JP2018131639A - 希土類磁石のめっき前処理方法及びめっき処理方法 - Google Patents

希土類磁石のめっき前処理方法及びめっき処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】密着性や外観が良好で、耐食性に優れた金属めっき皮膜を表面に有する希土類磁石のめっき前処理方法を提供する。【解決手段】無電解めっき又は電解めっきにより希土類磁石の表面に金属皮膜を形成する際の希土類磁石のめっき前処理方法であって、アルカリ脱脂処理工程を行った後に、第1酸処理工程と第2酸処理工程との2段階で酸活性処理を行い、これら各工程の後に超音波水洗によるスマット除去を施すことを特徴とする希土類磁石のめっき前処理方法を採用する。【選択図】なし

Description

本件発明は希土類磁石のめっき前処理方法及びめっき処理方法に関し、詳しくは希土類磁石の表面に良好な密着性及び外観を有した耐食性金属皮膜を形成するための希土類磁石のめっき前処理方法及びめっき処理方法に関する。
Nd−Fe−B系永久磁石等に代表されるR−TM−B系(R:希土類元素、TM:遷移金属、B:ホウ素)永久磁石は、高い磁気特性を有するため各種用途に使用され、主に電気、電子機器の分野で汎用されている。特に、高性能永久磁石として開発されたR−TM−B系永久磁石は、磁気特性に優れるため、電気、電子機器の高性能・小型化にも対応して好適に使用されている。
しかしながら、希土類磁石は、水分を有する大気中では、短時間に容易に酸化するという問題がある。この酸化は表面に酸化物を形成するのみならず、内部の結晶粒界に沿った粒界腐食も招くことになる。
この希土類磁石の酸化を防ぐ手段として、当該希土類磁石の表面処理を行うことが提案されている。例えば、表面処理としては、樹脂皮膜の形成、めっき皮膜の形成が挙げられる。樹脂皮膜は、スプレーや電着塗装により形成され、簡便で、低コストであるが、樹脂そのものが水分を含有するため、高温高湿の環境下では充分な耐食性は得られない。めっき皮膜の形成は、耐食性に優れていることから賞用されている。しかし、真空蒸着法やイオンプレーティング法等の気相めっきは、高コストであり、溝部等にめっき層を形成することが困難となる難点がある。
このため、希土類磁石の表面処理としては、NiやCu等の無電解めっき又は電解めっきによる皮膜形成が採用されている。この無電解めっき又は電解めっきによって皮膜を形成するためには、予め希土類磁石に前処理を行う必要がある。
例えば、特許文献1には、焼結磁性体表面を、めっき前処理工程と、活性化処理工程と、スマット除去工程と、Cuめっき工程と、Ni−Pめっき工程とを順次行う耐食性希土類磁石の製造方法が記載されている。
ここで、特許文献1において、前処理工程とは、錆落し、溶剤脱脂、アルカリ脱脂、酸洗いにより希土類磁石表面の錆や油脂類の汚れ等を除去するものとされている。また、活性化処理工程とは、めっき膜と磁石との間の密着力を向上させるために行われるものとされ、活性化液として塩酸、硫酸等が例示されている。そして、スマット除去工程とは、磁石の表面に物理的な吸着あるいは磁気的に吸引されて残存する微量の不純物を磁石表面から脱離させる工程であり、具体的な方法としてブラシ掛けによる除去、水やエアスプレーによる除去、超音波による除去が例示されている。
また、特許文献2には、磁性合金の表面を有機錯化合物及び/又は無機錯化合物並びに緩衝剤からなるpH8以上のアルカリ性溶液で表面調整した後、有機カルボン酸塩(オキシカルボン酸塩を含む)及び無機錫化合物並びに過酸化物からなるpH8以上のアルカリ性溶液で脱スマットし、その後に耐酸化性皮膜を形成する磁性合金の表面処理方法が記載されている。
一方、磁性合金に形成されるめっき皮膜は、種々提案されている。例えば特許文献2では、無電解銅めっき、電気銅めっき及び電気ニッケルめっき、アルカリ性無電解ニッケルめっき及び電気ニッケルめっきによって、金属めっき皮膜を形成している。
また、特許文献3では、永久磁石体とその表面に形成された置換Cuめっき層とそれより厚い無電解Ni−Pめっき層からなる二層無電解めっき層を有する希土類永久磁石が記載されている。この特許文献3に記載の希土類永久磁石によれば、磁気特性の低下が少なく、密着性が向上すると共に、高い耐食性を有するとされている。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載されているようなスマット除去等の前処理を行った後、Ni等の金属皮膜を形成しても、密着性や外観が良好で、耐食性に優れた皮膜は得られているとはいえない。また、特許文献2及び特許文献3に示されるような無電解めっき処理及び電解めっき処理を希土類磁石の表面に施しても、上述した前処理を行った場合と同様に、密着性や外観が良好で、耐食性に優れた金属めっき皮膜は得られていない。
特開平3−283607号公報 特開平8−3783号公報 特開2003−249405号公報
従って、本件発明の課題は、密着性や外観が良好で、耐食性に優れた金属めっき皮膜を表面に有する希土類磁石のめっき前処理方法及びめっき処理方法を提供することにある。
そこで、本件発明者らは、鋭意研究を行った結果、以下に述べる希土類磁石のめっき前処理方法及びめっき処理方法を採用することで、上記課題を解決することに想到した。
本件発明に係る希土類磁石のめっき前処理方法: 本件発明に係る希土類磁石のめっき前処理方法は、無電解めっき又は電解めっきにより希土類磁石の表面に金属皮膜を形成する際の希土類磁石のめっき前処理方法であって、アルカリ脱脂処理工程を行った後に、少なくとも第1酸処理工程と第2酸処理工程との2段階で酸活性処理を行い、これら各工程の後に超音波水洗によるスマット除去を施すことを特徴とする。
本件発明に係る希土類磁石のめっき前処理方法において、前記超音波水洗は、前記超音波水洗は、20〜150kHzの超音波振動を加えた水に、前記希土類磁石の被めっき面を1〜5分間接触させることが好ましい。
本件発明に係る希土類磁石のめっき前処理方法において、前記第1酸処理工程は、前記希土類磁石の被めっき面を、硝酸、硫酸、塩酸、及びリン酸若しくはこれらの塩のうち1種又は2種を含み且つ酸濃度が15〜150mL/Lの酸液中に50〜600秒間浸漬させることが好ましい。
本件発明に係る希土類磁石のめっき前処理方法において、前記第2酸処理工程は、前記希土類磁石の被めっき面を、硝酸、硫酸、塩酸、及びリン酸若しくはこれらの塩のうち1種又は2種を含み且つ酸濃度が20〜100mL/Lの酸液中に30〜600秒間浸漬させることが好ましい。
本件発明に係る希土類磁石のめっき処理方法: 本件発明に係る希土類磁石のめっき処理方法は、上述しためっき前処理方法で処理された希土類磁石の表面に無電解めっき処理により金属皮膜を形成する際の希土類磁石のめっき処理方法であって、2種のめっき処理工程を備え、当該2種のめっき処理工程は、アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程と無電解ニッケルめっき処理工程であり、当該アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程で用いるめっき浴が、ニッケル塩と、有機カルボン酸及び/又はその塩とを含有することを特徴とする。
本件発明に係る希土類磁石のめっき処理方法において、前記めっき浴は、更に還元剤及び安定剤を含有し、pHが9〜10であることが好ましい。
本件発明に係る希土類磁石のめっき処理方法において、前記還元剤がリン酸及び/又はその塩であり、前記安定剤が硝酸鉛であることが好ましい。
