以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて説明する。
(第1実施形態)(図1乃至図9)
本発明が適用されるキャップ10は、図1に示す如く、容器1の口部2の側に螺着され、本発明のキャップ取付部構造を用いて該容器1の口部2に着脱される。容器1は、洗剤、消毒剤、薬品、化粧品等の液体、粉体、粒体等からなる内容物を収容する。キャップ10は、容器1の口部2に、直に螺着されても良いが、図1に示す本実施形態の如くに注出具3を介して螺着されても良い。
尚、本実施形態では、容器1の口部2、注出具3及びキャップ10は、それらの中心軸を共通軸O上に配置して組立てられる。以下、容器1を正立させた状態で、この共通軸Oに沿う方向を上下方向とし、共通軸Oに沿ってキャップ10の側を上側、容器1の側を下側とする。また、共通軸Oに沿う方向を軸方向と称する。
容器1の口部2にキャップ10を取付けるに際し、注出具3を設けることは必ずしも必要ではないが、容器1からキャップ10への内容物の注出を容易にする点から、容器1の口部2に注出具3を設けることが好ましい。
注出具3は、ポリプロピレン等の合成樹脂成形体からなり、容器1の口部2に打込み又は螺着等されて取付けられ、容器1の内容物を注出可能にする。注出具3は、口部2から内容物の注出を可能とするため、口部2と連通する空隙及び開口を有する。本実施形態において、注出具3は、口部2に取付けられる大径筒部3Aと、後述の外周ねじ部3Cを備える小径筒部3Bを有し、大径筒部3Aと小径筒部3Bの境界部を段差状平面部3Pとしている。注出具3は、嘴状の注出筒等を有しても良い。注出具3は、キャップ10における外筒部20よりも軸方向の上側の内筒部30の内部まで突出するノズル(嘴状の注出筒)を有していても良い。
キャップ10は、ポリプロピレン等の合成樹脂成形体からなり、容器1の口部2に設けた注出具3に取付けられて該注出具3を閉じ、容器1の内容物の注出具3からの注出を停止する。或いは、キャップ10は、注出具3から取外されて該注出具3を開き、容器1の内容物を注出具3から注出可能にしたり、詰め替え用内容物を注出具3から容器1に注入可能にする。
キャップ10は、注出具3から注出される内容物の受入れ容器となって計量機能(計量キャップ)を果たすこともできる。このとき、キャップ10は、受入れた内容物の液面等のレベルを外界から視認できるように、透明体又は半透明体からなることが好ましい。
キャップ10は、容器1の口部2に設けた注出具3の外周ねじ部3Cに螺合する内周ねじ部21を備えた外筒部20と、この外筒部20の内側において筒状壁31と底壁32を備えた有底筒状の内筒部30とを有する。キャップ10は、内筒部30の内部を内容物の計量空間とし、計量機能を果たす。内筒部30は、外筒部20よりも軸方向の上側及び下側に突出している。外筒部20の軸方向に沿う底壁32寄りの端部と、内筒部30における筒状壁31の軸方向に沿う中間部とは、環状壁33によって結合されている。外筒部20と内筒部30の筒状壁31とはそれらの中心軸を同軸配置し、内筒部30は筒状壁31の軸方向の一端を開口部31Aとし、筒状壁31の軸方向の他端に底壁32を設けて、この他端を閉塞している。尚、底壁32は、キャップ10を、容器1の口部2に設けた注出具3に螺着した状態では、キャップ10の天面となる。尚、環状壁33は、デザイン等の理由により、外筒部20との結合は、軸方向に沿う底壁32寄りの端部とは限らず、軸方向に沿う中間部等と結合されていても良い。
キャップ10は、内筒部30における筒状壁31を概ね円筒状の円筒部34とするとともに、該筒状壁31の周方向の一部に、2つの平面35A、35BがV字状に交差したV字状屈曲部35を形成し、このV字状屈曲部35を該内筒部30の軸方向で筒状壁31の一端側から他端側にまで連続形成している。内筒部30内に内容物が注入されて計量等された後は、内筒部30の外筒部20より開口部31A側に形成されたV字状屈曲部35が内容物の注出部36となる。
尚、キャップ10は、内筒部30の環状壁33より底壁32側でV字状屈曲部35を含んでいる外周部を、V字状屈曲部35及び円筒部34が周方向に連続し、後述する専用治具100が係合し得る異形外周部37とする。
