JP2018131414A - 未利用作物組織から高栄養価機能を持つルビスコを調製する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】食品の蛋白質栄養価を強化するためのリブロース1,5−ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(ルビスコ)調製法の提供。【解決手段】未利用作物組織から高栄養価機能を持つ前記ルビスコを調製する方法であって、1、野菜として利用されるシンク器官部位とソース器官が異なる作物キャベツを熱処理する工程と、2、熱処理した前記作物キャベツに緩衝液を加えた状体で破砕する工程と、3、破砕液から不溶性物質を取り除く工程と、4、不溶性物質を取り除いた前記破砕液から前記ルビスコを精製する工程と、を含むルビスコの調整法。【効果】熱処理することによりルビスコを部分分解する蛋白質加水分解酵素の機能を弱めることにより、ルビスコの調整中にルビスコの変性を抑制でき、高栄養価を保った全長を回収でき、全蛋白質の80.2%をルビスコが占めている。【選択図】図3

Description

本発明は、リブロース1,5−ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(以下、ルビスコと称する)を調製する方法に関し、より詳しくは各種食品のタンパク質栄養価を強化するためのルビスコ調製法に関する。
ルビスコは作物などの植物や藻類において緑色組織の主要タンパク質である。ホウレンソウ葉では可溶性タンパク質の50%を占め、単一タンパク質としては地球上で最も多量に存在する酵素タンパク質である。ルビスコ酵素タンパク質は分子質量が約53kダルトンの大サブユニット8個と分子質量約12kダルトンの小サブユニット8個から構成されている。
ルビスコ酵素タンパク質は大気中の二酸化炭素を捕捉して有機物に変換する光合成反応を担い、地球上のすべての従属栄養生物の生命を支える重要な葉緑体酵素である。ルビスコは植物の生育にはなくてはならない重要な酵素だが、その反応速度は一般の酵素の1/100から1/1000/程度である。
また、捕捉すべき二酸化炭素への親和性は低く、葉緑体で機能しているルビスコの25%程度だけが光合成二酸化炭素捕捉反応に関与できる。
このようにルビスコの酵素としての能力は非常に劣悪だが、植物は葉緑体で大量のルビスコタンパク質を合成・蓄積することでその劣悪さを克服している(図1:植物葉と動物細胞の抽出液に含まれるたんぱく質のSDS−PAGEによる分離例。矢印1はルビスコ大サブユニット、矢印2はルビスコ小サブユニットを指す。ホウレンソウ、ラットとも左側のレーンは分子量マーカー用で、その左の数字は分子量マーカーの分子質量(単位はkDa)で示す。動物細胞のデータはJoumal of Biomolecular Techniques 1 RF9:189−199 2008より転載した)(横田(1999)植物分子生理学入門(横田編)、学会出版センター、81−99)。
全ての生物が合成するタンパク質を構成するアミノ酸の種類と必要量は、その生物が持つ遺伝情報によって決まる。
我々ヒトではタンパク質を構成する20種類のアミノ酸のうち自ら合成できるアミノ酸が11種類、合成できずに食品を通して摂取しているアミノ酸、いわゆる必須アミノ酸が9種類存在する。ヒトの体では1日約50gのタンパク質が分解されて排泄されているので、その量のタンパク質を毎日合成する必要がある。その際に不可欠なものがヒト自身で合成できない必須アミノ酸で、ヒトの遺伝情報で決められている量が必要である。
栄養学的にはヒトは単にタンパク質摂取量を量的に満足すればいいのではなく、ヒトの9種の必須アミノ酸をヒトの遺伝情報が決めている量比で日々摂取することが不可欠である。
世界保健機関/食糧農業機関/国連大学(FAO/WHO/UNU)では、ヒトが健康に生活するために摂取すべき必須アミノ酸量を決めている。FAO/WHO/UNUが決めた各必須アミノ酸量を100とした時の各種食品タンパク質の必須アミノ酸の含量比を、その食品タンパク質のアミノ酸スコアーと呼んでいる。