本件発明に係る希土類磁石のめっき処理方法において、前記有機カルボン酸がクエン酸であることが好ましい。
本件発明に係る希土類磁石のめっき前処理方法及びめっき処理方法によれば、密着性や外観が良好で、耐食性に優れた金属めっき皮膜を表面に有する希土類磁石を得ることが可能となる。
以下に、本件発明を実施するための形態について説明する。
[本件発明に係る希土類磁石のめっき前処理方法について]
本件発明に係る希土類磁石のめっき前処理方法は、無電解めっき又は電解めっきにより希土類磁石の表面に金属皮膜を形成する際の希土類磁石のめっき前処理方法である。本件発明に係る希土類磁石のめっき前処理方法では、アルカリ脱脂処理工程を行った後に、少なくとも第1酸処理工程と第2酸処理工程との2段階で酸活性処理を行い、これら各工程の後に超音波水洗によるスマット除去を施す。以下に、本件発明に係る希土類磁石のめっき前処理方法について具体的に説明する。
<希土類磁石について>
希土類磁石は、R−TM−B系(R:Yを含む希土類元素、TM:遷移金属、B:ホウ素)で示され、希土類元素としては、サマリウム、ネオジム、プラセオジム、ホルミウム等の少なくとも1種及びイットリウムが挙げられる。遷移金属としては鉄、コバルト等が挙げられる。
<アルカリ脱脂処理について>
アルカリ脱脂処理は、希土類磁石表面の油脂類の汚れを除去するもので、希土類磁石をアルカリ脱脂処理液に浸漬することにより行う。アルカリ脱脂処理液の成分は、特に限定はされず、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、シアン化ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム等を含むものを用いることができ、市販品としてはアルカリ脱脂剤(商品名K−340、日本カニゼン株式会社)が例示される。ここで、希土類磁石の浸漬条件としては、アルカリ脱脂処理液のアルカリ濃度を5〜200g/L、温度を20〜90℃とし、浸漬時間を2〜30分とすることが好ましい。また、このアルカリ脱脂処理の前に、トリクロルエチレン等を用いた溶剤脱脂処理を行ってもよい。
<酸活性処理について>
本件発明では、希土類磁石の被めっき面に対して、アルカリ脱脂処理を行った後に酸活性処理を施す。酸活性処理は、希土類磁石表面の酸化皮膜及びアルカリ皮膜の除去や、希土類磁石と金属めっき皮膜との間の密着性を向上させ、また不純物質の侵入を防止し、金属めっき皮膜の耐食性を向上させることを目的として行われる。ここで、この酸活性処理は、少なくとも第1酸処理工程と第2酸処理工程との2段階で行う。
1.第1酸処理工程について
第1酸処理工程は、希土類磁石表面の酸化皮膜及びアルカリ皮膜の除去を目的とするものである。ここで、第1酸処理工程で用いる第1酸処理液としては、硝酸、硫酸、塩酸、及びリン酸若しくはこれらの塩のうち1種又は2種を含むことが、磁石表面を十分に活性化させる上で好ましい。当該リン酸としては、例えば、次亜リン酸、亜リン酸、正リン酸等のリン化合物が挙げられる。
そして、第1酸処理工程では、希土類磁石の被めっき面を、酸濃度が15〜150mL/Lの酸液中に50〜600秒間浸漬させることが好ましい。ここで、酸液中における酸濃度が15mL/L未満、又は浸漬時間が50秒間未満となると、磁石表面が十分に活性化されず、めっき皮膜の密着不良を招くため好ましくない。また、酸液中における酸濃度が150mL/Lを超える、又は浸漬時間が600秒間を超えると、磁石表面にスマットや砂状析出物(焼結合金である磁石が粒界腐食して残った成分により生成される析出物)が付着し、めっき皮膜の密着不良を招く原因となるため好ましくない。
更に、第1酸処理工程では、希土類磁石の被めっき面を浸漬する酸液の温度を10〜50℃とすることがより好ましい。第1酸処理工程で用いる酸液の温度を10〜50℃とすることで、被めっき表面の活性化を促進し、異常なエッチングが起こり難くなる。
2.第2酸処理工程について
第2酸処理工程は、希土類磁石と金属めっき皮膜との間の密着性を向上させ、また不純物質の進入を防止し、金属めっき皮膜の耐食性を向上させることを目的とするものである。ここで、第2酸処理工程で用いる第2酸処理液としては、第1酸処理液と同様に、硝酸、硫酸、塩酸、及びリン酸若しくはこれらの塩のうち1種又は2種を含むことが、磁石表面を十分に活性化させる上で好ましい。当該リン酸としては、例えば、次亜リン酸、亜リン酸、正リン酸等のリン化合物が挙げられる。
そして、第2酸処理工程では、希土類磁石の被めっき面を、酸濃度が20〜100mL/Lの酸液中に30〜600秒間浸漬させることが好ましい。ここで、酸液中における酸濃度が20mL/L未満となると、めっき皮膜の密着性を必要十分に向上させるだけの表面活性化が起こらず好ましくない。酸液中における酸濃度が100mL/Lを超えると、磁石表面に異常なエッチングが起こり好ましくない。また、浸漬時間が30秒間未満となると、表面活性化が均一且つ十分に起こらず好ましくない。浸漬時間が600秒間を超えると、作業工数の増加及び過剰な表面活性化による異常なエッチングが起こり好ましくない。
更に、第2酸処理工程では、希土類磁石の被めっき面を浸漬する酸液の温度を10〜50℃とすることがより好ましい。第2酸処理工程で用いる酸液の温度を10〜50℃とすることで、被めっき表面における活性化不足の低減及び異常なエッチングの防止を図ることが出来る。
以上に、本件発明における第1酸処理工程及び第2酸処理工程について説明したが、本件発明に係る希土類磁石のめっき前処理方法では、これら第1酸処理工程及び第2酸処理工程の後に更に酸処理工程を設けることも出来る。本件発明に係る希土類磁石のめっき前処理方法において、3段階以上の酸処理工程を設けたとしても、2段階の酸処理工程を設けたときと同様の効果を得ることが出来るが、この場合工数の増加を招くこととなる。ここで、3段階目以降の酸処理工程は、2段階目の酸処理工程(第2酸処理工程)よりも酸濃度を徐々に低くし且つ処理時間を徐々に短くすることが出来る。
<超音波水洗について>
本件発明では、上述したアルカリ脱脂処理及び酸活性処理の後に、それぞれ超音波水洗を行いスマット除去する。超音波水洗は、希土類磁石の表面に物理的又は磁気的に付着した不純物を除去するもので、これにより希土類磁石と金属めっき皮膜の密着性を向上することができる。超音波水洗に用いる水としては、水道水やイオン交換水等を用いることができ、特に限定されるものではない。また、超音波水洗の方法に関しても特に限定されず、希土類磁石を浸漬することが出来る。
そして、超音波水洗では、20〜150kHzの超音波振動を加えた水に、希土類磁石の被めっき面を1〜5分間接触させることが好ましい。ここで、超音波振動の周波数が20kHz未満又は150kHzを超える場合には、特殊な装置が必要となり、大きなメリットもないため、超音波水洗の条件として適さない。また、超音波振動を加えた水に希土類磁石の被めっき面を接触させる時間が1分間未満となると、水洗が十分行われずスマットを十分に除去することが出来ない。超音波振動を加えた水に希土類磁石の被めっき面を接触させる時間が5分間を超えると、作業工数の増加を招き好ましくない。
更に、超音波水洗では、用いる水の温度を20〜50℃とすることがより好ましい。超音波水洗で用いる水の温度を20〜50℃とすることで、水洗不足を招き難くすると共に、磁石表面に対する異常なエッチングを効果的に防止することが出来る。
[本件発明に係る希土類磁石のめっき処理方法について]
