JP2018134753A - 抗ウィルス性フィルム及び該抗ウィルス性フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】抗菌性、抗ウィルス性等の効果に優れるとともに、透明性等、基材であるフィルムの特性をそのまま維持することが可能な抗ウィルス性フィルムを提供する。【解決手段】基材となるフィルム上に、Cu及びPdのうち、少なくとも1種の金属からなる金属粒子が島状に散在していることを特徴とする抗ウィルス性フィルム。【選択図】 図1
Description
本発明は、抗ウィルス性フィルム及び該抗ウィルス性フィルムの製造方法に関する。
近年、病原体である種々の微生物を媒介とした感染症が短時間で急激に広がる、いわゆる「パンデミック」が問題になっており、SARS(重症急性呼吸器症候群)や、ノロウィルス、鳥インフルエンザ等のウィルス感染による死者も報告されている。
そこで、様々なウィルスに対して抗ウィルス効果を発揮する抗ウィルス剤の開発が活発に行われており、実際に様々な部材に抗ウィルス効果のあるPd等の金属や有機化合物からなる抗ウィルス剤を含む樹脂等を塗布したり、抗ウィルス剤が担持された材料を含む部材を製造することが行われている。
特許文献1には、有効成分としてPd及び/又はその酸化物を含有する抗ウィルス剤が開示されており、具体的には、Pd粒子を、基体である他の金属や、金属酸化物、無機化合物の表面に付着させたり、各種のポリマーに充填したり、ポリマーの表面や、ポリマーを紡糸した繊維表面に付着させて用いることが開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載された抗ウィルス剤が用いられた抗ウィルス部材を、フィルムに適用しようとすると、以下のような問題があった。
すなわち、上記抗ウィルス剤のPdをポリマー等の樹脂に混入してフィルムの表面に塗布すると、Pdの樹脂表面に露出している割合が少ないため、ウィルスと接触する機会が少なくなり、抗ウィルス効果を充分に発揮することができなかった。また、樹脂表面のエッチング処理等を行うことにより、親水化し、Pdを担持する方法も記載されているが、フィルムを使用した場合には、フィルム表面の粗化や金属膜の形成により、透明性を維持することが難しかった。
すなわち、上記抗ウィルス剤のPdをポリマー等の樹脂に混入してフィルムの表面に塗布すると、Pdの樹脂表面に露出している割合が少ないため、ウィルスと接触する機会が少なくなり、抗ウィルス効果を充分に発揮することができなかった。また、樹脂表面のエッチング処理等を行うことにより、親水化し、Pdを担持する方法も記載されているが、フィルムを使用した場合には、フィルム表面の粗化や金属膜の形成により、透明性を維持することが難しかった。
また、Pdを金属酸化物、無機化合物の表面に付着させたものや、ポリマーを紡糸した繊維表面にパラジウムを付着させたものを用いる場合には、フィルム化することが難しかった。また、フィルムにこれらの部材を接着することも難しく、フィルムにこれらの部材を接着させても、剥離しやすかった。さらに、フィルムの可視光透過性が大きく減少するため、透明性が要求されるタッチパネル用の保護フィルム、ディスプレイ用のフィルム、窓ガラス等に使用することが難しいという問題があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、抗菌性、抗ウィルス性等の効果に優れるとともに、透明性等、基材であるフィルムの特性をそのまま維持することが可能な抗ウィルス性フィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の抗ウィルス性フィルムは、基材となるフィルム上に、Cu及びPdのうち、少なくとも1種の金属からなる金属粒子が島状に散在していることを特徴とする。
本発明の抗ウィルス性フィルムでは、基材となるフィルム上に、Cu及びPdのうち、少なくとも1種の金属からなる金属粒子が島状に散在しており、セラミック粒子や他の樹脂成分等の余分な成分をフィルム上に含有しない。また、抗菌性、抗ウィルス性等の効果に優れる金属粒子がフィルム表面に固定され、大気中に露出しているので、細菌、ウィルスと接触しやすい。このため、本発明の抗ウィルス性フィルムは、抗菌性、抗ウィルス性を効率よく発揮することができる。さらに、上記金属粒子が島状に散在しているため、フィルム表面に、金属粒子が存在せずフィルム表面が露出している部分が存在し、可視光線の透過率が低下するなど不都合を防止することができる。
本明細書において、上記金属粒子とは、金属からなるひとかたまりの物体をいい、その形状は問わない。また、本明細書において、島状とは、フィルム上の金属粒子が他の金属粒子と接触しない孤立した状態で存在していることをいう。島状に散在している金属粒子の形状は特に限定されず、その輪郭を平面視した際、円形、楕円形等の曲線から構成される形状であってもよく、多角形等の形状であってもよく、円形、楕円形等が細い部分を介して繋がり合ったような形状であってもよい。
なお、「本明細書において」と記載している場合には、本発明の抗ウィルス性フィルム、第一の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法、及び、第二の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法に共通した事項をいうものとする。
なお、「本明細書において」と記載している場合には、本発明の抗ウィルス性フィルム、第一の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法、及び、第二の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法に共通した事項をいうものとする。
本発明の抗ウィルス性フィルムでは、上記金属粒子の上記フィルムの表面からの高さは、10μm以内であり、上記金属粒子の上記フィルムの表面に平行な方向の最大幅は、0.01〜50μmであることが望ましい。
