JP2018133258A - 電解質 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱的安定性の低下をより抑制するか又は熱的安定性をより向上すると共に、低温でのイオン伝導度の低下をより抑制する電解質を提供する。【解決手段】この電解質は、グライムと、イミド構造を含むアニオンと、ホスホン酸、リン酸、カルボン酸、ホウ酸、芳香族イミド及びフェノール類のうち1以上を含む有機酸塩と、第1族カチオン及び第2族カチオンのうち1以上のカチオンと、酸性、両性、塩基性及び中性のうち1以上である金属酸化物を含む無機粒子とヘテロ原子を含む有機粒子とのうち少なくとも一方を含む添加粒子と、を含む。【選択図】なし

Description

本明細書で開示する発明である本開示は、電解質に関する。
従来、リチウム二次電池などに用いられる電解質としては、例えば、ホスホン酸系アルカリ金属塩、リン酸系アルカリ金属塩及びホスフィン酸系アルカリ金属塩のうちの1種以上であるP−O系アルカリ金属塩と、イミド構造を含むアニオンと、グライムとを備えた溶媒和イオン液体が提案されている(特許文献1参照)。この溶媒和イオン液体では、低温でのイオン伝導度の低下を抑制することができる。この理由は、グライムにP−O系アルカリ金属塩を添加すると、そのアルカリ金属カチオンに対して、イミド構造を含むアニオンが配位などの相互作用を生じて、対アニオンの負電荷が低下される。その結果、アルカリ金属イオンとグライムとが形成する錯カチオンがそのまま解離することが促進される結果となるためと推察される。
特開2015−2153号公報
しかしながら、上述した電解質では、例えば、低温でのイオン伝導度の低下を抑制することができるが、まだ十分でなく、更なる改良が望まれていた。また、溶媒和イオン液体は、中高温では揮発性を示す液体であるため、例えば、揮発性を低減するなど熱的安定性をより高めることが求められていた。熱的安定性を高めるために添加剤を添加させると、イオン伝導性が低下したり、イオン伝導性を高めようとすると熱的安定性が低下したりする問題があった。
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、熱的安定性の低下をより抑制するか又は熱的安定性をより向上すると共に、低温でのイオン伝導度の低下をより抑制することができる電解質を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明者らは、グライムとホスホン酸系のアルカリ金属塩などの有機酸塩とを含む溶媒和イオン液体に無機粒子や有機粒子を添加したところ、熱的安定性の低下をより抑制するか又は熱的安定性をより向上すると共に、低温でのイオン伝導度の低下をより抑制することができることを見いだし本発明を完成するに至った。
即ち、本明細書で開示する電解質は、
グライムと、
イミド構造を含むアニオンと、
第1族カチオン及び第2族カチオンのうち1以上のカチオンと、
ホスホン酸、ホスフィン酸、リン酸、カルボン酸、ボロン酸、ホウ酸、芳香族イミド及びフェノール類のうち1以上を含む有機酸塩と、
酸性、両性、塩基性及び中性のうち1以上である金属酸化物を含む無機粒子とヘテロ原子を含む有機粒子とのうち少なくとも一方を含む添加粒子と、
を含むものである。
この電解質では、熱的安定性の低下をより抑制するか又は熱的安定性をより向上すると共に、低温でのイオン伝導度の低下をより抑制することができる。こうした効果が得られる理由は、例えば、以下のように推察される。すなわち、グライムとイミド塩とを含む溶媒和イオン液体に、ホスホン酸、ホスフィン酸、リン酸、カルボン酸、ボロン酸、ホウ酸、芳香族イミド及びフェノール類のうち1以上を含む有機酸塩を添加すると、グライムの配位した錯カチオンを有するイミドアニオンが、有機酸塩のカチオン部位に配位した複合アニオン構造となるものと推察される。この複合アニオン構造では、イミド構造を含むアニオンが配位などの相互作用により負電荷が低下される結果、グライムにより形成される錯カチオンの解離が促進されるため、イオン伝導度が向上するものと推察される。また、複合アニオン構造のみでは、低温でのイオン伝導性の低下抑制が十分ではないものの、この電解質では、添加粒子の表面に複合アニオン構造のイオン結合部分が相互作用することにより、錯カチオンの解離性や移動性が向上するため、低温でのイオン伝導性の低下が更に抑制されるものと推察される。また、複合アニオン構造のイオン結合部分が添加粒子の表面に相互作用するため、熱的安定性の低下がより抑制される、又は熱的安定性がより向上するものと推察される。
グライムとイミド塩との結合の様子を示す概念図。 複合アニオン構造と無機粒子との相互作用の説明図。 フェニルホスホン酸及びそのMg塩のFT−IRスペクトル。 溶媒和イオン液体ILb、ILj、ILd、ILiのσ−T曲線。 固化後の溶媒和イオン液体ILbのXRDパターン。 溶媒和イオン液体ILb、ILaの凍結前後のσ−T曲線。 溶媒和イオン液体にαアルミナを複合化した実験例のσ−T曲線。 溶媒和イオン液体にγアルミナを複合化した実験例のσ−T曲線。 溶媒和イオン液体にフュームドシリカを複合化した実験例のσ−T曲線。 溶媒和イオン液体にFSM22を複合化した実験例のσ−T曲線。 溶媒和イオン液体にMgOを複合化した実験例のσ−T曲線。 溶媒和イオン液体にCuOを複合化した実験例のσ−T曲線。 溶媒和イオン液体にTiO2を複合化した実験例のσ−T曲線。 溶媒和イオン液体にh−BNを複合化した実験例のσ−T曲線。 溶媒和イオン液体ILa,ILe,ILf,ILgのσ−T曲線。 溶媒和イオン液体ILeに無機粒子を複合化した実験例のσ−T曲線。 溶媒和イオン液体ILfに無機粒子を複合化した実験例のσ−T曲線。 溶媒和イオン液体ILgに無機粒子を複合化した実験例のσ−T曲線。 溶媒和イオン液体ILhに無機粒子を複合化した実験例のσ−T曲線。 溶媒和イオン液体に有機粒子を複合化した実験例のσ−T曲線。
本明細書で開示する電解質は、グライムと、イミド構造を含むアニオンと、有機酸塩と、第1族カチオン及び第2族カチオンのうち1以上のカチオンと、無機粒子と有機粒子とのうち少なくとも一方を含む添加粒子と、を含むものである。この有機酸塩は、ホスホン酸、ホスフィン酸、リン酸、カルボン酸、ボロン酸、ホウ酸、芳香族イミド及びフェノール類のうち1以上を含む塩である。また、無機粒子は、酸性、両性、塩基性及び中性のうち1以上である金属酸化物を含むものである。また、有機粒子は、ヘテロ原子を含むポリマーである。
グライムは、直鎖状の対称グリコールジエーテルの総称であり、例えば、R−O(CH2CH2O)n−Rで表されるものとしてもよい。式中、Rは、アルキル基又はアリール基であり、nは1以上の整数である。アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルなどが挙げられる。アリール基としては、フェニル、ナフチル、アントリルなどが挙げられる。nは、1以上の整数であればよいが、3又は4であることが好ましい。グライムは、トリグライムジメチルエーテル(G3)及びテトラグライムジメチルエーテル(G4)のうち1以上であるものとしてもよい。グライムは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
