JP2018137375A - 絶縁回路基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】接合時における仮止め材由来の炭素残渣を抑制するとともに、仮止め材によって金属片を確実に仮止めすることができ、絶縁性に優れた絶縁回路基板を比較的容易に製造することが可能な絶縁回路基板の製造方法を提供する。【解決手段】絶縁層と、この絶縁層の一方の面に形成された回路層と、前記絶縁層の他方の面に形成された金属層と、を備えた絶縁回路基板の製造方法であって、前記絶縁層の表面に金属片を接合する金属片接合工程S01を備えており、金属片接合工程S01においては、前記絶縁層と前記金属片との接合界面に、アクリル系樹脂と溶剤とを含有する仮止め材を塗布し、前記絶縁層と前記金属片とを位置決めした状態で仮止めする積層工程S11と、この積層体を積層方向に加圧して加熱することにより、前記絶縁層と前記金属片を接合する接合工程S12と、を有している。【選択図】図2

Description

この発明は、絶縁層と、この絶縁層の一方の面に形成された回路層と、前記絶縁層の他方の面に形成された金属層と、を備えた絶縁回路基板の製造方法に関するものである。
パワーモジュール、LEDモジュール及び熱電モジュールにおいては、絶縁層の一方の面に導電材料からなる回路層を形成した絶縁回路基板に、パワー半導体素子、LED素子及び熱電素子が接合された構造とされている。
また、上述の絶縁回路基板においては、絶縁層の一方の面に導電性の優れた金属片を接合して回路層とし、また、他方の面に放熱性に優れた金属片を接合して金属層を形成した構造のものが提供されている。
さらに、回路層に搭載した素子等において発生した熱を効率的に放散させるために、絶縁層の他方の面側にヒートシンクを接合したヒートシンク付き絶縁回路基板も提供されている。
例えば、特許文献1には、セラミックス基板の一方の面にアルミニウム片を接合することで回路層が形成されるとともに、他方の面にアルミニウム片を接合することにより金属層が形成された絶縁回路基板と、この回路層上にはんだ材を介して接合された半導体素子と、を備えたパワーモジュールが開示されている。
また、特許文献2には、セラミックス基板の一方の面にアルミニウム片を接合し、このアルミニウム片に銅片を固相拡散接合することにより、アルミニウム層と銅層とが積層された回路層を形成した絶縁回路基板が提案されている。
さらに、特許文献3には、セラミックスからなる基材の一方の面に導電性の回路層が形成され、絶縁基板の他方の面に放熱体が接合され、回路層上に発光素子が搭載された構造のLEDモジュールが開示されている。
ここで、セラミックス基板と金属片、アルミニウム片と銅片等を接合する場合には、例えば特許文献4−6に記載されているように、接合する部材の間にポリエチレングリコール(PEG)等の有機物を含む仮止め材を用いて、部材同士の位置合せをして仮止めした状態で積層方向に加圧して加熱することにより、部材同士を接合している。
特許第3171234号公報 特許第5403129号公報 特開2015−070199号公報 特開2014−175425号公報 特開2014−209591号公報 特開2016−105452号公報
ところで、上述のようにポリエチレングリコール(PEG)等の有機物を含む仮止め材を用いて金属片を仮止めし、これを加圧して加熱することによって金属片を接合することにより回路層を形成した際には、仮止め材の一部が加熱時に炭化し、回路パターン間に付着することにより、回路層のパターン間、あるいは、絶縁層を挟んで位置する回路層と金属層との絶縁性が不十分となるおそれがあった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、接合時における仮止め材の炭素残渣の発生を抑制するとともに、仮止め材によって金属片を確実に仮止めすることができ、絶縁性に優れた絶縁回路基板を比較的容易に製造することが可能な絶縁回路基板の製造方法を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、本発明の絶縁回路基板の製造方法は、絶縁層と、この絶縁層の一方の面に形成された回路層と、前記絶縁層の他方の面に形成された金属層と、を備えた絶縁回路基板の製造方法であって、前記絶縁層の表面に金属片を接合する金属片接合工程を備えており、前記金属片接合工程においては、前記絶縁層と前記金属片との接合界面に、アクリル系樹脂と溶剤とを含有する仮止め材を塗布し、前記絶縁層と前記金属片とを位置決めした状態で仮止めする積層工程と、この積層体を積層方向に加圧して加熱することにより、前記絶縁層と前記金属片を接合する接合工程と、を有していることを特徴としている。
この構成の絶縁回路基板の製造方法によれば、熱分解性に優れたアクリル系樹脂を含む仮止め材を用いて絶縁層と金属片とを仮止めしているので、接合工程において加熱した際に仮止め材のアクリル系樹脂が速やかに熱分解され、仮止め材の炭素残渣が少なくなり、接合時における回路パターン間への炭素残渣の付着を抑制することができる。これにより、絶縁性に優れた絶縁回路基板を製造することができる。
また、アクリル系樹脂と溶剤とを含有する仮止め材の粘着力により、絶縁層と金属片とを確実に仮止めすることができる。これにより、その後の工程における金属片の脱落や位置ズレの発生を抑制することができ、絶縁回路基板の製造が容易となる。
