JP2018134009A - 焼成食品用バッター - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上記課題は縮合リン酸2価カチオン塩を含み、縮合リン酸2価カチオン塩の含有量が4.5質量%以下である、焼成食品用バッターにより解決される。
【選択図】なし
Description
しかしながら、冷めた或いはチルド又は冷凍された焼成食品類は、電子レンジ加熱中の蒸気発生が原因で食感が硬くなりヒキが生じることとなり、焼成食品類が焼成直後に有していた柔らかな食感とドライな歯切れが損なわれてしまうという問題があった。
従来このような問題点を解決するために様々な試みがなされてきた。
特許文献1には、小麦粉、及びゼラチンを必須成分とする小麦粉焼成食品用ミックスが開示されており、ゼラチンの特性により内相のとろみを向上させることによって電子レンジ解凍処理後にも食感の硬化を防ぎ、生地表面の蒸れを防ぐことで皮の歯切れを維持するものである。特許文献2には、卵殻粉末と融点が40℃以上である油脂を添加した皮からなる鯛焼き様食品が開示されており、卵殻粉末と融点40℃以上の油脂とを配合することで電子レンジ加熱した際に皮部分の水分蒸発が早くなるためにサクサクとしたクリスピーな食感になるというものである。しかしながら、これらは焼成食品類が焼成直後に有していた内相の柔らかさとドライな歯切れを両立するものではなかった。
特許文献3には、焼き型の凹部に所定の粒度を有する穀粉類を含有する生地を投入し、該生地を該凹部の内壁面に沿って広げるとともに焼成することにより外皮を形成する工程と、該凹部にさらに生地を投入して焼成することにより該外皮で覆われた焼成食品を得る工程とを含む焼成食品の製造方法が提案されているが、外皮を焼成する工程と特別な焼成用器具が必要であるため、煩雑で汎用性に乏しい。
[1]縮合リン酸2価カチオン塩を含み、縮合リン酸2価カチオン塩の含有量が4.5質量%以下である、焼成食品用バッター。
[2]縮合リン酸2価カチオン塩が縮合リン酸カルシウム塩である、前記[1]に記載の焼成食品用バッター。
[3]前記[1]又は[2]に記載の焼成食品用バッターを使用して製造された、焼成食品。
縮合リン酸とは、オルトリン酸が脱水反応により縮合したものであり、オルトリン酸が2分子脱水縮合したピロリン酸、3分子が脱水縮合したトリポリリン酸、更に高次に脱水縮合したメタリン酸が知られている。このような縮合リン酸は、1価又は2価のカチオンとの塩として食品利用されており、本発明では食用に使用できる縮合リン酸2価カチオン塩であれば特に限定なく使用できる。このような縮合リン酸2価カチオン塩は、1つの縮合リン酸アニオンに対して1つ以上の2価カチオン(Ca、Fe、Mg、Zn、Cu等)がイオン結合しているものであれば良く、好ましくは縮合リン酸カルシウム塩であり、より好ましくはピロリン酸カルシウムであり、最も好ましくはピロリン酸二水素カルシウムである。
焼成食品用バッターの全量に対して、縮合リン酸2価カチオン塩の配合量が0.05質量%を下回ると、内相の柔らかさと外皮の歯切れ感が低下する傾向にあり、4.5質量%を超えると、縮合リン酸2価カチオン塩の添加によるpH低下の影響でグルテンの形成が阻害され小麦粉等による骨格形成が不十分となって形状が不安定になり、それに伴い食感も悪くなる。
