JP2020041247A - 抗微生物壁紙 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、スチレン類またはα−オレフィンと、(メタ)アクリル酸との共重合体成分とを含む高分子であり、前記高分子に銅、銀、亜鉛、ニッケルから選ばれる金属のイオンが担持された繊維を紡糸することにより構成された抗ウィルス性の壁紙が開示されている。
本発明の抗微生物壁紙における抗微生物特性の中で、特に抗ウィルス、抗カビに有効であり、抗ウィルスが最も高い活性を持つ。
上記有機バインダは、熱硬化性樹脂、電磁波硬化型樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
本発明の抗微生物壁紙は、抗ウィルス、抗菌、抗カビ及び防カビの特性を有するが、特に抗ウィルスが最も高い活性を有するからである。
以下、本発明の抗微生物壁紙について詳細に説明する。
本発明の抗微生物壁紙は、可撓性シートの一方の面に、意匠が施された意匠表示面を有する壁紙であって、上記意匠表示面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在しているか、もしくは基材表面に上記バインダ硬化物が形成された領域と上記バインダ硬化物が形成されていない領域が混在して設けられてなることを特徴とする。
図2に示す抗微生物壁紙では、基材表面が、バインダ硬化物が形成された領域と上記バインダ硬化物が形成されていない領域が混在した状態になるように被覆されている。
バインダ硬化物は基材表面の84%を被覆している。
上記壁紙を構成する基材としては、例えば、普通パルプ紙、難燃パルプ紙、炭酸カルシウム紙、水酸化アルミニウム紙、フリース紙、不織布、織布、網布等が挙げられる。本発明の抗微生物壁紙では、上記した基材上に表面樹脂層が積層されていてもよい。
なお、填料とは紙に添加して、白色度や平滑度を調整するための無機粒子(フィラー)であり、炭酸カルシウム、タルク、クレーおよびカオリンから選ばれる少なくとも1種以上が望ましい。填料は無機粒子であるため、填料の含有量は紙の重量と紙を強熱して残存する灰分の重量から計算することができる。
上記した壁紙は、可撓性であり、折り曲げたり、搬送のためにロール状に巻き取ってもクラック等が発生するおそれがない。
上記バインダ硬化物中には、上記した無機系抗微生物剤が1種類のみ含まれていてもよく、2種類以上の無機系抗微生物剤が含まれていてもよく、上記した有機系抗微生物剤が1種類のみ含まれていてもよく、2種類以上の有機系抗微生物剤が含まれていてもよい。さらに、上記バインダ硬化物中には、上記無機系抗微生物剤と上記無機系抗微生物剤とが2種類以上含まれていてもよい。
バインダ硬化物中には、銀、銅、亜鉛及び白金の粒子が単独で含まれていてもよく、銀、銅、亜鉛及び白金のうち、2種類以上の金属粒子が含まれていてもよく、例えば、銀、銅、亜鉛及び白金のうち、少なくとも2種を含む合金の金属粒子が固定されていてもよい。
上記銅のカルボン酸塩としては、銅のイオン性化合物を使用することができ、酢酸銅、安息香酸銅、フタル酸銅等が挙げられる。
上記銅の水溶性無機塩としては、銅のイオン性化合物を使用することができ、例えば、硝酸銅、硫酸銅等が挙げられる。
その他の銅化合物としては、例えば、銅(メトキシド)、銅エトキシド、銅プロポキシド、銅ブトキシドなどが挙げられ、銅の共有結合性化合物としては銅の酸化物、銅の水酸化物などが挙げられる。銅のカルボン酸塩、銅の水酸化物は、有機バインダ、無機バインダとの親和性が高く、水により溶出しないため、耐水性に優れる。
上記銅のカルボン酸塩としては、酢酸銅(II)、酢酸銅(I)、シュウ酸銅(I)、安息香酸銅(II)、フタル酸銅(II)等が挙げられる。
上記銅の錯体としては、例えば、アセチルアセトンと銅との錯体、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン等のβジケトンと銅との錯体、銅(I)(1−ブタンチオレート)、銅(I)(へキサフルオロペンタンジオネートシクロオクタジエン)等が挙げられる。