キャップ10は、正立させた容器1の口部2に設けた注出具3の外周ねじ部3Cに対し、内筒部30の底壁32を上側に配置させた状態で、外筒部20が備える内周ねじ部21を螺着可能とされる。
しかるに、容器1の口部2に設けた注出具3にキャップ10を着脱する本発明のキャップ取付部構造は、環状体40と専用治具100を用いて以下の如くに構成される。また、環状体40と専用治具100とで、容器1の口部2の側に螺着されるキャップ10の取り外しを抑制するキャップ取り外し抑制具が構成される。
環状体40は、図2に示す如く、容器1の口部2に設けた注出具3に螺着されたキャップ10の外周を覆う円筒状をなし、該キャップ10の周囲に回転自在に設けられる。このとき、環状体40とキャップ10との間には、環状空間Sが形成されるものになる。
環状体40は、具体的には、ポリプロピレン等の合成樹脂成形体からなり、図3に示す如く、上端を全面開放(又は一部開放でも可)した円筒部41と、円筒部41の下端には内径側に張り出るフランジ状係入部42とを備える。本実施形態では、フランジ状係入部42が円筒部41の下端において、全周に渡って張り出している。
ここで、キャップ10は、容器1の口部2に設けた注出具3の外周ねじ部3Cに外筒部20の内周ねじ部21が螺着されたとき、図1に示す如く、外筒部20の下端が注出具3の段差状平面部3Pとの間に一定の隙間Gを形成する。即ち、本実施形態において、上記隙間Gは、本発明におけるキャップ10の下端が容器1との間に形成する「隙間」に相当する。これにより、環状体40は、図2に示す如く、容器1の口部2の側に上述の如くに螺着されたキャップ10における外筒部20の下端が注出具3の段差状平面部3Pとの間に形成する上述の隙間Gに、上述のフランジ状係入部42が回転自在に係入されて組立てられる。フランジ状係入部42の厚さは、隙間Gの長さに比べて小さく形成されている。
従って、容器1の製造段階等で行なわれる、注出具3とキャップ10と環状体40の上述の組立ては、図4に示す如く、以下の手順でなされる。尚、注出具3を具備しない場合には、容器1の口部2に対し、キャップ10と環状体40とを直接組立てる。
(1)注出具3の小径筒部3Bの周囲に装填される環状体40における円筒部41の下端に備えたフランジ状係入部42を注出具3の段差状平面部3Pの上に着座させる。
(2)キャップ10の内筒部30における底壁32寄りの端部を特殊用具(専用治具100でも可)に把持した状態で、このキャップ10を環状体40の内部において注出具3の側に挿入し、キャップ10の外筒部20が備える内周ねじ部21を注出具3の小径筒部3Bが備える外周ねじ部3Cに螺着する。尚、キャップ10を環状体40の内部に挿入するだけであれば、特殊用具は用いず、直接挿入しても良い。
(3)キャップ10と注出具3の寸法関係は、キャップ10の外筒部20が注出具3の外周ねじ部3Cに締結端まで螺着される組立完了状態で、外筒部20の下端が注出具3の段差状平面部3Pとの間に一定の隙間G(環状体40のフランジ状係入部42を挟着しない大きさの隙間)を形成するように設定されている。これにより、環状体40のフランジ状係入部42は上述の隙間Gに回転自在に係入されるものになる。
上述(3)の注出具3とキャップ10と環状体40の組立完了状態で、環状体40円筒部41は、注出具3に螺着されたキャップ10の上端よりも高い位置(図2における高さΔH分)まで延在されるように、円筒部41の高さHを設定してある。手指でキャップ10をつまんで回転操作しにくくするためであり、円筒部41の高さHはその全周でキャップ10の上端よりも高いことが好ましいが、その周方向の一部でキャップ10の上端より高いものでも良い。また、キャップ10と環状体40の間に手指が入る隙間がほとんどない場合(図11のキャップ10)等では、手指でキャップ10をつまみにくい状況となることから、キャップ10の上端のほうが多少高い、又は上述のΔH=0もあり得る。
