JP4272861B2 - 無段変速機の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転駆動される入力軸と、この入力軸に連動して回転する入力ディスクと、入力ディスクに対向して設けられる出力ディスクと、前記入力ディスクと出力ディスクとの間に挟まれ、入力ディスクの回転を出力ディスクに伝達するパワーローラと、入力ディスクと出力ディスクとを互いに近づける方向に所定の押圧力で押圧するエンドロード機構と、を有する無段変速機、いわゆるトロイダル式変速機の制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、無段変速機(CVT)として、各種の形式のものが知られており、その中にトロイダル式CVTがある。このトロイダル式CVTは、入出力ディスクと、その中間で摩擦係合により入出力ディスク間の動力伝達を行うパワーローラを有している。
【0003】
入出力ディスクは、全体として三角錐に近い形であり、その斜面は円弧状に切り取られた形状になっている。そして、入出力ディスクは突出する中央部が対向するように配置されており、入出力ディスクをあわせた断面は中間部分が半円状に切り取られた形になっている。従って、パワーローラが入力ディスクの周辺側および出力側ディスクの内側で接触することで、入力ディスクの軸から離れた部分の回転を出力ディスクの軸に近い側に伝達することができ、減速比が小さくなる。従って、パワーローラの傾きを変えることによりこの接触位置を変更することで、変速比を決定することができる。
【0004】
そして、このパワーローラはトラニオンという部材で、回転可能かつ入出力ディスクに接触する位置が変更可能に支持されており、このトラニオンの軸周りの回転角がパワーローラの回転の入出力ディスクに対する傾き(傾転角)となっている。トロイダル式CVTでは、この傾転角によって変速比が決定される。
【0005】
また、この傾転角を変更する際には、トラニオンを入出力ディスク回転軸と直行する方向に移動させる。すなわち、パワーローラの回転軸をパワーローラの回転軸と入出力ディスクの回転軸が直交する位置からオフセットさせる。このオフセット量をトラニオンストロークという。これによって、パワーローラには、傾転角を変更する方向の力が加わり、これによってパワーローラの傾転角が変更され変速比が変更される。
【0006】
ここで、トロイダル式CVTでは、入出力ディスクとパワーローラの動力伝達は、摩擦によって行われる。従って、スリップを防止して、大きな動力伝達を行うためには、入出力ディスクとパワーローラ間の押圧力(エンドロード)を大きくする必要がある。そこで、入力トルク(伝達する動力)に応じて押圧力を制御している(例えば特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−281269号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術においては、ディスクとローラ間の最大トラクション係数を考慮することなく、エンドロードを制御しているため、エンドロードが過大になり、動力伝達効率が低下するおそれがあった。すなわち、ローラに作用する法線力が過大になり、動力伝達効率が低下するおそれがあった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、動力伝達における最大トラクション係数を考慮して適切な法線力設定が行える無段変速機の制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、回転駆動される入力軸と、この入力軸に連動して回転する入力ディスクと、入力ディスクに対向して設けられる出力ディスクと、前記入力ディスクと出力ディスクとの間に挟まれ、入力ディスクの回転を出力ディスクに伝達するパワーローラと、入力ディスクとパワーローラとの間の最大トラクション係数μmaxを、パワーローラ接点を、パワーローラの回転軸を入力ディスクの中心から外れる位置にオフセットさせる変速中においてパワーローラの回転方向である動力伝達方向のトラクション係数が下がることを因子の1つとして、最大トラクション係数μmaxを変速時において定常時に比べ小さく推定するμmax推定手段と、この最大トラクション係数推定手段において推定された最大トラクション係数に基づいて、入力ディスク及び出力ディスクのうち少なくとも一方とパワーローラとの間の法線力を制御する法線力制御機構と、を有することを特徴とする。
【0011】
このように、最大トラクション係数を考慮して入力ディスク及び出力ディスクの内少なくとも一方とパワーローラとの間の法線力を制御することができるため、適切な法線力(例えば、エンドロード)とすることができる。従って、法線力が過大になり、動力伝達効率が低下することを抑制することができる。
【0012】
また、本発明は、回転駆動される入力軸と、この入力軸に連動して回転する入力ディスクと、入力ディスクに対向して設けられる出力ディスクと、前記入力ディスクと出力ディスクとの間に挟まれ、入力ディスクの回転を出力ディスクに伝達するパワーローラと、入力ディスク及び出力ディスクのうち少なくとも一方とパワーローラとの間の法線力を制御する法線力制御機構と、を有する無段変速機を制御する無段変速機の制御装置であって、現在あるいは所定時刻先の使用状態における、入力ディスクとパワーローラ間のトラクション係数μを推定するμ推定手段と、現在あるいは所定時刻先の使用状態における、入力ディスクとパワーローラ間の最大トラクション係数μmaxを、パワーローラ接点を、パワーローラの回転軸を入力ディスクの中心から外れる位置にオフセットさせる変速中においてパワーローラの回転方向である動力伝達方向のトラクション係数が下がることを因子の1つとして、最大トラクション係数μmaxを変速時において定常時に比べ小さく推定するμmax推定手段と、推定されたμmaxおよびμに基づいて、μがμmaxに対し、一定比率または一定量小さくなるように、前記法線力制御機構による法線力を制御する法線力制御手段と、を有することを特徴とする。
【0013】
このように、使用中のトラクション係数μと、その状態における最大トラクション係数μmaxを推定し、μmaxがμに対し所定量大きくなるようにエンドロードを制御する。そこで、入力トルクのみに基づいてエンドロードを制御していた従来例に比べ精度のよいエンドロード制御が行え、無段変速機の効率的な運転が行える。例えば、最大トラクション係数に対する余裕度が一定になるようにエンドロードを制御することにより、過大なエンドロードによる動力伝達効率の低下を防止すると共に、トロイダル伝達部材の転動疲労による寿命の低下を防止して変速機構の小型化及び変速比幅の拡大を実現できる。
【0014】
また、前記エンドロード制御手段は、μmaxがμに対し一定比率または一定量大きくなるように押圧力を制御することが好適である。
【0015】
また、前記μmax推定手段は、変速比の変化状態を考慮してμmaxを推定することが好適である。変速比の変更は、パワーローラをシフトさせて傾転力を発生させて、パワーローラの傾転角を変更することで行う。従って、変速中は、パワーローラと入出力ディスクとの関係が通常の場合と異なる。変速比の変化状態を考慮して、最大トラクション係数μmaxを推定することで、変速中においても適切な最大トラクション係数μmaxを用いたエンドロード制御が行える。
