JP2018131011A - トロリ線及び架線 - Google Patents

トロリ線及び架線 Download PDF

Info

Publication number
JP2018131011A
JP2018131011A JP2017024809A JP2017024809A JP2018131011A JP 2018131011 A JP2018131011 A JP 2018131011A JP 2017024809 A JP2017024809 A JP 2017024809A JP 2017024809 A JP2017024809 A JP 2017024809A JP 2018131011 A JP2018131011 A JP 2018131011A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wire
mass
trolley
copper alloy
trolley wire
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017024809A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6217874B1 (ja
Inventor
蛭田 浩義
Hiroyoshi Hiruta
浩義 蛭田
黒田 洋光
Hiromitsu Kuroda
洋光 黒田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Metals Ltd filed Critical Hitachi Metals Ltd
Priority to JP2017024809A priority Critical patent/JP6217874B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6217874B1 publication Critical patent/JP6217874B1/ja
Publication of JP2018131011A publication Critical patent/JP2018131011A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Conductive Materials (AREA)
  • Non-Insulated Conductors (AREA)

Abstract

【課題】高速鉄道車両の超高速化に好適なトロリ線、およびそのトロリ線を備えた架線を提供する。【解決手段】本発明の一態様において、錫が0.4質量%超0.6質量%以下、インジウムが0質量%超0.1質量%以下で含有され、残部が銅および不可避不純物からなる銅合金で構成される銅合金線であって、前記銅合金線の公称断面積が170mm2のときの引張強度が453MPa以上であり、導体抵抗が0.1410Ω/km以下であり、27.0kNの負荷張力および500μの負荷ひずみを加える条件で振動させたときの振動回数が1000万回以上である耐振動疲労特性を有するトロリ線を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、高い架線張力で架線されるトロリ線及び当該トロリ線を備えた架線に関する。
新幹線などの高速鉄道車両が走行する部分の上部には、吊架線、補助吊架線およびトロリ線を少なくとも有するヘビーコンパウンド架線、あるいは吊架線およびトロリ線を少なくとも有するヘビーシンプル架線が用いられている(例えば、特許文献1参照)。このような新幹線などの高速鉄道車両に適用されるヘビーコンパウンド架線、あるいはヘビーシンプル架線において、高速鉄道車両のパンタグラフ(集電装置)と接触して電気を高速鉄道車両へ供給するためのトロリ線は、最大で19.6kN(2.0トン)から24.5kN(2.5トン)の架線張力によって架線される。
特開2016−141348号公報
新幹線などの高速鉄道車両では、これまで最高時速320km/hで走行されているものの、これからの高速鉄道車両では、最高時速が更に高速化(超高速化)される傾向にある。例えば高速鉄道車両の超高速化としては、最高時速が350km/hまで引き上げられることが検討されている。このような高速鉄道車両の超高速化を実現させるためには、波動伝搬速度を上げる必要がある。波動伝搬速度を上げる方法としては、トロリ線の公称断面積を小さくすることによってトロリ線の単位質量を小さくすること、あるいはトロリ線の架線張力を高くすること等が挙げられる。