専用治具100は、図5乃至図7に示す如く、環状体40とキャップ10との間の環状空間Sに挿入され、キャップ10の外周とその周方向に係合する。本実施形態では、専用治具100は、環状体40とキャップ10における内筒部30の異形外周部37との間の環状空間Sに挿入され、この異形外周部37と周方向に係合してキャップ10を螺動可能にする。即ち、専用治具100を掴んで回転操作することによって、キャップ10の外筒部20が備える内周ねじ部21を注出具3の外周ねじ部3Cに螺動でき、キャップ10を注出具3に対して着脱できる。
専用治具100は、具体的には、図8に示す如く、概ね円環状をなす環状把持部101を上端に備え、その環状把持部101の外周寄り下端面から下方に垂設されて延在する円筒状の筒状スカート部102を備えるとともに、この環状把持部101の内周寄り下端面から下方に垂設されて延在する概ね円筒状の筒状係合部103を備える。環状把持部101の外周径は環状体40の外周径より大きく、筒状スカート部102の外周径は環状体40の内周径より僅かに小さく、筒状係合部103の内周径はキャップ10の異形外周部37に摩擦接触できる程度とされる。環状把持部101からの筒状スカート部102の垂設長さL1と、環状把持部101からの筒状係合部103の垂設長さL2はL1>Lである。
専用治具100の環状把持部101は、平坦状の上面を有するとともに、丸み状の面取りが付与された外周を有し、使用者の手指で外周の複数箇所を把持され、筒状スカート部102と筒状係合部103を環状体40とキャップ10との間の上述の環状空間Sに挿入する。環状把持部101の外周には凹凸やローレットによる指掛け部を形成しても良い。専用治具100は、環状把持部101を用いた環状空間Sへの挿入過程で、まず筒状スカート部102を環状体40の内周に全周で遊挿される。そして該専用治具100を環状体40及びキャップ10と同軸配置し、続いて筒状係合部103が後述する如くに備える異形内周部104におけるV字状屈曲部104Bの周方向位置をキャップ10の異形外周部37におけるV字状屈曲部35に合致し得る回転角度位置に設定した状態とし、該筒状係合部103の異形内周部104をキャップ10の異形外周部37に押し込んで該異形外周部37と周方向に係合させる。環状把持部101を用いた上述の筒状スカート部102と筒状係合部103の挿入ストローク端は、環状把持部101の外周寄りの下端面が環状体40における円筒部41の上端面に当接し、又は筒状スカート部102の下端面がキャップ10の環状壁33に当接することにより規制できる。
専用治具100の筒状スカート部102は、筒状係合部103の異形内周部104がキャップ10の異形外周部37に係合する回転角度位置に設定された上述の挿入ストローク端で、キャップ10の異形外周部37に表示されている計量目盛M(図9参照)を後述する如くに視認可能にするための切欠部102Aを下端側の周方向適宜位置に備える。
専用治具100の筒状係合部103は、キャップ10の異形外周部37に押し込まれて該異形外周部37と周方向に係合するとき、該異形外周部37に対し、全周を取り囲み、係合し得るように、該異形外周部37が円筒部34とV字状屈曲部35を周方向に連続してなる輪郭と概ね同一の輪郭をもつ異形内周部104を備える。このとき、専用治具100の筒状係合部103は、キャップ10の異形外周部37を全周で取り囲むにあたり、キャップ10の異形外周部37と全周で隙間なく接触する必要はない。即ち、筒状係合部103の異形内周部104は、キャップ10の異形外周部37が有する円筒部34及びV字状屈曲部35と当接して係合し得るものであり、概ね円筒状をなす円筒部104A及びV字状屈曲部104Bを周方向に連続して備える。
専用治具100は、環状把持部101の上面視で、異形内周部104におけるV字状屈曲部104Bの設置位置と同一角度位置に相当する環状把持部101の周方向位置に、V字係合位置表示部104Kを設けている。V字係合位置表示部104Kは、環状把持部101の上面に穿設したV字状孔部101Aにより形成される。V字係合位置表示部104Kは、筒状係合部103が備える異形内周部104におけるV字状屈曲部104Bの周方向位置をキャップ10の異形外周部37におけるV字状屈曲部35に合致し得る回転角度位置に設定することを視覚的に分かり易くしている。
