JP2018133391A - 絶縁材製造装置および絶縁材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】変圧器の絶縁シートの表面に配置される位置に応じた形状を有する絶縁材を効率的に製造する絶縁材製造装置と、絶縁材の製造方法とを提供する。
【解決手段】絶縁材製造装置1は、絶縁材となる絶縁母材41が投入される投入部3と、絶縁母材41に加工を行い一定の長さに切断する加工部7とを備えている。投入部3には、絶縁母材41を送り出す送り機構5が設けられている。加工部7には、絶縁母材41に絶縁油の流通路となる溝を形成し、その溝が形成された絶縁母材41を切断する溝堀切断部21が設けられている。溝堀切断部21としては、たとえば、丸鋸等が使用される。
【選択図】図1
【解決手段】絶縁材製造装置1は、絶縁材となる絶縁母材41が投入される投入部3と、絶縁母材41に加工を行い一定の長さに切断する加工部7とを備えている。投入部3には、絶縁母材41を送り出す送り機構5が設けられている。加工部7には、絶縁母材41に絶縁油の流通路となる溝を形成し、その溝が形成された絶縁母材41を切断する溝堀切断部21が設けられている。溝堀切断部21としては、たとえば、丸鋸等が使用される。
【選択図】図1
Description
本発明は、絶縁材製造装置および絶縁材の製造方法に関し、特に、変圧器のコイルとコイルとの間に配置される絶縁材を製造する絶縁材製造装置と、そのような絶縁材の製造方法とに関するものである。
変圧器では、絶縁油によってコイルを冷却するために、コイルとコイルとの間に絶縁油を流す流通路が設けられている。そのような流通路を設けるために、変圧器では、ブロック状の絶縁材が使用されている。ブロック状の絶縁材は、平円形状に巻回されたコイルの輪郭形状とほぼ同じ形状を有する絶縁シートの表面における要所に配置される。
絶縁シートの表面に配置されたブロック状の絶縁材と絶縁材との間の領域が流通路となり、その流通路を絶縁油が流れることで、コイルが冷却される。また、積層されるコイルとコイルとの間に、ブロック状の絶縁材(絶縁シート)が挟み込まれることで、コイル間の電気的な絶縁が図られる。このように、ブロック状の絶縁材は、コイルの冷却とコイル間の電気的な絶縁との2つの機能を有する。
そのブロック状の絶縁材には、冷却性能を向上させるために、種々の提案がなされている。たとえば、特許文献1では、コイルの素線を絶縁材によって適当な間隔をもって支持させて、絶縁油の流通路を設ける構造が提案されている。また、特許文献2では、絶縁材の表面と裏面との双方に溝を設けることによって、冷却媒体の通路を設けた構造が提案されている。
上述したように、変圧器では、ブロック状の絶縁材は、絶縁シートの表面における要所に配置される。絶縁シートのサイズは変圧器の容量によって異なる。特に、外鉄型変圧器の絶縁シートは、比較的サイズが大型とされる。絶縁材が配置される絶縁シートは、積層されるコイルごとに挟み込まれる。このため、1台の変圧器に必要とされる絶縁材の個数は、数万個に達し、絶縁材を配置させるのに長時間を要することになる。
また、上述したように、絶縁材は、コイルを冷却する機能を有する。そのため、絶縁材には、絶縁シートの表面に配置される位置において、冷却に最適な形状に形成されることが求められる。絶縁シートの表面における位置に応じて絶縁材を所望の形状に形成するには、絶縁材を形成する加工に時間を要することになり、変圧器の品種が多くなると作業性が低下してしまう。そのため、変圧器の品種の増加に対して、絶縁材を効率的に製造することが求められている。そして、さらには、製造された絶縁材を絶縁シートの表面に効率的に配置することが求められている。
本発明は、そのような開発のもとでなされたものであり、一つの目的は、変圧器の絶縁シートの表面に配置される位置に応じた形状を有する絶縁材を効率的に製造する絶縁材製造装置を提供することであり、他の目的は、そのような絶縁材の製造方法を提供することである。
本発明に係る絶縁材製造装置は、巻回された変圧器のコイルを覆う絶縁シートの表面に配置される絶縁材を製造するための絶縁材製造装置であって、投入部と送り機構と加工部とを備えている。投入部には、絶縁材となる第1方向に延在する絶縁母材が投入される。送り機構は、投入部から絶縁母材を、第1方向に沿って送り出す。加工部は、送り機構によって送り出される絶縁母材に、絶縁油を流通させる溝を形成し、溝が形成された絶縁母材の部分を第1長さをもって切断することにより、絶縁材を形成する。
本発明に係る絶縁材の製造方法は、巻回された変圧器のコイルを覆う絶縁シートの表面に配置される絶縁材を製造するための絶縁材の製造方法であって、以下の工程を備えている。絶縁材となる第1方向に延在する絶縁母材を用意する。絶縁母材を、第1方向に沿って送り出す。第1方向に沿って送り出される絶縁母材の表面を加工することによって、絶縁母材に絶縁油を流通させる溝を形成する。溝が形成された絶縁母材の部分を第1長さをもって切断することにより、絶縁材を形成する。
本発明に係る絶縁材製造装置によれば、送り機構によって送り出される絶縁母材に対し、加工部によって絶縁油を流通させる溝を形成し、溝が形成された絶縁母材の部分を第1長さをもって切断することにより絶縁材が形成される。これにより、変圧器の絶縁シートに配置される位置に応じた形状の絶縁材を効率的に製造することができる。
本発明に係る絶縁材の製造方法によれば、第1方向に延在する絶縁母材を第1方向に沿って送り出し、送り出される絶縁母材の表面を加工することによって、絶縁母材に絶縁油を流通させる溝が形成される。溝が形成された絶縁母材の部分を第1長さをもって切断することにより、絶縁材が形成される。これにより、変圧器の絶縁シートに配置される位置に応じた形状の絶縁材を効率的に製造することができる。
実施の形態1.
