JP2018132155A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

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弘志 河原
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Abstract

【課題】極低温環境下においても、運転開始直後から、トラクション部で過大な滑りを生じさせることなく、動力伝達を開始させることができる構造を実現する。【解決手段】ローディング式カム装置25により入力ディスク3aを出力ディスク4aに向けて押圧するトロイダル型無段変速機1に関して、制御器は、運転開始時に、入力ディスク3aと出力ディスク4aとの間の変速比が最減速側にあるように、この変速比を調節する。【選択図】図2

Description

本発明は、自動車用変速機や航空機用発電装置などに利用されているトロイダル型無段変速機に関する。
トロイダル型無段変速機は、入力ディスクと、この入力ディスクと同軸上に配置されて、入力ディスクと相対回転可能な出力ディスクと、入力ディスクと出力ディスクの間に配置された複数個のパワーローラとを備え、パワーローラを介して、入力ディスクから出力ディスクに動力を伝達することが可能に構成されている。また、トロイダル型無段変速機は、パワーローラの傾斜角度を変えることで、入力ディスクと出力ディスクとの間の変速比を調節することが可能に構成されている。
トロイダル型無段変速機の運転時に、入力ディスク及び出力ディスクの軸方向側面とパワーローラの周面との転がり接触部であるトラクション部には、トラクションオイルの油膜が形成される。このため、入力ディスクとパワーローラとの間及びパワーローラと出力ディスクとの間では、油膜を介して動力が伝達される。トロイダル型無段変速機では、入力ディスクと出力ディスクとを互いに近づける方向に押圧するための押圧装置を設けることにより、油膜を介した動力伝達が確実に行われるようにしている。このような押圧装置としては、伝達トルクの大きさに比例した押圧力を機械的に発生するローディング式カム装置や、油圧室内に導入する油圧に応じて押圧力を調節可能な油圧式の押圧装置などが知られている。
トラクションオイルの油膜を介して動力が伝達される場合における、トラクション部における接線力(トラクション力)をトラクション部における法線力(押圧力)で割った値(接線力/法線力)は、トラクションオイルのトラクション係数と呼ばれ、トロイダル型変速機などのトラクション変速機における重要な指標となる。このトラクション係数は、温度に応じて変化し、極低温状態で低くなる特性を有していることが、特開2016−223468号公報に記載されるなどして、一般的に知られている。また、通常、トラクションオイルの温度は、トロイダル型無段変速機の運転開始前の状態において最も低くなる。
特開2016−223468号公報
そこで、寒冷地などの極低温環境下においても、トロイダル型無段変速機の運転開始直後から、グロススリップと呼ばれるトラクション部での過大な滑りを生じさせることなく、動力伝達を開始させるためには、押圧装置により発生する押圧力、すなわちトラクション部における法線力を大きくし、トラクション部の面圧を通常よりも高くすることが考えられる。
油圧式の押圧装置では、予め電動ポンプなどにより、油圧室内に導入する油圧を高くすることで、発生する押圧力を大きくすることが可能であり、トラクション部に過大な滑りを生じさせることなく、トロイダル型無段変速機の運転を開始させることが可能である。これに対し、ローディング式カム装置は、たとえば駆動源と入力ディスクとの間にカムを備え、カムを通過するトルクの大きさに応じて発生する押圧力が変化する構造を有するため、通過するトルクの大きさとは無関係に、発生する押圧力を大きくすることはできない。また、ローディング式カム装置は、トラクション部に滑り(空転)が生じると、押圧力を得ることができなくなる。
本発明は、上述のような事情に鑑み、ローディング式カム装置を備えるトロイダル型無段変速機を対象として、極低温環境下においても、運転開始直後から、トラクション部で過大な滑りを生じさせることなく、動力伝達を開始させることができる構造を実現することを目的としている。
