、ポリフェノール、水分等が含まれる。特に、当該成分の各組成は、30質量%〜90質量%、好ましくは30質量%〜80質量%の糖類、0.3質量%〜10.0質量%、好ましくは0.3質量%〜5.0質量%のアミノ酸、0.5質量%〜12質量%、好ましくは0.5質量%〜10質量%の灰分であることが望ましい。このような組成を有していれば、当該飛粉糖化液を乳酸菌生育促進剤として添加することによって、乳酸菌の増殖を促進し乳酸の生産性を高めることが可能となり、より効率の良い乳酸の製造方法を提供することができる。
なお、本実施形態においては、一例として上記製造方法により得られた糖化液を乳酸菌生育促進剤とするが、糖化酵素により糖化された飛粉、つまりは飛粉糖化液を主成分として含むものであればいずれでもよい。すなわち、飛粉糖化液以外の他の成分、例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色料、pH調整剤、緩衝剤、安定化剤、矯味剤等を含んでも良い。
また、上記製造方法により得られた乳酸菌生育促進剤は、液状の形態を有するが、上記促進剤の用途等に応じて、公知の方法によって、固形状、顆粒状、粉末状などの形態で用いることも可能である。
また、以下の実施形態においては、乳酸菌生育促進剤が、乳酸菌を培養させるための培地に添加する添加剤として使用される例を記載するが、当該用途に限らず、食品や飲料、医薬品や化粧品、農薬等の添加剤として利用することも可能である。
3.乳酸菌の培養及び乳酸の製造
本実施形態においては、糖化酵素により糖化された飛粉、つまりは飛粉糖化液を含む乳酸菌生育促進剤を培地に添加して、当該培地にて乳酸菌を培養することにより乳酸を製造する。以下、本実施形態に係る飛粉糖化液を含む乳酸菌生育促進剤を添加した乳酸の製造方法等を説明するが、以下に記載する方法等は一例であって、本実施形態に係る乳酸菌生育促進剤を添加するものであれば、他の方法によって乳酸菌を培養して乳酸を製造することも可能である。
(1)乳酸菌
乳酸の製造のために飛粉糖化液を含む乳酸菌生育促進剤が添加された培地で培養される乳酸菌としては、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・クレモリス(Lactobacillus cremoris)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・ユーグルティ(Lactobacillus yoghurti)、ラクトバチルス・デルブルッキィー サブスピーシーズ.ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、ラクトバチルス・デルブルッキィー サブスピーシーズ.デルブルッキィー(Lactobacillus delbrueckii subsp. delbrueckii)、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)等のラクトバチルス属細菌、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)等のストレプトコッカス属細菌、ラクトコッカス・ラクチス亜種ラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis)、ラクトコッカス・ラクチス亜種クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)、ラクトコッカス・プランタラム(Lactococcus plantarum)、ラクトコッカス・ラフィノラクチス(Lactococcus raffinolactis)等のラクトコッカス属細菌、及びエンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)等のエンテロコッカス属細菌からなる群より選ばれた1種又はその組合せを挙げることが可能である。これらの中でも、用いる乳酸菌としては、好ましくはラクトバチルス属細菌及びラクトコッカス属細菌からなる群より選ばれた1種又はその組み合わせ、より好ましくはラクトコッカス属細菌より選ばれた1種又はその組み合わせ、更に好ましくはラクトコッカス・ラクチス亜種ラクチスのNBRC12007株(製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンターが発行するカタログ「NBRC Cultureカタログ」に保存番号NBRC12007として掲載)が好ましい。
