JP2018131943A - 空燃比センサの異常判定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】空燃比センサの異常判定の精度を向上させることができる空燃比センサの異常判定装置を提供する。【解決手段】マイコン61は、排気管12に設けられた空燃比センサ52から出力されるセンサ出力値を取得し、センサ出力値と所定の異常判定値との比較に基づいて、空燃比センサ52における異常の有無を判定する。そして、空燃比センサ52の異常の判定に用いられる異常判定値は、排気通路12内において空燃比センサ52の位置での圧力に応じた値に設定されている。【選択図】 図1
Description
本発明は、空燃比センサの異常判定装置に関するものである。
従来、内燃機関の排気管に空燃比センサを設け、その空燃比センサにより混合気の空燃比を検出する構成が実用化されている。また、空燃比センサの異常判定を実施する技術が各種提案されており、例えば特許文献1に記載の技術では、空燃比センサが活性状態である時に、空燃比センサの出力電流が流れる検出抵抗の両端の電圧に基づいて、空燃比センサ系の異常の有無を判定するようにしている。
また、空燃比センサは、一般に固体電解質層よりなる素子部の一対の電極間に所定電圧が印加された状態で、排気中のガス濃度に応じてセンサ電流を出力するものであり、空燃比の検出特性として、センサ電流と空燃比とに所定の相関関係を有している。この点において、想定される空燃比範囲内のセンサ電流の大きさに応じて異常判定値を定めておき、その異常判定値とセンサ電流との比較により、空燃比センサの異常の有無を判定する技術も知られている。
ところで、空燃比センサから出力されるセンサ電流は、排気管内の圧力の影響を受ける。そのため、例えば排気管内の圧力が上昇することに起因してセンサ電流が大きくなっている場合には、空燃比センサが正常であってもセンサ電流が異常判定値を超え、これに伴い空燃比センサの異常が誤判定されるおそれが生じる。こうした事情から、空燃比センサの異常判定に関して改善の余地があると考えられる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、空燃比センサの異常判定の精度を向上させることができる空燃比センサの異常判定装置を提供することにある。
本発明は、内燃機関の排気通路に設けられ、前記内燃機関の燃焼室内で燃焼される混合気の空燃比を検出する空燃比センサに適用される異常判定装置であって、前記空燃比センサから出力されるセンサ出力値を取得する出力値取得部と、前記センサ出力値と所定の異常判定値との比較に基づいて、前記空燃比センサにおける異常の有無を判定する異常判定部と、を備え、前記異常判定値は、前記排気通路内において前記空燃比センサの位置での圧力に応じた値に設定されていることを特徴とする。
内燃機関の排気通路内においては種々の要因により圧力が変化し、その圧力変化の影響により空燃比センサの出力値が変化する。この点を考慮し、異常判定値を、排気通路内において空燃比センサの位置での圧力に応じた値に設定する構成とした。これにより、排気通路内の圧力に起因して正常な空燃比センサが異常であると誤判定されるといった不都合を抑制できる。その結果、空燃比センサの異常判定の精度を向上させることができる。
以下、本実施形態について図面を用いて説明する。本実施形態は、内燃機関である車載多気筒ガソリンエンジンを対象にエンジン制御システムを構築するものである。
図1に示すエンジン10において、吸気管11には、DCモータ等のスロットルアクチュエータ15によって開度調節される空気量調整手段としてのスロットル弁14が設けられている。スロットルアクチュエータ15には、スロットル開度を検出するためのスロットル開度センサが内蔵されている。スロットル弁14の下流側にはサージタンク16が設けられ、このサージタンク16にはスロットル下流側の吸気圧を検出する吸気圧センサ17が設けられている。また、サージタンク16には、エンジン10の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド18が接続されている。