本発明のトロイダル型無段変速機は、入力ディスクと、出力ディスクと、複数個のパワーローラと、ローディング式カム装置と、制御器と、を有している。
前記入力ディスクは、駆動源により回転駆動される。
前記出力ディスクは、前記入力ディスクと同軸上に、かつ、この入力ディスクに対する相対回転を可能に配置される。
前記複数個のパワーローラは、前記入力ディスクと前記出力ディスクとの間に、前記入力ディスクと前記出力ディスクとの間での動力伝達を可能に配置される。
前記ローディング式カム装置は、前記入力ディスクを前記出力ディスクに向けて押圧する手段を備える。
前記制御器は、前記入力ディスクと前記出力ディスクとの間の変速比を調節する機能を備える。この制御器は、前記トロイダル型無段変速機の運転開始時に、前記入力ディスクと前記出力ディスクとの間の変速比が最減速側にあるように、この変速比を調節する。
具体的には、前記パワーローラは、支持部材により支持され、かつ、この支持部材の長手方向の変位に基づいて、揺動変位可能に構成されている。前記支持部材は、たとえば、制御弁を備えた変速比調整機構により変位可能であり、前記制御器がこの変速比調整機構及び前記支持部材を介して、前記パワーローラを揺動変位させることにより、該パワーローラの前記入力ディスク及び前記出力ディスクとのトラクション部の位置を最減速側に位置させる。
本発明のトロイダル型無段変速機においては、前記制御器が、前記トロイダル型無段変速機の運転停止時において、前記変速比が最減速側にあるように、この変速比を調節しておき、この変速比が最減速側になった状態で前記トロイダル型無段変速機の運転を再開させるようにすることができる。
この場合にはさらに、前記トロイダル型無段変速機に、前記入力ディスクの回転速度を測定する速度センサを別途設ける。そして、前記制御器により、前記速度センサにより測定される前記入力ディスクの回転速度が所定速度以下になった場合に、前記変速比を減速側に向けて調節し始めるように制御することもできる。
本発明を実施する場合には、前記トロイダル型無段変速機に、トラクションオイルの温度を測定する温度センサを別途設けることができる。そして、前記制御器により、前記温度センサにより測定されるトラクションオイルの温度が所定温度以下である場合に、前記変速比を最減速側に調節することもできる。
本発明を実施する場合に、前記ローディング式カム装置は、互いに対向する状態で設けられた円周方向に関する凹凸である1対のカム面と、これら1対のカム面の間に挟持された複数個のローラや玉などの転動体とを備えたものとすることができる。
本発明のトロイダル型無段変速機によれば、押圧装置としてローディング式カム装置を備える構造でありながら、極低温環境下においても、運転開始直後から、トラクション部で過大な滑りを生じさせることなく、動力伝達を開始させることができる。
図1は、本発明の実施の形態の第1例のトロイダル型無段変速機を、変速比を1に調節した状態で示す、半部断面模式図である。 図2は、本発明の実施の形態の第1例のトロイダル型無段変速機を、変速比を最減速側に調節した状態で示す、半部断面模式図である。 図3は、図1のA−A断面に相当する断面図である。
[実施の形態の第1例]
実施の形態の第1例について、図1〜図3を用いて説明する。本例のトロイダル型無段変速機1は、ダブルキャビティ型の構造を有し、入力軸2の軸方向両端部の周囲に、図示しないボールスプラインを介して配置された入力ディスク3a、3bを備えている。この構造では、入力ディスク3a、3bは、互いに同軸上にかつ同期した回転を可能に、入力軸2により支持されている。入力ディスク3a、3bの互いに対向する軸方向内側面は、断面円弧形の凹面であるトロイド曲面により構成されている。
また、本例のトロイダル型無段変速機1は、入力軸2の軸方向中間部の周囲に、入力軸2に対する相対回転を可能に配置された出力ディスク4a、4bを備えている。出力ディスク4a、4bは、入力ディスク3a、3bと同軸上に、かつ、入力ディスク3a、3bに対する相対回転を可能に、入力軸2により支持されている。また、出力ディスク4a、4bは、出力歯車5に対して相対回転不能に接続されており、出力ディスク4a、4bの回転は、出力歯車5を介して出力側に取り出される。出力ディスク4a、4bの軸方向外側面は、断面円弧形の凹面であるトロイド曲面により構成されており、入力ディスク3a、3bの軸方向内側面と対向する。