専用治具100の筒状係合部103は、異形内周部104を有すると同時に、摩擦係合部105を有する。本実施形態の筒状係合部103では、異形内周部104のうちでキャップ10の異形外周部37と摩擦係合する部分が、部分的に摩擦係合部105とされる。即ち、筒状係合部103はその周方向の複数位置に、環状把持部101の下端面との付け根、又はその付け根の近傍を始点とし、その垂設長さL2の垂設端を終点とする一定範囲に渡るスリット106を設け、それらの相隣るスリット106に挟まれる舌片部105Aを備える。環状把持部101の下端面に片持ち状態で垂設された各舌片部105Aが隣接する他の舌片部105Aとともに形成する摩擦係合部105の内周径は、自由状態でキャップ10の異形外周部37の外周径よりも小径とされ、しかも、各舌片部105Aはスリット106によって互いに分離されていて筒状係合部103の径方向に弾性変形できる。従って、専用治具100の筒状係合部103は、キャップ10の異形外周部37に押し込まれるとき、各舌片状摩擦係合部105の各舌片部105Aがキャップ10の異形外周部37に弾発的に接して摩擦係合する。
尚、筒状係合部103の摩擦係合部105を形成することになる各舌片部105Aの内周面には、該筒状係合部103の垂設方向に沿って延在するとともに、該筒状係合部103の内方に向けて突出し、キャップ10の異形外周部37に圧接する突状リブ107を備える。突状リブ107は、キャップ10の異形外周部37に接する摩擦係合部105の摩擦係合力を高める。
また、筒状係合部103における各舌片部105Aの背面の一部には、板片状等からなる支持リブ108が該筒状係合部103の垂設方向に沿って接合される。各支持リブ108は環状把持部101及び筒状スカート部102に接合されて各舌片部105Aを径方向に支持する。
従って、専用治具100の筒状係合部103は、異形内周部104と摩擦係合部105を共にキャップ10の異形外周部37と係合し、該キャップ10の外周とその周方向に確実に係合するものになる。
尚、専用治具100は、筒状スカート部102の内周面の周方向複数位置(本実施形態では直径方向で相対する2位置)に、キー状係合部109を備える。キー状係合部109については、第2実施形態にて詳述する。
専用治具100によるキャップ10の着脱手順は以下の通りになる。
(A)専用治具100によるキャップ10の取外し手順
(1)専用治具100が備える環状把持部101の外周を把持し、筒状スカート部102及び筒状係合部103をキャップ10と環状体40との間の環状空間Sに挿入する。このとき、筒状スカート部102は環状体42の内周面に倣って専用治具100を環状体40及びキャップ10に対して同軸化するとともに、環状把持部101の上面に設けてあるV字係合位置表示部104K(V字状孔部101A)をガイドとし、V字係合位置表示部104Kに対応する異形内周部104のV字状屈曲部104Bの周方向位置をキャップ10の異形外周部37におけるV字状屈曲部35に合致し得る回転角度位置に設定し、筒状スカート部102及び筒状係合部103を上述の如くに環状空間Sに挿入する。
環状把持部101による上述の挿入過程では、筒状係合部103の異形内周部104がキャップ10の異形外周部37に押し込まれて係合され、該異形外周部37と周方向に係合する。このとき、筒状係合部103の摩擦係合部105もキャップ10の異形外周部37に押し込まれて嵌合され、該異形外周部37に弾発的に接して摩擦係合する。
(2)環状把持部101を掴んで該環状把持部101をキャップ10の取外し方向に回転することにより、該環状把持部101の回転力が筒状係合部103の異形内周部104、摩擦係合部105を介してキャップ10に伝えられ、キャップ10は専用治具100とともに取外し方向に螺動されて容器1の口部2に設けた注出具3の外周ねじ部3Cとの螺着を解かれ、該注出具3から取外される。
環状把持部101の回転による上述のキャップ10と注出具3との螺着が解かれた後、環状把持部101を用いて筒状スカート部102、筒状係合部103を前述の環状空間Sから引き抜くと、筒状係合部103の摩擦係合部105に弾発的に接していることによって該筒状係合部103に保持されているキャップ10が専用治具100とともに該環状空間Sから引き抜かれる。これにより、キャップ10の取外しが完了する。