上記銅の水溶性無機塩としては、例えば、硝酸銅(II)、硫酸銅(II)等が挙げられる。その他の銅化合物としては、例えば、銅(II)(メトキシド)、銅(II)エトキシド、銅(II)プロポキシド、銅(II)ブトキシド等が挙げられる。
ビニル基を有するモノマーの重合体は、付加重合で合成されるので水などの副生成物がなく、透明度の高い抗微生物樹脂を得ることができる。このため、基材の意匠性に与える影響を小さくすることができる。
スチレン、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンは、特に透明度の高い抗微生物樹脂を得ることができる。また、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンは、モノマーに添加することによって架橋し、三次元網目構造を形成することができる。三次元網目構造を形成することによって、分解しにくくなり、耐久性を高くすることができる。
上記一般式(1)で表されるビス型ピリジニウム塩において、X−としては、例えば、Cl−、Br−、I−等が挙げられる。
R1、R2は、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、上記アルキル基は、側鎖を有していてもよい。
上記一般式(1)中、R3で表される有機基は、−CO−O−(CH2)6−O−CO−、−CONH−(CH2)6−CO−、−NH−CO−(CH2)4−CO−NH−、−S−Ph−S−、−CONH−Ph−NHCO−、―NHCO−Ph−CONH−、−O−(CH2)6−O−または−CH2−O−(CH2)4−O−CH2−(但し、Phは、フェニレン基を表す。)で表されるものであることが望ましい。
上記ビス型キノリニウム塩としては、一般式(3)〜一般式(10)で表されるビス型ピリジニウム塩を構成する下記の化学式(13)に表されるピリジニウム基を、化学式(14)に示すキノリウム基に置換した化学構造を有するビス型キノリニウム塩が挙げられる。上記ビス型キノリニウム塩において、他の置換基等は、一般式(3)〜一般式(10)で表されるビス型ピリジニウム塩と同様である。
本発明の抗微生物壁紙では、上記抗微生物成分として、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種と、バインダである有機バインダ、無機バインダ、有機・無機ハイブリッドのバインダ及び電磁波硬化型樹脂の少なくとも1種とを混合したものを硬化させることにより、バインダ硬化物を得ることができる。有機・無機ハイブリッドのバインダとしては、シロキサン結合を形成するアルコキシランを使用できる。
未硬化の電磁波硬化型樹脂であるモノマー又はオリゴマーと光重合開始剤と各種添加剤と抗微生物成分とを含んだ抗微生物組成物を用いて意匠表示面に島状の液滴を形成した後、電磁波を照射することにより、光重合開始剤は、開裂反応、水素引き抜き反応、電子移動等の反応を起こし、これにより生成した光ラジカル分子、光カチオン分子、光アニオン分子等が上記モノマーや上記オリゴマーを攻撃してモノマーやオリゴマーの重合反応や架橋反応が進行し、抗微生物成分を含む島状のバインダ硬化物が形成される。このような反応により生成する本発明のバインダ硬化物を構成する樹脂を電磁波硬化型樹脂という。
本発明においては、重合開始剤は、銅に対する還元剤として使用することができる。重合開始剤により、銅(II)を銅(I)に還元することができる。銅(I)の方が銅(II)よりも抗微生物性能が高い。重合開始剤としては、光重合開始剤であることが望ましい。
上記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。
アルキッド樹脂としては、ポリエステルアルキッド樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂は、透明性を有するとともに、基材に対する密着性にも優れる。