入力ディスク3a、3bの軸方向内側面と出力ディスク4a、4bの軸方向外側面との間には、それぞれ複数個ずつのパワーローラ6が配置されている。それぞれのパワーローラ6は、支持部材7の内側面に、支持軸8及び複数の転がり軸受9を介して回転自在に支持されている。支持部材7は、それぞれの長手方向(図3の上下方向)両端部に設けられた枢軸10を中心とする揺動変位が可能である。なお、枢軸10の中心軸と、入力軸2の中心軸とは、ねじれの位置にある。支持部材7を揺動させる動作は、油圧式のアクチュエータ11により、支持部材7を枢軸10の軸方向に変位させることにより行う。
本例のトロイダル型無段変速機1は、入力ディスク3aの回転速度(回転数)を測定するための入力側速度センサ12、及び、出力ディスク4aの回転速度を測定するための出力側速度センサ13を備えている。また、トロイダル型無段変速機1は、入力側速度センサ12及び出力側速度センサ13からの出力信号に基づいて、入力ディスク3aと出力ディスク4aとの間の変速比、つまり、トロイダル型無段変速機1の変速比を算出するための制御器14を備える。なお、入力側速度センサ12及び出力側速度センサ13は、入力ディスク3a及び出力ディスク4aの回転速度を測定するものに限られず、入力ディスク3b及び出力ディスク4bの回転速度を測定する構成を採ることも可能である。また、制御器14が、駆動軸24を回転駆動するための駆動モータやエンジンなどの駆動源の回転数情報や、出力歯車5によって回転させられる減速機構の入力軸などの被駆動軸の回転数情報を利用し、入力ディスク3a、3b及び出力ディスク4a、4bの回転速度を間接的に求める構成を採ることもできる。
本例のトロイダル型無段変速機1は、アクチュエータ11の油圧室11a、11b内の油圧を測定する油圧センサ15を備え、測定された油圧を表す信号は制御器14に入力される。制御器14は、この油圧を表す信号に基づいて、トロイダル型無段変速機1を通過するトルクを算出する。トロイダル型無段変速機1は、トロイダル型無段変速機1の内部に存在するトラクションオイルの温度、又は、このトロイダル型無段変速機1の循環経路内を循環するトラクションオイルの温度を測定する温度センサ16、及び、パワーローラ6の傾転角を測定する傾転角センサ17を備える。制御器14には、入力側速度センサ12、出力側速度センサ13、及び油圧センサ15の出力信号のほか、温度センサ16及び傾転角センサ17の出力信号も入力される。なお、傾転角センサ17は、パワーローラ6の傾転角を直接測定するのではなく、支持部材7の変位や傾きを測定するようにして、制御器14がパワーローラ6の傾転角を支持部材7の変位や傾きに基づいて間接的に求める構成を採ることもできる。
本例のトロイダル型無段変速機1は、トロイダル型無段変速機1の変速比を所望の値に調節する変速比調節機構を構成する、制御弁18と、ステッピングモータ19と、プリセスカム20とを備える。制御弁18は、スプール21と、スプール21に対して軸方向の相対変位を可能に組み合わされたスリーブ22とを備え、スプール21とスリーブ22との相対変位に基づき、アクチュエータ11への圧油の給排状態を切り換える。図示の例では、何れか1個の支持部材7の長手方向の変位及び枢軸10を中心とする揺動変位が、プリセスカム20及びリンク腕23を介してスプール21にフィードバックされ、スプール21を軸方向に変位させる。これに対し、制御器14によって制御されるステッピングモータ19が、直動機構を介してスリーブ22を軸方向に変位させる。これにより、スプール21とスリーブ22とが軸方向に相対変位するように構成されている。