本発明の抗ウィルス性フィルムにおいて、金属粒子のフィルムの表面からの高さが10μm以内であり、金属粒子の厚さが非常に薄いので、金属粒子が島状に散在し易く、抗菌性、抗ウィルス性等の効果が発生し易い。また、上記金属粒子の上記フィルムの表面に平行な方向の最大幅を0.01〜50μmとすることにより、全光線透過率の低下を抑制することができる。
本発明の抗ウィルス性フィルムでは、上記金属粒子は、上記フィルムの表面に直接接触していることが望ましい。
本発明の抗ウィルス性フィルムにおいて、上記金属粒子が上記フィルムの表面に直接接触しており、金属粒子を担持する物質が存在しないと、フィルム上に形成された金属粒子が直接大気中に露出することとなり、抗菌性、抗ウィルス性等の効果が発生し易く、かつ、可視光線の透過率の低下を抑制することができる。また、金属粒子がフィルム表面に接触しているので、フィルムと金属粒子との密着性が高くなる。
本発明の抗ウィルス性フィルムにおいて、上記金属粒子が上記フィルムの表面に直接接触しており、金属粒子を担持する物質が存在しないと、フィルム上に形成された金属粒子が直接大気中に露出することとなり、抗菌性、抗ウィルス性等の効果が発生し易く、かつ、可視光線の透過率の低下を抑制することができる。また、金属粒子がフィルム表面に接触しているので、フィルムと金属粒子との密着性が高くなる。
本発明の抗ウィルス性フィルムでは、上記金属粒子は、Cu及びPdからなることが望ましい。
本発明の抗ウィルス性フィルムにおいて、上記金属粒子がCu及びPdからなると、2種類の金属が互いに接触した状態の金属粒子が形成されるので、金属の電子状態が金属単独の粒子である場合と異なることとなり、抗菌性、抗ウィルス性等の効果が増大する。
本発明の抗ウィルス性フィルムにおいて、上記金属粒子がCu及びPdからなると、2種類の金属が互いに接触した状態の金属粒子が形成されるので、金属の電子状態が金属単独の粒子である場合と異なることとなり、抗菌性、抗ウィルス性等の効果が増大する。
本発明の抗ウィルス性フィルムでは、上記金属粒子は、Pd粒子とそれを被覆するように付着しているCuとからなることが望ましい。
本発明の抗ウィルス性フィルムにおいて、上記金属粒子が、Pd粒子とそれを被覆するように付着しているCuとからなると、周囲の大気と接触する金属の大部分は、Cuであるが、Cuが電気陰性度の高いPdと接触しているので、Cuは正電荷を帯び易くなり、抗菌性、抗ウィルス性等の効果が増大する。
本発明の抗ウィルス性フィルムでは、全光線透過率が60%以上であることが望ましく、全光線透過率が80%以上であることがより望ましい。
全光線透過率Ttとは、透明プラスチックの可視光線及び紫外線における光線透過度のことであり、可視光線と紫外線についての試験がある。ヘーズ値が小さい場合、試験は積分球式光線透過率測定装置を用い、可視光線及び紫外線について入射光量T1と試験片を通った全光量T2との比を百分率で示す。
Tt(%)=(T2/T1)×100
全光線透過率Ttとは、透明プラスチックの可視光線及び紫外線における光線透過度のことであり、可視光線と紫外線についての試験がある。ヘーズ値が小さい場合、試験は積分球式光線透過率測定装置を用い、可視光線及び紫外線について入射光量T1と試験片を通った全光量T2との比を百分率で示す。
Tt(%)=(T2/T1)×100
なお、本発明において、全光線透過率は、JIS K 7375 :2008 プラスチック 全光線透過率及び全光線反射率の求め方に準じて測定し、得られた測定結果を全光線透過率とする。
本発明の抗ウィルス性フィルムにおいて、全光線透過率が60%以上であると、光線を透過するので、光の透過性を利用した用途に用いることができる。また、全光線透過率が80%以上であると、透明性に優れているので、保護フィルムやディスプレイ用のフィルム等、種々の用途に使用することができる。
第一の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法は、上記した抗ウィルス性フィルムの製造方法であって、基材となるフィルム表面に、Cu及びPdのうち、少なくとも1種の金属若しくは上記金属の化合物又は上記金属若しくは上記金属の化合物を含有する分散媒を散布する散布工程を含むことを特徴とする。
第一の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法においては、フィルム表面に上記金属若しくは上記金属の化合物又は上記金属若しくは上記金属の化合物を含有する分散媒を散布することにより、上記金属粒子が上記フィルム表面に直接密着したフィルムを製造することができ、フィルム上に形成された金属粒子は、直接大気中に露出することとなり、抗菌性、抗ウィルス性等の効果が発生し易い。また、散布法を採用することにより、フィルム上に島状に散在した金属粒子を形成し易く、透明性に優れ、かつ、抗菌性、抗ウィルス性を有する抗ウィルス性フィルムを製造することができる。
なお、上記金属若しくは上記金属の化合物を含有する分散媒とは、Cu及びPdのうち、少なくとも1種の金属若しくは上記金属の化合物を含有する分散媒を意味する。
なお、上記金属若しくは上記金属の化合物を含有する分散媒とは、Cu及びPdのうち、少なくとも1種の金属若しくは上記金属の化合物を含有する分散媒を意味する。
第二の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法は、上記した抗ウィルス性フィルムの製造方法であって、基材となるフィルム表面に、Cu及びPdのうち、少なくとも1種の金属若しくは上記金属の化合物又は上記金属若しくは上記金属の化合物を含有する分散媒を転写する転写工程を含むことを特徴とする。