(3)環状空間Sから引き抜かれたキャップ10及び専用治具100を上下反転し、図9に示す如く、環状把持部101の平坦状上面を下にして、手指で保持又はテーブルに置く等の状態下で、環状体40を外した容器1の内容物が注出具3からキャップ10の内筒部30内に注出されて計量される。このとき、キャップ10の内筒部30が有する異形外周部37に表示されている計量目盛Mを、筒状スカート部102の切欠部102Aから視認することができる。
尚、注出具3との螺着が解かれたキャップ10は、専用治具100の筒状係合部103による保持も解かれて専用治具100から分離された状態で注出具3から取外されても良い。また、容器1の内容物をキャップ10の内筒部30内に注出して計量する際、キャップ10は専用治具100から分離された状態としても良い。また、キャップ10を容器1の内容物の計量に用いず、容器1から直接使用先に対して注出しても良い。
(B)専用治具100によるキャップ10の取付手順
(1)容器1の口部2に設けた注出具3から一旦取外されたキャップ10を再び該注出具3に取付けるときには、一方の手指で専用治具100における環状把持部101の外周を把持し、筒状係合部103の異形内周部54及び摩擦係合部55を、他方の手指に把持したキャップ10の異形外周部37に対して前述(A)におけるキャップ10の取外し時におけると同様に押し込んで該異形外周部37と係合させる。これにより、専用治具100にキャップ10が保持される。
(2)注出具3の小径筒部3Bの周囲に装填される環状体40における円筒部41の下端に備えたフランジ状係入部42を注出具3の段差状平面部3Pの上に着座させる。
(3)環状把持部51を把持したまま、専用治具100に保持されたキャップ10を、容器1の口部2に設けた注出具3の段差状平面部3Pの上に着座されている環状体40の内部に挿入する。更に、専用治具100に保持されたキャップ10の外筒部20が備える内周ねじ部21を、注出具3の外周ねじ部3Cに位置合せしつつ、環状把持部101を掴んで該環状把持部101をキャップ10の取付方向に回転する。これにより、環状把持部101の回転力が筒状係合部103の異形内周部104、摩擦係合部105を介してキャップ10に伝えられ、キャップ10は専用治具100とともに取付方向に螺動されて容器1の口部2に設けた注出具3の外周ねじ部3Cに螺着され、該注出具3に取付けられる。
環状把持部101の回転による上述のキャップ10の取付け後、環状把持部101を用いて筒状スカート部102、筒状係合部103を前述の環状空間Sから引き抜けば、専用治具100はキャップ10から離脱される。これにより、キャップ10の取付けが完了する。
本実施例によれば、以下の作用効果を奏する。
(a)容器1の口部2の側に螺着されたキャップ10は、該キャップ10の周囲に回転自在に設けられた環状体40によってその外周を覆われている。従って、認知症の人や乳幼児等に限らず、どんな人であっても、キャップ10を直接回転操作できないだけでなく、環状体40をいか様に操作しようとしても該環状体40のみが空転するに過ぎず、キャップ10自体は回転しない。
一方、専用治具100の存在があるときには、環状体40とキャップ10との間の環状空間Sに挿入した専用治具100を該キャップ10の外周とその周方向に係合し、その後、専用治具100を掴んで回すことにて該専用治具100の回転力を該キャップ10に伝え、該キャップ10を該専用治具100の回転とともに螺動できる。
即ち、環状体40が装着された容器1は、専用治具100の存在なしでは、キャップ10を螺動できず、該キャップ10を容器1の口部2の側に取付けることも、取り外すことも容易にはできない。
従って、認知症の人や乳幼児等が環状体40をどんなにいじっても、キャップ10を容器1の口部2の側から容易には取り外すことはできず、内容物を徒らに注出したり、誤飲する等を防止できる。
また、どんな人であっても、専用治具100の存在がない限り、キャップ10を容器1の口部2から容易には取り外すことはできず、内容物を不正に注出する等を防止できる。