トロイダル型無段変速機1の変速比を調節する際は、ステッピングモータ19が、スリーブ22を所定位置にまで軸方向に変位させて、制御弁18を所定方向に開く。すると、アクチュエータ11に圧油が給排されて、支持部材7が長手方向に変位する。これにより、トラクション部が中立位置からずれる、すなわち、パワーローラ6のトラクション部の中心が、入力軸2の中心軸を含み、かつ、枢軸10の中心軸に対し直交する仮想平面にある状態からずれる。そして、支持部材7が長手方向に変位しつつ揺動変位する。このような支持部材7の動きは、プリセスカム20及びリンク腕23を介してスプール21に伝達され、スプール21を軸方向に変位させる。この結果、支持部材7が元の位置に戻ると、制御弁18が閉じて、アクチュエータ11への圧油の給排が停止する。
図1に示したように、パワーローラ6の周面を、入力ディスク3a、3bの軸方向内側面の径方向中間部と出力ディスク4a、4bの軸方向外側面の径方向中間部とに、それぞれ当接させれば、トロイダル型無段変速機1の変速比は、等速状態である1になる。パワーローラ6の周面を、入力ディスク3a、3bの軸方向内側面の内径寄り部分と出力ディスク4a、4bの軸方向外側面の外径寄り部分とに、それぞれ当接させれば、トロイダル型無段変速機1の変速比は減速側になり、図2に示に示す状態にまでパワーローラ6を揺動させれば、トロイダル型無段変速機1の変速比は最減速側になる。これに対し、パワーローラ6の周面を、入力ディスク3a、3bの軸方向内側面の外径寄り部分と出力ディスク4a、4bの軸方向外側面の内径寄り部分とに、それぞれ当接させれば、トロイダル型無段変速機1の変速比は増速側になり、図2の状態とは反対の状態になるまでパワーローラ6を揺動させれば、トロイダル型無段変速機1の変速比は最増速側になる。
トロイダル型無段変速機1の運転時には、動力源に繋がる駆動軸24により、ローディング式カム装置25を介して、図1及び図2の左側に配置された入力ディスク3aが回転駆動される。入力ディスク3aの回転は、入力軸2を介して、図1及び図2の右側に配置された入力ディスク3bに伝達される。ローディング式カム装置25は、入力ディスク3aと、駆動軸24と入力ディスク3aとの間で入力ディスク3aと同軸上に配置されたカム板26と、入力ディスク3aとカム板26の間に配置された複数本のローラ27とにより構成されている。
カム板26は、駆動軸24に対し、回転力の伝達を可能に、かつ、軸方向の相対変位を可能に係合しており、図示しない軸受を介して、入力軸2の基端部(図1及び図2の左端部)に回転自在に支持されている。カム板26は、全体が円輪状の形状を有し、入力ディスク3aの軸方向外側面に対向する軸方向内側面(図1及び図2の右側面)に、円周方向に関する凹凸である駆動側カム面28を備える。これに対し、入力ディスク3aは、その軸方向外側面に、円周方向に関する凹凸である被駆動側カム面29を備える。複数本のローラ27は、それぞれ円柱状であり、駆動側カム面28と被駆動側カム面29との間に、それぞれの中心軸を放射方向に向けて、図示しない保持器により保持された状態で配置されている。
ローディング式カム装置25は、駆動軸24からカム板26に入力されるトルクの大きさに比例した大きさの押圧力(法線力)を機械的に発生する。具体的には、カム板26に入力されるトルクが大きくなるほど、ローラ27が、駆動側カム面28及び被駆動側カム面29の底部側部分から頂部側部分に向けて移動することにより、カム板26と入力ディスク3aとの間隔を拡げる。このような作用により、ローディング式カム装置25は、カム板26に入力されるトルクの大きさに比例した押圧力を発生する。そして、この押圧力により、入力ディスク3a、3b同士を互いに近づく方向に押圧することで、パワーローラ6の周面と入力ディスク3a、3bの軸方向内側面及び出力ディスク4a、4bの軸方向外側面とのトラクション部の面圧が確保され、トラクション部における有害な滑りの発生が防止または抑制される。なお、入力ディスク3bを出力ディスク4bに向けて押圧する力は、カム板26から入力軸2を介して作用する。また、ローディング式カム装置25が押圧力を発生する際には、入力ディスク3aは、カム板26に対し、この押圧力に応じた分だけ、軸方向及び回転方向に相対変位する。
また、入力ディスク3a、3bが、互いに近づく方向に押圧されつつ同期して回転すると、この回転が、パワーローラ6を介して出力ディスク4a、4bに伝わり、出力歯車5から取り出される。