第二の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法においては、フィルム表面に上記金属若しくは上記金属の化合物又は上記金属若しくは上記金属の化合物を含有する分散媒を転写することにより、上記金属粒子が上記フィルム表面に直接密着したフィルムを製造することができ、フィルム上に形成された金属粒子は、直接大気中に露出することとなり、抗菌性、抗ウィルス性等の効果が発生し易い。また、転写法を採用することにより、フィルム上に島状に散在した金属粒子を形成し易く、透明性に優れ、かつ、抗菌性、抗ウィルス性を有する抗ウィルス性フィルムを製造することができる。
上記本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法では、さらにめっき工程を含むことが望ましい。
上記本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法において、めっき工程を行うことにより、Pd粒子を被覆するようにCuをPd粒子表面に付着させることができ、より抗菌性、抗ウィルス性に優れた抗ウィルス性フィルムを製造することができる。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明の抗ウィルス性フィルムについて詳細に説明する。
図1(a)は、本発明の抗ウィルス性フィルムの一実施形態を模式的に示す断面図であり、図1(b)は、図1(a)に示した抗ウィルス性フィルムの平面図である。
以下、本発明の抗ウィルス性フィルムについて詳細に説明する。
図1(a)は、本発明の抗ウィルス性フィルムの一実施形態を模式的に示す断面図であり、図1(b)は、図1(a)に示した抗ウィルス性フィルムの平面図である。
図1に示すように、本発明の抗ウィルス性フィルム10は、基材となるフィルム11上に、Cu及びPdのうち、少なくとも1種の金属からなる金属粒子12が島状に散在していることが特徴である。
本発明の抗ウィルス性フィルムの基材となるフィルムの材料は、特に限定されるものではないが、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィンポリマー、シリコーン系樹脂、ポリアミド樹脂又はポリフェニレンエーテル樹脂が好ましい。
上記した樹脂は、透明であり、機械的特性や電気的特性にも優れているので、タッチパネル用の保護フィルムやディスプレイ用のフィルム等として好適に使用することができる。
上記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。上記アクリル系樹脂としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレートおよびブチルメタクリレートから選ばれる少なくとも一種を主成分として含むものが挙げられる。シクロオレフィンポリマーとしては、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルネン、テトラシクロドデセン等の環状オレフィンを開環メタセシス重合や付加重合し、適宜水素化したものが挙げられる。また、シクロオレフィンコポリマーとしては、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルネン、テトラシクロドデセン等の環状オレフィンにエチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィンを付加共重合したものが挙げられる。
シリコーン系樹脂としては、4官能型のテトラアルコキシシランを主成分に、トリアルコキシシラン等を組み合わせたものが挙げられ、最終的には、樹脂中にSiOの3次元的な構造が形成される。また、シリコーン系樹脂は、触媒を用いることにより、又は、加熱により硬化させることができる。ポリアミド樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、メタキシレンジアミンとアジピン酸との重縮合反応から得られる主鎖中に芳香族環を有する脂肪族ポリアミド等が挙げられる。ポリフェニレンエーテル樹脂としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに、2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体のようなポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。
上記した樹脂からなるフィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、0.001〜1mmであることが望ましい。
上記したフィルム自体の全光線透過率は、60%以上であることが望ましい。フィルム自体とは、金属粒子を付着させる前のフィルムのことである。
上記したフィルム自体の全光線透過率は、60%以上であることが望ましい。フィルム自体とは、金属粒子を付着させる前のフィルムのことである。
本発明の抗ウィルス性フィルムでは、上記フィルム上に、Cu及びPdのうち、少なくとも1種の金属からなる金属粒子が島状に散在している。
金属粒子を構成する金属は、Cu、Pd、又は、Cu及びPdからなり、金属粒子がCu及びPdからなる場合には、Pd粒子とそれを被覆するように付着しているCuとから構成されていてもよいし、上記と逆であってもよく、さらには、CuとPdの合金であってもよい。
金属粒子を構成する金属は、Cu、Pd、又は、Cu及びPdからなり、金属粒子がCu及びPdからなる場合には、Pd粒子とそれを被覆するように付着しているCuとから構成されていてもよいし、上記と逆であってもよく、さらには、CuとPdの合金であってもよい。
本発明の抗ウィルス性フィルムでは、上記金属粒子は、Pd粒子とそれを被覆するように付着しているCuとからなることが望ましい。