【0016】
また、前記μmax推定手段は、入出力ディスクとパワーローラ間に介在する潤滑油の温度を考慮してμmaxを推定することが好適である。
【0017】
前記μmax推定手段は、入力ディスクとパワーローラ間に介在する潤滑油の温度を考慮してμmaxを推定することが好適である。
【0018】
最大トラクション係数μmaxは、接点温度の影響を受ける。潤滑油温度に加えてトラニオン温度、スラストベアリング発熱量、接点部発熱量等を考慮して、最大トラクション係数μmaxを推定することで、適切な最大トラクション係数μmaxを用いたエンドロード制御が行える。
【0019】
さらに、前記μmax推定手段は、前記潤滑油温に加えて、トラニオン温度とスラストベアリング発熱量及び接点部発熱量を考慮することが好適である。トラニオンの温度の計測は比較的容易であり、これを参照することでより正確なμmaxの推定が行える。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0021】
(全体構成)
図1には、実施形態に係るトロイダル式CVTの全体構成が示されている。エンジンの回転に基づいて回転される入力軸10には、噛み合わせ部15、16を介し入力軸12が接続されており、入力軸10の回転が入力軸12に伝達される。また、CVTの機構全体は、変速機ケース20で覆われている。
【0022】
入力軸12には、2つの入力ディスク40が入力軸12の軸方向移動自在に噛み合わせ接続されている。従って、2つの入力ディスク40は、入力軸12の軸方向に移動可能ではあるが、入力軸12と共に回転する。
【0023】
この2つの入力ディスク40は、中央に開口が形成され、外側から中央側に向け徐々に突出する形状を有しており、斜面はその軸方向の断面がほぼ円弧状になっている。また、2つの入力ディスク40の内の一方は、図における左側に位置し、他の入力ディスク40は図における右側に位置し、両者とも突出する中央が内側に対向するように位置している。これら2つの入力ディスク40のそれぞれには、同一形状の出力ディスク50がそれぞれ対向するように配置されている。すなわち、入力ディスク40と出力ディスク50が対向配置されており、軸方向の断面では、入力ディスク40と出力ディスク50の斜面がそれぞれ一対の半円を形成している。
【0024】
2つの入力ディスク40と2つの出力ディスク50との間にはそれぞれ2つのパワーローラ45が挟持されている。すなわち、4つのパワーローラ45はそれぞれ一方側が入力ディスク40に接触し、他方側が出力ディスク50に接触し、入力ディスク40の回転トルクを出力ディスク50に伝達する。また、4つのパワーローラ45は、それぞれ対応するトラニオン46によって支持されている。このトラニオン46は、図における紙面に直角な方向に軸を有し、その軸方向に移動可能でかつその軸を中心として回動可能となっている。また、この4つのトラニオン46の軸の半径方向位置が固定されており、パワーローラ45が入出力ディスク40、50から離れないようになっている。
【0025】
入力軸12は、油圧押圧(エンドロード)機構21に接続される。このエンドロード機構21は、シリンダ31と、左側の入力ディスク40の間に形成された油圧室30内に油圧を受け、2つの入力ディスク40をそれぞれ2つの出力ディスク50側に押圧することで、入出力ディスク40、50間にパワーローラ45の狭圧力を生じさせ、これによって4つのパワーローラ45をそれぞれ所定の圧力で2対の入出力ディスク40、50間に挟み込む。これによって、入出力ディスク40、50とパワーローラ45間のスリップを防ぎ、トラクション状態を維持する。なお、油圧室30の周囲である、シリンダ31と入力ディスク40の間、入力軸12と入力ディスク40の間、シリンダ31と入力軸12との間は、シール材32、33、34によってそれぞれ密封されている。また、エンドロード機構としては電気的なアクチュエータ等を用いることもできる。
【0026】
2つの出力ディスク50は、入力軸12に対して回転可能なようにベアリングを介し支持されている。この出力ディスク50の間には、出力ギア60が連結されており、出力ディスク50と一緒に回転する。出力ギア60には、カウンタギア61がかみ合わされており、このカウンタギア61に出力軸70が連結されている。従って、2つの出力ディスク50の回転に伴い、出力軸70が回転する。
【0027】
また、4つのトラニオン46のトラニオン軸方向の変位の制御によって、変速比の変更が行われる。
【0028】
(変速比の変更)
ここで、この変速比の変更について、図2に基づいて説明する。なお、この図2は、入力ディスク40を出力ディスク50の側から見た図であり、入力ディスク40とパワーローラ45をそれぞれ1つだけ示している。図2(a)は、パワーローラ45が変位していない場合を示しており、パワーローラ45の回転軸は、入力ディスク40の中心を通る。そして、変速する場合には、トラニオン46をその軸方向にオフセットさせる。例えば、図2(b)に示すように、入力ディスク40が回転してくる方向(図における上側)にオフセットさせる。これによって、パワーローラ45には、移動した場所における入力ディスク40の円周方向の力がかかり、パワーローラ45は入力ディスク40の周辺側に移動する力(傾転の力)がかかる。そして、パワーローラ45がオフセット量0の位置に戻ったときには、パワーローラ45の入力ディスク40と接触する位置が半径方向外側に変位している。これによって、パワーローラ45の出力ディスク50との接触位置は半径方向内側に変位し、変速比が変化する(アップシフトする)。なお、図における下方向(入力ディスクが遠ざかる側)にトラニオン46をオフセットさせることで、トラニオン46は反対方向に傾転し、ダウンシフトが行われる。
【0029】
(トラニオンの移動機構)
図3には、この変速比制御のための構成(トラニオン移動機構)が示されている。なお、図3においては、1つの入力ディスク40と、2つのパワーローラ45−1、45−2と、2つのトラニオン46−1、46−2を示している。
【0030】
このように、油圧回路80は、トラニオン46−1、46−2に相補的な動作をさせるために一対のピストン室80−1、80−2を有している。そして、このピストン室80−1、80−2には、油圧制御弁82が接続されており、この油圧制御弁82の制御によって油圧ピストン室80−1、80−2への供給油圧が制御され、トラニオン46−1、46−2のストローク(パワーローラオフセット量)を制御する。なお、一対のトラニオン46−1、46−2のストロークは同一である。
【0031】
そして、トラニオン46−2の傾転角θを傾転角センサ47で検出し、ストロークxをストロークセンサ48で検出し、コントローラ90に供給する。
【0032】
コントローラ90には、アクセル開度、車速についての情報も供給されており、コントローラ90は、アクセル開度、車速から目標変速比を決定し、この目標変速比と傾転角センサ47によって検出した傾転角θに対応する変速比との偏差に基づいて目標ストロークを決定する。そして、この目標ストロークに基づいて、油圧制御弁52を制御して、トラニオン46のストロークxを制御する。これによって、傾転角から求められるそのときの変速比が目標変速比に一致したことで、変速比制御を終了する。