(b)専用治具100の筒状係合部103が、キャップ10の外周に対し、全周を取り囲み、係合される。従って、専用治具100は、キャップ10の外周の周方向の全域に安定的に係合し、該専用治具100を掴んで回すことにて該専用治具100の回転力を該キャップ10の全周に渡り安定的に伝え、該キャップ10を該専用治具100の回転とともに確実に螺動できる。
(c)専用治具100は、環状体40の内周に全周で遊挿される。従って、専用治具100は、環状体40の内部への挿入初期段階で環状体40の内周に遊挿されつつガイドされ、キャップ10に同軸化されて挿入され、キャップ10の外周にスムースに係合開始される。また、キャップ10を専用治具100により、容器1の口部2の側に取付け及び取り外しをする際、スムースに回転することができる。
(d)環状体40が、容器1の口部2の側に螺着されたキャップ10の上端よりも高い位置(図2に示したΔH分)まで延在される。従って、キャップ10は環状体40に覆われていてその上端を該環状体40よりも低位置に配置される。従って、そのようなキャップ10を環状体40の外から一層つまみ難くし、又は該キャップ10を回転操作可能にする程度に該キャップ10をしっかりとつまむことはできず、キャップ10は確実に環状体40に覆われて直接の回転操作を一層防止する。
(e)環状体40は、容器1の口部2の側に螺着されたキャップ10の下端が容器1との間に形成する隙間Gに回転自在に係入される係入部42を備える。環状体40を簡易な構造によって、キャップ10の周囲に回転自在に設けることができる。
(f)専用治具100は、キャップ10の異形外周部37に係合する異形内周部104を備える。専用治具100は、キャップ10の異形外周部37を利用して簡易かつ確実に、該キャップ10の外周とその周方向に係合し得るものになる。
(g)専用治具100は、キャップ10の外周に弾発的に接して摩擦係合する摩擦係合部105を内周に備える。専用治具100は、簡易かつ確実に、キャップ10の外周とその周方向に係合し得るものになる。
(第2実施形態)(図10乃至図15)
第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、本発明のキャップ取付部構造を第1実施形態のキャップ10に代わるキャップ50に適用するため、専用治具100が備えるキー状係合部109を用いたことにある。
キャップ50は、図10、図11に示す如く、容器1の口部2に設けた注出具3の外周ねじ部3Cに螺合する内周ねじ部61を備えた外筒部60と、この外筒部60の内側において筒状壁71と底壁72を備えた有底筒状の内筒部70とを有する。内筒部70は、外筒部60よりも軸方向の上側及び下側に突出している。外筒部60の軸方向に沿う底壁72寄りの端部と、内筒部70における筒状壁71の軸方向に沿う中間部とは、環状壁73によって接合されている。外筒部60と内筒部70の筒状壁71とはそれらの中心軸を同軸配置し、内筒部70は筒状壁71の軸方向の一端を開口部71Aとし、筒状壁71の軸方向の他端に底壁72を設けて、この他端を閉塞している。尚、底壁72は、キャップ10を、容器1の口部2に設けた注出具3に螺着した状態では、キャップの10の天面となる。
キャップ50は、内筒部70における筒状壁71の外周の周方向複数位置(本実施形態では直径方向で相対する2位置)に、筒状壁71の軸方向の中間部から底壁72に至るまでの範囲に渡るキー溝状係合部74を設けている。キー溝状係合部74の横断面は四角溝状をなす。
キャップ50は、正立させた容器1の口部2に設けた注出具3の外周ねじ部3Cに対し、内筒部70の底壁72を上側に配置させた状態で、外筒部60が備える内周ねじ部61を螺着可能とされる。
しかるに、容器1の口部2に設けた注出具3にキャップ50を着脱する本発明のキャップ取付部構造は、図12乃至図15に示す如く、第1実施形態におけると同様の環状体40と専用治具100を用いて以下の如くに構成される。