新幹線などの高速鉄道車両に用いられる架線では、比較的大きな電流が必要となる。一方、波動伝搬速度を上げるために、トロリ線の単位質量を小さくする場合では、トロリ線の公称断面積を小さくすることによってトロリ線の電流容量が小さくなってしまう。このため、大電流が必要となる高速鉄道車両に用いられる架線に対し、公称断面積を小さくして波動伝搬速度を上げたトロリ線を適用する場合は、電気的な特性が不十分なものとなってしまうおそれがある。
このようなことから、高速鉄道車両の超高速化に適用されるトロリ線は、波動伝搬速度の向上のために、大電流を流すことが可能な電流容量を確保しながら、これまでよりも高い架線張力で架線されることが想定される。例えば、高速鉄道車両の超高速化に適用されるトロリ線では、公称断面積が170mm2における架線張力が27.0kN以上に引き上げられるとされている。このため、トロリ線には、高い架線張力で架線されるものとしての更なる改善が求められる。
したがって、本発明の目的は、高速鉄道車両の超高速化に好適なトロリ線、およびそのトロリ線を備えた架線を提供することにある。
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、下記[1]〜[4]のトロリ線、および下記[5]の架線を提供する。
[1]錫が0.4質量%超0.6質量%以下、インジウムが0質量%超0.1質量%以下で含有され、残部が銅および不可避不純物からなる銅合金で構成される銅合金線であって、前記銅合金線の公称断面積が170mm2のときの引張強度が453MPa以上であり、導体抵抗が0.1410Ω/km以下であり、27.0kNの負荷張力および500μの負荷ひずみを加える条件で振動させたときの振動回数が1000万回以上である振動疲労特性を有する、トロリ線。
[2]前記銅合金線は、波動伝搬速度が480km/h以上である、上記[1]に記載のトロリ線。
[3]前記銅合金線は、引張荷重が75.7kN以上である、上記[1]又は[2]に記載のトロリ線。
[4]前記銅合金線は、酸素が0.02質量%以上0.05質量%以下で含有されている、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載のトロリ線。
[5]錫が0.4質量%超0.6質量%以下、インジウムが0質量%超0.1質量%以下で含有され、残部が銅および不可避不純物からなる銅合金で構成される銅合金線であって、前記銅合金線の公称断面積が170mm2のときの引張強度が453MPa以上であり、導体抵抗が0.1410Ω/km以下であり、27.0kNの負荷張力および500μの負荷ひずみを加える条件で振動させたときの振動回数が1000万回以上である耐振動疲労特性を有するトロリ線と、前記トロリ線を支持する吊架線と、を備える架線。
本発明によれば、高速鉄道車両の超高速化に好適なトロリ線、およびそのトロリ線を備えた架線を提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態に係るトロリ線の径方向の断面図である。 図2(a)はヘビーコンパウンド架線の概略図であり、図2(b)はヘビーシンプル架線の概略図である。
〔実施の形態〕
(トロリ線の構造及び特性)
図1は、本発明の実施の形態に係るトロリ線1の径方向の断面図である。トロリ線1は、電車等の鉄道車両用の架線に用いられる異形丸形のトロリ線であって、特に、新幹線等の高速度で運転される高速鉄道車両用の架線にも好適なトロリ線である。なお、トロリ線1の形状は、JISE2101、EN50149に規定されたみぞ付硬銅トロリ線に該当する。
トロリ線1は、上部の小弧面11と、下部の大弧面12と、小弧面11と大弧面12の間のV字状のイヤー溝13と、を少なくとも有する銅合金線からなる。イヤー溝13は、イヤー金具をトロリ線1に接続させるための溝である。イヤー金具は、小弧面11を有する部分を挟み込むようにトロリ線1の両側に設けられたイヤー溝13に接続される。これにより、トロリ線1は、後述するハンガーに固定されることになる。なお、鉄道車両が走行する際、大弧面12の表面が鉄道車両に設けられたパンタグラフに接触する。