イミド構造を含むアニオンとしては、例えば、窒素にカルボニル基が2つ結合したイミドアニオンのほか、窒素に2つのスルホニル基が結合したスルホニルイミドアニオンや、窒素に1つのスルホニル基と1つのカルボニル基が結合したスルホニルカルボニルイミドアニオンなどを含むものとしてもよい。イミド構造を含むアニオンとしては、スルホニルイミドアニオンやスルホニルカルボニルイミドアニオンが好ましく、スルホニルイミドアニオンがより好ましい。スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン(TFSI) やビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドアニオン(BETI)、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン(FSI)、フルオロスルホニルトリフルオロメタンスルホニルイミドアニオン(FTA)、4,4,5,5,−テトラフルオロ−1,3,2−ジチアゾリン−1,1,3,3−テトラオキシドアニオン(CTFSI)等が挙げられる。スルホニルカルボニルイミドアニオンとしては、例えば、2,2,2−トリフルオロ−N−(トリフルオロメチルスルホニル)アセトアミドアニオン(TSAC)等が挙げられる。このうち、グライムに対する溶解性や、錯体形成しやすさなどの観点からは、TFSIやFSIが好ましい。イミド構造を含むアニオンは、有機アニオンであることが好ましい。このイミド構造を含むアニオンは、アルカリ金属イオンを対カチオンとしてもよい。アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが好ましく、リチウムがより好ましい。このアルカリ金属は、有機酸塩に含まれるカチオンと同種のものであっても異種のものであってもよいが、同種であることが好ましい。イミド構造を含むアニオンとカチオンとを含むイミド塩としては、例えば、LiFSIが好ましい。
有機酸塩は、ホスホン酸、ホスフィン酸、リン酸、カルボン酸、ボロン酸、ホウ酸、芳香族イミド及びフェノール類のうち1以上を含むものである。この有機酸塩は、例えば、ホスホン酸系金属塩、リン酸系金属塩、ボロン酸系金属塩及びホウ酸系金属塩のうちの1種以上であるものとしてもよい。ホスホン酸系金属塩としては、例えば、式(1)、(2)に示すものが好ましい。また、ボロン酸系金属塩としては、例えば、式(3)、(4)に示すものが好ましい。
式(1)〜(4)において、Rは、水素、ハロゲン、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基及びオキシアルキレン基からなる群より選ばれる1種以上、又は、それを有する重合体である。アルキル基は、例えば、炭素数が1〜20程度の直鎖又は分岐鎖を有するものとしてもよい。こうしたものとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、テトラデカン基などが挙げられる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基などが挙げられる。アルキルアリール基としては、トリル基、キシリル基などが挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。オキシアルキレン基は、例えば、オキシアルキレンユニットを1〜20個程度有するものとしてもよい。オキシアルキレンユニットを2個以上有する場合、オキシアルキレンユニットは、1種でもよいし2種以上でもよい。オキシアルキレンユニットとしては、例えば、オキシメチレンユニットや、オキシエチレンユニット、オキシプロピレンユニットなどが挙げられる。重合体としては、上述したアルキル基、アリール基、オキシアルキレン基などの単量体の一部を重合性置換基とした重合性化合物(モノマー)を用い、必要に応じて、その他の重合性化合物(モノマー)を加え、重合して得られたものとしてもよい。こうした重合体は、2〜100個程度のモノマーが重合したオリゴマーとしてもよいし、100個以上のモノマーが重合したポリマーとしてもよい。また、上述したRにおいて、アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アラルキル基及びオキシアルキレン基や、それを有する重合体は、末端をハロゲン化したものとしてもよい。このとき、全ての末端をハロゲン化したものとしてもよいし、一部の末端をハロゲン化したものとしてもよい。ハロゲンとしては、フッ素が好ましい。末端をハロゲン化したものとしては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2−(トリデカフルオロヘキシル)エチル基のような、末端をフッ素化したアルキル基などが挙げられる。このようなホスホン酸としては、例えば、フェニルホスホン酸及びキシレンジホスホン酸のうち1以上であることが好ましい。また、ボロン酸系金属塩としては、例えば、フェニルボロン酸などが好ましい。
式(1)、(3)において、M1及びM2はアルカリ金属であり、同種のものとしてもよいし異種のものとしてもよいが、同種のものであることが好ましい。これらは、アルカリ金属であればよいが、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが好ましく、リチウムがより好ましい。式(2)、(4)において、M3は第2族元素のカチオンであることが好ましい。これは、マグネシウム、ストロンチウム、カルシウム、バリウムなどが好ましく、マグネシウムがより好ましい。
式(1)において、Rがアルキル基であるものとしては、式(5)に示すものなどを好適に用いることができる。式(5)では、n=0〜19程度とすることができる。Rが末端をフッ素化したアルキル基であるものとしては、式(6)に示すものなどを好適に用いることができる。式(6)では、n+m=0〜19程度とすることができる。このうち、n=0〜3,m=3〜10などが好ましい。Rがアリール基であるものとしては、式(7)に示すものなどを好適に用いることができる。なお、以下では、式(7)に示すもののうちM1及びM2がLiであるものをPhPOLiとも称する。Rがオキシアルキレン基のものとしては、式(8)に示すものなどを好適に用いることができる。式(8)では、例えば、n=1〜20程度とすることができ、比較的粘度の低いものとしたい場合にはn=1〜5程度が好ましく、比較的粘度の高いもの(半固体や固体を含む)としたい場合には、n=6〜20程度が好ましい。なお、式(2)〜(4)においても、式(5)〜(8)を適用することができる。
リン酸系アルカリ金属塩としては、例えば、式(9)、(10)に示すものが好ましい。また、ホウ酸系金属塩としては、例えば、式(11)、(12)に示すものが好ましい。式(9)〜(12)において、R、M1、M2及びM3については、上述した式(1)〜(8)のいずれか1以上を適用することができる。
ホスフィン酸系アルカリ金属塩としては、例えば、式(13)に示すものが好ましい。式(13)において、R1及びR2としては、ホスホン酸系アルカリ金属塩のRとして例示したものなどが挙げられる。R1及びR2は、同種でもよいし異種でもよい。また、式(13)において、Mはアルカリ金属であり、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが好ましく、リチウムがより好ましい。式(13)に示すものとして、より具体的には、例えば、ジエチルホスフィン酸のアルカリ金属塩や、ジメチルホスフィン酸のアルカリ金属塩、ジフェニルホスフィン酸のアルカリ金属塩、フェニルホスフィン酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。
カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸及び安息香酸などが挙げられ、このうちテレフタル酸が好ましい。また、芳香族イミドとしては、ピロメリット酸ジイミド、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド及びフタルイミドなどが挙げられ、このうちピロメリット酸ジイミドが好ましい。また、フェノール類としては、クレゾール及びフェノールなどが挙げられ、このうちクレゾールが好ましい。
この電解質に含まれるカチオンは、第1族カチオン及び第2族カチオンのうち1以上である。このカチオンは、イミド構造を含むアニオンの対カチオンや、有機酸塩に含まれるカチオンである。第1族カチオンは、Li、Na、Kなどアルカリ金属のイオンであり、Liイオンが好ましい。第2族カチオンは、Be、Mg、Ca、Sr、Baなどの2価のカチオンであり、Mgが好ましい。