【0033】
(法線力Fcと伝達力Ftの関係)
ここで、パワーローラ45と、入力ディスク40または出力ディスク50との動力の伝達は、摩擦によって行われる。従って、図4に示すように、パワーローラ45と入出力ディスク40、50との伝達力(ディスクローラ間の接線力)Ftは、パワーローラ45が入出力ディスク40、50に押しつけられる法線力Fcと、トラクション係数μを乗算したものであり、Ft=μ・Fcである。
【0034】
(滑り率とトラクション係数μの関係)
そして、入出力ディスク40、50とパワーローラ45との間の滑り率とトラクション係数には、図5のような関係があり、最大トラクション係数μmaxが存在する。そして、CVTにおいて、所期の動力の伝達を行うためには、伝達力Ftがμmax・Fc以下になるように、法線力Fcを決定する必要がある。そこで、従来より、入力トルクに応じてエンドロードを制御して、法線力Fcを所定値に制御している。
【0035】
(最大トラクション係数μmax)
ところが、最大トラクション係数μmaxは、一定ではなく変化する。そこで、このμmaxを正しく推定することで、より適切なエンドロード制御が行える。
【0036】
例えば、変速は、上述のようにパワーローラ45をオフセットさせて行う。すなわち、パワーローラ45をオフセットさせることで、パワーローラ45の接線速度方向と入出力ディスク40、50の接線速度方向にずれが生じ、これによりパワーローラ45を傾転させる力が発生する。このとき、動力を伝達するのは接線力の内、パワーローラ回転方向を向いた成分であるので、変速中(パワーローラ接点のオフセットがある場合)は、動力伝達方向のトラクション係数が下がる。
【0037】
また、入出力ディスク40、50とパワーローラ45の間には、摩擦力の印加に応じて固化する潤滑油が介在されるが、この潤滑油の性状も含め、入出力ディスク40、50とパワーローラ45との動力伝達におけるトラクション係数は、温度の影響を受ける。
【0038】
従って、エンドロードのより適切な制御を行うためには、変速状態や、温度のトラクション係数への影響を考慮することが必要となる。
【0039】
(エンドロード制御のための構成)
図6には、エンドロード制御のための構成が示されている。ここで、図中、ωi:入力ディスク回転角速度(rad/s)、ωo:出力ディスク回転角度速度(rad/s)、θ:パワーローラ傾転角(°)、Fa:エンドロード(N)、ref(Fa):必要エンドロード(N)、xt:トラニオンストローク(m)、xo:接点部オフセット量(m)、Tin:入力トルク(Nm)、Tr:潤滑油温度(℃)、Tc:接点温度(℃)、μmax:最大トラクション係数、μ:使用トラクション係数、u:エンドロード制御指令値である。
【0040】
(入出力ディスク回転速度計測部102)
入出力ディスク回転速度計測部102は、入出力ディスク40、50の回転角度速度ωi、ωoを検出する。この回転角速度の検出には、各種の回転センサを利用することができる。検出した回転角速度ωi、ωoは、パワーローラ傾転角推定部104に供給される。
【0041】
(パワーローラ傾転角推定部104)
パワーローラ傾転角推定部104は、入出力ディスク40、50の回転角速度の比から変速比、すなわちパワーローラの傾転角θを推定算出する。
【0042】
すなわち、速度比ωo/ωi=1の時をパワーローラ傾転角θ=0として、速度比ωo/ωi>1(増速)の時θ>0、速度比ωo/ωi<1(減速)の時θ<0と定義する。この時、ディスク・パワーローラ間の滑りを無視すると、速度比ωo/ωiと傾転角θの間には次式の関係がある。
ωo/ωi
=(1+k0−cos(φ+θ))/(1+k0−cos(φ−θ)) (1.1)
【0043】
ここで、本実施形態のCVTにおいて、変速機構の幾何学的形状は、図7に示すとおりであり、k0はキャビティアスペクト比(定数)といい、ディスクの描く仮想最小長さe0をキャビティ半径r0で除したものである。
k0=e0/r0 ・・・(1.2)
【0044】
また、φは半頂角(定数:パワーローラの中心と法線力Fcとの間の角度)である。入力ディスクとパワーローラの接点の半径がr1、出力ディスクとパワーローラの接点の半径がr3である。
【0045】
パワーローラ傾転角推定部104では、以下の4つの方法の何れかにより傾転角θを求める。
【0046】
1)速度比ωo/ωiと傾転角θの関係式からマップを作成し、速度比でマップを参照することにより、傾転角θを求める。
【0047】
2)速度比ωo/ωiと傾転角θの関係式を対数式で近似し、速度比から傾転角を算出する。
【0048】
近似式の形:θ=a・log(ωo/ωi)+b ・・・(1.3)
また、a,bは定数である。
【0049】
3)速度比ωo/ωiと傾転角θの関係式を多項式で近似し、速度比から傾転角を算出する。
【0050】
近似式の形:θ=a・(ωo/ωi)3+b・(ωo/ωi)2+c・(ωo/ωi)+d ・・・(1.4)
また、a,b,c,dは定数である。
【0051】
4)パワーローラを保持するトラニオンの傾転角を計測し、パワーローラ傾転角θとする。
【0052】
これらの方法によって、パワーローラ傾転角推定部104において、傾転角θが推定される。なお、上述の1)〜3)の方法により推定した傾転角と、速度比(ωo/ωi)との関係を図8に示す。いずれの推定によっても、かなりよい精度で傾転角の推定が行える。
【0053】
(エンドロード推定部106)
また、入出力ディスク回転速度計測部102において検出した入力ディスク40の回転角速度ωiは、エンドロード推定部106に供給される。エンドロード推定部106は、エンドロードの制御指令値uと、入力ディスク45の回転角速度ωiから算出される遠心油圧とからエンドロードを推定する。
【0054】
このエンドロードFaは、次式で算出する。
Fa=A・P+(π/4)ρ(Ro2−Ri2)2 ωi2 ・・・(2.1)
【0055】
ここで、A:油圧室受圧面積、P:静油圧、ρ:作動油(潤滑油)密度、Ri:受圧部内半径、Ro:受圧部外半径、ωi:入力ディスク回転角速度であり、右辺第1項が静油圧力を、右辺第2項が遠心油圧力を表す。
【0056】
また、静油圧Pは、以下の3方法のいずれかで求める。
【0057】
1)油圧指令値uと静油圧Pの関係を伝達関数表現し、油圧指令値から静油圧Pを算出する。
【0058】
2)油圧指令値uと静油圧Pの定常時の関係をマップ化し、動的な遅れは1次遅れ関数等の伝達関数で表現する。
【0059】
3)油圧センサにより計測する。
【0060】
(接点部オフセット量推定部108)
エンドロード推定部106からのエンドロードの推定値Faは、接点部オフセット量推定部108に供給される。この接点部オフセット量推定部108には、パワーローラ傾転角推定部104から傾転角θと、トラニオンストローク計測部110で計測されたトラニオンストロークxtも供給されている。
【0061】
ここで、基本的に接点部オフセット量xo はトラニオンストローク量xt と同じになる。しかし、エンドロードにより機構が変形するため、エンドロードにより両者の間にずれが生じる。また、そのずれかたはパワーローラ傾転角θにより異なる。
【0062】
よって、次式のように、トラニオンストローク量xt をエンドロードFaとパワーローラ傾転角θで索引される補正マップH(Fa,θ)で補正して接点部オフセット量xo を求める。