また、本発明の絶縁回路基板の製造方法は、絶縁層と、この絶縁層の一方の面に形成された回路層と、前記絶縁層の他方の面に形成された金属層と、を備えた絶縁回路基板の製造方法であって、前記回路層及び前記金属層の少なくとも一方は、前記絶縁層側に配置されたアルミニウム層と、このアルミニウム層に積層された銅層と、を有し、前記アルミニウム層の表面に銅又は銅合金からなる金属片を接合することによって前記銅層を形成する金属片接合工程を備えており、前記金属片接合工程においては、前記アルミニウム層と前記金属片との接合界面に、アクリル系樹脂と溶剤とを含有する仮止め材を塗布し、前記アルミニウム層と前記金属片とを位置決めした状態で仮止めする積層工程と、この積層体を積層方向に加圧して加熱することにより、前記アルミニウム層と前記金属片を接合する接合工程と、を有していることを特徴としている。
この構成の絶縁回路基板の製造方法によれば、熱分解性に優れたアクリル系樹脂を含む仮止め材を用いてアルミニウム層と金属片とを仮止めしているので、接合工程において加熱した際に仮止め材のアクリル系樹脂が速やかに熱分解され、仮止め材の炭素残渣が少なくなり、接合時におけるパターン間への炭素残渣の付着を抑制することができる。これにより、絶縁性に優れた絶縁回路基板を製造することができる。
また、アクリル系樹脂と溶剤とを含有する仮止め材の粘着力により、アルミニウム層と金属片とを確実に仮止めすることができる。これにより、その後の工程における金属片の脱落や位置ズレの発生を抑制することができ、絶縁回路基板の製造が容易となる。
ここで、本発明の絶縁回路基板の製造方法においては、前記仮止め材に含まれる溶剤の沸点が150℃以上であることが好ましい。
この場合、仮止め材を塗布後に、溶剤が急激に揮発することがなく、仮止め材の粘着力を確保することができ、金属片を確実に仮止めすることができる。
また、本発明の絶縁回路基板の製造方法においては、前記仮止め材は、前記アクリル系樹脂の含有量Aと溶剤の含有量Bとの重量比A/Bが30/70以上90/10以下の範囲内とされていることが好ましい。
この場合、前記アクリル系樹脂の含有量Aと溶剤の含有量Bとの重量比A/Bが30/70以上とされているので、仮止め材の流動性が低くなり、金属片を確実に固定することができる。
一方、前記アクリル系樹脂の含有量Aと溶剤の含有量Bとの重量比A/Bが90/10以下とされているので、溶剤によって粘着性を確保することができ、金属片を確実に固定することができる。
さらに、本発明の絶縁回路基板の製造方法においては、前記仮止め材は、沸点範囲が互いに異なる低沸点溶剤と高沸点溶剤の少なくとも2種以上の溶剤を含むものであってもよい。
この場合、前記仮止め材は、沸点範囲が互いに異なる低沸点溶剤と高沸点溶剤の少なくとも2種以上の溶剤を含有しているので、溶剤の比率が高く粘度が低い状態で仮止め材を良好に塗布することができる。そして、仮止め材を塗布後に低沸点溶剤が揮発することで仮止め材の粘度が上昇することになり、金属片を確実に固定することができる。
また、本発明の絶縁回路基板の製造方法においては、前記低沸点溶剤の沸点範囲が50℃以上150℃未満の範囲内とされ、前記高沸点溶剤の沸点範囲が180℃以上300℃以下の範囲内とされていることが好ましい。
この場合、沸点範囲が50℃以上150℃未満の範囲内とされた低沸点溶剤を含んでいるので、仮止め材を塗布する際には粘度が低く、塗布後に低沸点溶剤が速やかに揮発して仮止め材の粘度が上昇し、金属片を確実に固定することができる。
一方、沸点範囲が180℃以上300℃以下の範囲内とされた高沸点溶剤を有しているので、溶剤が容易に揮発することがなく、アクリル系樹脂と高沸点溶剤とを有することで粘着性が確保され、金属片を確実に固定できるとともに、高沸点溶剤を接合工程で揮発させることができる。
さらに、本発明の絶縁回路基板の製造方法においては、前記仮止め材は、前記アクリル系樹脂の含有量Aと前記高沸点溶剤の含有量Bとの重量比A/Bが30/70以上90/10以下の範囲内とされていることが好ましい。
この場合、前記アクリル系樹脂の含有量Aと前記高沸点溶剤の含有量Bとの重量比A/Bが30/70以上とされているので、仮止め材の流動性が低くなり、金属片を確実に固定することができる。
一方、前記アクリル系樹脂の含有量Aと前記高沸点溶剤の含有量Bとの重量比A/Bが90/10以下とされているので、溶剤によって粘着性を確保することができ、金属片を確実に固定することができる。
また、本発明の絶縁回路基板の製造方法においては、前記仮止め材を塗布した後に、低沸点溶剤を揮発させることが好ましい。
この場合、仮止め材を塗布する際には低沸点溶剤を含んでいることから容易に塗布することができ、塗布後に低沸点溶剤を揮発させることで仮止め材の粘度が上昇し、金属片を確実に固定することができる。
本発明によれば、接合時におけるパターン間への炭素残渣の付着を抑制するとともに、仮止め材によって金属片を確実に仮止めすることができ、絶縁性に優れた絶縁回路基板を比較的容易に製造することが可能な絶縁回路基板の製造方法を提供することができる。
本発明の第一の実施形態である絶縁回路基板の製造方法によって製造された絶縁回路基板を用いたパワーモジュールの断面説明図である。 図1に示す絶縁回路基板の製造方法を示すフロー図である。 図1に示す絶縁回路基板の製造方法を示す説明図である。 本発明の第二の実施形態である絶縁回路基板の製造方法によって製造された絶縁回路基板の概略説明図である。 図4に示す絶縁回路基板の製造方法を示すフロー図である。 図4に示す絶縁回路基板の製造方法を示す説明図である。