トロリ線1は、Cu−Sn−In系合金からなる銅合金線で構成されることが好ましい。具体的に、トロリ線1は、錫(Sn)が0.4質量%超0.6質量%以下、インジウム(In)が0質量%超0.1質量%以下で含有され、残部が銅及び不可避不純物からなる銅合金線で構成されることが好ましい。錫の含有量としては、0.45質量%以上0.55質量%以下がより好ましく、インジウムの含有量としては、0.05質量%以上0.1質量%以下がより好ましい。トロリ線1を構成する銅合金線は、錫が0.4質量%超0.6質量%以下、インジウムが0質量%超0.1質量%以下で含有されていることにより、27.0kN以上の架線張力で架線されるトロリ線(所謂、高速鉄道車両の超高速化に好適なトロリ線)として必要とされる諸特性(例えば引張強度、導体抵抗、耐振動疲労特性等)を効果的に得ることができる。
また、トロリ線1に適用される銅合金線は、酸素(O)が0.02質量%以上0.05質量%以下で含有されていることが好ましい。酸素が0.02質量%以上0.05質量%以下で含有されていることにより、トロリ線1の表面に傷や割れが発生しにくくなるため、トロリ線1の耐振動疲労特性の向上などに有効である。
トロリ線1は、公称断面積が170mm2(170SQ)のときの引張強度が453MPa以上であり、導体抵抗が0.1410Ω/km以下であることが好ましい。なお、トロリ線1の引張強度および導体抵抗は、JIS C 3002に準拠する試験方法によって求められる。トロリ線1は、公称断面積が170mm2のときの引張強度が453MPa以上であり、導体抵抗が0.1410Ω/km以下であることにより、トロリ線の公称断面積を小さくしなくても、高速鉄道車両に用いられる架線に大電流を流すことが可能な電流容量を確保して、これまでよりも高い架線張力(例えば27.0kN以上の架線張力)で架線することができる。例えば、トロリ線1は、錫を0.3質量%含有した銅合金線からなるトロリ線と比べて導体抵抗を0.1410Ω/km以下に低くしつつ、引張強度を高くすることができる。なお、公称断面積が170mm2は、計算断面積が170mm2±2%(計算断面積が166.6mm2〜173.4mm2)であることを示す。
トロリ線1は、27.0kNの負荷張力および500μの負荷ひずみを加える条件で振動させたときの振動回数が1000万回以上である耐振動疲労特性を有することが好ましい。トロリ線1では、このような耐振動疲労特性を有することにより、高速鉄道車両の超高速化に好適な高張力の架線を実現することができる。
トロリ線1は、公称断面積が170mm2のときの波動伝搬速度が480km/h以上であることが好ましい。公称断面積が170mm2のときの波動伝搬速度が480km/h以上であることにより、高速鉄道車両の超高速化(例えば高速鉄道車両の最高時速が350km/hまで引き上げられること)に対応可能なトロリ線を提供することができる。
トロリ線1は、引張荷重が75.7kN以上であることが好ましい。
図1の距離Lは、トロリ線1の上端(小弧面11の頂部)から下端(大弧面12の頂部)までの距離であり、L1はトロリ線1の下端から摩耗限度位置14までの距離であり、L2は、トロリ線1の上端から摩耗限度位置14までの距離である。例えば公称断面積が170mm2のトロリ線1の距離Lは、およそ15.5mm、距離L2は、およそ12.5mm、距離L1は、およそ3.0mm以上とすることができる。
(変形例)
トロリ線1は、トロリ線1の下端から摩耗限度位置14までの領域に摩耗限度を検知するための検知線が配置。この場合は、検知線を配置させるための溝をトロリ線1の下端から摩耗限度位置14までの部分の領域に設け、その溝内に検知線が配置されることが好ましい。検知線は、銅線などからなる導体と、導体の周囲を被覆する絶縁体とを有する絶縁電線、又は光ファイバから構成されることが好ましい。
トロリ線1を介して電車に給電が行われる際には、トロリ線1の大弧面12の表面が、パンタグラフ等の集電装置に接触する。電車が走行する際に、この集電装置が大弧面12の表面を摺動することによってトロリ線1は大弧面12の表面が摩耗する。大弧面12の表面の摩耗が進むと、トロリ線1の下端から特定の距離L2に設定された摩耗限度位置14に達する前に検知線が断線し、断線検知システムが作動して、トロリ線1の摩耗が限界に近いところまで達していることを検知することができる。
(トロリ線の製造工程)
以下に、トロリ線の製造工程の一例を示す。
本実施の形態に係るトロリ線1の製造工程は、銅母材にSnやIn等を添加して溶解し、銅合金溶湯を形成する溶解工程と、その銅合金溶湯を鋳造して鋳造材を形成する鋳造工程と、その鋳造材に複数段(多段)の熱間圧延加工を施して圧延材を形成する熱間圧延工程と、その圧延材を巻取ってトロリ線1を得る巻取り工程と、を含む。以下、各工程について詳細に説明する。