実施の形態1に係る、変圧器に使用されるバー状の絶縁材を製造するための絶縁材製造装置の一例について説明する。
実施の形態1に係る、変圧器に使用されるバー状の絶縁材を製造するための絶縁材製造装置の一例について説明する。
図1に示すように、絶縁材製造装置1は、絶縁材となる絶縁母材41が投入される投入部3と、絶縁母材41に加工を行い一定の長さに切断する加工部7とを備えている。投入部3には、絶縁母材41を送り出す送り機構5が設けられている。加工部7には、絶縁母材41に絶縁油の流通路となる溝を形成し、その溝が形成された絶縁母材41を切断する溝堀切断部21が設けられている。溝堀切断部21としては、たとえば、丸鋸等が使用される。
丸鋸等の溝堀切断部21には、絶縁母材41が搬送される方向(長手方向)に対して、絶縁母材41を切削する方向(角度)を調整することが可能な角度調整部が設けられている。絶縁母材41としては、たとえば、プレスボード(電気絶縁紙)が適用される。なお、絶縁材としてはプレスボードの他に、たとえば、クレープ紙と称される紙材料、ベークライト、ガラスエポキシ等が挙げられるが、この絶縁材製造装置1では、プレスボードが加工対象とされる。
次に、上述した絶縁材製造装置1の動作について説明する。図2に示すように、まず、長尺の絶縁母材41が投入部3に投入される。次に、投入された絶縁母材41が送り機構5によって、加工部7へ送り出される。次に、図3に示すように、溝堀切断部21(丸鋸)によって、絶縁母材41の表面に溝45が形成される。
このとき、溝堀切断部21(丸鋸)の角度を調整することによって、溝45は、絶縁母材41の長手方向に対して、所望の角度をもって形成される。必要とされる溝45の数の分について、送り機構5による絶縁母材41の搬送と、溝堀切断部21による絶縁母材41への加工とが繰り返されることになる。
次に、図4に示すように、溝堀切断部21によって、絶縁材として必要とされる長さの絶縁母材41を切断することができる位置にまで、絶縁母材41が送り機構5によって搬送される。次に、その位置において、溝堀切断部21の角度が調整されて、絶縁母材41の長手方向とほぼ直交する方向に、絶縁母材41が切断される。こうして、溝45が形成された所望の長さを有するバー状の絶縁材43が製造される。以下、この動作を繰り返すことによって、絶縁材43が連続して製造される。製造された絶縁材43は、後述するように、変圧器の絶縁シートの表面に順次配置されることになる。
上述した絶縁材製造装置1では、送り機構5により送り出される絶縁母材41に対して、切削方向の調整が可能な溝堀切断部21によって、絶縁母材41に溝45が形成される。これにより、変圧器の絶縁シートの表面に配置される位置に応じた種々のパターンの溝45を有する絶縁材43を効率的に製造することができる。
図5に示すように、溝堀切断部21の角度を調整する角度調整部としては、絶縁母材41の長手方向と直交する方向を角度0°とすると、少なくとも±45°以上の角度θをもって調整することができることが望ましい。これにより、変圧器の種類または絶縁シートの表面における位置に応じた溝のパターンを容易に形成することができる。
また、たとえば、溝堀切断部21の負荷が溝45の形成に集中する場合等、絶縁材製造装置1の生産サイクルタイムが増加する場合には、絶縁母材41を切断するための専用の切断機構29を設けてもよい。専用の切断機構としては、たとえば、丸鋸、シャー等を適用することができる。また、エンドミル25を設けるようにしてもよい。
また、専用の切断機構を使用する場合において、絶縁母材41に溝45を形成する際には、溝45が形成される絶縁母材41の部分の周囲を固定した状態で加工することが望ましい。絶縁母材41を固定することで、溝堀切断部21によって、薄肉となる絶縁母材41が損傷するのを防止して、絶縁材43としての成形品質を確保することができる。
さらに、絶縁母材41に溝45を形成して切断する際に、絶縁母材41(または絶縁材43)にバリまたはカエリが生じるような場合には、必要に応じて、そのバリ等を除去するバリ・カエリ除去機構27を設けてもよい。そのようなバリ・カエリ除去機構27として、たとえば、刃物、ブラシ、ブラスト等がある。
さらに、絶縁母材41の移動量を測定するエンコーダ等の移動量測定部31を設けてもよい。移動量を測定することで、絶縁母材41に溝45を形成すべき位置または絶縁母材41を切断すべき位置等に、それぞれ絶縁母材41を正確に搬送させることができる。