コムギ強力粉に含まれるタンパク質はリジン含量がFAO/WHO/UNU推奨量の38%で、リジンが制限アミノ酸である(表1)。
コムギ強力粉のその他の必須アミノ酸はFAO/WHO/UNU推奨量を超えている。コムギ強力粉のみを使った食品(例えば食パンではリジン含量は必要量の35%)を食事として摂取した場合、摂取者は食パンの9.3%を占めるタンパク質の35%分のみが摂取者のタンパク質の合成に利用できるが、その他の十分量の必須アミノ酸は使われずに排泄される。
もし、調理時に加えるある食品の必須アミノ酸量がFAO/WHO/UNU推奨量を超え、とくにリジン含量がFAO/WHO/UNU推奨量の2倍量含まれている場合、コムギ強力粉に含まれているタンパク質と同量のタンパク質分のある食品を摂取すれば、容易に必須アミノ酸に富んだ高栄養価タンパク質を安価で容易に、安定的に摂取することが可能になる。
植物光合成で二酸化炭素固定反応を担う酵素として発見されたルビスコは、ヒトの9種の必須アミノ酸すべての含量においてFAO/WHO/UNUが推奨するヒトの各必須アミノ酸の必要量を20%以上超えている(図2)。上述したように、ルビスコタンパク質はリジンに富むが、もう一点の特徴はトリプトファン含量がFAO/WHO/UNU推奨量の4.5倍も含まれていることである。トリプトファンはタンパク質の合成にそのまま使われることに加え、脳内に輸送されてセロトニンに変換され、心を安らかに保つとともにストレスを減らす効果を発揮する(有田秀穂(2009)「セロトニンの生理作用」小児科第50巻 第13号及びLe Floc’h et al.(2011)Amino Acids 41,1195−1205)。
このようなルビスコの特徴は、作物を含めて植物全般のルビスコに共通している(図2)。ルビスコタンパク質のアミノ酸組成はルビスコ遺伝子に含まれる遺伝情報によって決定付けられている。前述したように、ルビスコタンパク質の75%のアミノ酸を含む大サブユニットの遺伝子は核染色体のDNAにはなく、葉緑体DNA上に存在している。葉緑体DNAの葉緑体内での分子数や大半の植物の葉緑体DNAの遺伝様式から、大サブユニットタンパク質のアミノ酸配列はほとんど同じである。このことが理由で、ルビスコタンパク質には、由来する植物に関係なく高いタンパク質栄養価が期待されている(図2)。
植物ルビスコはその物性においても興味が持たれる。タバコ植物葉由来のルビスコでは、水やコーン油の吸収率、ルビスコ水溶液の40%コーン油との乳化度や発泡性、泡立ちによる容量増加度において大豆タンパク質をはるかに凌ぐ。ルビスコの泡立ちによる容量増加度では卵白と同等である。これらの物性は微アルカリ条件下でも微酸性条件下でも顕著に現れ、ルビスコが各種食品の製造に適したタンパク質素材であること、言い換えれば畑で作る高栄養価タンパク質食材であることを示している(Sheen and Sheen(1985)J.Agric.Food Chem.33,79−83)。
このようなルビスコタンパク質の高い栄養価に期待して、生体内での酵素機能を保った状態で精製することを目的にした生化学的方法を参考にこれまでにもいくつかの作物から簡便にルビスコを精製する方法が考案されてきた。とくに、1971年にKawashima and Wildmanがトリス-塩酸緩衝液、食塩、塩化マグネシウム等を含んだ抽出溶液中でタバコ葉からルビスコを含む葉内容物を抽出し、脱塩後に低温で保存するとルビスコが結晶化することを見出して以降、タバコ葉ではこの方法や抽出中のルビスコの酸化を抑制する目的でメタ重亜硫酸ナトリウム(ワインの酸化防止剤)のみを使った方法が頻繁に使われてきた(Bahr et al.(1977)J.Agric.Food Chem.25,783−789;US Patents4,268,632/1982;4,340,676/1982;4,347,324/1982;4,400,471/1983etc)。
しかし、この低温でのルビスコの結晶化はタバコ植物のルビスコに限られた現象で、他の植物ルビスコでは結晶化は起こらない(McCurry et al.(1982)Method Enzymol.90,515−521)。