xo=xt+H(Fa,θ) ・・・(4.1)
【0063】
(トラニオンストローク計測部110)
トラニオンストローク計測部110は、図3におけるストロークセンサ48に対応し、トラニオンストロークを検出する。
【0064】
(入力トルク推定部112)
また、入力トルク推定部112は、入力トルクTinを次式で算出する。
Tin=(Te−Th)・τ−Tp−I・dωi/dt ・・・(3.1)
【0065】
ここで、Te:エンジン出力トルクであり、エンジントルク特性マップから導出する。なお、エンジントルク特性マップは、例えばエンジン回転速度、スロットル開度、点火時期で索引されるマップ構造を持つ。また、Th:オルタネータとエアコン用コンプレッサの消費トルクであり、電流モニターによるトルク推定、あるいは制御指令値で推定する。τ:トルクコンバータのトルク比であり、トルクコンバータのトルク増幅比とする。ロックアップクラッチを締結している場合はτ=1とする。Tp:トランスミッションの潤滑油ポンプ駆動トルクであり、ライン圧とエンジン回転速度によるマップから導出する。また、右辺第3項は慣性トルクの補正項であり、Iは変速機入力ディスクより上流の回転慣性質量(イナーシャ)である。ロックアップクラッチを開放している場合は、Iは、トルクコンバータのタービンから変速機入力ディスクまでの回転慣性質量であり、ロックアップクラッチを締結している場合は、エンジンから変速機入力ディスクまでの回転慣性質量である。
【0066】
(接点温度推定部114)
入力トルク推定部112からの入力トルクTinは、接点温度推定部114に供給される。この接点温度推定部114には、接点部オフセット量推定部108および潤滑油温度計測部116からの潤滑油温度Trも供給される。なお、この潤滑油温度計測部116は通常の温度センサで潤滑油温度を計測すればよい。
【0067】
そして、接点温度推定部114は、接点温度Tc は、以下の何れかの方法で推定する。(接点温度の推定においては、潤滑油温度に代えて、トラニオン付近、ディスク付近、接点付近の少なくとも一つにおける転動面温度を利用する事もできる)。
【0068】
1)接点温度マップを実験とシミュレーションにより作成し、マップから接点温度を求める。この接点温度マップは以下の情報から索引される。入力トルクTin、入力ディスク回転速度ωi、パワーローラ傾転角θ、エンドロードFa、接点部オフセット量xo、潤滑油温度Trである。
【0069】
2)以下の接点温度予測式で算出する。
【0070】
実施に当っては、オンライン計算しても良いし、オフラインであらかじめ計算した結果をマップ化して、マップから接点温度を求めても良い。マップ化した場合、接点温度マップは以下の情報から索引される。入力トルクTin、入力ディスク回転速度ωi、パワーローラ傾転角θ、エンドロードFa、接点部オフセット量xo、潤滑油温度Trである。
Tc=Tr+(a1a・Qb+a2a・Qc)・a3 ・・・(5.1)
Tc=(ar・Tr+at・Tt)+(a1a・Qb+a2a・Qc)・a3 ・・・(5.1)’
【0071】
ここで、Tc:接点温度、Tr:潤滑油温度(計測値)、Tt:トラニオン温度(計測値)、a1a,a2a:伝熱係数(冷却法、冷却油量によって決まる実験定数であり、冷却法が決まれば冷却流量の関数あるいはマップで表される)、a3:パワーローラ寸法とパワーローラ傾転角θの影響係数(実験定数。パワーローラ寸法が決まれば、パワーローラ傾転角θの関数あるいはマップで表される。)、ar,at:影響係数、Qb:スラスト軸受部での発熱量(式(5.2))、Qc:ディスク・パワーローラ接点部での発熱量(式(5.33))。Qb,Qcは以下のように求める。
【0072】
[Qbの求め方]
Qbは、次式により算出する。
Qb=(2/3)n・ωr・μb・Pmaxth・ath・bth2・Cth ・・・(5.2)
【0073】
ここで、n:スラスト軸受の玉数(定数)、μb:スラスト軸受ボール・レース間のトラクション係数(式(5.19))、Pmaxth:スラスト軸受ボール・レース(ボール受け溝)間の最大Hertz応力(式(5.25))、ath:スラスト軸受ボール・レース間の接触楕円半径(転がり方向)(式(5.23))、bth:スラスト軸受ボール・レース間の接触楕円半径(転がり直交方向)(式(5.24))、Cth:接点でのパワーロスを無次元化したもの(定数)(式(5.32))、ωr:パワーローラ回転角速度(式(5.3))である。
ωr=(K・r1・ωi+r3・ωo)/r2・(1+K) (5.3)
ωi:入力ディスク回転角速度、ωo:出力ディスク回転角速度、
r1:入力ディスク接点回転半径r1=r0(1+k0−cos(φ+θ))(5.4)
r2:パワーローラ接点回転半径r2=r0sinφ (5.5)
r3:出力ディスク接点回転半径r3=r0(1+k0−cos(φ−θ))(5.6)
【0074】
ここで、φ:半頂角(定数)、θ:パワーローラ傾転角、k0:キャビティアスペクト比、(定数)(式(1.2))、K:中間変数(式(5.7))である。
K=bo・ωso(ak1・κo2+ak2・κo+ak3)
/bi・ωsi(ak1・κi2+ak2・κi+ak3) ・・・(5.7)
【0075】
ここで、ak1,ak2,ak3:トラクション特性により決まる定数(例えば、ak1=0.0294,ak2=0.2224,ak3=0.747)、ωsi:入力ディスク側接点のスピン角速度(式(5.8))、ωso:出力ディスク側接点のスピン角速度(式(5.9))である。
ωsi=ωi・(sin(φ+θ)−(1+k0−cos(φ+θ))/tanφ) ・・・(5.8)
ωso=ωo・(sin(φ−θ)−(1+k0−cos(φ−θ))/tanφ) ・・・(5.9)
【0076】
ここで、ai:入力ディスク・パワーローラ接点の接触楕円半径(パワーローラ転がり方向)(式(5.10))、ao:出力ディスク・パワーローラ接点の接触楕円半径(パワーローラ転がり方向)(式(5.10))、bi:入力ディスク・パワーローラ接点の接触楕円半径(パワーローラ転がり直交方向)(式(5.11))、bo:出力ディスク・パワーローラ接点の接触楕円半径(パワーローラ転がり直交方向)(式(5.11))であり、それぞれHertzの接触理論の近似式である。κi:入力ディスク側接触楕円の楕円半径比(式(5.13)、ai/biと同じ)、κo:出力ディスク側接触楕円の楕円半径比(式(5.13)、ao/boと同じ)である。
【数1】
【0077】
Tin:入力トルク、r1:入力ディスク上の接点回転半径(式(5.4))、Fc:ディスク・パワーローラ間法線力(式(5.18))、r0:キャビティ半径(定数)、k0:キャビティアスペクト比(定数)(式(1.2))、φ:半頂角(定数)θ:パワーローラ傾転角、nr:1キャビティ中のパワーローラ個数(定数)、Fa:エンドロード、ωi:入力ディスク回転角速度、ωo:出力ディスク回転角速度、ξi,ξo:形状係数(式(5.12))、rxi:入力ディスク・パワーローラ間の等価曲率半径(パワーローラ転がり方向)(式(5.14))、rxo:出力ディスク・パワーローラ間の等価曲率半径(パワーローラ転がり方向)(式(5.14))、ry:ディスク・パワーローラ間の等価曲率半径(パワーローラ転がり直交方向)(定数)(式(5.15))、f0:ディスク・パワーローラ間曲率半径比(定数)(式(5.15))、r22:パワーローラ接点の傾転方向曲率半径(定数)、Ri:入力ディスク・パワーローラ間の等価曲率半径(式(5.16))、Ro:出力ディスク・パワーローラ間の等価曲率半径(式(5.16))、E':式(5.17)で定義される等価弾性係数(定数)、E1:ディスク材の縦弾性係数、ν1:ディスク材のPoisson比、E2:パワーローラ材の縦弾性係数、ν2:パワーローラ材のPoisson比である。なお、式(5.13)における2つ式の右辺の指数は0.636である。