以下に、本発明の実施形態について、添付した図面を参照して説明する。
図1に、本発明の実施形態である絶縁回路基板の製造方法によって製造された絶縁回路基板10、及び、この絶縁回路基板10を用いたパワーモジュール1を示す。
このパワーモジュール1は、絶縁回路基板10と、この絶縁回路基板10の一方側(図1において上側)にはんだ層2を介して接合された半導体素子3と、絶縁回路基板10の他方側(図1において下側)に配設されたヒートシンク31と、を備えている。
はんだ層2は、例えばSn−Ag系、Sn−Cu系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材(いわゆる鉛フリーはんだ材)とされている。
半導体素子3は、半導体を備えた電子部品であり、必要とされる機能に応じて種々の半導体素子が選択される。
絶縁回路基板10は、図1に示すように、絶縁層となるセラミックス基板11と、このセラミックス基板11の一方の面(図1において上面)に配設された回路層12と、セラミックス基板11の他方の面(図1において下面)に形成された金属層13と、を備えている。
セラミックス基板11は、回路層12と金属層13との間の電気的接続を防止するものであって、絶縁性の高いAlN(窒化アルミニウム)で構成されている。また、セラミックス基板11の厚さは、0.2mm以上1.5mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.635mmに設定されている。
回路層12は、図3に示すように、セラミックス基板11の一方の面に銅又は銅合金からなる金属片22が接合されることにより形成されている。銅又は銅合金としては、無酸素銅やタフピッチ銅等を用いることができる。本実施形態においては、回路層12を構成する金属片22として、無酸素銅の圧延板を打抜いたものが用いられている。
この回路層12には、上述の金属片22をパターン状に接合することで回路パターンが形成されており、その一方の面(図1において上面)が、半導体素子3が搭載される搭載面とされている。ここで、回路層12の厚さは0.1mm以上2.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では0.6mmに設定されている。
金属層13は、図3に示すように、セラミックス基板11の他方の面に銅又は銅合金からなる金属片23が接合されることにより形成されている。金属片23としては、無酸素銅やタフピッチ銅等で構成されたものを用いることができる。本実施形態においては、金属層13を構成する金属片23として、タフピッチ銅の圧延板が用いられている。ここで、金属層13の厚さは0.1mm以上2.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では0.6mmに設定されている。
ヒートシンク31は、絶縁回路基板10側の熱を放散するためのものである。ヒートシンク31は、熱伝導性が良好なアルミニウム又はアルミニウム合金で構成されており、本実施形態においては、A6063合金で構成されている。このヒートシンク31の厚さは、3mm以上10mm以下の範囲内に設定されている。
なお、ヒートシンク31と絶縁回路基板10の金属層13とは、固相拡散接合されている。
次に、本実施形態である絶縁回路基板の製造方法について、図2及び図3を用いて説明する。
まず、図3で示すように、セラミックス基板11の一方の面に複数の金属片22を接合して回路層12を形成するとともに、セラミックス基板11の他方の面に金属片23を接合して金属層13を形成する(金属片接合工程S01)。
この金属片接合工程S01においては、まず、図3に示すように、セラミックス基板11の一方の面に、ろう材箔26を介在させて回路層12となる金属片22を積層し、セラミックス基板11の他方の面に、ろう材箔27を介在させ、金属層13となる金属片23を積層する(積層工程S11)。ここで、ろう材箔26,27として、Ag−Cu−Ti系ろう材を用いており、その厚さが5μm以上50μm以下の範囲内とされている。
そして、この積層工程S11においては、セラミックス基板11と金属片22との接合界面、及び、セラミックス基板11と金属片22との接合界面に、それぞれ仮止め材40が配設されており、金属片22、ろう材箔26、セラミックス基板11、ろう材箔27、金属片23がそれぞれ位置決めされて仮止めされている。
ここで、本実施形態では、セラミックス基板11の一方の面に複数の金属片22をパターン状に配置することにより、回路パターンが形成される。
そして、本実施形態において使用される仮止め材40は、アクリル系樹脂と溶剤とを含有するものとされている。図3に示すように、金属片22,23及びセラミックス基板11に仮止め材40を塗布することによって、金属片22、ろう材箔26、セラミックス基板11、ろう材箔27、金属片23が仮止めされることになる。なお、金属片22,23及びセラミックス基板11に仮止め材40を塗布せず、ろう材箔26、27の両面に仮止め材40を塗布することも可能である。
仮止め材40に含有される溶剤は、沸点が150℃以上であるとよい。沸点が150℃以上とされているので、塗布後の急激な揮発を防止し、仮止めの効果を維持することが可能となる。