そこで他の植物を用いた場合はポリエチレングリコール(PEG)4000による分別沈殿法が一般に利用されている(US Patents4、588,691/1986;4,400,471/1983)。
しかし、食品素材としてPEGを用いて精製されたルビスコの詳細な化学的性状については検討はなされていなく、唯一、食品素材としての特性やラットやマウスの飼育試験によるタンパク質源としての評価についての報告に留まっている(Kung et al.(1980)J.Food Sci.45,320−327;Parameswan et al.(1988)Plant Food Nutr.38,269−272)。
タンパク質の食品素材としての利用の場合、タンパク質は一般に製造過程で部分分解を受けて品質劣化を来す可能性があり、調製品ルビスコタンパク質の品質チェック(Quality Check,QC)は重要である。しかし、食品素材としてのルビスコを利用する開発分野では、調製された標品の化学的分析はこれまで行われていない。
キャベツ葉からのルビスコ精製の過程(図3)やコムギ葉の老化の過程(図4)(Kokubun et al.,(2002)Plant Cell Physiol.43,1390−1395)で植物葉が持つプロテアーゼによって容易に加水分解を受けることが知られている。
キャベツ葉では切断されてロスする部位に必須アミノ酸であるリジンが2残基含まれており(図5)、コムギ葉の老化の場合は切断を受けるN末端残基から32残基までに5残基も含まれており(図6)、精製中の加水分解はルビスコの品質を甚だしく低下させてしまう。
生化学研究ではこのような精製中の加水分解を阻止するためにタンパク質加水分解酵素阻害剤が一般的に用いられるが、精製品を食品素材として利用する場合はその使用は控えるべきである。この分野ではこれまでの特許などでこの点に関しては全く考慮されていない。
米国特許公報4,268,632号 米国特許公報4,340,676号 米国特許公報4,347,324号 米国特許公報4,400,471号 米国特許公報4、588,691号 米国特許公報4,400,471号
以上のような従来の植物ルビスコの食品素材としての精製法には、次のような解決すべき深刻な課題があった。
1.食品素材としてのルビスコを生産する対象植物として、当初はタバコ葉のみが使われ、その後にはアルファルファ、砂糖ダイコン葉も公開特許で記載されている。しかし、果たしてこれらの作物がベストな選択肢といえるのか。
2.食品素材としてルビスコが調製される際に、食品製造上は必ずしも安全な工程で生産されていない。また、生化学的基礎研究で取り扱われる際の高価な試薬が使われている。
3.植物ルビスコの遺伝子情報から推定される必須アミノ酸組成が十分に満足される状態で生産されていたかどうか、検証されていない。
本発明は以上の点を解決するために、次のような解決目標課題を設定する。
・ 解決目標課題1
対象植物としては、作物としての栽培法が確立し、土地生産性が高く、野菜として利用される部位とその作物の生長を支える光合成器官(作物学的にはソース器官という)が異なる作物であること。
・ 解決目標課題2
作物葉からのルビスコの精製を目的に葉組織からタンパク質を抽出する際には、十分成長した葉の細胞内には酸性状態で各種の加水分解酵素を高濃度に蓄えている液胞が発達している。このような葉を破砕してタンパク質を抽出するには液胞の酸性溶液を中和し、液胞内の各種加水分解酵素、とくにタンパク質分解酵素の機能を抑制することが重要である。
もしルビスコが抽出中に分解を受けて必須アミノ酸を含む配列が切除されると図3Bのようにタンパク質は若干短くなり、葉の老化によっても部分切断を受け(Kokubun et al.,(2002)Plant Cell Physiol.43,1390−1395)、ルビスコのアミノ酸スコア―の低下を招く(図3乃至図6)。
・ 解決目標課題3
ルビスコの精製の過程で、上記の各種課題がうまく克服されたことの確認実験を随所に組み込み、ルビスコが本来持っているタンパク質栄養価を保持したままでの食品素材生産が実行された点を検査するQCが不可欠である。