エンジン本体21には、燃焼室22内に燃料を直接噴射する直噴式の燃料噴射弁23が設けられるとともに、燃焼室22内において燃料着火用の点火火花を生じさせる点火プラグ24が設けられている。エンジン10の吸気ポート及び排気ポートにはそれぞれ吸気弁31及び排気弁32が設けられている。吸気弁31の開弁動作により空気が燃焼室22内に導入され、排気弁32の開弁動作により燃焼後の排気が排気管12に排出される。
吸気管11と排気管12との間にはターボチャージャ40が配設されている。ターボチャージャ40は、吸気管11に設けられた吸気コンプレッサ41と、排気管12に設けられた排気タービン42とを有し、それらが回転軸43にて連結されている。排気タービン42を挟んで排気管12の上流部と下流部とを接続するバイパス通路46には、過給状態を調整するためのウエストゲートバルブ(WGV)47が設けられている。ターボチャージャ40では、排気タービン42に供給される排気によって排気タービン42が回転し、その回転力が回転軸43を介して吸気コンプレッサ41に伝達される。そして、吸気コンプレッサ41により、吸気管11内を流れる吸入空気が圧縮されて過給が行われる。ターボチャージャ40にて過給された空気は、インタークーラ48において冷却水により冷却された後、その下流側に給送される。
排気管12においてターボチャージャ40の下流側には、排気を浄化するフィルタ51が設けられるとともに、その上流側に、排気管12内の所定ガス成分の濃度に応じて空燃比(A/F)を検出するA/Fセンサ52が設けられている。フィルタ51は、排気中のPM(粒子状物質)を捕集する連続再生式のPM除去用フィルタである。フィルタ51を構成する担体のセル表面には三元触媒又は酸化触媒等の触媒が担持されている。触媒においては、所定の活性温度に昇温された状態で排気中の有害成分が浄化される。なお、触媒とPM除去用フィルタとが別体に設けられる構成であってもよい。触媒とPM除去用フィルタとを別体にする場合には、触媒が排気管12においてターボチャージャ40の上流側に設けられる構成であってもよい。
A/Fセンサ52は、排気を検出対象として混合気の空燃比を検出するための空燃比センサである。A/Fセンサ52は、ジルコニア(ZrO2)等の固体電解質層や拡散抵抗層を積層してなる積層型(又はコップ型)の素子部を有するものであり、その素子部に設けた一対の電極(詳しくは、固体電解質層を挟んで両側に設けた一対の電極)に所定電圧が印加された状態で、排気中のリーン成分(O2)やリッチ成分(HC,CO)の濃度に応じて一対の電極間に素子電流を流すものとなっている。なお図示は略すが、A/Fセンサ52には、素子部を所定の活性状態に保持するためのヒータが一体で設けられている。
エンジン運転状態等を検出する各種センサとして、エンジン本体21には、エンジン冷却水の温度を検出する水温センサ34と、エンジン10の回転に伴い所定クランク角毎に(例えば30°CA周期で)矩形状のクランク角信号を出力する回転センサ35とが取り付けられている。またその他に、本システムには、吸気管11においてターボチャージャ40の上流側で吸入空気量を検出するエアフロメータ36や、大気圧を検出する大気圧センサ37が設けられている。
本制御システムは、エンジン制御の中枢をなすECU60(電子制御装置)を備えており、そのECU60によりエンジン10の運転に関する各種制御が実施される。すなわち、ECU60は、周知の通りCPU、ROM、RAM等よりなるマイコン61を主体として構成されており、ROMに記憶された各種の制御プログラムをマイコン61が実施することで、エンジン運転状態に応じてエンジン10の各種制御を行う。例えば、マイコン61は、エンジン回転速度及びエンジン負荷(吸入空気量や吸気管圧力)に基づいて、燃料噴射量制御や点火時期制御を実施する。また、マイコン61は、フィルタ51におけるPM堆積量に基づいて、PMを燃焼除去するPM再生処理を実施する。例えば、マイコン61は、圧力センサ等によるPM堆積量の推定、又はエンジン運転時間によるPM堆積量の推定を行い、その推定結果に基づいてPM再生処理を実施する。