この電解質において、グライム、有機酸塩及びイミド塩の割合は、特に限定されるものではないが、グライムに対してイミド塩を0.2モル当量以上2モル当量以下含むものが好ましく、0.5モル当量以上1.5モル当量以下含むものがより好ましい。アルカリ金属イオンへの配位数は一般に4〜6であり、グライム分子中の酸素原子がそれに配位するため、このような範囲が好ましい。また、イミド塩に対して有機酸塩を0.15モル当量以上1.7モル当量以下含むものが好ましく、0.3モル当量以上1.2モル当量以下含むものがより好ましい。有機酸塩はイミド塩と複合化して、グライムが配位した(イミド塩由来の)金属イオンの解離を促進するからである。
この電解質において、添加粒子は、グライムと、イミド構造を含むアニオンの塩(イミド塩)と、有機酸塩と、添加粒子との全体に対して15質量%以上75質量%以下の範囲で電解質に含まれていることが好ましい。この範囲では、電解質の熱的安定性の低下をより抑制するか又は熱的安定性をより向上すると共に、低温でのイオン伝導度の低下をより抑制することができ、好ましい。この含有量は、含まれるグライムやイミド塩の種類、所望する湿潤状態に応じて適宜選択することができる。例えば、添加粒子の含有量を60質量%以下や50質量%以下、40質量%以下などとすれば、電解質を湿潤粉体に近い状態にすることができる。あるいは、添加粒子の含有量を20質量%以上や30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上などとすれば、電解質を濡れの少ない、粉体に近い状態にすることができる。
この添加粒子は、無機粒子及び有機粒子を含む。無機粒子は、5nm以上300nm以下の平均粒径を有するものとしてもよい。この平均粒径は、無機粒子を電子顕微鏡(SEM)観察し、この観察画像に含まれる粒子の直径を測定して平均した値とする。この無機粒子の平均粒径は、所望する特性が得られる範囲で適宜選択することができる。この平均粒径は、例えば、100nm以下や50nm以下としてもよい。あるいは、この平均粒径は、50nm以上や100nm以上としてもよい。この無機粒子は、例えば、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化銅、酸化チタン、酸化マグネシウム、ゼオライト及び窒化ホウ素のうち1以上を含むものとしてもよい。酸化アルミニウムとしては、例えば、αアルミナ、γアルミナなどが挙げられる。酸化珪素としては、例えば、フュームドシリカや球状シリカ、及びそれらのトリメチルシリル化物などが挙げられる。酸化チタンとしては、ルチル型、アナターゼ型などが挙げられ、アナターゼ型が好ましい。ゼオライトとしては、例えば、メソポーラスシリカFSM22や、FSM16、MCM41などが挙げられる。窒化ホウ素としては、例えば、ヘキサゴナル−窒化ホウ素(h−BN)などが挙げられる。無機粒子は、例えば、酸化アルミニウムや酸化珪素、酸化銅、酸化マグネシウムなどが好ましい。
有機粒子は、フッ素を含む炭素鎖、ニトリル基及びポリエーテル構造のうち1以上を有するポリマーであるものとしてもよい。この有機粒子は、例えば、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(PVdF−HFP:式14)や、ポリアクリロニトリル(PAN:式15)、ポリエチレンオキシド(PEO:式16)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などが挙げられ、このうち、PVdF−HFP、PAN、PEOなどが好ましい。なお、式(14)〜(16)中のx,y,nは任意の数である。また、有機粒子としては、各種の脂肪族ポリマーと芳香族ポリマーを挙げることができる。脂肪族ポリマーとしては、ポリエステル(PETなど)、ポリアミド(ナイロン66やナイロン6など)、ポリアミン(ポリアリルアミンなど)、またポリビニルポリマーであるポリアクリルアミド(PAAm)、ポリビニルピリジン(PVPy)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメタクリレート(PMMAなど)及びポリウレタンなどを挙げることができる。芳香族ポリマーとしては、芳香族ポリアミド(アラミド)のポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)やポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)、芳香族ポリエステル(アリレート)、芳香族ポリエーテルのポリ(p−フェニレンエーテル)(PPOなど)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリイミド(PI)、ポリベンゾアゾール類のポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリベンゾチアゾール(PBT)、ポリカーボネート(PC)、及びフェノール樹脂を挙げることができる。これらのポリマーは、ホモポリマーでも共重合体でもよく、またその形態は直線状でも高分岐状(ハイパーブランチ)でもよい。
この電解質は、液体でもよいし、固体でもよいし、液体と固体との中間の性質を有する半固体(湿潤粉体)でもよいが、湿潤粉体や固体が好ましい。熱的安定性が高く、取扱いが容易だからである。この電解質は、自立膜として存在するものとしてもよい。上述した有機酸塩が重合体である場合(式(5)、(6)、(8))、及び有機粒子の高分子化合物を複合化させた場合には、自立膜となり得る。
この電解質は、80℃でのイオン伝導度σ80に対する−30℃でのイオン伝導度σ-30の比である伝導度維持率(σ-30/σ80)が、2×10-4以上であることが好ましく、1×10-3以上であることがより好ましい。この範囲では、広い温度域においてイオン伝導度が安定しており、好ましい。また、電解質は、−30℃でのイオン伝導度σ-30が、3×10-3mS/cm以上であることが好ましく、1×10-2mS/cm以上であることがより好ましい。
特に、−30℃でのイオン伝導度σ-30が3×10-3mS/cm以上であれば、従来のグライム系の溶媒和イオン液体よりもイオン伝導度が高く、好ましい。
この電解質の用途としては、例えば、リチウムイオン電池等のアルカリ金属イオン電池や、コンデンサー、燃料電池、太陽電池などの構成材料などが挙げられる。
以上説明した電解質では、熱的安定性の低下をより抑制するか又は熱的安定性をより向上すると共に、低温でのイオン伝導度の低下をより抑制することができる。こうした効果が得られる理由は、以下のように推察される。ここでは、図面を用いて説明する。図1は、グライムとイミド塩と有機酸塩との結合の様子を示す概念図である。図1では、グライムはトリグライムであり、イミド塩はLiFSIであり、有機酸塩はホスホン酸系リチウム塩である場合を例として説明する。なお、その他の構成でも同様と考えられる。図1(a)は、トリグライムとLiFSIとホスホン酸系リチウム塩のモル比が1:1:0の場合、つまり、ホスホン酸系リチウム塩を添加していない場合である。図1(b)は、トリグライムとLiFSIとホスホン酸系リチウム塩のモル比が1:1:1の場合である。図1(c)は、トリグライムとLiFSIとホスホン酸系リチウム塩のモル比が2:1:1の場合である。図1(d)は、トリグライムとLiFSIとホスホン酸系リチウム塩のモル比が2:2:1の場合である。