さらに、溝堀切断部21にアクチュエータ23等を設けて、溝堀切断部21を絶縁母材41の長手方向に沿って移動可能にし、指定された位置において絶縁母材41に溝45を形成するようにしてもよい。これにより、たとえば、設計数値データを使用して、最適な溝を有する絶縁材を連続して製造することができる。
実施の形態2.
上述した絶縁材製造装置1では、切削方向の調整が可能な溝堀切断部21によって、変圧器の仕様または配置位置に応じて種々のパターンの溝を絶縁材に形成できることを述べた。ここでは、その絶縁材の溝のパターンの例について説明する。
上述した絶縁材製造装置1では、切削方向の調整が可能な溝堀切断部21によって、変圧器の仕様または配置位置に応じて種々のパターンの溝を絶縁材に形成できることを述べた。ここでは、その絶縁材の溝のパターンの例について説明する。
(第1例)
第1例に係る溝45が形成された絶縁材43を、図6に示す。図6に示すように、絶縁材43は、コイル53の上に、たとえば、プレスボード等の絶縁材料である絶縁シート55を介在させて配置されている。絶縁材43は、絶縁シート55の幅とほぼ同じ長さになるように切断されている。絶縁材43のそれぞれでは、絶縁縁油が流れる方向とほぼ平行に溝45が複数形成されている。溝45のそれぞれは、絶縁材43の短手方向に連続的に形成されている。一つの絶縁材43では、溝45は互いに間隔を隔てて形成されている。隣り合う一の絶縁材43と他の絶縁材43とでは、それぞれに形成されている溝45の長手方向の位置(位相)がずれるように形成されている。
第1例に係る溝45が形成された絶縁材43を、図6に示す。図6に示すように、絶縁材43は、コイル53の上に、たとえば、プレスボード等の絶縁材料である絶縁シート55を介在させて配置されている。絶縁材43は、絶縁シート55の幅とほぼ同じ長さになるように切断されている。絶縁材43のそれぞれでは、絶縁縁油が流れる方向とほぼ平行に溝45が複数形成されている。溝45のそれぞれは、絶縁材43の短手方向に連続的に形成されている。一つの絶縁材43では、溝45は互いに間隔を隔てて形成されている。隣り合う一の絶縁材43と他の絶縁材43とでは、それぞれに形成されている溝45の長手方向の位置(位相)がずれるように形成されている。
変圧器では、たとえば、落雷等によって過大な電流が流れるような場合、コイル53に規定以上の電流が流れることがある。その場合、絶縁材を挟んで絶縁材の下に配置されているコイル(コイルA)と絶縁材の上に配置されているコイル(コイルB)との間に電磁力が作用し、コイルAとコイルBとが互いに引き寄せられることがある。
ここで、絶縁材43として、たとえば、絶縁材C、 絶縁材Dおよび絶縁材Eが間隔を隔てて連続的に配置されている箇所において、コイルBの一部の素線が絶縁材Dの溝45上に面している場合を想定する。このとき、絶縁材Cおよび絶縁材Eのそれぞれの溝45の長手方向の位置(位相)を、絶縁材Dの溝45の長手方向の位置(位相)からずらすことで、この素線は、絶縁材Cおよび絶縁材Eによって支持されることになる。これにより、絶縁材Dの溝45へ素線が落ち込むのを防止することができる。
(第2例)
第2例に係る溝45が形成された絶縁材43を、図7に示す。図7に示すように、絶縁材43は、絶縁シート55の幅とほぼ同じ長さになるように切断されている。絶縁材43のそれぞれでは、絶縁縁油が流れる方向と交差する方向(角度±θ)に沿って溝45が複数形成されている。角度±θは、およそ±45°から±60°程度とされる。溝45のそれぞれは、絶縁縁油が流れる方向と交差する方向に連続的に形成されている。
第2例に係る溝45が形成された絶縁材43を、図7に示す。図7に示すように、絶縁材43は、絶縁シート55の幅とほぼ同じ長さになるように切断されている。絶縁材43のそれぞれでは、絶縁縁油が流れる方向と交差する方向(角度±θ)に沿って溝45が複数形成されている。角度±θは、およそ±45°から±60°程度とされる。溝45のそれぞれは、絶縁縁油が流れる方向と交差する方向に連続的に形成されている。