(2)乳酸菌の培養
乳酸菌の培養は、乳酸菌生育促進剤を添加した培地に、所定の培地で前培養した乳酸菌を接種して、培養することにより行われる。
前培養には、液体培地、半流動培地、又は固形培地など、所望に応じていずれの培地を用いることができるが、好ましくは液体培地を用いる。この場合、前培養のための培地には、培地に添加される窒素源、生育促進物質として添加されるエキス類、生育を補助する目的で添加される炭素源、pHを乳酸菌の生育に至適な範囲に調整するためのバッファー、水、核酸や無機塩等が含まれる。
前培養される培養期間としては1時間〜72時間、好ましくは6時間〜48時間、より好ましくは18時間〜30時間が、また培養温度としては30℃〜40℃が例示されるが、これらの範囲で用いる菌株に応じて適宜調整することが可能である。また、培養条件としては、静置、通気、撹拌、振盪等から用いる菌株に応じて適宜選択することが可能である。
なお、本実施形態においては、乳酸菌の前培養のための培地と、乳酸製造用の本培養のための基本培地には、同一組成の培地を用いることが可能である。したがって、前培養培地の具体的な組成及びその添加量については、本培養培地において説明する。
乳酸菌生育促進剤を添加した培地、すなわち本培養のための培地には、液体培地、半流動培地、又は固形培地など、所望に応じていずれの培地を用いることができるが、好ましくは液体培地を用いる。本培養のための培地には、乳酸菌生育促進剤に加えて、培地に添加される窒素源、生育促進物質として添加されるエキス類、生育を補助する目的で添加される炭素源、pHを乳酸菌の生育に至適な範囲に調整するためのバッファー、水、核酸や無機塩等が含まれる。
上記培地において添加される本実施形態に係る乳酸菌生育促進剤は、乳酸菌を増殖させるための培地に0.5体積%〜7.0体積%の範囲で、好ましくは1.0体積%〜5.0体積%の範囲で添加させる。0.5体積%〜7.0体積%の範囲であれば乳酸菌の増殖効率が向上し乳酸の生産性を十分に高めることができる。なお、タンパク質分解酵素の添加をせず糖化酵素のみで乳酸菌生育促進剤を製造した場合には、1.0体積%〜5.0体積%の範囲で乳酸菌生育促進剤を添加させるのが特に望ましい。
上記培地において添加される他の成分は、一例としては、0.1質量%〜50質量%の窒素源やエキス類及び20質量%未満の炭水化物からなる。より好ましくは、2質量%〜30質量%の窒素源やエキス類及び0.1質量%〜3質量%の炭水化物からなる。特に好ましくは、2質量%〜15質量%の窒素源やエキス類及び0.5質量%〜2質量%の炭水化物からなる。
上記培地に利用可能な窒素源やエキス類としても、牛肉や魚肉などの肉抽出液を濃縮した肉エキスや、ポテトエキスに代表される植物エキス、トルラ酵母、パン酵母、ビール酵母に代表される酵母エキス等が挙げられるが、好ましくは、トルラ酵母、パン酵母、ビール酵母に代表される酵母エキスである。また、利用可能な炭水化物としては、グルコース、フラクトース、シュークロース、マルトース、ラクトース、オリゴ糖、澱粉等が挙げられるが、これらに限定されない。
乳酸菌が本培養される培養期間としては1日間〜10日間、好ましくは1.5日〜5日間、より好ましくは2日間〜4日間が、また培養温度としては30℃〜40℃が例示されるが、これらの範囲で用いる菌株に応じて適宜調整することが可能である。また、培養条件としては、静置、通気、撹拌、振盪等から用いる菌株に応じて適宜選択することが可能である。
(3)乳酸の回収
乳酸菌生育促進剤を所定の添加量で添加した培地に乳酸菌を接種して得られた培養液中には乳酸菌によって乳酸が生成されている。したがって、好ましくは、本実施形態に係る乳酸の製造には、当該培養液から乳酸を所望の方法によって回収する工程を含む。一例としては、濾過、遠心分離、フィルタープレス等の公知の方法を用いて培養液から乳酸菌及び固形分を除去し、その残りの部分を公知の方法によって濃縮・精製することによって回収される。
4.各種測定
(1)Brixの測定