燃料噴射量制御としてより詳しくは、マイコン61は、予め定めた噴射量マップを用い、エンジン回転速度及びエンジン負荷に基づいて基本噴射量を算出するとともに、空燃比や水温等に基づき基本噴射量に対する各種補正を行い、最終の燃料噴射量を算出する。そして、マイコン61は、その燃料噴射量に基づき生成した噴射パルス信号により燃料噴射弁23を開弁駆動させて燃料噴射を実施させる。空燃比補正において、マイコン61は、A/Fセンサ52により検出された実空燃比と目標空燃比との偏差に基づいて空燃比補正係数を算出し、その空燃比補正係数に基づいて基本噴射量を補正する。このとき、目標空燃比に対して実空燃比がリーンであれば、燃料噴射量が増量補正され、目標空燃比に対して実空燃比がリッチであれば、燃料噴射量が減量補正される。これにより、実空燃比が目標空燃比に一致するよう空燃比フィードバック制御が実施される。
A/Fセンサ52は混合気の空燃比に応じた素子電流を出力するものであり、A/Fセンサ52から出力された素子電流は、ECU60内のセンサ制御回路62に入力される。なお、センサ制御回路62がECU60外に設けられる構成であってもよい。センサ制御回路62は、A/Fセンサ52の素子電流を検出するとともに、その検出結果を所定の増幅率で増幅して検出電流IEとしてマイコン61に出力する電流検出部である。より具体的には、図2に示すように、センサ制御回路62は、A/Fセンサ52の素子部52aに電気的に接続されたシャント抵抗63と、そのシャント抵抗63による電流検出結果を所定の増幅率にて増幅する増幅器64(オペアンプ)とを備えている。増幅器64の出力である検出電流IEは、A/D変換部65を介してマイコン61に入力される。なお、検出電流IEがセンサ出力値に相当する。
図示による説明は略すが、センサ制御回路62は、上述した素子電流の検出・増幅機能以外に、都度の素子電流に応じてセンサ印加電圧を可変に制御する印加電圧制御機能を有している。
図3に、A/Fセンサ52の検出特性として、空燃比と検出電流IEとの関係を示す。本実施形態では、「A/F=9」を空燃比下限値、「A/F=Air」を空燃比上限値とし、その間を、通常のエンジン運転状態下であり得る空燃比の範囲、すなわち空燃比範囲Xとしており、その空燃比範囲Xにおいて空燃比が検出される。つまり、本実施形態では、あり得る空燃比範囲として、所定のリッチ空燃比を下限値、大気を上限値として空燃比範囲Xが定められている。図3では、A/F=14.7(理論空燃比)である場合の検出電流IEがゼロ、A/F=9である場合の検出電流IEがIE2、A/F=大気である場合の検出電流IEがIE1である関係が規定されている。つまり、図3に示す検出特性では、空燃比範囲X内の空燃比がIE1〜IE2の範囲内の検出電流IEに対応付けられており、マイコン61においてはIE1〜IE2の範囲内の検出電流IEに基づいて、空燃比範囲X内での空燃比が認識される。
ところで、A/Fセンサ52に流れる素子電流は個体差や経時劣化等に起因してばらつき、その素子電流のばらつきによって空燃比と素子電流との関係にずれが生じ、ひいてはセンサ制御回路62における検出電流IEに影響が及ぶことが考えられる。そこで、マイコン61は、検出電流IEに基づいて、A/Fセンサ52の検出特性に異常が生じているか否かを判定することとしている。具体的には、図3で説明したとおりA/Fセンサ52は、空燃比範囲Xにおいて素子電流を所定範囲で生じさせるものであり、検出電流IEで言えばその所定範囲はIE1〜IE2の範囲である。この場合、A/Fセンサ52として電流ばらつきの許容分を予め定めるとともに、所定範囲IE1〜IE2に対してばらつき許容分を加味することで、検出電流IEの正常範囲を定めておく。そして、マイコン61は、検出電流IEが正常範囲内に入っているか否かにより、A/Fセンサ52の検出特性異常の有無を判定する。