溝45が、絶縁縁油が流れる方向と交差する方向に角度±θ(約±45°〜±60°程度)をもって連続的に形成されている。これにより、仮に短絡等によってコイルAとコイルBとが互いに引き寄せられたとしても、コイルAとコイルB(第1例参照)は、絶縁材43における溝45が形成されている部分以外の部分に支持されて、たとえば、コイルBが、溝45へ落ち込んでしまうのを防止することができる。
また、絶縁材43を配置するピッチをより広げることができ、使用する絶縁材の材料を低減することができる。さらに、絶縁材43の配置ピッチを拡げることで、絶縁材43の数を減らすことができ、変圧器の重量も抑えることができる。
(第3例)
第3例に係る溝45が形成された絶縁材43を、図8に示す。図8に示すように、絶縁材43は、絶縁シート55の幅とほぼ同じ長さになるように切断されている。絶縁材43のそれぞれでは、溝45が、絶縁油が流れる方向と交差する方向に角度±θ(約±45°程度)をもって連続的に形成されている。
第3例に係る溝45が形成された絶縁材43を、図8に示す。図8に示すように、絶縁材43は、絶縁シート55の幅とほぼ同じ長さになるように切断されている。絶縁材43のそれぞれでは、溝45が、絶縁油が流れる方向と交差する方向に角度±θ(約±45°程度)をもって連続的に形成されている。
絶縁材43では、角度+θ(約+45°)をもって絶縁油が流れる方向と交差する溝45と、角度−θ(約−45°)をもって絶縁油が流れる方向と交差する溝45とは、交差する態様で形成されている。さらに、絶縁材43では、溝45が形成されない部分が矩形の島状の部分として残されるように、溝45が形成されている。矩形の島状の部分の4つの側面のそれぞれと、絶縁油が流れる方向とのなす角度は約45°となる。
隣り合う一の絶縁材43と他の絶縁材43とでは、それぞれに形成されている溝45の長手方向の位置(位相)がずれるように形成されている。これにより、仮に短絡等によってコイルAとコイルB(第1例参照)とが互いに引き寄せられたとしても、コイルAとコイルBは、絶縁材43における溝45が形成されている部分以外の部分に支持されて、たとえば、コイルBが、溝45へ落ち込んでしまうのを防止することができる。
(第4例)
第4例に係る溝45が形成された絶縁材43を、図9に示す。図9に示すように、絶縁材43は、絶縁シート55の幅とほぼ同じ長さになるように切断されている。絶縁材43のそれぞれでは、溝45が、絶縁縁油が流れる方向と交差する方向に角度±θ(約±45°程度)をもって連続的に形成されている。
第4例に係る溝45が形成された絶縁材43を、図9に示す。図9に示すように、絶縁材43は、絶縁シート55の幅とほぼ同じ長さになるように切断されている。絶縁材43のそれぞれでは、溝45が、絶縁縁油が流れる方向と交差する方向に角度±θ(約±45°程度)をもって連続的に形成されている。
絶縁材43では、溝45は、角度+θ(約+45°)をもって絶縁油が流れる方向と交差する溝45(溝A)と、角度−θ(約−45°)をもって絶縁油が流れる方向と交差する溝45(溝B)とを、交差させない態様で長手方向に沿って交互に形成されている。
隣り合う一の絶縁材43と他の絶縁材43とでは、それぞれに形成されている溝45の長手方向の位置(位相)は、以下の態様でずれるように形成されている。一の絶縁材43と他の絶縁材43とが互いに対向する、長手方向の側部では、一の絶縁材43における溝Aと溝Bとの間隔が狭まっている部分の長手方向の位置と、他の絶縁材43における溝Aと溝Bとの間隔が狭まっている部分の長手方向の位置とが同じ位置にある。一の絶縁材43における溝Aと溝Bとの間隔が広がっている部分の長手方向の位置と、他の絶縁材43における溝Aと溝Bとの間隔が広がっている部分の長手方向の位置とが同じ位置にある。
これにより、仮に短絡等によってコイルAとコイルB(第1例参照)とが互いに引き寄せられたとしても、コイルAとコイルBは、絶縁材43における溝45が形成されている部分以外の部分に支持されて、たとえば、コイルBが、溝45へ落ち込んでしまうのを防止することができる。
また、絶縁材43を配置するピッチをより広げることができ、使用する絶縁材の材料を低減することができる。さらに、絶縁材43の配置ピッチを拡げることで、絶縁材43の数を減らすことができ、変圧器の重量も抑えることができる。
(第5例)
第5例に係る溝45が形成された絶縁材43を、図10に示す。図10に示すように、絶縁材43は、絶縁シート55の幅とほぼ同じ長さになるように切断されている。絶縁材43のそれぞれでは、溝45が、絶縁油が流れる方向と交差する方向に角度±θ(約±45°程度)をもって連続的に形成されている。