本発明の抗ウィルス性フィルムにおいて、上記金属粒子が、Pd粒子とそれを被覆するように付着しているCuとからなると、周囲の大気と接触する金属の大部分は、Cuであるが、Cuが電気陰性度の高いPdと接触しているので、Cuは正電荷を帯び易くなり、抗菌性、抗ウィルス性等の効果が増大する。
本発明の抗ウィルス性フィルムにおいて、上記金属粒子の上記フィルムの表面からの高さは、10μm以内であり、上記金属粒子の上記フィルムの表面に平行な方向の最大幅は、0.01〜50μmであることが望ましい。
本発明の抗ウィルス性フィルムにおいて、金属粒子のフィルムの表面からの高さが10μm以内であり、金属粒子の厚さが薄いので、金属の連続層を形成しにくく、金属粒子が島状に散在し易くなり、抗菌性、抗ウィルス性等の効果が発生し易い。また、上記金属粒子の上記フィルムの表面に平行な方向の最大幅を0.01〜50μmとすることにより、金属により被覆されていない部分が多くなり、全光線透過率の低下を抑制することができる。
上記金属粒子のフィルムの表面からの高さが10μmを超えると、金属粒子の大きさが大きくなるため、金属粒子を島状に散在させることが難しくなり、全光線透過率が低下してしまう。また、上記金属粒子の上記フィルムの表面に平行な方向の最大幅を0.01μm未満とすることは技術的に難しい。一方、上記金属粒子の上記フィルムの表面に平行な方向の最大幅が50μmを超えると、金属粒子を島状に散在させることが難しくなり、全光線透過率が低下してしまう。
本発明の抗ウィルス性フィルムにおいて、上記金属粒子は、上記フィルムの表面に直接接触していることが望ましい。
本発明の抗ウィルス性フィルムにおいて、上記金属粒子が上記フィルムの表面に直接接触しており、金属粒子を担持する物質が存在しないと、フィルム上に形成された金属粒子が直接大気中に露出することとなるので、抗菌性、抗ウィルス性等の効果が発生し易く、かつ、可視光線の透過率の低下を抑制することができる。また、金属粒子とフィルムとの間に他の物質が介在していないので、金属粒子とフィルムとの密着性が高くなる。
本発明の抗ウィルス性フィルムにおいて、上記金属粒子が上記フィルムの表面に直接接触しており、金属粒子を担持する物質が存在しないと、フィルム上に形成された金属粒子が直接大気中に露出することとなるので、抗菌性、抗ウィルス性等の効果が発生し易く、かつ、可視光線の透過率の低下を抑制することができる。また、金属粒子とフィルムとの間に他の物質が介在していないので、金属粒子とフィルムとの密着性が高くなる。
本発明の抗ウィルス性フィルムでは、全光線透過率が60%以上であることが望ましく、全光線透過率が80%以上であることがより望ましい。
本発明の抗ウィルス性フィルムにおいて、全光線透過率が60%以上であると、可視光等の光線を透過するので、光の透過性を利用した用途に用いることができる。また、全光線透過率が80%以上であると、透明性に優れているので、保護フィルムやディスプレイ用のフィルム等、種々の用途に使用することができる。
また、本発明の抗ウィルス性フィルムは、パーソナルコンピュータのディスプレイ以外の部分に貼り付けたり、スマートフォンのディスプレイ以外の部分に貼り付けることによって、人を介して細菌、ウィルス等が伝染するのを防止することができる。また、トイレの扉、仕切り板及び壁面等に貼り付けることによっても、トイレ内の菌の繁殖やウィルスの繁殖を防止することができ、トイレ内の菌やウィルスを失活させることができる。さらに、住居内の壁、ガラス、パネル、電化製品、家具等に貼り付けることにより、室内に存在するウィルスや細菌を失活させることができ、ウィルス等による伝染を抑制することができる。
次に、第一の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法について説明する。
第一の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法は、上記した抗ウィルス性フィルムの製造方法であって、基材となるフィルム表面に、Cu及びPdのうち、少なくとも1種の金属若しくは上記金属の化合物又は上記金属若しくは上記金属の化合物を含有する分散媒を散布する散布工程を含むことを特徴とする。
第一の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法は、上記した抗ウィルス性フィルムの製造方法であって、基材となるフィルム表面に、Cu及びPdのうち、少なくとも1種の金属若しくは上記金属の化合物又は上記金属若しくは上記金属の化合物を含有する分散媒を散布する散布工程を含むことを特徴とする。
(1)散布工程
第一の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法においては、まず、散布工程として、基材となるフィルム表面に、Cu及びPdのうち、少なくとも1種の金属若しくは上記金属の化合物又は上記金属若しくは上記金属の化合物を含有する分散媒を散布する。
第一の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法においては、まず、散布工程として、基材となるフィルム表面に、Cu及びPdのうち、少なくとも1種の金属若しくは上記金属の化合物又は上記金属若しくは上記金属の化合物を含有する分散媒を散布する。
本明細書において、散布とは、上記金属若しくは上記金属の化合物又は上記金属若しくは上記金属の化合物を含有する分散媒を、分割された状態でフィルム表面に付着させることをいう。
上記散布方法としては、例えば、インクジェット法、スプレー法、二流体スプレー法、静電スプレー法、エアロゾル法等が挙げられる。
第一の本発明において、インクジェット法とは、液状の微細なインク粒子を飛ばしてフィルム表面の全体に点状に分散媒を付着させることをいう。
上記散布方法としては、例えば、インクジェット法、スプレー法、二流体スプレー法、静電スプレー法、エアロゾル法等が挙げられる。
第一の本発明において、インクジェット法とは、液状の微細なインク粒子を飛ばしてフィルム表面の全体に点状に分散媒を付着させることをいう。