A/Fセンサ52に流れる素子電流は排気管12内の圧力の影響を受けると考えられる。具体的には、排気管12内の背圧が大きくなるほど、素子電流が大きくなる。なお、排気管12にはPM除去用のフィルタ51が設けられており、そのフィルタ51におけるPM堆積量に応じて排気管12内の背圧が変わることが考えられる。排気管12内の背圧の上昇に伴い素子電流が大きくなると、A/Fセンサ52が正常状態であるにもかかわらず、A/Fセンサ52が異常であると誤判定されることが懸念される。
本実施形態では、排気管12内において、A/Fセンサ52の位置での圧力に応じて異常判定値を定めておき、A/Fセンサ52の出力値をこの異常判定値と比較することで異常の有無を判定する。異常判定値を定める際のA/Fセンサ52の位置での圧力は、排気管12内において、実際にA/Fセンサ52が配置された搭載位置での圧力、A/Fセンサ52の搭載位置より下流側の圧力、及びA/Fセンサ52の搭載位置より上流の圧力のいずれかを用いることができる。例えば、実際にA/Fセンサ52が配置されている搭載位置での背圧を考慮して異常判定値を定めることで、A/Fセンサ52の異常判定の精度を高めることができる。無論、「A/Fセンサ52の搭載位置より下流側の背圧」及び「A/Fセンサ52の搭載位置より上流側の背圧」のいずれかの背圧を考慮して異常判定値を定める場合でも、排気管12内の背圧を考慮しない場合と比較すると異常判定の精度は高くなる。
次に、異常判定値について図4を用いて説明する。図4では、センサ検出特性として3つの特性を示している。そのうち実線で示す特性P1は、劣化や個体差を想定していない基本特性を示しており、この特性P1が図3の特性に相当する。また、破線で示す特性P2は、劣化が生じたA/Fセンサ52の検出特性を示し、二点鎖線で示す特性P3は、排気管12の背圧の影響を受けたA/Fセンサ52の検出特性を示している。各特性P1〜P3は、いずれも理論空燃比(ストイキ)では検出電流IEがゼロであり、検出電流IEが正側に大きくなるほど、又は負側に大きくなるほど、検出電流IEのばらつきが大きくなる関係となっている。
図4において、電流範囲A1は、A/Fセンサ52に許容上限の劣化が生じた状態において検出電流IEが取り得る範囲であり、例えば−2mA〜2mAである。電流範囲A21,A22は、A/Fセンサ52の位置での背圧の影響を加味して定めた電流範囲である。この内、電流範囲A21は、電流範囲A1よりも高い電流値側に定められており、電流範囲A22は、電流範囲A1よりも低い電流値側に定められている。電流範囲A31,A32は、検出電流IEが異常値となる場合を想定した電流範囲である。この内、電流範囲A31は、電流範囲A21よりも高い電流値側に定められており、電流範囲A32は、電流範囲A22よりも低い電流値側に定められている。
一例として、電流範囲A21,A22は、排気管12内の背圧が最大500kPaとなることを想定して定められている。エンジン10の回転速度や負荷の上昇により背圧が上昇すること、フィルタ51におけるPM堆積量の増加により背圧が上昇することを加味して最大圧力が想定され、その上での想定圧力範囲でA/Fセンサ52が出力し得る出力範囲として電流範囲A21,A22が定められている。
ちなみに、空燃比範囲Xにおいて理論空燃比よりもリッチ側と理論空燃比よりもリーン側とでは範囲の大きさが相違するが、特性P1〜P3から分かるように、リッチ側ではリーン側に比べて特性の傾きが大きくなっていることから、各電流範囲ではリッチ側とリーン側とで電流範囲を同じ大きさとしている。ただし、リッチ側とリーン側とで電流範囲の大きさを相違させてもよい。