第5例に係る溝45が形成された絶縁材43を、図10に示す。図10に示すように、絶縁材43は、絶縁シート55の幅とほぼ同じ長さになるように切断されている。絶縁材43のそれぞれでは、溝45が、絶縁油が流れる方向と交差する方向に角度±θ(約±45°程度)をもって連続的に形成されている。
絶縁材43では、角度+θ(約+45°)をもって絶縁油が流れる方向と交差する溝45と、角度−θ(約−45°)をもって絶縁油が流れる方向と交差する溝45とは、交差する態様で形成されている。
これにより、仮に短絡等によってコイルAとコイルB(第1例参照)とが互いに引き寄せられたとしても、コイルAとコイルBは、絶縁材43における溝45が形成されている部分以外の部分に支持されて、たとえば、コイルBが、溝45へ落ち込んでしまうのを防止することができる。
また、絶縁材43を配置するピッチをより広げることができ、使用する絶縁材の材料を低減することができる。さらに、絶縁材43の配置ピッチを拡げることで、絶縁材43の数を減らすことができ、変圧器の重量も抑えることができる。
なお、第1例〜第5例のそれぞれでは、絶縁油が流れる際の抵抗を抑えて冷却効率を向上させるために、溝45の底面と絶縁シート55(絶縁材43の下面)との段差は少ないことが望ましい。溝45の端部の底面に、絶縁シート55(絶縁材43の下面)に向かって傾斜したテーパ部を設けるようにしてもよい。テーパ部を設けることで、溝45の底面と絶縁シート55との段差が緩やかになって、絶縁油が流れる際の流路抵抗を低減することができる。
また、絶縁シート55上における絶縁材43が配置される箇所に、絶縁材43の幅と同等の幅を有する溝(凹部)を設けるようにしてもよい。この溝の深さとしては、たとえば、上記した溝45の底面と絶縁シート55(絶縁材43の下面)との段差分に相当する深さとしてもよいし、または、その段差分よりも浅い深さとしてもよい。この溝に、絶縁材43を配置することで、溝45の底面と絶縁シート55との段差が低減し、絶縁油が流れる際の流路抵抗を低減することができる。
実施の形態3.
ここでは、溝が形成されて切断された絶縁材を、変圧器の絶縁シートの表面に載置する配置部を設けた絶縁材製造装置の一例について説明する。
ここでは、溝が形成されて切断された絶縁材を、変圧器の絶縁シートの表面に載置する配置部を設けた絶縁材製造装置の一例について説明する。
図11に示すように、絶縁材製造装置1は、投入部3および加工部7に加えて、配置部9を有する。配置部9は、変圧器の絶縁シート55を、たとえば、吸着等により固定する据え付け機構11と、切断された絶縁材43を搬送して、絶縁シート55の表面に載置する搬送機構13とを備えている。絶縁材43を絶縁シート55の表面に載置する際には、据え付け機構11を移動させるようにしてもよいし、搬送機構13を移動させるようにしてもよい。
なお、図11では、絶縁材製造装置1に対し、投入部3、加工部7および搬送機構13等が対になるよう2つずつ設置されている態様が示されている。絶縁材製造装置1としては、このような設置態様に制限されるものではなく、各機構で実現されるサイクルタイムによって、投入部3等、各々の設置数を増減させてよい。
据え付け機構11を移動させる場合には、搬送機構13によって、絶縁材43を絶縁シート55の表面の配置すべき位置に載置することが可能な可動範囲内に、据え付け機構11を移動させるようにすることが望ましい。搬送機構13を移動させる場合には、搬送機構13によって、絶縁材43を絶縁シート55の表面の配置すべき位置に載置することが可能な可動範囲内に、搬送機構13を移動させるようにすることが望ましい。なお、これ以外の構成については、図1等に示す絶縁材製造装置1と同様なので、同一部材には同一符号を付し、必要である場合を除きその説明を繰り返さないこととする。
次に、上述した絶縁材製造装置1の動作の一例について説明する。図12に示すように、まず、加工部7によって、絶縁母材41に溝が形成されて、絶縁母材41を使用する長さに切断することにより、絶縁材43が形成される(実施の形態1参照)。切断された絶縁材43は、搬送機構13によって把持される。