図1(a)に示すように、トリグライムとLiFSIを混合したものでは、リチウムカチオンに対してトリグライムにおけるオキシエチレン基の酸素部位とLiFSIのFSIとが結合して溶媒和化合物を形成していると考えられる。ここに、ホスホン酸系リチウム塩などの有機酸塩を添加すると、図1(b)〜(d)に示すように、ホスホン酸系リチウムの存在によって、グライムやLiFSIの電荷の状態が変化するなど、相互作用が働くと考えられる。図1(a)の(接触イオン対)溶媒和化合物の構成は、グライムの配位で酸性が弱められた錯カチオンである弱酸と、弱塩基であるFSIアニオンから成る塩である。そこへ、強酸であるLiイオンと強塩基である有機ホスホン酸アニオンから構成される、強固なイオン結合で形成された塩を加えると、そのままの形で{グライム+LiFSI}の塩と複合化した複合アニオン構造となると推察される。この複合物中では、FSIアニオンのもう1つのスルホニル基が、有機ホスホン酸LiのLiイオンと相互作用(配位結合)することで、この複合アニオン構造が安定化されると推察される。この相互作用により、FSIアニオンの負電荷密度が分散され低下する為に、グライム−Li+の錯カチオンの移動性(解離性)が向上するとのVehicle機構がより良好に作用すると考えられる。また安定な複合塩となることで会合体が大きくなり、グライムのトンネルの繋がりがよくなる為に、またFSIアニオンの相互作用が弱まる為にグライムのトンネル内のLiイオンの動きがよくなるというGrotthus機構もより良好に作用すると考えられる。これらの作用により、イオン伝導度の低下を抑制できると考えられる。
また、この複合アニオン構造では、イオン伝導度の低下を抑制できるものの、低温領域においては、過冷却などによる凍結、固化が見られるなどまだ十分でない。図2は、複合アニオン構造と無機粒子との相互作用の説明図である。図2(b)は、フェニルホスホン酸リチウムを添加した溶媒和イオン液体に無機粒子として酸性金属酸化物(シリカ、ジルコニアなど)を複合化した電解質の模式図である。この電解質では、複合アニオン構造のアニオン部が、例えば、無機粒子上の水酸基と水素結合を形成することで、グライム−Li錯カチオンの移動性(解離性)が向上することが推察される(Vehicle機構の促進)。また、それにより、酸性金属酸化物の表面に複合アニオンの均一な層が形成されるので、その近傍では、グライムのトンネルの繋がりが更によくなるために、そのトンネル内のLiカチオンの動きがよくなることが推察される(Grotthus機構の促進)。図2(c)は、フェニルホスホン酸リチウムを添加した溶媒和イオン液体に無機粒子として両性又は塩基性金属酸化物(αアルミナ、γアルミナ、MgO、CuOなど)を複合化した電解質の模式図である。この電解質では、複合アニオン構造に存在するカチオン部が、例えば、無機粒子の酸素部位と相互作用することができる。したがって、この場合も、無機粒子の複合化によりVehicle機構やGrotthus機構の促進作用が生じて、低温におけるイオン伝導性の低下を抑制できると考えられる。なお、無機粒子の代わりに、ヘテロ原子を有する有機高分子(PVdF−HFP、PAN及びPEOなど)を用いても、同様の効果により低温領域でのイオン伝導性の低下を抑制できるものと推察される。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
以下では上述した電解質を具体的に作製した例について説明する。なお、実験例0−1〜13、1−4、2−3、3−3,4、4−3、5−2、6−2、7−2、8−2、12−2、13−2、13−4、13−6が比較例に相当し、それ以外が実施例に相当する。
[原料の略称等]
G3:Triethyleneglycoldimethylether;東京化成工業製,分子量:178.2
G4:Tetraethyleneglycoldimethylether;東京化成工業製,分子量:222.3
LiTFSI:Lithium Bis(trifluoromethanesulfonyl)imide;キシダ化学製,分子量:287.1
LiFSI:Lithium Bis(fluorosulfonyl)imide;キシダ化学製,分子量:187.1
n−BuLi:n-Butyl Lithium;1.6M in hexane,Aldrich製,分子量:64.1
TMS−Br:Trimethylsilyl Bromide;和光純薬工業製,分子量:153.09
THF:Tetrahydrofuran;脱水品,和光純薬工業製
MeOH:Methylalcohol;和光純薬工業製
PhPOH:Phenylphosphonic acid;東京化成工業製,分子量:158.1
XyPOE:Xylenebis(phosphonic acid diethyl)ester;東京化成工業製,分子量:378.3
PhBOH:Phenylboronic acid;東京化成工業製,分子量:121.9
Mg(OAc)2:Magnesium acetate;和光純薬工業製,分子量:214.5
SiO2(380):フュームドシリカ(比表面積380m2/g);エアロジル製
FSM:メソポーラスシリカ(気孔径4nm、比表面積400m2/g);太陽化学製
α−Al23:α-アルミナ(平均粒径0.3μm);ビューラー製
γ−Al23:γ-アルミナ(比表面積150m2/g);日揮ユニバーサル製
TiO2:アナターゼ型(粒径10nm以下、比表面積300m2/g);石原産業製
h−BN:ヘキサゴナル・ボロンナイトライド(平均粒径1μm);Aldrich製
PVdF−HFP:ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体;Aldrich製
PAN:ポリアクリロニトリル;Aldrich製
PEO:ポリエチレンオキシド;Aldrich製
[試料(ILb,ILj,ILi,ILd)の作製]
G3、G4、LiTFSI、LiFSIを用意した。そして、Arガスを充填したグローブボックス内で、20mLサンプル瓶に等モル量(50.0mmol)のG4(11.11g)又はG3(8.91g)と、LiTFSI(14.36g)又はLiFSI(9.36g)をとり、密封して取り出し、加熱により4種の均一溶液を得た。それぞれ、溶媒和イオン液体(ILb:G3+LiFSI)、溶媒和イオン液体(ILj:G3+LiTFSI)、溶媒和イオン液体(ILi:G4+LiFSI)、溶媒和イオン液体(ILd:G4+LiTFSI)である。なお、ILbは、調製後に気温10℃以下、2ヶ月放置したところ結晶化した。
[ILaの作製]
Arガスを充填したグローブボックス内で、予め十分乾燥させたPhPOHを0.79gと、THFを6mLを、撹拌子を入れたナスフラスコに入れ、密栓後に−30℃に冷却した低温恒温槽で冷却した。Arガス気流下で、n−BuLiの溶液6.3mLをシリンジでゆっくりと添加して反応を行った。このとき、n−BuLiを添加開始直後に白色沈殿が生じて分散液となった。添加終了後に室温で撹拌を1.5時間続けて反応を行い、反応終了後に50℃まで加熱しながら減圧処理することで脱溶媒を行い、薄黄色クリーム状の生成物であるPhPOLiを得た。なお、PhPOLiとは、PhPOHのOH基の水素がLiに置換されたものを示す。次に、Arガスを充填したグローブボックス内で、この生成物をメノウに取り出し、ILbの3.65gを加えて均一に混合し、ペースト状の黄色分散液ILa{(G3+LiFSI)+0.5PhPOLi}を得た。このILaを気温10℃以下、3ヶ月放置しても液状を保持したが、スパチュラで撹拌すると瞬時に固化した。ILbにPhPOLiを添加することで固化する傾向を抑制できるが、部分的作用であることがわかった。
[ILeの作製]
撹拌子を入れたナスフラスコにPhPOHを4.43g、Mg(OAc)2を6.01gとり、メタノール32mLを加えて室温で2時間撹拌した。その後、水200mLを加えて110℃の油浴中で加熱しながら撹拌を1.5時間行った。生成物を濾別後に、漏斗上で水200mLで洗浄し、一晩乾燥して白色板状の生成物であるPhPOMgを得た。このPhPOMgをFT−IRで測定したところ、図3に示すように、P−OH結合のブロードなν(O−H)吸収ピーク(2700〜2560cm-1)が、生成物では消失したが、1105cm-1と1145cm-1とのν(P=O),ν(P−O−C)に基づく吸収ピークと、1440cm-1のP−C(芳香族)結合に基づく吸収ピークが見られることから、PhPOMgの生成を確認した。次に、Arガスを充填したグローブボックス内で、この生成物(0.90g)をメノウに取り出し、ILbの3.65gを加えて均一に混合し、白色乳液状の分散液ILe{(G3+LiFSI)+0.5PhPOMg}を得た。このILeを気温10℃以下、3ヶ月放置しても液状を保持したが、スパチュラで撹拌すると瞬時に固化した。