無機バインダと抗微生物成分と必要により各種添加剤や分散媒とを混合して抗微生物組成物を用いて意匠表示面に島状の液滴を形成した後、乾燥させることにより、抗微生物成分を含む島状のバインダ硬化物(無機バインダの硬化物)が形成される。
具体的には、画像解析・画像計測ソフトウェアを備えた走査型顕微鏡やレーザー顕微鏡を用いることにより、又は、走査型顕微鏡、レーザー顕微鏡で得られた画像を画像解析・画像計測ソフトウェアを用いて画像解析等を行うことにより、上記したバインダ硬化物の基材表面に平行な方向の最大幅やその厚さの平均値を求めることができる。
まず、バインダとして電磁波硬化型樹脂を用いた場合について説明する。
上記抗微生物壁紙を製造する際には、まず、壁紙の意匠表示面に、抗微生物成分と未硬化の電磁波硬化型樹脂と分散媒と重合開始剤とを含む抗微生物組成物を散布する散布工程を行い、続いて上記散布工程により散布された上記抗微生物組成物を乾燥させて上記分散媒を除去する乾燥工程を行い、最後に上記乾燥工程で分散媒を除去した上記抗微生物組成物中の上記未硬化の電磁波硬化型樹脂に電磁波を照射して上記電磁波硬化型樹脂を硬化させる硬化工程を行い、意匠表示面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が固着した抗微生物壁紙を得ることができる。
本発明の抗微生物壁紙を製造する際には、まず、散布工程として、壁紙の意匠表示面に、抗微生物成分と未硬化の電磁波硬化型樹脂と分散媒と重合開始剤とを含む抗微生物組成物を散布する。
また、基材となる部材も、特に限定されるものではなく、建築物内部の内装材、壁材、窓ガラス、ドア等であってもよい、事務機器や家具等であってもよく、上記内装材の外、種々の用途に用いられる化粧板等であってもよい。
上記無機系抗微生物剤は、銀、銅、亜鉛、白金、亜鉛化合物、銀化合物、銅化合物、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒、金属イオンでイオン交換されたゼオライト、及び、銅の錯体からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましく、上記有機系抗微生物剤は、抗微生物樹脂、スルホン酸系界面活性剤、銅のアルコキシド、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
上記散布方法としては、例えば、スプレー法、二流体スプレー法、静電スプレー法、エアロゾル法等が挙げられる。
本発明において、二流体スプレー法とは、スプレー法の一種であり、高圧の空気などのガスと抗微生物組成物とを混合した後、ノズルから霧の状態で噴霧し、意匠表示面に上記抗微生物組成物の液滴を付着させることをいう。
本発明において、静電スプレー法とは、帯電した抗微生物組成物を利用する散布方法であり、上記したスプレー法により抗微生物組成物を霧の状態で噴霧するが、上記抗微生物組成物を霧状にするための方式には、上記抗微生物組成物を噴霧器で噴霧するガン型と、帯電した抗微生物組成物の反発を利用した静電霧化方式があり、さらに、ガン型には帯電した抗微生物組成物を噴霧する方式と、噴霧した霧状の抗微生物組成物に外部電極からコロナ放電で電荷を付与する方式とがある。霧状の液滴は、帯電しているため、意匠表示面に付着し易く、良好に上記抗微生物組成物を、細かく分割された状態で意匠表示面に付着させることができる。
本発明において、エアロゾル法とは、金属の化合物を含む抗微生物組成物を物理的及び化学的に生成した霧状のものを対象物に吹き付ける手法である。
上記散布工程により意匠表示面に散布された抗微生物成分と未硬化の電磁波硬化型樹脂と分散媒と重合開始剤とを含む抗微生物組成物を乾燥させ、分散媒を蒸発、除去し、抗微生物成分を含むバインダ硬化物を意匠表示面に仮固定させるとともに、バインダ硬化物の収縮により、抗微生物成分をバインダ硬化物の表面から露出させることができる。乾燥条件としては、60〜100℃、0.5〜5.0分が望ましい。