次に、搬送機構13によって、絶縁材43を絶縁シート55の表面の配置すべき位置に載置することが可能な可動範囲内に、据え付け機構11を移動させる。次に、図13に示すように、搬送機構13に把持された絶縁材43が、可動範囲内に位置する絶縁シート55の表面の配置すべき位置に順次載置される。この作業が完了した後、絶縁材43がまだ載置されていない絶縁シート55の表面に載置することが可能な可動範囲内に、据え付け機構11を移動させる。次に、搬送機構13によって、絶縁材43が、絶縁シート55の表面の配置すべき位置に順次載置される。以下、この動作を繰り返すことによって、図14に示すように、絶縁シート55の表面の配置すべき位置のすべてに絶縁材43が配置される。
なお、上述した動作では、搬送機構13の可動範囲内に据え付け機構11を移動させる場合について説明したが、搬送機構13を移動させることによって、絶縁シート55の表面の配置すべき位置に絶縁材43を載置するようにしてもよい。
上述した絶縁材製造装置1では、変圧器の機種ごとに絶縁材の溝のパターンが異なる絶縁材43を容易に製造することができ、しかも、その絶縁材43を、一旦保管させることなく、絶縁シート55の表面に載置することができる。
このことについて、比較例に係る絶縁材製造装置と比べて説明する。比較例に係る絶縁材製造装置では、図15に示すように、絶縁材として、ブロック形状の絶縁材101が製造される。図16に示すように、ブロック状の絶縁材101は、絶縁シート55の表面における配置されるべき位置に載置される。絶縁材101と絶縁材101との間の空間(領域)が、絶縁油が流れる流路になる。
図17に示すように、絶縁材101が配置された絶縁シート55は、積層されるコイル53とコイル53との間に挟み込まれる。こうして、コイル53間のそれぞれに、絶縁材101が配置された絶縁シート55を挟み込むことによって、変圧器が製造される。
絶縁材として、ブロック形状の絶縁材101を使用した場合、絶縁シート55の表面にそれぞれ配置される絶縁材101と絶縁材101との間の空間(領域)が、絶縁油の流通路となる。つまり、一つの流通路を設けるためには、2つの絶縁材101が必要になる。このため、所望の流通路を確保するためには、1枚の絶縁シート55に相当数の絶縁材101が必要とされる。しかも、絶縁材101が配置された絶縁シート55は、コイル53間のそれぞれに挟み込まれるため、1台の変圧器に必要とされる絶縁材101は、数万個に達することがある。このため、絶縁材101を絶縁シート55の表面に配置するのに、膨大な時間を要することになる。
また、絶縁材101と絶縁材101との間の領域を流れる絶縁油は、変圧器を冷却させる機能を有する。このため、変圧器を効率的に冷却するには、絶縁材101の形状と絶縁シート55の表面における配置位置とを最適化することが求められる。その結果、所望の形状を有する絶縁材を製造し、その絶縁材を絶縁縁シートの表面のしかるべき位置に配置させるのにさらに時間を要してしまい、作業効率が悪化してしまう。
一方、ブロック形状の絶縁材の形状を共通化させて、作業効率の改善を図ろうとすると、絶縁ブロックの形状の制約を受けてしまい、絶縁油の最適な流通路を設計することが難しくなってしまう。
比較例に対して、実施の形態に係る絶縁材製造装置1では、たとえば、絶縁シートの幅に相当する長さの絶縁材43に、絶縁油の流通路となる溝45が形成される。しかも、溝45は、一つの絶縁材43に対して複数形成される。これにより、絶縁材43の数を大幅に減らすことができる。その結果、絶縁材43を絶縁シート55の表面に配置させる時間を短縮させることができる。
また、絶縁材製造装置1では、送り機構5によって、絶縁材43となる絶縁母材41の長手方向における溝堀切断部21の位置を変えることができる。さらに、絶縁母材41の長手方向に対する溝堀切断部21の傾き角度を変えることができる。これにより、絶縁材43となる絶縁母材41に形成する溝45の形状パターン、深さ、幅、ピッチを容易に変えることができる。その結果、絶縁油が流れる溝45として、最適な流通路となる溝45を容易に形成することができ、変圧器内の冷却効率を向上させることができる。
変圧器におけるコイルの大きさ、絶縁シートのサイズ等は、変圧器ごとに寸法が異なる。また、変圧器の内部においても、寸法の異なるコイルが複数枚積層されており、絶縁シートの寸法も箇所により異なる。このため、変圧器に応じた絶縁油の最適な流通路を設けるためには、上述したコイル等の各部分の有する寸法形状に応じて、所望の溝が形成された絶縁材を、絶縁シートの表面におけるしかるべき位置に載置することが非常に重要になる。