本実施形態では、電流範囲A21の上限値と電流範囲A22の下限値をA/Fセンサ52の特性異常を判定するための異常判定値IH,ILとして定めている。そして、異常判定値IL以上であり、かつ異常判定値IH以下となる範囲を、検出電流IEの正常範囲としている。そのため、検出電流IEが正常範囲に含まれる場合、A/Fセンサ52が正常である旨が判定される。一方、検出電流IEが正常範囲から外れる場合、すなわち電流範囲A31又は電流範囲A32に含まれる場合、A/Fセンサ52が異常である旨が判定される。異常判定値IH,ILは、マイコン61内のメモリに予め記憶されている。言い換えると、正常範囲は、エンジン10であり得る空燃比範囲Xにおいて、排気管12内におけるA/Fセンサ52の位置での想定圧力範囲でA/Fセンサ52が空燃比に応じて出力し得る出力範囲であり、その正常範囲の境界値が異常判定値IH,ILとして定められている。電流範囲A21,A22と異常判定値IH,ILとの関係で言えば、異常判定値IH,ILは、フィルタ51にPMが捕集された状態(PM再生処理前の状態)での排気管12内の圧力に基づいて定められるものとなっている。
ただし、電流範囲A21,A22から外れた値を異常判定値IH,ILとして定めることも可能である。この場合、電流範囲A21の上限値よりも大きい値が異常判定値IHとして定められる。また、電流範囲A22の下限値よりも小さい値が異常判定値ILとして定められる。
マイコン61では、異常判定値IH,ILにより定められた電流範囲の検出電流IEが所定の電圧範囲(例えば0〜5V)にてA/D変換される。本実施形態では、例えば、0〜5Vの電圧範囲において正常範囲に含まれる電流値がA/D変換される範囲と、正常範囲に含まれない電流値(異常判定値IHよりも高い電流値、又は異常判定値ILよりも低い電流値)がA/D変換される範囲とが定められている。図5は、縦軸を検出電流IEとし横軸を電圧値とした場合の、A/D変換部65の入/出力変換特性を示している。図5に示すように、A/D変換部65の電圧範囲(0〜5V)に、正常範囲に含まれる検出電流IEinをA/D変換する第1範囲と、正常範囲に含まれない検出電流IEoutをA/D変換する第2範囲とが規定されている。
既存の構成と対比すると、既存の構成では、A/Fセンサ52の素子電流が排気管12内の背圧の影響を受ける点について考慮がなされておらず、例えば検出電流IEが電流範囲A1内か否かに基づいてA/Fセンサ52の異常判定が行われる。つまり、電流範囲A1の上限値と下限値とがそれぞれ異常判定値となっている。この場合、A/Fセンサ52に特性異常が生じていなくても、排気管12内の背圧の影響により検出電流IEが増加して電流範囲A1外になることが考えられ、かかる状況下ではA/Fセンサ52が異常であると誤判定されることが懸念される。この点、本実施形態では、排気管12内の背圧の影響を加味して検出電流IEの正常範囲(HL,Hlで定められる範囲)が定められているため、センサ異常の誤判定が抑制されるようになっている。
なお、A/Fセンサ52の検出電流IEについて排気管12内の背圧に基づいて補正を行い、その補正後の検出電流IEに基づいて空燃比判定や空燃比フィードバック制御を実施する構成であってもよい。
図6は、A/Fセンサ52の異常判定に関する処理手順を示すフローチャートであり、本処理はマイコン61により所定周期で繰り返し実施される。
図6において、ステップS11では、異常判定の実施条件が成立しているか否かを判定する。具体的には、例えばA/Fセンサ52が活性状態になっていること、バッテリ電圧が所定以上であること、関連ダイアグ情報が存在していないことを条件項目とし、これらが全て成立している場合に、実施条件が成立している旨を判定する。実施条件が成立していれば後続のステップS12に進み、不成立であれば本処理を終了する。
ステップS11で判定される異常判定の実施条件の内、いずれか一つを判定した場合に、実施条件が成立している旨を判定してもよい。即ち、ステップS11において、A/Fセンサ52が活性状態になっていること、バッテリ電圧が所定以上であること、及び関連ダイアグ情報が存在していないことの少なくともいずれかを判定した場合に、実施条件が成立している旨を判定する。