【0078】
(μbの求め方)
スラスト軸受ボール・レース間のトラクション係数は次式で算出する。
μb=kb・μL+(1−kb)・μE ・・・(5.19)
【0079】
ここで、kb:接触楕円内でフルードが固化している面積割合であり、フルードの圧力粘度係数αと最大Hertz応力Pmaxthの積の関数で表される。α:フルードの圧力粘度係数は、フルード固有の特性であり、スラストレース接点温度Tfの関数で表される。
【0080】
kb は、接触楕円内の任意の圧力Pに対してα・P>25となる面積割合を表し、スラストレース接点温度Tfと最大Hertz応力Pmaxthの関数あるいはマップとして与えることが出来る。
【0081】
Tf:スラストレース接点温度は、次式で与えられる。
Tf=Tr+(a1b・Qb+a2b・Qc)・a3 ・・・(5.20)
【0082】
ここで、Tc:接点温度、Tr:潤滑油温度(計測値)、a1b,a2b:伝熱係数(冷却法、冷却油量によって決まる実験定数であり、冷却法が決まれば冷却流量の関数あるいはマップで表される)、a3:パワーローラ寸法とパワーローラ傾転角θの影響係数(実験定数。パワーローラ寸法が決まれば、パワーローラ傾転角θの関数あるいはマップで表される。)、Qb:スラスト軸受部での発熱量、Qc:ディスク・パワーローラ接点部での発熱量であり、一連の接点温度予測式をオンライン計算する場合は、収束反復計算を防ぐために式(5.20)で用いるQb に1制御周期前の値を用いる。なお、制御周期は温度変化に対して十分短いので問題を生じない。また、Qcの求め方は後述。
【0083】
μL:フルード固化域の摩擦係数 μL=C1・Tf+C2 ・・・(5.21)
μE:フルード粘性域の摩擦係数 μE=C3・Tf+C4 ・・・(5.22)
ここで、係数C1,C2,C3,C4 はフルードで決まる定数である。
【0084】
(Pmaxth,ath,bth,Cthの求め方)
Pmaxth,ath,bth はHertzの接触理論より近似的に以下の式で求める。
【数2】
【0085】
ここで、ath:スラスト軸受ボール・レース間の接触楕円半径(転がり方向)(式(5.23))、bth:スラスト軸受ボール・レース間の接触楕円半径(転がり直交方向)(式(5.24))、Pmaxth:スラスト軸受ボール・レース間の最大Hertz応力(式(5.25))、W:ボール1個当りの荷重、Fa:エンドロード、ξ:式(5.26)で定義される形状係数(定数)、κth:接触楕円半径比(定数)(式(5.27))、R:式(5.28)で定義される等価曲率半径(定数)、rx:転がり方向の等価曲率半径(定数)(式(5.28))、ry:転がりと直交方向の等価曲率半径(定数)(式(5.28))、rb:ボール半径(定数)、rr:レース曲率半径(定数)、n:1スラスト軸受中のボール個数(定数)、nr:1キャビティ中のパワーローラ数(定数)、Eb':式(5.29)で定義される等価弾性係数(定数)、E1:ボール材の縦弾性係数、ν1:ボール材のPoisson比、E2:レース材の縦弾性係数、ν2:レース材のPoisson比である。なお、式(5.27)における右辺の指数は0.636である。
【0086】
[Cthの求め方]
Cthは接点でのパワーロスを無次元化したものであり、以下の楕円内積分で求められ、スラストベアリング形状が決まれば定数となる。
【数3】
【0087】
ここで、X:ボール転がり方向無次元変位、ボール転がり方向変位をxとしてX=x/ath、Y:ボール転がり直交方向無次元変位であり、ボール転がり直交方向変位をyとしてY=y/bthである。
【0088】
なお、Cthの算出は理論的には式(5.31)によるが、式(5.32)のように、式(5.27)で定義される接触楕円半径比κthの関数で近似できるので、実際のCthの算出には式(5.32)を用いる。
Cth = a・κth2+b・κth+c ・・・(5.32)
【0089】
ここで、a,b,cは式(5.31)から決まる定数であり、例えば、a=0.2,b=0.28,c=0.75と置ける。
【0090】
[Qcの求め方]
次式により算出する。
Qc=(2/3)μ・ωsi・ai・bi2・Pmaxi・Cqi
+(2/3)μ・ωso・ao・bo2・Pmaxo・Cqo ・・・(5.33)
【0091】
ここで、μ:現在使用中のトラクション係数(式(5.34))、ωsi:入力ディスク側接点のスピン角速度(式(5.8))、ωso:出力ディスク側接点のスピン角速度(式(5.9))、ai:入力ディスク・パワーローラ接点の接触楕円半径(パワーローラ転がり方向)(式(5.10))、ao:出力ディスク・パワーローラ接点の接触楕円半径(パワーローラ転がり方向)(式(5.10))、bi:入力ディスク・パワーローラ接点の接触楕円半径(パワーローラ転がり直交方向)(式(5.11))、bo:出力ディスク・パワーローラ接点の接触楕円半径(パワーローラ転がり直交方向)(式(5.11))、Pmaxi:入力ディスク・パワーローラ接点の最大Hertz応力(式(5.35))、Pmaxo:出力ディスク・パワーローラ接点の最大Hertz応力(式(5.35))、Cqi:入力ディスク・パワーローラ接点でのパワーロスを無次元化したもの(式(5.36))、Cqo:出力ディスク・パワーローラ接点でのパワーロスを無次元化したもの(式(5.37))である。
【数4】
【0092】
ここで、Tin:入力トルク、r1:入力ディスク上の接点回転半径(式(5.4))、Fc:ディスク・パワーローラ間の法線力(式(5.18))、r0:キャビティ半径(定数)、k0:キャビティアスペクト比(定数)(式(1.2))、φ:半頂角(定数)、θ:パワーローラ傾転角、nr:1キャビティ中のパワーローラ個数(定数)、ai:入力ディスク・パワーローラ接点の接触楕円半径(パワーローラ転がり方向)(式(5.10))、ao:出力ディスク・パワーローラ接点の接触楕円半径(パワーローラ転がり方向)(式(5.10))、bi:入力ディスク・パワーローラ接点の接触楕円半径(パワーローラ転がり直交方向)(式(5.11))、bo:出力ディスク・パワーローラ接点の接触楕円半径(パワーローラ転がり直交方向)(式(5.11))である。
【数5】
【0093】
ここで、Xi=xi/ai, Xo=xo/ao ・・・(5.38)
Xi:入力ディスク側接触楕円内のパワーローラ転がり方向無次元変位、xi:接触楕円内のパワーローラ転がり方向変位、Xo:出力ディスク側接触楕円内のパワーローラ転がり方向無次元変位、xo:接触楕円内のパワーローラ転がり方向変位、
Yi=yi/bi,Yo=yo/bo ・・・(5.39)
Yi:入力ディスク側接触楕円内のパワーローラ転がり直交方向無次元変位、yi:接触楕円内のパワーローラ転がり直交方向変位、Yi:出力ディスク側接触楕円内のパワーローラ転がり直交方向無次元変位、yo:接触楕円内のパワーローラ転がり直交方向変位、