第一の本発明において、スプレー法とは、高圧の空気などのガスや機械的な運動(指やピエゾ素子など)用いて金属又は金属の化合物を含む分散媒を霧の状態で噴霧し、フィルム表面に上記分散媒の液滴を付着させることをいう。
第一の本発明において、二流体スプレー法とは、スプレー法の一種であり、高圧の空気などのガスと金属又は金属の化合物を含む分散媒とを混合した後、ノズルから霧の状態で噴霧し、フィルム表面に上記分散媒の液滴を付着させることをいう。
第一の本発明において、静電スプレー法とは、帯電した金属又は金属の化合物を含む分散媒を利用する散布方法であり、上記したスプレー法により上記分散媒を霧の状態で噴霧するが、上記分散媒を霧状にするための方式には、上記分散媒を噴霧器で噴霧するガン型と、帯電した上記分散媒の反発を利用した静電霧化方式があり、さらに、ガン型には帯電した上記分散媒を噴霧する方式と、噴霧した霧状の分散媒に外部電極からコロナ放電で電荷を付与する方式とがある。霧状の液滴は、帯電しているため、フィルム表面に付着し易く、良好に上記分散媒を、細かく分割された状態でフィルム表面に付着させることができる。
第一の本発明において、エアロゾル法とは、金属の化合物を含む分散媒を物理的及び化学的に生成した霧状のものを対象物に吹き付ける手法である。
第一の本発明において、二流体スプレー法とは、スプレー法の一種であり、高圧の空気などのガスと金属又は金属の化合物を含む分散媒とを混合した後、ノズルから霧の状態で噴霧し、フィルム表面に上記分散媒の液滴を付着させることをいう。
第一の本発明において、静電スプレー法とは、帯電した金属又は金属の化合物を含む分散媒を利用する散布方法であり、上記したスプレー法により上記分散媒を霧の状態で噴霧するが、上記分散媒を霧状にするための方式には、上記分散媒を噴霧器で噴霧するガン型と、帯電した上記分散媒の反発を利用した静電霧化方式があり、さらに、ガン型には帯電した上記分散媒を噴霧する方式と、噴霧した霧状の分散媒に外部電極からコロナ放電で電荷を付与する方式とがある。霧状の液滴は、帯電しているため、フィルム表面に付着し易く、良好に上記分散媒を、細かく分割された状態でフィルム表面に付着させることができる。
第一の本発明において、エアロゾル法とは、金属の化合物を含む分散媒を物理的及び化学的に生成した霧状のものを対象物に吹き付ける手法である。
分散媒中に含有されているのが、金属粒子の場合には、金属粒子は、なるべく細かいことが望ましく、平均粒子径は、1nm〜10μmの範囲内である事が好ましく、できればナノサイズが望ましい。
金属粒子と分散媒との合計重量に対する金属粒子の体積比率は、50体積%以下が望ましい。
金属粒子と分散媒との合計重量に対する金属粒子の体積比率は、50体積%以下が望ましい。
分散媒の種類は特に限定されるものではないが、安定性を考慮した場合には水酸基数が3以上のアルコール類を使用する事が好ましく、粘性を下げる事を考慮して、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール等のアルコール類と水との混合液が挙げられる。これらのアルコールのなかでは、粘度が高くなりにくいメチルアルコール、エチルアルコールが好ましい。
分散媒は金属の化合物を含有するものであってもよい。パラジウム金属の化合物としては、例えば、ジアンミンジクロロパラジウム(II)、テトラアンミンパラジウム(II)塩化物等が挙げられ、Cuの化合物としては、例えば、アセチルアセトン、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン等のβジケトンとCuとの錯体、銅(I)(1−ブタンチオレート)、銅(I)(へキサフルオロペンタンジオネートシクロオクタジエン)、酢酸銅(I)、銅(II)(メトキシド)等が挙げられる。上記した分散媒には、上記Cuの化合物やパラジウムの化合物のほかに、還元作用を有するホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ギ酸、シュー酸等が含まれていてもよい。
上記散布工程により、金属又は上記金属の化合物を含有する分散媒がフィルム表面に散在した状態となる。
(2)加熱工程
第一の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法では、加熱工程として、散布されたフィルム表面の上記金属又は上記金属の化合物を含有する分散媒を加熱してもよい。
この加熱工程により上記分散媒を除去するとともに上記フィルム表面に金属粒子を密着させることができる。
すなわち、本工程では、フィルムを加熱し、分散媒及び必要により添加された添加剤を蒸発又は分解させることにより除去し、上記フィルム表面に金属粒子を密着させる。
第一の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法では、加熱工程として、散布されたフィルム表面の上記金属又は上記金属の化合物を含有する分散媒を加熱してもよい。
この加熱工程により上記分散媒を除去するとともに上記フィルム表面に金属粒子を密着させることができる。
すなわち、本工程では、フィルムを加熱し、分散媒及び必要により添加された添加剤を蒸発又は分解させることにより除去し、上記フィルム表面に金属粒子を密着させる。
この際の加熱温度は、200℃以下が望ましく、加熱時間は、24時間以下が望ましい。
加熱方法は特に限定されるものではないが、例えば、フィルムをホットプレート、ヒータ等の上に載置し、フィルムを介して金属又は金属の化合物を含有する分散媒を加熱する方法、マイクロ波を用いて加熱する方法、熱風による加熱方法、減圧や真空状態でホットプレート、ヒータ等を用いて加熱する方法等が挙げられる。
加熱方法は特に限定されるものではないが、例えば、フィルムをホットプレート、ヒータ等の上に載置し、フィルムを介して金属又は金属の化合物を含有する分散媒を加熱する方法、マイクロ波を用いて加熱する方法、熱風による加熱方法、減圧や真空状態でホットプレート、ヒータ等を用いて加熱する方法等が挙げられる。