Brixとは、可溶性固形分濃度(%)のことであり、可溶性固形分が溶解した水溶液の20℃における屈折率を測定し、ICUMSA(International Commission for Uniform Methods of Sugar Analysis)提供の換算表に基づいて、純ショ糖溶液の質量/質量パーセントに換算した値のことである。本実施形態においては、乳酸菌生育促進剤として飛粉糖化液を濃縮するときの濃度を調整するために測定される。Brixは、ガラスビーカーに当該飛粉糖化液が投入されて所定時間経過後の溶液を用いて、既に知られている公知の測定法を適宜用いて測定することができ、一般的には市販の糖度計(例えば、デジタル屈折計 商品名「RX−5000α」(アタゴ社製))を用いて測定することができる。
(2)飛粉糖化液の組成の測定
本実施形態において、得られた飛粉糖化液に含まれる各成分の分析は、以下の各方法により測定可能である。
[固形分]
固形分量は、公知の測定法を適宜用いて測定することができ、例えば、7訂日本食品標準成分分析マニュアル(文部科学省発行)の常圧加熱乾燥法(乾燥助剤添加法)に準じて測定することができる。
[灰分]
灰分量は、公知の測定法を適宜用いて測定することができ、例えば、7訂日本食品標準成分分析マニュアル(文部科学省発行)の直接灰化法により測定することができる。
[アミノ酸]
アミノ酸量は、公知の測定法を適宜用いて測定することができ、例えば、第四回改正国税庁所定分析法注解(注解編集委員会編、日本醸造協会発行)の23頁の記載に準じたホルモール滴定法によりアミノ酸度を測定し、この測定されたアミノ酸度に定数をかけてグリシン相当量として算出することができる。
[糖類]
本実施形態において、得られた飛粉糖化液に含まれる糖類の組成は、公知の測定法を適宜用いて測定することができ、例えば、当該飛粉糖化液を純水で所定のBrixに希釈し、所定の細孔サイズのフィルターに通液させたのち、高速液体クロマトグラフィー(HPLC:例えば、商品名「Alliance(登録商標)HPLCシステム」(日本ウォーターズ社製))によって測定することができる。
また、各糖類の質量は、まず全体の固形分量から、7訂日本食品標準成分分析マニュアル(文部科学省発行)のマクロ改良ケルダール法により測定されるタンパク質量、ソックスレー抽出法により測定される脂質量、及び上記のとおり測定される灰分量を差し引いたものを全糖類量として算出する。次に、当該全糖類量に、上記のとおり測定される糖組成に基づいて、各糖類の割合を乗じることで、各糖質の質量が算出される。全成分(固形分換算後の全量)に対する各糖類(固形分換算後)の割合は、当該各糖類の質量を全固形分量で除すことで、質量%として算出される。
(3)乳酸の定量
本実施形態において、最終的に得られた乳酸培養液中に含まれる乳酸の定量は、乳酸の回収工程において乳酸菌及び固形分が除去された後の上清部分のみを分離して、HPLC(例えば、商品名「クロマスター5000シリーズ」(日立ハイテクノロジーズ社製))にかけ、標品とのピーク面積の比較により定量する。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
I.乳酸菌生育促進剤の製造及び乳酸の製造等
[実施例1]
1.乳酸菌生育促進剤の原材料(飛粉)の製造
飛粉の製造には、コンニャク芋を洗浄しスライスした後、温熱乾燥機で温熱乾燥をし、得られたコンニャク芋のスライス乾燥品を、タービンミキサーによる粗粉砕、タービンミキサーによる微粉砕、ターボミルによる粉砕、及びローラーミルによる研磨に順次かけ、徐々に粉状になるようにした。得られた粉状体はコンニャク粉として回収したが、上記粉砕・研磨の各工程で得られた粉砕物を、サイクロンセパレータにかけ、比重に基づいて、比重の軽い粉を「飛粉」として回収し、乳酸菌生育促進剤の原材料とした。
2.乳酸菌生育促進剤の製造
上記にて得られた飛粉250gに対して1:6(質量比)の割合で純水を混合し、水酸化カルシウムを加えて20℃でpH6.3に調整した。その後、液化酵素として、13,100units/g(測定法はJIS K7001−1990による)の力価を有する商品名「クライスターゼT10S」(天野エンザイム社製)を飛粉1gに対して39units添加した。その後、沸騰湯浴中に添加後の反応液を入れて90℃になるまで加温し、温度を保持しつつ1時間液化酵素を反応させた。次いで、オートクレーブを用いて121℃で15分間の加熱処理を行い、用いた液化酵素を失活させ、液化液を得た。