即ち、容器1の口部2に設けた注出具3に上述の如くに螺着されたキャップ50における外筒部60の下端は、図11に示す如く、注出具3の段差状平面部3Pとの間に一定の隙間Gを形成する。そして、環状体40が、第1実施形態におけると同様に、上記キャップ50の外周を覆うように該キャップ50の周囲に円筒部41を配置するとともに、この円筒部41の下端に備えてあるフランジ状係入部42を上記隙間Gに回転自在に係入させて組立てられる。このとき、環状体40とキャップ50との間には、環状空間Sが形成されるものになる。
注出具3とキャップ50と環状体40の上述の組立完了状態で、環状体40の円筒部41は、注出具3に螺着されたキャップ50の上端よりも高い位置(図11における高さΔH分)まで延在されるように、円筒部41の全高さHを設定してある。
一方、専用治具100は、第1実施形態において前述した通り、図8に示す如く、環状把持部101、筒状スカート部102及び筒状係合部103を備えるとともに、筒状スカート部102の内周面の周方向複数位置(本実施形態では直径方向で相対する2位置)に、キャップ50における内筒部70のキー溝状係合部74と凹凸係合し得るキー状係合部109を備える。キー状係合部109は、四角棒状の横断面をなし、環状把持部101の下端面から筒状スカート部102の下端面に至るまでの該筒状スカート部102の内周面における軸方向の全長に渡る範囲に接合されて延在される。キー状係合部109は環状把持部101の下端面から筒状係合部103の下端面に渡る範囲においては、該筒状係合部103の外周面にも接合される。
専用治具100は、環状把持部101の上面視で、環状スカート部102におけるキー状係合部109の設置位置と同一角度位置に相当する環状把持部101の周方向位置に、凹凸係合位置表示部109Kを設けている。凹凸係合表示部109Kは、環状把持部101の上面に穿設した矩形状孔部101Bにより形成される。
従って、専用治具100は、専用治具100が備える環状把持部101の外周を把持し、筒状スカート部102をキャップ50と環状体40との間の環状空間Sに挿入する。このとき、筒状スカート部102は環状体42の内周面に遊挿されて専用治具100を環状体40及びキャップ50に対して同軸化されるとともに、環状把持部101の上面に設けてある凹凸係合位置表示部109K(矩形状孔部101A)をガイドとし、凹凸係合位置表示部109Kに対応するキー状係合部109の周方向位置をキャップ50のキー溝状係合部74に合致し得る回転角度位置に設定した状態で、筒状スカート部102をキャップ50と環状体40との間の環状空間Sに挿入する。そして、この筒状スカート部102の挿入過程で、筒状スカート部102の内周に備えるキー状係合部109をキャップ50における内筒部70の外周に設けてあるキー溝状係合部74に押し込んで凹凸係合させ、キャップ50の外周とその周方向に係合する。環状把持部101を用いた上述の筒状スカート部102の挿入ストローク端は、筒状係合部103の下端面がキャップ50における内筒部70の底壁72に当接することにより規制できる。尚、この挿入ストローク端は、キー状係合部109の下端がキー溝状係合部74の下端に当たることによっても規制できる。これにより、環状把持部101を掴んで該環状把持部101をキャップ50の取外し方向に回転することにより、キャップ50は取外し方向に螺動され、容器1の口部2に設けた注出具3の外周ねじ部3Cとの螺着を解かれ、該注出具3から取外される。その後、環状把持部101を用いて筒状スカート部102を環状空間Sから引き抜くと、キー状係合部109との凹凸係合によって筒状スカート部102に保持されているキャップ50が、専用治具100とともに環状空間Sから取り出される。これにより、キャップ50の取外しが完了する。
また、容器1の口部2に設けた注出具3から一旦取外されたキャップ50を再び該注出具3に取付けるときには、専用治具100の筒状スカート部102をキャップ50における内筒部70の周囲にかぶせつつ、筒状スカート部102のキー状係合部109をキャップ50における内筒部70の外周のキー溝状係合部74に押し込んで凹凸係合させる。これによってこの専用治具100に保持されたキャップ50を、容器1の口部2に設けた注出具3の段差状平面部3Pの上に着座されている環状体40の内部に挿入し、環状把持部101を掴んで該環状把持部101をキャップ50の取付方向に回転することにより、キャップ50は取付方向に螺動され、該キャップ50の外筒部60が備える内周ねじ部61を注出具3の外周ねじ部3Cに螺着する。このようにして注出具3に螺着されたキャップ50の下端と注出具3の段差状平面部3Pとの間に形成する隙間Gに環状体40のフランジ状係入部42が係入される。これにより、環状体40はキャップ50を覆い、かつ該キャップ50の周囲に回転自在に設けられる。その後、環状把持部101を用いて筒状スカート部102を環状空間Sから引き抜けば、専用治具100はキャップ50から離脱され、注出具3へのキャップ50の取付けが完了する。
