JP2018137316A - 絶縁回路基板、絶縁回路基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
上述の絶縁回路基板として、例えば特許文献1に記載された金属ベース回路基板が提案されている。
この金属ベース回路基板においては、回路層上に半導体素子が接合され、金属基板の絶縁樹脂層とは反対側の面にヒートシンクが配設されており、半導体素子で発生した熱をヒートシンク側に伝達して放熱する構造とされている。
さらに、回路層に搭載した素子等から発生した熱を効率的に放散させるために、絶縁回路基板の金属層側にヒートシンクを接合したヒートシンク付き絶縁回路基板も提供されている。
一方、絶縁層をセラミックス基板で構成した絶縁回路基板においては、セラミックス基板と回路層及び金属層を構成する金属との熱膨張係数の差が大きく、接合時に反りが生じるおそれがあった。絶縁回路基板に反りが生じた場合には、ヒートシンクとの間に空隙が生じ、放熱特性が低下してしまう。また、冷熱サイクル負荷時に作用する熱歪によってセラミックス基板に割れが生じるおそれがあった。
なお、特許文献2に記載された絶縁回路基板においては、接着剤層で熱膨張係数の差による熱歪を吸収することによって反りの低減を図っているが、接着剤層が熱抵抗となるため、放熱特性が低下してしまうおそれがあった。また、接着剤層にはボイドが生じやすく、このボイドが起点となって絶縁破壊が起こり、耐電圧性が低下するといった問題があった。
また、金属基板とセラミックス層との間に第1絶縁樹脂層が形成され、セラミックス層と回路層との間に第2絶縁樹脂層が形成されているので、金属基板及び回路層を構成する金属とセラミックス層との熱膨張係数の差による熱歪を第1絶縁樹脂層及び第2絶縁樹脂層によって吸収することができ、反りの発生や冷熱サイクル負荷時のセラミックス層の割れの発生を抑制することができる。
さらに、第1絶縁樹脂層及び第2絶縁樹脂層が、無機フィラーを含有する熱硬化型樹脂で構成されているので、熱伝導性を向上させることができ、放熱特性を向上させることができる。
この場合、前記第1絶縁樹脂層及び前記第2絶縁樹脂層の厚さが20μm以上とされているので、熱歪を確実に吸収することができ、反りの発生及び冷熱サイクル時の割れの発生を抑制することができ、さらに、絶縁性を確保することができる。一方、前記第1絶縁樹脂層及び前記第2絶縁樹脂層の厚さが250μm以下とされているので、厚さ方向の熱抵抗が高くなることを抑制できる。
この場合、前記セラミックス層の厚さが0.2mm以上とされているので、絶縁性を確保することができる。一方、前記セラミックス層の厚さが1.5mm以下とされているので、厚さ方向の熱抵抗が高くなることを抑制できる。
この場合、回路層の厚さが0.3mm以上3mm以下の範囲内と比較的厚くされているので、回路層に搭載された半導体素子等の発熱体からの熱を回路層で拡げることができ、放熱特性に優れている。
よって、耐電圧性に優れるとともに反りの発生が抑制されており、信頼性に優れた絶縁回路基板を製造することが可能となる。
この場合、第1樹脂組成物及び第2樹脂組成物を硬化させる際に十分に加圧することができ、第1樹脂組成物及び第2樹脂組成物の厚さ中心まで確実に硬化させることができ、絶縁性に優れた第1絶縁樹脂層及び第2絶縁樹脂層を得ることができる。
図1に、本発明の実施形態である絶縁回路基板10、及び、この絶縁回路基板10を用いたパワーモジュール1を示す。
半導体素子3は、半導体を備えた電子部品であり、必要とされる機能に応じて種々の半導体素子が選択される。
ヒートシンク31は、絶縁回路基板10側の熱を放散するためのものである。ヒートシンク31は、熱伝導性が良好な銅又は銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金等で構成されている。本実施形態においては、無酸素銅からなる放熱板とされている。なお、ヒートシンク31の厚さは、3mm以上10mm以下の範囲内に設定されている。