上記の課題を解決する本発明の構成は、以下の通りである。
請求項1に記載の発明は、未利用作物組織から高栄養価機能を持つルビスコを調製する方法であって、野菜として利用される部位とソース器官が異なる作物キャベツを熱処理する工程と、熱処理した作物キャベツに緩衝液を加えた状態で破砕する工程と、破砕液から不溶性物質を取り除く工程と、不溶性物質を取り除いた破砕液からルビスコを精製する工程とにより構成した。
上記のように構成される本発明が、如何に作用して課題を解決するかを概説する。
上記解決目標課題1記載の条件を満足する作物としては、ウリ科のカボチャ、スイカ、ユウガオ、アブラナ科のカブ、カリフラワー、キャベツ、ダイコン、ハクサイ、ブロッコリー等が挙げられる。ことに作物キャベツは、作物として出荷されない外葉の部分に高栄養価タンパク質を高濃度に含むことを発見した。
上記解決目標課題2を解決するために、本発明においては熱処理した作物キャベツに緩衝液を加えた状態で破砕する工程を考案した。この熱処理によって緑色不要部分を低速遠心で容易に除け、ルビスコの栄養価低下原因になるルビスコタンパク質分解酵素を失活(不活性化)させることができるのである。
植物葉と動物細胞の抽出液に含まれるタンパク質のSDS−PAGEによる分離例 必須アミノ酸量に対する各種タンパク質に含まれる必須アミノ酸含有割合 タンパク質染色図 コムギ葉の老化の過程を示す染色図 アミノ酸配列図 部分分解部位を示す説明図 タンパク質染色図
諸課題克服実施例
アブラナ科に属するカブ、カリフラワー、キャベツ、ダイコン、ハクサイ、ブロッコリー等では、植物体全体の成長を支えるソース器官と食品として利用されるシンク器官が完全に分離している。キャベツの場合、ソース器官としての外葉は葉脈が頑丈で組織が固く食品には適さないが、芯部分(英語ではhead)は柔らかく種々の料理に利用される。しかし,外葉は芯部分の成長を支えるソース器官として葉緑体を数多く持った細胞に富むのが特徴である。
・方法1
まず、ルビスコを部分分解するタンパク質加水分解酵素の機能を弱めるためにキャベツ外葉を55℃で5分間熱処理し、その後直ちに氷冷する。こうすることで、外葉は柔らかくなり(しんなりし)、機械的に容易に破砕できるようになる。
破砕に際しては抽出液の酸性化を食い止めるために食品製造に一般に使われる10mM クエン酸リン酸緩衝液を加えた。外葉破砕液を3重の木綿布を濾し袋に使った搾汁機で搾り、遠心機で細胞壁などの不溶性物質を取り除いた(7500xg 15分)。驚いたことに、破砕前の熱処理によって細胞が破壊されて葉組織からルビスコが漏出することはなかったし、ルビスコが変性して不溶化することも全く起こらなかった(図3A、レーン3)。一方葉緑体のチラコイド膜は凝集し、遠心によって細胞壁とともに取り除くことができた。
この段階で、キャベツ葉ルビスコ標品ののSDS−PAGE後にCoomassie Brilliant Blue(CBB)染色剤でタンパク質を染色した。
本発明で見出した熱処理方法を使わずにこれらの操作を行って調製したルビスコ標品では大サブユニットは部分分解を受けて若干分子質量が小さいタンパク質バンドが得られた(図3)。
若干老化したキャベツ葉から調製した場合は大サブユニットはさらに切断されて低分子化していた(図4)。
図3Bで得られた2種類の大サブユニットのN−末端アミノ酸配列をエドマン分解を利用した自動分析によって配列決定したところ、小分子質量のタンパク質のN−末端は本来のN−末端から12番目のリジン(K)残基のカルボキシル基側で加水分解を受けていることが判明した(図5)。
一方、加水分解を受けていない大サブユニットはエドマン分解を全く受けなかった。
このことは、多くの植物のルビスコの大サブユニットのN−末端プロリン残基のアミノ基がアセチル化修飾を受けているという報告と一致している(Houtz et al.(1989)Proc.Nat.Acad.Sci.,USA 86,1855−1859)。一般に、N−末端アミノ酸のアルファーアミノ基が修飾を受けるとエドマン分解を受けないことが知られている。