なお、仮止め材40は、アクリル系樹脂の含有量Aと沸点が150℃以上の溶剤の含有量Bとの重量比A/Bが30/70以上90/10以下の範囲内とされている。
なお、溶剤としては、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、モノプロピレングリコールモノメチルエーテル、テルピネオール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、フタル酸ジブチル、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)等を用いることができる。
また、仮止め材40に含有される溶剤として、沸点範囲が互いに異なる低沸点溶剤と高沸点溶剤の少なくとも2種以上の溶剤を用いることも可能である。この場合、具体的には、沸点範囲が180℃以上300℃以下の範囲内とされた高沸点溶剤と、沸点範囲が50℃以上150℃未満の範囲内とされた低沸点溶剤と、からなる溶剤を用いることができる。
低沸点溶剤としては、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、トルエン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、モノプロピレングリコールモノメチルエーテル等を適用することができる。
高沸点溶剤としては、テルピネオール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、フタル酸ジブチル、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)等を用いることができる。
なお、沸点範囲が互いに異なる低沸点溶剤と高沸点溶剤の少なくとも2種以上の溶剤を用いる場合、アクリル系樹脂の含有量Aと高沸点溶剤の含有量Bとの重量比A/Bが30/70以上90/10以下の範囲内とするとよい。
また、この仮止め材40の塗布方法としては、ディスペンサー、スクリーン印刷、スプレー等の各種方法を適用することができる。
ここで、塗布時における仮止め材40の粘度範囲は、それぞれの塗布方法に適した粘度範囲とすることができる。例えば、ディスペンサーを用いる場合には0.01Pa・s以上10Pa・s以下の範囲内とすることが好ましい。また、スクリーン印刷を用いる場合には10Pa・s以上200Pa・s以下の範囲内とすることが好ましい。さらに、スプレーを用いる場合には0.001Pa・s以上10Pa・s以下の範囲内とすることが好ましい。
また、溶剤が低沸点溶剤と高沸点溶剤とを含有する場合には、塗布後に低沸点溶剤を揮発させるとよい。ここで、低沸点溶剤を揮発させた後の粘度が30Pa・s以上であることが好ましい。
このように、溶剤が低沸点溶剤と高沸点溶剤とを含有する場合、塗布時には低沸点溶剤が含有されるため、仮止め材40の粘度が比較的低粘度となり、仮止め材40の塗布作業が容易になる。そして、塗布後に低沸点溶剤を揮発させることで、仮止め材40の粘度が上昇することにより、確実な仮止め効果を生じさせることが可能となる。
なお、低沸点溶剤を揮発させる際に加熱しても良いが、加熱することにより金属片22,23が酸化してしまうおそれがあるので、加熱することなく作業を行うことが好ましい。
次いで、金属片22、セラミックス基板11、金属片23の積層体を、加圧装置を用いて積層方向に加圧した状態で真空加熱炉に装入し、金属片22とセラミックス基板11とを接合して回路層12を形成し、金属片23とセラミックス基板11とを接合して金属層13を形成する(接合工程S12)。
この接合工程S12における接合条件は、真空条件は10−6Pa以上10−3Pa以下の範囲内、加熱温度は790℃以上850℃以下の範囲内、上記加熱温度での保持時間は0.1分以上120分以下の範囲内、積層方向の加圧荷重が0.01MPa以上0.35MPa以下(1kgf/cm以上35kgf/cm以下)の範囲内に設定されている。
なお、接合工程S12における加熱温度の下限は800℃以上とすることが好ましい。一方、加熱温度の上限は840℃以下とすることが好ましい。
また、接合工程S12における加熱温度での保持時間の下限は1分以上とすることが好ましい。一方、加熱温度での保持時間の上限は60分以下とすることが好ましい。
さらに、接合工程S12における加圧荷重の下限は0.03MPa以上(3kgf/cm以上)とすることが好ましい。一方、加圧荷重の上限は0.25MPa以下(25kgf/cm以下)とすることが好ましい。
以上のような工程によって、本実施形態である絶縁回路基板10が製造される。
次に、この絶縁回路基板10の金属層13の他方側にヒートシンク31を積層し、絶縁回路基板10とヒートシンク31とが積層されたヒートシンク積層体を、加圧装置を用いて積層方向に加圧した状態で真空加熱炉に装入し、アルミニウムと銅との共晶温度未満の加熱温度で保持することにより、金属層13とヒートシンク31を固相拡散接合する(ヒートシンク接合工程S02)。
このヒートシンク接合工程S02における接合条件は、真空条件は10−6Pa以上10−3Pa以下の範囲内、加熱温度は400℃以上548℃以下の範囲内、加熱温度での保持時間が5分以上240分以下の範囲内に設定されている。
次いで、回路層12の一方の面に、はんだ材を介して半導体素子3を積層し、加熱炉内においてはんだ接合する(半導体素子接合工程S03)。