<溶解工程>
先ず、酸素を0.02質量%〜0.05質量%(200質量ppm〜500質量ppm)含む銅母材に、全体の割合が0.4質量%超0.6質量%以下となる量のSn、0質量%超0.1質量%以下となる量のInを少なくとも添加して溶解を行うことで、銅合金溶湯を形成する。
<鋳造工程>
次に、前工程で得られた銅合金溶湯は、SCR方式の連続鋳造圧延に供される。具体的には、SCR連続鋳造において、通常の溶融温度よりも50℃低い溶融温度(約1100℃)からなる銅合金溶湯で鋳造を行うと共に、鋳型(銅鋳型)を強制水冷し、銅合金溶湯の凝固温度より少なくとも50℃以上低い温度(例えば、800℃〜850℃程度の温度)に急速冷却して鋳造材を形成する。
<熱間圧延工程>
次に、連続鋳造圧延における通常の熱間圧延温度よりも50℃〜100℃低い温度、すなわち鋳造材の温度を500℃以上700℃以下に調整した状態で、鋳造材に、多段の熱間圧延加工を施す。最終圧延時において、500℃以上600℃未満の圧延温度で熱間圧延加工を施し、圧延材を形成する。本工程における圧延温度を従来の温度よりも低くすることにより、圧延材の結晶組織が微細化するため圧延材の強度を高めることができる。
<巻取り工程>
次に、熱間圧延工程で得られた圧延材を特定の条件によって巻取りを行うことにより、トロリ線1を得るための線材(ワイヤロッド)が得られる。圧延材を巻取る際には、300℃以下での徐冷を行いながら圧延材を巻取ることが好ましい。具体的には、巻取るときの巻取温度を100℃以上300℃以下とすることが好ましい。巻取り工程では、このような巻取温度で圧延材をドラムに巻取ってトロリ線1を得るための線材を得ることにより、巻取られた線材の表層部分に傷や割れが発生しにくくすることができる。すなわち、圧延工程の終了時点から巻取りまでの間に急冷して圧延材の温度を約400℃低下させ、常温程度(100℃未満)の巻取温度で圧延材を巻取る場合に比べて、特定の含有量でSnやIn等を含む線材の表層部分に傷や割れを発生しにくくすることができる。
例えば、巻取温度を200℃として圧延材を巻取った場合は、巻取温度を50℃とした場合と比べて、線材の表層部分の傷の発生回数が大幅に低減することができる。また、線材の表層部分に生じた傷の大きさを比較した場合では、巻取温度を200℃として巻取った方が巻取温度を50℃として巻取るよりも小さい傷になる。このようにして、特定の巻取り条件によって圧延材を巻取ることで線材の表層部分に微細な傷や割れが発生しにくくすることにより、得られるトロリ線1では、27.0kNの架線張力で架線されるトロリ線として必要とされる耐振動疲労特性を効果的に得ることができる。
線材のサイズ(外径)としては、20mm以上であることが好ましく、20mm以上23mm以下であることがより好ましい。線材の外径が20mm以上の場合は、公称断面積が170mm2のときに453MPa以上の引張強度を有するトロリ線を得るのに有効である。また線材の外径が23mm以下の場合は、後述する伸線加工工程における伸線加工の回数を削減することができるため、トロリ線1の製造コストを抑えることができる。
以上に説明した各工程は、既存又は慣用の連続鋳造圧延設備(SCR連続鋳造機)を用いて実施することができる。
なお、線材の表層部分の傷や割れをさらに低減させるために、後述する伸線加工工程の前に、線材の表層部分(例えば線材の表面から約 0.3mmまでの厚さの部分)を削る工程を含んでもよい。
<伸線加工工程>
以上に説明した工程のあと、得られた線材を伸線加工することにより、小弧面11と大弧面12とイヤー溝13とを有するトロリ線1が得られる。なお、検知線を配置させる場合は、線材を伸線加工する際に、検知線用溝を有する線材を伸線加工しながら検知線用溝の内部に検知線が挿入される。
この伸線加工工程では、巻取り工程で得られた線材に対して複数回の伸線加工を行うことにより、所望の外径を有するトロリ線を作製する。この伸線加工工程では、複数回の伸線加工を連続して行うのではなく、1回(1パス)の伸線加工ごとに伸線された線材の巻き換えを行って断続的に伸線することが好ましい。この断続した伸線加工では、高速かつ連続で複数回の伸線加工を行う連続伸線加工に比べて、伸線ダイスでの加工熱を生じにくくすることができる。例えば、断続した伸線加工では、伸線ダイスでの加工熱を100℃以下に抑えて線材の温度を100℃以下にすることができる。そのため、断続した伸線加工では、連続して伸線加工する際に100℃を超える加工熱の発生によって線材の強度が10MPa〜20MPa程度低下することを防止することができる。