[ILfの作製]
Arガスを充填したグローブボックス内で、撹拌子を入れたナスフラスコにPhBOHを0.61gとり、THF5mLを加えて溶解させ、密栓後に−30℃に冷却した低温恒温槽で冷却した。Arガス気流下で、n−BuLiの溶液6.3mLをシリンジでゆっくりと添加して反応を行った。このとき、n−BuLiの添加後は均一な透明液体となったが、−30℃で1時間撹拌したところ、白色沈殿が生じて分散液となった。添加終了後に室温で撹拌を1.5時間続けて反応を行い、反応終了後に50℃まで加熱しながら減圧処理することで脱溶媒を行い、白色クリーム状の生成物であるPhBOLiを得た。次に、Arガスを充填したグローブボックス内で、この生成物をメノウに取り出し、ILbの3.65gを加えて均一に混合し、ペースト状の黄色分散液ILf{(G3+LiFSI)+0.5PhBOLi}を得た。
[ILgの作製]
はじめに、XyPOEの加水分解によるXyPOHの合成を行った。文献(J.Mater.Chem.,2007,17,4563)及び特開2008−69093号公報に記載の方法に従って、実施した。Arガスを充填したグローブボックス内で、撹拌子を入れたナスフラスコにXyPOEを3.07gとり、塩化メチレン20mLに溶解させてから密栓し、冷却管、滴下漏斗及びArガス導入管を組み合わせて反応装置を組み立てた。室温で撹拌しながら、TMS−Brの6.6mLを30分間で滴下混合した。その後、室温で6時間撹拌して反応を行った。反応終了後に装置を蒸留用に組み直して減圧脱溶媒した。Arガス気流下でメタノール17mLをフラスコ内に投入して、室温で一晩撹拌した。エバポレータで脱溶媒後に、真空乾燥させてから、アセトニトリル35mLに分散させた。固形分を濾別してから更にアセトニトリルで洗浄し、乾燥してXyPOHを得た。次に、PhPOLiと同様に、XyPOHの0.80gをTHF6mLに溶解させてから、1.6Mのn−BuLi溶液7.5mLを用いてXyPOLiを調製した。最後に、Arガスを充填したグローブボックス内で、このXyPOLi0.22gをメノウに取り出し、ILb1.11gを加えて均一に混合することで灰色粉末ILg{(G3+LiFSI)+0.25XyPOLi}を得た。
[無機ナノ粒子を複合化させたILa,ILbの作製]
無機ナノ粒子には、両性酸化物のα−Al23と、γ−Al23と、酸性酸化物のフュームドシリカSiO2(380)、メソポーラスシリカFSM22、塩基性酸化物のMgO、CuO、中性無機ナノ粒子で水和性が高いTiO2(アナターゼ)、中性無機ナノ粒子で疎水性が高いヘキサゴナル・窒化ホウ素h−BNを用いた。この無機ナノ粒子をILaと混合することにより、全体に対する無機ナノ粒子の含有量が22質量%、50質量%、55質量%である複合物を調製した。また、ILbとこれらの無機ナノ粒子との複合物も同様に調製したが、含有量を25質量%、55質量%、61質量%とした。
無機ナノ粒子としてα−Al23を用いた例を代表として説明する。Arガスを充填したグローブボックス内でILa0.36gと、予め乾燥したα−Al23の0.45gとをメノウ上で均一にすりつぶして混合することで白色パテ状の湿潤粉体として生成物IL4a(55質量%)を得た。このIL4aの理論組成は、{(G3+LiFSI)+0.5PhPOLi}+α−Al23(55質量%)である。
[無機ナノ粒子を複合化させたILe,ILf,ILgの作製]
溶媒和イオン液体ILe、ILf、ILgを用い、無機ナノ粒子としてα−Al23、γ−Al23、及びSiO2(380)、を用いて、上記と同様に無機ナノ粒子を複合化させた溶媒和イオン液体を作製した。無機ナノ粒子の含有量は、50質量%、55質量%及び56質量%とした。
[無機ナノ粒子を複合化させたILhの作製]
上記と同様の手順により、溶媒和イオン液体ILh{(G4+LiFSI)+0.5PhPOLi}を作製した。また、この 溶媒和イオン液体ILhを用い、無機ナノ粒子としてTiO2、α−Al23及びフュームドシリカSiO2(380)を用いて、上記と同様に無機ナノ粒子を複合化させた溶媒和イオン液体IL16h、IL4h、IL6hを作製した。無機ナノ粒子の含有量は、それぞれ53質量%、44質量%及び48質量%とした。
[有機ナノ粒子を複合化させたILa,ILbの作製]
無機ナノ粒子に代えて、有機高分子化合物のPVdF−HFP、PAN及びPEOを用い、溶媒和イオン液体ILa、ILbに対して上記と同様に有機ナノ粒子を複合化させた。有機ナノ粒子の含有量は、ILaでは55質量%、ILbでは60質量%とした。
上記作製した溶媒和イオン液体及び添加粒子を複合化した電解質を表1、2にまとめて示した。また、実験例番号は、表1,2に示した通りとした。なお、略号には、α−Al23に「4」、γ−Al23に「3」、SiO2(380)に「6」、FSM22に「7」、MgOに「14」、CuOに「15」、TiO2に「16」、h−BNに「17」、PVdF−HFPに「8」、PANに「9」、PEOに「10」を付して、各試料を区別した。また、溶媒和イオン液体ILa、ILe、ILf、ILg、ILhの具体的構造は、式(17)〜(21)である。
(イオン伝導度の測定)
Arを充填したグローブボックス中で、各測定セルの内部(直径φ=10mm)に各試料を入れた。そして、ステンレス製電極で挟み、気泡を抜き密封した。そのときの膜厚を測定後、測定セルを恒温槽内に置いて、25℃,10℃,−10℃,−30℃,−10℃,10℃,25℃,45℃,60℃,70℃,80℃,80℃,70℃,60℃,45℃,25℃となるようにした。インピーダンス測定は、各温度で1時間保持した後に行った。但し、氷点下の温度では1.5時間保持した。このインピーダンス測定は、振幅電圧を100mVにして、0.1MHz−1.0Hzの間で0.5pts/secで行った。得られたCole−ColeプロットのZ’の実軸切片の値もしくはBode線図でθが最小となる|Z|を抵抗値(R)として求めた。この値(R)と膜厚t(cm)及び電極面積S(cm2)から、次式に従いイオン伝導度σ(Scm-1)を算出した。その結果を図4〜20に示す。なお、図4〜20の横軸のTの単位はケルビン(K)である。
σ=1/R × t/S
(TG−DTA測定)
TG−DTA測定装置(理学社製Thermo plusTG8120)を用い、Ar気流下(50mL/分)で、試料15mgをPtパン上で10℃/分で昇温して熱重量測定を行った。標準試料は、α−Al23とした。
(実験結果と考察)
表1、2に、実験例0〜16の、略号、TGの−10質量%の温度(℃)、主としてLiFSIの熱分解温度Td(℃)、吸熱温度ピーク温度(℃)、80℃、25℃、−30℃におけるイオン伝導度(σ80,σ25,σ-30)、−30℃におけるイオン伝導度を80℃におけるイオン伝導度で除した値である伝導度維持率(σ-30/σ80)、σ−T曲線のスムーズ性、試料の組成をまとめて示した。なお、表中の「His」はヒステリシスが存在することを示す。また、表1、2では25℃のイオン伝導度について、最初の25℃、−30℃から昇温後の25℃の値、80℃から冷却時の25℃を「−」で区切ってそれぞれ示した。
(実験例0−1〜0−10について)