表2記載の鯛焼きミックス、ピロリン酸カルシウム、卵及び水を混合して鯛焼き用バッターを得た。鯛焼き用バッター約30gと餡約50gを185℃に加熱した焼成機の片面に投入し4分30秒間焼成した。その後、焼成機のもう片面に鯛焼き用バッター約30gを投入し焼成機を合わせたあと開いて4分30秒間焼成して鯛焼きを得た。−40℃の急速冷凍庫で60分間冷凍凍結処理し、焼成済み冷凍鯛焼きを冷凍冷蔵庫の冷凍室に入れて保存した。冷凍保存後、凍結したまま電子レンジに投入し、600Wで4分30秒間加熱し、10名の専門パネラーにより表1の基準に従って官能評価を行った。比較例1の鯛焼きの焼きたての食感を官能評価点数の5点として、各焼成済み冷凍鯛焼きを電子レンジ加熱して官能評価し、結果を表2に示した。
比較例1では、内相は固く外皮の歯切れは損なわれ、非常に悪い評価であった。比較例2では内相は柔らかいもののネチャつきがひどく好ましいものではなかった。また、外皮の歯切れ感が顕著に損なわれ、非常に悪い評価であった。比較例2’では、比較例2と同様、内相は柔らかいもののネチャつきがひどく好ましいものではなかった。また、外皮の歯切れ感が顕著に損なわれ、非常に悪い評価であった。なお比較例2と比較例2’がほぼ同程度の評価点数を示したことから、鯛焼き粉の量が45〜50質量%の範囲で変動してもそのことによる食感への影響はないことが示された。
表3記載の鯛焼き粉、各種塩類、卵及び水を混合して鯛焼きバッターを得た以外は試験例1に従って焼成済み冷凍鯛焼きを得、電子レンジ加熱して同様に官能評価を行った。官能評価の結果を表3に示す。
B: 炭酸カルシウム(三共精粉、カルシーF6401)
表5記載のたこ焼き粉、ピロリン酸カルシウム、卵及び水を混合してたこ焼き用バッターを得た。たこ焼きバッター(約30g)を200℃に加熱した焼き型に投入し、たこ(約2g)を投入後、8分間焼成してたこ焼きを得た。−40℃の急速冷凍庫で60分間冷凍凍結処理し、焼成済み冷凍たこ焼きを冷凍冷蔵庫の冷凍室に入れて保存した。冷凍保存後、凍結したまま電子レンジに投入し、600Wで4分30秒間加熱し、10名の専門パネラーにより表4の基準に従って官能評価を行い、平均値を評価点とした。なお、比較例5のたこ焼きの、焼き立ての食感を官能評価点数の5点とした。
比較例5では、内相の柔らかさ及び外皮の歯切れ感共に損なわれ、非常に悪い評価であった。比較例6では内相は柔らかいもののべたつきがひどく好ましいものではなかった。また、骨格形成が不十分であり、保型性が悪く、たこ焼きとしての形状を保てなかった。比較例6’では比較例6と同様内相は柔らかいもののべたつきがひどく好ましいものではなかった。また、骨格形成が不十分であり、保型性が悪く、たこ焼きとして不適であった。なお比較例6と比較例6’がほぼ同程度の評価点数を示したことから、たこ焼き粉の量が15.8〜20.8質量%の範囲で変動してもそのことによる食感への影響はないことが示された。
表6記載の各種焼成食品用ミックス粉、ピロリン酸カルシウム、卵、サラダ油及び水を混合して各種焼成食品用バッターを得た。それぞれ標準レシピに従って焼成後冷凍し、焼成冷凍品を得、電子レンジ加熱して官能評価を行った。表1の基準に従って比較例7〜10の焼き立ての食感を官能評価点数の5点とした。官能評価の結果を表6に示す。
D:パンケーキミックス(日本製粉社、S690)
E:ワッフルミックス(日本製粉社、S655)
F:クレープミックス(日本製粉社、S840)
Claims (3)
- 縮合リン酸2価カチオン塩を含み、縮合リン酸2価カチオン塩の含有量が4.5質量%以下である、焼成食品用バッター。
- 縮合リン酸2価カチオン塩が縮合リン酸カルシウム塩である、請求項1に記載の焼成食品用バッター。
- 請求項1又は2に記載の焼成食品用バッターを使用して製造された、焼成食品。
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