上記抗微生物壁紙を製造する際には、硬化工程として、上記乾燥工程で分散媒を除去した抗微生物組成物中の上記未硬化の電磁波硬化型樹脂であるモノマーやオリゴマーに電磁波を照射して上記電磁波硬化型樹脂を硬化させ、バインダ硬化物とする。
本発明の抗微生物壁紙の製造方法において、未硬化の電磁波硬化型樹脂に照射する電磁波としては、特に限定されず、例えば、紫外線(UV)、赤外線、可視光線、マイクロ波、電子線(Electron Beam:EB)等が挙げられるが、これらのなかでは、紫外線(UV)が望ましい。
また、上記電磁波は、光重合開始剤を励起して、銅化合物を還元する働きをもつ。このため、銅(II)を還元して銅(I)の量を増やして抗微生物活性を高くすることができる。
本発明の抗微生物壁紙では、X線光電子分光分析法により、925〜955eVの範囲にあるCu(I)とCu(II)に相当する結合エネルギーを5分間測定することで算出される、上記銅化合物中に含まれるCu(I)とCu(II)とのイオンの個数の比率(Cu(I)/Cu(II))は、0.5〜50であることが望ましい。
また、Cu(I)の銅は、Cu(II)の銅と比較して抗微生物性により優れているため、第1の本発明の抗微生物壁紙において、X線光電子分光分析法により、925〜955eVの範囲にあるCu(I)とCu(II)に相当する結合エネルギーを5分間測定することで算出される、上記銅化合物中に含まれるCu(I)とCu(II)とのイオンの個数の比率(Cu(I)/Cu(II))が1.0〜4.0であると、より抗微生物性に優れた抗微生物壁紙となる。
上記抗微生物壁紙を製造する際には、まず、壁紙の意匠表示面に、抗微生物成分、無機バインダおよび分散媒と、必要に応じて重合開始剤を含む抗微生物組成物を散布する散布工程を行い、続いて上記散布工程により散布された上記抗微生物組成物を乾燥させて上記分散媒を除去するとともに、抗微生物組成物を硬化させる乾燥・硬化工程を行い、意匠表示面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物がその表面に固着した抗微生物壁紙を得ることができる。
本発明においては、重合開始剤は、銅に対する還元剤として使用することができる。このため、無機バインダ、銅化合物および分散媒からなる抗微生物組成物に重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては、光重合開始剤であることが望ましい。重合開始剤により、銅(II)を銅(I)に還元することができる。銅(I)の方が銅(II)よりも抗微生物性能が高い。
本発明の抗微生物壁紙を製造する際には、まず、散布工程として、壁紙の意匠表示面に、抗微生物成分と無機バインダと分散媒と、必要に応じて重合開始剤を含む抗微生物組成物を散布する。
また、基材となる部材も、特に限定されるものではなく、建築物内部の内装材、壁材、窓ガラス、ドア等であってもよい、事務機器や家具等であってもよく、上記内装材の外、種々の用途に用いられる化粧板等であってもよい。
上記無機系抗微生物剤は、銀、銅、亜鉛、白金、亜鉛化合物、銀化合物、銅化合物、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒、金属イオンでイオン交換されたゼオライト、及び、銅の錯体からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましく、上記有機系抗微生物剤は、抗微生物樹脂、スルホン酸系界面活性剤、銅のアルコキシド、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
本発明において、二流体スプレー法とは、スプレー法の一種であり、高圧の空気などのガスと抗微生物組成物とを混合した後、ノズルから霧の状態で噴霧し、意匠表示面に上記抗微生物組成物の液滴を付着させることをいう。