このとき、所望の溝が形成された絶縁材を一旦保管しておき、後に、その絶縁材を絶縁シートの表面に載置するような製造方法を採った場合、絶縁材を保管する際には、個々の絶縁材に関する情報を厳密に管理する必要がある。
上述した配置部9を備えた絶縁材製造装置1では、製造された絶縁材43に関する情報は配置部9へ送られて、所望の溝45が形成された絶縁材43が、絶縁シート55の表面におけるしかるべき位置に直ちに載置される。これにより、個々の絶縁材43に関する情報を厳密に管理する必要がなくなり、絶縁材43を製造し、その製造された絶縁材43を絶縁シート55の表面に配置する一連の作業を、効率的に、かつ、確実に行うことができる。
なお、個々の絶縁材43を、絶縁シート55の表面のしかるべき位置に精度よく載置するために、図18に示すように、絶縁シート55の外形、または、絶縁シート55における位置を認識する形状確認センサ33を設けてもよい。図18では、形状確認センサ33は、据え付け機構11の側方に配置されている態様を示すが、形状確認センサ33を据え付け機構11の内部に組み込んでもよいし、また、搬送機構13に配置させてもよい。形状確認センサ33によって、据え付け機構11上に位置する絶縁シート55と搬送機構13との相対的な位置関係が精度よく認識されて、絶縁材43を絶縁シート55上に精度よく載置することができる。
さらに、図18に示すように、絶縁材43と絶縁シート55との接触面に、あらかじめ接着剤等を塗布する接着剤塗布部35を設けてもよい。図18では、接着剤塗布部35は、配置部9に配置されている態様を示すが、接着剤塗布部35を門型にして、その門型の接着剤塗布部35を据え付け機構11の上部に設置してもよい。また、必要に応じて、その接着剤塗布部35に移動機構を搭載してもよい。また、接着剤塗布部35を加工部7側に配置させてもよい。あらかじめ、接触面に接着剤が塗布されることで、絶縁材43が絶縁シート55の表面に載置された後に、絶縁シート55の表面に対して絶縁材43が位置ずれを起こしてしまうのを防止することができる。
こうして、上述した絶縁材製造装置1では、溝45が形成された絶縁材43の保管、品種管理および配置作業を人手によって行う必要がなく、絶縁材43を絶縁シート55の表面におけるしかるべき位置に精度よく、かつ、効率的に配置することができる。
上述した各実施の形態では、絶縁材43として、絶縁シート55の幅に相当する長さを有する絶縁材43を製造する場合を例に挙げた。この場合には、絶縁材43の一端を絶縁シート55の外側の端に合せるとともに、絶縁材43の他端を絶縁シート55の内側の端に合せる必要がある。そのため、絶縁材43を製造する際の寸法精度と、絶縁材43を絶縁シートの表面に載置する際の位置精度とが求められる。
その寸法精度と位置精度とを抑えて生産性を向上させるために、図19または図20に示すように、たとえば、絶縁シート55の幅方向に二分割された絶縁材43を使用してもよい。図19に示される絶縁材43は、図7に示される絶縁材43を二分割させたものである。図20に示される絶縁材43は、図10に示される絶縁材43を二分割させたものである。
この場合には、絶縁材43を絶縁シート55の表面に載置する際に、たとえば、形状確認センサ33を使用して、二分割された絶縁材43のうち、一方の絶縁材43の端を絶縁シート55の幅方向の一方の端に合わせて載置し、他方の絶縁材43の端を絶縁シート55の幅方向の他方の端に合わせて載置する。こうすることで、一方の絶縁材43と他方の絶縁材43との間に形成される隙間部47によって、絶縁材43の寸法誤差を吸収することができる。また、この隙間部47では段差がないため、絶縁油の流路として流路抵抗を下げることができる。
また、各実施の形態では、絶縁シート55の表面に絶縁材43を配置する場合について説明した。絶縁シート55は、絶縁機能を有し、作業上、絶縁材43をしかるべき位置に正しく配置するための媒体である。絶縁機能を満たす限り、絶縁シート55を使用せずに、絶縁材43をコイル53の表面に直接配置するようにしてもよい。
なお、各実施の形態において説明した絶縁材製造装置1については、必要に応じて種々組み合わせることが可能である。