本件発明に係る希土類磁石のめっき処理方法は、上述しためっき前処理方法で処理された希土類磁石の表面に無電解めっき処理により金属皮膜を形成する際の希土類磁石のめっき処理方法である。本件発明に係る希土類磁石のめっき処理方法では、アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程と無電解ニッケルめっき処理工程とを備え、当該アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程で用いるめっき浴が、ニッケル塩と、有機カルボン酸及び/又はその塩とを含有する。以下に、本件発明に係る希土類磁石のめっき処理方法について具体的に説明する。
<無電解めっき処理について>
本件発明では、上述しためっき前処理を施した後、希土類磁石の酸化を防ぐ手段として、希土類磁石表面に2種類の無電解めっき処理を施してニッケルめっき皮膜を形成する。本件発明における無電解めっき処理では、2種類の無電解めっき処理として、アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程と無電解ニッケルめっき処理工程とを実施する。これら2種のめっき処理工程を実施することで、触媒を付与することなしにめっき析出させることができ、膜厚を効率良く析出させるという効果を得ることが出来る。ここで、アルカリ無電解ニッケルめっき処理と、無電解ニッケルめっき処理とは、この順番で行うことで、ニッケルの析出が促進されると共にめっき浴の自己分解が起きないため、触媒付与が不要となる。
1.アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程について
本件発明に係る希土類磁石のめっき処理方法において、アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程で用いられるめっき浴は、ニッケル塩と、有機カルボン酸及び/又はその塩とを含有する。ここで、当該めっき浴にニッケル塩が含まれることで、ニッケルめっき皮膜の密着性を向上させることが出来る。当該ニッケル塩は、硫酸及び塩素のいずれも含まないものが好ましく、酢酸ニッケル、炭酸ニッケル、硝酸ニッケル、水酸化ニッケル等を好適に用いることが出来る。特に、当該ニッケル塩としては、炭酸ニッケルを用いることが工業的に望ましく、また炭酸ニッケルを用いることでニッケルめっき皮膜の密着性の向上をより図ることが出来る。また、当該めっき浴に当該有機カルボン酸及び/又はその塩が含まれることで、ニッケル析出の安定化を図ることが出来る。当該有機カルボン酸としては、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、マロン酸、酢酸等を挙げることが出来る。特に、有機カルボン酸としてクエン酸を用いることで、ニッケル析出の安定化をより図ることが出来る。
また、アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程で用いられるめっき浴は、更に還元剤及び安定剤を含有し、pHが9〜10であることが好ましい。ここで、当該めっき浴に更に還元剤が含まれることで、ニッケルを十分に析出させることが出来る。当該還元剤としては、リン酸及び/又はその塩を用いることで、ニッケル析出の促進を図ることができ好ましい。当該リン酸としては、例えば、次亜リン酸、亜リン酸等のリン化合物が挙げられ、特に次亜リン酸が好ましい。また、当該めっき浴に更に安定剤が含まれることで、異常分解を抑制することが出来る。当該安定剤としては、無電解ニッケルめっきにおいて既知である、鉛、ビスマス、カドミウム、チタン、及びアンチモン等の重金属安定剤、チオ硫酸塩、チオ尿素、及びチオジグリコール酸等の硫黄系安定剤、ヨウ素酸塩、モリブデン酸塩、バナジン酸塩、及びスズ酸塩等の多価金属酸化物安定剤を用いることが出来る。これら安定剤は、1種単独で用いても良く、また2種以上組み合わせて用いても良い。特に、当該安定剤として鉛を用いることで、めっき浴の自己分解を抑制することが出来る。
そして、アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程で用いられるめっき浴は、pHが9以上であることで、磁石と接した面において還元剤との異常反応が生じ磁石が溶解するという問題が起こらず、安定的にニッケルを析出させることが可能となる。また、pHが10以下であることでニッケル塩の沈殿やニッケル析出が停止して皮膜が形成出来なくなるという問題が生じない。更に、当該めっき浴は、20〜70℃に設定されることで、ニッケル析出の均一化及び安定化という効果を得ることが出来る。ちなみに、アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程では、当該めっき浴のpHを9〜10に調整する方法に関して特に限定はされず、例えばアンモニア等のpH調整剤やその他の添加剤を当該めっき浴に含めて用いることが出来る。
以上に、アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程で用いられるめっき浴について説明したが、具体的には、当該めっき浴におけるニッケル塩の濃度は金属ニッケルとして4〜5g/Lとするのが好ましい。また、当該めっき浴におけるニッケル塩を除いた浴組成としては、クエン酸5〜30g/L、次亜リン酸ナトリウム20〜40g/L、チオ硫酸ナトリウム0.0001〜0.05g/L、鉛0.0005〜0.005g/Lとすることが好ましい。
2.無電解ニッケルめっき処理工程について
本件発明に係る希土類磁石のめっき処理方法では、無電解ニッケルめっき処理工程を行うことで、無電解ニッケル皮膜の膜厚をより厚くすることが出来る。無電解ニッケルめっき処理工程で用いられるめっき浴は、通常の硫酸ニッケル、次亜リン酸ニッケル等のニッケル塩や、リン、ホウ素等の還元剤を含有する浴が用いられる。
<金属めっき皮膜について>
上述した本件発明に係る希土類磁石のめっき前処理方法で処理された希土類磁石の表面に、従来公知の方法により電解めっき処理又は無電解めっき処理を施したとしても、当該希土類磁石に密着性や外観が良好で、且つ耐食性に優れた金属めっき皮膜を形成することは可能である。しかし、希土類磁石の表面に対し、上述しためっき処理条件でニッケルめっき皮膜を形成することで、より密着性や外観が良好で且つ耐食性に優れたニッケルめっき皮膜を形成することが出来る。なお、めっき皮膜は、単層でも複数層でもよく、その目的によって任意に選択することが出来る。
以上に、本件発明に係る希土類磁石のめっき前処理方法及びめっき処理に関して説明したが、以下に本件発明の実施例を示し、本件発明をより詳細に説明する。なお、本件発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。
実施例1では、希土類磁石のめっき前処理として、アルカリ脱脂処理工程を行った後に、第1酸処理工程と第2酸処理工程との2段階で酸活性処理を行い、これら各工程の後に超音波水洗によるスマット除去を施したときのめっき皮膜の密着性の確認を行った。
この実施例1では、試験体として希土類磁石(信越化学社製ネオジム磁石「品番:N50M」)を用い、当該試験体に対してアルカリ濃度50g/Lで温度50℃のアルカリ脱脂処理液に10分間浸漬させるアルカリ脱脂処理工程を行った後、38kHzの超音波振動を2分間加える超音波水洗を行った。次いで、当該試験体を60%硝酸50mL/Lの酸液(室温)中に160秒間浸漬させる第1酸処理工程を行った後、上述と同じ条件で超音波水洗を行った。更に、当該試験体を36%塩酸50mL/Lの酸液(25℃)中に160秒間浸漬させる第2酸処理工程を行った後、上述と同じ条件で超音波水洗を行った。ここで、上述したアルカリ脱脂剤としては、日本カニゼン株式会社製「品番:K−340」を用いた。また、超音波水洗には、装置として株式会社カイジョー製「品番:64200」を用いた。