次に、得られた液化液を恒温槽中で60℃まで冷却し、タンパク質分解酵素として酵素力価をpH6.0で30℃、1分間、カゼインに添加して反応させた結果チロシン1μg相当のフォリン試液呈色物質の増加をもたらす酵素量を1unitとした場合に、90,000units/gの比活性を有する商品名「スミチームLP50D」(新日本化学工業社製)を、飛粉1gに対して180units添加し、また糖化酵素として酵素力価をpH4.5で40℃、30分間、アミロースに添加して反応させた結果グルコースを1mg生産する酵素量を1unitとした場合に、32,000units/gの比活性を有する商品名「ダイザイムGPS」(天野エンザイム社製)を、飛粉1gに対して96units添加した。その後、恒温槽中で、60℃で18時間の酵素反応を行った。次いで、得られた反応液を70℃まで加温して各酵素を失活させ、糖化液を得た。
次に、得られた糖化液を、珪藻土(商品名「ラヂオライト#500S」(昭和化学工業社製))で被覆した濾紙(商品名「定性濾紙No.2」(東洋濾紙社製))を張ったヌッチェに吸引しながら上記糖化液を通液させた。得られた濾過液を細孔サイズ5.0μmのメンブレンフィルターで再度濾過した。得られた濾過液をエバポレータによってBrixが65.3%になるまで濃縮し液状の飛粉糖化液を得た。得られた飛粉糖化液を乳酸菌生育促進剤として以下の実験において利用した。
なお、得られた飛粉糖化液、すなわち乳酸菌生育促進剤の固形分の質量は、試料採取量1gから、加熱乾燥条件を105℃、16時間とし、7訂日本食品標準成分分析マニュアル(文部科学省発行)の常圧加熱乾燥法(乾燥助剤添加法)により測定した。灰分の質量は、試料採取量1gから、加熱乾燥条件を550℃、16時間とし、7訂日本食品標準成分分析マニュアル(文部科学省発行)の直接灰化法により測定した。アミノ酸量は、飛粉糖化液のBrixを10%に調整し、第四回改正国税庁所定分析法注解(注解編集委員会編、日本醸造協会発行)の23頁の記載に準じたホルモール滴定法によりアミノ酸度を測定し、このアミノ酸度に定数をかけてグリシン相当量として算出し、調整前のBrixに換算して算出した。糖類の組成は、商品名「Alliance(登録商標)HPLCシステム」(日本ウォーターズ社製)を用いて分析した。
(測定条件)
カラム:商品名「ULTRON PS−80N」(島津ジーエルシー社製)
溶媒:純水
温度:60℃
流速:0.6mL/min
検出:RI(示差屈折率)
また、試料採取量1gから商品名「ケルテック2300」(フォス・ジャパン社製)を使用して改良マクロ改良ケルダール法によりタンパク質量を、試料採取量10gから商品名「ソックステック2055」(フォス・ジャパン社製)を使用してソックスレー抽出法により脂質量を各々測定し、固形分量から灰分量、タンパク質量、脂質量を減じて炭水化物量を算出し、当該炭水化物量を上記HPLC分析により得た各糖の組成割合で乗じ、各糖の質量を算出した。
得られた飛粉糖化液、すなわち乳酸菌生育促進剤の組成は表1に示すとおりであった。なお、各成分の数値は、全成分(固形分換算後の全量)に対する各成分(固形分換算後)の質量%として表わした。
Figure 2018139551
3.乳酸菌の培養及び乳酸の製造
(1)乳酸菌の前培養
乳酸菌の前培養のために、0.5質量%の酵母エキス、0.025質量%のKHPO、0.025質量%のKHPO、0.002質量%のMgSO・7HO、0.002質量%のFeSO・7HO、及び0.002質量%のNaClを含む液体培地を基本培地として20mL準備し、これを100mL容三角フラスコに分注して滅菌した。当該処理がなされた培地に、乳酸菌としてラクトコッカス・ラクチス亜種ラクチスのNBRC12007株を接種し、その後0.05gのCaCOを添加して、37℃で1日間、220rpmの速度で振盪培養した。
(2)乳酸菌の本培養
上記前培養と同一組成の基本培地に別滅菌したグルコース液を40質量%添加して得られた培地を20mL準備し、これを100mL容三角フラスコに分注した。さらに、分注された培地中に、乳酸菌促進剤として、得られた飛粉糖化液を1.0体積%となるように添加し、添加後の培養液を滅菌した。その後、前培養により得られた培養液から3質量%接種して、37℃で3日間、220rpmの速度で振盪培養した。
(3)乳酸の回収