またこのような伸線加工工程によれば、加工熱による強度低下を防止することができるため、線材のサイズを細径化して減面率を小さくすることができる。これにより、従来よりも加工ひずみを小さくすることができる。その結果、このような伸線加工工程を経て得られるトロリ線1では、27.0kN以上の架線張力で架線されるトロリ線として必要とされる諸特性(例えば上述した引張強度、導体抵抗、耐振動疲労特性等)を効果的に得ることができる。
なお、伸線加工する際の伸線速度は、70m/分以下とすることが好ましい。このような低速で伸線加工することにより、伸線加工の際の加工熱を更に効率よく抑えることができる。また、伸線加工する際に、線材に対して常温の空気を当てて徐冷することであってもよい。このような常温の空気を当てることにより、加工された線材の放熱を促進させること、あるいは得られるトロリ線の表面の変色を防止すること等に有効である。
(架線の構造)
図2(a)は、ヘビーコンパウンド架線2の概略図である。ヘビーコンパウンド架線2(ヘビーコンパウンドカテナリ方式架線ともいう)においては、吊架線21から下方にドロッパー24を介して補助吊架線22が吊り下げられており、この補助吊架線22から下方にハンガー25を介してトロリ線23が吊り下げられている。すなわち、ヘビーコンパウンド架線2では、トロリ線23がハンガー25、補助吊架線22、ドロッパー24を介して吊架線21に支持されている。
また、他の架線として、図2(a)に示すヘビーコンパウンド架線2における補助吊架線22を省き、吊架線とトロリ線の2本で構成されるヘビーシンプル架線(ヘビーシンプルカテナリ方式架線ともいう)がある。図2(b)は、ヘビーシンプル架線3の概略図である。ヘビーシンプル架線3においては、トロリ線32がハンガー33により吊架線31から吊り下げられている。すなわち、ヘビーシンプル架線3では、トロリ線32がハンガー33を介して吊架線31に支持されている。
このようなヘビーコンパウンド架線2、ヘビーシンプル架線3などの架線に使用されるトロリ線23、32として、上述した本発明の実施の形態に係るトロリ線1が適用される。
(実施の形態の効果)
上記実施の形態によれば、錫が0.4質量%超0.6質量%以下、インジウムが0質量%超0.1質量%以下で含有され、残部が銅および不可避不純物からなる銅合金で構成される銅合金線であって、銅合金線の公称断面積が170mm2のときの引張強度が453MPa以上であり、導体抵抗が0.1410Ω/km以下であり、27.0kNの負荷張力および500μの負荷ひずみを加える条件で振動させたときの振動回数が1000万回以上である耐振動疲労特性を有することにより、高速鉄道車両に用いられるときに必要な電流容量を確保しながら27.0kN以上の架線張力で架線されることが可能なトロリ線とすることができる。そのため、480km/hを超えるような波動伝搬速度とすることができ、高速鉄道車両の超高速化(例えば最高時速350km/h)を実現することができる。また、トロリ線の摩耗限度位置は、これまでの高速鉄道車両に用いられていたトロリ線の摩耗限度位置と同等とすることができるため、27.0kNもの高い架線張力で架線しつつも低い架線張力で架線する場合と同じメンテナンス管理を行うことができる。さらに、導体抵抗が0.1410Ω/km以下であるトロリ線とすることにより、公称断面積が150mm2以下のトロリ線を用いた場合では得ることが難しい導体抵抗の低い架線を得ることができる。そのため、大電流が必要とされる高速鉄道線路や運転密度が高い鉄道線路に用いられる架線であっても、電気的に十分な架線を実現することができる。
トロリ線の特性等の評価を行った。以下の表1、2では、トロリ線の公称断面積、トロリ線に含まれるSn、In、Oの含有量、導電率、引張強さ、耐振動疲労特性、波動伝搬速度を示す。
表1、2に示す試料1〜7では、連続鋳造圧延によって得られた23mmの外径を有するワイヤロッドを作製し、次いで、複数回の伸線加工を行うことにより、表1に示す公称断面積を有するトロリ線を製造した。なお、連続鋳造圧延によって得られた鋳造材を巻取るときの巻取温度は、150℃とし、得られたワイヤロッドに対して1回ごとに巻き換えを行うように伸線する伸線加工を行った。
Figure 2018131011