上記のようにして、図1に示すパワーモジュール1が製造される。
以上のような構成とされた本実施形態である絶縁回路基板10の製造方法によれば、熱分解性に優れたアクリル系樹脂を含む仮止め材40を用いてセラミックス基板11と金属片22、23とを仮止めしているので、接合工程S12において加熱した際に仮止め材40のアクリル系樹脂が速やかに熱分解され、仮止め材40の炭素残渣が少なくなり、仮止め材40が回路層12及び金属層13の端部からはみ出すことを抑制できる。これにより、絶縁性に優れた絶縁回路基板10を製造することができる。
また、セラミックス基板11と金属片22,23との接合界面にアクリル系樹脂と溶剤とを含有する仮止め材40を塗布することにより、仮止め材40の粘着力によってセラミックス基板11と金属片22,23とを確実に仮止めすることができる。これにより、その後の工程における金属片22,23の脱落や位置ズレの発生を抑制することができ、絶縁回路基板10の製造が容易となる。
さらに、本実施形態において、仮止め材40に含まれる溶剤の沸点が150℃以上とされている場合には、仮止め材40を塗布後に溶剤が急激に揮発することがないため、仮止め材40の粘着力を確保することができ、セラミックス基板11と金属片22,23とを確実に仮止めすることができる。
また、本実施形態において、仮止め材40のアクリル系樹脂の含有量Aと溶剤の含有量Bとの重量比A/Bが30/70以上とされている場合には、仮止め材の流動性が低くなり、セラミックス基板11と金属片22,23とを確実に固定することができる。一方、アクリル系樹脂の含有量Aと溶剤の含有量Bとの重量比A/Bが90/10以下とされている場合には、溶剤によって粘着性を確保することができ、セラミックス基板11と金属片22,23とを確実に固定することができる。
一方、本実施形態において、仮止め材40が、沸点範囲が互いに異なる低沸点溶剤と高沸点溶剤の少なくとも2種以上の溶剤を含んでいる場合には、溶剤の比率が高く粘度が低い状態で仮止め材40を良好に塗布することができ、仮止め材40を塗布後に低沸点溶剤が揮発して仮止め材40の粘度が上昇し、金属片22,23を確実に固定することができる。
また、本実施形態において、仮止め材40が、沸点範囲が180℃以上300℃以下の範囲内とされた高沸点溶剤と、沸点範囲が50℃以上150℃未満の範囲内とされた低沸点溶剤と、を含んでいる場合には、仮止め材40を塗布する際には粘度を低くすることができ、その後、低沸点溶剤が速やかに揮発することで仮止め材40の粘度が上昇し、金属片22,23を確実に固定することができる。
さらに、本実施形態において、仮止め材40が、アクリル系樹脂の含有量Aと高沸点溶剤の含有量Bとの重量比A/Bとの重量比A/Bが30/70以上とされている場合には、仮止め材40の流動性が低くなり、金属片22,23を確実に固定することができる。
一方、アクリル系樹脂の含有量Aと高沸点溶剤の含有量Bとの重量比A/Bが90/10以下とされている場合には、溶剤によって粘着性を確保することができ、金属片22,23を確実に固定することができる。
また、本実施形態においては、複数の金属片22をセラミックス基板11にパターン状に配置して接合することにより回路パターンを形成しているので、仮止め材40で位置決めすることにより、精度良く回路パターンを形成することが可能となる。また、接合後の仮止め材40の炭素残渣の発生を抑制することにより、パターン間の絶縁性に優れた回路層12を形成することが可能となる。
次に、本発明の第二の実施形態である絶縁回路基板の製造方法について、図4から図6を参照して説明する。なお、第一の実施形態と同一の部材には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
この絶縁回路基板110は、図4に示すように、セラミックス基板11(絶縁層)と、このセラミックス基板11の一方の面(図4において上面)に形成された回路層112と、セラミックス基板11の他方の面(図4において下面)に形成された金属層113と、を備えている。
金属層113は、図6に示すように、セラミックス基板11の他方の面(図6において下面)にアルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム片123が接合されることによって形成されている。
回路層112は、図4に示すように、セラミックス基板11の一方の面に配設されたアルミニウム層112Aと、このアルミニウム層112Aの一方側(図4において上側)に積層された銅層112Bと、を有している。
アルミニウム層112Aは、図6に示すように、複数のアルミニウム片122Aがセラミックス基板11の一方の面に接合されることにより形成されている。本実施形態においては、アルミニウム層112Aは、純度が99.99mass%以上のアルミニウム(いわゆる4Nアルミニウム)の圧延板からなるアルミニウム片122Aがセラミックス基板11に接合されることにより形成されている。
銅層112Bは、アルミニウム層112Aの一方側(図6において上側)に銅又は銅合金からなる銅片122Bが接合されることにより形成されている。本実施形態においては、銅層112Bは、図6に示すように、無酸素銅の圧延板からなる複数の銅片122Bがアルミニウム層112Aに固相拡散接合されることにより形成されている。