その後、本培養で得られた培養液を蒸留水で10倍に希釈し、3,000×g又は8,000×gで5分間遠心分離をして、乳酸菌などの固形分と上清とに分離し、上清部分を実施例1に係る乳酸含有物として回収した。
[実施例2]
上記実施例1の「3.乳酸菌の培養及び乳酸の製造」の「(2)乳酸菌の本培養」の工程で添加した飛粉糖化液の添加量を2.0体積%とした以外は、全て同様の方法によって実施例2に係る乳酸含有物を得た。
[実施例3]
上記実施例1の「3.乳酸菌の培養及び乳酸の製造」の「(2)乳酸菌の本培養」の工程で添加した飛粉糖化液の添加量を5.0体積%とした以外は、全て同様の方法によって実施例3に係る乳酸含有物を得た。
[実施例4]
上記実施例1の「3.乳酸菌の培養及び乳酸の製造」の「(2)乳酸菌の本培養」の工程で添加した飛粉糖化液の添加量を6.5体積%とした以外は、全て同様の方法によって実施例4に係る乳酸含有物を得た。
[実施例5]
上記実施例1の「2.乳酸菌生育促進剤の製造」ではタンパク質分解酵素(商品名「スミチームLP50D」(新日本化学工業社製))を添加したが、実施例5ではタンパク質分解酵素の添加を行うことなく糖化酵素のみによる酵素反応を行った。また、実施例1では「3.乳酸菌の培養及び乳酸の製造」の「(2)乳酸菌の本培養」の工程で1.0体積%の乳酸菌生育促進剤(飛粉糖化液)を添加したが、実施例5においては5.0体積%の乳酸菌生育促進剤(飛粉糖化液)を添加した。これらの点以外は、全て実施例1の方法と同様の方法によって実施例5に係る乳酸含有物を得た。
[比較例1]
上記実施例1の「3.乳酸菌の培養及び乳酸の製造」の「(2)乳酸菌の本培養」の工程で添加した飛粉糖化液の添加量を0.0体積%とした、すなわち全く添加しなかった以外は、全て同様の方法によって比較例1に係る乳酸含有物を得た。
[比較例2]
上記実施例1の「3.乳酸菌の培養及び乳酸の製造」の「(2)乳酸菌の本培養」の工程で添加した飛粉糖化液の添加量を8.0体積%とした以外は、全て同様の方法によって比較例2に係る乳酸含有物を得た。
II.得られた乳酸の定量
実施例1〜5、並びに比較例1及び2において得られた各乳酸の定量は、商品名「クロマスター5000シリーズ」(日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて分析した。
(測定条件)
カラム:商品名「Aminex HPX−87H」(バイオ・ラッド社製)
溶媒:4mMの硫酸
流速:0.75mL/min
検出:RI(示差屈折率)
具体的には、上記測定によって得られた曲線と、標品を同様の手順に従って測定して得られた曲線とのピーク面積の比較によって、上記(1)〜(3)によって得られた乳酸を定量した。表2に、各実施例及び比較例ついて、乳酸菌生育促進剤の製造時におけるタンパク質分解酵素の添加の有無、飛粉糖化液を含む乳酸菌生育促進剤の添加量、及び製造された乳酸の量の定量結果を示した。
Figure 2018139551
表2によれば、飛粉糖化液を含む乳酸菌生育促進剤を1.0体積%、2.0体積%、5.0体積%、又は6.0体積%でそれぞれ添加した培地を用いた実施例1〜4は、上記乳酸菌生育促進剤が全く添加されなかった培地を用いた比較例1に比べて、明らかに多量の乳酸を製造し得ることが確認された。また、実施例1〜4とは異なり、乳酸菌生育促進剤の製造時にスミチームLP50D(タンパク質分解酵素)を添加することなく糖化酵素のみを添加して製造された乳酸菌生育促進剤を用いた実施例5においても、実施例1〜4と同様に、比較例1に比べて明らかに多量の乳酸を製造し得ることが確認された。一方、上記乳酸菌生育促進剤が実施例1〜4に対して多量(8.0体積%)に添加された比較例2においては、実施例1〜4に比べて明らかに少ない乳酸しか製造されておらず、上記乳酸菌生育促進剤の添加が乳酸の製造において阻害的に働くことが確認された。
すなわち、実施例1〜5、並びに比較例1及び2から、0.5体積%〜7.0体積%の範囲で飛粉糖化液を含む乳酸菌生育促進剤を乳酸菌の増殖に用いる培地に添加することで、乳酸菌による乳酸の生産性が高まること、換言すれば上記範囲で上記乳酸菌生育促進剤を添加する工程を含む乳酸の製造方法によって、より効率よく乳酸を製造し得ることが確認された。また、乳酸菌生育促進剤の製造時に糖化酵素のみで糖化した実施例5でも明らかに生産性が高まることが確認されたが、同じ添加量でありながらタンパク質分解酵素と糖化酵素の両方を添加して糖化した実施例3では乳酸菌の生産性がさらに高まっており、両酵素を一緒に添加することによる顕著な効果も確認された。