本例では、ローディング式カム装置25により、入力ディスク3a、3bを出力ディスク4a、4bに向けて押圧するため、入力ディスク3a、3bに作用する押圧力は、ローディング式カム装置25を通過するトルクに比例する。また、ローディング式カム装置25を入力ディスク3a側に設けているため、ローディング式カム装置25を通過するトルクは、ローディング式カム装置25に入力されるトルクに比例する。したがって、駆動軸24からトロイダル型無段変速機1に入力されるトルクが一定であれば、ローディング式カム装置25が発生する押圧力は一定になるので、くさび効果によって、トロイダル型無段変速機1の変速比が1である場合の運転トラクション係数よりも、この変速比が減速側(変速比1未満)である場合の運転トラクション係数の方が低くなる。なお、運転トラクション係数とは、実際の運転状態を表すトラクション係数である。つまり、図1と図2との比較から理解されるように、入力ディスク3aの軸方向内側面とパワーローラ6の周面との接触点における法線方向に向いた接触力Fcと、入力ディスク3aの軸方向に向いたローディング式カム装置25が発生する押圧力Fnとの成す角度θは、図1に示したトロイダル型無段変速機1の変速比が1である場合のθよりも、図2に示したこの変速比が最減速側である場合のθmaxの方が大きくなる(θ<θmax)。そのため、同じ大きさの押圧力が入力ディスク3aに作用していても、接触点に作用する接触力は、最減速側の方が大きくなる。このため、運転トラクション係数は、トロイダル型無段変速機1の変速比が1の運転状態よりも、この変速比が減速側にある運転状態における方が低く、この変速比が最減速側にある場合に、最も低くなる。なお、最減速側の変速比とは、構造上調節可能なトロイダル型無段変速機1の変速比の値のうち、最小の値をいう。
本例では、制御器14が、トロイダル型無段変速機1の変速比を次のように制御する。
トラクションオイルの温度が外気温度と同程度であり、トラクションオイルのトラクション係数が低下しやすい、トロイダル型無段変速機1の運転開始時に、制御器14は、トロイダル型無段変速機1の変速比が最減速側となるように、この変速比を調節する。具体的には、入力側速度センサ12により測定される入力ディスク3aの回転速度が次第に低下し、この回転速度が、たとえばアイドリング状態での回転速度よりも遅い値に設定された所定速度以下になると、制御器14は、トロイダル型無段変速機1の変速比をその時点での変速比から減速側に向けて調節し始める。そして、駆動軸24の回転が停止し、トロイダル型無段変速機1の運転が停止する前に、トロイダル型無段変速機1の変速比を最減速側に調節し、トロイダル型無段変速機1の運転停止時において、トロイダル型無段変速機1の変速比が最減速側にあるようにしておく。より具体的には、制御器14が、制御弁18と、ステッピングモータ19と、プリセスカム20とからなる変速比調節機構を作動させて、支持部材7を変位させることにより、パワーローラ6を揺動変位させて、パワーローラ6のトラクション部を図2に示した最減速側にある状態に位置させる。これにより、トロイダル型無段変速機1の変速比が最減速側になった状態で、トロイダル型無段変速機1の運転が再開されるようにしている。
このように本例では、運転開始時のように、トラクションオイルの温度が低いことで、トラクションオイルのトラクション係数が低い場合にも、変速比を最減速側に調節することにより運転トラクション係数を十分に低くした状態で、運転を開始させられる。このため、押圧装置としてローディング式カム装置25を備える構造でありながら、外気温度がきわめて低くなる極低温環境下においても、運転開始直後から、トラクション部で過大な滑りを生じさせることなく、動力伝達を開始させることができる。
トロイダル型無段変速機の運転開始時における変速比を最減速側に調節する制御方法としては、アイドリング状態での回転速度よりも遅い値に設定された所定速度以下となることを条件とすることに代替して、たとえば、制御器に駆動軸の回転を停止させる指令が入力されたことを条件として、トロイダル型無段変速機の変速比を減速側に向けて調節し始め、トロイダル型無段変速機の運転が停止するまでに、この変速比を最減速側に調節しておくことも可能である。
[実施の形態の第2例]