ここで、第1絶縁樹脂層12、セラミックス層13、第2絶縁樹脂層14は、回路層15と金属基板11との間の電気的接続を防止する絶縁層となる。
また、第1絶縁樹脂層12の厚さは、20μm以上250μm以下の範囲内とされており、本実施形態では、60μmとされている。
ここで、この第1絶縁樹脂層12単体での耐電圧特性は10kV/mmt以上とされている。また、第1絶縁樹脂層12単体での熱伝導率は5W/(m・K)以上7W/(m・K)以下の範囲内とされている。
また、セラミックス層13の厚さは、0.2mm以上1.5mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.635mmに設定されている。
また、本実施形態では、第2絶縁樹脂層14は、図1及び図2に示すように、回路パターン状に配設された回路層15の部分にのみ形成されている。さらに、第2絶縁樹脂層14の厚さは、20μm以上250μm以下の範囲内とされており、本実施形態では、60μmとされている。
ここで、この第2絶縁樹脂層14単体での耐電圧特性は10kV/mmt以上とされている。また、第2絶縁樹脂層14単体での熱伝導率は5W/(m・K)以上7W/(m・K)以下の範囲内とされている。
この回路層15においては、上述の金属片25がパターン状に配置されることで回路パターンが形成されており、その一方の面(図1において上面)が、半導体素子3が搭載される搭載面とされている。ここで、回路層15(金属片25)の厚さは0.3mm以上3mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では0.6mmに設定されている。
まず、図4で示すように、金属基板11の一方の面(図4において上面)に、フィラーとしてのアルミナと熱硬化型樹脂としてのエポキシ樹脂と硬化剤とを含有する第1樹脂組成物22を介してセラミックス板23を積層する。さらに、このセラミックス板23の一方の面(図4において上面)に、フィラーとしてのアルミナと熱硬化型樹脂としてのエポキシ樹脂と硬化剤とを含有する第2樹脂組成物24を介して金属片25を積層する(積層工程S01)。なお、本実施形態では、第1樹脂組成物22、第2樹脂組成物24は、シート状に形成されている。
ここで、第2樹脂組成物24と金属片25については、金属の圧延板に樹脂シートを積層した状態で打ち抜くことで、回路層15となる金属片25と第2樹脂組成物24との積層体を得て、これをセラミックス板23の一方の面に回路パターン状に配設すればよい。
ここで、この樹脂硬化工程S02においては、硬化前の第1樹脂組成物22の厚さt01と硬化後の第1絶縁樹脂層12の厚さt11との比t11/t01及び硬化前の第2樹脂組成物24の厚さt02と硬化後の第2絶縁樹脂層14の厚さt12との比t12/t02が 0.8以下となるように、金属基板11と第1樹脂組成物22とセラミックス板23と第2樹脂組成物24と金属片25とを積層方向に加圧することが好ましい。
次に、この絶縁回路基板10の金属基板11の他方の面にヒートシンク31を接合する(ヒートシンク接合工程S03)。本実施形態では、金属基板11とヒートシンク31とを、はんだ材を介して接合している。
そして、絶縁回路基板10の回路層15に半導体素子3を接合する(半導体素子接合工程S04)。本実施形態では、回路層15と半導体素子3とを、はんだ材を介して接合している。
以上の工程により、図1に示すパワーモジュール1が製造される。
さらに、本実施形態では、回路層15の厚さが0.3mm以上3mm以下の範囲内と比較的厚くされているので、回路層15に搭載された半導体素子3で発生した熱を回路層15で拡げることができ、放熱特性に優れている。
さらに、本実施形態では、第1絶縁樹脂層12及び第2絶縁樹脂層14の熱伝導率が5W/(m・K)以上7W/(m・K)以下の範囲内とされているので、厚さ方向の熱抵抗が高くなることを抑制できる。