Figure 2018131011

(導体抵抗、引張強度、引張荷重)
表1において、導体抵抗は、JIS C 3002に準拠する方法により測定した。また、引張強度は、トロリ線の破断荷重をJIS C 3002に準拠する方法によって測定し、「破断荷重/公称断面積」に基づいて算出した。さらに、引張荷重は、「引張強度×公称断面積」という方法により測定した。
(耐振動疲労特性)
耐振動疲労特性は、得られたトロリ線から全体長さが2mである試験サンプルを採取し、この試験サンプルに対して加振部分の長さを1mとし、負荷張力27kN、負荷ひずみ500μ、周波数5Hzの条件で加振を試験サンプルに繰り返し与え、試験サンプルが疲労破断するまでの振動回数(加振回数)の測定を行った。このとき、振動回数が1000万回以上の場合を合格(〇)、振動回数が1000万回未満の場合を不合格(×)とした。
(波動伝搬速度)
波動伝搬速度は、√(T/ρ)[T:架線張力、ρ:トロリ線の質量]により算出した。
表2に示すように、試料3〜5では、トロリ線の公称断面積が170mm2であるときに、導体抵抗が0.1410Ω/km以下であり、引張強さが453MPa以上であり、かつ27.0kNの負荷張力および500μの負荷ひずみを加える条件で振動させたときの振動回数が1000万回以上である耐振動疲労特性を有する。このトロリ線を適用することにより、波動伝搬速度は、いずれも480km/h以上となり、大電流を流すことが可能な電流容量を確保しながら、高速鉄道車両の超高速化に好適である。
これに対して、試料1、2では、公称断面積が170mm2であるものの、引張強度が低く、耐振動疲労特性も劣る。そのため、高速鉄道車両の超高速化に適用することが難しい。試料6、7は、引張強度は高いものの、導体抵抗が極端に高くなっている。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、本発明は、上記実施の形態及び実施例に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。
また、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
1 トロリ線
11 小弧面
12 大弧面
13 イヤー溝

Claims (5)

  1. 錫が0.4質量%超0.6質量%以下、インジウムが0質量%超0.1質量%以下で含有され、残部が銅および不可避不純物からなる銅合金で構成される銅合金線であって、
    前記銅合金線の公称断面積が170mm2のときの引張強度が453MPa以上であり、導体抵抗が0.1410Ω/km以下であり、27.0kNの負荷張力および500μの負荷ひずみを加える条件で振動させたときの振動回数が1000万回以上である耐振動疲労特性を有する、トロリ線。
  2. 前記銅合金線は、波動伝搬速度が480km/h以上である請求項1に記載のトロリ線。
  3. 前記銅合金線は、引張荷重が75.7kN以上である請求項1又は2に記載のトロリ線。
  4. 前記銅合金線は、酸素が0.02質量%以上0.05質量%以下で含有されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のトロリ線。
  5. 錫が0.4質量%超0.6質量%以下、インジウムが0質量%超0.1質量%以下で含有され、残部が銅および不可避不純物からなる銅合金で構成される銅合金線であって、前記銅合金線の公称断面積が170mm2のときの引張強度が453MPa以上であり、導体抵抗が0.1410Ω/km以下であり、27.0kNの負荷張力および500μの負荷ひずみを加える条件で振動させたときの振動回数が1000万回以上である耐振動疲労特性を有するトロリ線と、前記トロリ線を支持する吊架線と、を備える架線。