そして、試験体に対して上述した前処理を行った後に、アルカリ性無電解ニッケルめっき液(温度:50℃、pH:10)を用いて15分間のめっき処理を施し、その後更に日本カニゼン株式会社製「商品名:SEK−797」の無電解ニッケルめっき液(温度:88℃)を用いて25分間めっき処理を施した。ここで、アルカリ性無電解ニッケルめっき液には、ニッケル塩と有機カルボン酸とを含有したものを用いた。具体的には、当該ニッケル塩は、金属ニッケルとして4.5g/Lの濃度となる炭酸ニッケルを用いた。また、当該有機カルボン酸として20g/Lのクエン酸を用いた。そして、当該アルカリ性無電解ニッケルめっき液において、ニッケル塩及び有機カルボン酸を除いた浴組成としては、次亜リン酸ナトリウム30g/L、チオ硫酸ナトリウム0.001g/L、鉛0.001g/Lの組成のものを用いた。
実施例1では、このようにして試験体表面に形成しためっき皮膜の密着性を、JIS Z 1522に準じて評価した。実施例1で行うめっき皮膜の密着性の確認は、希土類磁石表面に2mm間隔で100マス目形成し、粘着テープ(ニチバン株式会社製「品番:CT−18」)による剥離試験を行い、マス目の残存率より評価した。
表1には、以上の条件でめっき皮膜の密着性について確認を行った結果を示す。表1には、実施例1以外にも、実施例2,3、比較例1〜9の結果を併せて示す。ここで、めっき皮膜の密着性の確認は、剥離試験を行った後のマス目の残存率により評価した。めっき皮膜の密着性の評価は、マス目の欠損がないものを「○」、マス目が一部でも欠損したものを「×」とした。
Figure 2018131639
実施例2では、実施例1と同様に、希土類磁石のめっき前処理として、アルカリ脱脂処理工程を行った後に、第1酸処理工程と第2酸処理工程との2段階で酸活性処理を行い、これら各工程の後に超音波水洗によるスマット除去を施したときのめっき皮膜の密着性の確認を行った。この確認を行った結果を表1に示す。
実施例2では、試験体として信越化学社製ネオジム磁石(品番:N48M)を用いた以外は、実施例1と同じめっき前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
実施例3では、実施例1と同様に、希土類磁石のめっき前処理として、アルカリ脱脂処理工程を行った後に、第1酸処理工程と第2酸処理工程との2段階で酸活性処理を行い、これら各工程の後に超音波水洗によるスマット除去を施したときのめっき皮膜の密着性の確認を行った。この確認を行った結果を表1に示す。
実施例3では、試験体として信越化学製サマリウムコバルト磁石(品番:R26H)を用いた以外は、実施例1と同じめっき前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
実施例4では、実施例1〜3で得られた結果をふまえ、超音波水洗において試験体の表面に加える超音波振動の周波数を変更させた場合に、めっき皮膜の状態や密着性に及ぼされる影響について確認を行った。
実施例4では、試験体に対して行う超音波水洗の際の周波数を25kHzと変化させた以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じ前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
表2には、以上の条件でめっき皮膜の状態及び密着性について確認を行った結果を示す。表2には、実施例4以外にも、実施例5,6の結果を併せて示す。ここで、めっき皮膜の状態の確認は、目視によって評価した。めっき皮膜の状態の評価は、均一光沢を「◎」、不均一光沢を「○」、一部無光沢を「△」、無光沢を「×」とした。また、めっき皮膜の密着性の評価は、実施例1と同じ条件で評価した。
Figure 2018131639
実施例5では、実施例4と同様に、超音波水洗において試験体の表面に加える超音波振動の周波数を変更させた場合に、めっき皮膜の状態や密着性に及ぼされる影響について確認を行った。この確認を行った結果を表2に示す。
実施例5では、試験体に対して行う超音波水洗の際の周波数を45kHzと変化させた以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じ前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
実施例6では、実施例4と同様に、超音波水洗において試験体の表面に加える超音波振動の周波数を変更させた場合に、めっき皮膜の状態や密着性に及ぼされる影響について確認を行った。この確認を行った結果を表2に示す。
実施例6では、試験体に対して行う超音波水洗の際の周波数を100kHzと変化させた以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じ前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
実施例7では、実施例1〜3で得られた結果をふまえ、第1酸処理工程の条件(酸液の酸濃度、浸漬時間)を変更させた場合に、めっき皮膜の密着性及び外観に及ぼされる影響について確認を行った。
実施例7では、試験体に対して行う第1酸処理工程において、酸液の酸濃度を10mL/Lとし、試験体を浸漬させる時間を600secと変化させた以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じ前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
表3には、以上の条件でめっき皮膜の密着性及び外観について確認を行った結果を示す。表3には、実施例7以外にも、実施例8〜13の結果を併せて示す。ここで、めっき皮膜の密着性の確認は、実施例1と同じ条件で評価した。また、めっき皮膜の外観は、実施例4と同じ条件で、目視によって評価した。以上をふまえ、めっき皮膜の密着性及び外観の評価は、外観上均一で密着性良好を「◎」、外観上曇りも見られるが密着性良好を「○」、外観上均一であるが密着性不良を「△」、外観上曇りがあり密着性不良を「×」とした。
Figure 2018131639
実施例8では、実施例7と同様に、第1酸処理工程の条件(酸液の酸濃度、浸漬時間)を変更させた場合に、めっき皮膜の密着性及び外観に及ぼされる影響について確認を行った。この確認を行った結果を表3に示す。
実施例8では、試験体に対して行う第1酸処理工程において、酸液の酸濃度を20mL/Lとし、試験体を浸漬させる時間を300secと変化させた以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じ前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
実施例9では、実施例7と同様に、第1酸処理工程の条件(酸液の酸濃度、浸漬時間)を変更させた場合に、めっき皮膜の密着性及び外観に及ぼされる影響について確認を行った。この確認を行った結果を表3に示す。
実施例9では、試験体に対して行う第1酸処理工程において、酸液の酸濃度を20mL/Lとし、試験体を浸漬させる時間を60secと変化させた以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じ前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
実施例10では、実施例7と同様に、第1酸処理工程の条件(酸液の酸濃度、浸漬時間)を変更させた場合に、めっき皮膜の密着性及び外観に及ぼされる影響について確認を行った。この確認を行った結果を表3に示す。