この切断されるペプチド断片にはリジン−6とリジン−12( マークを付けたKで表示)が存在し、この切断されたルビスコではルビスコ1分子あたり16残基のリジンの損失になる。葉の老化で出現したさらに小分子質量化した大サブユニットではさらにC−末端側で切断されることが報告されている(Kokubun et al.,(2002)Plant Cell Physiol.43,1390−1395)。この部位はキャベツルビスコも含んでおり、SDS−PAGEでの泳動距離からも同部位が切断された断片であると思われる(図6)。
本願で記載したキャベツ外葉から抽出して調製したルビスコ標品(タンパク質として5マイクログラム)をSDS−PAGEによって標品に含まれる構成タンパク質を相互分離し、図3のAのレーン2に示すようにCBB染色後にさらにデンシトメーターによって染色タンパク質を定量化した。この図では染色されたタンパク質部分を黒色で表示した。
このデンシトメーターの結果から、ルビスコ標品に含まれるルビスコタンパク質は全く切断を受けずに遺伝情報によって決められた高栄養価を保った全長が回収され、かつ全タンパク質の80.2%を占めることが明らかになった(図7)。
以上のように、本研究によって葉組織にそのまま熱処理を加えることの有効性と優越性が世界で初めて立証された。本発明で採用された方法では葉組織の細胞が生きたままで熱処理するので、細胞が破壊されてルビスコに液胞プロテアーゼが作用する以前に加熱によってプロテアーゼが活性を失ってしまうものと予想される。
本方法は野菜として利用される部位とその作物の生長を支える光合成器官(作物学的にはソース器官という)が異なるウリ科のカボチャ、スイカ、ユウガオ、アブラナ科のカブ、カリフラワー、ダイコン、ハクサイ、ブロッコリー等でも利用可能である。
一方、野菜として利用される部位ではあるが、ニンジン、ゴボウ、サツマイモ、サトイモ、ホウレンソウ、レタス、チンゲンサイ、シュンギク、セルリー、ピーマン等も収量性や作付面積が大きく、ルビスコ供給源としては興味ある対象である。
本方法はルビスコタンパク質を全く変性させずに部分精製することを目指したが、一般の食品タンパク質素材として利用する場合は加熱変性やアルコール変性させる過程を部分精製の過程に導入することも可能である。これらの変性によっては一般の食品タンパク質同様に消化率の向上も期待される。
この方法で調製できるルビスコ標品は多くの食品の材料やタンパク質栄養価強化食品として利用できる。また、食品素材としても利用可能で、メレンゲやマシュマロ、マヨネーズ様ドレッシング、各種スープ、野菜ジュース、麺つゆ、各種ジャムなどに使用して植物性高栄養価タンパク質供給源となると期待される。
このようなルビスコの特徴は、作物を含めて植物全般のルビスコに共通している(図2)。ルビスコタンパク質のアミノ酸組成はルビスコ遺伝子に含まれる遺伝情報によって決定付けられている(大サブユニットのアミノ酸配列はGenBank: AKM97926.1より、小サブユニットはGenBank: AIF75344.1より入手した)。前述したように、ルビスコタンパク質の75%のアミノ酸を含む大サブユニットの遺伝子は核染色体のDNAにはなく、葉緑体DNA上に存在している。葉緑体DNAの葉緑体内での分子数や大半の植物の葉緑体DNAの遺伝様式から、大サブユニットタンパク質のアミノ酸配列はほとんど同じである。このことが理由で、ルビスコタンパク質には、由来する植物に関係なく高いタンパク質栄養価が期待されている(図2)。

Claims (1)

  1. 未利用作物組織から高栄養価機能を持つルビスコを調製する方法であって
    1、野菜として利用される部位とソース器官が異なる作物キャベツを熱処理する工程と、
    2、熱処理した作物キャベツに緩衝液を加えた状体で破砕する工程と、
    3、破砕液から不溶性物質を取り除く工程と、
    4、不溶性物質を取り除いた破砕液からルビスコを精製する工程と、
    を含むルビスコの調整法。
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