ステップS12では、A/Fセンサ52の検出電流IEを取得し、続くステップS13では、検出電流IEが正常範囲内に入っているか否かを判定する。つまり、検出電流IEと異常判定値IH,ILとを比較して、A/Fセンサ52における異常の有無を判定する。そして、検出電流IEが正常範囲内に入っていれば、ステップS14に進み、正常カウンタをインクリメントするとともに、異常カウンタをリセットする。続くステップS15では、正常カウンタの値が所定の閾値TH1よりも大きいか否かを判定する。カウンタ値が閾値TH1よりも大きければ、ステップS16においてA/Fセンサ52の検出特性が正常である旨を判定する。ステップS12が出力値取得部として機能する。ステップS13が異常判定部として機能する。
また、ステップS13において検出電流IEが正常範囲内に入っていなければ、ステップS17に進み、正常カウンタをリセットするとともに、異常カウンタをインクリメントする。続くステップS18では、異常カウンタの値が所定の閾値TH2よりも大きいか否かを判定する。なお、閾値TH1,TH2は同じ値であってもよいが、本実施形態ではTH1<TH2としている。異常カウンタ値が閾値TH2よりも大きければ、ステップS19においてA/Fセンサ52の検出特性が異常である旨を判定する。
図7は、A/Fセンサ52の異常判定についてより具体的に説明するためのタイムチャートである。
図7では、タイミングt1で異常判定の実施条件が成立し、t1以降においてA/Fセンサ52の異常判定が実施される。検出電流IEが正常範囲に含まれると判定した場合、正常カウンタがインクリメントされ、タイミングt2で正常カウンタの値が所定の閾値TH1よりも大きくなると、正常判定フラグがセットされる。
そして、A/Fセンサ52に特性異常が生じ、タイミングt3で検出電流IEが異常判定値IHを上回ると、正常カウンタがリセットされるとともに、異常カウンタのインクリメントが開始される。その後、タイミングt4で異常カウンタの値が所定の閾値TH2よりも大きくなると、正常判定フラグがリセットされるとともに、異常判定フラグがセットされる。
なお、A/Fセンサ52の特性異常が解消されることも考えられる。この場合、A/Fセンサ52の検出電流IEが正常範囲内に戻ると、異常カウンタがリセットされるとともに、正常カウンタのインクリメントが開始される。そして、正常カウンタの値に基づいて、正常判定フラグのセットと異常判定フラグのリセットが行われる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
エンジン10の排気管12(排気通路)内においては種々の要因により圧力が変化し、その圧力変化の影響によりA/Fセンサ52の検出電流IEが変化する。この点を考慮し、異常判定値IH,ILを、排気管12内においてA/Fセンサ52の位置での圧力(背圧)に応じた値に設定する構成とした。これにより、排気管12内の圧力に起因して正常なA/Fセンサ52が異常であると誤判定されるといった不都合を抑制できる。その結果、A/Fセンサ52の異常判定の精度を向上させることができる。
エンジン10では、種々の要因により排気管12内の圧力が変化するが、その変化を見込んだ圧力範囲はエンジン出力特性や排気管12内の構成等により予め想定が可能である。本実施形態では、エンジン10であり得る空燃比範囲Xにおいて、排気管12内におけるA/Fセンサ52の位置での想定圧力範囲でA/Fセンサ52が空燃比に応じて出力し得る正常範囲に対し、その出力範囲の境界値(又は出力範囲から外れた値)として異常判定値IH,ILを設定したため、排気管12内の圧力がいずれに変化しても、A/Fセンサ52が異常であると誤判定されることを抑制できる。
排気管12においてフィルタ51が設けられるとともに、その上流側にA/Fセンサ52が設けられている構成では、フィルタ51におけるPM堆積量に応じて排気管12内の圧力レベルが変わる。つまり、フィルタ51でのPM堆積量が増えると、A/Fセンサ52の検出電流IEへの影響度合が大きくなる。この点本実施形態では、上記のとおりフィルタ51でのPM捕集を見込みつつ排気管12内の圧力に応じて異常判定値IH,ILを設定したため、フィルタ51でのPM堆積により排気管12内の圧力が上昇しても、A/Fセンサ52の異常判定を適正に実施することができる。