次に、本実施形態である絶縁回路基板の製造方法について、図5及び図6を参照して説明する。
まず、図6で示すように、セラミックス基板11の一方の面にアルミニウム片122Aを接合してアルミニウム層112Aを形成するとともに、セラミックス基板11の他方の面にアルミニウム片123を接合して金属層113を形成する(アルミニウム片接合工程S101)。
このとき、複数のアルミニウム片122Aをパターン状に配置することにより、回路パターンが形成される。
このアルミニウム片接合工程S101においては、まず、図6に示すように、セラミックス基板11の一方の面に、Al−Si系のろう材126を介在させ、アルミニウム層112Aとなるアルミニウム片122Aを積層し、セラミックス基板11の他方の面に、Al−Si系のろう材127を介在させ、金属層13となるアルミニウム片123を積層する(アルミ積層工程S111)。
ここで、本実施形態では、予めアルミニウム片122Aとろう材126、及び、アルミニウム片123とろう材127とが超音波接合によって一体化されている。
この積層工程S111においては、セラミックス基板11とアルミニウム片122Aとの接合界面、及び、セラミックス基板11とアルミニウム片123との接合界面に、それぞれ仮止め材40が配設されており、アルミニウム片122Aとセラミックス基板11、セラミックス基板11とアルミニウム片123とが位置決めされて仮止めされている。
そして、本実施形態において使用される仮止め材40は、第一の実施形態と同様に、アクリル系樹脂と溶剤とを含有するものとされている。図6に示すように、セラミックス基板11に仮止め材40を塗布することによって、アルミニウム片122A、セラミックス基板11、アルミニウム片123が仮止めされることになる。
なお、本実施形態で用いられる仮止め材40は、第一の実施形態で説明した仮止め材と同様の構成のものを適用することができる。また、仮止め材40の塗布方法についても、第一の実施形態で説明した方法を適用することができる。
次いで、アルミニウム片122A、セラミックス基板11、アルミニウム片123の積層体を、加圧装置を用いて積層方向に加圧した状態で真空加熱炉に装入し、アルミニウム片122Aとセラミックス基板11とを接合してアルミニウム層112Aを形成し、アルミニウム片123とセラミックス基板11とを接合して金属層113を形成する(アルミ接合工程S112)。
このアルミ接合工程S112における接合条件は、真空条件は10−6Pa以上10−3Pa以下の範囲内、加熱温度は630℃以上655℃以下の範囲内、上記加熱温度での保持時間は1分以上180分以下の範囲内、積層方向の加圧荷重が0.01MPa以上0.35MPa以下(1kgf/cm以上35kgf/cm以下)の範囲内に設定されている。
なお、アルミ接合工程S112における加熱温度の下限は635℃以上とすることが好ましい。一方、加熱温度の上限は650℃以下とすることが好ましい。
また、アルミ接合工程S112における加熱温度での保持時間の下限は5分以上とすることが好ましい。一方、加熱温度での保持時間の上限は120分以下とすることが好ましい。
さらに、アルミ接合工程S112における加圧荷重の下限は0.03MPa以上(3kgf/cm以上)とすることが好ましい。一方、加圧荷重の上限は0.20MPa以下(20kgf/cm以下)とすることが好ましい。
次に、図6で示すように、アルミニウム層112Aの表面に、銅又は銅合金からなる銅片122Bを接合して銅層112Bを形成する(銅片接合工程S102)。
この銅片接合工程S102においては、まず、図6に示すように、アルミニウム層112Aの表面に、銅層112Bとなる銅片122Bを積層する(銅積層工程S121)。
このとき、パターン状に配置されたアルミニウム層112Aの上にそれぞれ銅片122Bを積層する。
この積層工程S121においては、アルミニウム層112Aと銅片122Bとの接合界面に仮止め材40が配設されており、銅片122Bとアルミニウム層112Aとが位置決めされて仮止めされている。
そして、本実施形態において使用される仮止め材40は、第一の実施形態と同様に、アクリル系樹脂と溶剤とを含有するものとされている。図6に示すように、アルミニウム層112A及び銅片122Bの接合界面に仮止め材40を塗布することによって、アルミニウム層112Aと銅片122Bが仮止めされることになる。
なお、本実施形態で用いられる仮止め材40は、第一の実施形態で説明した仮止め材と同様の構成のものを適用することができる。また、仮止め材40の塗布方法についても、第一の実施形態で説明した方法を適用することができる。
次いで、銅片122Bとアルミニウム層112Aの積層体を、加圧装置を用いて積層方向に加圧した状態で真空加熱炉に装入し、銅片122Bとアルミニウム層112Aとを固相拡散接合して回路層112を形成する(銅接合工程S122)。
この銅接合工程S122における接合条件は、真空条件は10−6Pa以上10−3Pa以下の範囲内、加熱温度は400℃以上548℃以下の範囲内、加熱温度での保持時間が5分以上240分以下の範囲内に設定されている。
以上のような工程によって、本実施形態である絶縁回路基板110が製造される。
以上のような構成とされた本実施形態である絶縁回路基板110の製造方法によれば、熱分解性に優れたアクリル系樹脂を含む仮止め材40を用いてセラミックス基板11とアルミニウム片122A、123とを仮止めしているので、アルミ接合工程S112において加熱した際に仮止め材40のアクリル系樹脂が速やかに熱分解され、仮止め材40の炭素残渣が少なくなり、パターン間への炭素残渣の付着が抑制され、絶縁性に優れた基板を作ることができる。