図4は、溶媒和イオン液体ILb、ILj、ILi、ILdのσ−T曲線である。ILb、ILj、ILiでは、σ−T曲線上にヒステリシスが観察された。なお、このとき、ILb、ILj、ILi、ILdは、液状であった。また、ILbは、冬季間(気温10℃以下)放置することにより固形化した。この凍結固体に対してXRD測定を行ったところ、結晶に基づくと考えられる規則的なXRDパターンが得られた。図5は、固化後の溶媒和イオン液体ILbのXRDパターンである。このため、ILbでは、試料を25℃から冷却する際に、過冷却状態が生じることにより、ヒステリシスを示したものと考えられた。そして、試料が冷却により凍結した後の昇温では、低温領域(−10〜−30℃など)でσ値が低下したものと推察された。一方、ILdでは、σ−T曲線において、このようなヒステリシスは観察されなかった。このため、ILdでは、融点がより低く、この測定条件では、安定な液状を保持できると考えられた。
図6は、溶媒和イオン液体ILb、ILaの凍結前後のσ−T曲線である。ILbでは、σ値が低温領域で大きく低下するが、それが、凍結固化したものでは−30℃から−10℃への昇温時にCole−Coleプロットが大きく乱れて数値が得られなくなった(ND:no data)。一方、ILaでも、凍結によるσ値の低温領域での低下は見られたが、その程度は小さかった。この結果からは、ILbに対しては、十分ではないがPhPOLiの添加効果が作用することを確認できた。以下に、このILaに対して添加粒子を複合化し、低温領域でのイオン伝導度と熱的安定性の改善を検討した。
(実験例1−1〜4について)
図7は、溶媒和イオン液体ILaに対して両性金属酸化物であるαアルミナを複合化した実験例1−1〜3と、溶媒和イオン液体ILbに対してαアルミナを複合化した実験例1−4のσ−T曲線である。これらの複合物の形骸は、αアルミナが増すほどに湿潤粉体から粉体へと変わった。実験例1−4(IL4b(61%))では、σ−T曲線の低温領域でσ値の低下が顕著であるのに対し、実験例1−1〜3では、いずれの含有量でもσ−T曲線が滑らかな曲線を示し、低温領域での急激的なσ値の低下は見られなかった。実験例1−1,2は、αアルミナを含まないILaと変わらないσ−T曲線を示し、25℃で1mS/cmを超えた。表1に示すように、それらのT(−10%)は、202℃、212℃であり、ILaの163℃、実験例1−4の174℃を大きく上回った。ILaにαアルミナを複合化することにより、低温領域でのイオン伝導性の向上と同時に熱的安定性の大幅な向上が認められた。
(実験例2−1〜3について)
図8は、溶媒和イオン液体ILaに対して両性金属酸化物であるγアルミナを複合化した実験例2−1〜2と、溶媒和イオン液体ILbに対してγアルミナを複合化した実験例2−3のσ−T曲線である。これらの複合物の形骸は、γアルミナが増すほどに湿潤粉体から粉体へと変わった。実験例2−3(IL3b(25%))では、σ−T曲線の低温領域で大きなヒステリシスを示し、−30℃では測定不能であったのに対し、実験例2−1〜2では、いずれの含有量でもσ−T曲線が滑らかな曲線を示し、低温領域での急激的なσ値の低下は見られなかった。実験例2−1は、γアルミナを含まないILaと変わらないσ−T曲線を示し、25℃で1mS/cmを超えた。表1に示すように、そのT(−10%)は、178℃であり、ILaの163℃、実験例2−3の160℃を上回った。ILaにγアルミナを複合化することにより、低温領域でのイオン伝導性の向上と同時に熱的安定性の大幅な向上が認められた。
(実験例3−1〜4について)
図9は、溶媒和イオン液体ILaに対して酸性金属酸化物であるフュームドシリカ(380)を複合化した実験例3−1〜2と、溶媒和イオン液体ILbに対してフュームドシリカ(380)を複合化した実験例3−3〜4のσ−T曲線である。これらの複合物の形骸は、フュームドシリカ(380)が増すほどに湿潤粉体から粉体へと変わった。実験例3−1〜4では、いずれもσ−T曲線の低温領域で滑らかな曲線を示し、低温領域での急激的なσ値の低下は見られなかった。25℃でのσ値は、実験例3−1,3が約2mS/cmであり、実験例3−2,4がそれぞれ0.3mS/cm、1.2mS/cmであった。一方、T(−10%)は、実験例3−1,2が184℃、197℃であり、ILaの163℃を上回ったのに対して、実験例3−3,4が162℃、89℃であった。フュームドシリカ(380)を複合化する場合には、有機酸塩であるPhPOLiを添加しない溶媒和イオン液体ILbを用いても低温領域のイオン伝導性は十分に改善されるが、有機酸塩であるPhPOLiを添加すると熱的安定性の向上が同時に認められた。
(実験例4−1〜3について)
図10は、溶媒和イオン液体ILaに対して酸性金属酸化物であるメソポーラスシリカFSM22を複合化した実験例4−1〜2と、溶媒和イオン液体ILbに対してFSM22を複合化した実験例4−3のσ−T曲線である。これらの複合物の形骸は、FSM22が増すほどに湿潤粉体から粉体へと変わった。実験例4−1〜3では、いずれもσ−T曲線の低温領域で滑らかな曲線を示し、低温領域での急激的なσ値の低下は見られなかった。25℃でのσ値は、実験例4−1が0.7mS/cmを示すが、実験例4−2,3では、約0.001mS/cmまで低下した。含有量の増加によりσ値が減少する理由は、例えば、FSM22は40nmの細孔が存在するため、粒子表面のOH基の密度が低下したことがアニオン部との相互作用に影響を及ぼしたためであると推察された。一方、T(−10%)は、実験例4−1,2が188℃、203℃であり、ILaの163℃を上回ったのに対して、実験例4−3が159℃と下回った。FSM22を複合化する場合には、その添加量が40質量%以下、より好ましくは30質量%以下など比較的低い範囲においては、低温領域でのイオン伝導性の向上と同時に熱的安定性の向上が認められた。
(実験例5−1,2について)
図11は、溶媒和イオン液体ILaに対して塩基性金属酸化物であるMgOを複合化した実験例5−1と、溶媒和イオン液体ILbに対してMgOを複合化した実験例5−2のσ−T曲線である。これらの複合物の形骸は、実験例5−1が湿潤粉体であり実験例5−2が粉体である。実験例5−2(IL14b(61%))では、σ−T曲線の低温領域で小さなヒステリシスを示し、σ値の低下が見られるのに対し、実験例5−1では、σ−T曲線が滑らかな曲線を示し、低温領域での急激的なσ値の低下は見られなかった。実験例5−1は、25℃で0.4mS/cmを示した。表1に示すように、そのT(−10%)は、213℃であり、ILaの163℃、実験例5−2の199℃を上回った。塩基性金属酸化物であるMgOを複合化する場合は、有機酸塩であるPhPOLiを添加した溶媒和イオン液体を用いると、低温領域でのイオン伝導性の向上と同時に熱的安定性の向上が認められ、有機酸塩であるPhPOLiを用いない溶媒和イオン液体との差が明瞭であった。
(実験例6−1,2について)
図12は、溶媒和イオン液体ILaに対して塩基性金属酸化物であるCuOを複合化した実験例6−1と、溶媒和イオン液体ILbに対してCuOを複合化した実験例6−2のσ−T曲線である。これらの複合物の形骸は、湿潤粉体である。実験例6−2(IL15b(61%))では、σ−T曲線の低温領域で小さなヒステリシスを示し、σ値の低下が見られるのに対し、実験例6−1では、σ−T曲線の低下は見られたがヒステリシスが消失した。実験例6−1は、25℃で1mS/cmを示した。表2に示すように、そのT(−10%)は、206℃であり、ILaの163℃を大きく上回った。溶媒和イオン液体ILaにCuOを複合化することにより、低温領域でのイオン伝導性の向上と同時に熱的安定性の大幅な向上が認められた。
(実験例7−1,2について)
図13は、溶媒和イオン液体ILaに対して水和性が高い中性金属酸化物であるTiO2(アナターゼ)を複合化した実験例7−1と、溶媒和イオン液体ILbに対してTiO2を複合化した実験例7−2のσ−T曲線である。TiO2(アナターゼ)では、85℃、2時間の常圧乾燥を施すと、表面近くの運動性が高い強固な構造であり塩基性を示す級着水が減少することによって、酸性を示すものの割合が増加し、表面が酸性になる。この実施例では、TiO2を75℃、1晩、真空乾燥を行ったが、酸性金属酸化物と同様の複合効果を期待できる。これらの複合物の形骸は、粉体である。実験例7−2(IL16b(61%))では、σ−T曲線の低温領域で小さなヒステリシスを示し、σ値の低下が見られるのに対し、実験例7−1では、σ−T曲線が滑らかな曲線を示し、低温領域での急激的なσ値の低下は見られなかった。実験例7−1は、25℃で0.8mS/cmを示した。表2に示すように、そのT(−10%)は、162℃であり、ILaの163℃と同等であった。溶媒和イオン液体ILaにTiO2を複合化することにより、熱的安定性の向上は見られなかったが、低温領域でのイオン伝導性の向上が認められた。熱的安定性の向上がみられなかった理由は、TiO2表面のOH基が吸着水由来であるため、熱的特性の向上に寄与できなかったものと推察された。