上記加熱方法を用いることにより、分散媒等が除去され、フィルム表面に金属粒子が直接密着し、上記金属粒子が上記フィルム表面に直接密着したフィルムを製造することができる。フィルム上に形成された金属粒子は、直接大気中に露出することとなり、抗菌性、抗ウィルス性等の効果が発生し易い。また、散布法を採用することにより、多数の小さな液滴がフィルム表面に落下してフィルム表面に付着し、加熱により金属粒子となるので、フィルム上に島状に散在した金属粒子を形成し易く、透明性に優れ、かつ、抗菌性、抗ウィルス性を有する抗ウィルス性フィルムを製造することができる。
第一の本発明では、上記工程の後、めっき工程を行ってもよい。めっき工程を行う場合、無電解めっき工程が好ましい。
無電解めっき工程を行う場合には、上記散布工程において、Pdを含有する分散媒を上記フィルムからなる基材の表面に散布し、上記加熱工程において、上記分散媒を除去するとともに上記フィルム表面にPd粒子を密着させた後、上記無電解めっき工程で、Pd粒子を有するフィルムをCu無電解めっき浴に浸漬し、Pd粒子を被覆するようにCuをPd粒子表面に付着させる。
無電解めっき工程を行う場合には、上記散布工程において、Pdを含有する分散媒を上記フィルムからなる基材の表面に散布し、上記加熱工程において、上記分散媒を除去するとともに上記フィルム表面にPd粒子を密着させた後、上記無電解めっき工程で、Pd粒子を有するフィルムをCu無電解めっき浴に浸漬し、Pd粒子を被覆するようにCuをPd粒子表面に付着させる。
無電解めっき浴としては、従来から用いられているものを使用することができ、例えば、
硫酸銅、ホルムアルデヒド、水酸化ナトリウム、EDTA(エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩)、クエン酸、酒石酸等のキレート剤、界面活性剤等を含む無電解めっき浴が挙げられる。
無電解めっきの条件としては、めっき浴の温度は30〜70℃、浸漬時間は10〜30分間が挙げられる。
上記無電解めっき処理によりPd金属粒子を被覆するように、厚さ0.2〜3.0μmのCu無電解めっき膜を形成することができる。
硫酸銅、ホルムアルデヒド、水酸化ナトリウム、EDTA(エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩)、クエン酸、酒石酸等のキレート剤、界面活性剤等を含む無電解めっき浴が挙げられる。
無電解めっきの条件としては、めっき浴の温度は30〜70℃、浸漬時間は10〜30分間が挙げられる。
上記無電解めっき処理によりPd金属粒子を被覆するように、厚さ0.2〜3.0μmのCu無電解めっき膜を形成することができる。
第一の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法では、フィルム表面に上記金属若しくは上記金属の化合物又は上記金属若しくは上記金属の化合物を含有する分散媒を散布することにより、上記金属粒子が上記フィルム表面に直接密着したフィルムを製造することができ、フィルム上に形成された金属粒子は、直接大気中に露出することとなり、抗菌性、抗ウィルス性等の効果が発生し易い。また、散布法を採用することにより、フィルム上に島状に散在した金属粒子を形成し易く、透明性に優れ、かつ、抗菌性、抗ウィルス性を有する抗ウィルス性フィルムを製造することができる。
次に、第二の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法について説明する。
第二の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法は、上記した抗ウィルス性フィルムの製造方法であって、基材となるフィルム表面に、Cu及びPdのうち、少なくとも1種の金属若しくは上記金属の化合物又は上記金属若しくは上記金属の化合物を含有する分散媒を転写する転写工程を含むことを特徴とする。
第二の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法は、上記した抗ウィルス性フィルムの製造方法であって、基材となるフィルム表面に、Cu及びPdのうち、少なくとも1種の金属若しくは上記金属の化合物又は上記金属若しくは上記金属の化合物を含有する分散媒を転写する転写工程を含むことを特徴とする。
(1)転写工程
第二の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法においては、まず、転写工程として、少なくとも1種の金属若しくは上記金属の化合物又は上記金属若しくは上記金属の化合物を含有する分散媒を転写する。
第二の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法においては、まず、転写工程として、少なくとも1種の金属若しくは上記金属の化合物又は上記金属若しくは上記金属の化合物を含有する分散媒を転写する。
本明細書において、転写とは、インクジェット法等により、上記金属若しくは上記金属の化合物又は上記金属若しくは上記金属の化合物を含む分散媒が点状に印刷された紙等をフィルム表面に押し付け、点状の上記金属若しくは上記金属の化合物又は上記金属若しくは上記金属の化合物を含む分散媒を、そのパターンのままフィルム表面に移すことをいう。
第二の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法において、上記金属又は金属の化合物を含む分散媒の内容は、第一の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法と同様であるので、ここでは、その説明を省略する。