また、セラミックス基板11とアルミニウム片122A、123との接合界面にアクリル系樹脂と溶剤とを含有する仮止め材40を塗布することにより、仮止め材40の粘着力によってセラミックス基板11とアルミニウム片122A、123とを確実に仮止めすることができる。これにより、その後の工程におけるアルミニウム片122A、123の脱落や位置ズレの発生を抑制することができ、絶縁回路基板110の製造が容易となる。
そして、本実施形態においては、熱分解性に優れたアクリル系樹脂を含む仮止め材40を用いてアルミニウム層112Aと銅片122Bとを仮止めしているので、銅接合工程S122において加熱した際に仮止め材40のアクリル系樹脂が速やかに熱分解され、仮止め材40の炭素残渣が少なくなり、パターン間への炭素残渣の付着が抑制され、絶縁性に優れた基板を作ることができる。
また、アルミニウム層112Aと銅片122Bとの接合界面にアクリル系樹脂と溶剤とを含有する仮止め材40を塗布することにより、仮止め材40の粘着力によってアルミニウム層112Aと銅片122Bとを確実に仮止めすることができる。これにより、その後の工程における銅片122Bの脱落や位置ズレの発生を抑制することができ、絶縁回路基板10の製造が容易となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、絶縁回路基板の回路層にパワー半導体素子を搭載してパワーモジュールを構成するものとして説明したが、これに限定されることはない。例えば、絶縁回路基板にLED素子を搭載してLEDモジュールを構成してもよいし、絶縁回路基板の回路層に熱電素子を搭載して熱電モジュールを構成してもよい。
また、本実施形態では、絶縁層をセラミックス基板で構成したもので説明したが、これに限定されることはなく、絶縁層を樹脂等で構成したものであってもよい。
さらに、本実施形態では、セラミックス基板とアルミニウム板とをろう材を用いて接合するものとして説明したが、これに限定されることはなく、固相拡散接合によって接合してもよい。さらに、接合面にCu、Si等の添加元素を固着させ、これらの添加元素を拡散させることで溶融・凝固させる過渡液相接合法(TLP)によって接合してもよい。また、接合界面を半溶融状態として接合してもよい。
また、本実施形態では、絶縁回路基板(金属層)とヒートシンクとを固相拡散接合によって接合するものとして説明したが、これに限定されることはなく、ろう付け、TLP等の他の接合方法を適用してもよい。
さらに、本実施形態では、ヒートシンクをアルミニウムから成るものとして説明したが、これに限定されることはなく、銅等で構成されていてもよいし、内部に冷却媒体が流通される流路を備えたものであってもよい。
また、本実施形態においては、金属片とセラミックス基板との接合と、絶縁回路基板とヒートシンクの接合を、別の工程で実施するものとして説明したが、これに限定されることはなく、金属片、セラミックス基板、ヒートシンクを積層して、これを積層方向に加圧して加熱し、これらの接合を同一の工程で実施してもよい。
また、第一実施形態において、金属片22及び金属片23が無酸素銅からなるものとして説明したが、これに限定されることはなく、アルミニウムやアルミニウム合金を用いることもできる。
以下に、本発明の効果を確認すべく行った確認実験の結果について説明する。
AlNからなるセラミックス基板(50mm×50mm×0.635mmt)を準備し、このセラミックス基板の一方の面に回路層となる純度99質量%の純アルミニウムからなるアルミニウム片(47mm×23mm×0.8mmt)をろう材を介して積層し、セラミックス基板の他方の面に金属層となる純度99.99質量%の純アルミニウムからなるアルミニウム片(47mm×47mm×0.8mmt)をろう材を介して積層した。なお、ろう材として、Al−7.5mass%Si合金からなるろう材箔(厚さ0.02mm)を用いた。なお、回路層はパターンを形成するために複数枚のアルミニウム片を用いた。回路パターン間の距離(アルミニウム片同士の距離)は1.0mmとした。
この積層体を積層方向に加圧した状態で加熱し、セラミックス基板の一方の面にアルミニウム層を形成し、セラミックス基板の他方の面に金属層を形成した。なお、このときの接合条件は、加圧荷重0.10MPa(10kgf/cm)、加熱温度650℃、保持時間30分とした。また、真空度は10−6Paから10−3Paの間に収まるように制御した。
次に、アルミニウム層の表面に、無酸素銅からなる銅片を積層した。
このとき、アルミニウム層と銅片の接合界面に、表1に示す仮止め材を配置し、アルミニウム層と銅片の位置決めを行って仮止めした。
ここで、後述する方法によって、シェア強度を測定した。
そして、積層体を積層方向に加圧して、真空炉内に装入して、積層方向に0.15MPa(15kgf/cm)で加圧し、540℃の加熱温度で30分保持し、真空度は10−6Paから10−3Paの間に収まるように制御してアルミニウム層と銅片とを接合し、絶縁回路基板を製造した。
上述のようにして得られた絶縁回路基板について、回路パターン間の耐圧性を評価した。
(最終樹脂濃度)
最終樹脂濃度は高沸点溶剤と樹脂の比率として計算した。