実施例10では、試験体に対して行う第1酸処理工程において、酸液の酸濃度を50mL/Lとし、試験体を浸漬させる時間を60secと変化させた以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じ前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
実施例11では、実施例7と同様に、第1酸処理工程の条件(酸液の酸濃度、浸漬時間)を変更させた場合に、めっき皮膜の密着性及び外観に及ぼされる影響について確認を行った。この確認を行った結果を表3に示す。
実施例11では、試験体に対して行う第1酸処理工程において、酸液の酸濃度を100mL/Lとし、試験体を浸漬させる時間を60secと変化させた以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じ前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
実施例12では、実施例7と同様に、第1酸処理工程の条件(酸液の酸濃度、浸漬時間)を変更させた場合に、めっき皮膜の密着性及び外観に及ぼされる影響について確認を行った。この確認を行った結果を表3に示す。
実施例12では、試験体に対して行う第1酸処理工程において、酸液の酸濃度を100mL/Lとし、試験体を浸漬させる時間を300secと変化させた以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じ前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
実施例13では、実施例7と同様に、第1酸処理工程の条件(酸液の酸濃度、浸漬時間)を変更させた場合に、めっき皮膜の密着性及び外観に及ぼされる影響について確認を行った。この確認を行った結果を表3に示す。
実施例13では、試験体に対して行う第1酸処理工程において、酸液の酸濃度を200mL/Lとし、試験体を浸漬させる時間を30secと変化させた以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じ前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
実施例14では、実施例1〜3で得られた結果をふまえ、第2酸処理工程の条件(酸液の酸濃度、浸漬時間)を変更させた場合に、めっき皮膜の密着性及び外観に及ぼされる影響について確認を行った。
実施例14では、試験体に対して行う第2酸処理工程において、酸液の酸濃度を10mL/Lとし、試験体を浸漬させる時間を600secと変化させた以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じ前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
表4には、以上の条件でめっき皮膜の密着性及び外観について確認を行った結果を示す。表4には、実施例14以外にも、実施例15〜20の結果を併せて示す。
Figure 2018131639
実施例15では、実施例14と同様に、第2酸処理工程の条件(酸液の酸濃度、浸漬時間)を変更させた場合に、めっき皮膜の密着性及び外観に及ぼされる影響について確認を行った。この確認を行った結果を表4に示す。
実施例15では、試験体に対して行う第2酸処理工程において、酸液の酸濃度を20mL/Lとし、試験体を浸漬させる時間を300secと変化させた以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じ前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
実施例16では、実施例14と同様に、第2酸処理工程の条件(酸液の酸濃度、浸漬時間)を変更させた場合に、めっき皮膜の密着性及び外観に及ぼされる影響について確認を行った。この確認を行った結果を表4に示す。
実施例16では、試験体に対して行う第2酸処理工程において、酸液の酸濃度を20mL/Lとし、試験体を浸漬させる時間を60secと変化させた以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じ前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
実施例17では、実施例14と同様に、第2酸処理工程の条件(酸液の酸濃度、浸漬時間)を変更させた場合に、めっき皮膜の密着性及び外観に及ぼされる影響について確認を行った。この確認を行った結果を表4に示す。
実施例17では、試験体に対して行う第2酸処理工程において、酸液の酸濃度を50mL/Lとし、試験体を浸漬させる時間を60secと変化させた以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じ前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
実施例18では、実施例14と同様に、第2酸処理工程の条件(酸液の酸濃度、浸漬時間)を変更させた場合に、めっき皮膜の密着性及び外観に及ぼされる影響について確認を行った。この確認を行った結果を表4に示す。
実施例18では、試験体に対して行う第2酸処理工程において、酸液の酸濃度を100mL/Lとし、試験体を浸漬させる時間を60secと変化させた以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じ前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
実施例19では、実施例14と同様に、第2酸処理工程の条件(酸液の酸濃度、浸漬時間)を変更させた場合に、めっき皮膜の密着性及び外観に及ぼされる影響について確認を行った。この確認を行った結果を表4に示す。
実施例19では、試験体に対して行う第2酸処理工程において、酸液の酸濃度を100mL/Lとし、試験体を浸漬させる時間を300secと変化させた以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じ前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
実施例20では、実施例14と同様に、第2酸処理工程の条件(酸液の酸濃度、浸漬時間)を変更させた場合に、めっき皮膜の密着性及び外観に及ぼされる影響について確認を行った。この確認を行った結果を表4に示す。
実施例20では、試験体に対して行う第2酸処理工程において、酸液の酸濃度を200mL/Lとし、試験体を浸漬させる時間を30secと変化させた以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じ前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
実施例21では、希土類磁石のめっき処理方法として、アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程と無電解ニッケルめっき処理工程との2種類の無電解めっき処理を行い、当該アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程で用いるめっき浴が、ニッケル塩と有機カルボン酸とを含有したときに得られるめっき皮膜の密着性の確認を行った。