κi:入力ディスク側接触楕円の楕円半径比(式(5.12))、κo:出力ディスク側接触楕円の楕円半径比(式(5.12))、
【数6】
【0094】
Δi:入力ディスク側無次元オフセット量、Δo:出力ディスク側無次元オフセット量、Δsi:入力ディスク側でのパワーローラ傾転速度の影響係数、Δso:出力ディスク側でのパワーローラ傾転速度の影響係数、xo:パワーローラオフセット量、θ:パワーローラ傾転角速度、ωi:入力ディスク回転角速度、ωo:出力ディスク回転角速度、λi,λo:中間変数(式(5.42),(5.43))、βi:入力ディスク側でのスピン存在下での等価滑り率(式(5.44))、βo:出力ディスク側でのスピン存在下での等価滑り率(式(5.44))である。
【数7】
【0095】
ωsi:入力ディスク側接点のスピン角速度(式(5.8))、ωso:出力ディスク側接点のスピン角速度(式(5.9))、bi:入力ディスク・パワーローラ接点の接触楕円半径(パワーローラ転がり直交方向)(式(5.11))、bo:出力ディスク・パワーローラ接点の接触楕円半径(パワーローラ転がり直交方向)(式(5.11))、Umi:入力ディスク側接点の平均転がり速度(式(5.45))、Umo:出力ディスク側接点の平均転がり速度(式(5.46))、Si:入力ディスク側接点の滑り率(式(5.47))、So:出力ディスク側接点の滑り率(式(5.48))である。
Umi=(1/2)(r1・ωi+r2・ωr) ・・・(5.45)
Umo=(1/2)(r3・ωo−r2・ωr) ・・・(5.46)
Si=(r1・ωi−r2・ωr)/Umi ・・・(5.47)
So=(r2・ωr−r3・ωo)/Umo ・・・(5.48)
ωi:入力ディスク回転角速度、ωo:出力ディスク回転角速度、ωr:パワーローラ回転角速度 (式(5.3))、r1:入力ディスク接点回転半径 (式(5.4))、r2:パワーローラ接点回転半径 (式(5.5))、r3:出力ディスク接点回転半径 (式(5.6))である。
【0096】
なお、CqiとCqoの積分式(式(5.36),(5.37))は、それぞれ(κi,Δi,Δsi,βi)、(κo,Δo,Δso,βo)の2〜4次の多項式で近似できるのでこれを用いる。Cqi(式(5.36))の近似式(5.49)、Cqo(式(5.37))の近似式(5.50)を示す。
【数8】
【0097】
ここで、ni,nj,nk:近似モデル次数(それぞれ2〜4の整数)、cqiijk,cqoijk:定数(i=0〜ni,j=0〜nj,k=0〜nk)である。
【0098】
以上の接点温度予測をオンライン計算する場合、定数は事前に計算しておくことで、図9〜図11のようなフローチャートとなる。
【0099】
すなわち、入力ディスク接点回転半径算出(式(5.4)(5.6))、ディスク・ローラ接点の等価曲率半径算出(式(5.14)(5.16))、ディスクローラ接点形状係数ξ、楕円半径比κ算出(式(5.12)(5.13))、ディスク・ローラ間法線力Fc算出(式(5.18))、ディスク・ローラ接触楕円半径a,b算出(式(5.10)(5.11))、ディスク・ローラ間スピン角速度ωs算出(式(5.8)(5.9))、パワーローラ回転角速度算出(式(5.7)(5.3))、現在使用中のトラクション係数μ算出(式(5.34))、入出力ディスク・ローラ接点最大Hertz応力Pmax算出(式(5.35))、中間変数λ算出(式(5.42)(5.43))、無次元オフセット量Δ算出(式(5.40))、ローラ傾転角速度の影響係数Δs算出(式(5.41))、ディスク・ローラ接点の平均転がり速度Um、滑り率S算出(式(5.45)(5.46)(5.47)(5.48))、ディスク・ローラ接点のスピン存在下での等価滑り率β算出(式(5.44))、ディスク・ローラ接点での無次元パワーロスCq算出(式(5.49)(5.49))、ディスク・ローラ接点での発熱量Qc算出(式(5.33))、スラスト軸受けボール1個当たりの荷重W算出(式(5.30))、スラスト軸受けボール・レースの接触楕円変形ath、bth算出(式(5.23)(5.24))、スラスト軸受けボール・レース間接点の最大Hertz応力Pmaxth算出(式(5.25))、スラストレース温度Tfに対する傾転角θの影響係数a3決定(θによる1次元マップによりa3を索引)、スラストレース接点温度Tf算出(1制御周期前のスラスト軸受け部発熱量Qbを用いて算出。Qbの初期値は0とする。(式(5.20))、フルード(潤滑油)摩擦係数μL、μE算出(式(5.21)(5.22))、フルード圧力粘度指数α決定(Tfによる1次元マップによるαを索引)、フルード固化面積割合kbの決定(α・Pmaxによる1次元マップよりkbを索引)、スラスト軸受けボール・レース間のトラクション係数μb算出(式(5.19))、スラスト軸受け部発熱量Qb算出(式(5.2))、ディスク・ローラ間接点温度Tc算出(式(5.1))、の手順で、ディスク・ローラ間接点温度Tcが算出される。
【0100】
(必要エンドロード算出部118)
入力トルク推定部112で推定した入力トルクTin、入出力ディスク回転速度計測部で計測した入出力ディスク回転角速度ωi、ωo、エンドロード推定部106で推定したエンドロードFa、接点部オフセット量推定部108で得たオフセット量x0、接点温度推定部114で推定された接点温度Tcおよび現在使用中のトラクション係数μ、パワーローラ傾転角推定部104で推定された傾転角θは最大トラクション係数推定による必要エンロード算出部118に供給される。
【0101】
この最大トラクション係数推定による必要エンドロード算出部118は、現在使用中のトラクション係数μと最大トラクション係数μmaxを推定し、μmax/μ=SF、あるいはμmax−μ=Δμとなるエンドロードref(Fa)を算出する。
【0102】
ここで、SFはトラクション係数の希望余裕率でありSF>1とする。また、Δμは希望する余裕トラクション係数でありΔμ>0とする。なお、現在使用中のトラクション係数μは、接点温度予測部で式(5.34)により算出された値を用いる。
【0103】
(最大トラクション係数μmaxの算出)
最大トラクション係数μmaxは、接点のスピン角速度ωs=0、接点のオフセット量xo=0、パワーローラ傾転角θ=0における最大トラクション係数をμmax0として、次式で与えられる。
μmax=C・μmax0 ・・・(6.1)
ここで、係数Cは、
【数9】
【0104】
Xi:入力ディスク側接触楕円内のパワーローラ転がり方向無次元変位(式(5.38))、Yi:入力ディスク側接触楕円内のパワーローラ転がり直交方向無次元変位(式(5.39))、κi:入力ディスク側接触楕円の楕円半径比(式(5.12))、βi:入力ディスク側でのスピン存在下での等価滑り率(式(5.44))、Δi:入力ディスク側無次元オフセット量(式(5.40))、Δsi:入力ディスク側でのパワーローラ傾転速度の影響係数(式(5.41))であり、式(6.2)の楕円積分は、κi,Δi,Δsi,βiの2〜4次の多項式(式(6.3))で近似できるのでこれを用いる。
【数10】
【0105】
ni,nj,nk:近似モデル次数(それぞれ2〜4の整数)、cijk:定数(i=0〜ni,j=0〜nj,k=0〜nk)
式(6.1)におけるμmax0は次式で求める。