第一の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法と同様に、第二の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法では、加熱工程を行ってもよく、その後、めっき工程を行ってもよい。
上記加熱工程及び上記めっき工程の内容は、第一の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法と同様であるので、ここでは、その説明を省略する。
上記加熱工程及び上記めっき工程の内容は、第一の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法と同様であるので、ここでは、その説明を省略する。
第二の本発明の抗ウィルス性フィルムの製造方法においては、フィルム表面に上記金属若しくは上記金属の化合物又は上記金属若しくは上記金属の化合物を含有する分散媒を転写することにより、上記金属粒子が上記フィルム表面に直接密着したフィルムを製造することができ、フィルム上に形成された金属粒子は、直接大気中に露出することとなり、抗菌性、抗ウィルス性等の効果が発生し易い。また、転写法を採用することにより、フィルム上に島状に散在した金属粒子を形成し易く、透明性に優れ、かつ、抗菌性、抗ウィルス性を有する抗ウィルス性フィルムを製造することができる。
(実施例1)
(散布工程)
厚さ0.1mmの光学用PETフィルムを準備した。この光学用PETフィルムの金属粒子付着前のヘーズ値は1.1%であり、全光線透過率は、91%であった。
次に、平均粒子径100nm以下のPdを含有するPdインクを準備した。
(散布工程)
厚さ0.1mmの光学用PETフィルムを準備した。この光学用PETフィルムの金属粒子付着前のヘーズ値は1.1%であり、全光線透過率は、91%であった。
次に、平均粒子径100nm以下のPdを含有するPdインクを準備した。
上記Pdインクを用い、二流体スプレー法により散布を行った。この際、ノズル径が400μmのスプレー装置を用い、液圧力700kPa、液流量0.5ml/sec、フィルム表面とノズル先端との距離110mmの条件に設定し、四角形のフィルムの1辺に平行に移動するようにノズルを操作しながら、一端部から他端部に向かって移動速度100mm/secでスプレー塗布を行った。ノズルが他端部に到達した後は、垂直方向に移動させて往復する様に散布した。その際のピッチは5mmであった。
(加熱工程)
この後、Pdインクが散布された光学用PETフィルムは、ホットプレート上に載置され、120℃で10分間加熱することにより、分散媒を蒸発、揮散させ、金属粒子をフィルム表面に密着させ、光学用PETフィルム上に金属粒子が密着した抗ウィルス性フィルムを得た。使用したインクの種類、スプレーの移動速度を表1に示している。
この後、Pdインクが散布された光学用PETフィルムは、ホットプレート上に載置され、120℃で10分間加熱することにより、分散媒を蒸発、揮散させ、金属粒子をフィルム表面に密着させ、光学用PETフィルム上に金属粒子が密着した抗ウィルス性フィルムを得た。使用したインクの種類、スプレーの移動速度を表1に示している。
(実施例2)
移動速度を表1に示すように、500mm/secに変更したほかは、実施例1と同様にして、抗ウィルス性フィルムを得た。使用したインクの種類、スプレーの移動速度を表1に示している。
移動速度を表1に示すように、500mm/secに変更したほかは、実施例1と同様にして、抗ウィルス性フィルムを得た。使用したインクの種類、スプレーの移動速度を表1に示している。
(実施例3〜6)
分散媒中に含有される金属を、平均粒子径が100nmのCu金属粒子に変え、スプレーの移動速度を表1に示した速度に設定したほかは、実施例1と同様にして、抗ウィルス性フィルムを得た。使用したインクの種類、スプレーの移動速度を表1に示している。
分散媒中に含有される金属を、平均粒子径が100nmのCu金属粒子に変え、スプレーの移動速度を表1に示した速度に設定したほかは、実施例1と同様にして、抗ウィルス性フィルムを得た。使用したインクの種類、スプレーの移動速度を表1に示している。
(実施例7〜11)
分散媒と金属とを、実施例1と同様とし、スプレーの移動速度を表1に示した速度に設定したほかは、実施例1と同様にして、Pd金属粒子が島状に散在しているフィルムを得た。
この後、このフィルムを65℃の無電解めっき浴に2〜5分間(表1参照)浸漬し、Pd金属粒子とそれを被覆するように付着しているCuとからなる抗ウィルス性フィルムを得た。無電解めっき浴は、下記の組成を有するものであった。形成された無電解めっき膜の厚さは、0.6μm以下であった。
分散媒と金属とを、実施例1と同様とし、スプレーの移動速度を表1に示した速度に設定したほかは、実施例1と同様にして、Pd金属粒子が島状に散在しているフィルムを得た。
この後、このフィルムを65℃の無電解めっき浴に2〜5分間(表1参照)浸漬し、Pd金属粒子とそれを被覆するように付着しているCuとからなる抗ウィルス性フィルムを得た。無電解めっき浴は、下記の組成を有するものであった。形成された無電解めっき膜の厚さは、0.6μm以下であった。
〔無電解めっき浴〕
EDTA 0.08 mol/l
硫酸銅 0.03 mol/l
HCHO 0.05 mol/l
NaOH 0.05 mol/l
α、α′−ビピリジル 80 mg/l
PEG 0.10 g/l
(ポリエチレングリコール)
EDTA 0.08 mol/l
硫酸銅 0.03 mol/l
HCHO 0.05 mol/l
NaOH 0.05 mol/l
α、α′−ビピリジル 80 mg/l
PEG 0.10 g/l
(ポリエチレングリコール)
(全光線透過率の測定)
実施例1〜11で得られた抗ウィルス性フィルムの全光線透過率を、JIS K 7375 :2008 プラスチック 全光線透過率及び全光線反射率の求め方に準じた方法により測定した。測定結果を表1に示す。