本発明において、静電スプレー法とは、帯電した抗微生物組成物を利用する散布方法であり、上記したスプレー法により抗微生物組成物を霧の状態で噴霧するが、上記抗微生物組成物を霧状にするための方式には、上記抗微生物組成物を噴霧器で噴霧するガン型と、帯電した抗微生物組成物の反発を利用した静電霧化方式があり、さらに、ガン型には帯電した抗微生物組成物を噴霧する方式と、噴霧した霧状の抗微生物組成物に外部電極からコロナ放電で電荷を付与する方式とがある。霧状の液滴は、帯電しているため、意匠表示面に付着し易く、良好に上記抗微生物組成物を、細かく分割された状態で意匠表示面に付着させることができる。
本発明において、エアロゾル法とは、金属の化合物を含む抗微生物組成物を物理的及び化学的に生成した霧状のものを対象物に吹き付ける手法である。
上記抗微生物組成物を調製する際には、分散媒に抗微生物成分、無機バインダ等を添加した後、ミキサー等で充分に攪拌し、抗微生物成分、無機バインダ等が均一な濃度で分散する組成物とした後、直ちに散布することが望ましい。
上記散布工程により散布された抗微生物成分と無機バインダと分散媒とを含む抗微生物組成物を乾燥させ、分散媒を蒸発、除去することにより硬化させ、抗微生物成分を含むバインダ硬化物を意匠表示面に固定させる。乾燥条件としては、25〜100℃、0.1〜60分が望ましい。
なお、乾燥前後で、抗微生物性組成物もしくは硬化物に電磁波を照射して、光重合開始剤を励起してもよい。電磁波としては、特に限定されず、例えば、紫外線(UV)、赤外線、可視光線、マイクロ波、電子線(Electron Beam:EB)等が挙げられるが、これらのなかでは、紫外線(UV)が望ましい。
上記電磁波は、光重合開始剤を励起して、銅化合物を還元する働きをもつ。このため、銅(II)を還元して銅(I)の量を増やして抗微生物活性を高くすることができる。
また、Cu(I)の銅は、Cu(II)の銅と比較して抗微生物性により優れているため、第1の本発明の抗微生物壁紙において、X線光電子分光分析法により、925〜955eVの範囲にあるCu(I)とCu(II)に相当する結合エネルギーを5分間測定することで算出される、上記銅化合物中に含まれるCu(I)とCu(II)とのイオンの個数の比率(Cu(I)/Cu(II))が1.0〜4.0であると、より抗微生物性に優れた抗微生物壁紙となる。
スプレーガンを用いて噴射する場合は、スプレーガンのエアー圧力やスプレー塗布幅、スプレーガンの移動速度、塗液の噴出速度、塗布距離を変化させることにより、バインダ硬化物の被覆率を調整することができる。
(1)まず、80重量部のサスペンジョン塩化ビニル系樹脂、20重量部のペースト用塩化ビニル樹脂、65重量部の可塑剤、3重量部の安定剤、7重量部の発泡剤、及び、50重量部の充填剤からなる塩化ビニル組成配合物を用い、カレンダー成形法によりシート状物を作製する。
具体的には、上記得られた塩化ビニル組成配合物をヘンシェルミキサーで均一に混合し、バンバリーミキサーで配合物の温度が130℃になるまで混練して、融体状のポリ塩化ビニル系樹脂組成物を調製する。これを、160℃に調整された逆L型形の4本ロールのカレンダー成形機を用いて圧延し、圧延されたシート状の生地がカレンダーロールから剥離した直後に、そのシート状物を基材層である普通パルプ紙に積層させてエンボス加工することで、ポリ塩化ビニル系樹脂層と普通パルプ紙を密着性よく積層させ、壁紙のベースを得る。その後、この壁紙のベースを210℃で発泡させつつメカニカルエンボス加工を施して壁紙とする。
(1)多官能(メタ)アクリルモノマーとして63.6重量部の6官能アクリレート(商品名DPHA、ダイセル・サイテック社製)、27重量部のジエチレングリコールジアクリレート(商品名SR230、サートマー社製)、5重量部の光重合開始剤(商品名IRGACURE184、BASF社製)、4重量部の光安定化剤(商品名TINUVIN152、BASF社製)重量部、及び、0.4重量部の市販の抗菌剤粒子(株式会社シナネンゼオミック製 商品名ゼオミック)を、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノンを1:1で混合した希釈溶剤に固形分が40質量%となるように混合してハードコート層形成用組成物(A)を調製する。