この実施例21では、試験体のめっき前処理において、酸活性処理における第1酸処理工程と第2酸処理工程とを共に150秒間実施した以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じめっき前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
表5には、以上の条件でめっき皮膜の密着性について確認を行った結果を示す。表5には、実施例21以外にも、実施例22,23、比較例10の結果を併せて示す。
Figure 2018131639
実施例22では、実施例21と同様に、希土類磁石のめっき処理方法として、アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程と無電解ニッケルめっき処理工程とを行い、当該アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程で用いるめっき浴が、ニッケル塩と有機カルボン酸とを含有したときに得られるめっき皮膜の密着性の確認を行った。この確認を行った結果を表5に示す。
実施例22では、実施例2と同じ試験体を用い、当該試験体のめっき前処理において、酸活性処理における第1酸処理工程と第2酸処理工程とを共に150秒間実施した以外は、実施例1と同じめっき前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
実施例23では、実施例21と同様に、希土類磁石のめっき処理方法として、アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程と無電解ニッケルめっき処理工程とを行い、当該アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程で用いるめっき浴が、ニッケル塩と有機カルボン酸とを含有したときに得られるめっき皮膜の密着性の確認を行った。この確認を行った結果を表5に示す。
実施例23では、実施例3と同じ試験体を用い、当該試験体のめっき前処理において、酸活性処理における第1酸処理工程と第2酸処理工程とを共に150秒間実施した以外は、実施例1と同じめっき前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
実施例24では、実施例21〜23で得られた結果をふまえ、希土類磁石のめっき処理方法として、アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程と無電解ニッケルめっき処理工程との2種類の無電解めっき処理を行った場合に、当該アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程で用いるめっき浴のpH値がめっき皮膜の析出性及び密着性に及ぼす影響について確認を行った。
この実施例24では、試験体の無電解めっき処理において、アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程で用いるめっき浴のpH値を「8.5」とした以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じめっき前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
表6には、以上の条件で形成したニッケルめっき皮膜の析出性及び密着性について確認を行った結果を示す。表6には、実施例24以外にも、実施例25〜28の結果を併せて示す。ここで、めっき皮膜の析出性の評価は、目視によって行った。めっき皮膜の析出性の評価は、めっきの未析出部分が確認されないものを「○」、一部でもめっきの未析出部分が確認されたものを「△」、めっきの析出部分が殆ど確認されないものを「×」とした。また、めっき皮膜の密着性の評価は、実施例1と同じ条件で評価した。
Figure 2018131639
実施例25では、実施例24と同様に、希土類磁石のめっき処理方法として、アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程と無電解ニッケルめっき処理工程との2種類の無電解めっき処理を行った場合に、当該アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程で用いるめっき浴のpH値がめっき皮膜の析出性及び密着性に及ぼす影響について確認を行った。この確認を行った結果を表6に示す。
この実施例25では、試験体の無電解めっき処理において、アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程で用いるめっき浴のpH値を「9.0」とした以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じめっき前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
実施例26では、実施例24と同様に、希土類磁石のめっき処理方法として、アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程と無電解ニッケルめっき処理工程との2種類の無電解めっき処理を行った場合に、当該アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程で用いるめっき浴のpH値がめっき皮膜の析出性及び密着性に及ぼす影響について確認を行った。この確認を行った結果を表6に示す。
この実施例26では、試験体の無電解めっき処理において、アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程で用いるめっき浴のpH値を「9.5」とした以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じめっき前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
実施例27では、実施例24と同様に、希土類磁石のめっき処理方法として、アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程と無電解ニッケルめっき処理工程との2種類の無電解めっき処理を行った場合に、当該アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程で用いるめっき浴のpH値がめっき皮膜の析出性及び密着性に及ぼす影響について確認を行った。この確認を行った結果を表6に示す。
この実施例27では、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じめっき前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。実施例27における、アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程で用いるめっき浴のpH値は、実施例1と同じく「10.0」である。
実施例28では、実施例24と同様に、希土類磁石のめっき処理方法として、アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程と無電解ニッケルめっき処理工程との2種類の無電解めっき処理を行った場合に、当該アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程で用いるめっき浴のpH値がめっき皮膜の析出性及び密着性に及ぼす影響について確認を行った。この確認を行った結果を表6に示す。