III.飛粉糖化液を含む乳酸菌生育促進剤添加による効果の参考例
[参考例]
上記実施例1の「3.乳酸菌の培養及び乳酸の製造」の「(2)乳酸菌の本培養」の工程で添加する添加物として、それぞれ表3に記載の量の添加量で飛粉糖化液、アミノ酸類、無機塩類、ビタミン類をそれぞれ添加した以外は、全て同様の方法によって乳酸含有物を得た。
表3に、添加物とその添加量及び製造された乳酸の量をそれぞれ示した。また、図1は、添加した物質ごとに製造された乳酸の量の定量結果を示す図である。なお、乳酸の定量は、上記実施例1〜5、並びに比較例1及び2で用いた定量方法と同様の方法を用いた。
Figure 2018139551
表3及び図1によれば、添加物として乳酸菌を増殖させる培地に飛粉糖化液を添加した場合において、アミノ酸類、無機塩類、及びビタミン類を添加した場合に比べて、明らかに多量の乳酸を製造し得ることが確認された。飛粉糖化液中には糖類、アミノ酸、灰分、水分等が含まれていることが実施例1で確認されているが、表3及び図1の結果は、飛粉糖化液中に含まれる各成分が相乗的に作用して乳酸菌の増殖を促進し、他の添加物に比して多量の乳酸を製造したことを示唆した。一方で、表3及び図1の結果によると、アミノ酸類、無機塩類、及びビタミン類のそれぞれは、単独では特段の顕著な効果を示さなかった。このことは、飛粉糖化液には、単独で効果を示したアミノ酸類、無機塩類、及びビタミン類のいずれかが少なくとも含有されており、そのうちのいずれの成分が特に効果的に作用したのかを特定するのは、本発明の出願時において困難であったことを示唆した。
本発明は、飛粉を用いることで、飛粉の新たな用途を提供するだけでなく、その生産性をより良くするための乳酸菌生育促進剤、及びその製造方法を提供する。また、当該乳酸菌生育促進剤を用いて、より効率の良い乳酸の製造方法を提供する。したがって、本発明は、例えば食品・飲料添加物、医薬品や化粧品への添加物などの用途に加え、工業用途に利用される乳酸の製造において利用可能である。

Claims (16)

  1. 糖化酵素により糖化された飛粉を含む、乳酸菌生育促進剤。
  2. 前記糖化酵素がアミラーゼである、請求項1に記載の乳酸菌生育促進剤。
  3. 前記飛粉は、タンパク質分解酵素により処理された飛粉である、請求項1又は2に記載の乳酸菌生育促進剤。
  4. 前記タンパク質分解酵素がプロテアーゼである、請求項3に記載の乳酸菌生育促進剤。
  5. 乳酸菌を増殖させるための培地に0.5体積%〜7.0体積%の添加量で添加される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の乳酸菌生育促進剤。
  6. 前記添加量が1.0体積%〜5.0体積%である、請求項5に記載の乳酸菌生育促進剤。
  7. 飛粉を糖化酵素により糖化する工程を含む、乳酸菌生育促進剤の製造方法。
  8. 前記糖化酵素はアミラーゼである、請求項7に記載の乳酸菌生育促進剤の製造方法。
  9. 前記飛粉をタンパク質分解酵素により処理する工程を含む、請求項7又は8に記載の乳酸菌生育促進剤の製造方法。
  10. 前記タンパク質分解酵素はプロテアーゼである、請求項9に記載の乳酸菌生育促進剤の製造方法。
  11. 糖化酵素により糖化された飛粉を含む乳酸菌生育促進剤を乳酸菌を増殖させるための培地に添加する工程を含む、乳酸の製造方法。
  12. 前記糖化酵素はアミラーゼである、請求項11に記載の乳酸の製造方法。
  13. 前記飛粉は、タンパク質分解酵素により処理された飛粉である、請求項11又は12に記載の乳酸の製造方法。
  14. 前記タンパク質分解酵素はプロテアーゼである、請求項13に記載の乳酸の製造方法。
  15. 前記乳酸菌生育促進剤が0.5体積%〜7.0体積%の添加量で添加される、請求項11〜14のいずれか一項に記載の乳酸の製造方法。
  16. 前記添加量が1.0体積%〜5.0体積%の量である、請求項15に記載の乳酸の製造方法。
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