(実験例8−1,2について)
図14は、溶媒和イオン液体ILaに対して疎水性の中性金属酸化物であるヘキサゴナル−窒化ホウ素(h−BN)を複合化した実験例8−1と、溶媒和イオン液体ILbに対してh−BNを複合化した実験例8−2のσ−T曲線である。これらの複合物の形骸は、粉体である。実験例8−1,2では、共にσ−T曲線が滑らかな曲線を示し、低温領域でσ値の低下が見られなかった。実験例8−1は、25℃で0.3mS/cmを示し、実験例8−2は、25℃で0.4mS/cmとほぼ同じ値を示した。この理由は、例えば、h−BNが中性で且つ疎水性の無機粒子であるため、その表面上にFSIアニオンや複合アニオンが複合できるサイトが無く、単に物理吸着するからであると推察された。表2に示すように、実験例8−1のT(−10%)は、194℃であり、ILaの163℃を大きく上回った。h−BNを複合化する場合には、有機酸塩であるPhPOLiを添加しない溶媒和イオン液体ILbを用いても低温領域のイオン伝導性は十分に改善されるが、有機酸塩を添加すると熱的安定性の向上が同時に認められた。
(実験例0−11〜13について)
図15は、有機酸塩であるPhPOLiとは異なる有機酸塩であるPhPOMg、PhBOLi、XyPOLiを用いた実験例0−11〜13(ILe,ILf,ILg)のσ−T曲線である。図15及び表1に示すように、これらを添加した溶媒和イオン液体では、低温領域でのσ値は大きく低下した。以下では、これらに無機粒子を複合化した効果を検討した。
(実験例9−1〜3について)
図16は、フェニルホスホン酸マグネシウムを添加した溶媒和イオン液体ILeに対してγアルミナ、αアルミナ及びフュームドシリカ(380)を複合化した実験例9−1〜3のσ−T曲線である。これらの複合物の形骸は、湿潤粉体から粉体である。ILeに無機粒子を複合化することで、いずれの場合も、σ−T曲線が滑らかな曲線を示し、低温領域での急激的なσ値の低下はほぼ見られなかった。実験例9−1〜3は、25℃でそれぞれ0.2mS/cm、0.8mS/cm、0.3mS/cmであり、ILeの0.03mS/cmよりも向上した。表2に示すように、それらのT(−10%)は、それぞれ165℃、198℃、194℃であり、溶媒和イオン液体ILeの191℃と同程度であった。溶媒和イオン液体ILeに無機粒子を複合化することにより、低温領域でのイオン伝導性の向上が認められた。
(実験例10−1〜3について)
図17は、フェニルボロン酸リチウムを添加した溶媒和イオン液体ILfに対してγアルミナ、αアルミナ及びフュームドシリカ(380)を複合化した実験例10−1〜3のσ−T曲線である。これらの複合物の形骸は、湿潤粉体から粉体である。ILfに無機粒子を複合化することで、いずれの場合も、σ−T曲線が滑らかな曲線を示し、低温領域での急激的なσ値の低下はほぼ見られなかった。実験例10−1〜3は、25℃でそれぞれ0.2mS/cm、0.6mS/cm、0.3mS/cmであり、ILfの0.02mS/cmよりも向上した。表2に示すように、それらのT(−10%)は、それぞれ167℃、183℃、176℃であり、溶媒和イオン液体ILeの148℃を大きく上回った。溶媒和イオン液体ILfに無機粒子を複合化することにより、低温領域でのイオン伝導性の向上と同時に熱的安定性の向上が認められた。
(実験例11−1,2について)
図18は、キシレンビスホスホン酸リチウムを添加した溶媒和イオン液体ILgに対してγアルミナ及びフュームドシリカ(380)を複合化した実験例11−1,2のσ−T曲線である。これらの複合物の形骸は、粉体である。ILgに無機粒子を複合化することで、いずれの場合も、σ−T曲線が滑らかな曲線を示し、低温領域での急激的なσ値の低下はほぼ見られなかった。実験例11−1,2は、25℃でそれぞれ0.2mS/cm、0.4mS/cmであり、ILgの0.4mS/cmと同程度であった。表2に示すように、それらのT(−10%)は、それぞれ162℃、193℃であり、溶媒和イオン液体ILgの188℃と同程度であった。溶媒和イオン液体ILgに無機粒子を複合化することにより、低温領域でのイオン伝導性の向上が認められた。
(実験例12−1〜4について)
図19は、G4とLiFSIを用いた溶媒和イオン液体ILhに対してTiO2、αアルミナ及びフュームドシリカ(380)を複合化した実験例12−1,3,4と、溶媒和イオン液体ILiに対してTiO2を複合化した実験例12−2のσ−T曲線である。なお、図19には、溶媒和イオン液体ILh、ILiの測定結果も示した。これらの複合物の形骸は、湿潤粉体から粉体である。ILiにPhPOLiを添加したILhでは、低温領域でのイオン伝導度が若干向上するが、ヒステリシスの存在と低温領域でのσ値の低下はほぼ変わらない。しかし、ILhに無機粒子を複合化することで、いずれの場合も、σ−T曲線が滑らかな曲線を示し、低温領域で急激的なσ値の低下はほぼ見られなかった。実験例12−1,3,4は、25℃でそれぞれ0.5mS/cm、0.3mS/cm、0.2mS/cmであった。表2に示すように、実験例12−1,2のT(−10%)は、それぞれ178℃、157℃であり、実験例12−1の方がイオン伝導度が若干高く、熱的安定性も高いことがわかった。また、実験例12−3,4のT(−10%)は、それぞれ205℃、214℃であり、溶媒和イオン液体ILiの198℃よりも高かった。溶媒和イオン液体ILhに無機粒子を複合化することにより、低温領域でのイオン伝導性の向上と熱的安定性の向上とが認められた。
(実験例13−1〜6について)
図20は、溶媒和イオン液体ILa,ILbに対して有機高分子化合物のPVdF−HFP、PAN、PEOを有機粒子として複合化した実験例13−1〜6のσ−T曲線である。これらの複合物の形骸は、湿潤粉体から粉体である。溶媒和イオン液体ILbと有機粒子とを複合化したものをみると、低温領域でのσ値が向上はするが、σ−T曲線が滑らかな曲線となったのは、実験例13−6のみで、実験例13−2,4では、低温領域でヒステリシスが若干残った。即ち、この向上の程度は、有機粒子の構造に依存した。一方、PhPOLiを添加した溶媒和イオン液体ILaと有機粒子を複合化した実験例13−1,3,5では、いずれの場合も、σ−T曲線が滑らかな曲線を示し、低温領域での急激的なσ値の低下はほぼ見られなかった。実験例13−1,3,5は、25℃でそれぞれ0.2〜0.3mS/cmであった。この結果は、推定した複合アニオンのイオン性サイトによる吸着メカニズムが有機粒子のヘテロ原子部位に対しても、無機粒子と同様に発現したためと推察された。表2に示すように、実験例13−3,5のT(−10%)は、それぞれ130℃、106℃であり、実験例13−4,6の138℃、111℃と同程度であった。また、実験例13−1のT(−10%)は、183℃であり、実験例13−2の159℃よりも高く、熱的安定性の向上が認められた。なお、高い含有率で有機粒子と複合化することができる優位点としては、膜状電解質が得られる点である。一般のゲル電解質に比べて固形分率が高いため、取り扱いが容易な電解質膜となる。その調製方法は、特に限定されないが、ここで示したものは、σ測定セル中で圧粉成形された電解質膜である。
(メカニズムの考察)