μmax0=k・μL+(1−k)・μE ・・・(6.4)
【0106】
ここで、k:接触楕円内でフルードが固化している面積割合であり、フルードの圧力粘度係数αと最大Hertz応力Pmaxiの積の関数で表される。α:フルードの圧力粘度係数であり、フルード固有の特性であり、ディスク・パワーローラ接点温度Tcの関数で表される。
【0107】
また、kは接触楕円内の任意の圧力Pに対して、α・P>25となる面積割合とし、ディスク・パワーローラ接点温度Tcと最大Hertz応力Pmaxiの関数あるいはマップとして与えることが出来る。
【0108】
Tc:ディスク・パワーローラ接点温度(接点温度推定部の結果を用いる)、
μL:フルード固化域の摩擦係数 μL=C1・Tc+C2 ・・・(6.5)
μE:フルード粘性域の摩擦係数 μE=C3・Tc+C4 ・・・(6.6)
また、係数C1,C2,C3,C4 はフルードで決まる定数である。
【0109】
ここで、目標エンドロードref(Fa)は、図12に示す手順で算出できる。
【0110】
(ステップ1)次制御ステップでの入力トルク、傾転角、傾転角速度、接点オフセット、接点温度設定
現在の観測地及び推定値に、アクセル操作などにより予測される入力トルクや傾転角の目標値変化を加味した時制御ステップでの値を設定する。
【0111】
(ステップ2)係数Cの算出
式(6.3)を用いて係数Cを算出する。
【0112】
(ステップ3)μL,μEの算出
μL=C1・Tc+C2 ・・・(6.5)
μE=C3・Tc+C4 ・・・(6.6)
【0113】
(ステップ4)μmax0の算出
μmax0=k・μL+(1−k)・μE ・・・(6.4)
【0114】
(ステップ5)最大トラクション係数算出
μmax=C・μmax0 ・・・(6.1)
【0115】
(ステップ6)トラクション係数目標値μの算出
以下の何れかの方法で算出する。
【0116】
(1)安全係数SFを用いる方法(0<SF<1)
μ=μmax・SF ・・・(6.7)
(2)余裕トラクション係数Δμを用いる方法(0<Δμ)
μ=μmax−Δμ ・・・(6.8)
【0117】
(ステップ7)目標エンロードの算出
式(5.18)、(5.34)を逆算から求まる次式で算出する。
ref(Fa)={Tin・nr・sin(Φ+θ)}/r1・μ ・・・(6.9)
【0118】
(ステップ8)計算収束判断
エンドロードの値のよって、最大トラクション係数μmaxが変わるので、目標エンドロード値ref(Fa)の値が収束するまで、ステップ4からステップ7の計算を繰り返す。
【0119】
(ステップ9)目標エンドロードの下限値設定
目標エンドロードref(Fa)が所定値FaL以下の場合、ref(Fa)=FaLとする。
【0120】
実際には、入力ディスク側と出力軸ディスク側で最大トラクション係数は違うが、その差はわずかであるため、入力ディスク側で代表させて最大トラクション係数を予測し、目標エンドロードを算出している。
【0121】
より予測精度を高めるためには、出力ディスク側でも同じ計算を行い、どちらか高い目標エンドロードを採用すれば良い。
【0122】
1制御周期での目標エンドロードの変化に伴う最大トラクション係数μmaxの変化が十分小さいと考えられる場合は、図12のフローチャートで行っている収束計算は1回再計算をするのみに止めるか、あるいは再計算を実施しなくてもよい。
【0123】
(エンドロード制御部120)
このようにして、算出された目標エンドロードは、エンドロード制御部120に供給され、ここから、エンドロード制御指令値uが算出出力される。
【0124】
すなわち、エンドロード制御部120は、エンドロード推定式(式(2.1))の逆算式(式(7.1))より、目標油圧ref(P)を算出する。
【数11】
【0125】
ここで、A:油圧室受圧面積、ρ:作動油(潤滑油)密度、ωi:入力ディスク回転角速度、Ri:受圧部内半径、Ro:受圧部外半径である。
【0126】
油圧制御弁への指令値uは、以下の何れかの方法あるいは併用で算出する。
【0127】
1)油圧指令値uと静油圧Pの定常時の関係をマップ化し、動的な遅れは1次遅れ関数等の伝達関数G(s)として表現し、逆伝達関数G-1(s)と油圧の目標応答特性K(s)の積を用いて油圧指令値uを算出する。
【0128】
u=K(s)・G-1(s)・Map(ref(P)) ・・・(7.2)
2)油圧センサでエンドロード油圧を計測している場合は、目標油圧ref(P)と計測油圧Pの偏差を0にするようにフィードバック制御を掛ける。
【0129】
このとき、フィードバックコントローラC(s)は、PID制御を用いても、H∞制御等を用いても良い。
u=C(s)・(ref(P)−P) ・・・(7.3)
【0130】
このようにして、生成された制御指令値uが油圧回路に供給され、エンドロードが制御される。なお、制御指令値uは、上述のように、エンドロード推定部106にも供給される。
【0131】
(本実施形態の効果)
図13に変速比γによるトラクション係数μの変化について示す。このように、μmaxは、変速比γが小さい領域および大きい領域において、大きくなる。本実施形態によれば、最大トラクション係数μmaxが使用トラクション係数μに対し、一定の余裕度(一定量の減算または一定の係数の乗算)を持つように、エンドロードが設定される。従って、常に適切なエンドロードの設定が行える。
【0132】
また、図14には、接点温度と最大トラクション係数μmaxの関係が示してある。このように、温度が高いほど最大トラクション係数μmaxは小さくなる。本実施形態では、使用トラクション係数μは、最大トラクション係数μmaxに対し一定の余裕度を持つように適切なエンドロードの設定が可能になる。従来例では、温度を考慮しておらず、常に一定のトラクション係数μを利用する。従って、接点温度が最も高い時のμmaxに応じてトラクション係数μを設定することになり、温度が低いときにはトラクション係数の余裕度が大きすぎ過大なエンドロードを印加することになっている。
【0133】
このように、本実施形態によれば、最大トラクション係数μmaxを推定し、これに対し一定の余裕度で、トラクション係数μを設定し、このトラクション係数μを用いて、エンドロードを制御する。従って、常に適切なエンドロードを設定することができる。これによって、トルク容量を一定で、サイズ(入出力ディスクの接点中心間距離)一定の場合において、得られる変速比幅を従来例に比べ大きくすることができる。また、同一の変速比幅の場合には、サイズを小さくすることができる。
【0134】
本実施形態によれば、最大トラクション係数推定による必要エンドロード算出部118において、接点部オフセット量推定部108において得たオフセット量x0を考慮して最大トラクション係数μmaxを算出する。そこで、変速中においても適切なμmaxを利用して、エンドロードを制御することができる。また、接点温度推定部114においては、パワーローラと入出力ディスクとの接点の温度Tcおよび現在トラクション係数μを推定し、最大トラクション係数推定による必要エンドロード算出部118がこれらに基づいて最大トラクション係数μmaxを推定する。従って、温度の影響を考慮してより正確な最大トラクション係数μmaxの推定が行える。
【0135】