(シェア強度)
アルミニウム層の上に仮止めした銅片との間のシェア強度を、ボンドテスター(西進商事株式会社製SS−15KP)を用いて測定した。
(耐圧性)
耐電圧試験機(菊水電子工業株式会社製TOS5050)を用いて、カットオフ値を0.5mAに設定した。接合後の絶縁回路基板のそれぞれの回路パターンにそれぞれ電極を当てて2kVの電圧を印加し、カットオフ値以上の電流が流れたものを「×」と評価し、カットオフ値未満の電流が流れたものを「○」と評価した。
Figure 2018137375
アクリル系樹脂を含有しない仮止め材を用いた従来例においては、シェア強度は高かったものの、パターン間に炭素残渣の付着が発生し、耐圧性が不十分であった。
これに対して、アクリル系樹脂を含有した仮止め材を用いた本発明例においては、パターン間に炭素残渣の付着なく耐圧性が十分であった。接合時に仮止め材に含まれるアクリル系樹脂が分解し、残渣が残らなかったためと推測される。また、シェア強度も、仮止めするのに十分な強度であった。
また、アクリル系樹脂の含有量Aと高沸点溶剤の含有量Bとの重量比A/Bが30/70以上90/10以下の範囲内とされた仮止め材を用いた本発明例2−6においては、本発明例1、7,8に比べてシェア強度が向上することが確認された。
さらに、沸点範囲が互いに異なる少なくとも2種以上の溶剤(低沸点溶剤及び高沸点溶剤)を含む本発明例2−8においては、1種の溶剤のみを含む本発明例1に比べて、仮止め材の粘度調整が容易であり、作業性が向上した。
以上のことから、本発明例によれば、接合時におけるパターン間への炭素残渣の付着を抑制するとともに、仮止め材によって金属片を確実に仮止めすることができ、絶縁性に優れた絶縁回路基板を比較的容易に製造することが可能な絶縁回路基板の製造方法を提供できることが確認された。
1 パワーモジュール
3 半導体素子
10,110 絶縁回路基板
11 セラミックス基板(絶縁層)
12,112 回路層
13,113 金属層
112A アルミニウム層
112B 銅層
22,23 金属片
122A、123 アルミニウム片(金属片)
122B 銅片(金属片)

Claims (8)

  1. 絶縁層と、この絶縁層の一方の面に形成された回路層と、前記絶縁層の他方の面に形成された金属層と、を備えた絶縁回路基板の製造方法であって、
    前記絶縁層の表面に金属片を接合する金属片接合工程を備えており、
    前記金属片接合工程においては、前記絶縁層と前記金属片との接合界面に、アクリル系樹脂と溶剤とを含有する仮止め材を塗布し、前記絶縁層と前記金属片とを位置決めした状態で仮止めする積層工程と、この積層体を積層方向に加圧して加熱することにより、前記絶縁層と前記金属片を接合する接合工程と、を有していることを特徴とする絶縁回路基板の製造方法。
  2. 絶縁層と、この絶縁層の一方の面に形成された回路層と、前記絶縁層の他方の面に形成された金属層と、を備えた絶縁回路基板の製造方法であって、
    前記回路層及び前記金属層の少なくとも一方は、前記絶縁層側に配置されたアルミニウム層と、このアルミニウム層に積層された銅層と、を有し、
    前記アルミニウム層の表面に銅又は銅合金からなる金属片を接合することによって前記銅層を形成する金属片接合工程を備えており、
    前記金属片接合工程においては、前記アルミニウム層と前記金属片との接合界面に、アクリル系樹脂と溶剤とを含有する仮止め材を塗布し、前記アルミニウム層と前記金属片とを位置決めした状態で仮止めする積層工程と、この積層体を積層方向に加圧して加熱することにより、前記アルミニウム層と前記金属片を接合する接合工程と、を有していることを特徴とする絶縁回路基板の製造方法。
  3. 前記仮止め材に含まれる溶剤の沸点が150℃以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の絶縁回路基板の製造方法。
  4. 前記仮止め材は、前記アクリル系樹脂の含有量Aと溶剤の含有量Bとの重量比A/Bが30/70以上90/10以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の絶縁回路基板の製造方法。
  5. 前記仮止め材は、沸点範囲が互いに異なる低沸点溶剤と高沸点溶剤の少なくとも2種以上の溶剤を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の絶縁回路基板の製造方法。
  6. 前記低沸点溶剤の沸点範囲が50℃以上150℃未満の範囲内とされ、前記高沸点溶剤の沸点範囲が180℃以上300℃以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項5に記載の絶縁回路基板の製造方法。
  7. 前記仮止め材は、前記アクリル系樹脂の含有量Aと前記高沸点溶剤の含有量Bとの重量比A/Bが30/70以上90/10以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の絶縁回路基板の製造方法。
  8. 前記仮止め材を塗布した後に、低沸点溶剤を揮発させることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の絶縁回路基板の製造方法。
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