さらに、ヒートシンクの材質や構造は、本実施形態に限定されることなく、適宜設計変更してもよい。
なお、従来例1においては、セラミックス板を用いなかった。従来例2においては、エポキシ系接着剤で金属基板とセラミック板、及び、金属片とセラミックス板を接着した。
絶縁回路基板を絶縁油(3M社製フロリナートFC−770)に浸漬し、金属基板及び回路層にプローブ(真鍮製φ20mm)の電極を配設した。そして、5秒間で0.5kV昇圧し、その後、30秒保持するサイクルを繰り返し、絶縁破壊を起こす電圧を測定し、その電圧値を絶縁耐圧値(kV)とした。評価結果を表3に示す。
NETZSCH社製LFA477を用い、絶縁回路基板の積層方向の熱伝導率を測定した。得られた絶縁回路基板の中央部を縦10mm×横10mmで切り出し、測定試料とした。評価結果を表3に示す。
一方、セラミックス板を用い、無機フィラーを含有する熱硬化型樹脂からなる第1絶縁樹脂層及び第2絶縁樹脂層を有する本発明例では、耐電圧性及び熱伝導率の高い絶縁回路基板が得られることがわかった。
3 半導体素子
10、110 絶縁回路基板
11 金属基板
12 第1絶縁樹脂層
13 セラミックス層
14、114 第2絶縁樹脂層
15 回路層
22 第1樹脂組成物
23 セラミックス板
24 第2樹脂組成物
25 金属片
S01 積層工程
S02 樹脂硬化工程
Claims (6)
- 金属基板と、前記金属基板に積層された第1絶縁樹脂層と、前記第1絶縁樹脂層に積層されたセラミックス層と、前記セラミックス層に積層された第2絶縁樹脂層と、前記第2絶縁樹脂層に積層された回路層と、を備え、
前記第1絶縁樹脂層及び前記第2絶縁樹脂層は、無機フィラーを含有する熱硬化型樹脂で構成されていることを特徴とする絶縁回路基板。 - 前記第1絶縁樹脂層及び前記第2絶縁樹脂層の厚さが20μm以上250μm以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1に記載の絶縁回路基板。
- 前記セラミックス層の厚さが0.2mm以上1.5mm以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の絶縁回路基板。
- 前記回路層の厚さが0.3mm以上3mm以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の絶縁回路基板。
- 金属基板と、前記金属基板に積層された第1絶縁樹脂層と、前記絶縁樹脂層に積層されたセラミックス層と、前記セラミックス層に積層された第2絶縁樹脂層と、前記第2絶縁樹脂層に積層された回路層と、を備えた絶縁回路基板の製造方法であって、
前記金属基板の一方の面に、無機フィラー及び熱硬化型樹脂を含有する第1樹脂組成物を介してセラミックス板を積層し、さらに前記セラミックス板の一方の面に無機フィラー及び熱硬化型樹脂を含有する第2樹脂組成物を介して金属片を配置する積層工程と、
積層された前記金属基板、前記第1樹脂組成物、前記セラミックス板、前記第2樹脂組成物、前記金属片を、積層方向に加圧するととともに加熱し、前記第1樹脂組成物及び前記第2樹脂組成物を硬化させて、前記第1絶縁樹脂層及び前記第2絶縁樹脂層を形成するとともに、前記金属基板と前記第1絶縁樹脂層と前記セラミックス板と前記第2絶縁樹脂層と前記金属片を接合する樹脂硬化工程と、
を備えていることを特徴とする絶縁回路基板の製造方法。 - 前記樹脂硬化工程では、硬化前の前記第1樹脂組成物の厚さt01と硬化後の前記第1絶縁樹脂層の厚さt11との比t11/t01及び硬化前の前記第2樹脂組成物の厚さt02と硬化後の前記第2絶縁樹脂層の厚さt12との比t12/t02が0.8以下となるように、積層方向へ加圧することを特徴とする請求項5に記載の絶縁回路基板の製造方法。
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