得られた抗ウィルス性壁紙について、光学顕微鏡(キーエンス社製 マイクロスコープ)で写真を撮影する。図3は、実施例1で得られた抗ウィルス性壁紙を示す光学顕微鏡写真である。壁紙の表面にバインダ硬化物が島状に散在していることが分かる。
実施例1で得られた抗ウィルス性壁紙の抗ウィルス活性を評価するために、JIS R1756 可視光応答形光触媒材料の抗ウィルス性試験方法を改変した手法でウィルス不活性度を測定した。すなわち、得られた抗ウィルス性壁紙を1辺50±2mm角にカットし、バクテリオファージ液を試料に滴下してフィルムで被覆し、4時間放置してウィルスを不活性化させた。その後、バクテリオファージを大腸菌に感染させ一晩放置することで、感染能力を保持しているウィルス数を測定した。
測定結果は、大腸菌に対して不活性化されたウィルス濃度を、ウィルス不活性度として表示する。ここで、ウィルス濃度の指標として、大腸菌に対して不活性化されたウィルスの濃度(ウィルス不活度)を使用し、このウィルス不活度に基づいてウィルス不活性度を算出する。
ウィルス不活性度とは、元のウィルスの量を1とし、ウィルス失活処理後に失活したウィルスの相対量をXとした場合に、常用対数log(1−X)で示される数値(負の値で示される)であり、絶対値が大きい程ウィルスを不活性化する能力が高い。例えば、元のウィルスの99.9%が失活した場合、ウィルス不活性度は、log(1−0.999)=−3.00で表記される。なお、ウィルス失活処理前の全ウィルス量に対するウィルス失活処理後に失活したウィルス量の割合を%で表したもの(上記の場合、99.9%)をウィルス不活度という。上記のようにして、ウィルス不活度からウィルス不活性度を求めた。その結果、実施例1では、ウィルス不活性度は、−5であり、ウィルス活性が充分に高い。
黄色ブドウ球菌を用いた抗菌性評価を、以下のように実施した。
(1)実施例1で得られた抗ウィルス性壁紙を、50mm角の正方形に切り出した試験試料を滅菌済プラスチックシャーレに置き、試験菌液(菌数2.5×105〜10×105/mL)を0.4mL接種する。
試験菌液は、培養器中で温度35±1℃で16〜24時間前培養した培養菌を、さらに斜面培地に移植して、培養器中で温度35±1℃で16〜20時間前培養したものを、1/500NB培地により適宜調整したものを使用する。
(2)対照試料として50mm角のポリエチレンフイルムを用意し、試験試料と同様に試験菌液を接種する。
(3)接種した試験菌液の上から40mm角のポリエチレンフイルムを被せ、試験菌液を均等に接種させた後、温度35±1℃で8±1時間反応させる。
(4)接種直後または反応後、SCDLP培地10mLを加え、試験菌液を洗い出す。
(5)洗い出し液を適宜希釈し、標準寒天培地と混合して生菌数測定用シャーレを作成し、温度35±1℃で40〜48時間培養した後、集落数を測定する。
(6)生菌数の計算
以下の計算式を用いて生菌数を求める。
N=C×D×V
N:生菌数
C:集落数
D:希釈倍率
V:洗い出しに用いたSCDLP培地の液量(mL)
(7) 以下の計算式を用いて抗菌活性値を算出する。
R=(Ut−U0)−(At−U0)=Ut−At
R:抗菌活性値
U0:無加工試験片の接種直後の生菌数の対数値の平均値
Ut:無加工試験片の24 時間後の生菌数の対数値の平均値
At:抗菌加工試験片の24時間後の生菌数の対数値の平均値
参考規格 JIS Z 2801
試験菌はStaphylococcus aureus NBRC12732を使用した。
実施例1の壁紙の抗菌性は、>3.7であり、抗菌性の壁紙として機能する。
クロコウジカビを用いた抗カビ性評価を、以下のように実施した。
(1)実施例1で得られた抗ウィルス性壁紙を、50mm角の正方形に切り出した試験試料を滅菌済プラスチックシャーレに置き、胞子懸濁液(胞子濃度>2x105個/ml)を0.4mL接種する。
(2)対照試料として50mm角のポリエチレンフイルムを用意し、試験試料と同様に胞子懸濁液を接種する。