実施の形態の第2例について、実施の形態の第1例で用いた図1〜図3を適宜参照して説明する。本例は、制御器14による変速比の制御に、温度センサ16により測定されるトラクションオイルの温度を利用する点に特徴がある。
すなわち、温度センサ16により測定されたトラクションオイルの温度が、たとえばトラクション係数の低下が顕著になる温度である所定温度以下である場合に、制御器14からの指令により、トロイダル型無段変速機1の変速比を最減速側に調節する。そして、トラクションオイルの温度が、前記所定温度以下である限りは、トロイダル型無段変速機1の変速比を最減速側に維持しておく。トラクションオイルの温度が、トロイダル型無段変速機1の運転とともに前記所定温度を超えて上昇した場合には、所望の変速比への制御を許容して、トロイダル型無段変速機1の通常の運転を開始する。前記所定温度は、使用するトラクションオイルの種類や、温度センサの設置位置などに応じて適宜設定することができる。
温度センサ16の設置位置は、トラクションオイルの温度を適切に測定できる限り、トロイダル型無段変速機1の内部、特にトラクションオイルの循環経路の任意の位置に設置可能である。本例では、温度センサ16は、たとえばトラクション部に向けてトラクションオイルの吹き付けるノズルの近傍など、トラクション部へのオイル供給側に近い位置に設置されており、トラクション部に供給されるトラクションオイルの温度をより正確に測定できるようにしている。レイアウト上の制約などにより、トラクション部へのオイル供給側から遠い位置に温度センサを設置する場合には、温度センサの出力信号を補正して利用することもできる。また、温度センサの設置個数も任意であり、トラクション部ごとに1個ないしは複数個備えることも可能であり、トロイダル型無段変速機全体で1個だけ備えるようにすることもできる。
以上のような構成を有する本例では、トラクションオイルの温度を利用して、トロイダル型無段変速機1の変速比を制御できる。このため、たとえば、外気温度が極低温であることに起因して、トロイダル型無段変速機1の運転開始後、所定時間経過したにもかかわらず、トラクションオイルの温度が十分に上昇していないような場合に、トロイダル型無段変速機1の変速比を最減速側から増速側に向けて調節してしまうことで、トラクション部に過大な滑りが発生することを防止できる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同様である。
[実施の形態の第3例]
実施の形態の第3例について、実施の形態の第1例で用いた図1〜図3を適宜参照して説明する。本例は、制御器14による変速比の制御に、傾転角センサ17により測定されるパワーローラ6の傾転角を利用する点に特徴がある。
本例では、パワーローラ6の傾転角を測定するための傾転角センサ17が、支持部材7に取り付けられている。傾転角センサ17は、支持部材7の枢軸10を中心とする揺動量を検出するための回転検出センサであり、枢軸10には、ロータ(エンコーダ;図示せず)が取り付けられている。制御器14は、傾転角センサ17と枢軸10に設置されたロータとの相対変位に基づく、傾転角センサ17により測定された支持部材7の揺動量を、パワーローラ6の傾転角として検出する。
制御器14は、トロイダル型無段変速機1の変速比が最減速側となった状態で、トロイダル型無段変速機1の運転が開始されると、パワーローラ6の傾転角と、入力側速度センサ12及び出力側速度センサ13により測定される入力ディスク3a、3b及び出力ディスク4a、4bの回転速度とを利用して、トラクション部でのそれぞれの部材(パワーローラ6、入力ディスク3a、3b、出力ディスク4a、4b)の周速差を表すクリープの発生量(クリープ量、微小滑り量)を算出する。クリープは、トラクション部にてトラクションオイルを介して動力伝達が行われる際に生じる現象であり、グロススリップと呼ばれる有害な滑り(過度の滑り)とは異なる現象である。