今回開示された実施の形態は例示であってこれに制限されるものではない。本発明は上記で説明した範囲ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明は、変圧器内に絶縁油の流通路を形成するために使用される絶縁材の製造に有効に利用される。
1 絶縁材製造装置、3 投入部、5 送り機構、7 加工部、9 配置部、11 据え付け機構、13 搬送機構、21 溝堀切断部、23 アクチュエータ、25 エンドミル部、27 バリ・カエリ除去部、29 切断機構、31 移動量測定部、33 形状確認センサ、35 接着剤塗布部、41 絶縁母材、43 絶縁材、45 溝、47 隙間部、51 変圧器、53 コイル、55 絶縁シート。
Claims (15)
- 巻回された変圧器のコイルを覆う絶縁シートの表面に配置される絶縁材を製造するための絶縁材製造装置であって、
前記絶縁材となる第1方向に延在する絶縁母材が投入される投入部と、
前記投入部から前記絶縁母材を、前記第1方向に沿って送り出す送り機構と、
前記送り機構によって送り出される前記絶縁母材に、絶縁油を流通させる溝を形成し、前記溝が形成された前記絶縁母材の部分を第1長さをもって切断することにより、前記絶縁材を形成する加工部と
を備えた、絶縁材製造装置。 - 前記加工部は、
前記絶縁母材の表面を切削することによって、前記溝を形成する切削部と、
前記絶縁母材を前記第1長さをもって切断する切断部と
を含み、
前記切削部は、前記絶縁母材が延在する前記第1方向と交差する第2方向に切削する機能を有する、請求項1記載の絶縁材製造装置。 - 前記加工部は、前記第1方向に対する前記第2方向の角度を調整する角度調整部を含む、請求項2記載の絶縁材製造装置。
- 前記加工部は、丸鋸およびエンドミルの少なくともいずれかを含む、請求項1記載の絶縁材製造装置。
- 前記加工部は、前記絶縁母材を前記第1方向に移動させるアクチュエータを含む、請求項1記載の絶縁材製造装置。
- 前記加工部は、前記絶縁母材の移動量を測定する移動量測定部を含む、請求項1記載の絶縁材製造装置。
- 前記加工部は、前記第1長さとして、前記絶縁母材の部分を、巻回された前記コイルを覆う前記絶縁シートの幅に相当する長さに切断する、請求項1記載の絶縁材製造装置。
- 巻回された前記コイルを覆う前記絶縁シートが据え付けられる据え付け機構と、
前記加工部によって形成された前記絶縁材を搬送して、前記据え付け機構に据え付けられた前記絶縁シートの表面に配置する搬送機構と
を含む配置部を備えた、請求項1記載の絶縁材製造装置。 - 前記配置部は、前記絶縁シートの表面における前記絶縁材の位置を認識する形状認識センサを含む、請求項8記載の絶縁材製造装置。
- 前記配置部は、前記絶縁シートの表面における前記絶縁材を接着する接着剤塗布部を含む、請求項8記載の絶縁材製造装置。
- 巻回された変圧器のコイルを覆う絶縁シートの表面に配置される絶縁材を製造するための絶縁材の製造方法であって、
前記絶縁材となる第1方向に延在する絶縁母材を用意する工程と、
前記絶縁母材を、前記第1方向に沿って送り出す工程と、
前記第1方向に沿って送り出される前記絶縁母材の表面を加工することによって、前記絶縁母材に絶縁油を流通させる溝を形成する工程と、
前記溝が形成された前記絶縁母材の部分を第1長さをもって切断することにより、前記絶縁材を形成する工程と
を備えた、絶縁材の製造方法。 - 前記溝を形成する工程では、
前記第1方向と交差する第2方向に沿って前記絶縁母材に加工が行われ、
前記第1方向に対する前記第2方向の角度は可変とされる、請求項11記載の絶縁材の製造方法。 - 巻回された前記コイルを覆う前記絶縁シートを据え付ける工程と、
切断された前記絶縁材を搬送して、据え付けられた前記絶縁シートの表面に配置する工程と
を含む、請求項11記載の絶縁材の製造方法。 - 前記絶縁材を形成する工程では、前記第1長さとして、巻回された前記コイルを覆う前記絶縁シートの幅に相当する長さに切断される、請求項11記載の絶縁材の製造方法。
- 前記絶縁材を形成する工程では、前記第1長さとして、巻回された前記コイルを覆う前記絶縁シートの幅に相当する長さよりも短い長さに切断される、請求項11記載の絶縁材の製造方法。
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