(3)接種した胞子懸濁液の上から40mm角のポリエチレンフイルムを被せ、胞子懸濁液を均等に接種させた後、温度26℃で約900LUXの光を照射しながら42時間反応させる。
(4)接種直後または反応後、JIS L 1921 13発光量の測定に従い、ATP量を測定する。
(5)以下の計算式を用いて抗カビ活性値を算出する。
Aa=(LogCt−LogC0)−(LogTt−LogT0)
Aa:抗カビ活性値
LogC0:接種直後の対照試料3検体のATP量の算術平均の常用対数値
LogCt:培養後の対照試料3検体のATP量の算術平均の常用対数値
LogT0:接種直後の試験試料3検体のATP量の算術平均の常用対数値
LogTt:培養後の試験試料3検体のATP量の算術平均の常用対数値
参考規格 JIS Z 2801、JIS L 1921
試験カビはAspergillus niger NBRC105649を使用した。
実施例1の壁紙の抗カビ性は、3.1であり、抗カビ性の壁紙として機能する。
実施例1と比較例1で製造した抗ウィルス性壁紙と抗菌性壁紙を90°に折り曲げたところ、比較例1の抗菌性壁紙では、折り曲げ部分のハードコート層にクラックが発生するが、実施例1の抗ウィルス性壁紙の折り曲げ部分にはクラックは発生しない。
また、実施例1の抗ウィルス性壁紙は、優れた抗菌性、抗カビ性を示し、本実施例の壁紙は、広く抗微生物壁紙として使用できることが立証された。
11 壁紙
11a 意匠表示面
12 バインダ硬化物
Claims (9)
- 可撓性シートの一方の面に、意匠が施された意匠表示面を有する壁紙であって、
前記意匠表示面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在しているか、もしくは基材表面に前記バインダ硬化物が形成された領域と前記バインダ硬化物が形成されていない領域が混在して設けられてなることを特徴とする抗微生物壁紙。 - 前記バインダ硬化物は、前記意匠表示面の10〜95%を被覆している請求項1に記載の抗微生物壁紙。
- 前記バインダ硬化物は、前記抗微生物成分として、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1又は2に記載の抗微生物壁紙。
- 前記無機系抗微生物剤は、銀、銅、亜鉛、白金、亜鉛化合物、銀化合物、銅化合物、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒、金属イオンでイオン交換されたゼオライト、及び、銅の錯体からなる群から選択される少なくとも1種である請求項3に記載の抗微生物壁紙。
- 前記有機系抗微生物剤は、抗微生物樹脂、スルホン酸系界面活性剤、銅の錯体、銅のアルコキシド、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種である請求項3に記載の抗微生物壁紙。
- 前記バインダ硬化物は、有機バインダ、無機バインダおよび有機・無機ハイブリッドバインダから選ばれる少なくとも1種以上の硬化物を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗微生物壁紙。
- 前記有機バインダは、熱硬化性樹脂、電磁波硬化型樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である請求項6に記載の抗微生物壁紙。
- 前記無機バインダは、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル及びケイ酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種である請求項6に記載の抗微生物壁紙。
- 前記抗微生物壁紙は、抗ウィルス性壁紙である請求項1〜8のいずれか1項に記載の抗微生物壁紙。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018167974 | 2018-09-07 | ||
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