従って、第2実施形態による場合にも、第1実施形態におけると同様の作用効果を奏する。
特に、第2実施形態にあっては、専用治具100は、キャップ50の外周部に設けられているキー溝状係合部74に凹凸係合するキー状係合部109を備える。専用治具100は、キャップ50のキー溝状係合部74を利用して簡易かつ確実に、該キャップ50の外周とその周方向に係合し得るものになる。
尚、専用治具100は、異形外周部37を備えたキャップ10と、キー溝状係合部74を備えたキャップ50に対する兼用となる。
以下、専用治具100の変形例としての専用治具200、300、400について説明する。
尚、専用治具200乃至400において、専用治具100におけると実質的に同一部分は同一符号を付して説明を省略する。
図16に示した専用治具200が図8に示した専用治具100と異なる点は、専用治具100におけるキー状係合部109を撤去し、筒状スカート部102と筒状係合部103の間に、環状把持部101の下端面から垂設される摩擦係合部201を設けたことにある。摩擦係合部201は、不図示の大径丸キャップの外周に押し込まれ、弾発的に接して摩擦係合する。摩擦係合部201は、その周方向の複数位置に、環状把持部101の下端面との付け根、又はその付け根の近傍を始点とし、その垂設長さの垂設端を終点とする一定範囲に渡るスリット202を設け、それらの相隣るスリット202に挟まれる舌片部201Aを備える。環状把持部101の下端面に片持ち状態で垂設された各舌片部201Aが形成する摩擦係合部201の内周径は、自由状態で大径丸キャップの外周径よりも小径とされ、しかも各舌片部201Aはスリット202によって互いに分離されていて摩擦係合部201の径方向に弾性変形できる。従って、専用治具200の摩擦係合部201は、大径丸キャップの外周に押し込まれるとき、各舌片部201Aが大径丸キャップの外周に弾発的に接して摩擦係合する。
尚、大径丸キャップの外周に弾発的に接して摩擦係合することとなる各舌片部201Aの内面には、摩擦係合部201の垂設方向に沿って延在するとともに、該摩擦係合部201の内方に向けて突出し、大径丸キャップの外周に圧接する突状リブ201Bを備える。突状リブ201Bは、大径丸キャップの外周に接する摩擦係合部201の摩擦係合力を高める。
従って、専用治具200の摩擦係合部201は、大径丸キャップの外周の全周に嵌合し、該大径丸キャップの内周とその周方向に確実に係合するものになる。即ち、専用治具200は、異形外周部37を備えたキャップ10と、大径丸キャップの双方に兼用となる。
図17に示した専用治具300は、環状把持部101に、筒状スカート部102と、図16に示した専用治具200における摩擦係合部201とを垂設して備えるものとし、筒状係合部103、キー状係合部109を撤去したものである。専用治具300は、大径丸キャップ専用になる。
図18に示した専用治具400は、環状把持部101に、筒状スカート部102と筒状係合部103とを垂設して備えるものとし、キー状係合部109を撤去したものである。専用治具400は、筒状スカート部102と筒状係合部103を一体化したものであり、筒状係合部103に該当する箇所が上端面から下端面まで貫通する貫通穴103Hを複数具備することで、樹脂量を削減し、軽量化を施したものである。尚、筒状係合部103は、スリット106を備えず、異形内周部104と摩擦係合部105を環状に連続している。即ち、専用治具400は、環状に連続されてなる異形内周部104及び摩擦係合部105を有し、異形外周部37を備えたキャップ10の専用になる。