トロイダル型無段変速機1の変速比が最減速側となった状態で、トロイダル型無段変速機1の運転が開始された直後においては、運転トラクション係数およびトラクションオイルのトラクション係数がいずれも低いことから、クリープ量は小さく、トラクションオイルの温度が上昇しにくい状態にある。本例では、制御器14は、クリープ量が所定の値以上となるように、トロイダル型無段変速機1の変速比を制御する。具体的には、制御器14が、制御弁18と、ステッピングモータ19と、プリセスカム20とからなる変速比調節機構を作動させて、支持部材7を変位させる。これにより、パワーローラ6を揺動変位させることにより、パワーローラ6のトラクション部を図2に示した最減速側にある状態から増速側へと移動させて、トロイダル型無段変速機1の変速比を最減速側から増速側に向けて少しずつ大きくする。これにより、運転トラクション係数を上昇させて、クリープ量を大きくする。算出されたクリープ量により、トロイダル型無段変速機1の変速比の変位を適切な範囲に調節して、この変速比が過度に増速側とならないように、制御器14は調節する。本例では、このような制御を行うことで、運転開始直後に、トラクション部での発熱量を増大させて、トラクションオイルの温度を上昇させやすくする。トラクションオイルの温度上昇に伴って、トラクション係数が大きくなるため、トラクション部での過大な滑りの発生を防止できる。
なお、入力トルクの変動に起因して生じるローラ27の相対的なねじれは、クリープ量に変動を生じさせる。このため、制御器14は、ローラ27のねじれに基づくクリープ量の変動を取り除くための補正手段を備えることが好ましい。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同様である
上述した実施の形態の各例の構造は、相互に矛盾を生じない限り、適宜組み合わせて実施することができる。
1 トロイダル型無段変速機
2 入力軸
3a、3b 入力ディスク
4a、4b 出力ディスク
5 出力歯車
6 パワーローラ
7 支持部材
8 支持軸
9 転がり軸受
10 枢軸
11 アクチュエータ
11a、11b 油圧室
12 入力側速度センサ
13 出力側速度センサ
14 制御器
15 油圧センサ
16 温度センサ
17 傾転角センサ
18 制御弁
19 ステッピングモータ
20 プリセスカム
21 スプール
22 スリーブ
23 リンク腕
24 駆動軸
25 ローディング式カム装置
26 カム板
27 ローラ
28 駆動側カム面
29 被駆動側カム面

Claims (4)

  1. 駆動源により回転駆動される入力ディスクと、
    前記入力ディスクと同軸上に、かつ、この入力ディスクに対する相対回転を可能に配置された出力ディスクと、
    前記入力ディスクと前記出力ディスクとの間に、前記入力ディスクと前記出力ディスクとの間で動力を伝達可能に配置された、複数個のパワーローラと、
    前記入力ディスクを前記出力ディスクに向けて押圧するためのローディング式カム装置と、
    前記入力ディスクと前記出力ディスクとの間の変速比を調節するための制御器と、
    を備え、
    前記制御器は、運転開始時に、前記入力ディスクと前記出力ディスクとの間の変速比が最減速側にあるように、この変速比を調節する、
    トロイダル型無段変速機。
  2. 前記制御器は、前記トロイダル型無段変速機の運転が停止するまでに、前記変速比を最減速側に調節しておき、この変速比が最減速側になった状態で前記トロイダル型無段変速機の運転を再開させる、請求項1に記載したトロイダル型無段変速機。
  3. 前記トロイダル型無段変速機には、前記入力ディスクの回転速度を測定する速度センサが別途設けられており、前記制御器は、前記速度センサにより測定される前記入力ディスクの回転速度が所定速度以下になると、前記変速比を減速側に向けて調節し始める、請求項2に記載したトロイダル型無段変速機。
  4. 前記トロイダル型無段変速機には、トラクションオイルの温度を測定する温度センサが別途設けられており、前記制御器は、前記温度センサにより測定されるトラクションオイルの温度が所定温度以下である場合に、前記変速比を最減速側に調節する、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載したトロイダル型無段変速機。
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