(他の実施形態)
上記実施形態を例えば次のように変更してもよい。
上記実施形態を例えば次のように変更してもよい。
・排気管12内の圧力に基づいて、異常判定値IH,ILを可変に設定する構成としてもよい。この場合、マイコン61は、上述の図6に代えて、図8に示す処理を実施する。ここでは、図6との相違点を説明する。
図8において、ステップS12で検出電流IEを取得した後、ステップS21では、排気管12内の背圧(排気圧力)を推定する。具体的には、エンジン回転速度、エンジン負荷(充填効率)、点火時期など、エンジン運転状態を示すパラメータに基づいて背圧を推定する。排気管12内に圧力センサを設けておき、その圧力センサにより背圧を検出することも可能である。ステップS21が、圧力取得部として機能する。
ステップS22では、例えば図9に示す関係を用い、背圧に基づいて異常判定値IH,ILを設定する。このとき、ハイ側の異常判定値IHは背圧が大きいほど大きい値として設定され、ロー側の異常判定値ILは背圧が大きいほど小さい値として設定される。なお、異常判定値IHは、電流範囲A21,(図4参照)における各上限値の間の値として設定されるとよい。また、異常判定値ILは、電流範囲A22における各下限値の間の値として設定されるとよい。ステップS22が設定部として機能する。その後、ステップS13以降において、上記同様、検出電流IEと異常判定値IH,ILとの比較に基づいてA/Fセンサ52における異常の有無を判定する。
本構成によれば、排気管12内の背圧の大きさに応じて検出電流IEへの影響の度合が変わることを考慮しつつ、異常判定の精度向上を期待できる。
・排気管12内が大気雰囲気であることを条件に、A/Fセンサ52の異常判定を実施する構成としてもよい。例えば車両減速時におけるエンジン10の燃料カット時に、A/Fセンサ52の異常判定(図6、図8)を実施する。
・異常判定値IH,ILを目標空燃比に基づいて可変に設定することも可能である。この場合、目標空燃比がリーンであれば異常判定値IH,ILを大きくし、目標空燃比がリッチであれば異常判定値IH,ILを小さくするとよい。
10…エンジン、12…排気管、22…燃焼室、52…A/Fセンサ(空燃比センサ)、61…マイコン(出力値取得部、異常判定部)。
Claims (4)
- 内燃機関(10)の排気通路(12)に設けられ、前記内燃機関の燃焼室(22)内で燃焼される混合気の空燃比を検出する空燃比センサ(52)に適用される異常判定装置(61)であって、
前記空燃比センサから出力されるセンサ出力値を取得する出力値取得部と、
前記センサ出力値と所定の異常判定値との比較に基づいて、前記空燃比センサにおける異常の有無を判定する異常判定部と、
を備え、
前記異常判定値は、前記排気通路内において前記空燃比センサの位置の圧力に応じた値に設定されている空燃比センサの異常判定装置。 - 前記異常判定値は、前記排気通路内における前記空燃比センサの位置での想定圧力範囲で前記空燃比センサが空燃比に応じて出力し得る出力範囲に対し、その出力範囲の境界値又は出力範囲から外れた値に設定されている請求項1に記載の空燃比センサの異常判定装置。
- 前記排気通路における圧力である排気圧力を推定又は検出により取得する圧力取得部と、
前記圧力取得部により取得された排気圧力に基づいて、前記異常判定値を設定する設定部と、
を備える請求項1に記載の空燃比センサの異常判定装置。 - 前記排気通路に排気中の粒子状物質を捕集するフィルタ(51)が設けられ、そのフィルタの上流側に前記空燃比センサが設けられており、
前記異常判定値は、前記フィルタに前記粒子状物質が捕集された状態での前記排気通路内の圧力に基づいて定められている請求項1乃至3のいずれか1項に記載の空燃比センサの異常判定装置。
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