実施例1〜11で得られた抗ウィルス性フィルムの全光線透過率を、JIS K 7375 :2008 プラスチック 全光線透過率及び全光線反射率の求め方に準じた方法により測定した。測定結果を表1に示す。
(抗ウィルス性評価)
実施例1〜11で得られた抗ウィルス性フィルムの抗ウィルス性を評価するために、JIS R1756 可視光応答形光触媒材料の抗ウィルス性試験方法に準じてウィルス不活性度を測定した。すなわち、得られた抗ウィルス性フィルムを1辺50±2mm角にカットし、バクテリオファージ液を試料に滴下してフィルムで被覆し、24時間後の大腸菌に対して不活化されたウィルス濃度を測定した。また、表1に示した「明所」の条件では、白色光を光源とし、24時間照射し、一方、「暗所」の条件では、可視光線及び紫外線が遮断された条件で行った。測定結果は、大腸菌に対して不活化されたウィルス濃度を、ウィルス不活性度として表示する。ここで、ウィルス濃度の指標として、大腸菌に対して不活化されたウィルスの濃度(ウィルス不活度)を使用し、このウィルス不活度に基づいてウィルス不活性度を算出した。
実施例1〜11で得られた抗ウィルス性フィルムの抗ウィルス性を評価するために、JIS R1756 可視光応答形光触媒材料の抗ウィルス性試験方法に準じてウィルス不活性度を測定した。すなわち、得られた抗ウィルス性フィルムを1辺50±2mm角にカットし、バクテリオファージ液を試料に滴下してフィルムで被覆し、24時間後の大腸菌に対して不活化されたウィルス濃度を測定した。また、表1に示した「明所」の条件では、白色光を光源とし、24時間照射し、一方、「暗所」の条件では、可視光線及び紫外線が遮断された条件で行った。測定結果は、大腸菌に対して不活化されたウィルス濃度を、ウィルス不活性度として表示する。ここで、ウィルス濃度の指標として、大腸菌に対して不活化されたウィルスの濃度(ウィルス不活度)を使用し、このウィルス不活度に基づいてウィルス不活性度を算出した。
ウィルス不活度とは、バクテリオファージを用いた抗ウィルス性試験で、ファージウィルスQβ濃度:830万個/ミリリットルを用いて、大腸菌に感染することができるウィルスの濃度を測定することにより、大腸菌に対して不活化されたウィルスの濃度を算出した結果である。すなわち、ウィルス不活度は、ファージウィルスQβ濃度に対して、大腸菌に感染することができない濃度の度合いであり、(ファージウィルスQβ濃度−大腸菌に感染することができるウィルスの濃度)/(ファージウィルスQβ濃度)×100で算出することができる。
このウィルス不活度からウィルス不活性度を計算する。
ウィルス不活性度とは、元のウィルスの量を1とし、ウィルス失活処理後に失活したウィルスの相対量をXとした場合に、常用対数log(1−X)で示される数値(負の値で示される)であり、絶対値が大きい程ウィルスを不活性化する能力が高い。例えば、元のウィルスの99.9%が失活した場合、ウィルス不活性度は、log(1−0.999)=−3.00で表記される。なお、ウィルス失活処理前の全ウィルス量に対するウィルス失活処理後に失活したウィルス量の割合を%で表したもの(上記の場合、99.9%)をウィルス不活度という。上記のようにして、ウィルス不活度からウィルス不活性度を求めた。その結果を表1に示す。
このウィルス不活度からウィルス不活性度を計算する。
ウィルス不活性度とは、元のウィルスの量を1とし、ウィルス失活処理後に失活したウィルスの相対量をXとした場合に、常用対数log(1−X)で示される数値(負の値で示される)であり、絶対値が大きい程ウィルスを不活性化する能力が高い。例えば、元のウィルスの99.9%が失活した場合、ウィルス不活性度は、log(1−0.999)=−3.00で表記される。なお、ウィルス失活処理前の全ウィルス量に対するウィルス失活処理後に失活したウィルス量の割合を%で表したもの(上記の場合、99.9%)をウィルス不活度という。上記のようにして、ウィルス不活度からウィルス不活性度を求めた。その結果を表1に示す。
上記した実施例によれば、実用上問題の無い範囲内で フィルムの全光線透過率を維持しつつ、所望のウィルス不活性度を得ることが確認できた。
10 抗ウィルス性フィルム
11 フィルム
12 金属粒子
11 フィルム
12 金属粒子
Claims (10)
- 基材となるフィルム上に、Cu及びPdのうち、少なくとも1種の金属からなる金属粒子が島状に散在していることを特徴とする抗ウィルス性フィルム。
- 前記金属粒子の前記フィルムの表面からの高さは、10μm以内であり、前記金属粒子の前記フィルムの表面に平行な方向の最大幅は、0.01〜50μmである請求項1に記載の抗ウィルス性フィルム。
- 前記金属粒子は、前記フィルムの表面に直接接触している請求項1又は2に記載の抗ウィルス性フィルム。
- 前記金属粒子は、Cu及びPdからなる請求項1〜3のいずれか1に記載の抗ウィルス性フィルム。
- 前記金属粒子は、Pd粒子とそれを被覆するように付着しているCuとからなる請求項4に記載の抗ウィルス性フィルム。
- 全光線透過率が60%以上である請求項1〜5のいずれか1に記載の抗ウィルス性フィルム。
- 全光線透過率が80%以上である請求項6に記載の抗ウィルス性フィルム。
- 請求項1〜7に記載の抗ウィルス性フィルムの製造方法であって、
基材となるフィルム表面に、Cu及びPdのうち、少なくとも1種の金属若しくは前記金属の化合物又は前記金属若しくは前記金属の化合物を含有する分散媒を散布する散布工程を含むことを特徴とする抗ウィルス性フィルムの製造方法。 - 請求項1〜7に記載の抗ウィルス性フィルムの製造方法であって、
基材となるフィルム表面に、Cu及びPdのうち、少なくとも1種の金属若しくは前記金属の化合物又は前記金属若しくは前記金属の化合物を含有する分散媒を転写する転写工程を含むことを特徴とする抗ウィルス性フィルムの製造方法。 - さらにめっき工程を含む請求項8又は9に記載の抗ウィルス性フィルムの製造方法。
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