この実施例28では、試験体の無電解めっき処理において、アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程で用いるめっき浴のpH値を「10.5」とした以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じめっき前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
比較例
[比較例1]
比較例1では、実施例1〜3との対比を行うため、希土類磁石のめっき前処理として、アルカリ脱脂処理工程を行った後に、第1酸処理工程と第2酸処理工程とのいずれか一方の処理を施さないときのめっき皮膜の密着性の確認を行った。この確認を行った結果を表1に示す。
比較例1では、試験体のめっき前処理において、第1酸処理工程を行わないこと以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じめっき前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
[比較例2]
比較例2では、比較例1と同様に、希土類磁石のめっき前処理として、アルカリ脱脂処理工程を行った後に、第1酸処理工程と第2酸処理工程とのいずれか一方の処理を施さないときのめっき皮膜の密着性の確認を行った。この確認を行った結果を表1に示す。
比較例2では、試験体のめっき前処理において、第2酸処理工程を行わないこと以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じめっき前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
[比較例3]
比較例3では、実施例1〜3との対比を行うため、希土類磁石のめっき前処理として、アルカリ脱脂処理工程を行った後に、第1酸処理工程と第2酸処理工程との2段階で酸活性処理を行った場合に、これら全ての工程の後に超音波水洗によるスマット除去を施さないときのめっき皮膜の密着性の確認を行った。この確認を行った結果を表1に示す。
比較例3では、試験体のめっき前処理において、アルカリ脱脂処理工程、第1酸処理工程、及び第2酸処理工程の各工程の後に超音波水洗によるスマット除去を施さないこと以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じめっき前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
[比較例4]
比較例4では、比較例3と同様に、希土類磁石のめっき前処理として、アルカリ脱脂処理工程を行った後に、第1酸処理工程と第2酸処理工程との2段階で酸活性処理を行った場合に、これら全ての工程の後に超音波水洗によるスマット除去を施さないときのめっき皮膜の密着性の確認を行った。この確認を行った結果を表1に示す。
比較例4では、試験体のめっき前処理において、アルカリ脱脂処理工程、及び第1酸処理工程の後に超音波水洗によるスマット除去を施さないこと以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じめっき前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
[比較例5]
比較例5では、比較例3と同様に、希土類磁石のめっき前処理として、アルカリ脱脂処理工程を行った後に、第1酸処理工程と第2酸処理工程との2段階で酸活性処理を行った場合に、これら全ての工程の後に超音波水洗によるスマット除去を施さないときのめっき皮膜の密着性の確認を行った。この確認を行った結果を表1に示す。
比較例5では、試験体のめっき前処理において、アルカリ脱脂処理工程の後に超音波水洗によるスマット除去を施さないこと以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じめっき前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
[比較例6]
比較例6では、比較例3と同様に、希土類磁石のめっき前処理として、アルカリ脱脂処理工程を行った後に、第1酸処理工程と第2酸処理工程との2段階で酸活性処理を行った場合に、これら全ての工程の後に超音波水洗によるスマット除去を施さないときのめっき皮膜の密着性の確認を行った。この確認を行った結果を表1に示す。
比較例6では、試験体のめっき前処理において、第1酸処理工程、及び第2酸処理工程の後に超音波水洗によるスマット除去を施さないこと以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じめっき前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
[比較例7]
比較例7では、比較例3と同様に、希土類磁石のめっき前処理として、アルカリ脱脂処理工程を行った後に、第1酸処理工程と第2酸処理工程との2段階で酸活性処理を行った場合に、これら全ての工程の後に超音波水洗によるスマット除去を施さないときのめっき皮膜の密着性の確認を行った。この確認を行った結果を表1に示す。
比較例7では、試験体のめっき前処理において、第1酸処理工程の後に超音波水洗によるスマット除去を施さないこと以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じめっき前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
[比較例8]
比較例8では、比較例3と同様に、希土類磁石のめっき前処理として、アルカリ脱脂処理工程を行った後に、第1酸処理工程と第2酸処理工程との2段階で酸活性処理を行った場合に、これら全ての工程の後に超音波水洗によるスマット除去を施さないときのめっき皮膜の密着性の確認を行った。この確認を行った結果を表1に示す。
比較例8では、試験体のめっき前処理において、第2酸処理工程の後に超音波水洗によるスマット除去を施さないこと以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じめっき前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
[比較例9]
比較例9では、比較例3と同様に、希土類磁石のめっき前処理として、アルカリ脱脂処理工程を行った後に、第1酸処理工程と第2酸処理工程との2段階で酸活性処理を行った場合に、これら全ての工程の後に超音波水洗によるスマット除去を施さないときのめっき皮膜の密着性の確認を行った。
比較例9では、試験体のめっき前処理において、アルカリ脱脂処理工程、及び第2酸処理工程の後に超音波水洗によるスマット除去を施さないこと以外は、実施例1と同じ試験体を用い、実施例1と同じめっき前処理及びめっき処理を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
[比較例10]
比較例10では、実施例21〜23との対比を行うため、希土類磁石のめっき処理方法として、アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程を行なわずに無電解ニッケルめっき処理工程のみを行ったときに得られるめっき皮膜の密着性の確認を行った。
比較例10では、試験体として実施例21と同じ希土類磁石を用い、当該試験体のめっき前処理において、実施例21と同じめっき前処理を行った。また、比較例10では、当該試験体のめっき処理において、アルカリ無電解ニッケルめっき工程を行わずに、実施例21と同様の無電解ニッケルめっき処理工程を行った。そのため、これら処理に関する説明は省略する。