JP2017024809A 2017-02-14 2017-02-14 トロリ線及び架線 Active JP6217874B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017024809A JP6217874B1 (ja) 2017-02-14 2017-02-14 トロリ線及び架線

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017024809A JP6217874B1 (ja) 2017-02-14 2017-02-14 トロリ線及び架線

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6217874B1 JP6217874B1 (ja) 2017-10-25
JP2018131011A true JP2018131011A (ja) 2018-08-23

Family

ID=60156844

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017024809A Active JP6217874B1 (ja) 2017-02-14 2017-02-14 トロリ線及び架線

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6217874B1 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108827483B (zh) * 2018-03-29 2020-04-14 中国神华能源股份有限公司 裸导体热状态预警方法和系统

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004137551A (ja) * 2002-10-17 2004-05-13 Hitachi Cable Ltd 電車線用銅合金導体の製造方法及び電車線用銅合金導体
JP2009001195A (ja) * 2007-06-22 2009-01-08 Sumitomo Electric Ind Ltd トロリ線
JP2016141348A (ja) * 2015-02-04 2016-08-08 日立金属株式会社 トロリ線

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004137551A (ja) * 2002-10-17 2004-05-13 Hitachi Cable Ltd 電車線用銅合金導体の製造方法及び電車線用銅合金導体
JP2009001195A (ja) * 2007-06-22 2009-01-08 Sumitomo Electric Ind Ltd トロリ線
JP2016141348A (ja) * 2015-02-04 2016-08-08 日立金属株式会社 トロリ線

Also Published As

Publication number Publication date
JP6217874B1 (ja) 2017-10-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5773015B2 (ja) 銅合金線
US10553328B2 (en) Aluminum alloy wire, aluminum alloy strand wire, covered electrical wire, and terminal-equipped electrical wire
CN1811997A (zh) 一种铜锡合金导线及其生产方法
Karabay et al. Failure analysis of wire-breaks in aluminum conductor production and investigation of early failure reasons for transmission lines
US20190144974A1 (en) Copper alloy, copper alloy ingot, solid solution material of copper alloy, and copper alloy trolley wire, method of manufacturing copper alloy trolley wire
JP6217874B1 (ja) トロリ線及び架線
JP2018095912A (ja) トロリ線及び架線
JP6001420B2 (ja) Cu−Mg合金体、Cu−Mg合金体の製造方法および伸線材の製造方法
JPWO2013047276A1 (ja) 銅合金線材およびその製造方法
CN105499302A (zh) 一种纯铜绞线的生产方法
JP3903899B2 (ja) 電車線用銅合金導体の製造方法及び電車線用銅合金導体
JP6549852B2 (ja) トロリ線
JP2009174038A (ja) 銅合金導体の製造方法および銅合金導体ならびにケーブルならびにトロリー線
KR101741801B1 (ko) 고전도도 및 내마모성을 갖춘 전차선 및 그 제조방법
JPWO2011071097A1 (ja) 送電体及びその製造方法
JP2018118543A (ja) 吊架線及びその製造方法並びに架線
JP2017136952A (ja) トロリ線及びシンプルカテナリー式架線
JP2017140866A (ja) トロリ線及びき電ちょう架式架線
JP2018131054A (ja) トロリ線
JP2018083973A (ja) 銅合金部材の製造方法
CN108198667A (zh) 用于高速铁路和地铁接触网的高强度软铜绞线的制备方法
KR20110125411A (ko) 전차선용 구리합금 와이어 및 그 제조방법
JP5283272B2 (ja) トロリ線
CN219169562U (zh) 芯冷连铸连轧大长度防冰除冰智能接触线的生产设备
CN115070018A (zh) 一种高抗拉强度铜钢复合接触线的生产设备及其方法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170829

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170911

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6217874

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350