ここで、温度の推定の際に、潤滑油温度計測部116により計測した潤滑油温度Trを利用しているが、これに代えてトラニオンの温度を測定することも好適である。この場合、計測したトラニオン温度は接点温度にかなり近いため、そのまま接点温度の推定値として使用してもよいが、より正確な接点温度の推定のためには、動力伝達におけるエネルギーロスを考慮するとよい。すなわち、温度上昇量は、基本的に動力伝達におけるエネルギーロスに対応するはずである。そこで、入出力トルク、入出力回転数、変速比を入力とするCVTにおけるエネルギー効率マップを予め作成しておき、このエネルギー効率マップを利用してエネルギーロスを算出し、このエネルギーロスによる温度変化分をトラニオン温度に加算して、接点温度を推定することができる。
【0136】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、最大トラクション係数を考慮して入力ディスク及び出力ディスクの内少なくとも一方とパワーローラとの間の法線力を制御することができるため、適切な法線力(例えば、エンドロード)とすることができる。従って、法線力が過大になり、動力伝達効率が低下することを抑制することができる。
【0137】
また、使用中のトラクション係数μと、その状態における最大トラクション係数μmaxを推定し、μmaxがμに対し所定量大きくなるようにエンドロードを制御する。そこで、入力トルクのみに基づいてエンドロードを制御していた従来例に比べ精度のよいエンドロード制御が行え、無段変速機の効率的な運転が行える。例えば、最大トラクション係数に対する余裕度が一定になるようにエンドロードを制御することにより、過大なエンドロードによる動力伝達効率の低下を防止すると共に、トロイダル伝達部材の転動疲労による寿命の低下を防止して変速機構の小型化を実現できる。
【0138】
また、変速比の変化状態を考慮してμmaxを推定することで、変速中においても適切な最大トラクション係数μmaxを用いたエンドロード制御が行える。
【0139】
また、入力ディスクとパワーローラ間に介在する潤滑油の温度を考慮してμmaxを推定することで、適切な最大トラクション係数μmaxを用いたエンドロード制御が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施形態に係る無段変速機の構成を示す図である。
【図2】 定常時および変速時におけるパワーローラの位置を説明する図である。
【図3】 トラニオンの駆動を説明する図である。
【図4】 伝達力Ftと法線力Fcの関係を示す図である。
【図5】 ディスクローラ間滑り率とトラクション係数μの関係を示す図である。
【図6】 エンドロード制御のための構成を示す図である。
【図7】 入出力ディスクとパワーローラの幾何学的関係を示す図である。
【図8】 傾転角推定のための各手法の推定結果を示す図である。
【図9】 接点温度予測の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】 接点温度予測の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】 接点温度予測の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】 エンドロード算出の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】 変速比とトラクション係数の関係を示す図である。
【図14】 接点温度とトラクション係数の関係を示す図である。
【符号の説明】
10,12 入力軸、15,16 噛み合わせ部、20 変速機ケース、30油圧室、31 シリンダ、32,33,34 シール材、36 ストッパ、40 入力ディスク、45 パワーローラ、46 トラニオン、50 出力ディスク、60 出力ギア、61 カウンタギア、70 出力軸、80 油圧回路。
Claims (6)
- 回転駆動される入力軸と、
この入力軸に連動して回転する入力ディスクと、
入力ディスクに対向して設けられる出力ディスクと、
前記入力ディスクと出力ディスクとの間に挟まれ、入力ディスクの回転を出力ディスクに伝達するパワーローラと、
入力ディスクとパワーローラとの間の最大トラクション係数μmaxを、パワーローラ接点を、パワーローラの回転軸を入力ディスクの中心から外れる位置にオフセットさせる変速中においてパワーローラの回転方向である動力伝達方向のトラクション係数が下がることを因子の1つとして、最大トラクション係数μmaxを変速時において定常時に比べ小さく推定するμmax推定手段と、
この最大トラクション係数推定手段において推定された最大トラクション係数に基づいて、入力ディスク及び出力ディスクのうち少なくとも一方とパワーローラとの間の法線力を制御する法線力制御機構と、
を有する無段変速機を制御する無段変速機の制御装置。 - 回転駆動される入力軸と、
この入力軸に連動して回転する入力ディスクと、
入力ディスクに対向して設けられる出力ディスクと、
前記入力ディスクと出力ディスクとの間に挟まれ、入力ディスクの回転を出力ディスクに伝達するパワーローラと、
入力ディスク及び出力ディスクのうち少なくとも一方とパワーローラとの間の法線力を制御する法線力制御機構と、
を有する無段変速機を制御する無段変速機の制御装置であって、
現在あるいは所定時刻先の使用状態における、入力ディスクとパワーローラ間のトラクション係数μを推定するμ推定手段と、
現在あるいは所定時刻先の使用状態における、入力ディスクとパワーローラ間の最大トラクション係数μmaxを、パワーローラ接点を、パワーローラの回転軸を入力ディスクの中心から外れる位置にオフセットさせる変速中においてパワーローラの回転方向である動力伝達方向のトラクション係数が下がることを因子の1つとして、最大トラクション係数μmaxを変速時において定常時に比べ小さく推定するμmax推定手段と、
推定されたμmaxおよびμに基づいて、μがμmaxに対し、一定比率または一定量小さくなるように、前記法線力制御機構による法線力を制御する法線力制御手段と、
を有する無段変速機の制御装置。 - 請求項2に記載の装置において、
前記μmax推定手段は、変速比が増大するにつれて低下し、再び増加するようにμmaxを推定する無段変速機の制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか1つに記載の装置において、
前記μmax推定手段は、入出力ディスクとパワーローラ間に介在する潤滑油の温度が高いほど小さくなるようにμmax推定する無段変速機の制御装置。 - 請求項4に記載の装置において、
前記μmax推定手段は、前記潤滑油温に加えて、スラストベアリング発熱量及び接点部発熱量に基づいて、パワーローラのディスクとの接点温度を推定し、推定された接点温度から、予め定められている接点温度とμmaxの関係を用いて対応するμmaxを推定する無段変速機の制御装置。 - 請求項4に記載の装置において、
前記μmax推定手段は、前記潤滑油温に加えて、トラニオン温度とスラストベアリング発熱量及び接点部発熱量に基づいて、パワーローラのディスクとの接点温度を推定し、推定された接点温度から、予め定められている接点温度とμmaxの関係を用いてμmaxを推定する無段変速機の制御装置。
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