[まとめ]
表1より、希土類磁石のめっき前処理において、アルカリ脱脂処理工程を行った後に、第1酸処理工程と第2酸処理工程との2段階で酸活性処理を行い、これら各工程の後に超音波水洗によるスマット除去を施した実施例1〜3は、クロスカット法に準じてめっき皮膜の密着性の確認を行った結果、試験体のめっき皮膜に全く剥がれは見受けられなかった。これに対して、アルカリ脱脂処理工程を行った後に、第1酸処理工程と第2酸処理工程との2段階で酸活性処理を行わない比較例1,2や、アルカリ脱脂処理工程を行った後に、第1酸処理工程と第2酸処理工程との2段階で酸活性処理を行った場合にこれら全ての工程の後に超音波水洗によるスマット除去を施さない比較例3〜9に関しては、クロスカット法に準じてめっき皮膜の密着性の確認を行った結果、マス目の一部に欠損が見受けられた。以上の結果より、希土類磁石のめっき前処理において、アルカリ脱脂処理工程を行った後に、第1酸処理工程と第2酸処理工程との2段階で酸活性処理を行い、これら各工程の後に超音波水洗によるスマット除去を施すことによって、効果的にめっき皮膜の密着性の向上が図られることが分かった。
表2より、上述した超音波水洗において試験体の表面に加える超音波振動の周波数を本件発明に規定する条件(20〜150kHz)とした実施例4〜6は、試験体のめっき皮膜に全く欠陥は見受けられず、クロスカット法に準じてめっき皮膜の密着性の確認を行った結果、試験体のめっき皮膜に全く剥がれは見受けられなかった。以上の結果より、希土類磁石のめっき前処理において、アルカリ脱脂処理、及び酸活性処理を行った後に行う超音波水洗の超音波振動の周波数条件を、本件発明に規定する条件範囲とすることが、めっき皮膜の密着性を向上させる上でより好ましいことが分かった。
表3より、上述した第1酸処理工程において、本件発明に規定する酸液の酸濃度の条件(15〜150mL/L)及び酸液中に浸漬させる時間の条件(50〜600秒間)を満たす実施例8〜12は、これらの条件を全て満たさない実施例7,13に比べ、クロスカット法に準じてめっき皮膜の密着性の確認を行った結果、めっき皮膜の密着性及び外観に関し総じて良好な結果が得られた。以上の結果より、希土類磁石のめっき前処理において行う第1酸処理工程に関し、本件発明に規定する条件を満たすことが、希土類磁石の表面に良好な密着性及び外観を有する上でより好ましいことが分かった。
表4より、上述した第2酸処理工程において、本件発明に規定する酸液の酸濃度の条件(20〜100mL/L)及び酸液中に浸漬させる時間の条件(30〜600秒間)を満たす実施例15〜19は、これらの条件を全て満たさない実施例14,20に比べ、クロスカット法に準じてめっき皮膜の密着性の確認を行った結果、めっき皮膜の密着性及び外観に関し総じて良好な結果が得られた。以上の結果より、希土類磁石のめっき前処理において行う第2酸処理工程に関し、本件発明に規定する条件を満たすことが、希土類磁石の表面に良好な密着性及び外観を有する上でより好ましいことが分かった。
表5より、希土類磁石のめっき処理において、アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程と無電解ニッケルめっき処理工程との2種のめっき処理工程を行うと共に、アルカリ性無電解ニッケルめっき処理液に、ニッケル塩と有機カルボン酸とが含有された実施例21〜23は、クロスカット法に準じてめっき皮膜の密着性の確認を行った結果、試験体のめっき皮膜に全く剥がれは見受けられなかった。これに対し、当該アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程を行わない比較例10は、クロスカット法に準じてめっき皮膜の密着性の確認を行った結果、マス目の一部に欠損が見受けられた。以上の結果より、希土類磁石のめっき処理においては、アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程と無電解ニッケルめっき処理工程との2種のめっき処理工程を行うと共に、アルカリ性無電解ニッケルめっき処理液に、ニッケル塩と有機カルボン酸とが含有されたものを用いることで、めっき皮膜の安定的形成及び密着性の向上が図られることが分かった。
表6より、上述したアルカリ無電解ニッケルめっき処理工程において、用いるめっき浴のpH値の条件(pH9〜10)を満たす実施例25〜27は、この条件を満たさない実施例24,28に比べて試験体表面にニッケルをムラなく十分に析出させることができ、めっき皮膜の析出性に関して良好な結果が得られた。以上の結果より、希土類磁石のめっき処理において用いるアルカリ性無電解ニッケルめっき処理液に関し、本件発明に規定する条件を満たすことが、希土類磁石の表面にめっき皮膜をムラなく安定的に析出させる上でより好ましいことが分かった。
本件発明に係る希土類磁石のめっき前処理方法によって、密着性や外観が良好で、耐食性に優れた金属めっき皮膜を表面に有する希土類磁石が得られる。この希土類磁石は、このような利点を有することから、各種用途に使用され、特に電気、電子機器の分野で好適に使用される。

Claims (8)

  1. 無電解めっき又は電解めっきにより希土類磁石の表面に金属皮膜を形成する際の希土類磁石のめっき前処理方法であって、
    アルカリ脱脂処理工程を行った後に、少なくとも第1酸処理工程と第2酸処理工程との2段階で酸活性処理を行い、これら各工程の後に超音波水洗によるスマット除去を施すことを特徴とする希土類磁石のめっき前処理方法。
  2. 前記超音波水洗は、20〜150kHzの超音波振動を加えた水に、前記希土類磁石の被めっき面を1〜5分間接触させる請求項1に記載の希土類磁石のめっき前処理方法。
  3. 前記第1酸処理工程は、前記希土類磁石の被めっき面を、硝酸、硫酸、塩酸、及びリン酸若しくはこれらの塩のうち1種又は2種を含み且つ酸濃度が15〜150mL/Lの酸液中に50〜600秒間浸漬させる請求項1又は2に記載の希土類磁石のめっき前処理方法。
  4. 前記第2酸処理工程は、前記希土類磁石の被めっき面を、硝酸、硫酸、塩酸、及びリン酸若しくはこれらの塩のうち1種又は2種を含み且つ酸濃度が20〜100mL/Lの酸液中に30〜600秒間浸漬させる請求項1〜3のいずれかに記載の希土類磁石のめっき前処理方法。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載のめっき前処理方法で処理された希土類磁石の表面に無電解めっき処理により金属皮膜を形成する際の希土類磁石のめっき処理方法であって、
    2種のめっき処理工程を備え、
    当該2種のめっき処理工程は、アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程と無電解ニッケルめっき処理工程であり、
    当該アルカリ無電解ニッケルめっき処理工程で用いるめっき浴が、ニッケル塩と、有機カルボン酸及び/又はその塩とを含有することを特徴とする希土類磁石のめっき処理方法。
  6. 前記めっき浴は、更に還元剤及び安定剤を含有し、pHが9〜10である請求項5に記載の希土類磁石のめっき処理方法。
  7. 前記還元剤がリン酸及び/又はその塩であり、前記安定剤が硝酸鉛である請求項6に記載の希土類磁石のめっき処理方法。
  8. 前記有機カルボン酸がクエン酸である請求項5〜請求項7のいずれかに記載の希土類磁石のめっき処理方法。
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