まず、溶媒和イオン液体に対する有機酸塩(フェニルホスホン酸リチウム)の添加効果について、{(G3+LiFSI)+0.5PhPOLi}を一例として考察する。図1に示すように、トリグライムとLiFSIを等モル量混合すると、リチウムカチオンに対してトリグライムにおけるオキシエチレンの酸素部位とFSIアニオンとが結合して溶媒和化合物を形成すると考えられる。この溶媒和化合物は、グライムに配位したLi+の錯カチオンに対してFSIアニオンがイオン結合すると同時にそのスルホニル基をLi+に配位させることでその対構造が形成された接触イオン対(CIP)型の構造をとるものと推察される。この溶媒和化合物を電位下に置くと、グライムに配位したLi+の錯カチオン全体が移動すると考えられる(例えば、J.Am.Chem.Soc.,2011,133,13121参照)。したがって、電位下では、この溶媒和化合物の構造が接触イオン対(CIP)型から溶媒分離型イオン対(SSIP)に変わり、その後、高溶媒和フリーイオンとなることで、イオン伝導するメカニズム(Vehicle機構)が考えられる。これと同時に、溶媒和化合物の集合体で形成されるグライムのトンネルの中をLi+がホッピング伝導するメカニズム(Grotthus機構)も作用すると考えられる。したがって、こうしたものでは、−30℃などの低温になると、CIP→SSIP(→フリーイオン)への平衡移動が抑制されるために、グライム−Li錯カチオンの移動が制限されるものと考えられる。これに対して、フェニルホスホン酸などの有機酸を添加すると、その存在によってグライムやLiFSIの電荷の状態が変化するなど、相互作用が働くと考えられる(図1(d)など参照)。接触イオン対溶媒和化合物の構造は、グライムの配位で酸性が弱められた錯カチオンである弱酸と、弱塩基であるFSIアニオンからなる塩である。そこへ、強酸であるLi+と強塩基であるフェニルホスホネートアニオンから構成され強固なイオン結合で形成された塩を加えると、図2(a)に示すように、そのままの形でグライム+LiFSIの塩2当量で複合化した構造となると推察された。この複合塩中では、FSIアニオンのもう一方のスルホニル基がフェニルホスホン酸リチウムのLi+と相互作用することで、その複合塩構造が安定化されるものと推察された。この相互作用により、FSIアニオンの負電荷密度が更に分散され、低下するために、グライム−Li錯カチオンの移動性(解離性)が向上するVehicle機構がより良好に作用すると考えられた。また、安定な複合塩となることで、会合体が大きくなり、グライムのトンネルの繋がりがよくなるためにまた、FSIアニオンの相互作用が弱まるために、グライムのトンネル内のLiカチオンの動きがよくなるというGrotthus機構もより良好に作用すると考えられた。これらの作用により、低温でのイオン伝導度の低下を抑制できるものと考えられた。
ところで、トリグライムとLiFSIからなる溶媒和イオン液体(G3+LiFSI)は、寒冷な冬季になると、凍結することがあることがわかった。一方、テトラグライムとLiTFSIからなる溶媒和イオン液体(G4+LiTFSI)は、凍結は見られずに液状のままであった。これは、グライムやジスルホニルイミドアニオンの分子量がより小さい場合に、グライムに配位したLi錯カチオンとFSIアニオンとの間のイオン性相互作用が十分には弱まらないことが原因と考えられる。この場合に、フェニルホスホン酸リチウムの添加効果により、低温でのイオン導電性は向上するが、溶媒和イオン液体の凍結を阻止するまでには至らないと考えられる。
図2(b)には、フェニルホスホン酸リチウムを添加した溶媒和イオン液体(G3+LiFSI)に無機粒子として酸性金属酸化物(シリカ、ジルコニアなど)を複合化した電解質を模式的に示した。この複合アニオン構造のアニオン部が、例えば、無機粒子上の水酸基と水素結合を形成することで、グライム−Li錯カチオンの移動性(解離性)が向上するVehicle機構の促進が考えられる。また、それにより、酸性金属酸化物の表面に複合アニオンの均一な層が形成されるので、その近傍では、グライムのトンネルの繋がりが更によくなるために、そのトンネル内のLiカチオンの動きがよくなるというGrotthus機構の促進作用も考えられる。
図2(c)には、フェニルホスホン酸リチウムを添加した溶媒和イオン液体(G3+LiFSI)に無機粒子として両性又は塩基性金属酸化物(αアルミナ、γアルミナ、MgO、CuOなど)を複合化した電解質を模式的に示した。この複合アニオン構造に存在するカチオン部は、例えば、無機粒子の酸素部位と相互作用することができる。したがって、この場合も、無機ナノ粒子の複合化によりVehicle機構やGrotthus機構の促進作用が生じて、低温におけるイオン伝導性の低下を抑制できると考えられる。なお、無機粒子の代わりに、ヘテロ原子を有する有機高分子(PVdF−HFP、PAN及びPEO)を用いても、同様の効果により低温領域でのイオン伝導性の低下を抑制できるものと推察される。
これら、添加粒子の複合化による促進効果は粒子表面で発現するため、電解質全体が液状である必要が無い。したがって、添加粒子の添加量をSoggySand効果のように数質量%以下に留める必要が無く、添加粒子が22質量%以上、55質量%以上添加されて粉末状の電解質としても、低温領域でのイオン伝導性の低下が抑制される。また、このような電解質では、室温以上でのイオン伝導性は、溶媒和イオン液体に並ぶ大きさを示す。このように、フェニルホスホン酸リチウムを添加した溶媒和イオン液体に添加粒子を複合化した電解質では、難燃性の粒子が多くなるために、熱的安定性が向上することも、熱重量分析での10質量%減少温度の上昇で確認できた。
本明細書で開示する電解質は、例えばアルカリ金属イオン二次電池、コンデンサ、燃料電池、太陽電池などの構成材料として利用可能である。

Claims (7)

  1. グライムと、
    イミド構造を含むアニオンと、
    第1族カチオン及び第2族カチオンのうち1以上のカチオンと、
    ホスホン酸、ホスフィン酸、リン酸、カルボン酸、ボロン酸、ホウ酸、芳香族イミド及びフェノール類のうち1以上を含む有機酸塩と、
    酸性、両性、塩基性及び中性のうち1以上である金属酸化物を含む無機粒子とヘテロ原子を含む有機粒子とのうち少なくとも一方を含む添加粒子と、
    を含む電解質。
  2. 前記添加粒子は、前記グライムと前記イミド構造を含むアニオンの塩と前記添加粒子との全体に対して15質量%以上75質量%以下の範囲で前記電解質に含まれている、請求項1に記載の電解質。
  3. 前記無機粒子は、5nm以上300nm以下の平均粒径を有する、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化銅、酸化チタン、酸化マグネシウム、ゼオライト及び窒化ホウ素のうち1以上である、請求項1又は2に記載の電解質。
  4. 前記有機粒子は、フッ素を含む炭素鎖、ニトリル基及びポリエーテル構造のうち1以上を有するポリマーである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解質。
  5. 前記グライムは、トリグライムジメチルエーテル(G3)及びテトラグライムジメチルエーテル(G4)のうち1以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電解質。
  6. 前記イミド構造を含むアニオンは、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン(TFSI)及びビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン(FSI)のうち1以上を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電解質。
  7. 前記有機酸塩は、フェニルホスホン酸、キシレンジホスホン酸及びフェニルボロン酸のうち1以上を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電解質。
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